ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
「これで一つ目か」
笹原の陰部から一本の線が紙袋の中へと繋がっている。俺はその線を手繰り寄せるようにして、対になっているリモコンを手に取った。
「こいつはどうすれば良い?」
「それは、私のニーソックスに」
「こ、こうか?」
俺は笹原に言われたとおり、リモコンをニーソックスのはしに挟み込む。するとニーソックスのゴムと笹原の太股の圧力で、リモコンは挟まれたまま固定される。
それから余った線もニーソックスの奥へと押し込み、俺は二つ目のローターへ手を付けた。
「ん、んんっ! ……はぁ」
俺は笹原の喘ぎ声を聞きながら、黙々とローターを押し込んでは、そのリモコンをまたニーソックスに挟み込む。
やばい。平常心を保つ素振りはしているが、顔が次第に熱くなって……。
「……ねえ、前田君」
「なんだよ」
ついに五つ目のローターを入れ終わったところで、笹原が俺に言葉を投げてきた。
「前田君は、やっぱりこういうの、嫌い?」
「そういうのって?」
「その、女の子に悪戯するって言うか、辱めたりって言うか」
「別に。好きでも嫌いでもないけどな」
「そうなんだ。じゃあ、さ。男の子ってどういうのが好きなのかな?」
「どういうのって、つまりエロい事か?」
そう言うと笹原は首を小さく縦に振った。
「俺も良くは知らねえけど、やっぱり同じくらいの年の女の子とかが良いんじゃねえの。水着姿とか、制服が良いって奴もいるけど」
「じゃあ、前田君の好みは?」
「えらい唐突だな。けど俺はいたって普通だよ。逆に信念が無いっつうか、エロければなんでも良いっつうか」
「そう、なんだ」
すると笹原は少し残念そうに目を細める。
「私さ、てっきり前田君も、女の子を辱めたりとか、そういうのが好きだと思ってた」
「どうしてだよ?」
「だって、そうじゃなかったらこんな事にまで付き合ってくれないと思って」
「…………」
俺はその時やや言葉に詰まる。なんと返せば良いのか直ぐには思いつかなかった。そして。
「気まぐれだよ。それと、お前に本気で警察には訴え出て欲しくないからな」
なんとなく、しばらく間を置いてからそう答える。
「そ、そんな事本当にはしないよ? 昨日のは、その、前田君に話を聞いて欲しかったからで……」
「どうだかな。まあだが、俺がこうして面倒見てる間は問題も無いんだろうけどさ」
俺はどこか誤魔化すようにそう言うと、笹原は次に興味深そうに俺を眺める。
「でも、そうなんだ。やっぱり、うちに来てくれたのが前田君で良かったかも」
「おい。次はどうするんだ?」
「あ、えぇっとね、その、胸のところにローターを付けて、そのテープで貼り付けて……」
笹原はズボンを履きながら、そう俺に指示をする。
「ねえ、前田君」
笹原の胸にローターを取り付けるために立ち上がったところで、笹原は俺の耳元に顔を近づけると、小さく呟いた。
「前田君のあそこ、膨らんでるよ?」
「っ!!」
俺は咄嗟に笹原から体を遠ざける。そして視線を下げると、そこにはズボン越しでも分かる程に俺の竿が立っていた。
「良かったら私もお手伝い、しようか?」
「べ、別に必要ねえよ!!」
「でも、やっぱりお返しはしないとだし」
その笹原の表情はまるで小悪魔のように挑発的で、それから蠱惑的だ。ぷっと膨らんだ唇が優しくこちらを見ていて、そして細く興奮した瞳が潤んだままに俺を映している。
「俺に構わなくていい。そんな事言ってるとこっちこそ手伝ってやらねえからな」
「わ、ごめんなさい!」
しゅんと肩を落とす笹原。だが不意にその仕草が小動物っぽくて可愛いく見えてしまう。
もし笹原ともっとまともな状況で出会ってれば、普通にこいつとも知り合えたのだろうか。……なんて、俺の方もどうかしてるか。どっちにせよこいつが変態ドスケベ女子だってことには変りないのにな。
「それでね。さっきの話の続きなんだけど」
「つうかお前、引きこもりにしては随分と話好きだよな」
俺はローターを笹原の乳首の上に添えて、それからセロハンテープで止める。すると手が笹原の胸に当たって小さく揺れて、その柔らかな感触が伝わってきた時、俺は思わず鷲掴みにしたくなる衝動にかられる。そいつは今までに触ったどんなものよりも中毒的で、男の思考を支配してしまうような危なさがあった。
「どうかしたの?」
「な、なんでもねえ!」
俺は取り繕うように言葉を返すと、次にもう片方の胸にローターを指先で抑え、テープで止める。こっちも手が乳房に当たり、たぷんと揺れた。しなやかに形を変えながらも、その胸は丸みのある膨らみを保ち続けている。
「えっとね。私の家にプリントを届けに来てくれたのが、前田君で良かったなって」
「どうしてだよ。別に俺じゃなくても良かっただろう」
「だって、きっと前田君じゃなかったら、私もこんな事、頼んでないだろうから」
「そうか? 俺とお前だって初対面だろ」
「うん。そうなんだけど、ね……」
「?」
やっぱり、俺にはこいつの考えがいまいち掴めない。
笹原にとっては相手が誰でも関係ないんじゃないのか。露出プレイに協力者が必要で、その時に家に入り込んだ人物が偶然にも俺だった。それだけの話だろう。オナニーの現場に遭遇するっつうアクシデントはあったにせよ、それだって仮にプリントを届けに来た相手が俺じゃなくて別の誰かだったら、笹原の痴態を見るのがそいつに代わるだけの事だ。別に違う奴が笹原にプリントを届けていたとしても、今と変らない状況になってたんじゃないのか。
なんだろう。特におかしな考えじゃないはずだ。それが妥当だろうし、当然だ。でも、俺じゃない誰かだったとして、はたして本当に笹原は今と同じ事をしたのだろうか。
……いや、止めておこう。そんな事を考えても、きっと無駄だろうから。
「終わったぞ」
俺が手を離すと、笹原の二つの乳頭にピンクのローターが二つ、セロハンテープで固定される。
「ありがとう、前田君」
すると笹原は俺から受け取ったリモコンをズボンに挟み、落とさないように固定させる。それから下に落ちたシャツを拾い上げて上から被るようにして着た。
「それも、付けて欲しいな」
そう言って、笹原は照れながら紙袋に残った首輪へと目をやる。
やっぱこれも使うのか。
「分かったよ。ったく」
俺はまだ笹原と言う人間がどんなやつなのか分かっていない。唯一、知っている事と言えばこいつが極度の露出性癖の持ち主で、それから引きこもりであるということくらいだ。
「ほらよ、これで良いか?」
紙袋から首輪を取り出すと、それを笹原の首にかけて金具で止める。レザー製なのか、肌触りはややざらっとしたものだったが、これはこれで丈夫そうだ。
「それじゃあ、行こっか。前田君」
「なあ、本当に俺も着いていくのか?」
「だ、ダメ……?」
「……いや、たんに確認しただけだ。心配するな」
「私もその、やっぱり少し……怖いから。前田君に着いて来て貰えると助かる……かも」
「分かったって、もう分かったから。俺も行くよ」
「それじゃあ最後に、お願い……します……」
笹原はやや緊張した素振りでシャツの裾をぺろっと捲りあげる。そこにはさっき俺が取り付けたローターのリモコンが見えた。
そして俺には、笹原の意図が分かる。
「……それじゃあ、いくぞ」
リモコンへと伸ばすと、その指先が震える。だが、こいつに俺まで緊張していることは気取られたくない。
指先の震えを抑えながら、俺はズボンに挟まった二つのリモコンのスイッチを入れる。
「ん、んん!!」
すると、笹原の上半身から『ヴヴヴヴヴウ』と小刻みなバイブレーションの振動が響いてきた。それに合わせて、笹原の顔もぎゅっと歪む。
「こっちも電源、入れるぞ」
それからニーソックスの方の五つも順番にスイッチを入れていく。今度は笹原の下腹部から振動音が伝わってきた。流石に五つも入れているせいか、見ると笹原の腹の辺りが大きく凹凸する。
「ぁ……んふぅ……はぁ……んんっ!!」
笹原は次第に肩で呼吸を吸うようになり、体を苦しそうに捩じらせる。
「我慢出来ないなら切るか?」
「だ、ダメ! お願い、切らないで」
笹原の嗚咽交じりの声に、俺は思わず手を止めた。
「私なら、大丈夫、だから……」
「そう、かよ」
しかし、こいつは本当にこのまま外に出る気なのか?
ブラをしていないせいで、ローターの部分がその形のままくっきりと浮き上がってるし、下もスカートじゃなくてズボンだから、ニーソックスに挟み込んだローターのリモコンも、そこから伸びる線がそのままズボンの中へ入っていくのも全部丸見えだ。この姿のままで外に出るなんて正気には思えない。しかし―。
「…………」
俺はその笹原の姿を見て、改めて生唾を飲み込む。
「実は、ね。本当なら、外に出るのも、結構頑張らないとって感じだったりするんだ」
「……だろうな」
そりゃこいつは引きこもりだ。何か理由があって引きこもりなのだ。
この卑猥な姿に目を惹かれてしまっているが、半年以上も家に閉じこもってた奴が、これから外に出ようとしているのだ。心の中には俺には想像できないほどのプレッシャーもあって、でも、こいつはそれでも、外に出ようとしている。
「手伝ってやるよ。ここまで来たらな。だからお前は、その、心配すんな。行けるところまでいけばいい」
「あ、ありがとう。前田君」
「おう」
目の前のそいつは、確らかに変態で、誰が見たって露出狂だ。ローターのピンクのリモコンや線も、それから胸のラインですらも隠そうとはしていない。傍から見ればこいつが何をしているのか一目瞭然で、だからこそこいつは露出性癖の持ち主なのだ。
だが、同時にこいつが引きこもりだということを知っている奴は居ない。それが分かっているのは、おそらく俺だけだ。
「良いか。外に出る前に、俺と二つ、約束してくれ」
「なに、どうしたの前田君?」
俺が今までに無い真剣な口調でそう言うと、笹原は顔を傾けてこちらを見る。
「これは俺がお前と一緒に外に出てやる最低限の条件だ。まず一つ。誰とすれ違っても堂々としている事。極端に恥ずかしがったり、俯いたりするな。それから二つ目。人の前では服を脱がない事。もしも誰かに見つかって騒ぎになったら、俺達じゃどうしようもできないからな」
「……うん。分かった」
笹原は俺からの提案を了承すると、その手をそっとこちらに伸ばしてきた。
「それじゃあ私の初めての、えっと、露出、プレイの、その……エスコート、お願いします。前田君」
「……ああ」
俺は興奮と、それから不安と、その二つがひしめき合った心境のまま、笹原の手を取った。
だが、笹原の手に触れた瞬間、何故か分からないが、こいつとの時間がどこか楽しく感じたような、そんな気がした。