ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
翌日の午後。
俺は校舎の四階にある『401室』に来ていた。
ここは今は使われていない旧生徒会室だ。昨日に笹原に呼び出されてきた場所であり、どうやら俺達の部室となる場所でもある。
その中では汗をびっしょりかきながら、俺はぐでっと事務机に突っ伏す。
俺の背中に設置されたホワイトボードには『緊急!! 部活動なにしましょう会議!! 続』と書かれていた。因みにこれは正真正銘一度目の会議なので続の指す意味は分からない。
鈴谷の手回しにより顧問と部室が確保できた俺達は、時宮先輩の参加で人数を満たしたことで、いよいよ本格的に部活動として活動することになった。今回はまさしく「部活でどんなことをするのか」の話し合いのためにこうして呼ばれたわけだが、さっきから鈴谷はスマホでエロ漫画を読みながら「やっぱり肉便器シチュは体に落書きをされてる方がグッときますね~」とか言ってるし、笹原は元々生徒会長が座っていたであろう奥の椅子で手持ち扇風機に「あぁ~」っと唸ってるし、呼び出されるだけ呼び出された挙句に、俺達はそんな非生産的な時間を過ごしていた。
「先輩は好きなゲームとかってあります?」
「なんだよ急に。会議はいいのかよ会議は」
「因みに私のおすすめは超人気ノベルゲームシリーズ、その名も『ファイナルフェラPRG』です!! 略してFFですっ!」
「そのどこかから怒られそうな略称は止めろ。それと絶対に未成年がやっていいモンじゃねぇだろそれ」
「盗んだバイクで走り出す事とエロゲーを嗜むのは高校生の特権じゃないですか!」
「高校生が嗜んでいいのは無駄にヒロインが全裸だったりするラノベまでだ。つうかさっきから何の話だよ」
今ここで何が行われているかと言うと、ホワイトボードに書かれているとおりこの部活の今後を左右する『活動内容』についての話し合いだ。
だが部活動で何をするかと言う話は何時の間にか部活動物のAV女優は果たして本当に現役JKなのかと言う話になり、次にエロ漫画で最近は部活モノが減ってきたよねという話になり、しまいにはエロゲ―だのエロ同人だのの話で盛り上がる始末だ。
そもそもまだ始まってすらいない活動をどうするのかなんて、本来は順序が逆なんだよな。それにこいつらのことだ、どうせまともな部活動になるはずがない。いっそのことラノベみたいに残念なヒロイン達が友達を作ろうとしたり、バトルの末に弁当の半額シールを集めたり、生徒のために奉仕活動するような部活のほうがずっとにマシになるだろう。
「それで時宮先輩はいつ頃来られるんでしょうか?」
鈴谷はまた大きく胸元を開けると、仰ぐようにパサパサとゆする。
二人には先ほど昨日のことを説明してある。時宮先輩の名前を出すと、どうやら半年以上も引きこもっていた笹原と違い、鈴谷は先輩の事を既に知っているようだった。流石に夏休み前まで生徒会長をやっていただけあって、その顔も知名度もこの学校じゃ抜群らしい。
「部室の場所は教えてあるし、もうそろそろ来る頃合じゃないか?」
この集まりは今後の部活の方針を決めるための会議であると同時に、部活動メンバーの顔合わせでもあるというわけだ。
「私はてっきり前田君が女装でもして一人二役するんじゃないかって思ってたよ~」
「あ、それは私もちょっと思っちゃいました! だって先輩って女装似合いそうですし」
「お前ら俺をどんな人間だと……、っつうかいい加減この流れにも慣れてきたな」
「前田君の女装か~。顔は結構小顔だし、目元も釣り目って言うのかな? きりっとしてて、一部の人には物凄く人気になりそうだよね」
「この際だからウィッグと女子制服用意してみます? うちに二つとも有りますよ」
「いやしねぇよ!? っていうか女装って最近の俺にとっちゃ軽くトラウマワードなんだよ。家じゃ妹に女装兄貴疑惑までかけられてるし」
「どうしてなんだろうね」
「お前のせいだよお前の!!」
なんて廊下まで響きそうな具合にわーわーきゃーきゃーしていると、不意に部屋の扉がガラッと開く。
「お待たせしました」
俺達の前に姿を見せたのはこれだけの猛暑のなか汗の一滴もかかずに清々しく微笑む時宮先輩だった。
「あれ、すっごい美人さんだ」
「前田くんのお誘いで入部した時宮穂乃花と申します。三年生なので半年間のお付き合いになりますが、どうぞよろしくお願いします」
そう言うと時宮先輩は深々と頭を下げてお辞儀する。
「お噂はかねがねですよぉ~! でもまさか先輩が連れてきたのがココまでの大物さんだったなんて意外です~」
すると鈴谷はすくっと椅子から立ち上がり、時宮先輩に「どうぞどうぞ~」と事務机に座るよう促す。
時宮先輩は鈴谷と笹原の方にそれぞれ丁寧に会釈して、鈴谷の隣の席へと腰を下ろした。
こうしてメンバーが揃い、この不安しかない謎の活動がいよいよ始まろうとしている。