※この作品はR-18です。

妄想淫猥運命論   作:ジョン・ドゥドゥ

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地中海への招き

 淫靡な狂騒から一夜が明け、水平線の彼方から差し込む淡い朝焼けが、静まり返る港町を柔らかく照らし出していた。

 

 切り立った急峻な崖にぐるりと囲まれたその小さな町は、朝の静寂と潮騒に包まれている。波間に揺れる静かな桟橋には、一艘の舟が静かに繋ぎ止められていた。それは西暦一世紀の技術で作られた、数人が乗り込める程度の木製の手漕ぎ舟であった。削り出された木材の質感が力強く、太いオールが左右に備え付けられた質素ながらも堅牢な造りの船体が、朝露に濡れて鈍い光を放っている。

 その舟の前で、あなたとジャンヌは旅の荷物を手際よくまとめ、集まった仲間たちへ向けて一時の別れを告げていた。誰もが普段通りの凛とした装備と衣類を身に纏っている。

 マシュやラクシュミーが、真摯な眼差しジャンヌを言葉を交わす。

 

「ローマへの道中、お気を付けください」

「前線は我らに任せておけ。これだけの数の英霊が一度に合流するのだ、ローマの勢いも食い止めて見せよう」

「お気遣いありがとうございます。皆さんの期待に応えられるよう、ご主人様を精いっぱいお守りします」

 

 その横では、アタランテが弓を背負い直しながらブーディカへと視線を向けていた。

 

「私は後方に戻り、他にも援軍が呼べるか探ってみる。留守は頼んだぞ、ブーディカ」

「任せておいて。今の私は、昨日のおかげで絶好調なんだから。どんな敵相手にも負けないよ。……本当に、あの人は凄いね。体の奥から力が込み上げてくるみたい。アタランテも一緒に処女を捧げたらよかったのに」

「わ、私はまだいい。戦いが終わったらこの身の全てを……い、いや、アルテミス様への誓いを疎んじるわけにはいかん」

「ふふ、わかった。いつかの約束ということで覚えておくね。そのときは、とびっきり破廉恥な姿でご主人様のおちんぽ様を一緒に気持ちよくしよう。私は契約しちゃったから、絶対にするけど」

「や、約束は、しないからな……!」

 

 アタランテはそっぽを向いて赤面しながらも、昨日から体の内を満たす魔力の余韻に身を強張らせていた。

 仲間たちが賑やかなやり取りを交わしている最中、あなたは出立の直前、立香を強くその腕の中に抱き寄せていた。二人は誰の目を憚ることもなく、互いの唇を激しく重ね合わせ、濃厚なベロチューを交わし合っていた。昨日の快楽の余韻が残る口内で、ぬめり合う舌と舌とが互いを貪るように激しく絡み合い、ちゅぷ、ちゅぷと音を立てて濃厚な唾液を交換し合う。

 

「んむぅぅ……♡♡♡ ぢゅるるっ♡♡♡ んぇぁ……じゅるるっ♡♡♡」

 

 立香は己のいやらしく柔らかい女体をあなたへ押し付け、熱い吐息を漏らしながら全身全霊でその唇を捧げ続けていた。そして激しいキスを繰り返し重ねながら、離れがたい想いを抑えきれず、名残惜しむように衣類の上からあなたの陰茎を必死に撫でまわしていた。布地越しでもはっきりと伝わるその大きさと存在感に、彼女の指先は歓喜で打ち震える。

 あなたもまた、彼女の情熱的な求めに応じるように、衣類の上から立香の豊かな胸を両手で力任せに揉みしだいていた。手のひら越しに伝わってくる感触には、下着をつけていない独特の生々しい柔らかさがあった。あなたが胸の頂点へと指をすべらせると、そこにはすでに硬くコリコリに尖りきった突起の感触があり、それを指の腹でぐりぐりとこね回すと、立香はキスの合間に甘い雌の喜びの声を漏らした。

 このまま彼女を衣類越しに絶頂させるまで愛撫し続けてやろうかとも考えたあなただったが、ふと傍らからのスカサハの静かな視線に気づくと、そっと立香と唇を離し、名残惜しそうにする彼女の体をゆっくりと遠ざけた。

 

「あ……ご主人様……♡♡」

 

 極上の幸福から強引に引き離された悲嘆の声を漏らす立香だったが、スカサハがすっと歩み寄り、彼女の華奢な肩へと静かに手を置いた。

 

「もう出立のときだ。まだ空が暗いうちに船を出した方がいい。……それに、これが今生の別れというわけではない。それは分かっているだろう」

 

 スカサハの諭すような言葉に、立香は「……はい」と小さく肯定の返事をしつつも、瞳の奥に隠しきれない寂しさを覗かせた。

 そんな彼女の面持ちを見つめ、スカサハは言葉を続ける。

 

「これも歴史の特異点を解消するための苦行の一つと思え。耐えろ。……無事に事態を解決し、カルデアに戻れば、今までより一段上の寵愛を得られる。

 どうしても我慢できぬときは……昨日渡した水筒は持っているな?」

「はい。肌身離さず……」

 

 立香はそう答えると、腰帯に太い紐でしっかりと下げられた鉄製の水筒へと愛おしそうに手を触れた。その中には、昨日の狂乱の中であなたが出した膨大な量の精液や唾液、汗が大切に収められているのだ。

 

「症状を発したら必要最低限だと思う量を飲め。そうすれば魔力飢餓と情欲による精神の負担は、いくらか軽減されるはずだ」

「……分かっています。スカサハさん。これも、自分の体が招いたことですから。自分の責任は自分で取ります。私も……私もカルデアのマスターの一人なんだから、戦うときはしっかりしないと」

「よい心がけだ。我が主とともに安全地帯にいるときは雌便器として振る舞ってもいいが、今から向かうのは情け容赦のない戦場だ。相応の心構えをもって臨め」

 

 言葉を一区切りつけると、スカサハはゆっくりとあなたの方へと向き直った。

 

「ブーディカから聞いたが、今の時期は海は穏やかのようだ。しかし常に警戒しろ。もし物資の不足を感じたら、沖合にいくつかあるという島を目指すのも手だ。食糧や木材の確保といった雑事はジャンヌに任せろ。お前の一番の仕事は、常に万全の状態であることだ。カルデアの支柱たるお前に万が一があれば、我らは瓦解するのだからな」

 

 スカサハの助言に対し、横に並んでいたジャンヌが微笑みながら返答をする。

 

「スカサハ殿。そこまで言わずとも、ご主人様なら大丈夫です。こう見えて物事の引き際をしっかりと心得ていらっしゃいますから」

「ふん……この雌殺しに引き際という言葉が通じるかどうか。敵の懐に潜って躊躇いなく毒牙をたてに行く男だぞ。……まぁ、そんな男に惚れてしまったのも、運の尽きか♡」

 

 スカサハはどこか呆れたように、しかし誇らしげな笑みを浮かべ、朝焼けの光が差し込む海原へと視線を向けたのだった。

 

 しばらくして、あなたとジャンヌ、二人を乗せた手漕ぎの小舟が静かに桟橋を離れ、沖合へと滑り出した。

 見送る仲間たちは朝焼けの光の中に佇み、遠ざかっていく舟の影をいつまでも静かに見つめている。

 

「……行ってまいります」

 

 ジャンヌは静かにそう呟くと、英霊としての凄まじい膂力をその両腕に込め、力強くオールを引き絞った。木製のオールが力強く海水を押しやると、「ざあッ」と水飛沫が上がり、小舟とは思えない目覚ましい速さで船体が滑るように加速していく。海面を割って進むその速力は、まるで大海を駆る大船のごときであった。

 数分も経つと、さっきまで手を振っていた桟橋の仲間たちの姿は豆粒のように小さくなり、潮騒と朝靄の交じる遠景の中へと静かに溶け込んでいった。

 

 二人を乗せた小舟は、そのままイタリア半島の西側の海域へと入り、どこまでも続く美しい陸地に沿って順調に航行を続けていく。

 今回の移動における予定航路は、大胆なものであった。

 まずはニースからジェノヴァ、そしてピサに至るまで、イタリア半島の西海岸の陸地に沿うようにして海を進む。そこから先が一つの岐路であり、ピサを過ぎたら小舟は陸地から離れ、トスカーナ群島を目指して広大な海域を真っ直ぐ突っ切ることになる。無事に群島を抜けた後は、目的地であるローマ近郊の海岸線において、敵の手薄な場所を慎重に探して上陸を敢行する予定であった。しかしローマ周辺の警戒網が厳重であった場合、さらに南下してナポリ近辺まで足を延ばしてから陸に上がり、そこからローマに向けて北上するルートも考慮に入れていた。

 一方で、この航路には幾つかの懸念点が存在している。

 第一に、沖合に出た際、突如として吹き荒れる海風や高波による転覆の危険に常に晒されることだ。西暦一世紀の小型の手漕ぎ舟にとって、時化た海は一瞬で命取りとなる。海が平穏を保っているうちに、ジャンヌの膂力を活かして可能な限りのスピードを出し、海域を短時間で突破することが至上命題であった。

 第二に、トスカーナ群島からローマへと続く海域が、ローマ帝国における海上交通の最重要拠点である点だ。各地から補給物資を運ぶ商船が頻繁に行き交うと同時に、それらを護衛・監視するローマ軍の哨戒船や見張り所が至るところに配置されている可能性が高い。敵の目を欺くため、トスカーナ群島を大きく西側に迂回する航路を選択してはいるものの、そこから南下した海域における最新の警戒網や哨戒パターンに関する情報は不足している。ひとたび敵船に視認されれば逃げ場のない海上で包囲される恐れがあり、不測の事態には臨機応変に対応するしかなかった。

 第三に、無事に海域を突破できたとしても、上陸地点の選定とそこからの移動に大きなリスクが伴う点だ。ローマ近郊は防衛網が手厚く、敵の手薄な地点を見極めて密上陸を果たすのは容易ではない。仮に警戒を避けてナポリ周辺まで大きく南下して上陸した場合、捕獲や潜入の危険は減るものの、そこからローマを目指して北上する長距離の陸路移動を余儀なくされる。移動による疲弊に加え、陸上の街道や検問所での露見リスクが跳ね上がるというジレンマを抱えていた。

 

 英霊の肉体がもたらす圧倒的な膂力のおかげか、あなたを乗せた船はジャンヌの豪快かつ丁寧という矛盾したオール捌きにより、本来の手漕ぎ舟が出せる限界を遥かに超えた速度を出して海面を滑っていった。

 

「そりゃッ! はっ……!」

 

 ジャンヌが力強くオールを引き絞るたび、船底が海面を叩き、白い泡の尾を引く。まるで現代の水上バイクもかくやという凄まじい速度で、視界の隅では陸地の景色が次々と後ろへと流れていった。

 やがて、陸地の背後にそびえていたアルプス山脈の雄大な山肌が見えなくなってきたころ、遥か南のローマの方向へふと目を向けたあなたは、そこに浮かぶ異様な光景を目撃する。どこまでも澄み渡る青空の中に、太陽とは明らかに異なる不自然な光の点が、一つだけぽつんと瞬いていた。まるで青白い炎のような揺らめきを帯びつつも、モニターの鋭いブルーライトを直に覗き込んでいるかのような、冷たい機質さを感じさせる光であった。

 スカサハは前線からあの光を見つめ、あれこそがこの特異点における異変の真の中心ではないかと推察していた。あなたもまた本能的に、あれはこの時代に、いやこの世界に決して存在してはならない歪な異物であると感じ取っていた。空のキャンバスに無理やり貼り付けられたテクスチャーのように、その座標を一切ブレさせることなく固定された青い光点。その正体が何であるにせよ、じっと直視し続けていると、脳の奥底から狂おしい異常な考えや幻覚が生み出されそうな、正気を削り取る不快な感覚すらあった。

 あの光に照らされ続けたら。あの光を今よりもっと間近で直視してしまったら、一体どうなってしまうのか。

 この世界の歪みと特異を象徴する不気味な存在に、あなたは改めて心の奥で深い警戒心を強めていた。

 

 船はさらに勢いを増して前進し、後方に見えていた山の峰々も、今やだいぶ後ろへと流れ去っていった。

 ジャンヌはオールを漕ぐ手を緩めることなく、広大な海を見つめながら話す。

 

「ご主人様、この調子なら予定よりもずっと早く、沖合へ出るルートに入れそうです。ただし、一度海流に乗ってしまうと、途中で引き返して陸地に戻るのはかなり大変になります。陸地に寄って休息をとるなら今のうちですが……いかがいたしましょうか?」

 

 その問いかけに対し、あなたは迷うことなく、このまま止まらず一気に進もう、とジャンヌに指示を出した。

 

「分かりました!  私もこのオールの漕ぎ方に慣れてきて、水を押す感覚がつかめてきました。海がこのまま穏やかなら、夕刻までにはトスカーナ群島まで辿り着けるはずです。

 ……ですが、ここから先は海風が急に強くなるかもしれませんので、振り落とされないよう、船べりにしっかりと捕まっていてくださいね」

 

 そう言うと同時にジャンヌはオールを巧みに操り、あなたを乗せた小舟は滑らかな曲線を描くようにしてゆっくりと船首の向きを変える。そして広がる南西の水平線に向かって、船は再び驚異的な速さで海面を滑り出していく。

 潮の力強い香りと、勢いよくぶつかる海風を全身に受けながら、あなたは先ほど目にした、ローマの頭上で冷たく輝いていたあの青い星のことを静かに考え続けていた。

 あれは一体、何なのだろうか。

 迫り来る未知の脅威と、狂乱の余韻を残したまま、小舟は青い海原の彼方へと突き進んでいく。

 

 

 

 

 

 しばらくの間、小舟の上では無言のままであった。ジャンヌが休むことなくオールを漕ぎつつも、神経を尖らせて周囲の海域を警戒していたせいもあるし、あなたもまた、想像を遥かに超えた速度で突進する船の揺れに耐えるべく、船べりの木枠を両手でしっかりと握り、船酔いを我慢していたせいでもある。

 いずれにせよ、英霊の無尽蔵の体力と凄まじい膂力があってこそ実現された休みなき航海により、小舟はジャンヌが先ほど話していた通り、空が美しい茜色に染まり始める頃には、第一経由地であるトスカーナ群島の北端の島へと無事にたどり着いた。

 現代ではカプライア島と呼ばれるその小さな島に、あなたたちは一時的に上陸を果たした。波音の静かな岩陰へ小舟を寄せると、深い森の木陰に身を潜めて体を休めることにした。無用な音を立てて敵に見つかるリスクや、明日以降の航海に備えて体力を消耗するのを防ぐため、今夜ばかりは男女の行為に及ぶことも避けた。

 小舟が波に浚われたり発見されたりせぬよう、念入りに岸壁の陰の入り組んだ岩場へ隠す。それが終わると、あなたは近くの樹の木陰へと腰を下ろし、船旅の疲労に任せてゆっくりと眠りにつく。

 夜の静寂が島を包み込む中、規則正しい穏やかな寝息を立てるあなたの横顔を、ジャンヌは愛おしそうに、優しく見つめていた。最初、彼女は共に休むことを「英霊に睡眠や休息は不要です」と固辞していたのだが、あなたから、英霊とてかつては人なのだから人であった頃の当たり前の習慣まで変えないでほしい、という要請を受け入れ、あなたのすぐ隣で体を丸めて仮眠の姿勢を取ることとなった。とはいえ、実際には狸寝入りであり、周囲に対する警戒は怠っていなかった。

 

(ご主人様……)

 

 己の身も心も、そして英霊としての処女すらも捧げ尽くした絶対の主。

 ジャンヌは静かに胸に手を当て、夜空に浮かぶ冷たい青い星を視界の端に収めながら、心の中で改めて強く誓いを立てる。あなたへの永遠の忠誠を捧げた一匹の雌として、そしてあなたを守る英霊の一人として、必ずやローマの実態を暴き出し、この歪んだ特異点を解消する糸口を掴んでみせる、と。

 

 翌朝、夜明けとともに目を覚ましたあなたたちは、簡素な朝食をとることにした。

 取り出したのは、この時代の手軽な保存食である、堅く焼き上げられた無塩の麦パンと、塩漬けにされた豚肉、そして水に腐敗防止の薄いワインを混ぜたオポルカであった。水で濡らしながらでなければ噛み砕くことすら難しい保存食であったが、二人は静かに噛み締め、これから始まる船旅に向けて素早く腹を満たしていった。

 腹ごしらえを終え、隠していた船を引き出すと、あなたたちは再び海原へと繰り出す。オールを握り直し、海風を読むジャンヌの感覚では、このまま上手く潮の流れを掴んで進むことができれば、今夜遅くには目的地のローマ近郊の海岸線へと辿り着けるはずだという。

 

「参りましょう、ご主人様。……一日でも早くローマの地に足を踏み入れます」

 

 強い決意を秘めたジャンヌの言葉とともに、小舟は朝靄を切り裂き、再び南を目指して疾走し始めていく。

 さりとて、時の運に恵まれない時もある。

 舟を出してからしばらく経った頃、まるでこの特異点そのものが二人へ試練を突きつけているかのように、突如として強い西風が真横から襲いかかってきた。うねりを上げた波が容赦なく小舟の側面を叩き、船体は激しく上下左右へと揺さぶられ始める。

 

「くっ……! ご主人様、掴まっていてください!」

 

 波飛沫が船内へ飛び込もうとしたその瞬間、ジャンヌが咄嗟に魔力障壁を展開したことで、転覆や浸水といった影響は最小限にとどめられた。船の周囲に障壁を張り巡らせるとことで、水中のオールの接面や波の当たり方まで不自然になったせいか、船の速さは先ほどに比べると目に見えて落ちてしまった。

 それでも常人のそれを凌駕する速度ではあったが、船を漕ぐのと同時に魔力障壁を維持し、さらに刻一刻と変化する水流と風の動きを読むという三つの役割を同時にこやせるほど、ジャンヌは船を漕ぐのに慣れていない。いくら強大な力を備えた英霊といえども、もとを辿れば、フランスの素朴な農村で畑仕事に勤しんでいたただの村娘である。勝手が変われば、それだけ苦労をするのは必然であった。

 必死にオールを握るジャンヌの厳しい表情を見て、あなたは風に負けないように声を張り上げる。無理をして危険を侵す必要はない、もうすぐすると途中の島があるから、今日は航海を打ち切ってそこで様子を見よう、と。

 

「申し訳ありません、私の不甲斐なさゆえに……。ですがおっしゃる通り、無理をして舟を沈めてしまっては元も子もありませんね。航路を変えて島に行くことを最優先といたします」

 

 こうして二日目の航海では昼過ぎに辿り着いた、現代ではエルバ島と呼ばれる島に、あなたとジャンヌは一時的に足止めを食らうこととなったのだった。

 不幸なことに島に到着する間際、ジャンヌの激しいオール遣いによって、オールの一本が負荷に耐えかねメリメリと鈍い音を立てて大きく亀裂が入ってしまった。壊れかけたオールでは、この先の海流を乗り切ることは到底不可能である。

 あなた達は船を西側の安全な入り江に引き上げると、新しいオールか、それに成り代わる資材を確保しようと島の内陸部へと足を踏み入れ、少し高くなった丘から周囲の地形を観察した。すると遠巻きではあったが、島の東側の海沿いに、人の営みを示す煙と小さな港町が形成されているのが視界に入った。

 史実におけるエルバ島は、鉄鉱石の豊富な産出地として古くからエトルリア人やローマ人にとって重要な拠点であった。イタリア半島本土のポプルオニア港からわずか十数キロという近距離に位置し、鉱物資源の採掘と海上輸送の要所として、ローマ帝国の支配下で着々と開発が進められていた地域である。

 この特異点におけるエルバ島もまた、ローマ本国に近い中規模の島という立地から、東側の沿岸部には港町が整備されていて、その一角には、赤地に金の鷲をあしらったローマの軍旗が幾つも風に翻る一画が存在していた。周囲の石造りの民家とは一線を画す巨大な建造物と防壁が建造されており、そこがローマ本国から派遣された軍が駐屯する陣地兼海上基地ではないかと、あなたは推測した。

 無事にローマ近郊へ漕ぎ出すためには、英霊の力に耐えうる頑丈でまともなオール、あるいは強固な木材が喉から手が出るほど欲しいところではある。しかし、港町へ不用意に入り込めば、身元の不確かな異分子として捕捉され、追跡や戦闘に発展するリスクを伴う。かといって、現在いる島の西側の森で樹を伐採し、一から手作業でオールを削り出すのは時間と手間がかかる。そこらの木から適当に切り出した丸太一本では、急な荒波に対応できるとは思えなかった。

 潜入が露見するリスクを冒してでも、町に入って目的の資材ないしオールを確保すること。ついでにローマ本国における最新の情勢や兵力配置に関する情報を仕入れることができれば、十分すぎるほどのお釣りが来る。

 あなたはジャンヌと話しながら、互いの合意を確かめると、目的の物資と情報を奪取すべく、エルバの港町へと密かに潜入することを決めた。

 

 二人は森を超えて、丘を下り、エルバ島の東側に広がる港町の路地裏へと潜入した。

 眼前に広がる町並みは、西暦一世紀の史実におけるエルバ島、古代名イルヴァの姿を色濃く残していた。赤褐色の素焼き瓦をいただく低い石造りの家々が斜面にへばりつくように立ち並び、空気中には鉄鉱石を精錬する炉から漂う独特の金属臭と、海から吹き付ける潮風が混ざり合っている。港の埠頭には採掘された重厚な鉄鉱石や農産物を積むための小型輸送船(コルビタ)が何艘も繋がれ、舗装された石畳の道は鉱石を運ぶ荷車によって削られ、深く黒い轍が刻まれていた。

 歴史の赴くままの古風な港町。しかしそこに交差する生活の光景は、常軌を逸したものだった。

 行き交う町人たちは、一見すると古代ローマの伝統的なトゥニカやトガを身に纏っているように見える。しかし、老若男女を問わず、その誰一人として上半身に衣類を引っかけていなかった。男たちは褐色の胸板を丸出しにし、女たちは乳房をそのまま白日の下に晒して歩いている。街を巡開するローマの兵士たちも同じであった。彼らもまた素肌の上に直接、矢避け用のブロンズ製胸当てや革製の帯を締め直しているだけで、服というものを一切着ていない。

 加えて異常だったのは、通りの至る所に立つ女たちの姿だった。

 

「お兄さん、寄っていかない? 私のこのおっぱい、今ならいくらでも揉ませてあげるわよ♡」

 

 街のあちこちで、素肌を露わにした娼婦らしき女性たちが、胸を揺らしながら堂々と道行く男たちへ声をかけていた。一人や二人ではない。通りの角、露店の脇、広場の階段。至る所に娼婦が立ち並び、その背後には淫らな声が漏れ出る娼婦宿(ルパナール)と思わしき建物の入り口が幾つも連なっていた。

 奇妙なことに、そうした狂乱とも言える光景に対して、買い手も通行人も兵士も、誰一人として違和感や不快感を抱いていないようだった。人々はそれが世界の当たり前の道理であるかのように、平然と胸を揉み合い、街頭で淫らな会話を交わし合っていた。

 

「な、何ですか……この破廉恥な町は……!」

 

 町をあげたあまりにも解放的な光景にジャンヌは面食らい、あなたの手を引っ張るようにしながら慌てて路地の建物の影へと滑り込む。

 ジャンヌは白皙の頬を赤く染め上げ、戸惑いの声を漏らした。

 

「あれは……一体どういうことなのでしょう。この特異点全体に満ちる、歪で異様な力のせいでしょうか。確かに、私自身の霊基にも、どこからか嫌な風が絶え間なく吹き付けてくるような不快な感覚はありますが、だからと言ってあんな、公衆の面前で裸を晒すほどではないというか……。

 ご主人様はどうですか? 体調が妙に感じられたり、情欲が暴走しそうになる……といったような異常は受けていませんか? 受けていない、と。……それなら良かった。ご主人様がご無事なら、私もお護りし甲斐があります」

 

 安堵の溜息をついたものの、ジャンヌはすぐに困り果てたように眉を八の字に寄せた。

 

「しかし、困りましたね。オールを売っているお店がどこにあるか分からない以上、町の中へ入って探すしかありません。ですが私たちの今の格好は……この町の風紀には、そぐわないと言わざるを得ませんよね……」

 

 二人の現在の身なりは、この狂った街において目立ちすぎるものだった。あなたはカルデアから支給された、紺色基調の機能的な戦闘服。ジャンヌは聖女としての神聖な霊装であり、それぞれの服装の上から、人目を避けるために雨避けのローブを全身に羽織っていた。それは旅人が身を隠し、人目を避けるために羽織るような茶褐色の羽織物である。しかし上半身を素肌で晒すことが当たり前となっているこの港町においては、全身を隙間なく布で覆い隠すその姿こそが、悪目立ちとなってしまうに違いない。

 ジャンヌは一瞬だけ躊躇するように瞳を揺らし、暫し迷うかのように深く考え込んでいた。そして羞恥と熱情で顔を赤く染めなつつも、決意を込めた眼差しをあなたへと送る。

 その視線が言外に語る行動計画を、あなたは既に察していた。あなた自身もそのつもりであったが、かといって、この街の卑しい男どもの手がジャンヌの身体に少しでも及ぶような真似は決して許さない。己の威厳と圧倒的な雄の存在感をもって、常に周囲を強く牽制し、彼女を渡すつもりなど微塵もなかった。

 ジャンヌは甘く震える声で、意を決したように言葉を紡ぐ。

 

「ご主人様……『郷に入っては郷に従え』という言葉があります。ローマに入る者はローマの流儀に従え。この地の異様な力によるものにせよ、そうでないにせよ、この町がこのような風紀を自ら築いているのであれば、私たちにそれを糺す資格も理由もありません。

 そして、その流儀の中で自分たちの身を自然に溶け込ませることが避けられないのであれば……私は、一時の恥じらいと屈辱を忘れる努力をいたします。

 ……ご主人様、お許しいただけますでしょうか」

 

 あなたは赤面するジャンヌの柔らかい手を握りしめた。

 そして、力強い口調で彼女に告げる。絶対に他の男どもの好きにはさせない、あなたはこの俺の専用の雌奴隷であり、この極上の肉体も心も、全て自分だけのものなのだから、と。

 

「……♡♡♡♡」

 

 その独占欲に満ちた言葉を聞いた瞬間、ジャンヌの瞳は蕩けるような歓喜に濡れ、愛おしそうに破顔した。

 

「はい……♡♡♡♡ ありがとうございます、我がご主人様……♡♡♡♡ 私の全ては、永遠に貴方様だけのものです……♡♡♡♡♡」

 

 ジャンヌはやがて深く息を吐き出すと、腹を括ったように、今まで全身を包み隠していた雨避けのローブの結び目を解いた。バサリと音を立ててローブが足元へと落ち、続いて彼女の上半身を重厚に護っていた聖女の甲冑が、淡い光の粒子となって空気中へと霧散していく。

 白日の下にジャンヌの官能的な上半身の裸体が露わとなった。下着など一切身に着けていない、遮るもののない極上の雌肉。日頃の鍛錬と戦闘によって引き締まりつつも、女性らしいしなやかさと柔らかさを黄金比で残した、輝くばかりの白い肌。その胸元には、聖女の威厳を破壊するほど豊満で、重々と自己主張するふくよかな豊乳が鎮座していた。重力に逆らえずにむにゅりと自然な丸みを描く双丘の頂点には、これから体験する羞恥と、愛しき主人に見られる興奮によって、固くコリコリに尖り狂った桜色の突起が淫らにそそり立っている。

 甲冑の締め付けから解放された胸肉は、彼女が緊張で息を吐き出すたびに、弾力たっぷりにゆさりと大きく揺れ動いた。細く引き締まったウエストから滑らかな肋骨のライン、そして惜しげもなく晒された豊満な乳房のコントラストは、如何なる娼婦すらも霞ませる、狂おしいまでの雌の香気を放っていた。

 あなたも手早く羽織っていたローブと上着を脱ぎ捨て、力強く鍛え抜かれた上半身を惜しげもなく露出させた。一切の無駄がない無骨で力強い肉体美に、ジャンヌは思わず「あぁ……♡」と吐息を漏らし、瞳をとろりと蕩けさせて見惚れてしまう。しかし気を取り直すと、足元に落ちた衣服や雨合羽を手際よくまとめていった。

 

「これは小さくしてまとめておきましょう。万が一にもただのゴミだと思われて、勝手に捨てられてしまったら困りますからね」

 

 そう言うと、ジャンヌは英霊ならではの腕力に任せて衣服を限界まで力任せに押し潰して折りたたみ、携行していた丈夫な革袋の中へとぎゅうぎゅうに押し込んでいった。パンパンに膨れ上がったその袋は、旅の荷物であるかのように装って、あなたが肩に担いで持ち運ぶこととした。

 潜入の準備を終えて、あなたたちは意を決して街中へと繰り出そうとする。しかし、ただ他の町人たちに紛れて普通に歩くだけでは気に入らないと、あなたの中の独占欲がくすぐられる。

 あなたはおもむろにジャンヌの華奢な肩を力強く抱き寄せると、そのまま彼女の剥き出しになった左の豊満な爆乳を、容赦ない力加減で鷲掴みにした。

 

「おォ”っホぉぉ”っ♡♡♡♡♡」

 

 突然の手つきに、ジャンヌは小さくも下品な声を漏らし、目を丸くして戸惑いを隠せない。

 そんな彼女の耳元へ顔を寄せ、あなたは命じた。ただの住人としてではなく、俺に買われた娼婦として振る舞え、と。あなたはそう言い捨てると、普段の苛烈な性行為の際に行うような、容赦のない愛撫で彼女の胸肉を力任せに揉みしだし、指の隙間から柔らかい肉を溢れ出させ、尖り切った乳首を指先で強く捻り上げた。

 かつて神の声を聴き、国を救った聖女であるはずの身が、性を金品や従属のタネとする下賤な娼婦に扮せよ。その背徳的で冒涜的な指示に、ジャンヌの脳裏は一瞬で熱く焼き尽くされた。

 彼女は狂おしい興奮に身を震わせると、吸い寄せられるようにあなたへぴったりと身を寄せ、自らの豊かな乳房をあなたの体に強く押し付けてきた。

 

「はい……♡♡♡ 喜んでおともいたします、我がご主人様……♡♡♡ 私は……貴方様だけの、淫らな買い切り娼婦です……♡♡♡ 好きなだけおっぱいを揉みしだいてください♡♡♡」

 

 そうして二人は仲睦まじい裕福な若い主人と、彼に買われて淫らな奉仕を捧げる娼婦を装い、エルバの港町へと堂々と繰り出していった。

 若い男女が、白昼堂々から文字通り乳繰り合い、精悍な青年が見目麗しい美女の胸を揉みしだきながら歩く様子に、通りを行き交う町人や兵士たちは好奇心と下心に満ちた視線を送ってくる。

 だが、それ以上の追及や声を上げてくる者はいなかった。町全体に満ち溢れる不健全で猥雑な空気のせいもあって、予想していた通りあなたたちの露骨で淫らな行いは、この狂った町においては完全に日常化されたごく一般的な男女のイチャつきとして処理されているようだった。

 かといって、それが神聖な聖女にとって倒錯的で破滅的な行いであることには変わりがない。周囲の男たちから向けられる露骨で下品な視線。あなたにしか見せたことのない、本来であれば決して誰にも晒してはならない自分自身の裸体を、見知らぬ群衆にまざまざと直視されているという現実。

 その圧倒的な背徳感と恥辱、そしてそこに混ざり合う狂った喜悦に、ジャンヌは人知れず甘い吐息を漏らし続ける。興奮によって彼女の滑らかな肌は全身うっすらと桃色に赤らみ、剥き出しになった胸の頂点の乳首はこれ以上ないほどコリコリに硬く勃ち上がっている。

 あなたはジャンヌの痴態に愛おしさを覚えつつも、しかし他の男どもが図々しく声をかけたり手を伸ばしてこないよう、独占欲の高い横暴な若主人を演じ続けた。歩みを進めながらも、彼女の乳房を強く揉みしだき、指先で勃ち上がった乳首を「ピンッ」と弾いては、所有権が自分にあることを周囲へ見せつける。

 

「んお゛っ♡♡♡♡ オっホぉ……♡♡♡♡」

 

 容赦のない愛撫に、ジャンヌは可憐かつ下品な声を漏らしつつもも、自らの使命を忘れることなく、熱く潤んだ瞳でそれとなく周囲の建造物や資材の置き場へと視線を配っていく。

 町中を乳繰り合いながら歩くあなた達であったが、やがて地元の人間と思われる男から声がかけられた。昼間だというのに安酒の壺を抱えて煽り、顔を真っ赤に熟れさせた中年の男である。下腹部は酒と脂でだらしなく膨らんだ、事なビール腹であった。

 

「おぉ、若ぇの! 昼間ッからそんな上物のネェちゃんを抱え込んで、これ見よがしに見せびらかすたぁ男気があるねぇ! ガハハッ、そんな綺麗でドデカいおっぱいしたネェちゃんを侍らせられるなんて、とんだ幸せ者だなぁッ!」

「あ、あはは……あ、ありがとうございます……」

 

 ジャンヌは胸をむにゅりと揉みしだかれ、乳首を指先で弾かれながらも、精いっぱいの愛想笑いを浮かべて言葉を返した。

 男は赤ら顔をさらに崩し、自分の突き出た腹をポンと叩きながら自嘲気味に呟く。

 

「へっ、だがよ、あんたみてぇな好きもんも、近頃じゃちっとも珍しくなくなってきたなぁ。昔はよぉ、日差しがつれぇから服をきっちり着てた気がすんだが……なんだか最近はもう、服なんて着るのもバカバカしくなっちまってさぁ。ああっ、バカバカしい! もうバカだねぇ、バカ! どうでもよくなってきたなぁ、ガハハ!!」

「は、はぁ……そうですか。あ、あの、あまり飲みすぎないようにお気をつけくださいね。それでは失礼いたします……」

 

 男が再び酒を煽り始めた隙に、ジャンヌはあなたに引かれるようにしてその場を素早く辞した。

 酔っ払いの男をその場に置き去りにし、二人は細い路地の影へと移動する。周りの目を憚るように体をぴったりと寄せ合い、あなたはジャンヌの耳元に囁いた。どうやらこの狂った街の住民に不審の目や違和感を抱かせることなくて溶け込むことができたようだ、と。

 ジャンヌは頬を染めたまま小さく頷いた。

 

「そうですね……まずは第一段階クリア、といったところでしょうか。……願わくば、もう少し正気があって会話の通じそうな方と話せれば良かったのですが。

 それとも、より怪しまれないためにも、こちらから積極的に話しかけてみますか?」

 

 あなたは首肯しつつ、掌の中で吸い付くようなジャンヌの豊満な乳の柔らかい感触と、カチカチに硬くなった乳首の芯を確かめるようにひと揉みしながら、周囲へ視線を走らせる。

 すると、通りの一角にある木陰のベンチで、一人で暇そうに脚を組みながら煙草のような薬草の煙を燻らせている一人の娼婦の女性が目に留まった。町中には他にも破廉恥な装いの娼婦たちが溢れかえっていたが、その女性は中でも群を抜いて過激で倒錯的な格好を晒していた。上半身は当然のごとく剥きだしであり、垂れながらも溢れんばかりの豊かな乳房を無防備に晒している。そして下半身に至っては、腰紐で申し訳程度に布を一枚垂らしただけの、ごく薄い前掛けしか身に着けていなかった。海からの生ぬるい風が通りを吹き抜けるたび、その前掛けがひらりと捲れ上がり、布の向こう側にある無駄毛が処理された無毛の恥部と、一本筋の割れ目が白日の下に白々と覗いていた。

 あなたはジャンヌの豊満な胸を揉みしだき、抱き寄せるような体勢のまま、その女性へと歩み寄っていった。

 近づく足音に気づいたのか、その娼婦の女はゆっくりと紫煙を吐き出すと、あなたとジャンヌの姿を上から下までじろりと舐めるように見回した。そしてあなたの鍛え上げられた肉体と、その手に抱かれた聖女の美しい裸体を見て、いかにも手慣れた風ににやりと妖しい笑みを浮かべた。

 

「こんにちは、お若いお二人さん。……ふふ、こんなに良い天気は、絶好の交尾日和だとは思わないかい?」

「こ、こうび……なんですって……?」

 

 ストレートな物言いに、ジャンヌは思わず目を丸くして素っ頓狂な声を上げてしまう。

 女は煙草の灰を指先で弾き落としながら、くすくすと喉を鳴らして笑った。

 

「おや、交尾だよ。お二人もその手の番だろう? こんな真っ昼間から道端で盛り上がって、女の乳をこれでもかと揉みしだいてさぁ……これからこの女を死ぬほど犯しますって顔をしてるよ、あんた。それにその女の方も、これからこの男にずっぽり深いところまでハメられちゃいますって、蕩けた顔をしてるさね。……ふふ、さぞ毎日のように死ぬほど盛り合ってるんだろう?」

「そ、そうですね……♡ 確かにご主人様とは……毎夜、とても熱い情事を盛んに重ねております……♡」

 

 ジャンヌは顔を羞恥で赤く染め上げながらも、あなたへの忠誠と愛を込めて言葉を返す。

 娼婦の女は満足そうに大きく頷く。

 

「そりゃあ良かった! そんなに男を狂わせる淫らな体をしておきながら、遊ばないなんて人生損でしかないよ。

 ……それとも何かい? 二人きりで交尾するだけじゃ物足りなくなったから、他人の見世物にして、もっと気持ちのいい射精の材料にしたいってかい?

 ……ふふっ、別にアタシは構わないよ。ちょうど暇を持て余してたところだしさ。あんたらみたいな綺麗な二人の交尾を間近で見せてもらえるんなら、アタシの体なんていくらでもおかずにしておくれよ」

 

 女はそう言い放つと、自らの豊満な乳房をむにゅりと艶やかに手で揉み上げ、先端の硬くなった乳首をあなたに見せつけるように捏ね回した。さらに腰に巻いていた薄い前掛けを片手で不造作に脇へとずらし、無毛の秘部を全開に晒した。そして指先で己の膣口をくぱぁと左右に押し開き、赤黒い膣道の内部まで見せつけて、わざとらしく淫らに挑発してみせた。

 

「うわぁ……♡♡」

 

 熟練された、あまりにもいやらしく手慣れた所作と、充満する狂った性愛の空気に、ジャンヌはゴクリと息をのんだ。

 あなた自身も、この町を覆うような退廃的な空気のせいか、本当はその気でなかったのにも関わらず、その過激な情景と淫らな町の風に煽られて下腹部の奥底から熱がこもり始めた。

 服の布地を内側から猛然と押し上げるようにして、あなたの巨大な肉塊が怒張して凶悪なまでの剛直となって膨らんでいく。衣類越しでもはっきりとわかる太さと長さを誇る盛り上がりを見逃さなかった娼婦の女は目を丸くした。しかし、すぐにその瞳にドロドロとした下品な情欲の色を浮かべると、唇を舐めて淫らな笑みを深めた。

 

「こりゃあ、とんでもない物を持ってるねぇ、あんた♡♡♡ そんな凶悪な雌殺しのおちんぽ様で毎日のように奥まで突かれて泣かされるだなんて……くぅぅっ、連れの女は世界一の幸せモンだねぇ♡♡♡」

 

 女は興奮を抑えきれない様子で、開いていた秘部に自分の指をじゅぽりと深々と突き立て、あなたに見せつけるようにして、その場で自慰を始めていく。浅ましく淫らな指使いが膣の内壁を露骨なほどに引っ掻き回して、女の頬が興奮で赤らんでいく。

 

「ねぇ、お兄さん……♡♡♡♡ お願いだから、ちょっとだけでいいからそのすごいおちんぽ様を見せてくれないかい……♡♡♡♡ お兄さんになら、タダでアタシのマンコを使わせてあげるからさぁッ♡♡♡♡ 何べんだって膣の奥に射精してくれたっていいからさぁッ♡♡♡♡♡」

 

 濡れた音を響かせながら指を激しく出し入れし、あなたへとおねだりするように、娼婦は身をよじらせて自慰を加速させていく。

 あなたはジャンヌの腰を片腕で力強く抱き寄せたまま、自慰に耽る娼婦の女へとゆっくり歩み寄っていった。間近まで迫る布地を弾け飛ばさんばかりの剛直な膨らみと、そこから放たれる熱気を感じとり、女は荒い息を漏らしながら指使いを速めていく。指を何本も膣の深奥へ躊躇なく突っこみ、性愛の昂ぶりのあまり体をくねらせる。

 あなたは自慰を続ける女を見下ろしながら言葉をかけた。いくつか聞きたいことがある、その問いに素直に答えてくれるなら、この陰茎を好きなようにさせてやってもいい、と。

 その提案を聞いた瞬間、「本当かい♡♡♡♡♡」と、女は歓喜の声を上げた。そしてあなたの股間へと遠慮なく手を伸ばし、服の上からその太く硬い陰茎を撫でまわし始める。布越しに伝わる規格外の硬度と灼熱の感触に、女は恍惚とした表情を浮かべて甘い吐息を漏らす。

 

「あぁ……本当にあんた凄すぎるよ♡♡♡♡ こんな見事なおちんぽ様に深々と貫かれたら、うっかりガキをこさえちまいそうだ……♡♡♡♡ いや、こさえたって一構わないさね♡♡♡♡ 無責任にその太い種を子宮の奥の奥まで注ぎ込まれて、意識が吹き飛ぶくらい絶頂させられたいもんさ♡♡♡♡ 

 いいよ、そこの可愛いお姉さんと同じくらい激しく突いて、あたしの子宮にべったりと熱い精液をぶちまけておくれ♡♡♡♡ そうしたらあんたの知りたい質問なんて何でも答えてやるし、なんなら今日からあんたの奴隷にだってなってやるよ♡♡♡♡ 一生そのおちんぽ様が乾く暇もないくらい、あたしの身体で気持ちよくしてやるからさぁっ♡♡♡♡」

「お、お待ちください! いくらなんでも話が進むのが早すぎませんか……!?」

 

 あまりに早急で倒錯的な交渉の展開に、ジャンヌは思わず口を挟んだ。

 しかし、娼婦の女はあなたの陰茎を撫でまわすのを止めることなく、首を横に振って鼻を鳴らした。

 

「早いもんかねぇ! 最近じゃ挨拶もなしに問答無用で女を襲いに来るバカな男どもが、ローマ本国からぞろぞろやってくるんだよ! このエルバ島は本国に比べりゃまだ兵隊の風紀が行き届いている方だから、往来でそんなバカな真似をする奴はすぐに引き立てられていくけどさ。それでも気の早い盛りのついた男なんてごまんといるのさ! それに比べたら、ちゃんと交渉を持ちかけてくれるあんたの連れはとんでもない紳士様だよ!

 ……あぁ……もう駄目だ、あたしも我慢できなくなってきちゃったよ……! ねぇ、お願いだから♡♡♡ ちょっとだけでいいから……本物のおちんぽ様を見せておくれよ……♡♡♡」

 

 女はあなたの陰茎を撫でながら、縋りつくような潤んだ瞳であなたを見上げてきた。

 その必死で淫らな懇願の様子を見つめていたあなたは、仕方ないとばかりに服の留め具を緩めると、女の正面に向けて逞しくいきりたった陰茎をそのまま白日の下に解放した。

 空気に晒された凶悪なまでの大きさ、太さ、そして脈打つ血管の雄々しさを間近で目撃し、隣に佇むジャンヌもその威容と男らしさに息を呑み、頬を真っ赤に染めながらうっとりと瞳を蕩けさせた。

 

「あぁ……♡♡♡♡♡♡♡」

 

 そして目の前で直視した娼婦の女は、まるで本物の神を目の当たりにしたかのように、心の底から平服するような感極まった声を漏らす。

 狂喜に打ち震える両手であなたの陰茎を恭しく握りしめた。

 

「こりゃあ……凄すぎるよ……♡♡♡♡♡♡ あんた、神様か何かかい……♡♡♡♡♡♡ おちんぽの神様だよ、こんなの……♡♡♡♡♡♡

 あんたのこんな凄まじいおちんぽ様の前じゃあ、この世界のどんな雌だって自分から股を開いちまうよ……♡♡♡♡♡♡ あの我が物顔で君臨してる皇帝ネロ様だって、あんたのこのおちんぽ様の前には平伏して股を開くに決まってるさね……♡♡♡♡♡♡ あぁ、本当に……本当にとんでもないよ……♡♡♡♡♡♡」

 

 女はそう叫ぶやいなや、溢れ出る欲望をもう抑えきれないとばかりに猛然と頭を差し出し、あなたの亀頭から竿に至るまでを勢いよく口の中へと咥え込んだ。そのままあなたの腰に手を当てると、なりふり構わず頭を前後に激しく動かして、怒涛の口淫を開始した。

 舌のひだを複雑に絡め、溜まった唾液を滑り止めにしながら、亀頭のカリや裏筋といった敏感な箇所を的確に舐めしゃぶり、喉の奥深くで亀頭を押し潰すように圧迫してくる。それは、ただ客を満足させるだけの代物ではない。百戦錬磨の娼婦としての長年磨き上げた技術と、一人の雌として本能的に精強な雄の種をねだる情熱と誇りが融合した、まさにあなたという絶対的な雄の精を力づくで搾り取らんとするような本格的な奉仕であった。

 その生々しい奉仕の音と、あなたの陰茎が他人の女の口内でズボズボと出し入れされている淫乱な光景に、ジャンヌは耳まで真っ赤にして呼吸を荒くしていた。

 曲がりなりにも白昼の往来の一角で、このような倒錯的で過激なフェラチオを行わせているという状況そのものに、あなたも一定の優越感と気分の良さを覚えていた。そのため、しばらくは女の必死な奉仕にそのまま身を任せていたのだが、それでもあなたの胸中は、今ひとつ気分の盛り上がりに欠けるような感じがあった。

 この娼婦の女に不満があるわけではない。ただこれまで、スカサハやジャンヌ、今はカルデアにあるアルトリアといった、圧倒的な存在感と愛を誇る雌奴隷たちとの苛烈で濃厚な交尾を幾度となく重ねてきた経験からすると、目の前の女の情熱と技術は確かに称賛に値するものではあったが、それだけではあなたの我慢しきった陰茎を射精の絶頂へと至らせるための最後の踏み込みとしては、どうしても物足りなさを感じてしまう。

 あなたは静かに手を伸ばすと、口淫に夢中になっている女の髪を優しく掴み、強引すぎない力加減でその頭部を後方へと倒し、口内から陰茎をすぽんと引き抜いた。

 

「んむッ……♡♡♡♡ あ、あぁッ……♡♡♡」

 

 途中で奉仕を強引に中断された女は、口の端から糸を引く唾液を垂らしたまま、うっとりと熱を帯びた瞳であなたを見上げていた。しかし、あなたが投げかけた言葉を聞いて、ハッと我に返った。

 こんな路上でこれ以上続けていれば兵隊に見咎められて捕まってしまう、宿の中に入ろう、と。

 

「あ……あ、あぁ……! そうだね、あんたの言う通りだ! 気が立っててうっかり忘れてたよ……!

 ほら、このすぐ後ろにある建物がアタシの使ってる娼婦宿さ! とにかく中に入ろうッ!

 中に入ったら、いの一番であんたのその凄まじいおちんぽ様でアタシを激しく犯しておくれよッ♡♡♡♡ もう……あんたのをしゃぶってる間ずっと、アタシのここがビショビショに濡れちゃって、うずいて仕方なく堪らないんだよ……♡♡♡♡ あんたのために、とっておきの体勢で犯されてやるからさ♡♡♡♡ 

 だから……たっぷりと熱い精子を奥の奥まで出しておくれよ……ねぇ、旦那様……♡♡♡♡ いやらしい変態娼婦のまんこの奥に、ぶっ濃い精子をこき捨てとくれ♡♡♡♡♡」

 

 女は荒い息を吐きながら立ち上がると、秘部から溢れる愛液で太ももを濡らしながら、急かすように二人を誘った。

 そうしてあなたとジャンヌ、そして娼婦の3人は、陽光を避けるようにエルバ島の娼婦宿の薄暗い扉の奥へと足を踏み入れていった。

 

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