敗北した魔法少女がコロシアムで見世物になる話 作:一畳と地下
(まあでも僕が負ける訳ないけどねっ!)
僕はぼーっと考え事をしながらコロシアムに続く道を歩いていた。
負けたらこうなるかもってイメージはできる。
でも負けるイメージはできなかった。
僕は忍の魔法少女、ニンジャガーネット。
忍者っぽいことならだいたいできる。
最後は偶然で負けちゃったけど、本気を出せば絶対に負けない。
(そう考えると僕って可哀想だよなー)
エッチなコミックで見た武闘家の姿を思い出す。
負けてぼろぼろになった所をリング上で犯される。
すごく気持ち良さそうでドキドキしたのを覚えてる。
でも僕の強さじゃ手加減しても勝っちゃうだろう。
自分の強さが少し恨めしい。
「ニンジャガーネット、出陣するよ。」
入場ゲートの終わり際、そっと変身の言葉を唱えた。
これで僕は無敵の魔法少女。
負けることはない。
『忍の魔法少女、ニンジャガーネットの入場です!!』
コロシアムに一歩足を踏み入れると、アナウンスが響いた。
すごくうるさい……。
音量調節間違ってない?
なんて一瞬思ったけど、そういうわけじゃないのはすぐに分かった。
すごい量の人!
サッカーとか野球くらい人来てるじゃん!
ひゃー!
歓声の中で入場する。
こんなにたくさんの人に見られるなんて……。
もし負けたら大変だ。
負けないけど。
「どもどもー!よろしくねー!」
手を振る。投げキッス。指ハート。
思いつく限りのファンサを行う。
その度に歓声が上がった。
すごく楽しい。
『ニンジャガーネットは忍者の魔法少女です!
みんな忍者は好きですよねー!!』
アナウンスが会場を温める。
『異界R-3出身の彼女がどこまでやれるのか!
乞うご期待です!!』
「いえーい!みんな見ててねー!」
アナウンスに合わせて会場に手を振る。
ひゅーひゅーと囃し立てる声。
期待には応えられないと思うけど、見ててねー。
『それでは対戦相手の入場です!!
今日の対戦相手は……』
どどどど、とドラムロールが響いた。
警戒しながら反対側の入り口を眺めて待つ。
『怪人媚薬ロープです!!』
スモークの中から怪人が現れた。
身長は180センチくらい。
怪人にしては低い身長の青年。
ただその見た目はツッコまざるを得なかった。
「パクリじゃん!!」
怪人に指をさして文句を言う。
怪人も鎖帷子を着てまるで忍者のような格好をしていたのだ。
「はっはっは!
拙者は十年以上前から忍者でござるよ!」
パクリ怪人は快活に笑った。
(でも媚薬!ロープ!やっぱりそういうことなんだ!)
予感が恐らく当たっていることに心の中でガッツポーズを取る。
負けたらどうなるのかな。
相手強かったらいいな。
そんな思いを抱えながら、1回戦が始まった。