ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
鳥のさえずりさえ聞こえてきそうなほどに
「ぁっ、ふぅ……」
笹原の胸に二つ、それから膣の中に押し込まれた五つのローターの駆動音が重なり合い、互いに共鳴しているかのようにその振動を強めていた。
特に狭い膣道では今もローター同士がごりごりと押されあい、その振動を強烈に笹原の性感帯に伝えている。
「それじゃあ、行くぞ」
俺がそう合図すると、笹原は無言で頷く。
俺の後ろから玄関へと歩く笹原の様子は、やはりギリギリで振動に耐えるのだろう。足を内股にして、口から声が漏れないように片手で塞いでいる。そしてゆっくりと足を玄関へと向かわせるが、その一歩一歩でイク寸前まで笹原の全身に快楽が駆け巡る。だがその表情の中には、確かな興奮の他に恐怖心も垣間見えているように思えた。
今度は俺が笹原の声に頷き、笹原がどうにか靴を履き替えるのを待ってから玄関の扉を奥へと開ける。
その扉はなんの変哲もないはずなのに、やけに重々しく感じた。もちろん扉の重さは変ってなんかいないし、昨日だってあの後、同じように開けて帰ったはずだ。それなら変ったのは、おそらく俺の心境の方だ。
引きこもりだった笹原が、たとえ露出プレイという不順極まりない目的のためとは言え、自分から外の世界へ出ようとしている。その緊張感が僅かだが俺の方にも伝わってきている。
ギギギ、と玄関の扉が開く。まるで牢獄の鉄柵でも開けているような気分だ。気が重い。
玄関を開けて後ろを振り返ると、笹原は俺の前へ出るようにゆっくりと家の外へ出て行った。
「前田君。一つだけね、お願いがあるんだけど」
「今更なんだよ?」
「その、今から言うふうに言ってみてくれないかな?」
「? 何をだ?」
「えっと、その……」
しばらく恥ずかしそうにもごもごとして目を逸らしていた笹原だが、意を決したのかぎゅっと目を瞑って言葉を吐く。
「えっと、さ、『さっさと行けよこの雌豚。ご主人様に奴隷調教されてそんなに嬉しいか? マゾはマゾらしくマ〇コのローターで感じながらその醜態を公然の場に晒せば良い』……って、言ってくれないかな?」
度々こいつの言動には度肝を抜かれる俺だが、今度は流石に言葉を失う。
「…………えっと、どうして?」
「えぇ!? だってね、これもその、一応調教ってことにした方が、ほら、私も勇気が出るって言うか、頑張れるって言うか……」
「…………はぁ」
「そ、そんな冷めた目で見ないで!?」
やはりこいつの変態加減は並大抵ではないらしい。
だが……。俺も俺で、こいつに協力するって決めちまったんだよな……。
「ったく、分かったよ。それじゃあ言うぞ。えっと、さっさと行けよこの雌豚。ご主人様に奴隷調教されてそんなに嬉しいか? マゾはマゾらしくマ〇コのローターで感じながらその醜態を公然の場に晒せば良い」
だったか? 有ってる自信があんまりないが。
「あ、ふぅん……」
笹原は俺の言葉を聞くと、小さくクイッと腰を捻らせて喘ぎ声を漏らす。
「は、はい、ご主人様……」
ご主人様って……。
さっきまで少し真剣になってた俺がアホらしくなりそうだ。
「……じゃあ、行くね」
「ああ、さっさと行けよ」
しかし笹原は笹原で、自分の中の何かを打開しようと必死なのかもしれない。
奴隷調教だとかマゾ豚調教だとか、そうは言っているが要は近くで見て欲しいのだろう。調教は、まあこいつの性癖によるところが大きいが、誰だって自分の中の問題と向き合う時って言うのは勇気が居る。誰かの助けが必要な時もある。
だから笹原の声の震えも、ただ興奮しているからだけじゃなくて、笹原には胸の内に抑えておくにはあまりにも重い緊張感と恐怖心、それから他の色々な感情とが混ざり合って出てるんじゃないかって思える。
笹原は数秒かけて一歩を踏み出し、そしてまたもう一歩、家の外へと足を踏みおろす。
「んんっ!!」
その時だ。笹原は一瞬、膝をがくがくと震わせたかと思うと倒れる寸前までバランスを崩す。
「大丈夫か!?」
「ご、ごめんね。でも、大丈夫だよ。……やっぱり、少しイっちゃった」
ぽた、ぽた、と、笹原の太股を伝って、あふれ出た愛液が地面へと落ちる。太陽のギラギラとした日差しが、その細い水滴のラインを白く輝かせた。
やはり今の笹原にはあまりに過剰な快楽が押し寄せているらしい。言葉で言えば下らないが、それでもこいつはこの快楽と同時に激しい興奮と、さらには引きこもりが外に出ると言う重圧とが同時に押しかかっている。
「無理するな。なんなら、また次の機会でも良いじゃないか」
「それじゃあ、ダメなんだよ。きっと今じゃなきゃ、ダメな気がする」
「どうしてだよ! お前は引きこもりなんだろ? 外に出るのも辛いんだろ? なのにどうして最初からこんな無茶するんだよ!!」
「どうして、かな。でも昨日、あの時にね。前田君と、エッチな事をした時から私、決めてたんだ。外に出るって」
笹原はこちらへと顔を向ける。その頬は恥辱と興奮から赤く染まっていて、口元もまるで理性が吹き飛んだみたいに緩んでいる。
でも何故だろうか。その表情はこいつの変態さをこれでもかと示しているのに、俺にはその隅っこで、外へ出る恐怖が垣間見えているような気がした。
引きこもりとして外へ出ると言う恐怖。それから露出プレイに憧れを持つ特殊性癖持ちとしての興奮。その二つの感情が、笹原の中でどろどろに混ざり合っている。
「こんなに濡れてたら、直ぐにバレちゃうね」
「……かもな」
笹原はそう言うと、再び前を見て足を進めた。
俺もその後ろから続いて、玄関を後にする。扉を閉めると、ガチャリと一人でに鍵が閉まる音が聞こえた。多分、オートロックなのだろう。流石は金持ちの家だと思ったが、それよりも今は笹原の方だ。
「鍵、閉まっちゃったね」
すると笹原は唐突にそう口にする。
「何か問題か?」
「ううん。そういう事じゃないんだけど」
すると笹原は短パンのポケットに手を突っ込むと、布をひっくり返すように持ち上げて、それから悪戯っぽく舌を出す。
「私、今日は家の鍵、持って来てないから」
「……っ、そうかよ」
こいつは、自分で退路まで絶ったのか。
「ねえ、前田君」
「なんだ?」
「もしも私が途中で倒れちゃったら、先に帰っててね」
「……ああ、そうするよ」
倒れたら、か。まあ何せ家の中でも俺に見られただけで呆け面でイってしまうような奴だ。それが路上で何人もの人間に見られたとなれば、快楽で頭がぶっ飛んでもおかしくはない。
「ほら、行こうぜ」
「そう、だよね。うん、分かった」
俺の声に背中を押され、笹原はまた歩みを進める。
玄関先から少しの間は、まだ笹原の家の敷地内だ。ちょっとしたガーデニングスペースがあったり、車が置いてあったりと、無駄に広い土地を使ったあれこれと使っている。だが―。
「……はぁ、……はぁ」
笹原が体をはみ出させたそこから先は、いよいよ公共の道路の真っただ中だ。
ココから先は誰が来てもおかしく無い。そしてローターが膣や乳首に固定されたまま、小刻みに震えている笹原の淫らな姿がどこの誰に見られてもまったく不思議ではないのだ。
「……ふぅ」
俺はもう一度、小さく呼吸をして、人よりもずっと遅いペースで歩く笹原の後を付ける。
あくまでも歩行者を装うために、俺は笹原から5メートル以上の距離を保ちつつ、その様子を背後から眺めた。
しかし、この閑静な住宅街で、あんな格好の少女がローターの音を駄々漏れにさせながら歩いているのだ。もはやいつ通報されたっておかしくはないな。
「はぁ……、はぁ……はぁ……!!」
この距離でも笹原の息遣いが聞こえてくる。その呼吸は次第に大きく、早くなっていった。
「はぁ、ん、はぁ……」
また笹原の足がよろける。転びそうになる一歩手前で、近くの電柱に肩を寄せてなんとか回避する。
「笹原カンナ、か」
俺はなんとなくあいつの名前を口に出す。あいつは、いったい今をどういう心境で歩いているのだろう。もう7月だってのに、今年に入ってから初めて外に出て、それもこれ以上ないほどに陵辱的な姿が人に見られるかもしれない状況で。それにもし万が一にでも騒ぎになれば、今後の自分の生活にどんな影響を及ぼすかも分からないこの状況でだ。
家を出る前に笹原と二つの決まりを作ったが、あんなものは気休めにしかならない。
もしも俺が笹原だったら、今頃は重圧と緊張で胃にあるものを全部吐き出してる。
「あっ……」
俺は目の前を見て、小さく声を漏らす。
そこにはこちらへ向かっている一人のサラリーマンが見えた。スーツを着て、片手にはビジネスバッグを持っている。営業周りだろうか、初夏の暑さで額から出る汗をハンカチで拭き取っていた。
ついに来た、最初の笹原の野外露出。その瞬間が、刻一刻と迫っている。