※この作品はR-18です。

隣に住む獣人はだらしない   作:こその

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よく見ると隣人の胸がでかすぎる

 

 

 文明の利器というのは、偉大だ。

 

 七月の下旬。相変わらず外は殺人的な猛暑で、アスファルトは陽炎で揺らぎ、セミは朝から発狂したように鳴いている。

 だが、俺の部屋は別世界だった。

 

 型落ちの安物とはいえ、新品のエアコンが吐き出す冷風。

 二十六度に設定された空気の中で、俺こと佐藤達也は久しぶりに人間らしい夏を過ごしていた。

 

 昭和のポンコツエアコンが鎮座していた頃は、部屋にいるだけで汗が噴き出し、蒸し風呂で干からびる寸前だった。それを思えば、この文明の恩恵たるや涙が出る。

 

 ことぶき荘の壁は相変わらず薄いし、床板は相変わらず軋む。

 だが、涼しさというのはそれだけで人を寛容にする。多少の騒音も、多少の面倒事も、冷房の効いた部屋で発泡酒を呷っていれば、まあいいかと思えてくるから不思議なものだ。

 

 平和だった。

 

 ……いや、正確に言えば平和「そのもの」ではない。

 

「おじさ〜ん、もっと奥っ♡ほら、腰止まってるよ、ざーこ♡」

 

 俺は今、平和な冷房の中で犯罪スレスレの行為に及んでいた。

 

 

 

§

 

 

 

 猫宮凛。

 

 近所を根城にする、メスガキの猫獣人だ。

 濃紺の三角耳に、翡翠色の吊り目。身長は俺の胸ほどしかない、華奢で小柄な体つき。どう見ても中学生にしか見えない。

 

 だが、こいつは公衆トイレで俺を恐喝し、フェラで搾り取り、金を奪って連絡先まで奪っていった、とんでもないメスガキだった。

 そして今や「回数券」なる意味不明なシステムを盾に、数日おきに俺の部屋にやってきては、セックスをせびってくる。

 

 最初は罪悪感と警察への恐怖で吐きそうだった。

 だが、慣れというのは恐ろしい。三度、四度と回を重ねるうち、俺はすっかりこのメスガキの体に馴染んでしまっていた。

 

 今日も今日とて、チャイムが鳴り、ドアを開け、「回数券使いに来た♡」の一言で部屋に上がり込まれ、気づけばこの体勢だ。

 

 万年床の上、四つん這いになった凛の背後に陣取り、腰を掴んで後ろから突き込む。

 いわゆる後背位、海外ポルノ的に言うならドッグスタイル。犬……いや、猫か。

 

 

 パンッ♡パンッ♡パンッ♡

 

「あっ♡あっ♡あっ♡やば、おじさんのちんぽ今日もでっか♡奥ぐりぐりされると、こしぬけちゃうっ♡♡」

 

「うるせえ。少し黙ってろ」

 

「やだ♡だっておじさん、あたしに煽られると腰の動き速くなるじゃん♡ばれてるからね、ドスケベおじさん♡」

 

 ……図星だった。

 

 このメスガキ、口を開けば煽ってくる。クソザコだのロリコンだのと、的確に急所を突いてくる。

 なのに、その煽りが逆に興奮を煽るという最悪の循環に、俺はとっくにハマっていた。

 

 小さな尻を鷲掴みにして、狭くて未発達な膣内を容赦なくかき回す。

 琴音や瑠衣とはまるで違う、ギチギチに締め付けてくる子供みたいな穴。だが濡れ具合は一丁前で、突くたびに愛液が泡立ってぐちゅぐちゅと鳴る。

 

 

 ぐちゅっ♡ぬちゅっ♡

 

「ひゃんっ♡そこっ♡おじさんそこばっかりっ♡あたしの弱いとこ知り尽くしてるのずるいっ♡♡」

 

「お前が教えたんだろうが」

 

「教えてないもんっ♡おじさんが勝手に開発したんじゃん、責任取ってよね〜♡」

 

 濃紺の猫耳がぺたんと伏せ、尻尾が俺の腕にぐるぐると巻き付いてくる。

 こいつの体は正直だ。口ではあれこれ生意気を言うが、感じてくると耳と尻尾がだらしなくなる。

 

 窓の外ではセミが鳴き、部屋の中ではエアコンが唸り、そして俺は近所の未成年(見た目)を後ろから突きまくっている。

 冷静に文字に起こすと社会的に終わっているが、冷房が効いているせいか、あまり深刻に考えられない。

 

 なお、俺の頭の片隅には常に「警察」の二文字がある。

 バイト中にパトカーのサイレンを聞くたびに心臓が跳ねるし、玄関のチャイムが鳴るたびに背筋が凍る。

 だが、その恐怖すらもう、この快感の前では麻痺しかけていた。

 

 人間、堕ちる時は一瞬だ。

 

「あっ♡あっ♡おじさんっ♡またイキそっ♡今日イッていい?ねえいい?♡」

 

「勝手にしろ」

 

「つめた〜い♡そういうとこだよ、モテないの♡」

 

 俺は返事の代わりに、腰の打ち込みを速めた。

 パンパンと尻肉のぶつかる音が、冷房の効いた六畳間に響き渡る。

 

 凛の背中が反り、猫の爪が布団を引っ掻く。

 ああ、こいつがイく時の締め付けは格別だ。もう俺も限界が近い。

 

 まさに、その時だった。

 

 

 

§

 

 

 

 ガチャリ、と。

 

 玄関のドアが、開いた。

 

「おっさん、ただいま。実家から戻っ――」

 

 凛のやつ、部屋に上がる時に玄関の鍵をかけ忘れやがったのだ。

 そして、その開いたドアの向こうに立っていたのは。

 

 金色のロングヘア。頭頂部にピンと立った狐耳。豊満な胸元。

 隣の二〇二号室の住人にして、俺の最初の獣人――玉藻琴音だった。

 

 夏休みで実家に帰っていたはずの、きつねの女。

 その帰宅第一声が、途中でぷつりと途切れた。

 

 時間が、凍りついた。

 

 四つん這いの凛。その背後で腰を振っていた俺。

 繋がったままの結合部。むわりと立ち込める獣のフェロモン。

 

 どこからどう見ても、言い逃れのできない現行犯だった。

 

「…………」

 

 琴音は、何も言わなかった。

 だが、その全身が雄弁に感情を物語っていた。

 

 普段は上品に揺れている金色の尻尾が、ぶわりと逆立って一・五倍に膨れ上がっている。

 ピンと立った狐耳は、鋭く後ろに寝て警戒モード。

 切れ長の琥珀色の瞳が、氷点下の温度で凛を射抜いている。

 

 威嚇。

 完全に、獣の威嚇の姿勢だった。

 

 だが――声だけは、恐ろしく冷静だった。

 

「……ふうん。おっさん、留守の間に、ずいぶん可愛い子と仲良くしてたんだ?」

 

 背筋が凍った。

 これは、まずい。冷房のせいじゃない冷や汗が、どっと噴き出す。

 

 俺は慌てて腰を引こうとした。

 だが、その前に――繋がったままの凛が、動いた。

 

「あ〜♡おじさ〜ん♡今、誰か来た〜?♡」

 

 わざとらしい。

 あまりにもわざとらしい、間延びした甘え声。

 

 凛は四つん這いのまま、ちらりと肩越しに琴音を見て、にぃっと口角を吊り上げた。

 あの、人を煽る時の顔だ。

 

「あっ♡あっ♡だめだよおじさん、お客さん来てるのにっ♡そんな奥まで突いちゃっ♡あたし、声我慢できないよぉっ♡♡」

 

「お、おいっ、凛、お前――」

 

 こいつ、わざとやってやがる。

 琴音に見せつけるように、腰をくねらせ、繋がった部分をこれ見よがしにさらけ出し、あられもない声を上げてみせる。

 

 メスガキの、宣戦布告だった。

 

「んっ♡おっぱいのおっきいお姉さんだ♡こんにちは〜♡おじさんのちんぽ、今あたしが使ってるからぁ♡ちょっと待っててくれる?♡」

 

 ぶちり、と。

 琴音の額に、青筋が立ったのが見えた気がした。

 

 だが、彼女は微笑んだ。

 目がまったく笑っていない、氷の微笑みで。

 

「へえ。まだ乳離れもしてなさそうな子猫ちゃんが、ずいぶん生意気な口を利くのね」

 

「乳離れ〜?♡やだなぁ、あたしもう立派に発情期きてるんだけど♡それより、そっちのお姉さんこそ、おっぱいばっかりでかくて中身おばさんじゃない?♡おじさん、若い子の方がいいって♡ねえ?♡」

 

 振らないでくれ。俺に振らないでくれ。

 

 修羅場だ。完全に、修羅場の空気だった。

 二人の獣人の女が、俺のちんこを挟んで火花を散らしている。

 

 ……なのに。

 なのに、だ。

 

 この緊張感マックスの空気の中で、俺の下半身は正直だった。

 凛のわざとらしい喘ぎと締め付け、そして修羅場という異常な状況が、なぜか俺の限界を一気に押し上げてしまった。

 

「く……っ、まずい、これ……っ」

 

「え、うそ♡おじさんこの状況で出すの?♡さいてー♡♡」

 

 止められなかった。

 なぜか細い腰を思いっきりつかんで、俺の腰は今も長いストロークで動いてしまっていた。

 そして、俺は琴音に見られながら、凛の中に、思い切り射精した。

 

 

 どびゅるっ♡♡どぴゅどぴゅっ♡♡♡

 

「んぁっ♡♡出てるっ♡ゴム越しでもわかるっ♡あっついのいっぱいっ♡♡おじさんったら、お姉さんの前で情けなぁい♡♡」

 

 最悪だった。

 人生で一番、間の悪い射精だった。

 どくどくと欲望を吐き出しながら、俺は恐る恐る琴音の方を見た。

 

 琴音は、無言だった。

 逆立った尻尾。寝た耳。凍りついた笑み。

 

 そして、たっぷり十秒ほどの沈黙のあと、彼女は静かに口を開いた。

 

「……おっさん」

 

「……はい」

 

「後で。話があるから」

 

 地の底から響くような、低い声だった。

 俺は射精の余韻もどこへやら、全身を硬直させて頷くことしかできなかった。

 

 琴音は、それ以上何も言わなかった。

 くるりと踵を返し――苛立ちを叩きつけるように、思い切りドアを閉めた。

 

 バァンッ!!

 

 薄いことぶき荘全体が、びりびりと震えた。

 

 ……終わった。

 俺の平和な夏は、たった今、終わりを告げた。

 

 

 

§

 

 

 

 冷や汗が、止まらない。

 

 ようやく引き抜くと、凛はころんと仰向けに転がった。

 そして、勝ち誇った顔で、自分の股間に手を伸ばす。

 

 ずぷ、と音を立てて、装着していたコンドームを引っ張り出した。

 先端に、たっぷりと溜まった白濁液。それを、蛍光灯にかざすようにして、うっとりと眺める。

 

「うわ〜♡こんなに出てる♡タプタプじゃん♡おじさん、あんな修羅場でこんなに出すとか、やっぱ変態だね♡」

 

「……お前、なんであんな煽ったんだよ。おかげで俺は死刑確定だ」

 

「だって〜♡あのお姉さん、いかにも『おじさんはあたしのもの』みたいな顔してたんだもん♡ムカつくじゃん♡だから、おじさんはあたしのでもあるんだぞーって、教えてあげたの♡」

 

 教えるな。頼むから教えないでくれ。

 

 凛は使用済みのゴムを指先でつまみ、たぷんたぷんと揺らしながら、俺の胸に猫のようにしなだれかかってきた。

 小さな体、平坦な胸。汗ばんだ肌から、猫特有の甘い匂いが立ち上る。

 

 ……そういえば、と俺は場違いなことを思った。

 こいつの胸は、本当に平らだ。まだ発達途中の、薄い胸板に、小さな乳首がちょこんと乗っているだけ。

 

 それに比べて、さっきの琴音の胸の暴力的なでかさときたら。

 いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 

「ねえ聞いて〜おじさん♡あたしのちっちゃいおまんこに、こんないっぱい出したんだよ〜♡すごくない?♡」

 

 凛が、やたら大きな声で言った。

 わざとらしく、壁に向かって。

 

「こ〜んなにドロドロの精子、ぜ〜んぶあたしのために出してくれたんだね〜♡♡おじさんったら、あたしのこと大好きすぎ〜♡♡」

 

 ――ガンッ!!

 

 壁が、鳴った。

 隣の部屋から、明確な意思を持った壁ドンが響いてきた。

 

 琴音だ。

 絶対に、聞こえている。

 

「おい、やめろっ!聞こえてるだろ、隣に!」

 

「聞こえるように言ってるんだも〜ん♡」

 

「頼む、この通りだ。挑発しないでくれ。マジで俺の命に関わる」

 

 俺は両手を合わせ、メスガキに向かって深々と頭を下げた。

 三十八歳、中年男の全力の哀願である。

 

 だが、凛はまったく意に介さなかった。

 

「や〜だ♡おじさんが困ってる顔、かわいいから♡」

 

 そう言って、けらけらと笑う。

 こいつには血も涙もない。あるのは、悪意とメスガキ根性だけだ。

 

 ひとしきり満足すると、凛は使用済みのゴムをティッシュに包んでゴミ箱に捨て、手早く服を着直した。

 白いキャミソールに、デニムのショートパンツ。何事もなかったかのように、いつもの格好に戻る。

 

「じゃあね、おじさん♡回数券、まだいっぱい残ってるから♡また来るね〜♡」

 

 そして、るんるんとスキップしながら、玄関へ向かう。

 尻尾の先を機嫌よく揺らして。

 

 ドアを開ける直前、彼女は振り返って、にっこりと笑った。

 

「お姉さんとの痴話喧嘩、がんばってね♡負けないで〜♡」

 

 パタン、と軽い音を立てて、ドアが閉まる。

 

 あとに残されたのは、冷房の効いた部屋と、汗と獣のフェロモンの残り香と、絶望に膝を抱える中年フリーターだった。

 

 ……夜が、怖い。

 

 俺は壁の向こうの気配を感じながら、これから訪れるであろう「話し合い」を思って、ただただ震えることしかできなかった。

 

 

 

§

 

 

 

 その日の晩。

 

 俺は覚悟を決めて、隣の二〇二号室のチャイムを鳴らした。

 逃げても意味はない。壁一枚隔てた隣人だ。この関係は、明日も明後日も続いていく。

 ここで清算しなければ、ことぶき荘での俺の余生は針のむしろになる。

 

 ドアが開いた。

 

 琴音は、部屋着姿だった。

 だが、いつものヨレヨレのTシャツに酒クズモード、ではない。

 きちんとしたキャミソールに、薄手のカーディガンを羽織った、比較的まともな格好。

 

 それがかえって、怖かった。

 乱れていない琴音は、どこか他人行儀で、冷たい。

 

 部屋は、俺が定期的に掃除しているおかげで、そこそこ片付いている。

 だが、テーブルの上に置かれた発泡酒の缶が、彼女が一人で飲んでいたことを物語っていた。

 

「……座って」

 

 感情の読めない声で彼女は言った。

 俺はローテーブルを挟んで、正座した。

 

 琴音は俺の向かいに腰を下ろし、脚を組む。

 組んだ拍子に、薄いキャミソール越しの豊満な胸がたぷんと揺れたが、今はそれを鑑賞している場合ではない。

 

 彼女は、無表情だった。

 あの、あざとくて自堕落な酒クズきつねの面影は、そこにはない。

 まるで、大学で見せているという「優等生の仮面」を、俺の前で被っているかのようだった。

 

「あのね、おっさん」

 

「……はい」

 

「あたし、実家に二週間帰ってただけなんだけど」

 

「……はい」

 

「その間に、おっさんがロリコンになってるとは思わなかった」

 

 ぐさり。

 初手から急所だった。

 

「あの子、どう見ても子供だよね?中学生くらいでしょ。あたしにはそう見えたけど、おっさんの目にはどう見えてたの?」

 

「い、いや、それは……」

 

「未成年(に見える子)を部屋に連れ込んで、後ろから犯してた。これ、世間一般では何て言うか知ってる?」

 

 琴音は淡々と言葉を並べていく。

 感情的に怒鳴られる方が、まだマシだった。

 この、冷静に事実を積み上げていく口調が、じわじわと精神を削ってくる。

 

「性犯罪、だよ。おっさん」

 

「……」

 

「しかもさ」

 

 彼女は、昼間ドアを開けたあの一瞬で、テーブルの隅の封筒まで目に留めていたらしい。

 凛が「回数券」だと言って置いていった、あの現金入りの封筒。表には、可愛らしい猫のマークが描かれているので、猫の獣人である凛に関連するものだと推察したのだろう。

 

「おっさんの部屋にあった、あの封筒。ちらっとしか見えなかったけど……あれ、お金だよね」

 

「あ、いや、あれは――」

 

「子供にお金渡して、体を使ってる。それって――児童買春っていうんじゃないの?」

 

 ぐしゃり、と。

 俺の心の一番脆い部分が音を立てて崩れた。

 

 反論の余地はなかった。

 客観的な事実だけを並べれば、俺は完全に社会的に抹殺されるべき人間だった。

 

 ロリコン。性犯罪者。児童買春。

 どれもこれも、事実の一面を突いている。凛との経緯がどうであれ、外形的には言い逃れができない。

 

 俺は――正座を崩し、床に両手をついた。

 そして、額を畳にこすりつけた。

 

「……申し訳ありませんでした」

 

「……」

 

「言い訳のしようもない。俺は……最低なことをした。もう、あの子とも関わらない。ちゃんと、警察に……出頭する」

 

 絞り出すように俺は言った。これはもう、贖罪だった。

 琴音に軽蔑され、社会に裁かれ、それでも仕方のないことをしてしまった。

 俺の人生ここで終わりだ。

 

 

 ……だが。

 

 しばらく待っても、琴音から返事がなかった。

 恐る恐る顔を上げると、彼女は――きょとん、としていた。

 

「……え?出頭?」

 

 さっきまでの氷のような無表情が、嘘のように崩れている。

 狐耳がぴこぴこと不思議そうに動き、素の顔で首を傾げていた。

 

「なんで?出頭する意味、ある?」

 

「……は?」

 

 今度は俺がきょとんとする番だった。

 

 彼女の口調が、さっきまでの「よそ行き」からいつもの気の抜けたものに戻っている。

 

「いや、あの……児童買春とか、性犯罪者とか……」

 

「あー、うん。それは人間の世界の話ね」

 

 琴音は、組んでいた脚を崩し、あぐらをかいた。

 優等生の仮面が、するりと剥がれ落ちる。

 

「おっさん、あの子、猫の獣人でしょ。獣人ってさ、昔は発情期が来たら『成人』扱いだったんだよ。人間より寿命が短かった時代の名残でさ。だから、発情期が来てる獣人は、獣人の価値観だと、もう立派な『大人』なわけ」

 

「……マジで?」

 

「マジマジ。あの子、さっき『あたしもう発情期きてる』って言ってたじゃん。ってことは、獣人的にはとっくに成人。子供の見た目でも、中身と本能は一丁前のメスってこと」

 

 初耳の設定だった。

 いや、こいつらの世界の常識なんて俺は何も知らないのだが。

 

「それにさ、猫の獣人のメスガキが年上の男をからかって金せびって体で搾り取るのって、あれ、発情期特有の習性みたいなもんなんだよね。狩りの練習っていうか、マウントの取り方の一種っていうか。あの子、たぶん本能でやってる」

 

「本能で恐喝してくんのかよ……」

 

「そういう種族なの。だから、獣人社会的には、おっさんは別に何も悪くない。むしろ搾り取られてる被害者側まである」

 

 ……なるほど。

 だったら、俺は無罪ということか。少しだけ、肩の力が抜けた。

 

「じゃあ、俺は出頭しなくても――」

 

「あ、でも」

 

 琴音はあっさりと付け加えた。

 

「それはあくまで『獣人社会では』の話ね。人間の法律だと、見た目が子供の子とヤって金渡してたら、普通に一発アウトだから。出頭したら、まあ、確実に捕まるよ。前科者コースまっしぐら」

 

「……結局アウトじゃねえか!」

 

「そうだよ?だから出頭する意味ある?って聞いたの。自分から捕まりに行くとか、おっさんドMなの?頭悪いの?」

 

 馬鹿にされた。

 完全に馬鹿にされた。

 琴音は呆れたように溜息をつきこめかみを押さえた。

 

「はぁ……。おっさん、変なとこで律儀っていうか、小心者だよね。黙ってれば誰も損しないのに、わざわざ自分から地雷踏みに行こうとするんだから」

 

「い、いや、だってお前がさっき、性犯罪者とか児童買春とか……」

 

「あれはおっさんを追い詰めるために言っただけ♡本気にすんなよ、ばーか」

 

 ぺろっ、と舌を出す。

 ……こいつ。

 完全に俺を弄んでいた。あの氷のような詰問は、全部俺をビビらせて優位に立つための演技だったのだ。

 

 俺は畳の上で脱力した。心臓に悪すぎる。

 

「……で、結局お前は何が言いたいんだよ」

 

 俺が問うと、琴音は少しだけばつが悪そうに視線を逸らした。

 狐耳がぴくりと横に倒れる。

 

「……別に。何も」

 

「嘘つけ。あんな威嚇しといて」

 

「…………」

 

 琴音はしばらく黙り込んでいた。

 そして、缶に残った発泡酒を一気に呷ると、はぁと長い息を吐いた。

 

「……なんかさ。小娘に嫉妬するの、疲れちゃった」

 

「え」

 

「あんなちっちゃい子供みたいなのに、おっさん取られそうになって、あたし本気でムカついて、尻尾ぶわってなって……。あー、やだやだ。あたし、あんなガキ相手にマジになってる自分が、一番ムカつく」

 

 彼女はぐしゃぐしゃと自分の金髪をかき回した。

 その仕草が、妙に人間くさくて可愛かった。

 

「だからさ、おっさん」

 

 琴音が身を乗り出した。

 薄いキャミソールの胸元が、重力に従ってぐにゅりと形を変え深い谷間を作る。

 

 ……よく見ると。

 いや、よく見なくても。

 こいつの胸は本当に暴力的にでかい。

 

 凛のあの平坦な胸を見た後だと、その質量差はもはや暴力だった。

 

「あの子が絶対に持ってないもので、おっさんのこと、めろめろにしてあげる」

 

 琴音はにやりと笑った。

 あの、獲物を追い詰める牝きつねの笑みで。

 

 

 

§

 

 

 

 気づけば俺は琴音の膝の上に、頭を乗せられていた。

 

 いわゆる、膝枕。

 柔らかい太ももの感触が、後頭部に心地いい。

 だが、それだけではなかった。

 仰向けになった俺の顔の真上に――たわわに実った、二つの巨大な果実が覆いかぶさっている。

 

 キャミソールは、いつの間にか脱ぎ捨てられていた。

 ノーブラの剥き出しのおっぱい。

 

 白く、丸く、重たげに実ったそれが俺の顔のすぐ上で、呼吸のたびにたぷん、たぷんと揺れている。

 

「どう?おっさん。あの子のぺったんこな胸と、比べてみて?」

 

「……比べるまでもねえよ」

 

「ふふ、正直でよろしい♡」

 

 琴音は上機嫌に自分の胸を両手で持ち上げ、俺の顔にむにゅりと押し付けてきた。

 

 むにゅうっ♡

 

 柔らかい。

 あまりにも柔らかい肉が、俺の鼻と口を覆い視界を塞ぐ。

 甘いシャンプーの香りと汗ばんだ肌の匂い、そしてきつね特有の甘やかなフェロモンが鼻腔を満たす。

 

 窒息しそうだった。だが、これほど幸福な窒息もない。

 

「んふ♡おっぱいで顔埋められるの、好きでしょ?男の子ってみんなこれ好きだよね♡」

 

 そう言いながら、琴音のもう片方の手が俺の下半身に伸びた。

 すでに勃起している肉棒を、しなやかな指がやんわりと包み込む。

 

「あら、もうこんなに。おっぱい当ててるだけなのに♡素直だね、おっさんのちんぽ♡」

 

「……うるせえ」

 

 彼女の指が、ゆるゆると上下に動き始めた。

 焦らすような優しい手つき。強すぎず、弱すぎず、絶妙な力加減で竿をしごく。

 

 くちゅ、くちゅ……

 

 先走りが滲み、指の滑りを良くしていく。

 おっぱいで顔を塞がれ、下では手コキ。俺は上下から快感に挟まれて、なすすべもなかった。

 そして――彼女は、とどめのように、俺の耳に唇を寄せた。

 

「ねえ、おっさん」

 

 吐息が耳たぶをくすぐる。ぞくり、と背筋に電流が走った。

 

「あの子のことなんか、忘れちゃうくらい……あたしが気持ちよくしてあげる♡」

 

 ぬちゅ、と。

 温かい舌が俺の耳の穴を舐め上げた。

 

 れろぉ♡ぴちゃ♡れりょれりょっ♡

 

「うぐっ……お、おい、耳は……っ」

 

「だぁめ♡おっさん、獣人相手にしてるうちに、耳弱くなったでしょ?あたしたちの気持ちいいとこ、たぁっぷり仕込んだもんね♡」

 

 ぐちゅ、ぬちゅ、と。

 耳の中を琴音の舌が這い回る。

 その水音が直接脳に響いてくる。じゅるじゅると唾液を啜る音、舌が耳殻をなぞる音、全部が至近距離で鼓膜を震わせる。

 

 ASMRなんてものじゃない。

 これは、聴覚から犯される快感だった。

 

「んちゅ♡……ふふ、おっさん、腰びくびくしてる♡耳舐められながら手コキされるの、そんなにいい?♡」

 

「く……っ、ふぅっ……」

 

「いいよ、声我慢しないで♡おっぱいの中で、みっともなく喘いでいいんだよ♡」

 

 柔らかい胸に顔を埋められ、耳を舐めしゃぶられ、竿をしごかれる。

 三方向からの快楽責め。俺の限界はあっという間に迫ってきた。

 

「……っ、琴音、それ以上は……出る……っ」

 

「え?もう?♡はやーい♡」

 

 俺の腰がびくんと跳ねる。

 射精の予兆。竿の根元がきゅっと収縮する。

 

 その、まさに瞬間。

 

 

 ぎゅっ。

 

「――ぐっ!?」

 

 琴音の指が、俺の竿の根元を、万力のように強く握り締めた。

 

 精液が、出口を求めて暴れる。

 だが、根元をきつく締められ行き場を失う。

 射精の快感が、寸前で強制的に堰き止められた。

 

「あ、あかっ……お、おい、なにを……っ」

 

「ふふっ♡だ〜め♡」

 

 琴音が俺の耳元で、意地悪く囁いた。

 

「我慢しようね?おっさん」

 

 ……この女。

 その目は、まったく笑っていなかった。

 いや、口元は笑っている。だが、その奥にある感情は――まだ根に持っている。

 昼間の凛との一件を。

 

「まだ許してないんだからね、昼間のこと」

 

 琴音は俺をベッドの上に座らせると、その足の間に自分がしゃがみ込んだ。

 

「小娘の中に、あたしの見てない間にどぴゅどぴゅ出しちゃったおっさんには、お仕置きが必要でしょ?」

 

「い、いや、あれは事故というか……」

 

「事故で腰振らないでしょ。がっつり突いてたじゃん、あたし見たもん」

 

 ぐうの音も出なかった。

 

 琴音はどこからともなく――本当にどこからともなく――一本のボトルを取り出した。

 ローションだ。なぜこいつはこんなものを常備しているのか。ツッコミたかったが、やめておいた。

 

「なんでそんなもん持ってんだよ」

 

「オナニーの時に使うの♡おっさんが掃除さぼった日は、自分で慰めるしかないでしょ?」

 

「掃除はさぼってねえよ」

 

 琴音はくすくす笑いながら、ローションを自分の胸元に、とろりと垂らした。

 

 どろぉ〜……っ♡

 

 透明な粘液が、白い双丘を伝い、谷間へと流れ落ちていく。

 彼女は両手で胸を持ち上げ、ローションを塗り広げた。ぬらぬらと、いやらしく光る巨大なおっぱい。

 

「じゃあ、いくね♡」

 

 そして、俺の肉棒をその谷間に――挟み込んだ。

 

 むにゅうっ♡ぬぷっ♡

 

「……っ!」

 

 柔らかい。熱い。そして、ぬるぬるだ。

 ローションでコーティングされた極上の肉に竿全体が包み込まれる。

 凛のフェラとも、琴音の膣とも違う。これは、圧倒的な質量による包容の快感だった。

 

 パイズリ。

 凛には逆立ちしても真似できない芸当だ。あいつの胸では、そもそも竿が挟めない。

 

「どう?おっさん♡あの子には、絶っ対にできないでしょ、これ♡」

 

「……ああ、認める。これは、すげえ」

 

「そうでしょ、そうでしょ♡」

 

 琴音は満足げに笑い、両手で胸を寄せて、上下に揺らし始めた。

 

 ぬぢゅっ♡ぬぢゅっ♡ぬりゅんっ♡ぬりゅんっ♡

 

 ローションと先走りが混ざり合い、卑猥な水音を立てる。

 柔らかい肉が竿を擦り上げ、時折、亀頭の先端が谷間からひょっこりと顔を出す。

 琴音は、その顔を出した先端を、ちろりと舌先で舐めた。

 

「れろっ♡おっぱいの中で、おっさんのちんぽ、びくびくしてる♡かわいい♡」

 

「く……っ、それ、やば……っ」

 

「気持ちいい?ねえ、気持ちいい?♡」

 

 良すぎた。

 ぬるぬるの巨乳に竿全体を扱かれ、時折先端を舐められ俺の限界は再び急速に迫ってきた。

 

 温かい肉の谷間で竿が痙攣する。もう出てしまう。

 

「琴音、出る……っ、また出そう……っ」

 

「うん♡いいよ♡……なんて――」

 

 ――言うわけないでしょ?

 

 ぴたっ。

 琴音は胸の動きを、ぴたりと止めた。

 

「――なっ」

 

 寸前だった。

 本当に、あと一擦りで達するところだった。

 なのに、その一歩手前で、刺激がぷつりと途絶える。

 

 行き場を失った射精欲が、下腹部で暴れ回る。あまりの生殺しに俺は情けない声を漏らした。

 

「な、なんで止めるんだよ……っ」

 

「あれ〜?♡おっさん?」

 

 琴音は胸で竿を挟んだまま、小首を傾げてみせた。

 あの、あざとくて意地の悪い顔で。

 

「あたし、『よし』って言ったっけ?」

 

「……は?」

 

「今日はね、あたしが『よし』って言うまで、出しちゃダメなの♡おっさん、勝手に出そうとしたよね?めっ、だよ♡」

 

 この女――。

 

 完全に支配者の顔をしていた。

 昼間凛にペースを握られていた俺は、今度は琴音に完全に主導権を握られていた。

 女性上位。

 俺は二人の女の間で、ただ翻弄されるだけの存在だった。

 

「ほら、もう一回♡」

 

 ぬぢゅ、ぬぢゅ、と。再び、胸の律動が始まる。

 

 俺はもうなされるがままだった。

 限界まで高められては、寸前で止められる。その繰り返しに、下半身が焼き切れそうになる。

 

 ぬりゅんっ♡ぬりゅんっ♡たぱんっ♡たぱんっ♡

 

「あっ、また硬くなってきた♡出したい?出したいの?♡」

 

「……っ、出したい……っ、頼む、もう……っ」

 

「だ〜め♡まだ『よし』じゃないもん♡」

 

 ぴたっ。

 

 三度目の生殺し。

 

「あ゛……っ」

 

 俺はみっともなく呻いた。

 快感と、寸止めの辛さ。相反する感覚が頭の中でぐちゃぐちゃに混ざり合う。

 竿はビキビキに勃起し、先端からは我慢汁が止めどなく溢れて琴音の胸を汚している。

 

 もう、プライドも何もなかった。

 

「琴音……っ、頼む……出させてくれ……っ」

 

「んー?なんて言うのかな?♡」

 

「……出させて、ください……っ。俺が悪かった。昼間のことも謝る。だから、もう……っ」

 

 三十八歳の中年男が、涙目で若い女に懇願していた。

 情けない。だが、この寸止め地獄から解放されるならプライドなんてどうでもよかった。

 

 琴音はその姿を、心底愉快そうに見下ろしていた。

 狐耳が満足げにぴこぴこと揺れている。

 

「ふふ……よく言えました♡」

 

 そして、彼女は慈悲深く微笑んだ。

 

「いいよ。――よし♡」

 

 その一言と同時に、胸の律動が一気に加速した。

 

 ぬぢゅぢゅっ♡ぬりゅんっ♡だぱんっ♡だぱんっ♡ぬぢゅうっ♡♡

 

「出して♡おっさんの溜まりに溜まったの、ぜんぶ、あたしのおっぱいにぶちまけなよっ♡」

 

「――ぐっ、お、おおっ……!」

 

 堰き止められていたものが、決壊した。

 三度も寸前で止められ、限界まで濃縮された欲望が爆発する。

 

 どびゅるるるっ!!!びゅっ!!ぶびゅるるるっ!!!

 

「きゃっ♡すごっ♡♡」

 

 凄まじい勢いだった。

 白濁液が谷間から噴き上がり、琴音の胸の間を一瞬で埋め尽くす。

 それでも収まらず、勢いあまった精液が彼女の顎から、頬、そして――顔にまで飛び散った。

 

「ん♡♡あはっ♡顔にまでっ♡どんだけ溜め込んでたの、おっさんっ♡♡」

 

 どくどくと、俺は延々と吐き出し続けた。

 三度の生殺しの末の射精は、頭が真っ白になるほどの快感だった。

 

 ようやく収まった時、琴音の胸の谷間には白濁液の溜まりができていた。

 どろりと粘つく、精液のプール。

 そして彼女の顔からは頬を伝った精液が、つう、と滴り落ちていた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「……ふふ♡すっごい量♡おっさん、あたしのこと溜め込んでたんだね♡」

 

 琴音は頬に垂れた精液を指ですくい、それを見せつけるように舌先で舐めとった。

 うっとりと、満足げに。

 

 顔を汚され、胸を汚され、なのに彼女は勝ち誇っていた。

 これが女の余裕というやつか。

 

 

「ね~え、おっさん」

 

 精液まみれの胸を揺らしながら、琴音がふと、思いついたように尋ねてきた。

 

「あの子とヤった時、こんなに出た?」

 

「……は?」

 

「あの、ちっちゃい猫の子。あの子の平らな胸で、こんなにいっぱい出せた?」

 

 

 その目は爛々と輝いていた。

 まだ、根に持っている。というか比較してマウントを取りたくて仕方がないらしい。

 

「……出せるわけないだろ。あいつの胸じゃ、パイズリなんて物理的に無理だ」

 

「でしょ〜?♡洗濯板にこすりつけるみたいになるよね~」

 

「いや……多分そこまでは……」

 

 琴音の尻尾が、ぱたん、と機嫌よく床を打った。

 

「じゃあさ、あの子の中に出した時と、今、どっちがいっぱい出た?」

 

「……今に、決まってる」

 

「あの子とあたし、どっちの体の方が気持ちいい?」

 

「……お前だよ。おっぱいの威力が暴力的すぎる」

 

「あはっ♡♡正直者♡♡」

 

 琴音は、俺の答えの一つ一つに、うっとりと目を細めていく。

 質問するたびに、頬が上気し呼吸が浅くなっていくのがわかった。

 

 ……こいつ、自分でマウント取りながら興奮してやがる。

 

 狐耳がぴんと立ち、金色の尻尾がそわそわと落ち着きなく揺れる。

 獣人の感情は、耳と尻尾に出る。琴音のそれは、今、明らかに――発情していた。

 

「はぁ……ねえ、おっさん、なんかあたし、ぞくぞくしてきちゃった♡」

 

「お、おい待て。俺は昼間あの猫娘に搾られて、その上でさっきお前の胸にあんだけ出したんだぞ。もう――」

 

「関係ないよね♡」

 

 琴音は精液まみれのまま、俺をベッドに押し倒した。

 そして、俺の腰を跨ぐ。

 

 彼女の股間は――もうとっくに濡れそぼっていた。

 マウントを取りながら、パイズリをしながら、彼女はずっと発情していたのだ。

 

「見て♡あたしのここ、もうこんなにぐちゃぐちゃになってる♡おっさんの精子の匂い嗅いでたら、我慢できなくなっちゃったみたい♡」

 

 ぬちゃり、と。

 濡れた秘裂が、射精直後の敏感な亀頭に押し当てられる。

 

「ま、待て、琴音、俺、今挿れたら――」

 

「いいから♡」

 

 そして、彼女は一気に腰を落とした。

 

 ずぶぅうう……っ♡♡

 

「ん゛ぁっ♡♡こうなったらっ♡おっさんのちんぽ、あたしの中でおしおきしてやるっ♡♡」

 

 射精直後の、過敏になった肉棒。

 それが、きつねの熱い膣内に根元まで一気に呑み込まれる。

 

 快感を通り越して――痛い。

 達したばかりのちんこを、うねる粘膜が容赦なく締め付けてくる。

 

「く……っ、待て、今は、刺激が強すぎて……っ」

 

「あはっ♡おっさんの、びくびくしてる♡イッたばっかりで敏感になってるんだ♡かわいそ〜♡」

 

 琴音は俺の反応を楽しむように、腰を上下に揺すり始めた。

 

 ぱちゅんっ♡ぱちゅんっ♡ぬちゅっ♡

 

「あっ♡うにゃっ♡なまいきなちんぽさんだなぁっ♡くらえっ……ぐりぐりしてっ♡えっちなカメさんを削っちゃえっ♡」

 

「ぐ……っ、頼む、少し、ゆっくり……っ」

 

「や~だ♡」

 

 全力の騎乗位だった。

 豊満なおっぱいが腰の動きに合わせて、たっぷん、たっぷんと上下に揺れる。

 俺の視界いっぱいに、暴力的な質量の乳肉が躍る。

 

 これがきつねの本気の発情。

 俺は完全に下敷きにされていた。

 

「ねえ、おっさん♡正直に言って?あの子と、あたしと、どっちが好き?♡」

 

「……っ、そんなの、今聞くことか……っ」

 

「いいから言って♡どっちが好き?♡」

 

「……琴音、だよ……っ」

 

「うっそだ~♡おっさん、ロリコンだから、ねこの子の方がいいんでしょ?♡」

 

 喘ぎながら、彼女は責め立ててくる。

 腰を振りながら、膣内を締め付けながら、言葉でも俺を追い詰める。

 

「あっ♡あっ♡ほんとはあの子の、ちっちゃくてキツキツのおまんこの方がいいくせにっ♡♡こんなおっぱいおばけのこと、ほんとは好きじゃないんでしょっ♡♡」

 

「……っ、違う……っ」

 

「じゃあ証明してよっ♡あたしの中にっ、あの子より濃いの、いっぱい出してっ♡♡」

 

 ……この女。

 口ではあれこれ言っているが、要は拗ねているのだ。凛に嫉妬して、不安になって、それを全部この行為でぶつけてきている。

 

 だったら――応えてやるしかない。

 俺は、痛みと快感でぐちゃぐちゃになりながらも、なんとか反撃を試みた。腰を掴み下から突き上げる。

 

 どちゅっ♡♡

 

「ひぐっ♡♡お゛ぅっ♡そこ、ずるっ……い゛ぃっ♡あたまの奥まで、じんってっ♡♡」

 

「……っ、体、入れ替えるぞ」

 

「え♡」

 

 だが、それすらも琴音の掌の上だった。

 彼女はあえて抵抗せず、俺が体を入れ替えるのを――誘導するように身を任せた。

 

 気づけば、俺が上になっていた。だが、主導権を握らせてもらった、というだけの話だ。

 

 仰向けになった琴音の上に、俺は覆いかぶさる。

 密着した瞬間、彼女の巨大なおっぱいが、俺の胸板に押し潰されて、ぐにゃりと形を変えた。

 

 むにゅうっ♡

 

「んっ♡おっぱい、潰れちゃう♡おっさんの胸で、ぺしゃんこ♡」

 

 柔らかい肉が、汗ばんだ肌と肌の間でいやらしくひしゃげる。

 その感触に、俺の理性の最後の一片が焼き切れた。

 

「あっ♡あっ♡おっさん、激しっ♡♡そう、それっ♡そうやって、あたしのことちゃんと見てぇっ♡♡」

 

 俺は、密着したまま彼女の唇を塞いだ。

 

 ちゅっ♡ ぢゅるっ♡ れろれろっ♡

 

 キスをしながら、腰を打ち付ける。

 舌を絡め、唾液を混ぜ合わせ下では激しく突き上げる。

 全身で彼女を抱きしめながら。

 

「ん゛っ♡ん゛ぅっ♡ちゅっ♡おっさっ♡あたしっ、もうっ♡♡」

 

「……っ、俺も、もう出る……っ」

 

「一緒っ♡一緒にっ♡あたしの中にっ、いっぱいちょうだいっ♡♡」

 

 密着した体。

 潰れ合うおっぱい。

 絡み合う舌。

 

 そして、俺は――彼女の一番奥に、この日何度目かの精を解き放った。

 

 どくんっ!どぴゅどぴゅっ♡♡♡

 

「ん゛〜〜〜っ♡♡♡ちゅ、ん゛ぶっ♡♡〜〜〜〜っ♡♡♡ん゛ぅうっ♡♡♡」

 

 キスで口を塞がれたまま、琴音の全身がびくびくと痙攣した。

 膣内が精液を一滴残らず搾り取ろうと、きゅうきゅうと収縮する。

 

 俺たちはしばらくの間、唇を重ねたまま絶頂の余韻に浸っていた。

 

 ようやく唇を離すと、二人の間に透明な唾液の糸が引いて、ぷつりと切れた。

 

 

 

§

 

 

 

 事が済んだ後。

 

 俺たちは汗だくのまま、ベッドに並んで寝転がっていた。

 クーラーの効いた琴音の部屋は、火照った体に心地いい。ついているエアコンは自分が買った型落ちものよりも高性能らしかった。

 

 琴音は俺の腕に頭を乗せ、猫のように――いや、きつねのようにすり寄ってきた。

 さっきまでの支配者の顔は、どこにもない。

 あるのは甘えたがりの、一匹の獣だった。

 

「ねえ~、おっさん」

 

「なんだ」

 

「あたしさ、別におっさんが新しい女増やすのダメとは言わないよ」

 

 彼女は俺の胸に指で円を描きながら、ぽつりと言った。

 

「たぬきの上の階の子も、猫のあの子も、まあ……おっさんがモテる分には、いいと思う。獣人って意外とそのへんおおらかだし」

 

「……お前がおおらかとは思えないんだが」

 

「うるさいなぁ。今いい話してるんだから黙っててよ」

 

 狐耳が少しむくれたように、ぴくりと動いた。

 

「でもさ。新しい子に夢中になって、あたしたちのこと、おろそかにしないでよね」

 

「……」

 

「あたしも、瑠衣も、ちゃんと見て。忘れないで。それだけ」

 

 珍しく素直だった。

 いつものあざとさも、マウントも、そこにはなかった。

 ただ不安と寂しさと、ほんの少しの独占欲。

 

 ……可愛いところもあるじゃないか。

 三度も寸止めしてきた鬼のような女だが。

 

「……わかったよ」

 

 俺は彼女の頭を、ぽんと撫でた。

 

「掃除も飯もお前のことも、ちゃんとやる。忘れやしねえよ」

 

「……ほんと?」

 

「ああ。だから、次はもう少し、手加減してくれ。寸止めは、心臓に悪い」

 

「あはっ♡それはやだ♡だって、おっさんの我慢してる顔、かわいいんだもん♡」

 

 ……前言撤回。

 やっぱりこいつは、鬼だ。

 

 琴音は満足げに笑うと、俺の腕の中ですぐに寝息を立て始めた。

 金色の尻尾がふわりと俺の脚に絡みついてくる。

 

 窓の外ではまだ夜のセミが、細々と鳴いていた。

 

 

 

§

 

 

 

 翌朝。

 

 俺は全身の筋肉痛と、絞りきられた疲労感の中で目を覚ました。

 昨日は、昼に凛、夜に琴音と、二人の獣人を相手にした。三十八歳の体力に、これは明確にキャパオーバーだった。

 腰が、もう二度と立ち上がりたくないと悲鳴を上げている。

 

 隣では琴音がまだ気持ちよさそうに眠っている。

 精液まみれだった顔も、昨夜のうちにシャワーで流したのか、今はすっきりとした寝顔だ。

 安らかで清楚で、これが酒クズのメスきつねだとは誰も思うまい。

 

 俺はそのぷにぷにの頬をつんつんとつつきながら、ふと、今日の予定を思い出した。

 

 ……そうだ。今日、短期バイトが入っていた。

 倉庫の棚卸しだ。朝九時集合。時給は悪くないが体力勝負の仕事だ。

 

 この満身創痍の体で、荷物運びとか、正気か?

 だが、エアコンの金の分と、増え続ける獣人たちの食費(と酒代とビール代)を思えば、休むわけにはいかない。

 

 俺は軋む体をなんとか起こした。

 寝ている琴音を起こさないよう、そっと服を身につけ、彼女の部屋を後にする。

 

 廊下に出ると、朝の熱気がじっとりと肌にまとわりついた。今日も猛暑日になりそうだ。

 

 自分の部屋のドアを開ける。冷房を切っていた室内は、既にサウナのように蒸し始めていた。

 急いでリモコンのスイッチを入れると、新品のエアコンが頼もしい冷風を吐き出し始める。

 

 ……ああ、生き返る。

 やっぱり文明の利器は偉大だ。

 

 俺は汗を拭きながら、着替えを済ませた。

 テーブルの上には凛が置いていった「回数券」の封筒が、まだそのまま置かれている。

 ……あいつのこともそのうち何とかしなければ。琴音とのこともあるし、これ以上のトラブルは勘弁願いたい。

 

 だが、まあ。

 今考えても仕方がない。

 

 俺は封筒をひとまず引き出しの奥に押し込むと、バイト用のカバンを肩に掛けた。

 

 

 

 ……にしても、腰が痛い。

 今日のバイト、途中で倒れないといいのだが。

 

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