沼確バイン!!~エグいかわいいボーイッシュJKをメッチャやさしく攻略してみる~ 作:XI_01
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ベニコママはびっくりするくらいおっπがおっきぃ女性やった。
「ウチのが迷惑かけてすまんなぁ」大阪の訛りもあらわに、ベニコママは言うてくれはった。「せやけど珍しいんやぞ、にいさんよ。っちゅうか、ベニコん奴が男連れてくるなんて初めてや」
くだんのベニコちゃんは着替え持って「勝手に帰るんやないぞ、クソ野郎」ってナチュラルに悪態ついて、風呂場があるらしい方角に消えた。
「ウチのベニコが言うにはやな」なんや、ミルクボー〇の漫才みたいな切り出しやな。「きみはええ男やいう話やぞ」
「へぇぇぇぇ」オレは出してもろたあっつあつのコーヒーをずずってすすった。「オレ、そない上等なニンゲンやないつもりですけど」
「しょうもない自虐ほどしょうもないもんはない。きみが高校生やなかったら、私はおまえを死ね言うて罵るこっちゃろうな」
なんとも恐ろしい物言いや。
ベニコママ、恐るべし――。
「で、や、きみはイクミくんやったな?」
「はいそうです、オレは犀川さんちのイクミくんです」
「今やウチの娘はなんでかシャワーなんて浴びてるわけやが、奴さんが出てきたら、おまえは奴さんをハメるつもりなんか?」
「んなわけないでしょう?」
「ほぅ。なんでそない言えるんや?」
「そのへん、説明する必要がありますかぁ?」
「ないなぁ」余裕綽々な感じで「ふはは」とわろたベニコママ。「ないわ、べつに。そもそも私はきみんこと、買ってへんわけやないしな」
まったくもって、聡明なベニコママや。
まあ、そんなこんなで、ベニコちゃんがシャワー浴びて出てくるんを、ひとまず待とうって思う。
「寿司をとったろう」って、ベニコママ。
「あっ、それはめっちゃ嬉しいです」って、オレ。
「アホ抜かせ、とるかぁ」
「ぎゃふん」
「そうや、ぎゃふんや」
今度、コルニチョーネがめちゃイケてるピザを食べましょうとか提案してみた。
「コルニチョーネ、やとぅぅぅ?」
「知りませんかぁ?」
「聞いたこともないわ」
「まあ任せといてください」
そったらベニコママは満足そうにうんうん頷いて――。
「じつはやなイクミくんよ、これまでクソ娘が連れてきた男ってのはおったんや」
「えっ、そんなん初めてやっちゅう話でしたけど?」
「黙れ。ウチんガキはめっちゃモテるんや」
「ベニコママのお眼鏡にかなった男子はおらへんかったんですか?」
「おらんかったっちゅうてんねん。しょせんガキなんやさかいって見過ごしたろうってケースもあったんやが、そこはなにせ、娘のことやさかいな」
ふぅん――って、オレは安易に唸った。
まあ、そりゃそうや。
それこそ愛娘のことなんやから、そこは簡単には折れられへんわな、厳しく評価して然るべきやわな。
――で。
「オレ、そろそろ帰ります」
「ほぅ。なんでいきなりそうなるねんな?」
「いや、だって、オレ、ここにはもう用事ないですもん」
「私の娘を置いていくと? それはそれでかまへん言うたらかまへんけど、そんなん許すほど、私は甘く見えるかぁ?」
恐怖の言葉やった。
睨みつけてくる瞳はギラギラしてて、とてもやないけどこっちが自我を押し通せそうな空気はなかった。
「わかりました。オレ、これからベニコちゃんと遊んだります」
「そうしくされや」ベニコママは一転、にこにこって笑い――。「きみみたいなんが家族になったら嬉しく思うぞ」
「それは無理です」
「せや言うやろうっておもたわ」
「へっ、そうなんですか?」
「そらそうやろ。おまえみたいなん二、三、女がおるやろう。せやけどウチのんの相手もしくされや。絶対、奴さんのええ経験になるやろうから」
自分の娘に「その気がない男」と遊べっちゅうのん?
ようわからへんな。
ちょいホンマ、ようわからへん。
――シャワー浴びてたらしいベニコちゃんが、姿ぁ現した。
「いや、ウチは長風呂やけど、おまえやイクミ、おまえがウチに我が物顔で上がり込むことくらいわかってたんやぞ?」
おぉ、そうなんか、ベニコちゃん。
ま、ベニコちゃんは察しがいい上にお利口さんなんやろうけどな。
「ベニコおまえ、ここでイクミくんとシろや、ハメられてみせろや、あんあん喘いでみせろや。見守ってやったるさかい」
ベニコちゃんは呆れたみたいに両手をそれぞれ真横に広げ、「アホ抜かせ、おかん」言うた。
「ベニコちゃん、あいにく、ベニコママがオッケー出しても、オレはきみとは寝れへんねやわ」
「おまえこそ抜かせや、アホが。そんなん誰が望んだんや?」
カッコええな、ベニコちゃん。
へたすりゃ首ったけになりそうなんやぞ。
袖の丈も脚の丈も短い部屋着姿のベニコちゃんは、まぁったく照れる素振りもなく、「そんな見んなや」とか軽い調子で「ふはは」ってわろた。
あられもない自分の格好を見んなって話なわけやけど、なにせかわいいもんやさかい、オレはぎゅうぎゅう凝視してまう。
「まあええわ。なぁんもようないけど。とりあえずやイクミ、ウチと外で話そうやないか」
なんやいきなりそない言われた。
「ここでしゃべれ言うてんねん」ってベニコママ。「おまえ、やっぱイクミくんになんや他ならぬ感情抱いてるんか?」
「じゃかあしいわ、アホのおかんが、んなわけないやろうが」
「口が過ぎんぞ、我が娘よ」
そったらベニコちゃんは――。
「ついてこいや。少しくらいは会話に応じたんぞっちゅうてんねん」
まったくもって偉そうな物言いなんやけど、ま、付き合ってやろうやないか。
そこにはもはや、愛があるかもしれへんさかいな。
ついてこいや。
そない言うベニコちゃんに文字通りついてこうとするわけやけど。
「ベニコちゃん、外出るんやったらもっとあったかそうなカッコしてくれや」
「抜かせや、ジャリクソが。大した男やないくせに、偉そうにウチの心配してるんやないぞ」
「大した男でなくてええさかい、ちゃんと服は着てくれ言うてんねん」
ベニコちゃんは首ぃ回してこっち向いて――その顔は明らかに難しそうな色合いを帯びてた。
まんざらでもないっちゅう表情でもなく、ただただ不機嫌そうやった。
不機嫌そうやった――わけやけど。
「わこた、ええわ。その案、乗ったろうやないか」
オレは「助かるわ」言うて、わろた。
「待ってろや。悩殺したるさかい、ホンマ、待ってろや」
「悩殺かぁ、それはちょい困るなぁ」
「じゃかあしぃ。煙草、吸うか?」
「吸いたい」
「銘柄は?」
「アメスピやったらサイコー」
おまえはラッキーな男や。
ベニコちゃんはそない言うて――。
「そうなん?」
「ああ。あいにくウチもアメスピなんや」
「メンソールやよ?」
「ああ、マジ、変なところで気が合うなぁ」
煙草の趣味が合う男は、ええ男なんかもしれへん。
ウチはそないなふうに考えてる――。
「浅薄かつ傲慢な思考回路、やわな」
「そんなんわかってるわ、ホンマうっとうしい」
「ま、ベニコちゃんはしっかりしてそうやさかい」
「そうやぞ、舐めんな。次に軽率なセリフ吐きやったらブチ食らわすぞ」
ベニコちゃんみたいに偉そうで横柄な女のコ、オレはホンマ、嫌いやないな。
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少し、歩いた。
ヒトがこぉへんであろうとこまで、少し、歩いた。
線路沿いにあるデカい家がベニコちゃんちで、せやからこそ、人気がないところまで少々歩かされた。
なるたけ静かなところで話、したいんやろうな、って。
「ゆうたかて、寂しいなんて言うてる暇はないんやぞ?」
いきなりベニコちゃんはそないなふうに言うて――。
「なんのことやぁ?」
「おまえがウチんことを弱いおもてて、その弱味をつくっちゅうつもりやったら容赦せーへんぞ、ってな」
なんとも強気な物言いや。
「なあベニコちゃん、おまえさぁ」
「おまえやと? 偉そうにすなや、腹立つぞ」
「せやったらベニコさんさぁ」
「畏まられたら畏まられたで腹が立つぞ」
「どないせぇっちゅうねんな」
「ちゃんと考えろや、ボケが、男やろ?」
確かに、オレは男やな。
「ヤニ、おおきに。ベニコちゃんも吸う?」
「吸うわ、阿呆。火ぃ貸せや」
「自分でつけろや」
「うるさいわぃ、貸せや」
オレは自分の煙草の切っ先に火ぃ灯した。
その火をベニコちゃんの煙草に近づけた。
そったらベニコちゃんはオレの火をもろて、その先端を赤く染めた。
煙草つこてのキスシーンほどエロいもんはありゃせーへんねわ。
ベニコちゃんはふーって細く長く、煙草の煙を吹いて出して――。
「オレはさ、ベニコちゃん」
「なんやいきなり、ちゅーか、ナマクラんくせにウチんことを気安く呼ぶな」
そない言われると返す言葉もない。
せやさかい、オレは「あっはっは」って笑うしかないわけや。
「せや言うたかて、とりあえず、ヤニはうまいやろぅ?」
「その点は否定せーへん言うてんねん。犀川イクミ、おまえは阿呆なんか?」
「ベニコちゃん」
「なんやぁ?」
「もうちょい話、しようや」
「コーヒー、ブラックのヤツ、奢ってくれたらな」
それくらいこうてきたるわ。
コンビニなんてついそこ、ド近所やし。
「あ、いや、嘘や、悪い。金は払うさかいな」
――とか、意外や意外、気遣いに溢れる優しい言葉を吐きやったベニコちゃん。
「気にすんな」
そない応えて、オレはコンビニに向かった。
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オレはおろか、ベニコちゃんかてバリバリな女のコやさかい――ちゃんと大人に見えるさかい――「ストレイシープ」におってもべつにおかしくは思われへんらしい、要するに、店員さんらに、オレらは「それなりのオトナ」に見られてるっちゅうことや。
ベニコちゃんはオレの向かいのソファ――席につくと、タイトな革ジャン脱ぎやった。
左肩からその二の腕にかけてのトライバルタトゥーが容赦なく覗く。
めっちゃカッコええさかい、惚れ惚れしてまう――肌の白さにもゾクゾクさせられる。
「おまえはめっちゃカッコええなみたいな目でウチんこと見るんやな」
「タトゥーっちゅうんはアホの所業やおもててんけどさ」
「ウチのんは違うってか?」
「ちゃうな。クールやもん」
「せいぜい憧れてろや」
「そうするわぁ」
オレはにっこり、わろた。
お互い、煙草吸うてる。
高校生同士のくせに、な。
「せめてセーラー服やったら良かったんやけど、ウチの気高い偏差値がそれを許さんかった」
「ええやん、それは。ベニコちゃん、ブレザーの制服、メッチャ似合ってるし」
「しょうもない発言すな」
「えぇぇー、しょうもないぃぃ?」
「しょうもないわ、っほんだらっ」
「せやったら謝るわ、ごめんなさい」
オレが頭ぁ下げたところ、ベニコちゃんは高慢な感じで「ふんっ」て鼻ぁ鳴らして。
今さらやけどさ、ベニコちゃん。
なんやねんな、アホのイクミ。
「ベニコママ、メッチャ素敵なのな」
「それがどないした?」
「いや、抱きたいなって」
「おまえはやっぱりヘンタイや」
「えっ、そう?」
「おかん抱きたい言うんやったら、それ以前にウチやろ?」
ちょいとばかし不穏で微妙な空気が流れた。
そりゃそうやろうって思う次第――。
「ほならさ、ベニコちゃんはヤらしてくれるん?」
「もうちょい言葉選べや、その発言自体がアホ極まりないぞ?」
「わこた、言い直す。うまいこと言うたらベニコちゃんはヤらせてくれるっちゅうことやもんな」
「抜かせ、阿呆、そないなわけないやろうがっ」
「わかってるってば」
「せやったらせやったで、ウチんこと、せいぜい喜ばせてみせろや」
キッツい態度でキッツいセリフや。
せやけどどうしたって、そのへん、好みでしかなくてやな――。
「ウチはな、犀川イクミ、恋愛なんてしたことないんやぞ?」
なんや、いきなり。
「この先もするつもりなんてないんやぞ」
せやから、なんやねんな、いきなり。
「そんなウチんこと、おまえはどう扱いたい?」
うーん。
まあ、そりゃまあ、決まってるやろ。
「ああ、ちなみにや、言うとく。ウチはヴァージンやぞ」
「そのへんを簡単にくれたるつもりもないってんやろ?」
「悪いかぁ?」
「いや、尊いわ」
やめろや、おまえ。
そない言うなりきっちり立ってきっちり上から見下ろすみたいに睨みつけてきた、言うてみれば臨戦態勢――。
「腕力やったら敵わんやろうけど、せやいうたかてタダでヤられるつもりはないんやぞ」
「えっと」オレは右の人差し指でベニコちゃんこと指した。「オレがそんなんする思うん?」
思わへんわ。
なんちゅうか観念したみたいにベニコちゃんはため息ついて肩ぁ落として。
「オレが抱いたらな、ベニコちゃんは一生損するんかもしれへんけど」
「黙れ」
「せやけど事実やん?」
「二度言わすな、黙れや、っほんだら」
ベニコちゃんはかわいいかぎりや。
「まだちょい話そかぁ」すとんって席に着き直したベニコちゃん。
「なんでも言うたってや」って、オレは応じた。
「ウチのおかんは阿呆なんや。ぱっぱらぱーなんや。せやないと、ウチが墨入れるん許すわけないやろ?」
ひょっとして、タトゥーんこと、オレが軽蔑してるっておもてる?
オレは正直に、そないなふうに訊ねた。
そったらベニコちゃんは目ぇ丸くして、「ちゃうんか?」――。
「アホか、せやから」オレは念押しするみたいに言う。「ベニコちゃんはカッコええってば。せやけど公衆浴場は諦めぇや?」
ベニコちゃんは眉根寄せてから。
それから不本意そうに、あるいは不機嫌そうに、「アホなんやろ、おまえは、絶対」とかのたまってくれた。
「まあ、あちこちにトライバルなタトゥー彫る女子高生なんて他に知らんわな」
「わかってへんのか、おまえは。ウチはめっちゃおっかない女なんやぞ?」
「それはわかってるつもりやけど、にしたって自分、いや、めっちゃかわいいやんか」
そったらベニコちゃんは明らかに顔を忌ま忌ましげに歪めて――。
「おまえみたいな軽薄なニンゲン、ウチはだいっきらいや」
「のわりには、一緒に煙草吸うて酒飲んでるやん?」
「せやからこそ、ウチは今、不機嫌なんや」
「ベニコちゃんち、もうわかったさかいな。今度、いきなり攻め込んだるし」
「そないな真似しくさったら本気でぶち殺してやるさかい」
なんて怖いことを抜かす美少女やろう。
オレはタバコを薄っぺらい鉄の灰皿に押しつけた。
それに倣うようにしてベニコちゃん。
「送ったるわ」
「そんなんええから会計だけ済ませろや」
「うっわ、ある種の暴論、女王さまかいな」
「男は女に奢るもんや」
稼ぎがないわけやないさかい、きちんと現金で支払いは済ませた。
ベニコちゃんは表に出たところで「うあああぁぁ」とか謎めいた声を発しながら両手を夜空に突き上げて――。
「嘘やぞ、イクミ、半分はろたるぞ、ワリカンや。いくらやったんや?」
ああ、なるほど。
ベニコちゃんはじつに律義な女のコらしい。
「ええよ。奢ったるわ」
「後から払え言われたって払わへんぞ?」
ええよ、その代わり――。
オレはそない言うて、次の瞬間にはベニコちゃんのことを横抱きにした。
「うわぁっ! なんや、おまえぇっ! ウチんことどないするつもりやぁっ?!」
「家まで送り届けたるだけやよぅ」
「はなせや、一人で歩ける!!」
「はなさへんよぅ」
オレは走る、ベニコちゃんこと抱えて。
そのうちベニコちゃんは怖くなったんか、オレの首に両腕巻きつけてきた。
「おまえ、次に会ったらぶっ殺したるさかいなっ!」
「ほなら。二度と会わんようにしたろ」
「あっほんだらぁ、馬鹿や、おまえは」
こういう女のコ、ホンマに嫌いやないな。
そない思いながら、オレは彼女んことお姫様抱っこしたまま、蒲田の夜道を南のほうへと駆けた。