怪しいサイトで天使と悪魔のラブドールを購入したら実体化した 〜ハーレムの代償で命が削られている僕の元に、なぜか女子大生退魔師達までも押し掛けてくる〜 作:nene2012
「……あれっ!?」
「エッ!?」
ラティアの笑顔を見た結衣とイザベラは異変を感じていた。
やがてラティアの表情から笑顔が消えると瞳から光が消えて完全に停止してしまうのであった。
彼女達と壮太はそんな様子を驚きと共に見つめていた……。
「な……何? 急に固まって動きが止まっちゃった……」
「まるで電池切れの玩具みたいに動かなくなったネ……」
「お……おい、悠人! これは……!?」
3人ともラティアの変化に驚きを隠しきれなくなり声を出すのである。
僕も改めて説明しようと口を開く……。
「彼女の事は信じられないかも知れないけど……日中に活動するんだ。でも、18時を過ぎると動かなくなるんだよ」
「えっ……ええっ!?」
「マンマ・ミーア!?」
「な、なんだってー!?」
ラティアが動かなくなったことで狼狽える彼女達である。
だが、僕はそろそろ起きてくるモルガに対して注意を払っていた。
そして、どうやって彼女の事も説明しようか考えているとベッドの方から声がしてくる。
「う~ん! 悠人~誰か来たのー?」
声をした方向を見るとモルガが眠そうな目を擦りながら起きてきたようだ。
3人は新たに出現したドールに困惑し驚愕の表情を浮かべる。
結衣とイザベラは口をポカンと開けたままモルガを見つめていた。
壮太は彼女の顔をジロジロ見て再び鼻の下を伸ばしていた。
「ラ……ラティアさんに似ている……よね」
「このような悪魔……見たことないヨ……」
「おおっ! こっちもエキゾチックな美人さんだぜ!」
三者三様の反応を見せる中、僕は彼女達にモルガの事を説明した。
「彼女が夜に活動するドールだよ……ネットでの説明ではラティアは天使、モルガは悪魔を元にデザインされているみたい」
「悪魔風……という事は邪悪な存在?」
「悪魔相手ならエクソシストであるワタシが相手をするネ!」
イザベラはモルガに対しても敵意を示し牽制する。
だが、彼女はそんな2人を他所に僕の傍へ寄って来て胸にしがみつき訊いてくる。
「悠人~! ……この人達、誰!?」
甘えてきたモルガだが部屋にいる好戦的な2人の視線に気づいたのか急に固まってしまう。
そして、彼女達が手に持っている退魔用の道具を見て祓おうとしている態度に緊張が走る。
結衣は祓い串をイザベラは十字架を持ってモルガを撃退しようと詰め寄った。
「え~っ!? な……何これ、どういう事ぉー!?」
混乱するモルガを宥めつつ、今にも祓おうとする2人にも制止するように声を掛ける。
「ちょっ……待って! 多分、彼女にも効果が無いよ!」
「悠人、止めないデ! そいつは悪魔ナノ! 危険な存在だから祓うヨ!」
「そうよ! 私達、退魔師だから悪しき物は退治しないといけないの!」
結衣達は僕の制止を振り切ろうとする。それを見てモルガは僕の背後に隠れて彼女達を睨んでいた。
「ねぇ、悠人! あたしを退治しようとするなんて、こいつ等頭おかしいんじゃない!?」
彼女は僕を盾にしてヒステリックに喚き散らす。
だが、結衣とイザベラはモルガに向かって祝詞と聖句を浴びせるのであった。
「かしこみかしこみ申す。妖しきものよ速やかに去り給え。天つ神・国つ神の大前に穢れを祓ひ罪を清め、もとの清き姿に立ち帰らむことを……」
「全能の父なる神の御名において、すべての不浄な悪霊ヨ、お前を祓ウ!」
「う~~っ! は……はあぁっ!……こ……こんなのでぇ~」
両者は苦しみながら叫ぶモルガに対して更に祝詞と聖句を唱え続ける。やがて彼女は苦しみ床に倒れ体をピクピク震わせていく。
結衣とイザベラは自分達の技が通用したと思い勝ち誇ったように口角を上げニヤリとする。
「これが神道の退魔術……思い知るがいい!」
「バチカンに伝わる悪魔祓いの技を身をもって知りナサイ!」
だが、苦しみ悶えている姿から一転して立ち上がると彼女達に向かってベロを出し下瞼を指で引き下げ侮蔑する。
退魔師達の攻撃が全く効かないアピールをしモルガは逆に2人を挑発していた。
彼女は僕に寄り添いながら、勝ち誇ったような表情を見せていた。
「ぷぷぷっ! 何それ〜全然効かないんですけど! っていうかあんた達、退魔師とか自称してる癖にポンコツすぎでしょ!」
モルガはそう言うと嘲るように笑い始めた。その態度に結衣とイザベラは顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
「こ……このっ! 全然効いてないなんてありえない!?」
「ワタシ達の技が通用しないなんて……屈辱ネ!」
2人は顔を真っ赤にしてモルガを睨みつけていた。そんな彼女達に対し、僕は仲裁に入る。
「まあまあ落ち着いて……。2人とも、これで分かったでしょ?」
「うう……」
「
僕に宥められて結衣とイザベラは何とか大人しくなるのであった。
ただ、モルガは不満そうに彼女達を睨み頬を膨らませて文句をつける。
「こいつ等! 退魔師を騙る詐欺師のような人達でしょ! あたしは妖でもないし、ましてや悪霊でもないよ!」
詳しく説明し退魔師達は一応納得するもモルガは不満げに言い返す。
その態度に彼女達は憮然としつつ、納得行かない様子だが折れるしかなかった。
それでも、結衣とイザベラはモルガに対しての怒りを募らせていた。
2人はドール達を睨みつけて歯噛みしているが、次第に萎んでいく……。
退魔師としては悔しくもあるが初めて遭遇する彼女達に退魔術が通用しなかった事実に落胆して項垂れていた。
しかし、結衣達は彼女達から僕を守る責務と自分達の尊厳を賭けて、なおも僕に食い下がってくる。
「悠人君! このままだと、いつか死ぬわよ!」
「そうヨ!離れて暮らさないと危ないヨ!」
彼女達に指摘されると、反論できず言葉に詰まってしまう。
確かにラティアとモルガのお蔭で命の灯が徐々に消えていく気がしている。
「え……ええ」
僕は苦笑いしながら曖昧に答えたが、彼女達は尚も畳み掛けてくる。
「彼女達は人間じゃないのよ!」
「ワタシ達とは住む世界が違うノ!」
2人の説教を受けながら、ただ黙って聞いているしかなかった。
そこへ、壮太が助け船を出すように口を開いた。
「まぁまぁ、2人とも落ち着けって……いきなり押しかけてきて悠人も困ってるだろ。 今日は一旦諦めて帰った方がいいんじゃないか?」
壮太は困ったような笑みを浮かべながらも、場の空気を和ませようと努めている。
その横顔を見て結衣とイザベラも少し冷静さを取り戻したようだ。
「ごめんなさい……つい熱くなってしまって……」
「ワタシも悪かったネ……」
彼女達は申し訳なさそうに頭を下げた。僕は慌てて手を振り否定する。
「い、いや……冷静になってくれたからいいよ」
とりあえず、落ち着いた彼女達は一旦アパートから帰り、数日後に僕の体調を確認する事でまとまる。
「き……今日のところは引き下がるから……」
「これで終わりじゃないカラ……ハルト、無事でネ」
「今のお前はホントに羨ましい限りだぜ……だが、命は大切にしろよ」
「うん……わかってる……」
そして、彼女達は僕の心配を壮太は羨望と忠告の言葉を残して部屋を去っていったのであった……。