敗北した魔法少女がコロシアムで見世物になる話 作:一畳と地下
今までのこと、そして今日のことを思い出す。
私が魔法少女になったのは高校1年の春。
入学式の帰り道に突如として怪物が現れた。
ミノタウロスのような牛の化け物。
武器を振り回し、人々を追いかけ回す。
逃げようとした私が見たのは逃げ遅れたおばあちゃん。
怪物はおばあちゃんに向かって車を投げようとしていた。
亡くなった祖母のことが大好きだった私は、おばあちゃんを庇って怪物の攻撃を受けようとした。
『勇敢な女の子。変わりたいと思う心はある?』
死んだと思った次の瞬間に、私の眼の前に魔法のステッキが現れた。
『変わりたいと思うなら、大事なものを心に浮かべて。それがあなたに力と名前をくれるわ。』
ステッキが私に話しかける。
心には祖母がくれた手鏡を浮かべる。
『さぁ声に出して。あなたの名前を。』
「……私を変えて。ミラーサファイア!」
そうして私の戦いは始まった。
誰も巻き込まないように、一人でずっと戦ってきた。
一人でも大丈夫。一人でも辛くない。
そんな私だったのに…。
Dr.ブランクも設備の案内を終えると控室から出ていった。
今日のことを思い出すと涙が出てくる。
私が理想とする魔法少女は、どんな時も気高く強い。
でも今日の私は…?
『ひゃあぁんっ♡♡♡やめてっ♡ゆるしてっ♡』
『おまんこいじめないでくださいっ♡』
優雅とは程遠い惨め極まりない姿。
お股を大きく広げて、泣きながら下品なことをたくさんして。
そんな姿をたくさんの人に見られた。
悪夢のような時間だったが、今も疼く乳首とおまんこがそれを現実だと思い知らせる。
(……怪人の能力はもう解けたはずなのに。)
じわじわとした熱が思考の邪魔をする。
考えなきゃいけないことはたくさんあるのに。
たしかアナウンスでは明日は怪人ペットトレイナーとの戦いだと言っていた。
きっと恐ろしい動物を連れてくるんだと思う。
(……どんな動物が来ても戦えるように対策しなきゃ。)
涙を拭い、明日のことを考える。
出場さえすれば私の世界は無事。
あとは私が帰ればいいだけ。
部屋に備え付けのメモ帳に思いつく限りのこわい動物を描き並べ予習をしよう。
「んっ♡」
メモ帳を取ろうと立ち上がった際に乳首が部屋着に擦れてしまう。
たったそれだけの刺激に思わず声が漏れてしまった。
そんな自分の状態にまた涙が出そうになる。
「……大丈夫。私は鏡の魔法少女ミラーサファイア。今日は油断したけど明日は負けない。」
自分に言い聞かせて机に向かう。
明日こそちゃんと勝つ。
そう自分に言い聞かせながら。