沼確バイン!!~エグいかわいいボーイッシュJKをメッチャやさしく攻略してみる~ 作:XI_01
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さっちんとみゆきちは思いやりに溢れてるって感じなんや。
両者抜きで、教室、オレはベランダ側のアキラの机に椅子寄せて、奴さんと二人きりで昼飯食べてるっちゅうわけや。
アキラっちの「なあ、おまえ、その左肩はどうしたんだよ?」という、なんともつっけんどんな言葉。
せやけどメチャクチャ気遣ってくれてんのはわかる。
ホンマに、アキラっちが心配そうやからや。
「ま、問題あらへんわ」
「ほ、ホントか? ホントにホントか?」
「アキラっちはつくづくメチャクチャ優しいなぁ」
「そそ、そんなことはないんだぞ。あたしはただ、ただ……ああ、なんて言ったらいいんだろう」
オレは黙って購買でこうた焼きそばパンをぱくぱく。
アキラっちは魅力的で、また整然とした弁当食べてる。
「その肩は、ほんとうに問題ないんだな?」
「めっちゃ痛いけど、まあそやな」
「い、痛いんだったら、慰めてやってもいいんだぞ……?」
「すんげー嬉しい申し出。せやけど、だいじょうぶやってば」
「うぅ、ううぅぅぅ……」
「なんや? 実際はオレの傷、舐めてみたかったとか?」
そんなんじゃないやい。
そんなことないやい。
アキラは強がるようにして、そないなふうに言ってのけた。
「今日はつきおうたんぞ。オレは手ぇ空いてる。プロの物書きやないんやしな」
「好きなときに好きなだけ遊んでやろうっていうのか?」
「金が伴うってのは、プレッシャーがかかる」
「それが仕事ってもんだろ?」
「かもしれへんけど、今日はおまえにつきおうたるわ」
おまえとか、偉そうに……。
憎たらしげにそない言うてくれたけど、すぐに「にひひっ」とわろたあたり、オレのこと、べつに悪い奴やとはおもてへんねやろう。
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今日はどこにつきおうたったらええ?
「それは教えてやるけど、だからって馬鹿にすんなよな」
「何も聞かされてへんうちに馬鹿にしたりはせーへんけど」
たまに訪れるイベントなんだ。
アキラっちはそないなふうに言うて。
「イベント?」
「ほ、ほら、おまえももう気がついているんじゃないのか?」
「ってぇと」
「私がお金をどうやって使っているか、おまえは知らないはずだぞ」
確かにそのとおり。
金遣いが荒くないのも知ってる。
せやさかい、貯金が趣味なんやくらいにおもてた。
せやけどここまでの流れやと、そういうことでもないらしい。
せやったらアキラっちは家業のバイトで稼いだ賃金をどこにつぎ込んでやるんやろう。
「どこに金使うんが趣味なんや?
「わわ、笑わないか?」相変わらず照れくさそうで、やっぱりどもりやったアキラっち。
「お、おまえだから話すぞ。そうである以上、口外するのはいけないんだぞ」
「そのへんは約束したるけど。いったい、おまえは何が好きなんや?」
するとアキラっちは下ぁ向いて、ほっぺ染めて、恥ずかしそうに、「……一番くじ」っていよいよ恥ずかしげに言うたんや。
「は? 一番くじ?」
「ししっ、知らないわけないだろ? コンビニで引く、あれだ」
「あああぁぁ、なるなる。おまえはそこに価値を見てるっちゅうわけやな」
「わ、悪いかよ」
「先方に搾取されてる気がするなぁ」
アキラっちはプンスコ、怒った顔をして、「そんなことないやい、そんなことないやい」って繰り返した。
「まあええわ。目当てのくじは一回いくらで、いったどないなもんが欲しいんや?」
「くじは790円だ。でもって欲しいのは五条悟だ」
五条悟は聞いた覚えがある。
特に女子について万人受けする某漫画の派手な登場人物や。
「フシグロパパとの戦いにおける、宙に浮いたときの天上天下唯我独尊のポーズなんだ」
アキラっちは愉快そうに「うふふふふ」ってわろた。
「つぎ込むんか」
「ああ、あたしは一番くじの攻略法をご存知なんだ」
「それは?」
「当たるまでやるんだ」
胸張って自慢げに言うことやない。
まったくもって、馬鹿の理論やな。
フツウのヒトの理屈やないな。
「付き合うか? 近所のブンブンに行くだけだけど」
ブンブン。
言わずもがな、セブンイレブンのことや。
「やってやるぞ。あたしは当たるまでやってやるぞ」
阿呆がほざく阿呆な物言いでしかないんやけど、まあ、本人が良い言うんなら。
「負けても泣くなよ、アキラっち」
「負けないんだっての。くじを全部買おうっていうんだからな」
妙に頼もしい。
金の使い方としては刹那的でどうかって思うんやけど、まあそういうんもアリなんやろう。
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アクリルボードとかマグカップとか、少々ハズレを引いたものの、最終的に、アキラっちは五条悟のフィギュアを手に入れやった。
「おぉぉ、おぉぉぉぉ……」アキラっちはうっとりした表情。「五条悟、やっぱり綺麗だなぁ、美しいなぁ」
「そりゃ五条悟なんやさかい、当然やろ?」
「夏油くんでも、じつは良かったんだ」
「振れ幅デカすぎんぞ」
「彼は彼で、ニヒルなところがたまらないんだ」
まあ、ヒトそれぞれ、いろんな評価があってもかまへんやろう。
「ちゅうても五条悟、聞いたことはあるんやけど、作品自体はそこまで詳しく知らへんわ」
「だったら馬鹿だな、おまえは。人生、損してるぞ」
「そうなん?」
「そうなんだよ」
ホンマにそうなんかねぇ。
ともすればひどい言い方であるようにも聞こえるんやけど。
「マジ嬉しい。めっちゃ目立つところに飾ってやろう」
「五条悟はアルビノなんか? 髪白いし」
「だったらなんだっていうんだ?」
「いや、オレと一緒やなって」
馬鹿言え。
五条悟のほうがずっとイイ男だぞ?
そないに言うと、アキラっちは高らかにわろて。
オレははぁって溜息ついて、並んで歩いてるわけやけど、それなりに凹んでみせた。
そったらアキラっちは慌てたように、「ううう、嘘だぞ? 冗談だぞ?」――。
「何が冗談やって?」
「おまえは五条悟に負けず劣らずの美男だってことだ」
「ホンマにそう?」
「い、いけないか?」
アルビノは軒並み美観に優れてるんかもしれへんな。
せやけど、ひ弱やし、日光にはめっちゃ弱いっちゅう。
「オレはずっとアキラっちと一緒におりたいさかい、好意的に捉えてもらえると、そりゃかなり嬉しいこっちゃな」
「だ、だろ?」
「俺かて嫉妬くらいするさかいな?」
「だだっ、だから他の男を褒めるなんて、無茶苦茶冗談なんだい」
せやったら、愛を感じるよりほかにないな。
「よっしゃ、わこた。次のおまえの誕生日には、オレも欲しいもんが当たるまで、くじ引いたろ」
「それは嬉しいけど、爆裂的な投資になるかもしれないぞ?」
「そのために金、貯めとこう思う」
「そ、そんなの悪いよ」
「オレが好きでやることにケチつけんな」
アキラっちは顎引いて、若干身も引いて。
「イクミ、おまえ、時々、物言いも態度も乱暴だぞ?」
「オレんこと気に食わんなら、離れたらええ」
「ひ、卑怯だ、おまえは」
「男はそれくらいのほうが、ちょうどええんやよ」
アキラっちは頬を染めると、顔を俯けて。
「今日は弁当、食べにきてくれるか……?」
「生徒会の活動には呼ばれてへんし、伺ったるさ」
「あ、ありがとう、な?」
気にすんな。
そないに言うて、オレはアキラっちの頭を乱暴に撫でたった。
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アキラっちが看板娘を務める弁当屋。
弁当だけこうて外で食べるつもりやったんやけど、アキラっちの家族に家ん中に導き入れられた。
あなたはイイコだから。
それがアキラっちのママの言葉やった。
22時になって仕事がはけたらしく、熱い緑茶飲んでる最中に、アキラっちが戻ってきた。
ふぃぃと息を吐きながらエプロン外して、オレの前の席に座ったんや。
「ごめん、待たせた。ホント、ごめん」
「アホかぃ、謝りなや。一生懸命の労働や。オレは偉いなぁっておもてるぞ」
えへへ。
えへへ。
照れくさそうに、アキラっちは右手で頭ぁ掻いて。
「弁当屋は繁盛してるかぁ?」
「会計の詳しいところは知らない。でも忙しいから、けっこう儲かってるんだと思う」
「たしかに、ぎょうさんお客さん来てるもんなぁ」
「この寂れた商店街にあっては稀有なことだと思うんだ」
「そりゃけっこう」
「ホント、そのとおりだ」
とと、ところでイクミ。
激しくどもってアキラっち。
「あ、あたしの部屋に、寄っていかないか?」
「あれ? 前に上げてもろたこと、なかったっけ?」
「そ、そのへんはあたしも覚えてない。ただ、今日はどうかなっていうだけで……」
「断る理由がないな」
「ほ、ホントか?」ぱぁっとアキラっちは明るい顔。
邪魔したる。
オレはにこりとわろて。
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オレんちにあるそれみたいや。
まぁるいちゃぶ台を挟んで、オレとアキラっちは向かい合ってる。
所狭しとフィギュアが並んでる部屋やった。
これくらいしか趣味がないんだよ。
苦笑い交じりに――そういうことらしい。
棚を見まわして見つけた。
「フィギュアだけやないんやな。ガンプラあるやん」
「おぉ、わかるのか?」
「RX-78GP03『デンドロビウム』」
「おぉーっ、型番まで知ってるとかっ」
デンドロビウムはいっぷう変わったモビルアーマーや。
印象的なフォルムのせいで、いっぺん見たら忘れへんねわ。
「高いプラモやったやろ?」
「うん、散財した」アキラっちはわろた。「でも、どうしても欲しかったから」
「センスはええ思うぞ?」
「だろ? えへへ、えへへ」
アキラっちは「完成品だけど、今度はタチコマを買おうと思ってるんだ」――。
ホンマ、まったくええ趣味してる。
たかが趣味のファクターってだけやけど、もっと愛せるような気がした。
ちゃぶ台を迂回して、アキラっちの後ろに回り込む。
腰下ろすなり、後ろからアキラっちの腹に両腕を巻きつけた。
「ひゃあぁ、ひゃあぁ……」
アキラっちは照れくさそうに、そないな感じで口利いた。
胸を持ち上げるように、両腕の位置を上げる。
バインバインやさかい、メッチャ重い。
「へへ、変態めっ」
オレはにぃとわろてから、「ところでさ」――。
言いつつ、アキラっちの右耳に唇を寄せた。
「な、なんだよ?」
「近々、弁当の作り方、レクチャーしてくれや」
「そそっ、そういう物言いは嬉しいんだけど、焦らなくてもいいんだぞ?」
「まあ、そりゃそうか」
「そうだよ。まずは高校生活を満喫しようぜ」
アキラっちは他の男に取られたりせーへんやろう。
オレはメッチャええ男やさかいな。
「それはそうなんだけど、だったら逆はどうなのかってさ……」
「ああん?」
「あたしは比較的、フツウの女子じゃんかよ」
「いや、フツウやないぞ。めっちゃバインバインなんやから」
「だだだ、だからバインバイン言うな。結局おまえの目的はそれだけなのかっ?!」
愛は行動で示すしかあらへん。
後ろから、しばらく抱き締めてた。
アキラっちは「なんだかくすぐったくなってきた」って、わろた。
清々しく、また気持ちのええ時間やった。