異世界M男ハーレム 作:背徳亭快楽
目覚めると知らない天井があった。
どうやらリビングの床の上で倒れていたようだ。しかも見覚えがない風景である。俺はアパート暮らしで、こんな広いリビングでは無い。というか実家よりもはるかに広いんだけど。
じんじんと痛む頭を抑えながら立ち上がる。
そのままフラフラと洗面所に向かう。本能なのか、そういうふうに転生した時に刷り込まれたのか、漠然と家の間取りが理解出来たのだ。
鏡に映る自分を見る。
「おお……」
見た目は本当に普通の青年っていう感じだ。
中肉中背で、黒髪の短髪。服装も普通のシャツにジーパン。同人エロゲーの主人公っていえばしっくりくるだろうか。
その時、スマホの通知音が軽快に鳴った。
みればポケットにスマホが入っている。開いて画面を見てみればそこにはこんな文字が並んでいた。
《これからこの世界のチュートリアルを始めさせていただきます》
「え、チュートリアル!?」
そういえばあの女神が詳しい事は転生後って言っていたな。
……冷静に考えたら非現実的な事ばかり起こっているので夢かと思い、頬を抓ってみる。痛い。現実だ。
とりあえず今はこのスマホしか情報源が無いわけだし、素直に読んでみよう。
そう思って、スマホの画面に視線を落とした。
《まずは状況説明。貴方は高校2年生で、この家で暮らして頂きます。生活費などは状況によって自動で支給されます》
おお、何と有難い。
サラリーマン時代なんて安い月給から税金と家賃、生活費を抜いたら自由に使える金なんてとてもとても……
《それとは別に最初、MPと呼ばれるものが108p支給されます》
マジックポイント?
《いえ、マゾ・ポイントとなります》
ひでぇ名前だ。それになんだよマゾポイントって……あ、もしかして初期値の108って煩悩の数か。
《MPは貴方が惨めなマゾ射精をする度に1ポイントずつ加算されていきます。そしてMPを10ポイント使用すれば『ガチャ』を回して女の子を入手することが出来ます》
え、そういう世界観なの!? 何か思っていたのと違うな……まるでゲームの世界だ。
《女の子は貴方の脳内の記憶からランダムで選別されます。また基本的に現代日本に近い世界観から選ばれます》
成程……確かに異世界モノのキャラとか出てきたら、世界観のギャップが大変そうだしな――なおあくまで『基本的』という事を俺は後に知る事になる――しょうがない。
《このポイントを0にすることがこの世界からの解放の最低条件となります。MPを0、それに加え充分な反省が認められた場合、貴方は神々に許されるのです》
前半は兎も角、後半は詳細が曖昧だなぁ……反省何てどうやって判断するんだ。
《女の子は例外無く、サディスティックな性格で貴方に歪な好意を向けてきます》
何と都合が良い。本当にこれって罰なのか?
《ではチュートリアルはこれで終わりになりますが……まず最初にスタートアップガチャを引いて頂きます》
スタートアップ? と首を傾げたが、どうやら最初の女の子を決めるらしい。しかも一番目の子は今日から一緒にここで生活してくれるらしい。
ならば引くしかあるまい。やらいでか! と俺は勢いよくガチャを回すボタンを押したのであった。
『ガチャを引く』をタッチする。
暫くして、軽快な音と共に、
――『結城美甘』をゲットしました。
と画面に表示された。
おお、最初の女の子は美柑ちゃんか。
こ、これはいきなり大当たりじゃないか!?
『To LOVEる -とらぶる-』のヒロインで、主人公結城リトの妹。
可愛いし常識人だし、料理も出来る。
同棲するなら最高の女の子だ。
そんな事を考えていると、遠くから階段を降りてくるような音が聞こえてくる。
思わずその方向に顔を向けると、リビングの扉が開いて中に少女が一人入ってきた。
「あ……」
「……」
紛れもない、結城美柑その人だった。
ウェーブのかかった黒髪に、可愛らしい童顔。
華奢な身体であるが年相応に手足や胸には健康的に肉がついている。
タンクトップから伸びる柔らかそうな腕に、ホットパンツから露出した太腿が妙に色っぽい……
「あ、あの……」
「あ、ああっゴメン!?」
思わず見とれてしまった俺は暫し言葉を失ってしまう。
ずっと夢見た二次元美少女がリアルとなって目の前にいることに感動してしまったのだ。
「と、とりあえず、座る?」
「あ、うん……」
俺は緊張しながらも、リビングに置かれたソファーに向かい合って腰を降ろした。
しかし俺は彼女の事をよく知っているが、美柑ちゃんは俺の事を知らないよな……
「えっと……ま、まず自己紹介から……お、俺の名前は――」
「あ、五味絵夢男(ごみ えむお)さんですよね」
「はっ!?」
な、何ちゅう名前だ。少なくとも俺はそんな名前では無い。
そう思ったが、そこで狙いすましたようにスマホが鳴った。思わず画面を見ると、この世界の俺の名前は今美柑ちゃんが言った名前で登録されているという。
「あ、結城美柑です。よろしくお願いします。えっと……絵夢男さん」
「う……あ、ああ好きに呼んでくれ。こだわりとかはないから……」
酷い名前かと思ったけど美柑ちゃんから『えむお』って呼ばれて、ちょっとドキッとしてしまった自分がいる。
ちなみに何で俺の名前を知っているかといえば、彼女たちはこの世界についての知識をガチャで召喚された瞬間に、ある程度頭に入ってくるらしい。
「じゃあ……何で俺がこの世界にいるかも知っているんだ?」
「……うん。でも……」
美柑ちゃんは頬を赤らめて恥ずかしそうにもじもじし始めた。
その姿に俺も顔が熱くなるのを感じてしまう。
よく考えたら、彼女はまだ11歳。本来ならランドセルを背負っているような年齢だ。
そんな彼女と……その、そういう行為をするのは流石に躊躇してしまう。
「えっと……きょ、今日は初めてあった日だし、仲良くなれるように腕によりをかけて、美味しい手料理を振舞ってあげる! そこで待っててね!」
「あ、うん、ありがとう」
美柑は照れたように立ち上がると、パタパタと台所に向かって行った。
その後姿を思わず目で追ってしまう。
小ぶりだが形の良いお尻が揺れる。その煽情的な姿にごくりと生唾を呑み込んだ。
――女の子は例外無く、サディスティックな性格で貴方に歪な好意を向けてきます。
チュートリアルの文字が脳内に浮かぶ。
こんな可愛い子が俺をサディスティックに虐める……?
不味い興奮してきた。いや、それよりも今日から美柑ちゃんと一つ同じ屋根の下で暮らすのだ。
エロい事が無くたって、こんな可愛い女の子と一緒に住める。それだけで俺は嬉しかった。