【結】
1. 純愛の調律と、ささやかな反逆
カチリ、と静かに部屋の照明が落とされ、夕暮れから夜へと移り変わる薄暗い闇が二人を包み込んだ。
先ほどまでの、自由を奪われた拷問のような空間が嘘のように、今のベッドの上には穏やかで、どこか切ないほどの甘い空気が満ちている。
「由海……いくよ」
「ん、はい……っ。……いつでも、いい、よ……っ」
先輩は由海の華奢な身体を正面から優しく抱き締め、その細い太ももをゆっくりと押し開いた。
新しいゴムに包まれたペニスの先端が、由海のぐしょぐしょに濡れそぼった割れ目へとあてがわれる。先ほどの激しいプレイのせいで、彼女の秘部はすでに限界まで柔らかくほぐされ、自ら溢れ出させた愛液でクチュクチュと切ない水音を立てていた。
「ん、あ……っ、ふ、あぁ……っ」
ゆっくりと、滑り込むようにして、肉の温もりが最奥へと沈み込んでいく。
いつも通りの、優しい挿入。しかし、さっきまで機械でめちゃくちゃに蹂躙され、生殺しにされ、無理やり開拓された反動だろうか。由海の膣内はいつも以上に敏感に、そして貪欲に先輩のペニスを感知していた。
(あ、すごい……。いつもより、先輩のが……すっごく、奥まで、深く繋がってる、みたい……っ)
「クチュ……、クチュ、チュル、ル……」
静かで、どこか心地よい水音が二人の間で細く鳴り響く。
先輩の大きな手が由海の背中に回され、お互いの肌がぴったりと密着する。大好きな先輩の匂い、耳元で聞こえる愛おしい呼吸、そして自分を壊さないように気遣ってくれる優しいピストンのリズム。
あまりの幸福感に、由海の目元から、先ほどとは違う温かい涙がポロポロと溢れ落ちた。
(……あぁ、幸せだなぁ。ずっと、ずっとこのままが良いな……っ)
ゆっくり過ぎず、激し過ぎない、いつもの優しいピストン。
そのストロークの合間に、由海はふと、悪戯な笑みを脳裏に浮かべた。先ほどまで自分を散々意地悪にいじめてくれた先輩への、おっとりとした彼女なりの、ささやかな「仕返し」のつもりだった。
先輩のペニスが引き抜かれ、再び奥へと挿入されるその瞬間。由海は自分の膣壁にキュッと力を込め、中に入ってきたペニスの亀頭を強めに締め付けて翻弄した。
「――っ!? おい、由海……っ、お前、今……」
突然の、名器からの予期せぬ熱い締め付けに、先輩が驚いて動きを止め、目を見開く。そのうろたえる大好きな顔を見て、由海は蕩けたような笑みを浮かべ、耳元でクスリと小さく囁いた。
「ふふ……っ。仕返しですよ、センパイ……っ!」
「お前なぁ……。そんなことシたら、すぐ終わっちゃうだろ」
「いいですよ、おしまいになっても……っ。だって、先輩、さっきすっごく意地悪だったから……っ」
いたずらっぽく微笑む由海の可愛らしさに、先輩の胸の奥の愛おしさが爆発する。
二人はどちらからともなく唇を重ね合い、お互いの唾液を「ちゅ、る……、レロ……」と深く貪り合いながら、再び腰を重ね合わせた。
しかし、至福の時間は永遠には続かない。由海の蜜をたっぷりと吸い上げ、彼女の熱い膣内に包まれているうちに、先輩のペニスは限界までの射精感を高めていた。
「由海……っ、もう、ダメ、……少し、早くするよ」
「ん、あ……っ、はい、……いい、よ、先輩……っ。由海も、お手伝い、シます……っ」
「パン、パン、パン、パンッ! ジュク、ジュブブブッ!」
ピストンの速度が優しく加速していく。由海も先輩の首に細い両腕を回し、彼の動きに合わせて自分の腰を小さく揺らしながら、キュッ、キュッと小刻みに膣内を締め付けて、先輩の絶頂を優しく促した。
「あ、あ、いく、先輩、いっしょに……っ、あん、あぁぁーーっ!」
「由海、由海……っ、あぁぁーーーーっ!!」
「ビュク……っ、ビュルルル、ルッ……!!」
激しすぎない、お互いの愛を確かめ合うための、優しいピストン。
その中で、二人はお互いの身体を強く強く抱きしめ合いながら、優しく、そして深い、幸福な絶頂へと同時に上り詰めたのだった。
2. 秘密の「ごちそうさま」と、日常の仮面
「ハァ……、ハァ……、っ、ふぅ……」
お互いの限界に達し、静かになった部屋で、二人はしばらくの間ハグとキスを繰り返していた。
やがて先輩がぬるりと由海の身体からペニスを抜き去り、ティッシュを使って、避妊用のゴムを根元から手際よく外していく。ゴムの先端には、先ほど放たれた先輩の白濁した熱い精液が、たっぷりと溜まって重そうに垂れ下がっていた。
その時だった。
「……ん」
「――え?」
先輩がゴミ箱に捨てようとしたその瞬間、由海は横たわったまま、小さな手でヒョイっとそのゴムを奪い取った。そして、信じられないほど自然な動作で、ゴムの口を自分の唇へと運び、中に溜まっていた先輩の精液をごくりと、何の抵抗もなく喉の奥へと飲み込んでしまったのだ。
さっき、お仕置きとして無理やり飲まされた時とは違う。今回は、由海が自らの意思で、当たり前のように大好きな人のすべてを体内に取り込んだのだ。
「ぷは……っ。ごちそうさま!」
真っ赤な唇の端をペロリと舌で舐め、由海は何事もなかったかのようにふわりと微笑んだ。
あまりの突飛で淫らな行動に、先輩は手にティッシュを持ったまま、呆然と口を開けて完全にフリーズしている。
「……しゃ、シャワー浴びてきて、良いですか?」
「あ、あお……おう。行ってきな……」
戸惑いながらもようやく返事をした先輩を残し、由海はベッドから華奢な身体を起こすと、足元を少しふらつかせながらバスルームへと向かった。
シャワーの温かい水流が、汗と愛液で汚れた由海の身体を優しく洗い流していく。
ボディーソープを泡立て、自分の身体を丁寧に洗う指先が、先ほどまで先輩のペニスや指、そして冷たい機械で徹底的に責め立てられていた場所に触れる。色素沈着はまだ薄いものの、週二回の行為で少しだけ育ち始めた陰唇は、今もまだジンジンとした心地よい痺れを残していた。
(……ふふ。今日は、最初すっごく激しかったなぁ……)
胸元を洗いながら、由海は心の中でさっきの光景を思い返していた。M字に固定され、目隠しをされ、恥ずかしい言葉を何度も言わされたこと。
(でも……時々なら、あんな風に激しくされるのも、好き、かも……)
大好きな先輩の手によって、自分の奥底にある淫らな本性をじわじわと「調教」され、開発されていることに、由海はおっとりとした自覚を持ち始めていた。それが、嫌悪感ではなく、むしろたまらない快感として身体に刻まれている。
シャワーを終えて脱衣所の鏡の前に立った時、時間はすでに20時を過ぎていた。
由海は、湿って少し乱れた髪をドライヤーで手早く乾かすと、壁に掛けられていた17歳の制服を、一枚一枚丁寧に着直していった。ブラウスのボタンを上まで留め、リボンを綺麗に結び、プリーツスカートの皺を伸ばす。
首元や胸元に、先輩が残した赤いキスマークがないかを念入りにチェックする。幸い、制服で隠れる位置以外には、目立つ痕跡は残されていなかった。
「先輩、お先です。……また明日ね」
ベッドでまだ少し放心している先輩の頬にちゅっと軽いキスを落とし、由海はカバンを肩にかけて先輩の部屋を後にした。
夜の帳が下りた街を、駅に向かって歩く。
ついさっきまで、あの部屋で手足を縛られてあえぎ狂っていた少女とは誰も思わないだろう。由海は、いつもの「おっとりとした女子高生」の仮面を完璧に被り直し、電車に揺られて帰路についた。
21時前。実家の玄関を開ける。
「ただいま戻りましたー」
「おかえり由海。遅かったわね、部活大変だったの?」
「うん、ちょっと居残り練習が長引いちゃって。ごめんなさい」
母親の言葉に、由海は少しも動じることなく、いつものおっとりとした優しい笑顔で嘘をついた。
ダイニングテーブルにつき、何事もなかったかのように家族と一緒に温かい夕食を食べる。テレビのニュースを眺め、父親の他愛のない話に相槌を打つ。その間も、自分のスカートの中の下着(ショーツ)には、シャワーを浴びたにもかかわらず、まだわずかに先輩の匂いの残渣が染み付いているような気がして、下腹部が微かに疼いた。
食後、お風呂に浸かって身体をもう一度温め、部屋に戻ってからは机に向かって軽い自習をこなす。教科書の文字を追いながらも、時折、頭の中に「先輩の固いの、いれてください……っ」と叫んでいた自分の破廉恥な声がリフレインし、ペンを握る手が止まった。
23時半。パジャマに着替えた由海は、自分のベッドの中へと潜り込んだ。
自分の部屋の、いつものお布団。しかし、身体の芯に残る強烈な快感の余韻が、彼女を優しく包み込んでいる。
(先輩……大好きだよ)
心の中で愛しい人の名前を呟きながら、由海は心地よい疲労感に身を任せ、深い眠りへと落ちて行(ゆ)くのだった。
3. 翌朝の兆候、色香を纏う少女
翌朝。夏の澄んだ青空が広がる通学路。
いつもの待ち合わせ場所に、由海は少し早めに到着していた。朝の爽やかな風に制服のスカートを揺らしながら待っていると、向こうから見慣れた先輩の姿が歩いてくるのが見えた。
「先輩! おはようございます」
由海はパタパタと小走りで駆け寄り、満面の笑みで挨拶をした。
先輩は由海の顔を見た瞬間、昨夜のあの凄まじいハードプレイと、最後に彼女がシた「ごちそうさま」の破廉恥な行動を思い出したのか、少しだけ気まずそうに、しかし愛おしそうに視線を泳がせた。
二人は並んで学校への道を歩き始める。周囲に他の生徒がいないことを確認すると、先輩は少し声を潜めて、心配そうに由海に話しかけた。
「なぁ、由海。……昨日は、さすがにちょっと、やり過ぎたっていうかさ。縛ったり、変な玩具使ったりシたし……。その、身体、大丈夫だった……?」
普段の優しい先輩に戻って、本気で自分を気遣ってくれるその姿が嬉しかった。
由海は先輩の顔を見上げると、一歩近づいて、誰にも聞こえないような小さな、でも最高に艶のある声で答えた。
「ううん! 全然大丈夫、元気いっぱいだよ、先輩っ!」
その瞬間の由海の肌は、昨夜大量の男性ホルモンを浴び、何度も深く絶頂を迎えたせいか、いつもよりワントーン明るく、驚くほどツヤツヤと瑞々しい輝きを放っていた。声の響きにも、どこか大人の色香がほんのりと混ざり合っている。
「……そっか。なら、良かったけど。……でも、またシたくなったら、言ってね」
「ふふ、はい。……時々なら、またお仕置きシてくださいね?」
おっとりとした口調で、とんでもないおねだりを返す由海に、先輩は思わず顔を赤くして言葉を詰まらせた。二人はそれ以上は何も言わず、ただお互いの距離をいつもより少しだけ近くに感じながら、学校の正門をくぐった。
下駄箱で上履きに履き替え、二人は「じゃあね」「また放課後、部活でね」と短い言葉を交わして、それぞれの教室へと向かって歩き出した。
由海が自分の教室のドアを開け、「おはよう」と席についた、その瞬間だった。
「――あれ? ちょっとちょっと、由海さん?」
席の周りにいた、いつも一緒にいる部活の友人たちが、由海を見るなり一斉に目を丸くした。友人たちはニヤニヤとした、どこか鋭い視線を由海へと一斉に向ける。
「な、なぁに……? ふたりして、どうシたの?」
由海が小首を傾げると、友人の一人が机に身を乗り出し、親指で由海の顔を指差しながら茶化すように笑った。
「どうしたの、じゃないよ〜! 何そのツヤツヤのお肌! なんか今日、由海からすごーい女の子のいい匂いがするんだけど!」
「えっ!? そ、そんなこと……っ」
「いやいや、隠しても無駄だって。今日の由海さん、なんかこう……内側から輝いてるっていうか、色気がダダ漏れなんですけど〜? さては昨日、ウワサの先輩と、何か『いいこと』しちゃったでしょ〜?」
「ひゃんっ! 違っ、違います、そんなこと……っ!!」
友人たちの鋭すぎる嗅覚とツッコミに、由海は昨夜の「M字開脚」や「お尻のビーズ」、そして「ゴムの中身をごちそうさま」した瞬間を思い出し、一瞬にして顔面を沸騰させた。
カバンで真っ赤になった顔を必死に隠そうとするが、耳の裏まで真っ赤に染まっているのは一目瞭然だった。
「ほら〜! 顔真っ赤じゃん! 決定〜!!」
「よし、今日の昼休みは学食のテラス席ね。昨日先輩と何をしたのか、隅から隅までたーっぷり話して貰おうか〜、由海さん?w」
「ううぅ……っ、2人とも、意地悪だよぉ……っ!!」
友人たちの賑やかな笑い声に包まれながら、由海は机に突っ伏して恥ずかしさに身悶えした。
しかし、その机の下で、彼女の太ももは昨日教え込まれた強烈な快感を思い出して、ひそかにキュッと熱く、固く締め合わされているのだった。
(【結】・完)