ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
俺は改札へと目を向ける。たった今も数人が改札口を出入りをし、手に持った交通ICカードをかざしてピッと音を鳴らしていた。
その改札の横には改札窓口があり、駅員が常に駐屯している。こちらを見ているかどうかは分からないが、その存在だけで充分危険視するに値する。少なくともこのままふらっと通ったのではまず間違いなく見つかるだろう。
「東口ですね先輩。分かりましたぁ」
だが鈴谷は文字通り肩を揺らしてふらっとした足取りで改札へと向かっていく。
「なっ……!」
俺は思わず鈴谷の肩を掴もうと手を伸ばした。だがちらりと振り返った鈴谷に、その手はそっと握られてしまう。
「大丈夫ですよぉ。こういうのは堂々としてれば案外バレないものですから」
こいつどんだけ無謀というか恐れ知らずなんだよ。
堂々としてればバレないとか、そういう次元は遥か手前でゆうに飛び越してるだろ。少なくとも鈴谷の恰好を見て「あぁ、最近はああいうファッションが流行ってるんだな」とか能天気な勘違いを起こしてくれる人が果たしてどれほど居るか。やっぱり皆無だ。
「……っ、分かったよ。行こう」
だが俺の方でもしばらく考えて、少し間を空けてそう答えた。
こっちでもいくつかの手段が頭に思いついてはいたが、ふとある思考が頭をよぎってしまう。
「流石にちょっとドキドキするけど……うん。分かったよ」
笹原が俺の隣でぎゅっと胸に手を当てる。
無防備で、卑猥な恰好は流石の笹原でも恐れの感情が出るのか。そんなわけない。きっとその感情すらも興奮の一部でしかないのだろう。……そんなもの、考えなくなって分かる。こいつはあの笹原なのだ。
実は改札を通る為の策はいくつか講じてあった。例えば俺が大声を出して引き付けている内にそっと二人を通すとか、駅員に道を聞いてる内に、とかな。
でもやっぱり全ては無粋で、それはこいつらの望む事じゃない。俺は改めてそれを感じ取る。
「行くぞ、笹原」
「う、うん!」
鼓動が高鳴る。さっきよりも一層に大きく跳ねる。
俺達はただ無言で改札へと向かい、そこに手をかざす。持っていたICカードを読み取らせると、ピッと音が鳴り改札が開く。
『ピッ』
そしてちょうど隣の改札も音を鳴らして開いた。見るとジャージを着た同い年くらいの女の子が俺達とすれ違おうとしている。
まずは鈴谷が改札を通る。……よし、特に問題はない。次に俺が通り、最後に笹原が通る。
「…………ん?」
するとジャージの女子が笹原へと目を向ける。そして一瞬足を立ち止まらせた。
おそらく聞こえてくるバイブ音に顔をしかめて、笹原の方をじっと見ている。
「あ、あはは……。んっ」
笹原はジャージ女子と目が合ってしまい、苦し紛れな笑みで返す。だがそれがどれほどの効果をもたらすのか。なんなら俺の耳にまで『ウィンウィン』と聞こえてくるバイブの駆動音をどれほど誤魔化せるのか。きっと雀の涙程度にもならないだろう。
「……スマホ。音漏れてますよ」
だがジャージの子はそれだけ言うと、少し首を曲げて不思議そうな顔をしたまま、ホームへと降りて行った。
「…………た、っはぁ!」
俺は一瞬肝を冷やして、なんなら額から冷や汗まで出たが、その子は振り返ることも声を出すこともなく、真っすぐ前を向いたまま歩いていく。
「えっと、どうすれば良いのかな」
「良いからそのまま真っすぐ歩けっての! まだ改札通ったばっかだから」
本当に心臓が止まるかと思った。
つうかあれ、笹原じゃなくて鈴谷の方を見られてたら終わってたな……。
「あれ? 先輩どうしたんですかぁ?」
だがその鈴谷はすらすらと先に歩いて行ってしまっている。あいつあの恰好でよく平然としてられるな……。
結局そのまま駅員に呼び止められることもなく、俺達は数人の目に晒されたまま、駅の改札を通り抜けた。
「うっ、げほっ!」
「だ、大丈夫!?」
「あぁ、すまん……」
過去最大級の緊張感に苛まれ、俺は思わず詰まった息をそのまま吐き出した。
「何とか外まで出れたな」
飛び出してくるんじゃないかという心臓を胸を手でなぞりどうにか抑え込む。顔を上げると、そこでは二人が心配そうな顔で俺を見つめていた。
「世話、ねぇな」
調教する側の俺がこいつらよりテンパってたんじゃ、本当に世話ねえ。
「どうやら誰にも見つからずに出れたみたいだな」
ほんの一時の安堵に胸を撫でおろすと、俺は二人を連れて通路を進む。
正確には誰にも見つからなかったのではなく、見つかっても騒ぎにならなかった、の方だろう。この格好の二人を連れ歩いて、一時的にとは言え改札を通ったのだ。絶対に誰かの目には触れている。騒ぎにならなかったのは、単に運が良かったからだ。
通路を突き当りまで進むと、外へ降りる階段の手前で一度足を止める。そこは他に人気もなく、夜の空と相まって照明も緩やかだ。ここなら直ぐに騒ぎにもならないし、ようやくたどり着いた安全エリアと言うわけだ。
階段の下を見ていると、そこは小さなバスターミナルになっていた。道が楕円状に作られていていくつか停留所があるが、時間を過ぎているのかバスがやってくる様子はない。
「にしてもお前ら、よくそこまで平然とできるよな」
俺が切れそうな息を吐きながらそう言うと、鈴谷は火照った顔で言葉を返す。
「ふふっ、平然なわけ……ないじゃない、ですか……はぁ、はぁ……」
そいつはまるで犬のように、舌までたらして大きく呼吸していた。
真っ赤な顔は照れではなく発情だと、その緩み切った目元が証明している。鈴谷はまるでその快楽を一心に楽しんでいるかのように、バイブで擦れる股をふりふりと振った。
「だって知らない人に、私のこんなところ見られちゃってるんですよ……? 恥ずかしいし、感じちゃうし、どうしようって怖いです。でも、全部先輩の命令だと思うから、私は心の底から興奮しちゃえるんです」
鈴谷はそう言うと、自ら胸に手をやり、ローターごとぎゅっと掴む。
「先輩……私、もしも壊れちゃったら、ちゃんとお世話してくれますかぁ……?」
そうだ。こいつはそういうやつだった。
そもそも鈴谷に関しては『肉奴隷にしてめちゃくちゃにして欲しい』ってのが俺に対する願望だ。むしろこの程度の露出など、鈴谷にはご褒美にしかならないのかもしれない。
「とりあえず外に降りるぞ……って、がはっ!」
「んっ!!」
階段を降りようとしたところで、不意に笹原が俺の腕に抱き着いてくる。
「ど、どうしたんだよ!? 体調でも悪くなったか!?」
「……ううん」
「じゃあなんだってんだよ!」
「……なんとなく」
「なんとなく……?」
「……うん」
すると笹原はそのまま体を俺に寄せ、手をぎゅっと握る。
「な、本当になんだよ急に」
少しドキリとしてしまう自分が居たが、それも『ヴゥンヴゥン!』と言うバイブ音で直ぐにハっと我に返る。
「なんでもない。ただこうやってね、体をギュって合わせてたら、ローターの振動もそっちに伝わるのかなぁって思って」
「あぁ、音ならばっちり伝わってるから。もう良いか?」
どうしよう、なんかすっごい胸がバクバク言ってるんだけど。つうか本当にもうこれ以上何かあったら正気を保ってられる自信無いってのに……。
「あ、私もそれしたいです!」
すると鈴谷が逆側の腕にぎゅっと抱き着いてくる。今度はばっちり胸のローターの振動が俺の腕に伝わってきている。
「ねぇ先輩? どうですか? こぉーんな激しいバイブつけさせて、私達に夜の街を出歩かせてるんですよぉ?」
「わ、分かった、分かったって!」
俺は胸と腰をこすりつけてくる鈴谷と、ついでに笹原を手で突き放す。
「ここしばらく歩くからな」
つうかどういう状況だよ。ローターつけた女子二人に左右から抱き着かれるとか、ハーレムモノのラノベでも見たこと無いっての!
「ん、はぁ……ふぁ」
だが隣を見ると、笹原は自分の腕を小さく抱きながら、体を小刻みに震わせている。その顔はすっかり緩み切っていて、およそ女子高生がしていいようなものじゃない。快楽にぎゅっと縛る口元からは唾液が僅かにあふれていた。
「ごめんね……でも、も、もう、我慢できない……。お、落ちそう……、んっ、ふぁああ!」
落ちそうって、何か……?
その言葉を意味を考えてるうちに、直後、笹原の股から水飛沫のような潮吹きが行われる。
そしてボトッ! と、股間からくねくねと蠢くバイブが床に落下した。
「はぁ……はぁ……」
「ふふ、どうやら流石の笹原先輩でも、さっきのは随分と堪えたみたいですねっ」
「何嬉しそうにしてんだよ。ほ、ほら、手かしてやるから……立てるか?」
「う、うん……でも、もう足に力が……」
「どっちにしても後少しだけ歩くからな。しばらく辛抱しろよ」
俺は笹原を立たせて、二人で介護しながら階段を下りる。
股間にバイブをぶっさしながら絶頂する同級生の女子にこうやって手を貸すとか、きっと普通の高校生活じゃ逆立ちしたって起こりっこないイベントだろうな……。