沼確バイン!!~エグいかわいいボーイッシュJKをメッチャやさしく攻略してみる~ 作:XI_01
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昼休み、二人で昼飯食べてた。
メインディッシュは焼きそばパンで、アキラっちもそう。
アキラっちはうまそうに頬張りやるとにこにこ笑いながら咀嚼しやる←かわええ
天気が良くて、抜けるような青空とはこのこと。
まだまだ暑い盛りなんやけど、首筋を撫でる風はけっこうイケてる。
「聞いてくれよ、イクミ」
「なんやぁ?」
「映研を名乗る先輩から映画に出てくれないかって頼まれたんだ」
「ほぅ、映画」
「そうなんだ、映画なんだ」
オレは真っ先に「ギャラは?」と訊ねた。
「うげげっ、おい、下品だぞ、それはおまえ、イクミ」
「対価は重要や。時間くれてやるんやさかい、なおさらや」
「お金の話は聞いてないけど……」
「役どころは?」
「それも聞いてないけど……」
阿保かおまえ。
オレがそないに指摘したると、アキラっちはぷくぅってほっぺ膨らまして。
「仮に下着になってくれとか言われたらどないすんねん」
「そそ、そんときゃ断るよ。水着でもダメだ」
「その言い方からして、とりあえずは引き受けたろうっちゅうんか?」
「先輩の頼み方、すっごく必死だったし、だったら無下に断るのも……あっ、でもおまえがやめろって言うんだったら――」
「やめろとは言ってへん」
「そ、そっか、そうなのか……」
なんや、アキラっちはしょんぼりした顔見せやった。
「しかしやな、アキラっちよ、オレは思うわけや」
「う、うん。何を思うんだ?」
「なんで根暗野郎どもは揃って映画なんて大それたもんを作りたがるんや?」
「夢でもあるんじゃないのか? そうでなけりゃあ思い出作りだ」
「きしょー。ワンパターンすぎるやろぉ、きしょー」
「かもしれないけど、きしょーの連発は良くないと思うぞ?」
せやけど世の中のどうでもええラノベやマンガの作者は途中で主人公グループに映画を作らせたがる。
気色の悪い陰キャのノリで、まったくもって、「きしょー」って思うんやけどな。
「ま、せや言うたかて、オレも陽キャってわけでもないんやけどな」
「たしかに陰キャ的なイベントにも思えるなぁ」とアキラっち。「それに、あたしが知ってる限りだと、ワンパターンなのもそのとおりだ」
「せやろぉ?」
「やめとくか?」
「おうよ。やめとけや」
おまえが言うならやめとく――と、アキラっちはまるで照れくさそうにてへへと笑い。
「とはいえ、興味はある」
「ど、どっちなんだよ」
「おまえのカレシとして話くらいは聞いたろうっちゅうわけや」
「かかかっ、カレシとして?! オッケーだったらカレシとしてオッケーを出すのか?!」
放課後、行ってみようや。
どうせ来てくれ言われてんねやろ?
「まあ、そうなんだけど……」
「くどいようやけど、話くらいは聞いたろうって言うてる」
アキラっちは難しい顔して俯いたんやけど、そのうちこっちのことを見るとにこってわろた。
彼女いわく、「おまえと一緒なら安心だ」とのことらしい。
おまえはスケベだけどイイヤツだからな――そういうことらしい、事実とは言えスケベは余計やけどな。
ガッコやからぎゅって抱き寄せたり、うふふって身体ぁ寄せ合うわけにはいかへんさかい、それらの行為は自重した。
「ところでや、アキラっち、最近、パンツルックばっかやな」
「だ、ダメか? スカートのほうがいいか?」
「いや、オレのためにナマアシとってくれてるんやろうって思うさかい、逆にめっちゃ萌える」
「か、考えすぎだっ」
「えっ、そうなん?」
「いい、いや、そういうわけでもないんだけど?」
アキラっちは顔を真っ赤にしやると、そっぽ向きやった。
「い、意地悪なんだ、おまえは」
オレは高らかに笑い飛ばしたった。
「安心しぃや。アキラっち以外のこと、好きになるはずないんやさかい」
「でも、あたしよりイイ女なんて、この世に五万といるんだろうしさ」
「せやったら、オレよりイケてる男も五万といるんやろぅ」
「そそっ、それは絶対にない、絶対にないぞ?!」
理屈としてはようわからんけど、そないなふうにおもてもらってるんなら、それはそれで幸甚や。
「よっしゃ。放課後が楽しみになった」
「ああ、そうだ、どうあれ付き合ってやってくれよ」
そない言われたら、カレシ然と振る舞うしかないやろうが。
*****
映研の部屋。
なんや、暗い。
なんやわからへんねんけど、窓を黒いカーテンで覆いつくしてやるからや。
そのへん、すでに意味わからんさかい、オレはおろか、左隣の椅子の上のアキラっちまで眉を寄せてるっちゅうわけなんや。
「部長さん、で、いいですか?」オレは正面の椅子に座ってやる丸眼鏡の生徒にそないに訊いた。
「い、いいよ、たしかに僕は部長さんだ、ははっ」フランクなように見えて、ビビッてやるように映る。
まあ、目ん玉まで白い気色の悪いアルビノのオレと相対してるわけや。
心底しんどいことこの上ないやろう。
「高校生で映研とか、すでに気持ち悪いんですけど?」オレは思うところを真正直に打ち明けた。
「そ、それはどうしてだい?」とは部長さんのお言葉。
「無意味に背伸びすんなって話です」
「だ、だから、それはどういうことだい?」
「おまえみたいなんはワンパターンすぎるっちゅうてんねん。映画撮りたいとか意味わからん。つまるところオナニストなんか、おまえは」
意識してけっこうひどい言葉を並べ立ててやったわけで、そったらさすがに部長さんも頭にきたようやった。「……僕の考えはもっと高尚だ」とか、低く沈んだ声ながらも言うてくれた。
「高尚やとした場合、せやったらアキラを起用する理由は? なんでアキラやねんな。えっらい美人さんやからか? それならそれで、オレはおまえんこと軽蔑するしかないんやぞ」
「そうじゃないっ」部長さんは力強くかぶりを振った。「僕の考える作品――その主役にアキラさんがピッタリなんだ!」
オレはじゃっかん憤る。
せやさかいその旨、言葉にしたることにした。
「おい部長さん、おまえごときが気安くオレのツレの名前呼んでんちゃうぞ」
「……ぐっ」
「そのへん配慮した上で物言えや。あんまりオレをムカつかせんな」
アキラっちが、不安そうな顔で見てきた。
そこまで言わなくても……。
そんなふうにでも言いたげだ。
せやけど――と翻して、オレは言う。
「百二十歩ほど譲ったろう。だけどや、どう考えたって映画撮りたいとかっちゅうありがちな行動はえっらいサムい」
「そんなの、きみに言われることじゃない」
「阿呆が。既存の枠からはみでてみようとは思わへんのか? ステレオタイプな男なんて後ろから刺されて死んだらええ」
「今、ひどいことを言ってるんだぞ、おまえは……」
「おぉおぉ、ここに来て泣くんかいな。そない情けないならとっとと諦めて顔引っ込めろや。ホンマ弱いな、気色悪い」
さて、ほな帰るぞ、アキラ。
オレは椅子から腰上げて、左手でアキラっちの右手を握った。
とっとと部室を後にする。
廊下に出ても、アキラっちはちょい抵抗しやる。
「何も、あそこまで言わなくたってさ」
――と、いうことらしい。
「何かしたい、やりたいことがあるんやったらもっとはっきり言うたらええやろうが。それができへん時点で、オレはアイツんこと――部長さんのこと見損なうしかなかったんやよ。気合いと漢気がある野郎なら『あるいは』とも考えた。せやけど、あんな奴にオレのアキラっちはレンタルすらできへん」
「き、厳しすぎるぞ、イクミ、おまえは」
「おまえのことやさかい、厳しくもなるんや」
「それはわかってるんだ。だ、だから、ありがとう……な?」
「かまへんさかい、困ったとしてもオレについてこいや。誰より愛したるさかい」
ゆっくり追いかけてきたらしいアキラっちが、オレに追いついたところで、オレの左腕にしなだれかかってきた。
「あたしは馬鹿だ。映画とか、そんなのに誘われて、いい気になってたのかもしれない」
「べつにそれはそれでええんやよ。せやけど、つまらんのに捕まるんはやめてくれや」
「う、うん、わかった。っていうか、わかっているんだ」
「キスしたろか?」
「だだっ、ダメだ、ここは学校だぞ?!」
そのとおりやなぁとか考えながら、一階に下りて、昇降口を出て、アキラっちと手ぇ繋いで歩く。
「きょ、今日も待っててくれるんだよな? 店の脇で、待っててくれるんだよな?」
「おぅ。22時まできちんと待ってたるぞ」
「あっ、でも、おまえはおまえで仕事があるんじゃ――」
「それこそ、店の脇でこなすわ。ノートPCでエッセイ書くだけやさかいな」
「……ごめんな?」
阿呆め。
謝る必要なんて、いつだってどこにだってない。
「今夜は夜のタイヤ公園、攻めたろうや」
「いいけど、あはは、攻めるってなんだよ」
「泊まりに来てもええんやぞ?」
「ああ、そうしよっかな」照れくさそうに、アキラっち。「ホント、何も怖がることがないんだからな」
アキラっちに会えたんは奇跡や。
たぶん、アキラっちもオレに対して、そないなふうにおもてくれてる。
「おまえとはこれからも、一緒にしたいってことがたくさんあるんだ、山ほどあるんだ」
「オレもそうやよ。アキラっちとだけしたいことが、メッチャある」
アキラっちとの関係はメビウスの輪みたいに続けたい。
ヒトの生き死にに際限はあるんやろうけど、せやったらせやったで、限界まで彼女と一緒の関係を続けたいんや。