ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
あれから時間が過ぎ、ついに日は今日を跨いで明日に移ろうとしていた。
俺と鈴谷はリビングでテレビを見たりして時間を潰す。と言うのも、外へ行くにも人の多い日中では笹原がまともに移動すらできないからだ。勿論それを理解してのことではあるのだが、なぜかやたらとテンションの上がった鈴谷の相手を何時間もするのは正直かなり疲れる。
「ほら、先輩! エッチな深夜アニメやってますよ!」
「今時服が破れたくらいで興奮する男子高校生なんて居ないっての」
リビングの大画面テレビに映るアニメを見ながら、俺達はそんな下らない話をしていた。しかしこれだけ大きいとアニメの戦闘シーンもかなり迫力がある。問題はその戦っている女の子が何故か半裸になっているところだけど。
俺はアニメに夢中になっている鈴谷から、笹原へと視線を移す。こいつはこいつでぎこちない様子で、あたふたと視線を動かしたり肩をもじもじさせたり、俺の方をちらちら見たり……。まあ、これからする事を考えると気持ちは分からなくもない。
何というか、見た目だけの印象ならば青春まっさかりの女の子っぽくてむしろ可愛らしさすら感じる。しかしだ。その全身のいたるところに取り付けられたローターに、陰部をなでるようにして太股にガムテープで固定された電マのせいで青春の甘酸っぱさもなにもかも全部ぶち壊している。
「お前、準備するって言ってたがまさかそれで出る……んだよな、分かってるけど」
「うん。やっぱりせっかくだし」
全身を駆け抜ける快楽に今も頬を染めている笹原は『ヴヴヴヴヴヴ』と言う振動音を鳴らしながらちょこんと椅子に座り込んでいる。因みに取り付けるときには鈴谷も手を貸していたようだったが、途中に聞こえる「真昼ちゃん、や、そんなとこ触っちゃ……」「何言ってるんですがここですかここが良いんですか、ぐへへ」なんて如何わしい会話を終始聞かされるハメになった。
こいつにとっては外へ出る=(イコール)露出プレイの機会なのだろうが、普通に年頃の男子の目には悪いよなぁ……。
「もう12時ですね。この時間なら、この辺りはもう人通りも無くなってる頃だと思います」
鈴谷はそう言って食いつくように見ていたテレビを少し名残惜しそうに消した。
「そうか。なら、いよいよだな……」
最終決戦に向かうRPGキャラのような台詞を吐く俺だが、その胸の高鳴りだけなら負けてないと思う。
俺にだってここからは全てが未知の体験で、それから人生で間違いなく忘れる事のできない時間になるのだろうから。
「う、うん。そうだね、それじゃあ」
笹原は立ち上がると、やはり苦悶で膝をぎゅっと内股にさせながら、ぽつぽつと玄関へと歩き始める。
「行こっか。うん、行こう」
胸に手を当ててそう言う笹原は、自分に言い聞かせるようにも見える。
「私は邪魔にならないように少し離れて見てますね。先輩」
鈴谷はそう言うと、ちょんちょんとステップを踏みながら、1人先に玄関から家を出て行く。
いざとなった時には鈴谷を頼る事になるかもしれないと言うことで、あらかじめ決めてた事とは言え……。あいつに一部始終を覗き見られると思うと少し億劫だな……。
「もしもの時は鈴谷と俺でなんとかする。あいつは、ああ見えても段取りの悪い奴じゃない。頭もそれなりに回るみたいだし、まあ居ないよりはマシくらいで、な」
「そう、だね……。うん……えっと、その……ね」
「お前、さっきから変だぞ?」
「そ、そんなことないよ!?」
「今からでも止めたいなら止めたいって言えよな」
「そそそ、そんなことないってば!!」
笹原はガツガツと俺の前に近づくと、ぐっとつま先を立ててその顔を俺の鼻先へと寄せる。
「私は、本当に前田君には感謝してるんだよ? こんなこと、前田君じゃなかったら頼めなかったんだからね……?」
「……あぁ、分かったよ」
俺も俺でこいつの事は言えないのだが、少しでも平常心を保ってるように見せかけるために無表情を作ってそう受け答えする。
「にしても、お前の露出に付き合うのもこれで三度目か」
笹原の格好。それはパンツもブラもつけず、それどころかスカートも履かず、肌色が透けるほどに薄い水色のワンピースを一枚羽織るだけというものだ。
間違いなく至近距離で人に見られたら一発でアウトだろう。それも今回はいたるところにつけられたローターのピンク色のケーブルやその先のリモコン部分が全て露出している形である。なにせワンピースで隠し切れない太股部分には無数のローターのリモコンがレースのあしらわれたベルトゴムで固定されている。これでは言い訳をする余地すらなく、これまでの露出プレイでは一番挑発的な格好かもしれない。
しかもその公園まではそれなりに距離があるらしく、歩けば20分はかかるらしかった。俺にしてみれば、公園までたどり着けるかの方も心配になりつつある。
「じゃあ、行くね」
「ああ、そうだな」
俺と笹原は互いに一度目を合わせて、それから頷く。
俺は靴に、笹原はサンダルに履き替えて玄関を出ると、そこは既に漆黒の世界だった。
道順を示すようにともった街灯と、民家の明かりが月明かりに混ざる。しかし、今晩は昨日なんかに比べると異様に暗く思えた。
「……!」
「えへへ、ごめんね。だけど、少しだけ」
掌に冷たい感触が広がる。それはすぐに笹原の掌だと気付く。
俺の右手と、笹原の左手が互いに指を交差させて合わさった。
「今回は首輪じゃなくても良いのか?」
「えっ!? やっぱりそっちの方が良かったのかな」
「いや、別に」
「じゃあ、今日はこれが首輪代わりって事で……」
冗談交じりにそういうと、笹原は微笑みながら俺の顔を覗き込む。
こいつのこういうところ、本当に反則だと思う。
なんたって、ここまで清楚っぽくて、小動物可愛くて、美少女で。なのに今はローターのバイブ音と足元に垂れる愛液の水滴音が漏れているのだから。
俺からすると、こいつはもう引きこもりとか美少女とか、そう言う型に嵌められた存在では収まらないだろうなと思う。こいつはこいつで、笹原カンナで、それがこいつの魅力で、おそらく俺が惹かれた部分でもあるのだろう。
「人は、いまのところは大丈夫そうだな」
玄関先の門扉を開けて左右を確認する。人影は無く、閑静な住宅街の深夜の影だけが視界に伸びる。
「お前との事も、これで終わらせられると良いんだけどな」
「……うん。そうだね、前田君」
ぼそっとした声でそんなやり取りをしつつ、俺達はついに三度目の野外露出、もとい目的の場所へと向かう。