敗北した魔法少女がコロシアムで見世物になる話 作:一畳と地下
捕まったら昨日よりも酷いことになる。
鞄の中の荷物を見て、そんな確信があった。
(……すぐに倒さなきゃっ!)
少年相手でも容赦はしない。
私は全力で光弾を放った。
「動くと撃つ。じゃなかったの?
僕は約束を守ったのに酷くない……?
ちょっと痛かったよ。」
土煙の中から現れた少年。
当たったはずなのに、あんまり効いてないみたいだ。
(……でもちょっとは効いてる!)
昨日の怪人は光弾が当たってもびくともしなかった。
でも今日の怪人には攻撃が通じている。
それなら戦いようはある。
「もうトランクの中は見終わったよね。
そろそろ行くよ。」
少年が鞭を片手に距離を詰めてくる
(……早いっ!でも!)
私は後方に展開した鏡に飛び込んだ。
もう一枚の鏡から飛び出すと、少年の背中が見えた。
「……くらえっ!」
また光弾を放てるだけ放つ。
クリーンヒットしたのは最初の数発だけ。
それでもダメージは通ってる。
ちょっとずつでもダメージが稼げればそれで充分だ。
(……ちょっとずるいけど、近寄らせなきゃ怖くないわ。)
鏡を通れるのは私と私が放つ光弾だけ。
近寄ってきたら鏡に飛び込み光弾を放つ。
これをずっと続ければ、いずれは倒せるはず。
「そんなので僕を倒せると思ってるの?」
光弾を防御しながら私の方に振り返る。
「……触れもしないのに私を倒せるの?」
鏡に向かって光弾を放つ。
すると、少年の後ろにある鏡から光弾が飛び出した。
「……っ!」
私に意識を向けた分、背中の守りは疎かになってたみたい。
少年は光弾を喰らい、大きく仰け反った。
「君への躾はとびきりきついものにしてあげるよ。」
イライラを顔に浮かべて、少年がまた私の方へと飛び込んできた。
単調な動きだ。
引き付けて鏡へと飛び込み、また距離をとり光弾を放つ。
(……これなら安全に勝てるっ!)
敵に遠距離攻撃の手段はないようで、ひたすら私の方へと突っ込んでくる。
私は鏡と敵へと光弾を撃ちながら、近づかれそうになれば鏡へと入り距離を取る。
鏡と光弾による撹乱と撤退。
無茶苦茶に突っ込んできては少しずつダメージが入っている敵に対して、私にダメージはない。
そして光弾に弾数の制限などない。
この状況を続ければ勝つのは私だ。
(……また突っ込んできたっ!)
もう何度目かも分からない突撃。
引き付けて鏡へと飛び込む。
大丈夫、このペースで行けば……。
かちりっ
鏡から地面へと降りた時に、足首になにかが嵌まる感覚がした。
そしてその次の瞬間
私の全身を甘い痺れが襲った。
一回戦で感じたような甘い痺れ。
いく、っていう感覚。
それを思い出した頃には、もう手遅れだった。