※この作品はR-18です。

妄想淫猥運命論   作:ジョン・ドゥドゥ

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守勢転じて勝機と為す

 

 無事に街道を進んだカルデア一行と避難民の一団は、幸運にも道中で飛竜からの急襲を受けることもなく、目的地であるレジスタンスの駐屯基地へと無事に到着を果たした。

 しかし、安堵したのも束の間、出迎えた基地の光景は凄惨なものだった。

 周囲からは汚染された魔力を含んだ黒く重苦しい霧が絶え間なく押し寄せており、どうにか結界によってそれらの霧を跳ね返しているようだが、見た目だけでいえば駐屯基地に黒い霧が覆いかぶさっているような光景である。今にも結界が崩壊して霧に飲み込まれそうな危険な想像を惹起するかのようだ。敷地内には傷ついた負傷兵と疲れ果てた避難民たちが身を寄せ合って座り込んでおり、とてもではないが竜の魔女が率いる狂気の軍勢に対抗できるようには見えなかった。

 ここまで懸命に足を動かして付き従ってきた避難民の一団だが、その絶望的な光景を目の当たりにして暗い表情を浮かべ、今にも心が折れそうになっていることに、あなたは即座に気付いた。

 あなたは群衆の前に進み出ると、力強く、そして温かく彼らに向けて述べる。絶望に打ちひしがれてはいけない。ここには自分たちがいる。どんなに天気が重苦しく伸し掛かってきても、人が希望を持ち続ける限り、必ず天気は晴れ渡る。まだ戦いは終わっていない。自分たちがここにいる限り、あなた達を決して見捨てはしない……と。  

 冷えかけた群衆の心に熱が吹き込まれる。すかさず、あなたの隣に寄り添うアルトリアが聖槍の柄に手をかけ、気高く声を震わせた。

 

「主の言う通りです。私の槍は、理不尽に怯える皆さんの盾となるためにあります。聖槍の名において、これ以上の蹂躙は決して許しません!」

「そうだな。今の我々に向かって、たとえ小癪な羽虫が何匹群れようと、すべて叩き落としてくれる。お前たちは安心して我らに身を預けるがいい。決して一人たりとも死なせはせん」

 

 アルトリアの言葉に続いて、スカサハが妖艶かつ圧倒的な自信を湛えて笑う。

 その様子を見ていたジャンヌもまた、固く旗を握り締めて民衆を見つめた。

 

「神は私たちを見捨ててはいません。どうか、自分の隣にいる仲間と、そして私たちを信じてください! 主の恩寵は皆さんを必ずこの苦境から救いましょう!」

 

 英霊たちの力強い言葉に、民衆は目に見えて落ち着きを取り戻していく。崩壊寸前だった士気はどうにか平静を取り戻し、理性は繋ぎ止められた。

 

「……すごい。みんなの心が、彼の言葉で一つになったみたい……」

 

 その様子をすぐ後ろで見ていた立香は、窮地において咄嗟に民衆を導く言葉を紡げなかった自分の無力さを痛感し、小さく唇を噛んだ。

 しかしそれと同時に、マスターとして自分よりも遥か一歩先を進み、力強さと頼もしさを見せるあなたの背中に対して、深い憧憬と、胸の奥から湧き上がる熱い恋慕の視線を隠すことなく向けていた。いつぞやの訓練の時、汗ばんだからと痴態を見せびらかした時を思い出して、立香の下腹部は燃えるような熱に疼いている。

 群衆が落ち着いたのを見届け、ジャンヌが周囲を見渡しながらあなたに声をかける。

 

「皆さん、どうにか腰を落ち着けられそうですね。……ですが、この基地にいるはずの他の英霊たちの姿が見当たりません。私は少し、知り合いの顔が残っていないか探してきます。現状を確認するためにも、レジスタンスの代表がいる中央の天幕へ向かいましょう」

 

 彼女の言葉に同意して、カルデア一行は駐屯基地の中央部に建てられた大きな天幕の下へと向かう。

 重い天幕の幕を押し開けて中へと足を踏み入れると、そこには一人の美しい女性が、ひどく消耗した様子で椅子に深く腰掛けていた。

 戦場という凄惨な場所にそぐわない、華やかで可憐なドレスを身に纏っているものの、その表情は険しく、押し寄せる汚染魔力の霧に耐えるかのように張り詰めている。あなたの視線は、不可抗力ではあったが、その女性の胸の双丘に向けられた。その豊満な胸元はスカサハよりは若干小ぶりなものの、ドレスの生地を限界まで押し上げるような見事な巨乳であり、王妃としての気品の中にどうしようもない肉感的な色香を漂わせていた。

 

「マリー……!」

 

 ジャンヌが切なげにその名を呼ぶと、マリー・アントワネットは弾かれたように顔を上げ、次の瞬間には、先ほどまでの沈痛な表情を嘘のように消し去って、いつもの眩いばかりの微笑みへと切り替えた。

 

「まぁ、ジャンヌ! 無事だったのね、会えて嬉しいわ!」

 

 椅子から立ち上がったマリーは、まるで可憐な小鳥が跳ねるようにしてジャンヌの元へと歩み寄る。その軽いステップに合わせて、ドレスに包まれた彼女の豊かな巨乳が、ボイン、ボインと重たげに、かつ淫らに上下へと揺れ動いた。

 二人は互いの無事を確かめ合うようにしっかりと手を取り合い、奇跡的な再会を心から喜び合う。

 ひとしきりジャンヌとの再会を喜び、胸を撫で下ろしたマリーだったが、ふとジャンヌの背後に控えるあなたたちの存在に気付き、小首をかしげた。

 

「そちらの方々は……? あなたの新しいお友達かしら?」

 

 マリーからそう尋ねられた瞬間、ジャンヌの身体が微かに強張った。

 彼女はほんの一瞬だけ、木陰で自分をめちゃくちゃに手淫し、亀頭のみを膣内に挿入して射精をし、深い絶頂へと導いたあなたの下腹部へと、どうしようもなく艶やかで熱っぽい視線を走らせてしまう。しかしすぐに平静を取り戻すと、小さく咳払いをしてあなたを紹介した。

 

「ええ、そうです。こちらはカルデアから来られた、とても頼れる仲間の皆さんです」

 

 ジャンヌの一瞬の視線の変化と、その奥に潜むただならぬ熱情に、マリーは敏感に気付いた。

 しかしそれを深く追及することはせず、まるで大輪の花が咲き誇るかのような華やかな笑みを浮かべ、あなた達へと優雅に一礼する。

 

「初めまして、カルデアの皆さん。私はマリー・アントワネット。フランス王妃、マリーよ。皆さんがジャンヌを支えてくれたのね。フランスを代表して、心から感謝するわ」

 

 ――マリー・アントワネット。フランス革命において非業の死を遂げた、人類史で最も高名な王妃の一人。

 史実においては、奢侈を尽くした悪女として民衆の憎悪を向けられ、ギロチンによってその生涯を閉じた悲劇の女性として知られている。しかし、彼女の本質は決して浅薄な放蕩娘などではない。どれほど民衆に憎まれ、罵倒されようとも、フランスの王妃としての気高さを最期まで失わず、自らの運命を受け入れた強固な精神の持ち主であった。英霊として召喚された彼女は、人々の憎悪ではなく、かつて愛したフランスのすべてを等しく愛するという、絶対的な慈愛の霊基を宿してこの地に顕現していた。

 

 マリーの優雅な挨拶を受け、カルデア一行もそれぞれ名乗りを上げて自己紹介を交わした。

 皆が挨拶を終えた後、一行を代表して立香が真摯な眼差しで王妃を見つめ、言葉を紡ぐ。

 

「マリーさん、私たちは人理を修復するため、そしてこの特異点を解決するためにカルデアから来ました。どうか、あなたの力を貸していただけないでしょうか」

「ええ、もちろんよ。フランスを愛する者として、あなたたちの力になることを約束するわ。……けれど」

 

 そこでマリーはふっと愛らしい笑みを曇らせ、胸元の大きな果実を痛々しく震わせながら、小さなため息を漏らした。

 

「どこまであなたたちに協力できるかは、私にも分からないの。今のこの場所は、それほどまでに追い詰められているから……」

 

 その不穏な言葉に、ジャンヌは天幕の周囲を見渡しながら、ずっと抱いていた疑問をマリーに投げかけた。

 

「マリー、先ほどから気になっていたのですが……この駐屯基地にいたはずの他の英霊たちは、一体どこへ行ってしまったのですか? アマデウスやサンソン、デオンの姿が見当たりませんが……」

「……あの人たちは、今はここにいないわ。数日前に他の場所に行ったの」

「他の場所? それはどういうことでしょうか」

「……この汚染された大地において、魔力適性のない人間が健全に生き残れる場所は、もう本当に少なくなっているわ。各地のレジスタンスはそういう貴重な拠点を死守して、逃げてくる避難民たちを受け入れていたのだけれど……つい先日、そのうちの一箇所が飛竜の一団による激しい急襲に遭って、全滅の憂き目に遭ってしまったの」

「全滅、ですか……っ」

 

 ジャンヌが痛痛しい思いに胸を締め付けられ、表情を曇らせる。マリーは悲痛な面持ちのまま、言葉を続けた。

 

「ええ。その急報を聞いて、アマデウスやサンソン、デオンは、まだ残っているかもしれない生存者の捜索と、これ以上の侵攻を食い止めるための迎撃に向かったのよ。動ける戦力をすべて率いて、その拠点へ応援に向かわざるを得なかったの」

 

 状況の深刻さに天幕の空気が凍りつく中、マシュが一歩前に出て、疑問をマリーに尋ねた。

 

「そうだったのですね……。ですがマリーさん、それほどの窮地であるなら、なぜあなただけが一人で、戦力を分け合わずにこの基地に留まっているのですか?」

「私には、英霊としてのスキル……『王妃の愛(カリスマ)』があるからよ」

 

 マリーは自らの胸元にそっと手を当て、引き締まった声音で答えた。

 

「その力を使えば、周囲の人間を癒やし、鼓舞することができるわ。汚染された霧の恐怖でパニックになりかけたレジスタンスの避難民たちを精神的に支えたりね。それにアマデウスが張ってくれたこの基地の結界を維持するためには、英霊の誰かがここに残らないといけなかった。だから私は、人々の最後の砦として、どうしてもここに残らなければならなかったの。どんなに悔しくても、みんなと一緒に戦いに出るわけにはいかなかったのよ」

 

 しかし、その健気な自己犠牲の言葉を聞いてもなお、スカサハの紅い瞳は冷徹に彼女の本質を射抜いていた。

 彼女はフッと鼻で笑うと、容赦のない現実を突きつける。

 

「なるほど、見事な王妃の覚悟だ。……だがな、いくら結界で汚染を中和しようと、このような死に絶えた環境では魔力の自然回復など望むべくもない。スキルを使用し、人々の絶望を肩代わりするたびに、魔力は消費していく一方のはずだ。

 王妃よ、お前の霊基も、すでに相当に追い詰められているのではないか?」

 

 そのあまりにも正確で容赦のない指摘に、マリーの可憐な身体は小さくビクリと震え、反論できずに視線を泳がせて俯くしかなかった。

 ジャンヌは痛痛しいものを見るような目でマリーを見つめ、何か彼女を救う手段、そしてこの状況を打破する手段はないかと、縋るようにカルデア一行、特にあなたの方を振り返った。

 今までの話を聞いて、あなたの頭には思い浮かぶ感想がある。レジスタンスは守ってばかりだ。このような情勢で、かつ非力であるがゆえに仕方がないかもしれないが、フランスを汚染させ続けている者からすれば、好き放題にやれる状況が続いているだけだ。どこに攻めようと、どこを汚染させようと、ボールは攻め手が抱え続けている。状況を一気に好転させるためには、相手の手からボールを奪い返さなければならない。それがどんなに無理難題でも、守るだけではいずれ負けるのだ。

 あなたの意図を察したアルトリアが前に出て、現状の厳しさと取れる手段について答え始めた。

 

「ここに留まっているだけでは、状況は悪化していく一方です。あなたの魔力が尽きれば、この拠点は内側から崩壊するでしょう。つまり、防衛にリソースを割き続けることに意味はありません」

 

 その言葉を引き継ぐように、ラクシュミーが力強く言葉を重ねた。

 

「つまり、打って出るしかないということだ。これ以上守りに徹してすり潰されるくらいなら、このフランスを汚染させる根源の元に向かって全軍進軍し、敵の首魁を直接打倒するしかない」

「それって……」

「敵の首魁から、この特異点を維持するための魔力リソースである『聖杯』を奪取する。それこそが、この絶望的な状況を根底から好転させる、唯一無二の答えだ」

 

 ラクシュミーが力強く言い放ち、天幕内の面々がその可能性へと一斉に思考を向けたのを悟ったあなたは、小さく頷いてマリーへと視線を戻し、冷静に問いかけた。

 レジスタンスは現在、敵の勢力に対してどれくらいの情報を掴んでいるのか。敵の首魁は一体誰で、どこを本拠地としているのか、と。

 マリーは一瞬躊躇うような素振りを見せたものの、決意を固めたように視線を上げ、現在掴んでいる情報を一つずつ開示し始めた。

 

「まず、敵の首魁についてよ。彼女はジャンヌと瓜二つの姿をした、黒い甲冑を着た少女……人々からは『竜の魔女』と恐れられているわ。けれど、いくら怨恨を抱いていようと、かつて火刑に処された聖女が単独でこれほどまでにフランスを蹂躙する魔力を持てるはずがないの。おそらく、彼女の背後で強力な支援を行っている何者かが潜んでいるわ。その黒幕こそが、カルデアの求めている聖杯の本来の持ち主よ。彼らの本拠地は……特定はできていないけど、おそらくオルレアンの城だわ」

「理由を聞いても?」

「単純に敵の最大兵力がそこに集結しているからよ。聖杯が飛竜すらも呼び寄せるのなら、飛竜が最も多い場所こそ敵の本拠地ではなくて?」

 

 マリーは息を整え、さらに付け加える。

 

「第二に、敵の軍勢には竜の魔女が召喚した英霊が複数存在しているわ。彼らは全員、不自然な「狂化」の呪いを施されていて、まともに交渉することもできない。それどころか、汚染された魔力のせいで、本来の霊基では実現できないほどの歪んだ大力を行使してくるの。彼らの圧倒的な力のせいて、かつてこのフランスに召喚された英霊たちも、すでに何騎か倒されてしまったわ」

 

 ドレスの胸元を悲痛に震わせながら、マリーは最も大きな障壁について語った。

 

「そして第三に、竜の魔女の最大戦力、邪竜ファフニールの存在よ。あの怪物に傷を負わせ、討伐できるのは「竜殺し」のスキルや宝具を持った英霊だけだわ。レジスタンスは、そのスキルを持つ大英雄……ジークフリートが、この地に召喚されているという確実な情報を掴んでいるけれど、彼が今、どこに潜んでいるかまでは分かっていないの。いずれにせよ、あの邪竜ファフニールが存在する限り、私たちは竜の魔女にも、その背後の聖杯にも、決して辿り着くことはできないでしょうね」

 

 マリーの言葉を一通り聞き終えたあなたは、腕を組み、頭の中で一瞬にして戦況を組み立てると、全員に向けて明確な一つの結論を下した。

 カルデア一行は、邪竜を討ち落とすための絶対条件であるジークフリートの捜索を最優先事項として行動する。そして第二の優先事項として、遭遇した竜の魔女の眷属たる敵英霊を確実に撃破、あるいは各個撃破していく。本命の聖杯へ直接至る直通ルートが存在しないのであれば、最も可能性の高い勝利への筋道を強引にこじ開けるだけだ。ジークフリートを確保してファフニールを屠り、敵の軍勢を大幅に弱体化させたら、間髪入れずに竜の魔女の懐へと一気に潜り込んで聖杯を奪取する。現在のマリーの消耗度合いから見ても、こちらに長期戦を戦う余裕はない。取るべき戦術は、圧倒的な短期決戦、そして敵の裏をかく奇襲しかない、と。

 

「……いい判断だ。冷静で現実的。その作戦こそ、私たちが生き残る唯一の道であろうな」

 

 スカサハがあなたの導き出した結論に満足げに目を細め、アルトリアやラクシュミー、マシュたちも深く首肯してあなたの意志に同意を示した。

 マリーは毅然とした表情のままジャンヌを見つめ、優しく微笑みかけた。

 

「ジャンヌ。あなたはカルデアの皆さんと一緒に行動してちょうだい。私はこの拠点に残り、最後の瞬間までみんなの精神を支え、結界を維持してみせるわ」

「マリー……。分かりました、あなたにばかり重荷を背負わせはしません。私はすぐにアマデウスや、他の英霊の方々を見つけ出し、彼らにここへ戻るよう伝えます。みんなが戻ってきたら、一緒に力を合わせて、このフランスを竜の魔女の手から必ず取り戻しましょう!」

「ええ、信じているわ、ジャンヌ。フランスの明日は、あなたたちに託すわね」

 

 カルデア一行とマリーが固い決意を一つにし、互いに力強く頷き合ったまさにその瞬間だった。

 天幕に満ちていた厳かな和親の空気を鋭く引き裂くように、外からドタドタとけたたましい足音が近づいてきた。

 

「マ、マリー様! 大変です!!」

 

 天幕の幕が荒々しく押し開けられ、息を切らせたレジスタンスの斥候が顔を青ざめさせて飛び込んでくる。

 彼は肩を激しく上下させながら、必死の声を絞り出して急報を告げた。

 

「飛竜の一団です! 夥しい数の飛竜がこの基地に向かって進軍してきています! しかも奴ら……アマデウス様が築いてくださった、この拠点を守る結界の『基点』がある場所にまっすぐ押し寄せています! このままでは結界が破壊されます!」

「なんですって……!?」

 

 マリーは可憐な顔の血の気を引かせ、目の色を変えた。

 

「魔法陣が壊されたら、この基地は汚染された霧に完全に飲み込まれてしまうわ……! すぐに飛竜を撃退しなければ、ここにいる全員が霧の毒気と飛竜の牙の犠牲になってしまう!」

「ふむ、慌てるな。斥候、その魔法陣の場所はどこだ」

 

 スカサハが毅然とした態度で斥候に短く尋ねると、「こ、ここから北にある森林のカタコンベの入り口です!」と即座に答えた。

 場所を把握したスカサハは、紅い瞳を妖しく光らせ、あなたたち一行を振り返って瞬時に指揮を執る。

 

「よし、状況は理解した。私とアルトリアが先陣を切って向かう。残りの者は決して陣形を乱さず、私たちの後をついてくること。いいか、飛竜の一団との最初の激突は我ら二騎の英霊にすべて任せろ。そしてジャンヌ、お前はマリーとマスターの傍を絶対に離れず、二人を護衛しながら進軍するのだ。遅れるなよ!」

「マスター、ここはスカサハ殿の指示に従ってください。我が槍と聖剣、邪悪なる飛竜の群れを払うために今こそ振るわん」

 

 アルトリアも凛とした声を響かせ、あなたの顔を見つめて深く頷いた。

 あなたや立香、マシュたちが力強く首肯するのを見届けると、二騎は次の瞬間には天幕の外へと風のように飛び出していった。

 まるで爆発するような凄まじい風圧を残し、二騎の英霊は一陣の突風のごとく大地を駆け抜けていく。それはマスターによる魔力の回復が無ければ決して実現しえない俊敏さであった。

 あまりの神速の進軍ぶりに、テントの外で作業していた避難民たちは、何が自分たちの横を通り過ぎたのかすら理解できず、「な、なんだ今のつむじ風は?」「影のようなものが走っていったぞ?」と目を白黒させて驚くばかりだった。

 

「先輩、私たちも急ぎましょう! 二人に遅れてはなりません!」

「うん、行こう! マリー、ジャンヌ、私たちの後ろに!」

 

 マシュと立香の声に合わせ、残されたあなたたち一行も即座に武器を構えて走り出した。

 先に向かったスカサハとアルトリアが切り開くであろう道を信じ、汚染された霧が妖しく渦巻く森の奥――結界の中心地である森林のカタコンベへと向かって、全速力で赤黒い大地を蹴り出した。

 

 

 

 

 

 

 先に向かったスカサハとアルトリアの背中を追いかけ、汚染された霧が深く立ち込める森の中を突き進む一行。森の様子は進むにつれて一層不気味さを増しており、特異点の歪んだ魔力によってその図体を数倍に肥大化させた鴉の群れが、死肉を探すように頭上の枯れ木を行き交い、不吉な鳴き声を響かせていた。

 その不気味な光景を一瞥しつつ、あなたは地面に深く刻まれたアルトリアの愛馬の鋭い蹄の跡を的確に追いかけていく。

 すると間もなく、森の遥か奥方から、地響きのような爆音と飛竜の激しい叫び声が立て続けに轟いてきた。

 二人がすでに交戦に入っている。絶対に離れてはならないと、あなたは一同に鋭く声をかけて、一同はさらに地を蹴る足を速める。ジャンヌは旗を握り直し、マリーもまた消耗する体を懸命に動かしながら必死にあなたへと付き従っていく。

 やがて視界が唐突に開け、森の開けた広場へと出くわしたその瞬間、一同の頭上から巨大な影が猛烈な勢いで落ちてきた。

 

「危ない……っ!」

 

 マシュが盾を構えようとした刹那、光のような速度でジャンヌが前に飛び出した。

 彼女がその白銀の槍を天に向けて鋭く振るうと、迫る巨躯は容赦なく払われ、凄まじい質量音を立てて地面へと叩きつけられた。それは、すでに事切れた飛竜の死体だった。しかも、その首には深々と、スカサハの放ったと思われる赤い幻影の槍――ゲイ・ボルクの残滓が突き刺さっていた。

 

「はははっ! どうした、トカゲども! その程度の数で、この影の国の槍を止められると思ったか!」

 

 その時、頭上から鈴を転がすような、しかし凶暴なまでに威勢のいい戦士の声が響き渡る。あなたが思わず空を見上げると、そこには驚くべき光景が広がっていた。

 汚染された霧を切り裂き、スカサハが天空を舞っていた。彼女は羽ばたく飛竜の背から背へと、まるで重力を無視したかのように軽々と飛び移りながら、次々と巨大な獣たちを屠っていたのだ。一頭の飛竜の首を背後から槍先で容赦なく刎ね飛ばしたかと思えば、即座に身を翻して別の飛竜の硬質な翼をズタズタに切り刻み、さらに急降下しながら迫る一頭の頭蓋を真上から槍で深く貫き通す。

 先日の夜、あなたの剛直によって限界まで中出しされ、淫らにオホ声を上げさせられていたメス便器の姿などそこにはない。至高の雄であるあなたから濃厚な種汁と魔力を限界まで注ぎ込まれた彼女の霊基は、先日の苦戦ぶりが嘘のように完全に全調律されており、全盛期をも超える圧倒的な躍動感で戦場を支配していた。

 そして、そのスカサハが支配する空の下――大地の方では、結界の基点であるカタコンベに群がろうとする無数の骸骨兵の一団を相手に、アルトリアがその真の武威を遺憾なく振るっていた。

 

「そこを退け、人理の敵どもよ!!」

 

 純白の愛馬ラムレイの嘶きが響き渡る。アルトリアは後ろからあなたに猛烈に腰を打ち付けられていた時とは一転、凛とした騎士王の表情で、突撃槍を構えて戦場を縦横無尽に駆けていた。ラムレイの蹄が骸骨兵の群れを容赦なく踏み砕き、彼女が手にした槍が猛然と一閃されるたび、一振りで十数体の骸骨兵が骨の破片となって派手に吹き飛んでいく。突風を纏ったその一撃は、大地を抉り、敵の防衛線を紙切れのように容易く引き裂いていた。彼女もまた、あなたからの狂暴な種付けによって魔力をこれ以上ないほど贅沢に充填されており、その一挙手一投足から放たれる輝きは神々しいほどだった。

 

「なんという強さ……これが、本来の二人の力なのですね……!」

 

 マシュや立香がその神話級の無双ぶりに驚き、思わず足を止めそうになる中、あなただけは最も早く立ち直り、即座に次の行動へと意識を切り替えた。すぐにカタコンベの中に入って結界の様子を見なければならない、と。

 

「ああ、そうだ! 見惚れている暇はない! あの二人が敵を引き付けてくれている間に、結界を確保するぞ!」

 

 ラクシュミーの鋭い号令とともに、一同はあなたを先頭として、カタコンベの暗い入り口へと向かって猛然と走り出した。あなたのその頼もしい背中を追うように、ジャンヌとマリーがすぐ後ろに続き、最後尾をマシュと藤丸らがしっかりと固めていく。

 カタコンベの暗い入り口が目の前に迫る中、あなたは並走するマリーへと視線を向け、結界の基点がこの地下墓地のどこに設置されているのかを素早く尋ねた。不気味な地下への階段を前にして、マリーは苦しそうに胸元を押さえながら、切迫した声で即座に応じる。

 

「一番最奥の祭壇よ! そこにアマデウスが残した魔術の核があるわ!」

 

 その詳細な位置を把握したまさにその時、カタコンベの入り口の地面が不気味にひび割れ、どす黒い魔力の奔流とともに何かが這い出てきた。それは無数の髑髏であった。禍々しい骨が生き物のように蠢きながら急速に結合していき、一行の行く手を完全に塞ぐようにして、墓地をも見下ろすほどの巨大な骸骨兵がその異形を現したのだ。

 その圧倒的な質量とプレッシャーに対し、あなたはすぐさま右手の令呪を発動させて一気に片を付けようと構えた。しかし、そのあなたの前に藤丸立香がそっと手を伸ばし、あなたの肩を優しく、けれど固い決意を込めて押し止める。

 

「ここは私たちに任せて! あなたはジャンヌたちと一緒に、一刻も早く祭壇へ!」

 

 立香の言葉に続くようにして、マシュが巨大な盾を構えて前線へと踏み出し、ラクシュミーもまたその鋭い剣を抜いて異形の怪物を見据える。彼女たちの揺るぎない覚悟が宿った視線を受け止めたあなたは、一瞬の迷いもなく、ここを彼女たちに任せて先へ進むことを、無言の頷きと鋭い眼差しで伝えた。

 藤丸たちが力強く首肯したのを確認するや否や、あなたはジャンヌとマリーの手を引くようにして、巨大な骸骨兵の足元の隙間、カタコンベの暗闇へと猛然と突入していった。

 侵入者を遮ろうと、巨大な骸骨兵がその骨張った巨大な手をあなたたちの背後に向けて容赦なく振り下ろす。しかし、その爪先が届くよりも早く、横から鋭い閃光が走った。

 

「させない!」

 

 ラクシュミーが放った決死の牽制の一撃が骸骨兵の手首を弾き、さらに生じた衝撃波をマシュが巨大な盾で完全に遮断する。

 

「ここは絶対に通しません! ジャンヌさん、先輩をお願いします!」

 

 背後から響くマシュの叫び声を背に受けながら、あなたたちは地下の階段を駆け下りていく。

 彼らを見送った立香は、ここが自分たちの正念場であると腹をくくり、二騎の英霊へと自身の全魔力を効率よくバイパスさせながら、この巨大な絶望を打ち破るための死闘に臨む決意をその瞳に滾らせていた。

 

 暗く湿った空気が肌にまとわりつくカタコンベの中へと入ったあなたとジャンヌ、マリーは、崩落の危険を孕んだ狭い石造りの通路を急ぎ足で進んでいった。

 壁面には無数の髑髏や骨が幾重にも埋め込まれており、汚染された魔力によってそれらが薄気味悪い紫色の光を帯びてぼんやりと周囲を照らしている。すれ違うのがやっとというほどの狭い回廊を、衣擦れの音を響かせながら奥へ、奥へと突き進んでいく。

 やがて埃っぽい狭い通路を抜けると、ひんやりとした空気が溜まる、やや開けた円形の広場のような場所に出た。

 周囲の視界を見渡すと、その最奥には、他の簡素な墓碑とは明らかに異なって造りが古めかしく、どこか威厳を感じさせる巨大な墓石が鎮座していた。

 そして驚くべきことに、その墓石の足元には、静寂に包まれた空間にぽつんと、一丁の美しいバイオリンが厳かに置かれていた。

 

「間違いないわ、あれが結界の基点よ!」

 

 マリーが確信に満ちた声を上げると、ジャンヌはそのバイオリンをじっと見つめ、アマデウスという英霊の性質に思いを馳せるようにして言葉を紡いだ。

 

「なるほど……アマデウス……つまりモーツァルトの音楽、そして彼の愛した楽器ですね。英霊が最も力を発揮し、魔術を定着させやすい媒体として、これ以上のものはありません。自らの魂の拠り所を基点にすることで、自分自身が結界から離れた場合でもこれほど強固に維持できていたのですね。相変わらず、抜かりませんね」

 

 ジャンヌがそう推察を口にすると、あなたは彼女の鋭い洞察力を称えるように、じっと深い視線を向けた。

 それに気づくと、あなたに激しく弄ばれていた記憶がフラッシュバックしたのか、ジャンヌは顔を微かに赤く染め、照れ隠しのようにふいと視線を逸らしてしまった。

 その間にマリーは墓石の前に歩み寄り、ドレスの裾が汚れるのも気にせずにその場に膝をつくと、そっと両手でバイオリンを手に取った。

 

「よかった……。まだ傷一つついていないわ。アマデウスの魔術の核も、未だに無事で機能しているみたい」

 

 マリーは愛おしそうにバイオリンを抱きしめ、安堵の深い息を吐き出した。

 このカタコンベの最奥は、地上での飛竜の咆哮も、入り口でのマシュたちの死闘の響きも一切伝わってこない、絶対的な静寂が支配する空間だった。

 それゆえに、広場に佇むあなたたちの小さく荒い足音や、革の装備が擦れ合う衣擦れの音だけが、やけに生々しく壁面に反響して響き渡っていた。

 マリーは結界の現在の強度を正確に確認するため、バイオリンに触れながら作業を開始した。

 

「ええっと、まずはここのラインに魔力を通して……それから、アマデウスが言っていたあの呪文の言葉を……ううん、これで合っているかしら……?」

 

 彼女は天才音楽家に教わった魔術の術式を口の中でぼそぼそと呟きながら、その場にぺたんと座り込み、不慣れながらも何やら細かな作業を施し始めた。

 その姿を見たあなたが、キャスターのクラスでもない王妃の身で本当に結界の修復や調整ができるのか、モーツァルトは結界を作れるほど凄い英霊なのか質問すると、マリーは作業の手を止めずに、気丈に振り返った。

 

「ふふん、私だってこれでも英霊よ? 先生の指導がとても良かったのだから、結界の修復もちょいちょいと直せるわ! 

 それと、ここにはいない人理の英霊のことをもっと信じてちょうだい。アマデウスは自分の最も大切なものを媒体にして、この地に召喚された他の英霊に……あのアマデウスがよ?……自分から頭を下げて、人々の精神と心を守る結界魔術も学んだのだから。この結界は、人理に生きる人々のために編まれた英霊たちの絆の結集、数多の力の結実なの。だから私たち英霊にしっかり任せちゃいなさい!」

 

 マリーのその頼もしくも可憐な返答を受け、あなたはやり方のわからない自分たちが下手に手を出しても邪魔になるだけだと判断し、隣に立つジャンヌへと向き直ってその旨を伝えた。ジャンヌもあなたの判断に同意するように、小さく息を吐いて肩の力を抜いた。

 

「そうですね。私たちが焦って触れて、万が一にも結界を乱してしまっては取り返しがつきません。今はマリーを信じて、周囲の警戒に徹しましょう」

 

 ジャンヌはそう言って微笑み、剣の柄に手をかけながらも、あなたのすぐ隣でその肉体を寄り添わせるようにして静かにマリーの作業を見守り始めた。

 

 その後、カタコンベの最奥には、マリーがバイオリンを慎重に調律し、結界の魔術回路を微調整する音が規則正しく響き渡った。

 ピーン、と時折彼女の指によってバイオリンの弦がつま弾かれるたび、澄んだ美しい響きが古めかしい地下墓地の石壁を反響し、汚染された空気を一瞬だけ清めるかのように広がっていく。あなたは何をするでもなく、ただ腕を組んで壁に背を預け、マリーの作業がすべて終わるのをじっと静かに待ち続けた。隣に立つジャンヌは沈黙を守っていたが、先ほどからどこか居心地の悪さを誤魔化すように、執拗に墓地の入り口側へと体を向き直しては、張り詰めた様子で周囲への警戒を敷いていた。

 そのとき、ふと張り詰めた静寂を破るように、作業を続けていたマリーがジャンヌに向けて声をかけた。

 

「ねぇ、ジャンヌ。カルデアの人たちとは、うまくやれているのかしら?」

「ええ……もちろんですよ、マリー。皆さんとても実直で、人理を救うために必死に戦う、信頼できる方々です」

 

 ジャンヌがまっすぐに肯定の返事をする。

 すると、マリーはバイオリンに触れたまま、悪戯っぽく唇の端を吊り上げて言葉を重ねた。

 

「ふふ、そう。では――そこの、お隣にいらっしゃる殿方とはどうなのかしら?」

「どう、とは……どういう意味ですか?」

「ずっと黙って見ていたけれど、すぐに分かってしまったわ。ジャンヌ、あなたは彼のことを、ひとりの異性として強く意識しているのでしょう?」

「なっ……!?!? ~~~~っっ♡♡」

 

 ジャンヌは驚いて勢いよくマリーの方へと振り返り、激しい動揺を必死に抑え込もうと肩を震わせながら、「どうしてそんなことを聞くのですか!」と逆に問い返した。

 そんな彼女の動揺を見透かすように、マリーは穏やかに微笑んだ。

 

「隠さなくてもいいのよ。私は生前、たくさんの恋人たちや、愛おしい人たちの営みが放つ特有の空気を感じ取ってきたわ。今のあなたたち二人からは、それと同じ……いえ、それ以上に熱い情愛の空気が満ち満ちているもの」

 

 マリーの言葉に射抜かれ、ジャンヌはおずおずとあなたの方へと視線を向けた。そして、あなたもまた、彼女の濡れそべった美しい瞳をまっすぐに見つめ返す。

 あなたの力強い視線に触れた瞬間、ジャンヌはこれ以上の誤魔化しは通用しないと観念したように、頬を林檎のように真っ赤に染め上げてぽつりと答えた。

 

「……はい。意識、しています。どうしても、彼の姿を目で追ってしまうのです」

「ふふ、素敵ね。じゃあ、どれくらい意識しているの?」

 

 マリーからのさらなる追及に、ジャンヌはすぐに言葉を返すことができず、ただ恥ずかしそうに俯いて黙り込んでしまった。

 そんな聖女の様子を見つめながら、マリーはバイオリンを愛おしそうに撫で、諭すように語りかける。

 

「お友達の間に隠し事はなしよ、ジャンヌ。嬉しいことも、悲しいことも、胸にある情熱は全部言葉にして言ってしまいなさい。特に、私たちがいるこの世界は毎日が生きるか死ぬかの連続よ? だったら、後で絶対に悔やまないように、お互いの秘密を打ち明ける時間をちゃんと設けなさい。それが、人生をより良く、より美しく生きるための秘訣なのだから。

 ……もしも語るのがとってもエッチなことだったのしても、ここにいるのは私達だけ。誰にも言わないであげるから、言っちゃいなさいな」

 

 マリーの情熱的で真っ直ぐな言葉に、ジャンヌは羞恥のあまり身もだえし、自らの白銀の槍をぎゅっと抱きしめるようにして葛藤していた。

 しかし、あなたの存在が自らの心を支配している事実から逃れられないと悟り、ついにその甘く淫らな秘密を打ち明け始めた。

 

「……こんなことを言っても、聖女としての私に絶対に引かないでほしいのです、マリー。

 私は、彼とすでに――男女の関係を結びました」

「まぁ、素敵! それで、二人はどんなことをしたのかしら?」

「……森の木陰に連れ込まれました……」

「それから?」

「お、お洋服を乱されて……女の子として、一番恥ずかしい場所を……おまんこを……彼の前にすべて晒してしまいました……♡」

「それから?」

「彼の……彼の逞しい指が、私のおまんこの中をめちゃくちゃにかき乱して、頭が狂ってしまいそうなほど押し寄せる快楽に、ただ身もだえすることしかできなくなって……っ♡♡」

「まぁ! それから?」

「か、彼の……彼の大きな陰茎を、膣の入り口で何度も激しく擦ってもらって……処女膜を破らないように、亀頭だけを膣の中に入れて、そこに熱々の精液をブチ撒けてもらったのです……♡♡♡ ほ、本当に、天にも昇るような、恐ろしいほどの気持ちよさでした……♡♡」

「とっても淫らで、最高に素敵だわ、ジャンヌ! それからどうしたの?」

「……彼と、そのあと激しいキスを交わしているうちに、私の胸の奥で、どうしても抗えない感情が湧き上がってきたのです。もっと、もっとこの人の荒々しい性欲を、私のこの身体のすべてにぶつけてほしい、と……そんな破廉恥なことを、本気で願ってしまったのです……っ♡♡」

 

 ジャンヌは両手で顔を覆い、指の隙間から涙目のうっとりとした視線をあなたへと向けながら、自らの内なる牝としての本能をすべてマリーの前に暴露していくのだった。

 聖女らしからぬ淫らな告白を聞いたマリーは、その潤んだ瞳を熱っぽく細め、自身の豊かな胸元に手を当てて、はぁ……と熱い吐息を漏らした。

 

「とっても幸せな経験をしたのね、ジャンヌ。聞いているこちらも胸が熱くなってしまうくらい、羨ましいほどの愛を紡いだのね……。素敵な秘密の愛を私に語ってくれて、本当にありがとう」

「な、なぜ私にこのような破廉恥なことを言わせたのですか……っ。マリー、あなたは……勝手にこんな秘密を打ち明けられて、何とも思わないのですか? それに、あなたも彼のことをそんな目で見ているなんて……」

 

 困惑し、顔を真っ赤にして詰め寄るジャンヌに対し、マリーは静かに首を振って、慈愛に満ちた、けれどどこか妖艶な微笑みを浮かべた。

 

「責めてもダメよ、ジャンヌ。これは人の力ではどうにもできない、この世界の在り方のせいなのだから」

「それは……どういう意味ですか?」

 

 マリーは一瞬言葉を切り、カタコンベの暗がりの中で、あなたとジャンヌを交互に見つめてから言葉を続けた。

 

「普通の人なら、他人に打ち明けることすら拒絶するような淫らな行いを、私たちはごく自然と行い、心の抵抗もなく軽々しくそれを語り合っているわ。こんなこと、普通の人の営みではないというのに、私たちはなぜか、当然のようにそれを受け入れてしまっている。それはきっとね、この特異点……いいえ。この世界という、もっと大きな舞台に生まれ落ちた生命に宿命づけられた習性……決して逃れることのできない、放蕩という名の首輪なのよ。それが、この狂った世界を生きる人々の魂に深く打ち付けられた原罪なのだわ」

 

 マリーはそこでゆっくりと振り返ると、あなたの視線を真っ向から受け止めながら、悪戯っぽく、しかし明確な意思を込めて言い放った。

 

「つまりね――ここでエッチなことを言うのも、するのも、決して不思議なことではないということよ」

「マリー!? 一体何を……っ」

 

 驚愕するジャンヌの声を無視するように、マリーは手に持っていたバイオリンを静かに墓石の上へと置いた。

 

「結界を維持するための術式は確認したわ。あとは、ここに十分な魔力を流し込むだけ。……けれど、今日に至るまでの数々の出来事のせいで、私のこの霊基には術式に必要な魔力が全く満たされていないの。スカサハさんの言う通り、自然回復では到底追いつかないわ。

 であれば――最も速やかに、最も濃厚に魔力を回復できる手段を取る必要があるでしょう?」

 

 そう言うと、マリーはあなたたちの見ている真ん前で、自らの衣服にそっと手をかけた。

 絶対的な静寂が支配するカタコンベの最奥で、衣擦れの音がやけに生々しく響き渡る。

 マリーはまず、その華やかなドレスの肩紐をゆっくりと滑り落とした。白磁のように滑らかな白い肩が露わになり、続いてドレスのフロントが大きく開かれる。彼女が身を震わせるたびに、重厚な生地が床へと滑り落ちていき、中から極上の下着に包まれた肉体が剥き出しになっていく。

 マリーは決して恥らうことなく、むしろあなたの目を極限まで愉しませるように、自らの身体を惜しげもなく見せつけていく。ふわりとドレスのすべてが床に落ちると、そこには薄いレースのコルセットに締め上げられ、これでもかと強調された、スカサハに勝るとも劣らない豊満な巨乳が鎮座していた。マリーはわざと背中を反らせて、その胸の果実の圧倒的な張りを強調するようなポーズをとってみせる。

 

「あ、ああ……マリー、そんな、何をされているのですか……っ!」

 

 ジャンヌが悲鳴のような動揺の声を上げるが、マリーは決して止めない。

 彼女は艶然と微笑みながら、今度は下半身を包むドロワーズとしなやかなストッキングを、一本ずつ、指先で愛撫するようにゆっくりと引き下げて脱ぎ去っていく。すらりと伸びた大腿、引き締まった腰回り、そして最後に、すべての障壁が取り払われた。

 王妃の気品を纏ったその肉体は、完全に一物の衣類も纏わない、一匹の滑らかな雌の姿へと変貌していた。豊満に波打つ巨乳、きゅっと引き締まった細いウエスト、そしてその下には、金色の愛らしい陰毛にうっすらと彩られた、完全に成熟した美しい女性の性器が、すでに溢れ出る愛液で瑞々しく輝いていた。マリーはわざと片脚を大きく開き、その秘処のスリットがあなたから丸見えになるように、淫らな姿勢をとってみせる。

 一糸纏わぬ姿となったマリーは、あなたへと真っ直ぐに向き直ると、自らの両手を下腹部へと伸ばした。そして、自身の指先でその秘処の割れ目を左右へと、めりめりと力強く押し広げたのだ。

 

「はぁ、はぁ……っ♡♡ 見て、私のこの身体……。あなたに触れられることを想像しただけで、こんなにいやらしく濡れそべってしまっているわ……♡♡」

 

 性的興奮によってドロドロに濡れそぼり、ピンク色の肉壁をひくひくと蠢かせている恥部をあなたに完全に露出させながら、マリーは赤らんだ顔で、とろけるような視線をあなたへと注いだ。

 

「さあ、狼さん……♡♡♡ このいやらしい雌の身体を、あなたのその逞しい一物でめちゃくちゃに蹂躙して……っ♡♡ あなたの極上の魔力を、私の身体の奥に、たっぷりと、お腹が破れるほどに注いでちょうだい……っ♡♡」

 

 王妃からのあまりにも直接的で破廉恥な誘惑の言葉に、ジャンヌは息を呑んで絶句した。彼女は凄まじい衝撃を受けながらも、思わずあなたの姿と、そしてあなたの股間へと視線を走らせてしまう。

 マリーの目の前で繰り広げられた、あまりにも贅沢で官能的なストリップ――そのいやらしい裸体を凝視していたあなたは、すでに理性を限界まで昂ぶらせ、ズボンの布地を今にも引き裂かんばかりに、凶暴極まりない陰茎を激しく屹立させていた。

 その恐ろしいほどの猛り狂い、これから始まるのが確定的な、あまりにも濃厚な性行為の予感を前にして、ジャンヌは自身の動揺と、そして胸の奥からどうしても湧き上がってくる圧倒的な期待を飲み込むように、ゴクリと喉を大きく鳴らすのだった。

 

 

 





 賢者メモ
 
 早めにできたので早めにあげました。

カルデア側と契約していない、人理によって召喚された女性の英霊が、特異点内で不特定多数の人間(現地人など)との間で性的関係を結ぶのは、アリか。

  • 有り(輪姦、和姦問わず)
  • 有り(和姦のみ)
  • 無し(主人公側の性行為だけ書いてほしい)
  • なんでもいいかヌかせて!
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