怪しいサイトで天使と悪魔のラブドールを購入したら実体化した 〜ハーレムの代償で命が削られている僕の元に、なぜか女子大生退魔師達までも押し掛けてくる〜 作:nene2012
「はい……」
「僕だよ……ドールと暮らしているって聞いたから忠告しに来たんだけど……」
「悪いけど……帰ってくれ」
「ちょ……ちょっと待って……」
壮太は一方的に会話を打ち切ろうとする。彼の素気ない対応に僕は慌てて止めに入る。
僕に続いて結衣とイザベラもドアの隙間から呼びかける。
「壮太君! そのドールもアナタの生命を吸い取っているかもしれないのよ!」
「ソウタ、ワタシ達もいるヨ! 祓えないのなら退魔師協会に手伝ってもらうカラ!」
結衣とイザベラが必死に呼びかけると壮太は扉の隙間から顔を覗かせる。
壮太の顔は、この前大学で会った時より更に青白くなっており目の下に酷いクマがある。
やはり、ドールのせいで生命力を吸われ続けているみたいだ。
それでも、目に力は失っておらず僕達を鋭い眼光で睨むのであった。
「壮太……とりあえず部屋に入れてくれないか? 外で話すのもアレだから……」
「……駄目だ、帰ってくれ」
僕は必死に説得するが彼は強固に断ってくる。僕だけでなく結衣やイザベラの姿を見ても一向に諦めようとしない。
すると壮太の背後から女性の声が聞こえてくるのであった。
「いいじゃない……部屋に入れたら?」
その女性の声は憂いのある魅力的な声色だった。通常の人間とは思えない美しく響いた声だった。
声を聴いた瞬間、まるで雷に打たれたかのように僕等は体が固まり金縛りにあった。
「えっ!? 部屋に……入れるのか!?」
「あら……壮太の……大学の友達かしら?」
壮太の声に応える様に彼女はゆっくりと顔を出す。彼女と目が合った瞬間、全身に戦慄が走る。
姿を現した彼女は美女であり170cm近い身長だった。その肢体は均整の取れたプロポーションでダイナマイトボディであった。
艶やかな銀髪のヘアーが印象的で切れ長の瞳は紫色で、どこか妖艶な雰囲気を漂わせている。
そして、漆黒の長袖シャツを着て胸元の部分を大胆にはだけてインナー越しに大きな胸の谷間が見えていた。
その様相はとても妖しく魅惑的であり幻想的でもある。同じドールでもラティアやモルガの様な華やかな美ではない。
彼女の場合は暗闇の中に佇む薔薇の花の様な毒々しい美貌と言った感じでのようだ……。
「この……雰囲気……ラティアやモルガとも違う……」
「壮太君が購入したという……ドールなの?」
「不穏な空気ネ‥‥‥やはり、人間じゃなく魔の類かモ……」
僕等3人は壮太の部屋に現れた謎の女性を見詰めて戦慄していた。
彼女も壮太から僕等のことを聞いたことがあるらしく目を細めて見てくる。
「そちらの2人の女の子は……確か結衣さんとイザベラさんですね?」
「アナタは何者? 本当にドールなノ?」
「そうよ……私の名前はネフィア……『創造主』から造られた新たなドールよ」
「どちらにせよ、壮太君の生気を吸い取って最後には衰弱死させるんでしょ!」
ネフィアと名乗った女性は微笑を湛えて自己紹介してくる。だが、退魔師達は敵意剥き出しで警戒する。
僕も、もちろん警戒していた。今にも彼女と戦いになりそうな剣呑な雰囲気となっていた。
その時、ネフィアが口元に人差し指を添え、ウインクして微笑む。
その仕草だけでも彼女から目を離せなくなるほど魅力的に感じてしまう。
「うふふ……ここで騒ぎを起こしたら近所迷惑になるわよ? 部屋に上がって話しましょうか……」
「悠人! 彼女の言う通りにしない方がいいよ! 何か裏があるかも!」
「ええ……そうかもシレナイ」
結衣は強硬に意見してくる。イザベラもそれに同意する。それでも、彼女は妖しく微笑みかけていた。
彼女の蠱惑的な動作と微笑みを見て、まるで背筋がぞわりと蠢くような奇妙な感覚に襲われる。
そして、男であれば体が勝手に吸い寄せられてしまう。そんな気がしてならないのであった。
しかし、彼女の言動に嘘偽りは感じられず信用に値すると思ったのである。
「大丈夫だよ……話を聞いてみようよ……」
「何を言ってるの!? 悠人まで騙されないでよ!」
「ソウよ……ハルトも惑わされちゃ駄目ヨ!」
結衣とイザベラが僕を強く非難してくる。しかし、このまま押し問答していても埒が明かない。
だからこそ、ここは彼女に譲歩するべきだと判断した。
「結衣……イザベラ……安心して。一応、話を聞こうよ……」
「むぅ……まぁ……そう言うなら……」
「でも……変なことしてきたら手加減しないヨ」
2人は渋々納得してくれたようだ。こうして、僕等3人は壮太の部屋に入る事になった。
室内に入ると簡素な家具が設置され、中にはダンベルやプロテイン等が置いてある。
部屋に入るとネフィアは壮太をテーブルの椅子に座らせると彼の背中に抱きついく。
僕達3人はソファーに座り、向かい合う形になっていた。
「何で……人間の命を吸い取っているの?」
「ソウタの生気を吸い取っている目的はナニ?」
「ふーん……私が壮太の生命を削っているって言いたいのね?」
彼女は意地悪く嗤う。結衣とイザベラは彼女に睨みを利かせる。彼女はそれに対抗するように微笑む。
「そんなの関係ないでしょ? 私は『創造主』の命令に従っているだけよ。貴方達が知った所でどうしようもないでしょ」
ネフィアは不敵に笑う。その笑みを見て、結衣とイザベラは怒りに震えていた。
2人はすぐにでも祓おうと考えていたのかもしれない。だが、目の前のドールは容易に祓える存在ではない。
「『創造主』って奴の狙いは何なの?」
「知りたい? 教えてあげてもいいけど……」
僕が問いかけるとネフィアは艶やかな笑みを浮かべる。そして、壮太の耳を甘噛みする。
壮太は小さく声を漏らし身を捩る。彼女の胸が豊満な膨らみが彼の背中に押し付けられている。
その光景を目の当たりにして僕の心臓が大きく跳ね上がり興奮していた。
結衣とイザベラは目の前の光景を見て更に不愉快さが募り、殺意にも似た怒りが溢れていく。
「ふふ……そんなに怖い顔しないでよ……」
「だから……狙いは何?」
「それは……元々、『創造主』はそこの男の命をドール達に吸わせて死に行く姿を鑑賞したかっただけ。だけど、邪魔が入ったの……」
彼女は僕を指差し話すと、そこで口を閉ざす。そして、彼女は妖しく微笑みかけてくるのであった。
まさか……邪魔が入ったというのは公園で会ったあの老人の事だろうか? 彼から力を貰わなければ今頃は死んでいただろう。
「『創造主』から貴方とドール達の運命を変えて見せろと命令されたの……それで、お互い戦わねばならなくなった……理解した?」
「壮太に何の関係があったんだよ!?」
「単純な理由……貴方は『創造主』の目的を阻止された贄……それ故、親友である壮太をおびき寄せる餌として利用した……」
「何……それ、いい迷惑じゃない! 老人のせいであって私達には関係ないじゃない……」
結衣は憤慨して叫ぶ。『創造主』の復讐の動機で、僕等は戦わざるを得なくなってしまったらしい。
ネフィアは壮太から離れると妖艶な笑みを浮かべて立ち上がる。その笑みは見る者に恐怖を与えるほど邪悪なものになった。
僕は思わず身震いするもネフィアはゆっくりとこちらへ近づいてくる。
そして、彼女は僕達に高らかに宣言するのであった……。