敗北した魔法少女がコロシアムで見世物になる話 作:一畳と地下
うまく聞き取れなかったけど、ダブルピース??
手の先で小さくピースを作ってみるが、意味はまったく分からない。
(……きっと前座なのね。楽に1勝できるのはありがたいわ。)
でも名前に反して恐ろしい怪物なのかもしれない。
油断はしないように気を引き締めなきゃ。
心の中で呟いて、対戦相手の登場を待つ。
だがスモークの中から現れたのは、身長180センチで金髪。浅黒い肌のちょっとやんちゃそうなおじさんであった。
「よぉ嬢ちゃん。今日はよろしく頼むぜ。」
どこからどう見ても普通の人間にしか見えない。
たしかに背は私より20センチは高いが、今まで戦ってきた怪人たちは最低でも2メートルはあった。
(こうなると殺さないってルールが難しいわね。)
どうやって手加減しようかな。
光弾の威力を限りなく低くする……。
それでも普通の人だし火傷しちゃうかも。
後が残るのはさすがにかわいそうかも……っ!?
もにぃと嫌な感触。
「ひゃっ!」
何が起きた??
後ろに飛び退る。
いつの間にかおじさんが眼の前にいる。
「挨拶してんのに無視するとはひでえじゃねえか。」
見るとおじさんの手のひらはさっきまで私の胸のあった位置でグーパーしてる。
まさか、胸を揉まれた??
一体なんで??
突然のことで思考がまとまらない。
あの人、今、私の胸を揉んだの?
「俺は怪人アヘ顔ダブルピース。お嬢ちゃんのおっぱい、良い触り心地じゃねえか。今日は楽しもうぜ。」
男はにやにやとそう言った。
下品な笑い顔。
状況を理解して、困惑が消えていく。
代わりに沸々と怒りが沸き上がってきた。
「……ダブルピースなんて可愛い名前のわりには気色悪いわね。殺しは反則だけど、その腕消し飛ばしてあげるわ。」
手加減するつもりだったけど、それはもうやめた。
殺さない程度に痛めつけてやる。
「俺の名前が可愛いだって!?ああそうか!知らねぇんだな!」
「……なんのこと?」
「前に戦った魔法少女は俺の名前を聞くなりすごく嫌そうな顔をしたぜ。」
おじさんはニタニタと笑いながら意味の分からないことを言っている。
あへがおダブルピース?
こんな雑魚そうで可愛らしい名前になにか意味があるというの?
それに……ぶっ飛ばすことに変わりはない。
「あなたの名前なんてどうでもいいわ。」
「いいや、よく覚えておけ。アヘ顔ダブルピース。お前にこそ相応しい名前だ。」
「さあそれでは試合開始の時が来ました!!」
アナウンスが告げる。
「両者位置について!よーい……ドン!」
セクハラ野郎。絶対に許さない。