異世界転生を阻止されたので現代で復讐を果たします。 作:六本線
父の死をきっかけに家庭も学校も崩れ、居場所を失った佐藤ユウマ。
学年トップの女子3人からの陰湿な虐めに耐える日々の中、帰宅途中で車に轢かれそうな猫を救おうと身を投げ出す。
しかしユウマは無傷で、トラックだけが潰れていた。
死ねなかった絶望を抱えたまま、さらに母から怒鳴られ、孤独は深まっていく──。
佐藤ユウマよりも酷い人生を歩んでいる人はきっとたくさんいるだろう。幸いな事にユウマは五体満足の健康体で生まれてくることが出来た。その後も風邪や流行病に寝込むことはあっても大きな病気や怪我もなく私立の有名な小中高一貫の学校に入ることも出来た。
しかし、ユウマは自身の人生を酷い人生だと感じていた。
数年前にユウマは事故で尊敬していた父親を失ってしまった。ユウマが悲しみに暮れる中、母親は切り替えが早く新しい彼氏を作って家にいない日々が続き、妹の佐藤ユミは妹で新しい彼氏を早々に受け入れ、母が家になかなか帰ってこないのはユウマが母の彼氏を受け入れないからだときつく当たるようになった。
家での居場所を失い学校に居場所を求めたが、明るかった性格は一変して暗くどんよりとしたものになってしまい、クラスメイトもユウマを腫れ物のように扱うようになる。クラスにいるだけで空気を悪くするユウマに苛立ったクラスメイトからイジメを受けるまでにそれほど時間がかからなかった。最初はいてもいなくても同じと言うことで無視から始まり、いないものとして扱うので小柄なユウマに大柄な子がぶつかっていったり、ユウマのノートや教科書を勝手に持って行ったりとイジメはエスカレートしていった。その中でも特に率先してユウマを虐めていた女子グループがいた。たった3人の女子により形成されたグループだがその3人はスクールカーストトップの3人で学年で強い影響力を持っている3人だった。
「よいしょっっっほら、空気投げっ!」
「いっぎゃっっっ」
一番大柄で男女合わせた学年の中で一番大きな身長を持つ芦刈トウコが小柄なユウマを軽く持ち上げて一本背負いで教室の床にたたきつける。柔道に空気投げという技術はあるが、それではなくユウマのあだ名が『空気』なのだ。ユウマに格闘技の経験は無く受け身も取れない。ユウマはヒキガエルが潰れたような声を出しながら床で悶えることしか出来ない。
「なにしてるのよ……床に転がってたらスカートの中が見えちゃうじゃないのっ」
「い゛っっっ」
次にユウマが見たのは上靴の裏側だった。派手で可愛らしい服に身を包んだ伊治ヒトハは容赦なくユウマの顔を踏みつけて顔をぐりぐりと踏みにじってくる。迷惑のように言っているがトウコにユウマを投げろと指示を出したのはヒトハである。
「あはっ、ヒトハちゃん顔は駄目だよ。この間、こいつの女装配信で儲けさせてもらったでしょ? 男だってわかった瞬間に同接一気に減って代わりにどかんっとお小遣いながれてきたじゃん」
3人の中で一番頭が良く、ユウマを虐めるネタを持ってくるメガネをかけた参謀、秋空オモイがその様子を楽しそうに廊下から楽しそうに見ながら教室に誰も来ないように見張っている。
「これだけやっても引きこもりにもならないなんて……お家がどれだけいやなのよ」
「ま、でも、こうやってあたしたちのストレス発散になってるんだから良いんじゃない? これだけ簡単に投げさせてくれる男子なんていないし」
「簡単にお小遣いまで稼げちゃうしね」
この3人組は……横暴さや暴力でスクールカーストのトップに立っているわけではなかった。
ヒトハはピアノも弾ける心優しい学級委員長としてクラスの皆のお手本で学年の代表も務めるぐらいに優秀でクラスのお姫様。
トウコは格闘技をやっており、スポーツも万能、身長も高く、中性的な顔立ちから女子が憧れる女子で王子様。
オモイは成績優秀で学校のテストだけでなく、塾での点数も高く、先生達からの評価も高い大人しい女の子でネットや機械関係にも強く、簡単なプログラミングまでできてしまう。
そんなとんでもない猫を被って生活をしており、そこで感じたストレスを全てユウマにぶつけているのだ。ユウマも最初の内は抵抗しようとしたのだが力ではトウコに叶わず、クラスの人望的にも話してもらえず……ネットに助けを求めても何故だかこちらが加害者にされてしまう状況で完全に逃げ場を失っていた。
「……なんだ、お前達まだ残っていたのか」
教室に若い男の人の声が響き渡る。このクラスの担任の猿渡先生が教室に顔をだしていた。しかし、先生の声が聞こえてもユウマの視界は解放されることもなければ助け起こされることもない。
「ほどほどにしておけよ」
「はぁーい」
それどころかその言葉を残すと猿渡は別の所へと移動してしまう。事なかれ主義な先生に相談しても信じてもらえず……イジメの現場を見ても見て見ぬ振りをして立ち去ってしまう。
ユウマに居場所はどこにもなかった。家も学校も……もちろん友達もいない。頼れる大人は誰もいない……親戚もいないのだ。
「それじゃあ、かわいいかわいいユウマちゃんにまた出てきてもらおうかなぁ。オナニーさせるだけで3万スパチャするっていう人もいるしさ」
「いいね。女の子からのプレゼントのお返し……お金かかって仕方ないし」
「新しい服も欲しいわね。ほら、さっさと着替えなさいよ」
抵抗するともっと酷いことになる。ユウマはそれを知っているので抵抗することなく着替えていく。服も下着も妹の部屋から持ってくるように言われているモノだ……少し小さいが入らないことはない。
「うっわ……きっつぅ。確かに顔はかわいいけどさぁ……おじさんたちってこれの何がいいんだか……あ、おねぇさんたちもいるかもなのかな?」
オモイがそんなことを呟きながらカメラのセッティングを終えるとヒトハとトウコはユウマのノートを勝手にカンペ代わりにして面白半分で指示を出していく。焦らすように服を脱げ、乳首を弄れ、オナニーをしろ、もういっかい、もういっかい、出した物を舐め取れ……
おおよそ人間扱いされない時間……ユウマの残り少ない理性と人間の尊厳が削られていく。そんな地獄のような時間がなんとか終わり……スパチャも目標額集まったようだ。これだけしても当たり前のようにユウマにこれっぽっちもお金が入ってこない。
「それじゃあ、後片付けよろしくね」
「言われなくても来るだろうけど、明日も学校こいよ。空気」
「じゃあね、空気ー」
元の服に着替えて後片付けをする。その間にも猿渡がちらりと教室に来たがやはり見て見ぬ振りをしながら早く帰るようにと言葉だけかけてさっさとまたどこかへ移動してしまう。ユウマは何とか掃除を終えるとカバンを背負って教室を出て行く。
――疲れちゃった。お父さんに会いたい……
ふらふらとした足取りで家路につくユウマの前に一匹の猫が目に入る。猫はユウマに気が付いて逃げるように横断歩道へと走り出す。信号は赤……容赦なく車が飛び交って、いくつかは猫に気が付いて避けていくが続く大きなトラックは運転手が猫に気が付いていないのかそのままツッコんでくる。ユウマは迷わなかった。どうせ死ぬなら猫を助けたい。そうしたら天国に行けてお父さんに会えるかもしれない。
ユウマがトラックの前に躍り出る。猫を抱きかかえて自分をクッションにするように丸くなる。
どんっっっ。
とてつもなく大きな音がすぐそばから聞こえてくる。ユウマは痛みを堪えようと身体をがちがちに緊張させるが……いつまで経っても痛みがやってこない。自分はもう死んでしまったのだろうかと恐る恐る目を開けると……トラックの運転手であろう人がきょとんっとした顔でユウマを見ていた。
「お、おい。大丈夫か?」
「は、はい……」
見るとトラックがまるで壁に当たったかのようにぐしゃりとひしゃげている。しかし、ユウマには怪我ひとつなかった。ユウマは安心と同時にがっかりしてしまう……死ねなかった。チャンスだったかもしれないのに……念のためと運転手は救急車を呼んでくれた。検査の結果、どこにも異常は無し……しかし、やってきた母親に本気で怒られた。叱るではなく怒りをぶつけられた。デートの途中だったのにと。
ユウマはより一層の絶望を抱えながら母親につれられて、帰宅を果たすのであった。
あとがきという名の語り
初めまして、お世話になっております。もともとpixivにて別の名義で投稿していたんですが、小説を投稿するならハーメルンの方がいいのでは? と思い立ち試しにひとつの連載を書いてみることにしました。
時間のあるときに少しずつ……だいたい1話だいたい3000文字程度の内容になるかと思いますがよろしくお願いします。
萌語りとか色々したいなぁとか思っております。それが出来るように私の性癖を詰め込みまくった作品になると思いますのでどうかよろしくお願いします。