敗北した魔法少女がコロシアムで見世物になる話 作:一畳と地下
……あまりに条件が良すぎる。
コロシアムの入口に立ち、改めて破格の条件を思い出す。
たったの3回試合に勝つ。
たったのそれだけで私が居た世界が解放される。
加えて今後の平和も約束するとはあまりにも怪しすぎる。
私は自分の強さには自信がある。
最後は負けてしまったが、倒してきた怪人の数は数え切れない。
それがたったの3回?
卑怯な手を使われたって負ける気がしない。
「人質だとか盤外戦術は使いません。安心して試合に集中してくださいね。」
DR.ブランクはそう言っていた。
今は信じる他ないが、本当ならこのコロシアムに参加できたことは幸運にすら思える。
元の世界で永遠に戦い続けるよりは、ここでさっさと3回勝てば後は平穏な日常に戻ることができる。
Dr.ブランクの言う通りになるのは癪だが、やる気はたしかに出てきている。
「…私を変えて。ミラーサファイア。」
光に包まれ、魔法少女へと姿が変わっていく。
セーラー服からフリルのついた煌びやかなドレスへ。
三つ編みのお下げから、青のメッシュが入ったロングヘアに。
私が想像する理想の魔法少女。
「鏡の魔法少女!ミラーサファイアの入場!!」
コロシアムに踏み込むと、万雷の拍手と歓声。
「どうしてこんなに応援されているの…?」
思わず声に出てしまった。
負けて攫われたとは言え、私はここの人々の敵だったはずだ。
なのに野次どころか「期待してるぞ!」「頑張れよ!」
などと私を応援する声に溢れている。
元々敵だったとは言え、応援されるのはそう悪くない。
胸を張って帰るためにも観客に手を振って応える。
あくまでもこれはDr.ブランクのショービジネス。
盛り上がらなければ約束を反故にされてもおかしくない。
(……瞬殺なんかしたら盛り下がるかな。でもそれは私の責任じゃないか。)
「鏡の魔法少女サファイアミラーは華の高校三年生!実に2年もの間我々の侵略活動から異界D―22を守り続けてきました!果たして彼女は無事に世界を取り戻し、凱旋することはできるでしょうか!!」
(侵略行為って自覚はあったのね…)
場内アナウンスを聞きながら、対戦相手のことを考える。
おそらく今まで戦った強敵たちが出てくるはず。
私を攫った『埋葬屋』は必ず来るだろう。
でも対策は考えたから二度と負けない。
もしかしたらDr.ブランクが直接来るかも?
でも私より強いなら、もっと早くに私を直接倒してたはず。
なんにせよ負ける気はしない。
「では一回戦の相手を発表します!!
その相手は……!!!」
誰だろうが関係ない。
「怪人アヘ顔ダブルピースです!!!」
は?