数日後、場所はカルデア中央部に位置する作戦司令室。
部屋の壁一面を埋め尽くす巨大な観測用ホログラムモニターには、複雑に交差する魔術波形と時空歪曲率の数値が絶え間なく明滅している。計器の作動音と冷却ファンの駆動音が静かに響くなか、多数の技術スタッフたちがそれぞれの端末に向かい、レイシフトを間近に控えた最終チェックに追われており、室内には張りつめた緊張感とプロフェッショナルの熱気が満ちている。
司令官席の周辺には、カルデアの首脳陣および出撃メンバーが集結していた。
統括指揮を執るのは、前所長の死後、臨時司令官として全体を率いる医療部門のトップ、ロマニ・アーキマン。医師の白衣に身を包み、気弱そうでどこか頼りない雰囲気を漂わせつつも、その眼差しには人理を守護する者としての真剣な光が宿っていた。その隣には、カルデアの最高顧問である人類史上最高峰の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチが華やかな微笑みをたたえて佇んでいる。
そして二人の前には、カルデアのマスターであるあなたと立香、そしてあなた達と契約を交わしたマシュ、スカサハといった英霊たちが控えている。
壁際では、ジャンヌ・オルタが腕を組み、退屈そうに体を預けていた。本来であれば、彼女の胎内にはあなたから注がれた濃密な精液によって種火が芽吹いてるせいで、臨月のごとく歪に腹が大きく膨らみ上がっているはずであった。しかし現在の彼女のシルエットは、普段と変わらぬ引き締まった姿そのものだ。スカサハが施した認識阻害と隠蔽のルーンによる偽装であり、周囲の人間には腹の膨らみが見えないようになっている。
あなたが壁際のオルタへ視線を送ると、彼女はすぐさまそれに気づいた。スタッフや他の英霊たちの意識が自分に向いていないことを目ざとく確認すると、オルタは口元に細い指先を一本立て、「しーっ」と不敵な笑みを浮かべる。そして直後、甲冑の隙間から滑り込ませた指先で、服の上から自身の湿った膣の割れ目を卑しくぬちりとなぞって見せた。
(早く私のお腹を破裂させてみなさいよ、ご主人様……♡♡♡♡♡)
暗にそう挑発してくるオルタの視線に対し、あなたが不敵な笑みを返す。
やがて司令官席のロマニが話を切り出すように咳払いをすると、ブリーフィングが始まるのを察したオルタは何事もなかったかのようにすっと手を下ろて、澄ました顔となる。
「よし、全員揃っているね。それじゃあ、第二特異点へのレイシフトに関する最終ブリーフィングを始めるよ」
作戦司令室内のホログラムが切り替わり、地球儀の上に一つの時代と地域が赤いグラフィックで強調して浮かび上がった。
「今回特定された特異点の時代は、西暦66年。古代ヨーロッパにおける巨大国家の過渡期だ。
西暦66年といえば、東方ではユダヤ戦争が勃発し、ローマ内部でも政治的・宗教的な変革が渦巻いていた激動の時代だ。魔術史の観点から見ても、神代の残滓が地上から薄れつつある西暦の黎明期にあたる。神秘が隠匿へと向かう過渡期でもあり、この時代の地脈や歴史が改ざんされれば、後の西洋魔術の体系そのものが根底から覆りかねない」
続いてダ・ヴィンチが手元のタブレットを操作しながら、ホログラムの表示を拡大させた。
「そして、今回問題となっている観測不能地帯―――つまり特異点の中心地だけどね。
広大な地中海世界の中で、他の地域は概ね正常に観測できているが、ただ一箇所……異様なまでに濃密な魔力障壁によって、内部の状況が完全に途絶している場所がある。それがローマ帝国。正確には、ローマ帝国の中枢であるイタリア半島だ」
画面に拡大されたのは、ヨーロッパ大陸の腹部に生える細長い半島。地中海の覇者たる巨大帝国の根城であった。
ダ・ヴィンチの言葉に、マシュが真剣な表情で頷く。
「西暦66年のローマ……当時の皇帝は、第5代皇帝であるネロ・クラウディウスですね」
「正解だ、マシュ」
ロマニが引き締まった表情で頷く。
「ネロ皇帝の治世末期。歴史上では暴君として名高く、ローマ大火の嫌疑やキリスト教徒の迫害、そして後に皇帝自身が自害へ追い込まれる波乱に満ちた時代だ。
だが、現在観測されている魔力数値は、単なる歴史の乱れやサーヴァントの乱入どころのレベルじゃない。まるで……半島全体が巨大な鍋のように煮詰まっている状態だ。或いはこれが聖杯による影響と言えるなら、言い換えればこうともいえる。イタリア半島が何らかの魔術的儀式の『炉』へと変貌していっている。そのような異常と言って差し支えない」
緊張感が走り抜ける作戦司令室の中で、あなたと英霊たちは迫りくる新たな戦い、そしてその裏に蠢く混沌の気配を感じ取りながら、ロマニの説明にじっと耳を傾ける。
「さて、ここからが今回の作戦における具体的な観測状況についての説明だよ」
ロマニが端末の操作パネルに細い指先を滑らせると、作戦司令室の中央に浮かぶホログラム領域がぐっと切り替わり、イタリア半島からガリア地域、すなわち現在のフランス周辺にかけての広範な立体地図が表示された。
「まず、最も高濃度の魔力反応が確認できる中心地点は、やはり首都ローマだ。そこを中心として、イタリア半島の付け根から南端の靴底に至るまで……現状、外部からのスキャンは一切を受け付けない
「つまり……異変の核が首都ローマにあることは明白ですが、内部の詳細や敵の全容については、現地へ直接乗り込んで調べるほかない、ということですね」
ジャンヌが理知的な瞳を画面に向けながら、静かに状況を整理する。ロマニが深く頷いた。
「その通りだ。そのためレイシフトの転移先についても影響を受ける。ここから異変の中心地であるローマへ直接跳ぶのはリスクが高すぎる。転移時の事故や霊基の破損を防ぎ、確実な存在証明を確立するため、今回のレイシフト座標は、ガリア地域に設定する。そこからは陸路でローマを目指してもらうことになるよ」
そこでロマニは言葉を一旦切り、重苦しい溜め息を吐きながら一同を見渡す。
「……そして、ここからが非常に心苦しい連絡だ。本来なら、カルデアに現存する契約済みの英霊全員を帯同させ、万全の戦力で現地を攻略できれば最高なのだが……大変遺憾ながら、現在のカルデアの設備の状態と、現地の著しく不安定な魔力環境では、レイシフト先で同時に存在証明を維持できる英霊の数に厳しい制限がかかってしまう」
「つまりだね。現在のリソースで安全にバックアップできる限界は……全部で
ダ・ヴィンチが真剣な様子で続けた。
「無理に全員を送り込めば、レイシフトの途中でパスが切れ、最悪の場合は英霊の霊基が時空の狭間で霧散しかねない。したがって、各マスターには二騎ずつ英霊を帯同させる。……これが、現状とり得る最も確実で現実的な結論だ」
「以上の状況を踏まえ、カルデア臨時司令官としての権限で、今回同行する英霊の選定を行わせてもらった」
ロマニがあなたと立香の二人を順番に見つめ、ハッキリとした口調で指示を下した。
「立香には、これまで戦線を支えてきたマシュ、そして直前のシミュレーションでも見事な連携を見せたラクシュミー・バーイーの二騎を帯同してもらう」
「はい! よろしくお願いします、先輩、ラクシュミーさん!」
「……承知した。足を引っ張らぬよう、全身全霊で背中を守ろう」
立香とマシュ、ラクシュミーが互いに顔を見合わせ、力強く頷き合う。
続けてロマニは、あなたへと視線を向けた。
「そして君には―――スカサハ、そしてジャンヌ・ダルクの二騎を帯同してもらう。
選ばれなかった他の英霊はカルデア内にて待機。現地で安全なパスと追加召喚のための霊脈が確保でき次第、順次レイシフトで追撃として送り込むものとする。……異論はないね?」
名前を呼ばれたスカサハは不敵な笑みを深めて腕を組み、ジャンヌは胸元に手を当ててあなたへ恭しく一礼してみせた。
一方、選出から外れたアルトリアは仕方ないとばかりに頷き、ジャンヌ・オルタは話に興味を示さずにそっぽを向いている。帯同させる英霊の選抜にダ・ヴィンチが関与しているなら、胎内の種火の出産が終わっていないことも影響しているのだろう。
説明を一通り終えると、ダ・ヴィンチが華やかな笑みを浮かべて、一同を見渡しながら問いかけた。
「以上、何か質問はあるかな? ―――はい、アルトリア」
「では私から。聖杯の所有者は、すでに特定できているのでしょうか?」
「いや、現時点では判明していない」
ロマニが首を横に振って応えた。
「だがこの時代のローマ帝国という巨大な国家構造を根本から歪めようとしている以上、聖杯は高確率でローマ政治の中枢、あるいはそれに極めて近い場所にあるはずだ。だからローマに向かう際は、政治中枢部であるローマの七つの丘に向かうのを推奨する。
それで他には―――はい、立香ちゃん」
「人理側の英霊は……私たちを助けてくれる現地の英霊は、すでに召喚されているんでしょうか?」
「先輩に続けてよろしいでしょうか。ガリア地域では、現在どのような状況が発生しているとお考えですか?」
ダ・ヴィンチが扇子をゆっくりと動かしながら二人の問いに答える。
「残念ながら、現地の魔力が過剰に混濁しているせいで十分な解析ができていなくてね。今の時点で抑止力による現地英霊が存在するかどうかまでは判別できない。
ただ、ガリア地域について言えば―――イタリア半島との境界線付近で、小規模な魔力による衝突のような事象が起きた痕跡が複数回、観測されている。現地の一般人が起こしたとは考えにくい現象だ。考えられるのは、聖杯の影響を受けた何者かがそれを引き起こしたか。或いはすでに現地では、何らかの勢力同士が交戦状態にある、ということかな。
だからこそ、レイシフト直後は速やかに周囲の索敵を行い、第一に安全確保に努めてほしい」
静かに腕を組んでいたスカサハが、朱色の瞳を光らせて問いかけた。
「一つ聞く。現地での交戦規定はどうなっている。どこまで刃を振るってよいのだ?」
それに対してロマニが身を乗り出し、真剣な表情で全員を見つめ返す。
「現地民への無闇な武力行使は厳禁だ。巻き込まれた一般市民に対しては、必要最低限の反撃と防衛に留めてほしい。ただし、人理を脅かす敵対勢力との交戦においては、いかなる制限も設けない。何よりも聖杯の奪取を最優先として動いてくれ」
各員の確認が一段落したところで、あなたは質問を投げかけた。―――この特異点に、レフ・ライノールの反応はあるのか。
作戦司令室の空気が一瞬でピンと張り詰める。ダ・ヴィンチは表情を引き締め、力強い眼差しであなたを見つめ返した。
「現段階で彼の存在は確認できていない。……だが、もし現地で接敵した場合、絶対に見逃さないでくれ。カルデアのため、そして人類の未来のために、彼らが知る全ての秘密を白日の下に晒させる必要がある。現場でのあらゆる判断と行動の責任は、私とロマニが全て取る。……存分にやっておいで」
全ての質疑応答が完了し、一行はレイシフトの実行シークエンスへと移行していく。
巨大な環状構造を持つレイシフト用の筐体、コフィンの中へと、あなたと立香が足を踏み入れる。ガラス状の隔壁が閉じられ、空間全体に甲高い機械駆動音と重圧な魔力の充填音が鳴り響き始めた。
『アンブレイカブル・ドライブ、全ライン接続完了。……コフィン内パーソナルキャリア、固定。精神生体認証、オールグリーン。……霊子変換、開始します』
アナウンスと同時に、視界を取り巻く無数の魔術回路が幾何学的な光の奔流となって全回転を始める。
全身の質量が急速に奪われ、存在そのものが解きほぐされていくような不可逆の浮遊感。肉体と精神、存在証明のすべてが最小単位である霊子へと解体されていく独特の感覚が、脳髄の奥を激しく揺さぶる。
『アンダー・シフト制御、正常。コフィン全シリンダー固定。全行程クリア。グランドオーダー、実行します』
閃光。視界が蒼白色の絶対的な光によって塗り潰され、身体感覚のすべてが消失する。
虚空を穿つ光の束となったあなたたちの存在は、時空の狭間―――虚数空間を瞬く間に突破し、特異点の因果の渦へ。西暦66年のローマへと射出されたのだった。
レイシフト特有の浮遊感と全身を分解されるような感覚が失われ、意識がゆっくりと現実に適合していく。
開いた視界に飛び込んできたのは、高くそびえ立つ大木の群れと、日差しを固く遮る鬱蒼とした緑の天井であった。湿った土と腐葉土の匂い、そして青々とした葉の芳香が鼻腔を突く。
西暦66年、古代ローマ帝国の版図たるガリアの地に広がる、深く生い茂った原生林のただ中に、あなたはぽつんと立っていた。巨木たちが複雑に枝を伸ばし、太陽の光を僅かな隙間からしか通さない森の内部は、昼間であるにもかかわらず薄暗い。
そして周囲を見渡したあなたは、レイシフト時に何らかの転移トラブルが発生したことを瞬時に察した。周囲には立香も、マシュも、あなたに帯同していたはずのスカサハやジャンヌ・ダルクの姿すらなかった。静寂に包まれた森の中では、遠くで羽ばたく鳥の羽音や微かな虫の鳴き声、風が葉を揺らす音だけが鼓膜を揺らしており、人影は皆無であった。肌に触れる空気はひんやりと冷たいが、その空気の底には、まるで見えない霞のように歪で不吉な魔力の気配が薄く広範囲に漂っている。
状況を打開すべく、あなたはすぐさまスカサハらや、カルデアへ向けて通信および念話を飛ばそうと試みる。しかし大気に満ちるその歪な魔力の霞が分厚い遮蔽幕となって情報を遮断しているのか、念話は虚空へ消えるばかりであった。当然、カルデアからの通信も一切届かない。
完全な孤立無援に陥ったことを自覚したあなたは、思考を即座に切り替える。通信が途絶したとはいえ、マスターとサーヴァントを結ぶ魔力のパスまでが途切れたわけではない。あなたは目を閉じ、意識を集中させて自身の内に通る魔力のラインを手繰り寄せた。かすかな糸のような感触を頼りに、スカサハたちがこの森のどの位置に、どの方角にいるのか、おおよその方位と距離感を確かめる。
やがて当たりをつけると、あなたは無駄な体力の消耗を避けつつ、かつ警戒を怠らずに湿った下草を踏み締め、鬱蒼としたガリアの森の奥へと歩みを進め始めた。
見上げるほどの樹齢を誇る巨木たちが隙間なく枝葉を広げ、日光を遮る森の内部はまるで緑色の薄暗い洞窟のようだ。足元には年月の重なりを感じさせる腐葉土が分厚く積もり、踏みつけるたびに重い感触を足裏に伝えてくる。湿り気を含んだ風が吹き抜けるたび、ザワザワと葉鳴りが響き、遠くで獣の遠吠えとも風切り音ともつかぬ音が木霊していた。
森を進むにつれて、人の生活の痕跡―――それも平穏とは程遠い破壊の跡が姿を現し始める。
苔生した地面には、錆びついた鉄製の剣の破片や、半ばに折れた木の盾、先端がへし折れた槍が打ち捨てられていた。明らかに古代ローマの兵士、あるいはガリアの現地民たちが残したと思われる武器の残骸である。それらは何らかの苛烈な戦闘が行われたことを生々しく物語っていた。
さらに奥へと進むと、ひときわ大きな大樹の幹に寄りかかるようにして倒れている荷車の残骸が目に入った。車輪は砕け、荷台部分はひどく破壊されている。そして荷台の上には人の遺体らしきものが横たわっていた。肉はとうに削げ落ち、白骨化した骸骨が半ば草むらに埋もれるようにして転がっている。
現地の状況やこの時代に起きている異常の手掛かりが得られるかもしれないと考え、あなたは足音を殺してその荷車の残骸へと近づいた。
生々しい刃物や鈍器による傷跡が骨に深く刻まれているのを確認し、遺品や身の回りの品が残されていないか確かめようと白骨へそっと手を伸ばす。
―――その瞬間であった。
骨に触れたわずかな衝撃が引き金となったのか、足元の枯れ葉の陰で「バチンッ!」と鋭い破裂音が響いた。
次の瞬間、足元に隠されていた太い縄が弾けるように躍動し、あなたの足首を強力に締め上げる。一瞬の浮遊感とともに、あなたの体は頭から逆さまの状態で木々の上空へと一気に引き揚げられた。
バサバサと枝葉を揺らしながら、あなたの身体は宙吊りとなる。何者かが獲物や侵入者を捉えるために仕掛けた、極めて古典的なブービートラップであった。
頭に血が逆流する感覚を覚えながら、あなたは自身の浅慮さを小さく恥じた。だが焦りや恐慌を起こすことはない。宙吊りの揺れが徐々に収まっていくのを待ちながら、あなたは冷静に周囲と自身の状況を観察し始めた。
やがて揺れが落ち着くと、あなたは腹筋の要領で一気に体を上方へ起こし、視線を自分の足首の高さまで引き上げた。足首に深く喰い込んでいる縄をじっくりと観察すると、木の枝や滑車に擦れたためか、縄の繊維の一部に毛羽立ちと小さな亀裂、すなわち傷が入っていることに気がつく。
―――その時、あなたの頭の中にひとつのひらめきが走る。
あなたは宙吊りのまま腕を伸ばすと、自身を吊り下げている太い縄をガッチリと両手で掴み取った。そのまま腕力と背筋をフルに活用し、縄を辿るようにして上方へ向かって這い登っていく。全身の筋肉を駆使して登っていくと、あなたは罠の起点となっている太い大樹の幹に辿り着いた。身体がそのまま落下しないよう幹にしっかりと抱きつき、両足と胴体で自身の体重を支える体勢を確保する。
そして体勢が安定したことを確認すると、あなたは先ほど目につけた縄の傷口に両手の親指を力強くねじ込んで、引きちぎるように左右へ強く力を込め、縄の繊維を断裂させていく。一度では切れずとも、何度も何度も指を引っかけて力を込め、傷口を押し広げる作業を繰り返した。
―――パツンッ……バツンッ!
ついに限界を迎えた縄の繊維が音を立てて千切れ、あなたの足を拘束していた結び目が完全に分解された。
足の自由を取り戻したあなたは、そのまま地上へ降りることはせず、巨大な樹冠の濃密な枝葉の陰へと身をひそめた。このような巧妙な罠が仕掛けられている以上、それを仕掛けた者が罠の作動音を聞きつけて様子を見に来る可能性が極めて高い。
あなたは呼吸を完全に殺し、気配を消しながら、樹上から森の地上を見下ろし、罠の主が姿を現すのを静かに待ち構えるのだった。
そうして息を殺して樹冠の陰に身を潜めてからしばらくすると、予期していた通り、カサリと下草を踏みしめるかすかな足音が近づいてきた。
姿を現したのは、五人ほどの小隊であった。その風貌はローマの正規兵とは明らかに異なる。体に青い染料で魔除けの紋様を描き、毛皮や粗末な革鎧を身に纏っている。さらに周囲の樹々や草木と同化するように、草枝を編み込んだ蓑のようなものを羽織って身を隠す迷彩としていた。ガリアの先住民―――ケルトの戦士たちのそれであった。
彼らは壊された荷車と罠の設置場所に近づくと、切れたロープの束を目にして足を止めた。
「おい、引っかかった痕跡があるぞ……」
「だが、ロープが千切れている。自力で逃げたのか?」
「静かにしろ。千切れた場所を見ろ、ナイフの刃物で切った痕じゃない。力任せに引き千切られている。……かかったのは猛獣か? それとも……」
戦士たちは声を潜め、警戒を強めながら口々に囁き合った。一人が千切れたロープの端を拾い上げて感触を確かめ、もう一人がロープの結ばれていた上方の枝を見上げる。だが樹冠の陰に気配を殺して潜むあなたの存在に気づく様子はない。戦士たちは武器を構え直し、辺りの藪へと警戒の視線を走らせた。
樹の上からその緊迫した様子を観察していたあなただったが、ふと、森の奥から疾風のごとき勢いで近づいてくる濃厚な魔力反応を察知した。それは間違いなく現地の人間や並の魔術師を遥かに凌駕する、英霊の放つ魔力であった。
意識をそちらへ向けた直後、緑色の影が木々の間を滑るように駆け抜け、一切の足音もなく小隊の眼前へと舞い降りた。風を切り、獣のようなしなやかさで着地したその頭部には、ピクピクと繊細に動く獣の耳が生えている。
「アタランテ様……!」
小隊の戦士たちが驚きと共にその名を呼ぶと、舞い降りた弓使い―――アタランテは凛とした眼差しで彼らを一瞥し、短く叱責した。
「声を抑えろ。無用な騒ぎ立ては命取りになる」
その一言で、戦士たちは口を噤み、深々と頭を下げた。
アタランテ―――ギリシャ神話において、アルカディアの森に捨てられ、雌熊の乳によって育てられたと伝わる俊足の狩人。女神アルテミスに純潔を誓い、アルゴノーツの冒険やカリュドーンの猪狩りにおいてその卓越した弓の冴えで名を馳せた、純白の狩人たる英霊である。
彼女の身体を包むのは、野生のしなやかさと高貴さが同居した緑と白を基調とする狩衣であった。背には黄金の弓を担ぎ、しなやかな身体のラインが衣装の上からでもハッキリと窺える。その胸元は、豊かな実りを誇るかのように誇り高く張り出していた。その双丘は引き締められた胸当てによって下からグッと持ち上げられ、彼女が呼吸を整えるたびに魅力的な揺らめきを見せている。またその腰元から伸びる短いスカートは丈が太腿の上まで詰められていた。彼女が身を低くかがめたり、俊敏な動作で足を進めたりするたび、太腿の付け根の眩い白肌と共に、腿のギリギリ上に見え隠れする下着の端が今にも露わになりそうな危うさを孕んでいる。獣の耳と尾を揺らしながら、鋭い瞳で森の異変を探るその姿は、神聖でありながらもどこか毒々しいほどの艶やかさを放っていた。
アタランテは頭上に生えた獣の耳をピクリと動かし、森の微かな風音や匂いに神経を研ぎ澄ませながら、なおも慎重に周囲を警戒していた。
やがて僅かな沈黙の後、彼女は眼下の戦士たちへ手短に命じた。
「ここは私が調べる。お前たちは別の警戒地点へ回り、不審な動きがないか確認してくれ」
「了解しました、アタランテ様」
小隊の戦士たちは声を潜めて応じると、足早にその場を離れていった。
彼らの足音が森の奥へと消え去るまで、アタランテは微動だにせずその場に立ち続けていた。樹上に身を潜めるあなたもまた、呼吸を殺したまま思考を巡らせる。眼下に佇む英霊は、果たして人理側の味方なのか、それとも敵対勢力なのか。あるいはどちらでもない全く別の勢力なのか。
そう考えを巡らせていた矢先だった。その場の静寂を断ち切るように、アタランテが小さく息を吐き出した。
直後―――目にも留まらぬ神速の動作で黄金の弓を頭上へ向けて構え、寸分の迷いもなく弦を弾いた。あなたがその動作に気づいた時には、すでに放たれた矢が樹冠の葉を鋭く引き裂き、あなたの頭上へと通り抜けて消えていた。その矢の軌跡は、あなたの足からわずか足一本分しか離れていない位置を打ち抜いていた。
「そこに隠れていることは、最初から分かっている。……狩人の矢を受けたくないのなら、余計な策など考えずに素直に降りてこい」
アタランテは弓を構えたまま、樹上へ向けて冷ややかな視線を突き上げる。野生の鋭敏な感性と英霊としての卓越した知覚を前には、気配を殺す程度の誤魔化しは通用しなかったようだ。ましてや天性の狩人を前に、丸腰の人間が樹上で抵抗したところで無意味であることは明白。あなたは観念したように息を吐くと、木の幹を伝ってゆっくりと地上へ降りていった。
直に向き合ったあなたに対し、アタランテは一切の油断なく弓を引き絞り、鋭い矢先を喉元へと向けていた。獣のごとき鋭い視線があなたを射抜く中、あなたは静かに両手を高く掲げ、一切の敵意がないことと降伏の意図を示す。
アタランテは周囲の樹々や草むらへ隙なく視線を走らせる。他に潜伏している者がいないか探るようであった。そして再びあなたに視線を戻すと、冷ややかな瞳で詰問をする。
「何者だ。なぜあのような場所で潜めていた?」
あなたは余計な嘘を吐かず、素直に問いに答えた。
自らがカルデアという組織の人間であること。事故で仲間とはぐれ、この森で孤立したところを罠にかかってしまい、いっそ罠を外してこの罠を仕掛けた者が様子を見にくるのを待っていたのだと。
アタランテは、眉間の皺をより一層深める。
「……なるほど。たった一人で丸腰のくせに、武器を持っているかもしれん相手の顔を見ようと思ったわけか。度胸があるのか阿呆なのか分からんな。
では答えろ。お前はどちらの側だ? ローマか……それとも、『獣のローマ』か?」
唐突に突きつけられた質問の意味が分からず、あなたは一瞬答えに窮してしまう。だが目の前で引き絞られた狩人の弓矢から放たれる声なき恫喝と、刺さるような殺気を前に、沈黙を保ち続けることは死を招くと悟った。
あなたは己の知識と現状の情勢から導き出した、あなたなりの見解をハッキリとした示そうとする。ローマとはどちらでもなく、ただ一つ存在するものであるはず、西暦66年における世界最大の帝国であり、二つに分裂するなど歴史上あり得ない、と。
その答えが、彼女にとって真に満足のいくものであったかは分からない。
しかし、アタランテの目から刺すような殺気が徐々に引いていく。そして彼女は静かに弓を引き戻し、弦に番えられていた魔力の矢をサラサラと空気中へ霧散させた。どうやらあなたを脅威の対象としてみなすのをやめたようだ。
「……フン。お前の出したその答えが、かろうじて今のお前の命を救ったな。もしローマの味方だと吹聴するか、あるいはふざけた答えを言っていれば、問答無用でその心臓を射抜いていたところだ。
……だが、お前が口にしたその奇妙な答えには聞き覚えがある。お前の他に仲間はいなかったか? 身の丈ほどの赤い槍を持った武人など、な」
その言葉に虚を突かれたあなたは、素直に答えた。自分には他に5人の仲間がいること、彼女たちの居場所を知っているのか、と。
アタランテは少し呆れたように口元を歪め、皮肉混じりの吐息と共に返答した。
「やはりな。お前からあの者たちと同じ魔力の気配が感じられていなければ、ローマが放った刺客か過激派だと疑うところだったぞ。
安心しろ、彼女たちなら我々のキャンプにいる。もっとも、お前と同じように身元の確認が取れなかった故、念のために捕虜用のテントの中へ押し込めてはあるがな」
そこまで語ると、アタランテはふっと胸を張り、弓を背にしっかりと収め直す。
「遅くなったが、名を名乗ろう。私の名はアタランテ。人理の召喚に応じ、この地に現界した英霊だ」
あなたもまた改めて自身の名と所属を名乗り、自分たちがこの地に赴いた真の理由―――焼却の危機に瀕した人類史を正し、特異点の異常を修正することが目的であると告げた。
そしてあなたは力強く問いかける。自分たちの目的は互いに完全に一致しているはずだ、この歴史の歪みを解決するために、手を携えて協力し合えないだろうか、と。
アタランテは耳をピクリと揺らし、ふっと口元をゆるめた。
「フン……勇ましい提案だ。だが返答は、私が預かっているキャンプへ戻ってからさせてもらう。まずはそこへ案内する。そこでお前の仲間たちと無事合流してから話し合おう。
……こっちだ、ついてこい」
そう言うや否や、アタランテは野生の獣のような軽やかな所作でふわりと地を蹴り、樹木の太い幹や高低差のある段差を軽々と飛び越えるように移動を始める。少し進んで振り返ると、遅れるなとでも言いたげな鋭い視線をあなたへ投げかけてくる。
あなたはその驚異的な脚力と軽やかすぎる足取りを追いかけながら、先ほど彼女が口にした「獣のローマ」という言葉について思考を巡らせていった。
獣のローマ―――それは一体何をさす言葉なのだろうか。真や正当などという分かりやすい言葉がつくなら、まだ察しがついていた。初代皇帝や過去の栄光など、ローマの精神や道理を過激に体現する一派が裏で暗躍しているという推察もつくからだ。だが獣とは何なのか。仮に帝国の体制そのものが二つに割れ、苛烈な内乱状態へと突入していたとして、そこに獣という要素が介入する余地があるのか。あるいは獣という言葉は額面通りには受け取れない、全く別の不気味な意味を孕んでいるのだろうか。
樹林を駆け抜ける間、あなたは先行するアタランテの背中を視線で追い続けた。樹木を蹴り、空中でしなやかに体を躍動させては立ち止まる彼女の姿は、まるで気まぐれな猫のように颯爽としており、どこか自由で野性的な美しさを漂わせている。だが彼女の軽やかな動きに伴って着用している狩衣の衣装が大きくはためき、その度に整ったしなやかな柔肌や美しい背中のラインが服の裾から覗き込むため、あなたの視線はどうしてもそこに引き寄せられてしまう。とりわけ丈が詰められた短すぎるスカートは、彼女が空中を舞うたびにふわりと軽やかに捲れ上がり、その奥に包まれた純白の生地が視界をかすめてしまう。あなたの見間違いでなければ、それは通常の下着などではなく、布地の面積がほとんど存在しない極細のスリング状の紐衣装であった。
その卑しくも美しい秘所へと視線を凝視させてしまった、その瞬間。狩人特有の鋭敏な直感が機能したのか、アタランテは跳躍の合間に違和感を覚え、振り向きざまにじっとあなたへ疑問の視線を送ってきた。だがあなたは少しも動じることなく堂々とした態度を保ちながら、先ほどからの疑問をそのまま口にした。獣のローマとは一体何なのか、と。
アタランテは視線を前に戻し、冷たく吐き捨てるように答えた。
「……人であることをやめた連中のことだ。己の欲望と狂気に呑まれ、人間であることを捨て……獣以上に悪辣な獣であろうとする者たち。それが、今のこの世界におけるのローマの正体だ」
そう語るアタランテは、思い出すのも不快だと言わんばかりに険しい表情で眉間を顰めた。そして早くついてこいとばかりに再び背を向け、森の奥へと突き進んでいく。
人であることをやめた者たち、獣以上に獣であろうとする存在。アタランテの言葉が意味する、この特異点に蔓延る狂気と、間もなく対峙することになる敵の正体に思いを馳せながら、あなたは静まり返ったガリアの深い森の中を、彼女の背中を追って進んでいった。
狩人の導くまま森を進んでいくと、周囲を覆っていた樹々の影と深く生い茂る草むらの中から、ひっそりと隠蔽された小さなキャンプ地が急に姿を現した。外からは判別できないほど巧みに自然の中へ隠された場所であった。
広場のような開けた空間には、先ほど罠の周辺で見かけたケルトの戦士たちとよく似た風貌の人たちが、数十人ほど身を寄せていた。彼らは焚き火を囲んだり、刃こぼれした剣や槍などの武器を手入れしたりしている。
アタランテがあなたを伴って陣地へと足を踏みいれると、戦士たちは皆、足を止めて彼女へ深々と頭を下げて敬意を示す。その態度から見ても、アタランテがこの現地組織の頼れる指導者として擁立されているのが感じられた。傍らを歩く見慣れぬ存在―――あなたに向けて戦士たちの好奇と警戒の視線が集まるが、アタランテが連れているとあって、誰一人として咎めたりちょっかいを出してくる者はいなかった。
あなた達はそのままキャンプの最奥へと進み、そこに設置されたひときわ大きな天幕の前で足を止めた。彼女が入口の布をサッと持ち上げると、先に入るよう視線で促した。
あなたが天幕の中へと足を踏み入れた、まさにその瞬間。それまでかすかにしか感じ取れなかった仲間たちとの魔力パスが、まるで遮られていた膜を力任せに引き破られたかのように、一気に強く鮮明に開通した。天幕内部の空間そのものに、周囲の知覚を遮断し魔力を隠蔽する、スカサハの手による隠蔽のルーンが張り巡らされていたのだ。
ルーンの庇護が満ちる天幕の奥を見渡すと、そこには散り散りになっていたカルデアの仲間たちが集められていた。ジャンヌや、マシュ、ラクシュミー、それに立香も。だがこの結界のルーンを張った張本人であるはずのスカサハだけは、なぜか室内のどこにも姿が見当たらなかった。
突然の来訪者とあなたの無事な姿を目にした瞬間、ジャンヌは表情をぱっと輝かせた。
「あぁ……ご主人様……ッ!!」
アタランテの脇をすり抜けるようにして駆け寄ってきたジャンヌは、あなたの両手を愛おしそうにギュッと力強く握り締め、うっとりと濡れた瞳であなたを見上げて再会を喜んだ。
「無事だったのですね……! よかった……本当によかった……」
「先輩! 無事でなによりです……!」
マシュも安堵の笑みを浮かべ、胸に手を当てて再会を祝福する声をあげる。ラクシュミーも静かに頷き、「無事であったか。お前の無事が何よりの朗報だ」と表情を和らげた。
一方、仲間たちがあなたの無事を喜ぶ傍らで、部屋の隅で簡易的な寝台の伏せるようにして倒れ込んでいる立香だけは、あなたの来訪に関わらず反応を示すことがなく、横たわったままであった。
あなたはジャンヌの白く滑らかな手を優しく握り返し、無事な再会を噛み締めながらも疑問を口にした。スカサハの姿が見当たらないがどこへ行ったのか、と。
仲間たちの代わりに答えたのは、天幕の入口に立つアタランテであった。
「彼女なら、我々の仲間の援護に向かっている。我々のキャンプ地はひとつだけではない。一箇所に集めてしまえば、物資も人も溢れて置き場を無くす上、敵を見つけたときに機動的に動けないからな。複数の地点に分散しているんだ」
その答えに納得を示しつつ、あなたは問いかけを更に踏み込んだ。このキャンプに身を寄せる人々は一体何者なのか、そして今、このガリアとローマで何が起きているのか、と。
アタランテは腕を組んで真剣な眼差しで語り始める。
「このキャンプは、ガリアに元から住まうドルイド教の教徒たちが、ローマに対する抵抗運動のために立ち上げた拠点の一つだ。この広大な森林地帯には、こうした拠点が何百と設営されており、ここはそれらの中でも前線に近い場所に位置している。ここから南に行けばアルプス山脈があり、その奥にはイタリア半島がある。アルプスを越えた半島の付け根のあたりでは、ローマの方から伝わってくる異様な力と敵の狂気を喰い止めようと、ドルイド教の司祭たちが総力を挙げて構築した防衛前線が築かれている」
アタランテは静かに、憂うように吐息を漏らしながら言葉を重ねる。
「司祭たちが語るには……半年ほど前から、首都ローマがある方角から異様で歪な力が波及し始めたという。その力は日に日に増し、力をもろに浴びた者たちはしばらく経つと、まるで別人のように変わり果ててしまうそうだ。まるで周囲の文明的なものや人間らしい理性を嫌悪するかのようになり、症状が深刻になると獣そのものとも言うべき振る舞いを見せるようになる。彼らをそのように変貌させた不吉な力はイタリア半島全域を覆ってしまい、アルプスの山峰にも及ぼうとしている状態だ。あの霊峰を完全に越えてしまったら、ガリアにいる人々が侵食されるのは時間の問題だ。
それ故に、その歪な力に対して一定の抵抗力を備えたドルイド教の司祭たちを中心として、立ち向かえる者はローマに対する抵抗運動を結成した。今はアルプス山脈を巨大な壁とし、そこを境界線としてローマに対する包囲網を築こうとしているところだ。
スカサハが向かったのも、あの山脈の向こうにある我々の最前線基地だ。あそこは、ローマから時折差し向けられる哨戒部隊と軍事衝突が頻発する、もっとも危険な場所だからな」
あなたはスカサハの意図を察した。彼女は自ら前線に赴くことで敵の戦線と戦力規模を直に確かめ、このドルイド教徒たちの抵抗運動がどこまで持ち堪えられるのか見極めようとしているのだ。カルデアが彼らと連携して戦線を維持すべきか、それともオルレアンの時のように少数精鋭で一気に敵の本丸へ攻め込むべきか、その道筋をつけるために。
あなたの考えていることを見抜いているかのように、ジャンヌは優しく微笑みながら言葉を添えた。
「今はスカサハ殿を信じましょう、ご主人様。彼女は発たれる前、契約による魔力のパスには何一つ支障がないとおっしゃっていました。……あの方ほどの武芸者であれば、そう簡単に敵に倒されるはずはありません」
「その者の言葉に嘘偽りはあるまい。実際、彼女の脚力は……私の本気と何ら変わらぬほどに速かったからな。あの領域の速度を持つ者ならば、たとえローマの追っ手であろうと捉えることなど到底できまい」
あなたは静かに首肯し、思考を次の疑問をぶつけた。伏したまま立香は動いていないが、今の彼女には一体何が起きているのか、と。
その問いを発した瞬間、天幕の中の空気が一変した。それまでの重苦しい緊張感とは異なる、熱気が混ざった独特の感じだ。凛としていたアタランテまでもがどこか気まずそうに頬をかすかに赤らめ、それでいて興味を隠せていない様子で、あなたのことを、正確にはあなたの下腹部あたりへとチラチラと不躾な視線を送っていた。マシュとラクシュミーに至っては、顔を赤く染め上げて視線を泳がせている。
その露骨すぎる反応を目の当たりにして、あなたは思わず声を漏らしてしまった。ジャンヌもまた頬を朱に染め、恥じらいを含んだ溜息と共に小さく頷いてみせる。
「……はい、ご主人様。お察しの通りでございます……っ♡」
あなたの推察通りであった。立香はあなたと離れ離れになったことで禁断症状を起こして倒れていたのだ。
となると、この惨状を解決する手段は、現状ではただ一つしかない。彼女のあなたの精液を分け与えて、魔力を充填することであった。
マシュとラクシュミーは恥ずかしさに頬を染めながらも、あなたの雌奴隷としての誇りと悦びに瞳を潤わせ、淫らな微笑みを浮かべてあなたへと歩み寄ってきた。
「先輩の不調を解消するために、ご主人様のお力をお貸しください♡♡ 私たちが精一杯気持ちよくなれるよう……完璧にサポートいたします♡♡」
「ふふ……このような状況ではあるが……ひとつ良い知らせがあるぞ、ご主人様♡♡ ダ・ヴィンチの解析によれば、立香の身体に宿る魔力許容量は前回の特異点攻略時よりも格段に向上しているそうだ。つまり……以前よりも一歩進んだご奉仕に及んでも支障はないということだ♡♡ フェラチオはもちろん、お互いの性器を擦り合わせる素股も解禁された♡♡ ……そう、直接その膣内にさえ射精しなければ何の問題もない♡♡ 存分に彼女を気持ちよくさせてやろうではないか、ご主人様♡♡」
二人は左右からあなたに体をぴったりと密着させ、その柔らかく熱い女体を容赦なく押し当ててきた。豊満な胸の感触と熱い吐息が、あなたの肌に直接伝えられる。
淫蕩な光景と立ち上る情欲の熱気に、アタランテは耳を激しく動かして、たじろぐように後ずさった。
「な……なんなんだ、お前たちは……!? 急に盛り始めて! こ、ここで事に及ばないといけないか!?
じ、事情はよく分からんが……部外者の私がいては集中もできまい! 私はこれで失礼する!」
アタランテは慌てて天幕の外へ逃げ出そうと背を向けた―――が、次の瞬間。いつの間にか背後へ回っていたジャンヌが、彼女の細い肩へ優しく手を置いた。
「お待ちを。どこへ行こうというのです、アタランテ殿?」
「なっ……いつの間に……っ!?」
ジャンヌはとろけるような笑みを浮かべ、アタランテを逃がさぬよう静かに引き留めた。
「ふふ、せっかくの機会です♡ 我々カルデアがいかにして強大な力を蓄えているのか……その神聖な儀式の様を、じっくりとご覧になってはいかがですか♡
貴女も出会ったときから、私たちの体に満ちる破格の魔力に、不思議そうに視線を向けられていたではありませんか。お互いの秘密を打ち明け合えば、私たちはより一層深い絆で結ばれるはず。人理を共に救う仲間として……共にこの秘密を共有いたしましょう♡」
「ふ、ふざけるなッ! 戯言を言うな!」
アタランテは耳と尾をピンと逆立て、顔を真っ赤に染め上げながらジャンヌの提案を拒絶する。
「私には道義というものがある! それに何より……私は処女神アルテミス様に純潔を誓った身だ! このような不潔で破廉恥な行いなど、断じて共にできるわけがなかろうッ!!」
「……あら? それはおかしいですね、アタランテ殿。そのように言葉では純潔を謳い、お断りになりながら……ではどうして、そのお体には殿方の視線を惹きつけてやまない、淫らな装いを身に纏っていらっしゃるのですか? ……恥部を隠す布ですらこのような、紐のように細い下着だなんて」
「なっ……何を……っ!?」
アタランテが驚愕に目を見開いたその一瞬の隙。ジャンヌは聖女とは思えぬ素早さで彼女の腹に片腕を回して拘束すると、もう片方の手で全く無駄のない動きでアタランテの短いスカートの裾を一気に捲り上げた。
露わになったのは、神聖な狩人のイメージを全否定するような、余りにもいやらしく、背徳的な女体であった。
彼女のキュッと引き締まった安産型の腰つきと、白く美しい太腿の付け根。そしてその最奥を覆っているのは、布地の面積などほとんど存在しない、細い紐一本で構成された極細のスリングであった。引き締まった膣の割れ目には、薄い紐が逃げ場もなく深く食い込んでおり、その無防備で生々しい割れ目の中心は、あなたの存在と室内の情欲に当てられたためか、すでにうっすらと蜜を滲ませ、湿り気を帯びて光っていたのだった。
「あぁ……観てください、ご主人様♡♡♡ 言葉とは裏腹に、こんなにも淫らな紐を下着に選ばれて……♡♡♡」
「あ……く、離せ……っ! 離さんかッ……!!」
アタランテは真赤に顔を叩きふせ、必死に両手でスカートを押し下げようとする。しかし主への献身によって霊基を強化され、圧倒的な膂力を誇るジャンヌの手を振り払うことなど到底不可能。ガッチリと体を固定され、恥部を無防備に晒されたアタランテの表情は、怒り以上に絶大なる羞恥と戸惑いに支配されていた。
そんな彼女のあまりにもいやらしい下着姿を目にして、マシュとラクシュミーは恍惚とした息を漏らした。
「あぁ……なんて破廉恥な……♡♡♡ あんなにも細い紐を履かれていただなんて……♡♡♡」
「ふ……処女神に不変の誓いを立てたとはいえ、やはり己の持つメスとしての生殖本能まで否定することはできなかったようだな♡♡♡ ……非常に美しく、いやらしい姿だぞ、アタランテ♡♡♡」
ラクシュミーの率直な称賛に、アタランテは目角にうっすらと涙を浮かべて彼女たちを睨みつけようとした。―――だがその視線は途中で吸い寄せられるように、あなたの股間へと固定された。
ズボンの布地を内側から猛烈な勢いで押し上げ、カチカチに怒り狂って屹立するあなたの陰茎の巨躯。アタランテはその威容を目にした瞬間、言葉を失った。野生の狩人特有の鋭敏な嗅覚が、あなたの全身から放たれる濃厚でむせ返るような雄のフェロモンを容赦なく捉えてしまう。
(な……なんだ、この圧倒的な雄の匂いは……!? 息が……胸が熱くなっていく……)
抗いようのない本能的な威圧感と甘い蜜の香りに毒され、アタランテは無意識に喉を鳴らした。
ジャンヌはスカートをたくし上げたまま、優しく、しかし逃げ場を塞ぐように耳元で言葉を紡ぎ続ける。
「ふふ……いかに優れた英霊といえども、この地に満ちる不吉な魔力の影響を完全に遮断することなど不可能です♡♡ 私たちでさえそうだったのですから……貴女もすでに、肌で感じていらっしゃるのでしょう? 己の体の内側から、熱く淫らな本能がじわじわと沸き上がってきているのを……♡♡」
「なっ……何を言って……」
「これは、ローマから忍び寄りつつある汚濁の力によるもの。このまま放置すれば、いずれ貴女の身体に破滅的な性欲が蓄積し、思いもよらない致命的なタイミングで手元を狂わせることになります。……そうなってしまっては、敬愛する女神様への誓いすら果たすことができなるでしょう。人間も英霊も、適度に溜まった欲望を発散させなければ、心も身も軽くなりませんよ……♡♡」
「し、しかし……! 私は……!」
「誰かの耳目を気にする必要など、どこにもありません。今この天幕を包むスカサハ殿のルーンは、完全なる隠蔽と人避けの加護を帯びています。ここで行われる行為が外部へ漏れることなど万が一にもあり得ません。
……それに、アタランテ殿。貴女も本当はずっとご興味があったのでしょう? 私たちがカルデアで昼夜を問わず紡ぎ合っている、ご主人様と雌奴隷たちの甘く淫らな契り……その幸福に満ちた日々に……♡」
揺らぎつつある意志に対し、ジャンヌは追い打ちをかけるように甘い毒を囁いた。
アタランテが言葉を詰まらせて、吸い寄せられるようにあなたたちの方へ視線を向けると、彼女は驚愕のあまり大きく目を丸く見開いた。そこではすでに、あなたを中心とした濃厚極まりない淫蕩の儀式が始まっていたからだ。
「んむッ……♡♡♡ んっ……んむぅぉ”ぉ”ぉッ……♡♡♡ ご主人様ぁ……♡♡♡」
ラクシュミーがあなたの首に細い両腕をきつく巻きつけ、己の豊満で柔らかい肉感豊かな双丘をあなたの上半身に押し潰しながら、互いの唾液を貪り合うような激しいベロチューを交わしている。舌と舌が湿った音を立てて絡み合い、彼女の口元から溢れた蜜液が顎を伝って滑り落ちる。あなたはラクシュミーの腰を抱き寄せると、その安産型の大きな尻を衣服越しに豪快に鷲掴みにして揉みしだいた。
「ぉっほぉ”ぉっ”♡♡♡ お尻……ご主人様に揉まれて、最高に幸せです……♡♡♡」
「はぁ……はぁ……♡♡♡ ご主人様のおちんぽ様……♡♡♡」
あなたの足元では、マシュが膝をついていた。淫欲が滾って震えつつある細い指先が、あなたのズボンを力任せに押し下げると、下着を力強く押し上げて脈打つ陰茎に向けて、自らの滑らかな顔をうっとりと押し当てた。布越しに伝わる硬さと熱量、そして布地を突き抜けて漂う濃厚な雄の匂いに脳を蕩かせながら、マシュ陶然と瞳を濁らせ、恍惚の表情であなたに頬擦りを繰り返している。
天幕の中に立ち込めるあまりにも濃厚な雄の匂いと淫猥な空気を感じ取ったのか、それまで伏したまま微動だにしなかった立香が、ゆっくりと身じろぎをして身体を起こした。
虚ろな瞳で周囲を見回した彼女は、朦朧とした視界の中にあなたの姿をハッキリと捉えると、まるで理性がドロドロに蕩けてしまったかのような、甘く淫らな笑みをその表情に浮かべた。
「ご主人様……♡♡♡ あぁ……本当に……本当にお会いしたかったです……♡♡♡♡」
立香は座り込んだまま、熱い吐息を漏らしながら自らの衣類に手を掛けると、火照った肌を露わにするように、一枚一枚丁寧に服を脱ぎ去っていく。
衣類の布地が肌を滑り落ちていけば、汗ばんだ柔肌と、豊かに実った双丘、そしてキュッと引き締まった腰つきが剥き出しになっていく。やがて下着までもが滑り落とされ、そこには完全に発情した、あまりにも艶やかで淫らな全裸の女体が露わとなった。
目の前で繰り広げられる痴態に、アタランテはゴクリと息を飲み込んだ。
(な……なんて顔をして服を脱いでいるんだ……!? 恥じらいどころか……歓喜に満ち溢れているだと!?)
視界から飛び込む生々しい女体と雄の臭気は、アタランテの肉体をも蝕んでいた。彼女の股間に喰い込む極小の布切れの奥からは、抗いがたい興奮によって溢れ出た熱い愛液が音を立ててこぼれ落ちている。
完全に裸体を晒した立香は床に座り込むと、足を左右に大きく開き、腰をわずかに浮かせてみせた。
「ご主人様、見てください……♡♡♡♡ ご主人様を想って、私のおまんこ……こんなにぐちゃぐちゃに濡れて、おちんぽ様を待っています……♡♡♡♡」
指で己の割れ目を左右に押し開き、湿り切ったピンク色の肉腔を見せつけるように腰を艶めかしく上下させる。あなたを誘惑し、興奮を極限まで煽り立てるような淫言を躊躇なく口にする姿は、まさに愛を乞う雌そのものであった。
その従順な痴態に気をよくしたあなたは、立香へ向けて鷹揚に告げた。たっぷりと寵愛を授けてやる、近くへ来い、と。
「はいっ、ご主人様ぁ♡♡♡♡」
立香は歓喜に顔をほころばせると、全裸のまま床を四つん巡りで這い進み、あなたの足元へと擦り寄る。そしてマシュと並び立つようにして、あなたの股間の前に膝をついた。
「先輩……ふふ、一緒にご主人様をたっぷり気持ちよくして差し上げましょう……♡♡♡」
「うん、マシュ♡♡♡ 従順な雌奴隷としての務めを、一緒に心を込めて果たそう♡♡♡」
「「せーの……っ♡」」
二人は示し合わせたかのように顔を見合わせると、揃ってあなたの下着にその細い指先を引っかけて、一気に引き下ろす。
抑圧から解放されたあなたの太く屹立した陰茎が、「バチンッ!」と勢いよく弾け飛び出した。カチカチに怒り狂った亀頭が立香の頬を力強く叩き、凶悪な巨躯が二人の顔前で猛々しく脈打つ。
「あはぁッ……♡♡♡♡ おちんぽ様……♡♡♡♡ ご主人様の、おっきなおちんぽ様が叩きつけられちゃった♡♡♡♡♡」
「凄い……♡♡♡♡ なんて熱くて、たくましいおちんぽ様でしょうか……♡♡♡♡ 何度見ても壮観です♡♡♡♡」
目の前に現れた規格外の巨根から放たれる圧倒的な熱量と雄臭を直に浴び、立香とマシュは陶酔しきった甘い吐息をこぼした。あなたに抱きついているラクシュミーも、その極太の肉竿の存在を感じ取り、うっとりと瞳を濁らせて心底惚れ込むように陶然としていた。
そしてあなたの陰茎の威容を目撃してしまったアタランテは、完全に言葉を失っていた。
(な……なんだ……あの常軌を逸した大きさは……♡♡ あんな太くて禍々しいモノ……人間に受け入れられるハズが……♡♡♡)
頭の中では拒絶を叫んでいるにもかかわらず、彼女の肉体は正直であった。瞳には隠しきれない興奮と、肉欲に染まりつつある淫らな雌の気質がドロドロと滲み出ている。スカートをたくし上げられたままの股間からは、溢れ出た雌汁が雫となってぽたり、ぽたりと床へと滴り落ちていた。
ジャンヌはその破廉恥な変化を見逃さない。この女狩人も遠からず自分たちの仲間となり、ご主人様の極太な陰茎に貫かれて悦びを叫ぶ雌奴隷へと堕ちることを確信し、聖女はとろけるような深い微笑みを浮かべた。
あなたはラクシュミーの腰に回していた手をそっと離すと、足元で膝をつく二人の頭にそれぞれポンと優しく手を置き、短く命じた。
―――二人で思う存分、奉仕せよ。
その一言が発せられた瞬間、立香の表情が歓喜に濡れた。これまで制限されていた口淫の機会をついに許され、抑え込んでいた欲望が一気に爆発する。
「あぁ……♡♡♡♡ ご主人様……ありがとうございますっ♡♡♡♡ ご主人様のおちんぽ様を、雌くさい下品な口でしゃぶらせていただけるなんて……♡♡♡♡」
「先輩、よかったですね……♡♡♡ さあ、二人でご主人様へ最高の奉仕を捧げましょう♡♡♡」
二人は息を合わせ、左右からあなたの猛々しく屹立する陰茎を挟み込むように顔を寄せた。そして、あなたへの絶対の隷属を誓う言葉をなぞらえる。
「「生涯、ご主人様だけの忠実な雌奴隷としてお仕えいたします……♡♡♡♡♡」」
誓いを立てると同時に、二人は左右から亀頭へ同時に唇を押し付けた。湿った熱い唾液の音が天幕の中に卑しく響き渡る。
次の瞬間、二人の奉仕は一気に苛烈さを増していった。
マシュは体をさらに低く沈めると、あなたの精嚢の皺へ深く鼻先をうずめ、むせ返るような雄の香りを思い切り吸い込んだ。
「はぁ”あ”っ”……♡♡♡♡ ご主人様の濃密なお種の匂い……たまらなく愛おしいです♡♡♡♡」
恍惚とした表情のまま、マシュはその精嚢を皮ごと小さな口の中へ「はむっ」と頬張り、舌先で転がすように優しく、しかし丹念に愛撫を開始する。
一方、本格的な奉仕を解禁された喜びで理性が吹き飛んだ立香の勢いは猛烈であった。目の前の大きな亀頭を口いっぱいに咥え込むと、躊躇することなく喉奥深く、喉輪を押し広げる勢いで一気に根元まで咥えこむ。そして喉を締め付けながら猛然と頭を上下させ、陰茎全体をぬめり気のある口腔と舌で貪り尽していく。
「ん”ぐ”ぅぉ”ぉっんむう”うッ♡♡♡♡♡♡♡♡ じゅぽっ、じゅぼぼぼぼっ”っ”っ♡♡♡♡♡♡」
口腔全体であなたという雄の圧倒的な逞しさ、熱、そして力強さを感じ取りながら、立香は片手を己の開かれた両足の間に伸ばす。溢れ出る蜜でぐちゃぐちゃに濡れそぼった膣口へ自ら指を鋭く突き入れ、もう片方の手で豊満な己の胸を千切らんばかりに揉みしだく。あなたへの口淫と同時に激しい自慰に没頭する姿は、寵愛に狂わされた一匹の淫らな雌そのもの。
「んん”っぉ”ぉっ”ぉぉ”♡♡♡♡♡♡♡ じゅぼ”っ、んぐちゅ”っ”♡♡♡♡♡ ぉっ”ぉっ”ぉんごぉぉ♡♡♡♡♡♡」
二人の忠実な雌便器たちによる貪欲な口淫奉仕を受け、あなたは極上の快感と優越感に浸っていた。
しかし、理性を吹き飛ばして猛然とペニスを喉奥まで貪る立香が、その激しい動きの余波で精嚢に吸い付いているマシュと頭をぶつけかねない様子を見て取ると、あなたは指先でマシュに対して、自身の背後へ回るよう指示を出した。
マシュはその意図を即座に察知した。あなたの後ろへ回された自分が次に何をするきか悟ると、その瞳に倒錯的な喜悦の光を宿し、口端をいやらしく釣り上げる。
「はい……♡♡♡ ご主人様のお言いつけ通りに……♡♡♡」
マシュが惜しむように一旦ペニスから唇を離して体をどかすと、あなたの陰茎の前の空間を独占するかのように、立香は即座に陰茎の根元までを自身の喉奥深くへと一気に飲み込む。
「んぐぐッ”ぉぉぅ”っっごぉっほ”ぉぉ♡♡♡♡♡♡♡♡ じゅぼぼぼぼっ、んぶっぅ”ぅぉぉ”っっぐっぅ”ぉぉ♡♡♡♡♡♡」
息すら満足に吸えない窒息感と嘔吐感を覚えながらも、それすら背徳的な性愛に変える。立香は頭を激しく上下させ、極太な陰茎を貪る動きを決して止めようとはしなかった。
一方、あなたの背後に回ったマシュは、自身の視線があなたの臀部とちょうど同じ高さになるよう、床に膝立ちとなった。そして両手をあなたの腰に添えると、息を荒げながらも躊躇することなくその中央へと顔を近づけ、あなたの無防備な尻穴に向けてその小さな舌先を鋭く突き入れた。
「んむっ”っ”ッ♡♡♡♡♡♡ ぉっぉっぉんごぉぉ♡♡♡♡♡」
不浄の粘膜を直接味わう背徳感と、雄の体臭が濃縮された芳醇な匂い。人間どころか動物すら躊躇するような最低最悪の変態的・低俗な奉仕を自らの意思で行っているという破滅的な自覚。その過激な背徳の快楽に、マシュは瞳を激しく濁らせて白目を剥き、絶頂するかのように小さく痙攣を起こす。
しかし、白目を剥いて脳を蕩けさせながらも、マシュは尻穴を味わうことを決してやめない。ヒクヒクと蠢く穴の皺の隅々まで熱い舌先を執拗に這わせ、ご主人様の排泄孔をくまなく舐め溶かしていく。
その二人の狂乱の奉仕を横で眺めていたラクシュミーが、うっとりと嫣然とした笑みを浮かべているのを目にすると、あなたは雌便器たちを平等に寵愛するため、ラクシュミーの腰を力強く引き寄せ、彼女の口腔を自身の唇で容赦なく塞いだ。
「んむッぉ”ぉ”♡♡♡♡♡ んッふっぅぅ”ッ”……♡♡♡♡♡♡」
突如として口内に侵入し、粘膜と舌を強引に舐め回すあなたの舌の触感に、ラクシュミーは目を白黒させた。だが次の瞬間にはその暴力的なまでの愛撫に陶然と屈し、あなたに合わせて自らの舌を絡ませ合い、口内から溢れ出る熱い唾液を互いに飲ませ合った。
眼前で繰り広げられる、四人のあまりにも激しく淫蕩なむつみ合い。天幕の中に充満する濃厚な雄の匂いと卑しい体液の音、そして快楽の絶叫に、部外者であったはずのアタランテは完全に呑まれていた。
「あ……ぁ……♡♡♡♡ なんなんだ……この光景は……♡♡♡♡」
頭では拒絶しようと叫びながらも、彼女の純潔な肉体は本能の欲求に抗えなくなっていた。立ち尽くす彼女の脚は自然と大きく開かれ、腰元に食い込む紐下着はいやらしい膣から溢れ出る雌汁でグチョグチョに濡れそぼり、まるで己の淫らな熱に浮かされるかのようにアタランテは無意識のうちに腰を小刻みに揺らし、陰核を下着の生地に擦り当てようとしている。
未知の快楽に身悶えする様子を傍らで観察していたジャンヌは、第一特異点において、性愛について無知だったマシュを慈しみをもって雌の悦びへと導いたスカサハの姿を脳裏に思い出していた。彼女のように自分もこの雌を正しき性愛へと導くことができるのでは。
そう考えたジャンヌは笑みを深めると、アタランテの耳元へ口を近づけ、甘く妖しく囁きかけた。
「……目を逸らしては駄目ですよ、アタランテ殿♡♡♡ ご主人様たちの神聖な交わりの一部始終を、どうぞその瞳に焼き付けてください♡♡♡
……ご覧なさい、皆さん本当に、心から幸せそうな表情をなさっているでしょう♡♡♡ 己の身も心も至高の性愛に委ね切ってしまうのは、この上なく気持ちの良いことなのです♡♡♡ 心からお慕いする唯一無二のお方に全てを捧げ尽くすことは、雌便器として生を受けた私たちにとって無上の喜び♡♡♡ 貴女も一人の雌であるなら、きっと共感していただけるはずです♡♡♡」
「なッ……♡ 戯れ言を♡ 私は……私はぁッ♡♡♡」
甘い囁きにアタランテが動揺を露わにしたその隙に、ジャンヌは肩に置かれていた片方の手を少しずつ、撫で下ろすようにして下方へと滑らせる。
そして溢れ出る愛液によって濡れそぼったアタランテの股間、その熱く湿った膣の割れ目へと、そっと優しく細い指先を添えた。
「ぉっっ”っ”ぉ”……♡♡♡♡」
アタランテは肩を震わせたが、先ほどから疼きつつある己の情欲と麻薬のような雄臭のせいで腰が脱力してしまい、ジャンヌの手を振り払うような強い抵抗ができなかった。
慈愛に満ちた表情で彼女を見つめながら、ジャンヌは静かに告げる。
「可哀想に……純潔の誓いに縛られ、これほどまでに熱く疼く体を一人で耐え忍んでいらしたのですね♡♡♡ ですが大丈夫ですよ♡♡♡ この私が、貴女を真実の愛へと導いて差し上げますから♡♡♡」
ジャンヌは嫋やかな手つきで、アタランテの股間に深く食い込んでいたスリングをぬちりと横へずらし、覆い隠されていた純潔の秘処を無防備に露出させた。
露わになったアタランテの秘部。それは処女神アルテミスに捧げられた純白の領域でありながら、あなたの存在に当てられたことで熟した蜜桃のように赤く火照り、溢れ出た無色の性液でぐちゃぐちゃに濡れそぼっていた。処女特有のキュッと固く閉ざされた割れ目の中心は、早く太いモノを噛み締めたいと欲するように、ひくひくと淫らに喘いでいたのだった。
「あぁ……なんて美しい処女の割れ目なのでしょう……♡♡♡♡」
ジャンヌは純真な女体に愛の喜びを教え込むように、濡れそぼった割れ目の縁を指先で優しくなぞり回す。
そして割れ目の上部にぷっくりと膨らむ敏感な突起を見つけると、それを親指と人差し指で優しく挟み込んで丹念に捏ね回した。
「ひゃああああッッ♡♡♡♡ んっ、んんあぁッ♡♡♡♡」
未開発の過敏な突起を直接いじられて、アタランテは自身の意思に反して甲高い喘ぎ声を漏らして体を跳ねさせた。狩人としての誇りも処女の尊厳も、指先の愛撫ひとつで容易く砕け散っていく。
だが、ジャンヌの甘い導きはそこで終わらなかった。彼女はアタランテの頭を優しく撫でながら、聖女の微笑みで語りかけた。
「ふふ……そんな甲高い小鳥のような声では、至高の雄様を喜ばせることはできませんよ♡♡♡♡ ご主人様を心から満足させるためには、より深く、純粋な性愛の喜びへと心を浸すことが何よりも大事なのです♡♡♡♡ ……さあ、格好をつけるのはおやめなさい♡♡♡♡ お腹の底から、貴女の純粋な愛をご主人様へ捧げるのです♡♡♡♡ 濁った声で『おー』と、ご主人様の陰茎へ向けて歓喜の声をあげるのです♡♡♡♡」
「な……にを……! そんな下品な声など……出せる……あひぁッ♡♡♡」
「嫌がってはいけませんよ……さあ、お声を出しなさい……♡♡♡♡」
アタランテの突起を捏ね回す指の速度をさらに速め、濡れた指先を割れ目の浅い秘孔へと力任せに擦り付けていく。
指先から脳髄へと直接突き抜ける破滅的な快楽に、アタランテの理性は加速度的に崩壊していった。最初は拒絶混じりの犬のような高い悲鳴であった喘ぎ声は、ジャンヌの執拗な手淫によって次第に濁り、重く、蕩け切った下品な声へと変貌を遂げていく。
「お……おッ……♡♡♡ お゛ぉッ……♡♡♡ お゛お゛お゛オォッッ♡♡♡♡♡」
処女の狩人の口から吐き出されたのは、己のプライドをドロドロに打ち砕かれた雌特有の、濁り切った下品なオホ声であった。
アタランテは白目を剥きかけながら、ジャンヌの指先が与える未体験の快楽に喉を震わせ、逞しくいきり立ったあなたの股間を見つめながら、濁った歓喜の声を天幕の中に響かせ続けていく。
雌便器たちがもたらす至高の奉仕と、いやらしい聖女によって淫らな性愛へと導かれていく狩人の痴態。それら快楽の坩堝の中であなたは大いに満足し、気分を高めさせていた。腰の奥から熱い吐精の奔流がこみ上げてくるのを感じ取ると、最後の一線を越えるために、あなたは雌便器たちの身体を惜しみなく駆使することにした。
あなたは片手でラクシュミーの腰を強く引き寄せると、そのまま手を彼女の後ろへと回し、布地越しにへと指先を強引にアナルを指先で強く圧迫する。
「んむぐッぉっ”ぉっ”ぉ♡♡♡♡♡♡」
ラクシュミーはあなたに口を塞がれたまま、目を見開いて悶絶した。その口元からは、暴れるあなたの舌と指の攻め立てによって、抑えきれない濁った声が漏れ出している。
あなたは空いたもう片方の手で、剛直を喉奥深く咥え込む立香の後頭部にガッシリと手を添えた。そして愛撫がまだまだ足りないと言わんばかりに、彼女の頭を力任せに前後させ、その淫らな奉仕を一層激しくさせる。
「じゅぼォッッ♡♡♡ んぉっっ”ぇぉっ”♡♡♡ ぐちゅ、んぐぼぼぼぼッォッ”ッ♡♡♡」
陰茎が喉の奥へと容赦なく届き、立香は苦しげにえずきながらもその窒息感すら彼女にとっては極上の性愛の糧であった。己を追いつめながら自らの恥部に当てた両手はさらに動きが乱暴さを増し、膣孔へと指を激しく突き刺し、もう片方の手で乳房を揉みしだく。
その狂乱の脇で、マシュはあなたの臀部にしがみつきながら、尻穴に必死に舌を這わせ続けていた。背徳的な香りと味を全感覚を総動員して受け止めて、うっとりと目を剥きながら奉仕を完遂しようとしている。
そしてアタランテは、すでに身も心も完全にジャンヌへと委ね切っていた。両足を大きく左右に押し開かれ、無防備な秘所を全開で見せつけながら、ジャンヌの淫らな指導に乗せられるがまま、獣のごとき濁ったオホ声を天幕中に響かせていく。
「ふふ……そうです、アタランテ殿♡♡♡ もっと淫らになりましょう♡♡♡ ご主人様の前で、その全てを晒し出すのです♡♡♡ ご主人様のおちんぽ様を心から尊崇するんです♡♡♡
さあ、ご一緒に唱えなさい♡♡♡ おちんぽ様、おちんぽ様、おちんぽ様……♡♡♡」
「お゛ッっほぉぉ”ぉっ”っっっ♡♡♡ お゛ちんぽ様ぁっ♡♡♡ おちんぽ様♡♡♡♡ おちんぽ様あぁ”ッ、もう私のおまんこ、壊れるッ♡♡♡♡ もうイってしまうぅぅ”ぉっお゛お゛ぉぉ”ッ♡♡♡♡♡」
ジャンヌに誘われるがまま、アタランテは激しい尊崇の言葉を叫び散らし、快楽の限界を迎えていることを狂ったように叫び続ける。
そしてついに、あなたの性愛は頂点へと達した。腰を激しく突き出し、最後の一撃として立香の喉奥深くへと陰茎を突き刺すと、絶頂とともに灼熱のような白濁液を大量に吐き捨てた。同時にラクシュミーの口内を口腔内の上蓋から舌の奥まで強引に貪り尽くす。
「んぐぶオォッッ♡♡♡♡ じゅっぽ、じゅぼぼぼぼッぉっほぉォッッ♡♡♡♡」
「んむッ……♡♡♡♡ じゅるる♡♡♡♡ んっぉ”ぉっ”♡♡♡♡」
喉奥へと直接注ぎ込まれる大量の精液の熱さ。口内を犯し尽くす圧倒的な快感。雌奴隷の二人はそれぞれの性愛に耽溺して同時に絶頂へと達する。揃って身体を大きく震えさせて、その無防備な膣口からはいやらしい愛液をどばどばと無様に床へ散っていく。
「お゛お゛お゛お゛ッッ♡♡♡♡♡ いっぐぅ”ぅっ”っ♡♡♡♡♡♡ 処女まんこいっぐぅぅ”っ”ぅ”♡♡♡♡♡♡」
アタランテもまた、ジャンヌによる絶妙な指使いによって、処女の身でありながら無様に絶頂へと叩き落とされた。キュッと固く引き締まっていた割れ目から、大量の潮がと勢いよく噴き出して足元を派手に濡らし尽くす。視界が明滅するような強烈な快感の中、アタランテは白目を剥き、口元からだらしなく唾液を垂らしながら、まるで長年調教され切った雌奴隷のような淫らで蕩け切った笑みを浮かべていた。
あなたは熱を孕んだ吐精の奔流を余すことなく出し切ると、立香の後頭部から手をそっと離し、同時にラクシュミーの唇から口をゆっくりと離す。自由を取り戻した二人の雌奴隷は、激しく上下する胸を抑えながら荒い息を吐き出し、蕩けるような悦楽と、あなたという存在に心も身も全てを捧げ尽くした深い隷属をその双眸に宿す。
「はぁ……はぁッ……ご主人様ぁ……♡♡♡♡ 喉の奥まで……こんなにたくさん温かいお種を注いでくださって……本当にありがとうございました……♡♡♡♡♡」
立香は溢れ出る涙と唾液、そして飲み干すことができずに口端から零れ落ちる精液を拭いもせず、恍惚とした笑みを浮かべて膝をついたまま頭を垂れた。
ラクシュミーもまた、口腔を支配していたあなたの味と熱の余韻に酔いしれながら、熱い吐息と共に感謝を捧げる。
「ふぅ……♡♡♡♡♡ ご主人様、至高の寵愛……感謝いたします♡♡♡♡ ご主人様の御寵愛のおかげで、この身に降りかかる不幸もきっと振り払うことができるでしょう……♡♡♡♡♡」
一方、あなたの背後では、尻穴への深い愛撫を終えたマシュがゆっくりと顔を上げ、口元を紅潮させながら恭しく土下座をした。
「ご主人様、私のようなものに……ご主人様の大切な尻穴へお口を寄せ、ご奉仕することをお許しくださり……心より感謝申し上げます♡♡♡♡」
忠実な雌奴隷たちの言葉に、あなたは大いに満足感を深めていた。
するとその時、横からジャンヌの可憐な声がかかった。
「ご主人様……どうぞ、こちらをご覧ください♡♡♡」
あなたが視線を向けると、そこには潮を噴き出し、完全に意識を明滅させたアタランテの姿があった。自力で体を支えることすらできず、ジャンヌに抱えあげられるようにして、無防備でいやらしい格好を晒していた。
スカートは捲れ上がったままで、極小の紐下着は完全にずれ、溢れ出た愛液と潮で股間から太腿にかけてが濡れて光っている。彼女の表情には狩人の面影など欠片もなく、未体験の快楽に打ちのめされた力の入っていない喜悦の笑みが浮かんでいた。
その無惨で美しい姿を一瞥すると、あなたは足音を忍ばせてゆっくりと彼女へと近づいていく。ジャンヌはあなたの意図を察したのか、アタランテの体を優しく押さえつけながら、彼女をその場に跪かせた。
息も絶え絶えになりながら、アタランテはぼんやりと視界を揺らす。―――その時、眼前に突きつけられたのは、立香の唾液と、あふれ出た濃厚な精液によって濡れそぼり、なおも猛々しい威容を誇るあなたの陰茎であった。
視界いっぱいに広がる圧倒的な雄の肉塊。そしてそこから濃密に立ち上る圧倒的な魔力の奔流と、芳醇なもどの精気の香り。
「あ……あぁ……♡♡♡♡♡♡♡♡」
その存在感と圧力に完全に気圧され、アタランテは抗う術もなく、無意識のうちに可憐な唇をと力なく開いてしまった。
あなたはその開かれた口腔の隙間を逃さず、濡れた陰茎の頭部をアタランテの口の中へと容赦なく押し込んだ。
「んぐッっ”ほぉぉ”♡♡♡♡♡♡ むッぶっぉぉ”ッ♡♡♡♡♡♡♡」
雌奴隷による口淫の汚れを削ぎ落とすかのように、あなたはアタランテの狭い口腔内を何度も繰り返し、激しく深く出し入れさせた。
口いっぱいに広がる陰茎の圧倒的な熱量、鉄と錯覚するような硬さ、そして先ほどまで他の雌の口内に注ぎ込まれていた精液のえぐみのある濃厚な味わい。
アタランテは驚愕と快楽の混ざり合った衝撃に目を白黒させ、喉を鳴らして喘いだ。彼女の野生の本能、そして英霊としての霊基の根底に、絶対的な敗北感と屈服の刻印が深く打ち込まれていく。
やがて、口内をくまなく犯し尽くすような出し入れを終えると、あなたは満足して彼女の口から陰茎をぬちりと引き抜いた。
口から陰茎が去った後も、アタランテは呆然と口を開けたまま、荒い息をと吐き出し続けていた。顎を伝って唾液と他人の体液が垂れ落ちるのも気にせず、彼女は虚ろな瞳であなたを見上げると、己の意思を超えて、無意識のうちに言葉を漏らした。
「あ……あぁ……私……私は、この雄には絶対に勝てない♡♡♡♡ 私は……貴方様の……雌奴隷、です……♡♡♡♡♡」
神話に刻まれた不敗の狩人アタランテは、ついにあなたという至高の雄に屈服し、隷属の宣言を口にしたのだった。
賢者メモ
二話分を一話にまとめたので文字数が膨れました。
気に入ったところだけ読んでもらって、他は読み飛ばしてください。