怪しいサイトで天使と悪魔のラブドールを購入したら実体化した 〜ハーレムの代償で命が削られている僕の元に、なぜか女子大生退魔師達までも押し掛けてくる〜 作:nene2012
謎の老人が語る忠告をジッと聞いていた。もしかして、ドール達に何か問題があるのではと嫌な汗が出てくる。
「あのドール達の寿命のことじゃよ」
「えっ? 寿命?……」
「お主は知らないだろうが、ドール達は造られた存在じゃ。つまり、これから先も永遠に存続できるわけじゃない……」
僕は依然として硬直したままのラティアとモルガを改めて眺める。彼女達は未だに全裸で微動だにしなかった。
そんな彼女達を見ていて老人が言ったことを理解するのに時間を要する。
今まで当たり前のようにいると思っていた2人が消滅してしまう可能性を考えると頭が真っ白になった。
呆然としている僕を気遣うかのように老人は続けて言う。
「大丈夫かの?……儂が造ったものじゃないので詳しくまでは分からんが多分、寿命は1~2年というところかの……」
「そ……そうですか、あと数年しか存在できないんですね……」
「まあ……造られた人ならざるものの宿命というところじゃな」
「……」
「気を落とすな若者よ……短い時間かもしれんが精一杯ドール達と過ごしてやってくれ」
「はい……」
「それと、お主の友達にも無限の生命力を与えておこうかの……時が来るまで、あのドールと過ごすことになるからな」
そう言うと老人は時が止まって気絶して動かない壮太の所まで来ると頭に手を当て力を込めると白く光り輝いた。
これで、壮太も無限の生命力でネフィアとまぐわっても生命力を吸われ衰弱死することは無くなったのである。
「では、達者でな」
「あっ! 待ってください! あなたの正体を教えてくれませんか!?」
咄嗟に老人の本性を聞くと彼は悪戯っぽい笑みを浮かべる。そして、僕の目を見詰め答える。
「儂の正体は人である身の、お主にとって知る必要はない……あえて言うなら超越的な存在というところかの。では、さらばじゃ……」
老人は自身の正体を曖昧に答えると目の前で煙のように消えていった。
僕はドール達がいずれ消滅するかもしれないという衝撃の事実を深く胸に刻んだ。
老人がいなくなると元に戻ったのか周りの人達が再び動くようになった。
ぼんやり考え事をしている僕に退魔師達が心配そうな顔をして尋ねてきたのである。
「どうかしたの? なんかボーッとしてるけど……」
「ハルト、急に黙っちゃってどうしたノ?」
「いや……ちょっと考え事をしていただけだから」
僕は焦った様子で言い繕うと結衣とイザベラは疑念の眼差しで僕を見詰めていた。
そんな中、壮太の体がピクピクと動き始め意識を取り戻し目を覚ましたのである。
「……う~ん……俺は一体?」
「大丈夫? 壮太……」
僕が声をかけると彼は頭を押さえながら上半身を起こした。
ネフィアが傍に行って優しく壮太に肩を貸し立ち上がらせていた。僕等の顔を見渡すと目が泳ぐ。
「おい……俺は何で気絶してたんだ!?」
「壮太君、私達と戦っていたのを忘れた?」
「ソウタがワタシの足を掴んで投げ飛ばしたんダカラ!」
「ううっ……思い出せない」
全く記憶に残ってないので彼は退魔師コンビに詰め寄られ言葉に窮してしまう。
もしかしたら、あの老人が壮太の頭に手が触れた時に記憶を書き換えたのかもしれない……。
その隣でドール達も複雑そうな表情で静かに見守っていた。
ここで、助け船を出したのがネフィアであった。
「壮太、思い出せなくても大丈夫よ! だから安心して一緒に帰りましょう!」
「ネ……ネフィア? 」
壮太はネフィアの声を聞き、彼女が慕う様子から自分が支配されていた事などすっかり記憶から抜け落ちてるようだ。
この一連の出来事で壮太はネフィアの正式な所有者となったのである。
しかし、彼にはいつの日か老人が語った様にドールの寿命に限りがある事を説明しなければならない……。
壮太と側に居るネフィアは肩を貸しながらおぼつかない足取りの彼を支えながら公園の出口に向かっていく。
「じゃあ、私達は先に帰るわ……結界ももう少しで消えるから早くドール達に服を着せないとね」
「一体どうなってるんだ?……悠人、明日学校でな……結衣ちゃん、イザベラちゃんもな……」
「うん、壮太……明日ね……」
僕が軽く手を振ると、壮太は気まずそうに頭を下げながら先に帰って行った。
彼等の後姿を見送り公園は僕等5人だけになってしまった。
周囲は街灯に照らされているだけで、人気は全くなく夜風が吹き始める。
結衣とイザベラが神妙な面持ちで話を切り出した。
「そろそろ、私達も帰らないと遅くなるね……」
「ドールに上着を貸してあげるヨ……」
「ありがとう……明日にでも返すから」
イザベラが上着を脱ぐと下は黒Tシャツだった。どうやら、上着とズボンは正式なエクソシストの格好だが中はカジュアルな格好だ。
7月だから正式なエクソシストの格好をしてたら夜でも熱いので仕方ないのだろう。
ラティアとモルガの、どちらかしか着れないので僕もTシャツを脱いで渡す。
司祭服はラティアにTシャツはモルガに渡した。ラティアが先に司祭服を受け取り着る。そして、モルガが僕のTシャツに袖を通して着ていた。
「えへへ、悠人が来ていたTシャツを着ると興奮しちゃうな♡」
「もー! モルガ、ズルいですよ!」
「そんな事で喧嘩しないで……早く帰ろう」
2人の喧嘩の仲裁に入り僕は公園の出口に向かって歩き出した。
これで、今日は退魔師達とは別れることとなる。
「イザベラさん、服を貸してくれてありがとうございます」
「バイバイー!」
「お礼はいいヨ‥‥‥ハルト、明日ね」
「じゃあ、また明日……」
僕等が挨拶を終えると結衣とイザベラは寂しそうに2人一緒に帰宅していった。
何故なら彼女達が住んでいるマンションは同じだからだ。そして、僕はドール達と一緒に家路につくのであった。
しかし、淫獣やネフィアとの戦いの感触は夢ではなく現実に起きたことなのだと思い知らされる。
そして、ドール達との残された時間に限りがあるのも紛れもない真実なのだと……。