ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
「お、戻ってきたか」
三人でテーブルに戻ると、そこでは御影先生が既にラーメンを啜っている最中だった。
「時宮先輩はまだ買い物中ですか?」
「あぁ。あまり慣れてないせいか少し疲れてしまってな。時宮になんでも良いから買ってきてくれと頼んだら、先にこいつだけ持ってきてくれたんだ。ほっとくと伸びるから先に手を付けさせてもらってる」
「いえいえ、俺達の事は気にしなくても大丈夫ですよ。こちらこそ今日は引率をお願いした身ですから」
「そうか。では遠慮なく」
御影先生はそう言いながら、箸で麺を掴んではズルズルと口の中へと啜る。
しかしこうして見るとテーブルに座ってラーメンを食べる御影先生って、まるでお子様ランチを食べてる子供みたいと言うか、身長のせいもあるんだろうけど、童顔も相まってちょこんとした可愛らしさがある気がする。
「この手のラーメンは安っぽいのに何故か美味い」
なのに言ってる事が凄くおっさん臭い。こう言うのをギャップ萌えと言うのだろうか。
御影先生はうんうんと頷きながらちゅるりとラーメンをすすっている。だが見ると、その水着に収まった胸がテーブル席に乗っているじゃないか。
何と言うか、童顔で小柄なのに胸だけこう強調されると、つい視線がラーメンではなくそちらへ誘導されてしまいそうになる。いや既にされてるのかもしれないけど。
しかも御影先生って影に隠れてると言うか、水着になった今はもはや隠しきれてもいないのだけど、やっぱりその胸は体型から考えるとかなり大きい。そりゃ年齢としては大人の女性だから発育が良くて当たり前なのかもしれないけど、御影先生は見かけだけなら年下に見えてもおかしくないくらいなのに、水着姿になった今はこれでもかと胸部がはち切れているのだから、やはり年頃の男子としてはどうしても意識してしまうわけで。
「むっ」
すると笹原が俺の方を見て睨む。いや、これは決して先生がラーメンに夢中になってる隙にのぞき見しているわけじゃないからね? 不可抗力だからね!
「ん? どうかしたか」
「い、いえ別に」
御影先生にも顔を覗き込まれ、はっと視線を横に逸らす。危ない危ない。もう少しで先生の胸をガン見してるのがバレるところだった。
「ふーん、先輩ってそう言う趣向もあったんですかぁ~?」
「な、何のことだね?」
「先輩はロリ巨乳好き、っと」
「そのメモ帳どこから出しやがった!? っていうかプールでメモ帳!?」
「取られませんよぉ~!」
俺は鈴谷の手にある『マル秘 先輩のアレコレメモ!』と書かれたメモ帳を取り押さえようとするが、軽やかに身を交わされ胸の谷間に隠されてしまう。いやだから不〇子ちゃんかよお前。
「君たちも早く座りたまえ。温かいうちに食べた方が美味いぞ」
「で、ではお言葉に甘えて」
これ以上押し問答しても仕方が無いので、俺達は順繰りに席に座っていく。
俺は鈴谷のメモ帳、もといそれが仕舞われた谷間が気になってちらちら視線を向けると、鈴谷が「いやんっ」と胸を手で隠す。まるで一昔前のラブコメ的な仕草をされてしまい、眉間に皴を寄せつつも俺は泣き寝入りするのだった。こういうのを可愛いとかじゃなくてウザいとしか思えない辺り、俺にはやはりラブコメの才能が無い。
「みんなお待たせ~!」
それぞれの前に屋台で買った品物を並べていると、時宮先輩も手にいくらかの料理を持って戻ってくる。
「屋台のお兄さんに色々おまけしてもらっちゃった」
嬉しそうに帰ってきた時宮先輩も鈴谷に負けず劣らずの量である。だが聞くと、どうやらそのほとんどは鼻の下を伸ばしたおっさん店員におまけしてもらった分だとか。流石は時宮先輩、恐ろしいほどおじ様キラーである。
「私はあまり食べないから、好きなだけ取っていってね」
「これ、おまけって量じゃないような」
「ありがとうございますぅ。でも流石は時宮先輩ですよね。とびきりの美人さんなのに、学校では生徒会長さんですし」
「あら、私は鈴谷さんの方が魅力的だと思うわよ」
「私は全然そんな事ないですよ。今までも告白された事とかも有りませんし、なんなら彼氏だって居ませんし」
すると鈴谷はちろっと横目にこちらを見る。いやどうしてこのタイミングでこっち見るんだよ。
「あら、私も彼氏なんて全然できないわ。告白されたことは、少しなら有るけれどね」
「時宮先輩ならきっと素敵な彼氏さんが見つかりますよぉ」
「ありがとう。でも案外、もう見つかってたりして」
すると今度は時宮先輩がこちらに流し目を向けてくる。いやだからどうしてこのタイミングでこっち見るの。
「に、にしても凄い数になったな」
全員が揃い、気が付くとテーブルは溢れんばかりの紙皿で埋め尽くされていた。半分ほどは時宮先輩がもらってきた物だが、それにしてもここは相撲部屋か何かか?
「それじゃあいただきまーす!」
「いただきます」
「なんつうか、女子が大半のグループとは到底思えないなこりゃ……」
手を合わせると、その途端に牛丼の大盛りをがっつく鈴谷と、カレーを口に付けながらパクパクと頬張る笹原を俺は半ば呆れながら眺める。
二人して屋台料理をスプーンで掬っては「ふんふん」と唸っている。中にはこういう姿を可愛いと思う男子ももしかしたら居るのかもしれない。俺はただただ見てるだけで腹が膨れそうだ。
「これ美味しいね、真昼ちゃん」
「そうですね。あ、良かったら一口ずつ交換しませんか?」
「た、食べ比べってやつだね。乙女の嗜みだもんね! うん、良いよ」
すると互いにスプーンを交わし、あーんと食べさせ合う。こうして見ると姉妹っていうよりは仲の良い友人同士って感じだな。
まあともかくとして、こいつら姉妹は見かけによらず意外とよく食べるようだ。そりゃ大食いタレント程ではないせよ、おそらく一般の女子高校生と比べると本当によく食べる。
そう言えば前に笹原がうちの部屋でカレーを貪るように食べてたのを思い出した。普段の食事がアレな分、まともな飯を見ると食欲が旺盛になったりするのだろうか。
「お前らって何気に食うのな」
「はい。なにせオナっ……、体を動かすのはそれなりに体力を使いますからね」
ん、こいつ今とんでもない事口走ろうとしなかったか?
「へぇ。やっぱり鈴谷さんってスポーツとかやってるんだ。スタイル凄く良いものね」
「あのっ、えっと、スポーツはあまりやってなかったんですけど、毎朝のランニングが日課なので」
「ランニング、ねぇ……」
それが何かの隠語に聞こえるのは俺だけだろうか。
「そうなんだ? 凄いわね。私なんてほとんど運動しないから、体力のある人って羨ましいな」
時宮先輩はさっきも言った通り、二人と比べると穏やかなペースでサラダを口に運ぶ。だがその隣では御影先生がラーメンと同時進行でカツ丼に手を出し始めていた。
ここの女子連中って見かけによらず本当に良く食うんだな……。にしてはロリ体型だったりプロポーション抜群だったりするのだから、摂取したカロリーが四次元ポケットにでも消えてるか、さもなくば何かの法則が乱れてるとしか思えない。
「先輩はそれで足りるんですかぁ?」
「俺はこれで充分だよ。そもそもあまり食う方じゃないし」
そんな訳でテーブルに並べられた十数品の料理の内、俺の取り分は並盛の焼きそばが一つと笹原の奢りでもらったかき氷が一つだけ。
「ダメよ? 前田くんも食べ盛りなんだから。そうだ、良かったら私の分も食べる?」
「ありがたいですけど、でも先輩に悪いですし」
「遠慮しないの。ほら、こっちのサラダはまだ残ってるから」
「そうですか? では、一口だけ」
「じゃあ、あーん」
「……時宮先輩?」
「どうしたの? ほら口開けて」
「…………」
すると先輩は口を開けて「あーん」と言いながら、サラダを取った箸を俺へ突き出す。
「ほら、早くしないと私が食べちゃうわよ?」
お茶目にウィンクする時宮先輩に催促され、俺はもう10秒ほど葛藤してから、ようやく口を開ける。
「あー……んぐ」
「どう? 美味しい?」
「は、はい。ですけどこういうのはその、何と言うかあまり人目に付く場所だと」
「ふふ、まるで恋人同士みたい? まぁまぁ良いじゃない。それにこれだけ女の子が居るのに、誰からも食べさせてもらえないなんてそれはそれで不自然だと思わない?」
時宮先輩にそう言われると、なんだか本当にこれが自然な行為のように思えるのだから不思議だ。こういうのが普段の行いによる賜物なのだろうか。俺には到底マネできない。
「ちょっと先輩っ!? 言ってもらえれば私がいくらでも食べさせてあげますよ? スプーンでだなんて言わずになんなら口移しでもっ!」
「生憎と他人の唾液で味付けされた飯を食う趣味は無い」
「ふむ、酷い言い方だがその通りではあるな」
「わたひのはあげはいよ!」
「お前はまず口に入れたもん飲み込んでから喋れ!」
「しかし確かに年頃の男子にしては少食だな。どれ、私のも半分やろう」
「あの、御影先生。凄くありがたいんですけど、焼きそばの上にラーメン乗せようとするのは勘弁してください」
そんな感じでワイワイと飯を食いながら、やれ午後からはどうするだとか、やれ次はイルカからシャチの浮き輪にジョブチェンジしたいだとか、いつの間にかビキニの紐が解けて上半身がどうのとか、そんな雑談を続ける。
そしてそうこうしているうちに、テーブルに在った食べ物はすっかり空になっていた。恐るべき屋外活動研究部女子。
「そろそろ片付けないとだな」
「えっと、じゃあ私は飲み物買ってくるね!」
食事を終えると、笹原は席を立って奥の方へ走っていく。
「あいつ、一人で行かせて大丈夫だと思うか?」
「少しくらいなら大丈夫だと思いますよ? 今はそれほど人も居ませんし、笹原先輩だって十分気を付けてるでしょうから」
「……そうか」
少し心配になり鈴谷に耳打ちするが、鈴谷はさほど不安に思っていないようだ。
鈴谷にしても最近はすっかり笹原を信頼しきっている気がする。俺としては笹原を一人にするのはかなり怪しいと思うが、こいつなりに妹として笹原を思いやってるのかもしれない。その割には未だに『笹原先輩』呼びなのがちょっと不思議な気もするけど。
「んじゃ俺はゴミでも捨ててくるわ」
「では私は今のうちに手洗いを済ませてくる」
そのタイミングでそれぞれが一度席を離れ始め、俺はテーブルのゴミを適当にまとめると、それを持ってゴミ箱を探し歩く。
「お、あったあった」
ゴミ箱はやたらと見つけにくい場所に置いてあって、三階フロアへ行く階段近くの垣根の裏に隠れていた。
「にしてもゴミの量も凄いな。どんだけ食べるんだよあいつら」
「やっ……、あの…………」
だがそこで、ゴミを捨てている最中にふと声が耳に入る。
「なんだ?」
何やら見てみると、階段の裏で女の子が数人の男連中に囲まれていた。