賭ケ堕チル ——黒いチョーカーと快楽ハッキング調教—— 作:坂本太郎
私立百花王学園。政財界の重鎮の子女が集うこの学園は、勉強やスポーツではなく「ギャンブルの強さ」こそが全ての序列を決める狂気の園。
その2年華組に、一人の男が転入してきた。
名は、神代 朔夜(かみしろ さくや)。
端正な容姿に、どこか全てを見透かしたような深い双眸。彼はこの学園の異様な空気に呑まれるどころか、退屈な日常にようやく刺激が見つかったと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべていた。
そんな彼に、さっそく目を付けた女がいた。クラスのリーダー格として君臨する少女、愛浦心である。
「ねえ、転校生の神代くん? この学園の『ルール』、もう教えてもらった?」
巻き髪を指で弄びながら、心は取り巻きの女子たちを引き連れて朔夜の机に近づく。その目は、新しい玩具を見つけた残虐な捕食者のそれだった。
「ルール、ですか。上納金の額でスクールカーストが決まる……でしたかね」
「物分かりが良くて助かるわ。じゃあ、手っ取り早く始めましょう。挨拶代わりのギャンブルをね」
心が提示したのは、トランプを使ったシンプルなゲーム『ワンナイト・ポーカー』。互いに5枚の手札を配り、一回限りのチェンジを経て役の強さを競うもの。
だが、ここは百花王学園。ただのゲームであるはずがない。
「賭け金は……そうね。転校初日だし、手持ちの全財産。もし払えなくなったら、あなたは私の『家畜(ポチ)』。これから卒業まで、私の言うことはぜーんぶ絶対。どう?」
クラス中の視線が注がれる。周囲の生徒たちは「また心の家畜が増える」と、憐れみと娯楽の混ざった視線を朔夜に送っていた。
しかし、朔夜はふっと息を漏らすように笑った。
「面白い。その勝負、乗りましょう」
ディーラー役の取り巻きの女子がカードを配る。
朔夜に配られたのは、バラバラの数字。チェンジしても良くてツーペアが関の山というクズ手だ。
一方、心の表情には余裕が満ち溢れている。
(ふふん、バカな転校生。このカードの裏地にはね、特殊なインクでマークが仕込んであるのよ。私だけが着けているこのコンタクトレンズなら、あんたの手札が丸見えなの!)
心はイカサマを仕込んでいた。朔夜の手札が弱いことを確信した心は、2枚を交換し、さらに強い役を作り上げる。
「私は2枚チェンジ。さあ、神代くんはどうするの?」
勝負を急ぐ心に対し、朔夜は配られたカードをじっと見つめ、それから心を真っ直ぐに見据えた。
「……愛浦さん。あなたのその綺麗な瞳、少し不自然に輝いていますね」
「えっ……?」
「そして、先ほどからあなたが視線を落とす位置。カードの『裏面』の特定の箇所ばかり見ている。偏光コンタクトレンズを使用した、古典的なガン牌(目印付け)だ」
「な、何言ってるのよ、証拠でもあるわけ!?」
心が激昂し、立ち上がる。しかし、朔夜の冷徹な声がそれを遮った。
「証拠なら、いま僕がすり替えたあなたの手札ですよ」
朔夜が自身のカードを場に叩きつける。そこにあったのは、心がチェンジする前に持っていたはずのカード、そして心が仕込んだ「マーク」がはっきりと刻まれたカードだった。
朔夜はディーラーがカードを配る瞬間、そして心を観察する数秒の間に、驚異的な手並みでカードの配列を把握し、完全にすり替えていたのだ。
「ロイヤルストレートフラッシュ。……僕の勝ちですね、愛浦さん」
場に示された絶対的な役に、教室内が静まり返る。
「嘘……嘘よ! 触ってない、あんたがイカサマしたのよ!」
「おやおや、証拠は? 敗者が吠えるのは見苦しい。ルール通り、あなたの全財産、そして――あなた自身の身柄を要求します」
朔夜は立ち上がり、愕然と座り込む心の顎を強引に指先で持ち上げた。
その目には、先ほどまでの冷静さはなく、獲物を完全に支配したサディスティックな悦びがギラギラと輝いている。
「クラスの女王様が、転校生に負けて『家畜』未満の雌犬に落ちる。……最高にゾクゾクするシチュエーションだ。放課後、僕の部屋に来てください。たっぷり『調教』してあげますから」
心の瞳が、恐怖と、そして生まれて初めて味わう「圧倒的強者への屈服感」で激しく揺れ動いていた。
### 放課後の朔夜の部屋にて
窓から差し込む夕陽が赤茶色の染みのように床に広がっている。その中央で、制服のまま床に押さえつけられる心。銀縁眼鏡の奥にある切れ長の瞳が、恐怖と屈辱で歪んでいた。
「ふざけん、じゃないわよ……離しなさい! クソッたれ転校生が!」
鋭い爪が朔夜の腕に食い込み血が滲むが、彼は眉一つ動かさない。逆に心の手首をねじ上げ、自由を奪った。
「本当に威勢が良いね、女王様。だけど、ギャンブルの負債は身を以て払ってもらう。……まずは、その生意気な口を僕のために使ってもらおうか」
朔夜は無造作に自身のスラックスのフロントを解き、猛々しく屹立した剛直を心の目の前に突きつけた。男の圧倒的な質量と prep(オスの臭い)を至近距離で突きつけられ、心の顔が引きつる。
「な……っ、冗談じゃないわよ! 誰がそんな汚いもの――んぐぅっ!?」
拒絶の言葉を吐き出そうと開いた心の口内に、朔夜は容赦なくその熱い先端をねじ込んだ。
強引に顎を固定され、喉の奥を直接蹂躙される感覚に、心が涙目でむせる。
「ほら、クラスの女王様なら、男の喜ばせ方くらい知っているだろう? 嫌なら無理にでも動かしてあげるけど」
頭を後ろから掴まれ、有無を言わさぬピストンが始まる。プライドを極限まで踏みにじる屈辱の行為。しかし、喉を突かれる苦しさと同時に、鼻腔を支配する強烈なオスのフェロモンが、心の脳のセキュリティをじわじわと侵食していった。
「ん、んんーーッ! ぁ、はーっ……!」
ようやく解放された時には、心の口元からだらしなくヨダレが垂れていた。息を荒らげる彼女のブレザーを、朔夜は乱暴に剥ぎ取り、スカートを捲り上げる。
「次は、お前がどれだけ僕を歓迎しているか、確かめさせてもらうよ」
「いやっ……! 触らないでぇっ!」
抵抗しようとする両脚を強引に割り開かれ、ショーツを無残に引き裂かれる。露わになった秘丘へ、朔夜は容赦なく自身の顔を埋めた。
「んあぁぁッ!? な、何して――ひゃんっ♡」
鋭い舌先が、まだ未開発の最も敏感な蕾をピンポイントで捉え、激しく貪り始める。男の舌で直接そこを弄ばれるという過激な愛撫に、心の全身が弓なりに跳ね上がった。
必死に否定したいのに、高度なテクニックで攻め立てられる度、下腹部から甘い熱が押し寄せ、ショーツの残骸をドロドロに濡らしていく。
「あ、あんっ! ダメ、そんなの……頭が、おかしくなっちゃうぅっ♡」
「口では嫌がっても、ここからはこんなに愛液が溢れているよ」
朔夜の指が、濡れそぼったナカへ深く挿入され、内壁を強引に掻き回す。クンニと指のダブルの刺激に、心の理性は完全に消し飛んだ。
「もう……限界だね、心」
突然、熱い質量が割れ目に押し当てられる。
「いやあァァ!! 止めてお願いぃ!!」
必死の懇願も虚しく、猛々しく屹立した剛直が、潤んだ最奥へと一気に貫き通された。
「ひぅっ!? あ、あああぁぁーーッ!!」
激しい灼熱感と肉壁を押し広げられる衝撃に、心が悲鳴を上げる。しかし、朔夜は構わず腰を打ち付け、凶悪なピストンを開始した。激痛を潤滑油にしながら、肉体の奥底を激しく抉られる度、痛みは次第に抗えない快美感へと変貌していく。
「嘘……嘘よ、こんなのありえない……なのに、気持ちイイの、あッ♡ あほぉっ♡」
思わずこぼれた媚びるような嬌声。主人となった男からの命令じみたピストンに、かつて支配者であった筈の彼女の身体は、完全に「メス」として躾けられてゆく。
何度も限界突破の絶頂を叩き込まれ、心が白目を剥き、舌を出してヨダレを垂らす「完全なアヘ顔」で行き着いた瞬間、朔夜は彼女のナカの最奥に、熱い精液をこれでもかと注ぎ込んだ。
「は、あ……あぐっ……」
ピクピクと四肢を震わせ、ベッドに突っ伏して動けない心。
朔夜は彼女の濡れた髪を優しく撫でると、ポケットから鈍い光を放つ「黒いチョーカー」を取り出した。
「よくできました。……これは、僕の最初の雌犬になったお前への、ご褒美だよ」
カチリ、と冷たい音がして、心の細い首元に黒い首輪が固く嵌め込まれた。
その瞬間、首輪の重みと共に、彼女の心と身体は永遠に神代朔夜のものとして、完全にハッキングされたのだった。
混乱の中でも明確になってゆく新たな関係性。かつて支配者であった筈の彼女にとって絶望的な状況下において新たな感情すら芽生え始めた。その背後では新たなる闘争劇への序章が始まろうとしている気配を感じ取れる人物達も多く存在していたようだった……
### 翌朝 2年華組 教室
翌朝。2年華組の教室は、異様な熱気に包まれていた。
昨日までクラスの頂点にいた愛浦心が、どんなに惨めな姿で登校してくるか、全員が好奇の目を向けていたからだ。
ガラリ、と教室の扉が開く。
入ってきた心を見て、クラスメイトたちは息を呑んだ。
心の首には、昨日まではなかった黒いチョーカーが巻かれている。そしてその表情には、プライドをへし折られた絶望……ではなく、どこか上気したような、艶めかしい笑みが浮かんでいた。
心はまっすぐに朔夜の席へと歩み寄ると、全校生徒の plastic(おもちゃ)にでもなるかのように、その場に膝をついた。
「おはようございます、朔夜様。……今日も、私を好きにしてくださいね?」
昨日までの傲慢な女王の姿はどこにもない。朔夜の圧倒的なテクニックと支配の快楽に、身も心も完全に調教され、最初の「所有物」となった雌犬の姿がそこにあった。
朔夜は心の頭を愛おしそうに、しかし乱暴に撫で回す。
「いい心がけだ、心。今日も可愛い鳴き声を期待しているよ」
その様子を、教室の入り口から静かに見つめる視線があった。
長い黒髪に、どこかおっとりとした、しかし底知れない眼光を宿した少女――蛇喰夢子。
「あら、あらあら……。転校生の方、とっても素敵な『ギャンブル』をなさるのですね」
夢子は頬を紅潮させ、自身の身体を抱きしめるようにして小さく喘いだ。学園を揺るがす狂気の連鎖は、まだ始まったばかりだった。
(第一話 了)