沼確バイン!!~エグいかわいいボーイッシュJKをメッチャやさしく攻略してみる~ 作:XI_01
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川崎の銀柳街。
一蘭でラーメン貪ってからから、カラ館に入った。
もち、アキラっちと一緒や。
アキラはアニソンばっか歌う。
オレは最近の歌ばっか歌う。
そんなんやからか、「キザっちぃぞ、おまえは」とかいちゃもんつけられた。
オレが「うっさいわぃ」言うたると、陽気に「あはははは」って笑いやった。
「……って」――とか、アキラがしおらしくマイクをテーブルに置いて、暗い顔しやった。
ホンマ、いきなりやな。
そない思いつつ、オレは首ぃかしげてみせたんや。
「なあ、イクミ、おまえ……」
「あん? なんやぁ?」
「おまえ、今日も女に告られてだろ!!」
デカい声やったもんやさかい、ちょいのけぞってしもた。
「そうやったっけか? 覚え、ないんやけど」
「あっ、おまえ、シラを切るつもりか? 良くないぞ、それは良くないんだぞ?」
オレは細かい氷がたっぷりのコーラを一口ぐびり。
「まあたしかに、そのようなことがあったかもしれませんけれど」
「ななっ、なんだ、その気色悪いまでに改まった言い方は?!」
「いや、べつに誰に告られようが関係ないやん?」
「自分は無罪だと?!」
「ちゃうかぁ?」
アキラが両手でテーブルをバンッと勢い良く叩いた。
あまりにでっかい音が鳴ったもんやから、さすがに少々びっくりした。
「相手の立場になってみろ! 具体的に言うとあたしの立場に、だ!!」
「ああ、うん、それって、アキラっちがどこぞの男に告られたら、オレは気分良くないやろうって話やな?」
「ちちっ、違うのかよ?!」
まあ、落ち着けや。
諭すようにそないに言うて、オレはまあまあと手を動かした。
「オレはなぁんも心配せぇへんぞ。愛が伝わってきてるさかいな」
「だだっ、だったらおまえの愛は足りてないんだ。あたしはこんなに不安なんだからなっ」
「マジで?」
「ま、マジだぞ」
「今日も著しくどもりやる」
「ううう、うるさいやい!」
オレは少々難しい顔をして、それから「どないしたら許してもらえんのん?」って訊いた。
「決まってるだろ。今後、あたし以外の女としゃべるな」
「そいつは無理っちゅうもんやろぉ」
「ど、どうしてだ? 何が不満なんだ?」
「不満っちゅうか、アキラは愛想悪いオレなんか見たいんか?」
「そりゃあまあ、見たくはないけど……」
「せやろ?」
「でも、だったらこのいかんともしがたい気持ちの悪さはどうしたらいいんだ?」
耐えろ。
としか、もはや言いようがなく。
その旨、言葉に出してやると――。
「ラーメン、奢ったったしな。一蘭もすっかりたこなった」
「なんだ、それは。つまらない言い訳をするな!」
「注文、つけたるぞ。いちいちデカい声出しなや」
「カラオケはデカい声を出すためにあるんだっ!」
まあ、それはそうかもしれへんけど。
「むぅぅ、まあいいや、良くはないけど、奥ゆかしいあたしは折れてやるぞ」
「おぉ、優しいやん」
「けど、告白はナシだ。されそうになったら一目散に走って逃げろ」
「えーっ、そんなんしたら、めっちゃ印象悪いやん」
アキラは顎を引いた格好で、上目遣いで見つめてくる。
うーっと唸ったりもした。
「お、おまえ、あたしの身体に、えっと、べたべた触ってくるじゃんかよ」
「えっ、嫌なん?」
「いいい、嫌じゃない。だだだ、だからといって――」
「だからといって?」
「も、もっと、あたしのことを大事にしろって話だっ」
いや、それはわかるし、実際、そうしてるつもりなんやけど。
まあ、しゃあない。
今度はこっちが譲歩するしかないやろう。
「ヨドバシに寄るぞ」
「アキラっちは前にもそないなこと言うてたな」
「そうだ、今日がその日なんだ、吉日なんだ」
「何買うん?」
「ノイキャンイヤホンだ。そしてあたしが買うんじゃない。おまえがあたしにプレゼントするんだっ」
……は?
目が点になった。
「ちょい待て。そない気の利いたもん、こうてやる義務も、今んとこ、義理もないぞ?」
「うへっ、ひどいんだ、おまえはひどいんだ。義理もないとかひどいんだっ」
うーん、まあ、それはそうかもしれへんな。
「にーきゅっぱだ」
「2980円?」
「29800円だ」
うげげっ、やっぱ高いやんけ。
いきなりとんでもないこと言い出しやったぞ。
「オレの稼ぎなんて微々たるもんなんやぞ?」
「いいや、今や、そんなことはないはずだ」
おぉぅ。
オレんこと、どこまでバレてるんや?
とはいえ――。
まあ、こうたろうやないかって決めた。
たまには心の底から金銭を与えるというかたちで奉仕したったってええやろう。
「わこた。ついてこい」
「えっ」驚いたふうな、アキラっちの口振り。「じょ、冗談半分なんだぞ? いいのか?」
「女が欲しがるもんこうてやれへんで、何が男やっちゅう話や」
「り、立派な物言いだけど、その考えはあんまり良くないんだぞ?」
「おまえのことはなんやかてわかるんや。そのうえで、全部、言うてる」
オレはコーラをぐびぐび飲み干すと、「行くぞ」言うて、部屋を後にする。
慌てた様子で、アキラはついてきた。
「一瞬たりとも、一人にするなよな」
そないなふうにいじらしいことを言うて、あとをたどってきやる。
アキラはええ奴やから「29800円は嘘だっ」とかやっぱり言いやったけど、俺はきちんとプレゼントした。
安いもんでもそうなんやろうけど、高いもんなら余計に大切にしやるやろう――そないにおもたから。
「な、なんか、ごめんな……?」
「金を目安にするんはアレやけど、愛情やと思ってもらえれば幸いや」
「愛情とかっ」
純粋すぎるアキラっちはほっぺ赤くして、「ありがとうなっ」ってはにかんだ。
*****
翌営業日。
営業日っちゅうのは、月曜日の学校のこと。
オレは赤メッシュのさっちんと青メッシュのみゆきちと、廊下でしゃべってた。
二人とも絶好調らしい。
何がとは言わへんけど、それでも察するに――あるいは噛み砕いて言うと、主に恋人との関係が良好なんやろう。
異性とうまくコミュニケーションがとれてる時間はなかなか嬉しいもんで、でもってかなり尊いもんや。
「最近訊いてなかったね。アキラっちとは? どんなカンジ?」と、さっちん。
「言わなわからんかぁ?」オレはちょい大げさに肩ぁすくめてみせた。
「いや、わからんことはないのだけれど」
「私は幸せだよ、きゃはっ」と、みゆきちは基本、自分の話ばっかしやる。
まあ、ええやん。
そない言うと、さっちんがオレの首に左腕を巻きつけて――。
「モブはいいんだよ。でも、最近、会長とイイカンジだとか聞いたよ?」
「会長もモブでええやんか」
「あの超絶美女を相手にしてそう言う? ヤりたいならアキラとヤればいいじゃん」
「知らんがなー」
「アキラとヤれ」
「知らんがなー」
そろそろ予鈴が鳴ろうとする時間。
生徒らがぼちぼち教室へと入ろうとする頃合い。
オレも立ち上がって、さっちんとみゆきちと1-Aに戻ろうとした段になって、アキラっちが駆けてきた。
今日も、朝もはよから弁当屋の仕込みを手伝ってきたんやろう、偉いな、真面目なとこにはなにより好感が持てる。
アキラっちはパンツルック。
線の細い茶色いズボン、上は裾を出した純白のシャツ。
まさにボーイッシュな恰好なんやけど、大げさなまでに豪奢な肢体の凹凸は顕著すぎるくらい顕著で――。
「デッカ、今日も胸、デッカ」さっちんはそう指摘すると、朝っぱらから腹を抱えてわろた。
「ででで、デカくないっ」アキラっちは抵抗? 反抗? する。「ててて、てか、デカい言うなっ」
アキラっちは慌てたように、シャツの裾をインした。
「アキラっちよ、おはよう」オレはしゃがんだ状態で、彼女のことを見上げた。
「なな、なんだよ、あらたまって」
「ノイキャンの調子はどないや?」
「あっ、うん」頷くと、アキラはニコっとわろた。「サイコーだ。必要な音だけ、めっちゃ聴こえる」
そりゃ良かった。
オレはそないなふうに頷いて、すっくと立ち上がった。
アキラっちんこと見下ろす。
背が高い女のコやけど、オレよりはぜんぜん小さい。
「アキラっち、どうか向こうを向いてくれへんか?」
「ななっ、なんだよ、いきなり」
「ええから、背中向けてくれ」
アキラっちは不思議そうに眉寄せたんやけど、言うこと聞いてくれた。
あとは簡単。
オレはその背中に右手を近づけて、片手で器用にブラのホック、外したったんや。
「うひゃあっ!!」と素っ頓狂な声でアキラっち、そりゃまあ、ビックリするわな。
あっはっは。
――と、オレは大笑いかましながら教室へと向かう。