【後日談:秘密の共有と、二人の定番】
1. 逃げ場のない尋問、暴かれる秘密
「キーンコーンカーンコーン……」
午前中の最後のチャイムが教室に鳴り響いた、まさにその瞬間だった。
まだ教科書をノートに挟んでいる途中の由海の左右を、影が遮る。
「はい、由海さん確保〜w」
「観念して、お昼のフルコース(尋問)の時間だよ?」
「ふぇ……っ!?」
おっとりとした声を上げる暇もなく、由海は両脇を親友の二人――陸上部で一緒のサキと、クラスメイトのマイにがっしりと固められた。抵抗する術もなく、彼女たちは購買でパンを買い込むと、校舎の裏手にある、普段は滅多に人が来ない人気の少ないベンチへと由海を連行した。
「さぁ、白状してもらいましょうか。今日のその、一晩で一気に大人になっちゃいましたみたいな色気の理由をさ!」
マイがニヤニヤしながら、買ってきた焼きそばパンをマイクに見立てて突き出す。サキもまた、お弁当箱を開けながら、逃がさないと言わんばかりに由海の正面に陣取った。
「も、もう、二人とも大袈裟だよぉ……っ。お肌が調子いいのは、昨日早く寝たからで……っ」
由海は必死にいつものおっとりとした笑顔で誤魔化そうとする。しかし、彼女は嘘が驚くほど下手な上に、付き合いの長い親友二人には、その動揺が手に取るように分かっていた。
「へぇー、早く寝たんだ? でもさ、昨日由海が先輩の部屋の方に行くの、部活帰りに見たよ?w」
「そうそう。しかも、20時過ぎに駅のホームで由海を見たって子がいてさ。ねえ、放課後からそんな時間まで、先輩の部屋で『早く寝る準備』でもしてたの?」
「――っっっ!!!!」
サキとマイの見事な連携による、逃げ場のない誘導尋問。
その瞬間、由海の脳裏に、昨夜の記憶がこれ以上ない鮮明さでフラッシュバックした。
両手を縛られてM字に開脚させられ、目隠しの中で冷たい電動ディルドに激しくナカを抉られて潮を吹いたこと。後ろの穴にアナルビーズを五つも詰め込まれ、最後は自分から「壊してください!」と泣き叫びながら、先輩の太いペニスに跨がって腰を振ったこと――。
「ひぅ、んんっ……!」
一瞬にして、由海の顔面が耳の裏、果ては制服の襟元に隠れた胸元まで真っ赤に染まった。あまりの羞恥に、持っていたメロンパンで顔を隠そうとするが、親友たちに両手首を優しく掴まれて阻止される。
「あ、手が震えてるw」
「由海って本当に分かりやすいよね。……ねえ、ぶっちゃけ、どこまでやったの? いつも通り、ゴムつけて一回シて終わり……じゃないよね、その顔は?」
「う、ぅ……。……その、お、お仕置き、されて……っ」
「お仕置き!?」
二人の目が爛々と輝く。
ここからはもう、坂道を転が boulder(巨石)のようだった。素直で流されやすい由海は、二人の「え、それってどういうこと?」「優しくしてくれなかったの?」という巧妙な質問の波に押され、恥ずかしさに涙目を潤ませながら、昨夜の出来事をぽつり、ぽつりと口にしてしまった。
目隠し、拘束、そして機械を使った激しい責め。
最初はおっとりとしたいつものトーンで話していた由海だったが、話が進むにつれて、昨夜の快感が身体の奥でチリチリと蘇り、あえぐような吐息が混ざり始める。
「……おしりに、まるいの、入れられて、……それで、動くたびに、イク、って……っ」
「……え」
「ちょ、ちょっと待って……」
最初は面白がって聞いていたサキとマイの顔から、徐々に余裕の笑みが消えていった。
十七歳の女子高生にとって、それは想像の遥か上を行く、あまりにも「ディープでハードな世界」だったからだ。お互いに好き同士の純愛カップルが、まさか放課後の民家でそんなSM紛いの激しいプレイに耽っているなど、誰が想像できただろうか。
「由海……あんた、それ……ヤリすぎじゃない……?」
サキが少し引き気味に、しかし親友としての本気の心配を滲ませながら苦笑いを浮かべた。マイもゴクリと唾を飲み込み、「先輩、普段は優しいのに、そんな絶倫変態サディストだったの……?」と戦々恐々とした表情を浮かべている。
2. 輝く幸福と、二人だけの特別な「定番」
思った以上のハードプレイの全貌に、驚きと心配を隠せない親友二人。
しかし、そんな二人からの心配の視線を受け止めた由海は、ふっと、それまでの羞恥の表情を和らげた。
そして、誰も聞いていないのに、胸の奥から溢れ出る愛おしさを我慢しきれないといった様子で、トロンと蕩けたような、世界で一番幸せそうな「輝くばかりの笑み」を浮かべて、特大の惚気話を炸裂させたのだ。
「ううん、でもね? ……最後の一回は、めちゃくちゃ優しくシてくれてたんだよ?」
「へ……?」
「先輩の、おっきくなったのを、私が優しくペロペロってしてあげたらね、先輩、すっごく優しいお顔になって……。それで、ベッドの中で、ずーっとぎゅって抱きしめ合いながら、ゆっくり、ゆっくり、お互いのあったかいところを確かめ合うみたいに、いっぱいきゅんきゅんシてくれたの……っ」
「あ、うん……」
「だから、お仕置きはちょっと怖くて、すっごく変になっちゃうくらい気持ちよかったけど……最後は、いつもの優しい先輩だったから、由海、先輩のこと、もっともっと大好きになっちゃった……っ」
はわわ、と自分の両頬を包み込み、幸せの絶頂にいるかのように身悶えする由海。
その純粋無垢で、一点の曇りもない「愛の告白」を目の当たりにしたサキとマイは、完全に毒気を抜かれ、お互いに顔を見合わせて深くため息をついた。
「……ダメだこりゃ。本人が一番幸せそうだわ」
「うん。ヤリすぎなのは確かだけど、これ、ただのバカップルの最上級なだけだね……」
結局、尋問は由海の圧倒的な惚気話によって有耶無耶になり、お昼休みは終わりを迎えた。親友二人は「ごちそうさま」と呆れながらも、由海が本当に愛されていることを知り、どこか安心したように教室へと戻っていった。
――あの夏の激しい夜を境に、二人の関係は「マンネリ」という言葉とは完全に無縁になった。
お互いに大好きだからこそ、相手のすべてを受け入れたい。
それからというもの、二人の間には、ある「特別な定番」が出来上がっていた。
二人の記念日やクリスマスといった特別なイベントの夜。
先輩の部屋のベッドの上で、由海は再び、あの革のベルトで両手を固定され、目隠しをされ、恥ずかしいM字の格好で丸裸にされる。
「ジュクジュク、グチョチョチョッ!」と、激しい機械の振動と、先輩の容赦ない言葉攻めに泣き叫び、大粒の涙を流しながら「先輩のでイキたい!」と破廉恥なおねだりをさせられる、ダークで、過激で、容赦のないハードプレイ。
しかし、その過激な蹂躙によって、由海の華奢な肉体と精神が限界まで淫らに開発され、何度も何度も潮を吹いて果てたその後に、必ず「ご褒美」の時間が待っている。
「……由海、よく頑張ったね。優しくしてあげる」
拘束を解かれ、目隠しを外された由海は、涙で濡れた瞳で大好きな先輩の顔を見つめ、その逞しい胸に飛び込んでいく。
新しいゴムを優しく装着し、お互いの心臓の鼓動を感じ合うように、ゆっくりと、深く、深く、最奥まで 繋ぎ合わされる肉体。
「クチュ……、クチュ……、ん、ちゅ……」
お互いの唇を何度も貪り合いながら、世界で一番甘くて優しい、愛に満ちたHで、二人の夜はいつも締めくくられる。
過激なハードプレイと、それを何倍もの幸福感で包み込む、極上の甘い愛。
十七歳の二人が見つけた、少し歪で、けれど誰よりも一途な純愛の形は、これからも二人の身体と心に、消えない熱い足跡を刻み続けていくのだった。
(第2章「純愛×ハードプレイ編」・完)