怪しいサイトで天使と悪魔のラブドールを購入したら実体化した 〜ハーレムの代償で命が削られている僕の元に、なぜか女子大生退魔師達までも押し掛けてくる〜 作:nene2012
「ギィエ――ッ!!」
化け物の触手からは白い煙が立ち昇っている。相当なダメージを受けたのか苦痛に歪んでいた。
怪物に攻撃ができるのは意外だったが聖ベネディクトのメダルの効果は絶大で化け物に対して有効である。
しかも、魔物が触手で僕を捕獲するまでの時間稼ぎには十分であった。
この間に僕は結衣から貰った護符を手に取り触手を掻い潜って本体の中心に貼りつけてやると考えていたのである。
「今だ!」
チャンスと思い叫んで魔物の腹部に飛びかかると、一気に護符を突きつけた。
「むんっ!」
張りつけた護符は魔物の腹にぺたりと張りつくと効果を発揮しだす。
護符を張り付けた途端、全身から一瞬白い光が点滅すると化け物は悶絶し苦しみもがいた。
「ギィエー! ギィエェーッ!」
魔物は触手を千切れんばかりに振り回し絶叫した。口を大きく開け唾液が飛び散り、僕に降り掛かっていく。
そして、振り回した触手の1本が当たり、その凄まじいパワーで僕は吹っ飛ばされる。
地面に体を打ちつけ仰向けになり悶絶した。全身に激痛が走り、ちょっとの間動けなくなる。
魔物の動きが緩慢となるが護符の効果はここまでようだ。
「ギギィ……ギィ……」
致命的な効果でないが僕にとっては化け物に対し充分通用することが分かり安堵した。
だが、未だに絶体絶命の窮地に陥っていることに違いはない。怪物は息を荒げながら体全体をブルブル震わせている。
この時、退魔師達を拘束していた触手の力が緩み結衣とイザベラが解放されたのである。
2人は精根尽き果てたかのように地面に寝転んだまま体を休ませていた。
「はぁ……はぁ……よくやったわ……悠人……」
「ハァ……ハァ……すごいヨ‥‥‥ハルトは……命の恩人ダヨ」
結衣とイザベラは褒め称え僕を励ます。だが、油断できない。触手を緩めたものの魔物は依然として僕への脅威であることには変わらない。
むしろ逆鱗に触れたかもしれない。化け物の顔は憤怒で醜く歪んでいた。あれほど醜悪な顔が更に醜くなっている。
「これで勝ったと思わないで……コイツはまだ十分、戦える力が残っているから」
淫獣の異常を目にしてもネフィアはそれを無視して僕を嘲りながら言い放つ。
怪物は激痛の余韻が残っているのか触手を小刻みに震わせ苦しんでいた。
「あははっ! もうお終いよ! 女達はコイツに犯され、お前は生きたまま食い尽くされて終わり……」
ネフィアは高らかに宣言する。その時、魔物の近くで横たわっていたドール達の体から青白い光を発する。
光は次第に強くなり溢れんばかりに輝いていく。彼女達が放つ光により全員が包み込まれるように明るく照らし出した。
「な、何よ!?」
ネフィアは突然の出来事に目を見開き驚愕し焦り出す。僕もドール達の方に振り向き、青白い光を放つ彼女達に釘付けになる。
青白い光に包まれるラティアとモルガは立ち上がり、彼女達の体に変化が表れていた。
よく見てみるとドール達の体に変化が表れていた。ラティアは背中から天使の様な白い翼が生えだし頭上には金色に光る光輪が生じていた。
モルガはというと彼女も背中から蝙蝠の様な見た目で悪魔を象徴するような漆黒の翼が生えてきだし頭部にも角が生えてくる。
「ドール達に……何が起きたんだ」
「バカな……」
青白い光に包まれ全裸のドール達の変身を見て僕は驚嘆すると同時に感動で涙が滲んだ。
ラティアは天使風なので、もちろんだがモルガの姿も悪魔風であっても神々しかった。
ネフィアも狼狽え困惑する。彼女達は天使と悪魔の羽を羽ばたかせ化け物に向かい飛翔していく。
淫獣の周りを高速で飛び交いながら旋回するドール達。
彼女達が回りだすと青白い光のリングとなって輝き出し化け物の全身を包み込む。
「行くよっ!」
「もちろんです!」
「グゲエェッ!?」
ドール達の光のリングから放射される光が目を開けられないほど眩しい。僕だけでなく化け物も眩しさに仰け反り苦悶の声をあげた。
一方、ラティアとモルガの2人は化け物の周りを回転しており青白い光に包まれながら旋回速度をどんどん上げている。
そして、光と闇が重なり合い錐揉み状に回転しながら一直線に突進する。
回転する翼が光の螺旋を描き黒い軌跡がそれを絡め取るように渦を巻く。
「ラティア! コイツの体を突き破ってやるから力を貸して!」
「はい! 一緒に、この醜怪な化け物を消滅させましょう!」
モルガとラティアはそう言うと淫獣の頭上空高く舞い上がり高速で回転していく。
怪物の胴体目掛けて2人一緒に抱き合った状態で回転しながら向かっていった。
「いっけっー!!」
「貫けっ!!」
回転する2人の身体が、ぬめぬめと蠢く淫獣の胴体に激突した。
ブヨブヨとした巨躯がドリルで削られていくように化け物の肉を裂いていく。
「グッ……グゲゲェエ――ッ!!」
光と闇の螺旋が魔物の肉を削り巨大な穴を穿ったのである。
淫獣が断末魔のようなうめき声を上げた。裂けた胴体の穴から緑色の体液と臓物をぶち撒けていく。
怪物は盛大に苦しみ、穴の開いた胴体からは無数の内蔵がこぼれ落ちていった。
穴の開いた腹部から中身が無くなり向こう側の景色が見えていた。
「グゲェ──ッ!!!」
化け物の叫びが公園全体に響き渡った。そして次の瞬間、その巨体が光に包まれはじめた。
ラティアとモルガから貫かれ浄化していくかのように身体がボロボロと崩れていく。
「ギシャアアア──!」
最後の断末魔を上げながら淫獣は体を痙攣させていく。その体表がゆっくりと蒸発し始め黒と紫の体躯が塵へと変わっていく。
「くそっ……こんなはずじゃ……おのれっ!」
ネフィアが絶望に打ちひしがれた声で呟く。魔物の身体が徐々に分解されていく。
既に原形を留めておらず肉塊が灰燼となって舞い上がった。
「ラティア!モルガ!」
僕は2人のドールに呼びかけた。彼女達も無事だ。僕の呼びかけに応じてゆっくりと地面に着地した。
地面に降りると青白い光が消え彼女達の姿に変化が起きる。翼や光輪、角がじわじわと消失する。
「悠人さん!」
「悠人……あたし達勝ったみたい!」
ドール達が満面の笑みで僕に向かって手を振る。僕は笑顔で走り寄り抱き寄せた。
「よかった……本当に無事でよかったよ!」
僕は感激して声を詰まらせた。そんな中、結衣とイザベラはふらふらしながら僕達の元へ駆け寄る。
まだ、化け物の催淫液の効果が残っているのだろう。顔は上気したままで目は潤んでいた。
「皆、無事でよかった……」
「よくやったネ! アナタ達のお陰だヨ!」
退魔師達も助かって喜んでいた。ドール達の変身があってこそだ。彼女達はお互いを讃えるように抱き合う。
しかし、ネフィアは顔をしかめ僕等を睨み付け喚き散らすのであった……。