ドMで引きこもりな私でも露出調教してくれますか? 作:わずみかん
綾子の電話にかけてコールが鳴る。四コール、五コールと鳴り続けるが、綾子からの応答はない。
「電話に出ないな。まだ部活中なのかもしれん」
それから俺はスマホの通話を切ると、またズボンに戻す。
「と言う事は、今のところヒントは得られそうにないですね」
「そうだな。まあ綾子とは帰ってから会えるだろうし、その時にでもじっくり聞くさ」
「帰ってから、ですか」
そこで俺はふいに身の毛がよだつ。なんだろう、この野生の猛獣に睨まれたような感覚は。
「せんぱぁ~い。まさかここからタダで出れるとかって思ってますぅ?」
すると鈴谷が肩をにじり寄らせてきた。俺は戦慄のあまりその肩を両手で押しのけると、鈴谷は盛大にゴロンと転がっていく。
「きゃん」
「な、なな、何すんじゃい!」
「もぅ、先輩も分かってたんじゃないんですかぁ? 女の子の部屋に来たのに、まさか何も手を出さずに帰るおつもりですかぁ~?」
しまった。
その時、俺の脳内では高速で回路が繋がっていく。
思えば鈴谷の家に避難すると言うのは、一見自然な流れなのかもしれない。だが、あの位置からなら俺の家にだって帰れたはずだ。
気が動転していてそこまで考えが至らなかったが、これは鈴谷が俺は自分の部屋に呼んだ口実に過ぎなかったとしたら……!
「よいしょっと」
「お、おま、何服脱いでんだよ!?」
「え? だって今から先輩とエッチするんですから、脱がないと」
「だからなに当然な事聞いてるんだこの人? みたいな反応してんだよ!」
「だってぇ、私ってもう先輩との初行為は終わらせたわけですしぃ、私にだって先輩とエッチする権利はあると思うんですよぉ」
初行為、権利? こいつは何を言ってるんだ?
「だって私……もう先輩のおチンチンの味、覚えちゃってますから」
「…………」
俺はあんぐりと開けた口を塞げなかった。
そうだ。俺は笹原と鈴谷を一度に相手にした時、あの夜の駅前でこいつにあんなことを……!
非日常感満載でつい感覚が狂っていたが、俺はあの日、鈴谷にフェラをさせた。それはこいつの言う権利に適ったもので、確かに俺は鈴谷との初行為を終わらせている。
いやしかし待って欲しい。あれは笹原を調教すると言う約束の延長線上のもので、こいつもそれは理解してたんじゃなかったのか?
でも、もしあれすらも鈴谷が笹原に持ちかけた事だとしたら……?
「先輩? 私はハーレムモノでも全然いけちゃう口なんですけど」
「お、お前、俺はハメたな!?」
「あはは、何言ってるんですか。ハメるのは先輩の方じゃないですか」
鈴谷は服を脱ぐと、腰を倒してブラのホックを外す。そして何度目かに見るその生乳をあっさりと曝け出した。
何度見ても綺麗な形をしている。おまけに大きい。二つの胸は重力に従って垂れさがると、ぷにっと揺れた。
形と言い膨らみ加減といい、美少女の上に胸の加減まで良いとかホントにどうなってんだ。
しかも鈴谷はその胸をさらに見せつけるように、背を倒したまま自分の腕で掬うように揺らしてみせた。
「さぁ、先輩。私はもう準備完了しちゃいました」
「まま、待て! 頼む待ってくれ!」
まさかこの流れでやるかこいつ!?
時宮先輩から逃げたと思えば今度は鈴谷からって、俺に逃げ場は無いのか。
「せーんぱいっ」
鈴谷の誘うような甘ったるい声に、思わず身震いする。
「私は良いんですよ? 都合の良い肉便器でも、先輩の物になるのなら。私の体なんてどうなっても構いません。好きに使って、好きに扱って、壊したり、甚振ったり、弄んでも良いんですよ? それに、私……」
鈴谷は俺に抱き着くと、耳元で囁く。
「先輩の赤ちゃんなら、産めますから」
「っ……!!」
その言葉にゾクリと全身の毛が逆立つ。心臓がバクつく。
「お、お前何言ってんだよ!?」
「ふふ。仮でのお話ですよ? もしも先輩が誰かに無責任種付けしたいなぁなんて思ったら、私が何時でもそのお相手をしますから」
「お、お前な。いくらなんでも高校生が言っていい言葉じゃないぞ……!」
「そぅですか?」
すると鈴谷は俺の背中側に回ると、ぐっと身を寄せて後ろから俺の心臓の方へと手を回す。そして軽く、しかし的確に心臓の上をぎゅっと指で押さえた。
「先輩、やっぱり興奮してくれてるんですね」
胸の鼓動が鈴谷の指へと伝わっていく。指の圧迫感はまるで心臓を握られているかのようだ。それは他者に命を預けているような恐怖感にも似た感覚だったが、同時に俺の胸を鈴谷に触れられて、鼓動が鈴谷と共有される事で、鈴谷との間に不思議な一体感が生まれているような気がした。
「私は本当に変態さんですし、エッチな事も大好きです。それが後戻りできないような事なら、物凄く興奮しちゃいますし、もし先輩が私を壊してくれるなら……なんて、考えただけでももう全身がゾクゾクしちゃうんです。でも先輩が私を好きになる必要もないですし、私に責任を感じる必要も有りません。私はただ、先輩が私を好きに使ってくれるなら、それで十分なんです」
鈴谷は淫靡に目を細めると、その胸の柔らかさを押し付けるように、ぎゅっと背中に体を乗せる。
「だからもしも先輩が望むなら、少しでも気持ちが興奮して、私を犯したいと思うなら、いつでも好きにしたって良いんですよ?」
俺は思い出した。
そうだ。鈴谷とはこういう人間だった。
「興奮してないと言えば、嘘になるよ。そりゃな……」
「ふふっ、先輩もやっと素直になってきましたねぇ」
「けどっ、俺は自分のやったことにくらいには、ちゃんと責任を持ちたいんだ」
責任、と言う言葉に、鈴谷はぴくりと体を止める。
「お前との約束だって守るつもりだ。笹原との調教の一環だったとしても、あそこまで付き合せたんだ。笹原との約束が叶ったらお前の望みも何だって聞いてやるし、責任だって取ってやる。でも今は……。やっぱり俺には、笹原の事が大切だ」
「……あはは、そうですよね。私も先輩ならそう言うと思ってました」
自分を好きだと言ってくれた女の子に、他の女の子を優先するだなんて言って、俺だって心が痛まないと言えば嘘になる。でもだからこそ、俺は鈴谷にはきちんと伝えるべきだと思った。
酷な事は分かってる。俺もそこまで鈍い男じゃない。見て見ぬふりしたり、聞かなかったことにしたりして、女の子の好意に気づかないままになあなあで済ませたり、そう言うやり方だってあるだろう。そうした方が、結果的には傷が浅くて済むのかもしれない。
けど俺にはそこまで器用になんて出来ない。ありのままの気持ちを伝えるべきだと思ったし、それくらいしか俺にはできないと思った。
「では今は、これくらいで我慢します」
すると頬に温かい感触がする。
「鈴谷……?」
見ると鈴谷は笑顔で、ただ瞳の中はほんのり悲しそうに、俺に唇を付ける。
「順番待ちしてる私へのサービスです。これくらいは、許してくれますよね」
「……すまん」
「どうして先輩が謝るんですかぁ! それに私だって全然諦めてませんよ。順番待ちだったとしても、また笹原先輩の調教のお手伝いだってしますし、そしたらまた先輩と楽しい事もできますから」
すると鈴谷は服を着なおして、またガラステーブルの前で膝を崩す。
「先輩にとって、笹原先輩はやっぱり大切な人なんですね。少しだけ、妬いちゃいます」
俺からすればお前も……。なんて言葉に出そうになったが、その言葉は重過ぎて、結局俺の口からは出なかった。
「それじゃあ私の用事は終わりましたし、笹原先輩を迎えに行きましょうか」
「用事って、お前やっぱりそのつもりで俺を家に連れ込んだのか?」
「そうですよ? ふふ。なぁんて、それだって冗談です。私は先輩の事、これでもよく分かってるつもりですから。何せ私は先輩のストーカー会員001番ですし!」
「俺のストーカーは何時から会員制になったんだよ」
息を吐いた後、苦い笑みを浮かべながら俺は腰を上げる。
「そんじゃあ行きますか。我らの引きこもりな姫様を迎えに」
そうして外へ出てやって来たのは、再びプールの方へと戻ってしばらく行ったところにある雑居ビルだった。
「ここが緊急避難用シェルター……?」
「はい。笹原先輩はこの中に居ます」
そこでふと見ると、雑居ビルの看板には『快適極楽ネットカフェ!3Fは女性専用ルーム有り』と書かれていた。
「なるほどネットカフェか。確かにそれなら笹原を置いておくには良いかもしれないな」
「ええ、ここなら笹原先輩でも安心できますから」
「それにしてもこんな場所に店が有るなんてよく知ってたな。駅前以外じゃほとんと見ないのに」
「このお店、実は私のお気に入りなんですよ。たまに来るんです」
「ほー。そうなのか」
「そりゃもう穴場スポットですから」
穴場スポット?
「一応聞くが、何の穴場なんだ?」
「えぇ、先輩それ聞いちゃいますぅ?」
すると鈴谷は人を小馬鹿にするように目を薄めると、こちらに指をチクチクと突き刺してくる。
「まさかまた変な事だったりしないよな」
「変な事って?」
「その、なんだ。オナ、オナニー……とか」
俺は自分の口から出た言葉の恥ずかしさで、すっかり声を縮こませてしまう。
「ぷっ、ぷはは。ネカフェでオナニーだなんて、その発想がすぐに出てきてしまう辺り、先輩もド変態さんですね」
「お前に言われたかねえよ!」
「まあ正解なんですけど」
すると鈴谷は「さ、早く入りましょ先輩!」とすてすて歩いていくが、その言葉があまりにあっさり過ぎて聞き逃すところだった。
「いや正解なのかよ!?」
「だって興奮するじゃないですかぁ~……。もし他の人に聞かれてたらどうしようとか、隣の人が私の零れちゃった喘ぎ声で興奮してオナニーしてたらぁとか、もう想像するだけでおかわり三杯ですよ!」
俺はすっかり発情モードになった鈴谷を見て決めた。よし、もうこいつとは二度とネカフェに入らないでおこうと。
ビルに入ると小さなエレベーターで三階へ上がり、女性専用スペースのあるフロアへと上がる。
「いらっしゃいませ~」
「さっき利用した者ですけど、友達を迎えに来ました」
「ありがとうございます。39番のお客様ですね。どうぞそのままお入りください」
カウンターの店員さんは女性で、店内の雰囲気もどこか清潔感があると言うか、お洒落な感じだ。
「なあ、俺が入って大丈夫なのか?」
「スペース利用はできないですけど、入るだけなら平気みたいですよ。たまに彼氏さんとかが迎えに来てるのも見ますし」
「そ、そんなもんなのか」
俺達はそのまま漫画が所狭しと並んだ本棚の狭い通路を抜けて、個人ブースの方へと進む。お洒落とは言っても雑居ビルのネットカフェなので、狭いのはしょうがない。漫画コーナーなんて人がすれ違うのもやっとで、途中別の女性客が来たらどうしようとか心配になったくらいだ。
「えっと、39番~。あ、有りましたね」
その奥は敷居で囲まれたブースがちらほらあり、例えとしては悪いかもしれないが、外見はトイレの個室みたいになっている。
女性用と言う事で、一応は天井まで敷居が有り、そこに扉が設置されている形だ。俺が普段行くようなネットカフェと比べると、何と言うか作りがしっかりとしている。
「一つ上の4階は普通のネットカフェなので、ここまで敷居も高くなかったりします」
「それ何情報だよ」
「ほら、私にとってはそっちが本場ですしぃ? それに先輩があとで私のネカフェオナニーを想像するために必要かと! 」
「いやホントに何情報だよ!」
と、思わぬ大声を出してしまいはっと口を手で塞ぐ。
「今はお客さんもほとんど居ませんし、イヤホンで動画を見てる人が多いので、それほど気にしなくても大丈夫だと思いますよぉ?」
「……流石は常連だな。いや褒めてはないけど」
そこで俺達は39番の扉に行きつく。
「…………」
「どうしたんですか先輩?」
「いや、お前の話を聞いてちょっとこの扉を開けるのが怖くなった」
まさかとは思うが、この向こうで何か見てはならないような事が行われているような気がしてくる。
「先輩ったら考えすぎですよぅ。それにもし催していても、そこは先輩が代わりに慰めてあげれば済む話ですし」
「全然済まないよね? 主に俺の社会的な地位とか名誉とかが地に落ちるよね?」
「そうなったら今度は私が慰めてあげますから、ね。せ・ん・ぱ・いっ」
鈴谷は楽しそうにウィンクすると、俺にぎゅっと抱き着く。だからやめろって普通に熱いんだよそれ。
「はぁ……。まあここで立ち呆けてても仕方ないか」
俺はドアノブを持つと、ギギっと手前に引く。
「笹原~?」
中を見ると人がギリギリ寝ころべるほどのスペースになっており、敷物とパソコンが一台置かれている。
「ほぇ~……」
そしてそこには、ヘッドホンを付けて音楽か何かを聞きながら、手元で山積みされた漫画の一冊を読んでいる笹原の後姿が有った。
「おーい。笹原さん?」
「な、ここでそう来るの!? でもこの子、さっきまであんなにツンツンしてたのに!」
顔こそ見えないが、後ろからでも目をくりくりとさせて漫画に夢中になる笹原の様子が分かる。つうかこいつ、人が苦労してた最中に何してんだホント。
「笹原、おい笹原っ!」
俺は業を煮やして笹原の頭からヘッドホンを取り上げる。
「きゃ!?」
「ようやくお気づきですかこいつは」
それに驚いたのか、こちらに振り向いた笹原はぎょっとした声を上げるが、すぐに俺達だと気づくと今度は頭に「?」マークを浮かべる。
「どうしたの? 前田君まで」
「お前を迎えに来たんだよ。一人じゃ帰れないだろ?」
「そ、それはそうかもしれないけど……。えっと、真昼ちゃんの用事は?」
「はい。ちゃんと終わらせて帰ってきました。もっとも、目論見は失敗しちゃいましたけど」
と、ここで俺の方をじろりと見つめる鈴谷。だからそう言うのやめろってば。
「そうなんだ。じゃあ私も帰らないとだね」
「つうか、何読んでんだ? そんな夢中になって」
俺は笹原から漫画を取り上げると、その表紙に目をやる。
「『僕は友達が少ないのに可愛い妹がいる青春はやはりまちがっている』? なんだこれ。やけに長いタイトルだな」
「か、返してよぉ!」
すると中身を読む前に、また笹原に漫画をもぎ取られてしまう。
「青春ラブコメってやつ? お前にしては普通の漫画も読むんだな」
「ま、前田君は人をなんだと思ってるのさ!?」
「いや、ド変態? じゃなかったら引きこもりドM」
「もぉー!」
すると笹原は目を『><』な感じにしてぷんすかと手を振る。
「わ、私がいつもえっちな本読んでると思ったら大間違いなんだから。それにこう言うのも面白いし、さ、参考にもなるし……」
「まあなんだ。俺はお前がそう言う健全少年が読むようなもんにも興味があると分かって、少し安心したよ」
「前田君ってば私をどういう扱いしてるのさ! わ、私だって普通に漫画ぐらい読むの!」
それから笹原はせっせと漫画の山を片付けると、「むっ」とこちらを睨みながら次々押し付けてくる。
「あーはいはい。片付けね。手伝わせていただきますよ」
それから俺は笹原から取り上げたヘッドホンを壁のフックへと引っ掛ける。と、その時。
『ん、ふぅ……だめ。私のオ『ピー』ンコが裂けちゃうう!』
『こんなに小さい体なのにすっかり根本まで入ってるぞ。やっぱりお前には子種袋の才能が有るんだな』
『そ、そんなこといわないでぇえええ!』
何やら子供っぽい女の子の声と、むさくるしいおっさんの卑猥なやり取りが聞こえてくる。
「なぁ、笹原?」
そう笹原の方を見ると、同時にプチュンとパソコンの電源を落としやがってから、「なあに?」と何食わぬ顔で振り向く笹原。
「さっき妙な声が聞こえたんだが。それもお前の付けてたヘッドホンから」
「幻聴じゃないかな!」
「そうかそうか。幻聴なら仕方ないな」
「そ、それよりもだよ? 私先にトイレ行きたいなぁなんて」
「それまたどうして?」
「レディがトイレに行く理由を聞くなんて、前田君はデリカシーがないねっ」
「笹原先輩、替えのパンツなら持ってきてますよぉ!」
「あ、ありがとう」
すると鈴谷からパンツを受け取り、とぼとぼとトイレの方へと歩いていく笹原。
「……見なかったし聞かなかった事にしよう」
「先輩なら『今すぐその愛液のしみ込んだパンツをよこせぇ!』くらいの鬼畜っぷりを発揮してくれると期待してたのにぃ」
「生憎と、俺にはクラスメイトのオナニーを鑑賞する趣味も、それを想像しながらパンツをすーはーする趣味もない」
「何と言いますか、先輩もすっかり毒されちゃってますね」
「誰のせいだ」
と、そんな感じに俺達はネットカフェを後にした。