怪しいサイトで天使と悪魔のラブドールを購入したら実体化した 〜ハーレムの代償で命が削られている僕の元に、なぜか女子大生退魔師達までも押し掛けてくる〜 作:nene2012
「あ……あの、僕は別に彼女が邪悪な存在だとは思っていないし、むしろ居て欲しいぐらいなんだけど……」
僕は彼女を庇うように言うと結衣とイザベラはジロリと睨みつけてくる。
2人の睨みに尻込みしていると、今まで黙っていたラティアがポツリと言った。
「私は……悠人さんと愛し合う事で命を吸い取ってしまったのですね?」
「い……いや、ラティアは悪くないよ!」
ラティア達が悪いわけではない。それは創造主の意向なのだから……。
ただ、僕と愛し合う事で彼女達自身が意図しない作用が起こっただけなのだ。
「やっぱり、あなたの魔性の力が原因ね!」
「これから、アナタの中に住み着いている悪霊を祓うカラ!」
結衣達は興奮しラティアを指差すと叫んだ。そして、彼女達はラティアに歩み寄り自分達の鞄に手を掛け詰め寄る。
「そうですか……お願いします……」
ラティアは静かに頷くのであった。そして、結衣とイザベラは互いに頷き合い悪霊祓いの道具を鞄から取り出した。
慌てて僕は2人を止めに入るのである。僕はラティアを庇う様に前に立つと結衣達を制止させる。
「ちょっ……ちょっと、待ってよ!」
「悠人君、邪魔しないで!」
「ハルト、彼女から離れテ!」
結衣達は厳しい眼差しで僕を見詰め叫びながら、僕の後ろにいるラティアを睨み付ける。
それぞれ手に持っているのは、結衣は白いギザギザの紙が付いた棒と御札を握りしめていた。
対してイザベラは銀色の十字架と聖書である。
今更になって彼女達が退魔師であって、いかにも魔を祓う迫力が垣間見える……。
ラティアは2人の圧力に顔面蒼白で怯えている状態だった。
しかし、あくまでも彼女達に圧倒されているだけで2人の祓いの力ではなさそうだ。
そう思っていると結衣が巫女らしき振舞いで神社の神主が述べる様な言葉を唱える。
「かしこみかしこみ申す。ここにある穢れよ、速やかに去れ。神の御力をもって祓ひ清む。あやまちなく、立ち去り給へ……」
続けてイザベラが十字架を掲げ、やはり聖句を唱え始めるのである。
「全能の父なる神の御名において命じル……退け、悪魔ヨ!」
結衣の祝詞が終わると続けざまにイザベラも早口で詠唱していくのであった。
2人の詠唱が始まると、どうなるのかと見守っていた僕は固唾を呑んで後ろのラティアを見守るしかない。
「へえ~! これが巫女の祝詞とエクソシストの祈りという奴か……昔、漫画やアニメで見た記憶があるな……」
ただ、そんな中で壮太が呑気に結衣とイザベラの儀式に対して場違いなコメントを述べていた。
そんな中、ラティアに異変が起こったかどうか気になり後ろを振り向く……。
彼女は退魔師達に緊張して身構えているだけで何も変化は起こらないのであった。
「結衣さんとイザベラさんでしたか? この際、聞きますが……御2人は本当に退魔師なんですよね?」
唐突にラティアが結衣達に対して質問する。彼女達はキョトンとして暫し考えていた。
そして、バツが悪そうにお互い見つめ合うと顔を赤くして腹を立てるのである。
「なっ……何ですって! 本物の巫女に決まってるでしょ!」
「ワタシはこれまで色々、悪霊を祓ってキタ……エクソシストなんだケド!」
「ですが、私には何の異常も認められませんが……」
ラティアは怒る2人に対し冷静に反論する。彼女達は更にカチンときて怒り出すのであった。
「この人形……生意気ね!」
「本当……ナメてるネ!」
結衣達はラティアに対して憤慨する。更に彼女達は払い串を振り回し祝詞を唱え、十字架をラティアに向けて聖句を唱える。
それでも彼女には何の変化も見られず中断してしまう。やがてお互いの顔を見合わすと首を傾げる。
すると全く動じることなく佇んでいるラティアに戸惑っていた。
2人の表情からは焦りと今まで遭遇した事のない事例に苦慮しているのが窺えた。
「おかしい……祈祷をしているのに全然効いていない……」
「ワタシも、こんなケース初めてヨ……」
彼女達は苦渋の色が顔に出ていた。反対にラティアは落ち着いている。
対応に苦慮している2人の所に僕は近付いて声を出して言う。
「も……もういいだろ、彼女は妖でも悪霊でもない!」
「の……祝詞が駄目なら、これでどう!?」
結衣は握り締めていた御札をラティアの額に貼り付ける。すると彼女はビクッとなり顔を歪めた。
「えっ?……何ですかこれ?」
ラティアは一瞬フリーズするが何事も無かったかのように御札を剥がそうとしていた。
それを見て巫女は自分の退魔の技術が何一つ効かない事に面目丸つぶれであった。
「ええーっ! 神聖な加護が込められた御札を簡単に剥がすなんて!」
「それなら、ワタシが聖水の洗礼をするヨ!」
イザベラはラティアに駆け寄り十字架をかざしながら懐から小瓶を取り出す。
蓋を開け彼女に向かって中身を吹き付けるように撒き散らすのであった……。
「キャッ!」
聖水を顔から受けたラティアは小さな悲鳴を上げ暫く固まっていた。
しかし、やがて自分の体を触り何も変化がないのを確認しキョトンとなる。
「?……」
彼女の反応に結衣とイザベラは唖然としていた。
エクソシストは聖水で酸を掛けられたかのように肌から煙がジュウジュウ立ち昇る姿を想像していた。
しかし、煙どころか只単に水で濡れたのと変わりない様子である。
それと同時に退魔師としてのプライドも傷つくのであった。
「なぜ? これが妖なら苦しみ悶えている筈なのに……」
「ありえないネ、神の祝福を受けた聖水を受けても平然としているナンテ……」
2人は冷や汗を掻きながら狼狽していた。そんな彼女達の様子を見てラティアはニッコリと微笑む。
「何やら色々な事を試していますが私は平気です……」
ラティアは余裕の表情で結衣達に対して微笑みかける。彼女達は焦燥の表情を浮かべていた。
退魔師の力が一切効かない……これまでの退魔経験の中で味わったことがない敗北感に苛まれていた。
結衣とイザベラは互いに顔を見合わせると諦め切れない様子で再度ラティアに向き直る。
そして、再び鞄の中を見て探し回るのである……。
「まだ……まだ方法はあるはずよ!」
「そ……そうヨ、他の道具を試してみるヨ」
「あの……もういい加減にしてもらえますか?」
ラティアは困った様子で2人に問いかける。そんなやり取りをしていた時、時計を見てみると17時59分であった。
「あっ……もうすぐ活動停止する」
僕がそう呟くと次第にラティアは動きが緩慢になってきていた。
結衣達は彼女と目線が合うと寂しげに笑ったかと思うと、たちまち無表情に固まっていくのであった……。