敗北した魔法少女がコロシアムで見世物になる話 作:一畳と地下
「あの野郎…次見たら絶対ヤキ入れてやる…」
石造りの牢屋の中で目が覚めた。
近くを歩いてたガキを人質に取られて変身を解除させられたところまでの記憶はある。
(ステッキは…あんな。帰る前にひと暴れすっか。)
ステッキが手元にあることを確認し、魔法少女へと変身する。
鏡に映るのは剣の魔法少女、ソードメタル。
戦士としてのあたしの姿。
ステッキに細工されてる様子もない。
いつもどおりのロングのウルフカット。
足首まで隠すロングスカート。
刺繍の入ったいかした長ラン。
それに左手の重厚な篭手と右手の無骨なロングソード。
我ながら、かっけぇ姿。
「あぁ?」
ふと後ろに気配を感じたため、左手で殴る。
すると、なにかが視界で動いたのが見えた。
「居ると思ったぜぇ!クソボケがよぉ!」
後ろに居たのはDr.ブランク。
攻撃を軽くいなした彼を壁際へと押し込み、ガンを飛ばす。
「あたしを攫ったってのはどういう了見だぁ?
用がないなら暴れて帰るぜ?」
脅してみるが、Dr.ブランクは動じない。
「ったく!てめぇはいつもつまんねぇな!」
無言のDr.ブランクを解放し、床に胡座をかく。
「で?なんの用だよ?
御託は良いから要点だけ話せ。」
その言葉を聞いて、Dr.ブランクはいつもどおり、感情がないかのごとくに喋り始めた。
「まずは貴方を攫うのに人質を用いたことを謝罪いたします。貴方を攫った怪人には既に罰を与えましたのでご安心ください。」
「どうでもいい。要件を話せ。」
会話を遮り、続きを促す。
「結論から言うと貴方にはこれに出て欲しいのです。」
Dr.ブランクが取り出したのはコロシアムの出場券。
時間制限なし
対戦相手の殺生は禁止
降参か場外で決着
「あたしに手加減しろってか?
つまらねぇな。」
優しすぎるルールに欠伸が出る。
シンプルに殺し合いでいいだろ、そんなもん。
「賞品は貴方の世界の解放と、今後の平和を約束します。」
「ンなもんあたしが帰れば解決だろうがよ。
次つまらねぇこと言ったら暴れて帰るぜ。」
今回は油断してガキを人質に取られたが、二度とそんな手は食わねぇ。
怪人は見た瞬間に刻む。
それさえ決めてりゃ、人質なんざ取れねぇしな。
あたしの言葉に、Dr.ブランクは少しだけ考えこんだ。
まあ、たったの2秒だったが。
それでも、次に出た言葉はあたしにとって魅力そのものと言えた。
「では私が貴方の願いを1つ叶えましょう。
富でも世界でもお好きなものをお約束いたします。」
「……いいぜ、乗ってやるよ。
吐いたツバ飲み込むなよ。」
もう一度Dr.ブランクにガンを飛ばし、出場券をその手から奪い取る。
願いをひとつ、Dr.ブランクが叶えてくれる。
ふーん……。
そりゃいいじゃん。
「あたしがこの世界の王になる。
その時は逆らうんじゃねぇぞ。」
あたしはそう宣言し、コロシアムへと歩みを進めた。