沼確バイン!!~エグいかわいいボーイッシュJKをメッチャやさしく攻略してみる~ 作:XI_01
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歴史と気高さを誇る渋谷のタワレコ。
濃密すぎる付き合い続けてるさかいいちいちデートやって表現するつもりはあらへん。
最近、もはや「夫婦」になったくらいにおもてる、極限までにツーカーやっちゅうことや。
ツーカーなんやけど――。
それにしても、アキラっちはなんでCDなんていう時代遅れの物理メディアを欲しがるんか。
論理的なサブスクのほうがずっとずっと現代的で便利やろ?
「CD持ってるほうが、ああ、あたしは世の中の大多数とは違うんだって思えるじゃんかよ」
言いたいことはわかるんやけど、やっぱ前時代的すぎてやな――。
「で、何を買うねんな?」
「あたしの部屋のコレクション、知ってるだろ? そっち方面だ」
「『ミセス』をコンプするってか?」
「そうだ。モトキくん、ラブだ」
「妬けるわぁ」
「だろ?」アキラっちはけらけらわろた。
んで、それだけなんか?
――って、オレは訊ねた。
「あとはジャズだ」
「ジャズ? おまえの部屋にそんなんあったっけ?」
「あるぞ? あるんだぞ? ジャズはいいぞ? カッコいいんだぞ?」
単純かつ、フィーリングで生きてるに違いないアキラっちがジャズとは。
むしろ感覚的なニンゲンやさかい、なんとなくわかるってことなんやろうか。
「スティーブ・キューンはいいぞ。あとはブラメだ、ブラッド・メルドーなんだ」
あいにく、どっちも耳にしたことすらない。
アキラっちは結局、ジャズのCDばっか三枚も買った、計7500、決して安い買い物やない。
「ずっと聴けるからいいんだ。いいスピーカーがあればサイコーだしな」
まあ、そうかもしれへんな。
かなり吟味してやったけど、満足いく品をゲットできたからやろう、アキラっちはご満悦や、「うふふ、うふふ」って笑いやる。
――と、店から出たところでのことや。
知り合いとばったり会ったんや。
ガッコの教室ではオレの右隣の席が定位置のクボタ――久保田ダイスケくんと、彼の左隣の美少女は、たしかカノジョの山口ジュリちゃんや。
「よぅ、知った顔や」口火切ったんはオレや。「お二人さんも、アンチ・サブスクなんか?」
山口さんは目ぇぱちくりさせて、久保田くんはっちゅうと柔和な表情浮かべて「まあそうだよ」――。
「アキラは何を買ったんだ、って、あっ」久保田くん――ダイスケくんはミスったみたいな顔した。「悪い。古いクセみたなもんだ」
どうやらクボタはアキラっちのことを「アキラ」って呼んだことについて謝罪したらしい。
そったらアキラは「べつにいいぞ、下の名前でも。そう呼ばれたらイラッてくる奴もいるけど、おまえはそうじゃないからな」――。
「でも、カレシさんが怒るんじゃないかってよ」
「ダイスケくんよぅ、そないちっさい男に見えるかぁ?」
いや、見えねーよ。
そないなふうにダイスケくんは応えてくれて――。
ダイスケくんとばっかコミュニケーションしててもなんやさかい、ジュリちゃんに目ぇ移した。
相変わらずの凄まじいモデル体型、オーラがあって、たぶんそれって敷居が高い芸能人みたいなんかがまとうめっちゃ高潔で尊いもんや。
「そないな彼女より背ぇ高いんやさかい、ダイスケくんはさすがやな」
「いきなりなんの話だ?」
「こっちの話や」
「おまえのほうがのっぽだろうが」
「いつも誰にもそない言われるわ」
でもって、アキラっちかてジュリさんと同じくらいなんやねんけどな。
アキラっちのほうがずっとずっと胸がデカいってのは秘密……。
「ここで会ったのもなんかの縁や。一緒にどっか行かへんか?」
「率直に言っちまうけど、馬鹿なのか、犀川、おまえは」
「あはははは、わこてるわ。恋人との放課後、おたがい、楽しく過ごしたろうさ」
ダイスケくんは「ははっ」って軽快にわろて。
「憎めねーよ、おまえはよ」
「せやさかい、アキラっちんこと、譲ってくれたんやろ?」
「違いねーさ」なおも笑顔のダイスケくん。「で、どこに行くんだ? もう日が暮れるぜ?」
そのへんは決めてへんさかい、アキラっちに「どないする?」って訊いた。
「しし、知るかよ。後は帰るだけじゃないのか?」
「ふぅん。せやったらその予測を裏切る格好で、もうちょい遊んでいこか」
「晩御飯でも食べるのか?」
「そうや。原宿行くぞ」
「えー、やだよぅ、人込みはヤだよぅ、めんどくさいよぅ」
「ええからついてこいってば。まずは22時過ぎまで待機――ラブホでご休憩や」
「えっ! えぇぇーっ!!」
アキラっちが驚くのも当然なんやけど、せやいうたかて、残念ながら、今夜は「その気」はあらへん。
「なっ、なんだよ。いったいどういうつもりなんだ?!」
「任せとけって。うまいもん食わせたるさかい」
「だったらまあいいんだけど……」
オレの左手を右手でぎゅって握りつつ、アキラっちは頬を赤らめやった。
オレらはくだんの二人とすれ違って、前に進む。
「ケンカすんなよ!」っちゅうのはダイスケの言葉。
「そっちこそな!!」ってオレは応えた。
おたがいにその心配はないやろう。
それが男子二人の共通認識やったに違いない。
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ラブホでの「ご休憩」中、アキラはベッドの端に腰掛けて真剣な眼差しでデカいモニタでエロビデオを閲覧っちゅうか凝視してやる。
「なんや、アキラっち、どういう心境の変化や?」
「勉強は必要なんだっ」語尾上げで力強くアキラっち。
せやけどあまりにも生々しい映像やさかい、アキラっちは時折、「ぐぬっ」って身ぃ引きやった。
「あ、あたしは喘がないぞ。あんあんあんあん、喘がないぞ」
「いや、なんの話や?」
「おまえのことをいたずらに喜ばせてはやらないぞっていう決意表明だ」
「殊勝なこっちゃ」
「そうだぞ。あたしは健気で真面目で実直なんだっ」
自分でそないに言う奴は、そないなことないって思うんやけどな。
リモコンつこてピッとテレビ消すと、アキラっちは「腹が減ったぞ」って言うた。「そろそろいい時間だ。いくらなんでも朝帰りだと、おまえは信用を失うと思うけどな」って続けた。
「任せろ言うたぞ。オレのプランに隙はないんやぞ」
「どこに連れてってくれるんだ?」
「もんじゃを食わせる店や。うまいんやぞ」
「おまえは大阪にルーツがあるんじゃなかったのか? なのにもんじゃって」
「とりあえず、行くぞ」
「あっ」
「なんや?」
アキラっちは照れくさそうに俯きやった。
じつは、スカート、持ってきてるんだよ……。
今日もパンツルックで、せやけどせっかくのデートなんやさかいオレのためにナマアシを披露するのはやぶさかやないってことなんやろう。
「ええよ、ズボンでも、オレにはその中身が筒抜けやさかいな」
「つつっ、筒抜け?」
「絶妙なボリュームの太ももがエロい。ふくらはぎから足首までのラインもたまらん」
「やめろぉっ、そういうことを生々しく言うなぁぁっ!」
顔を両手で覆ったアキラっち。
「行くぞ。つつがなく、案内したんぞ」
「うぅぅ、あたしはこのままでいいのかぁ? 犀川イクミとかいうニンゲンはただのエロのカタマリじゃあないのかぁ?」
「ええから」オレは右手を差し出して、「強く握れや」って促した。
「裏切ったら一生恨んでやるからなっ」アキラっちは右手で強く応えてくれた。
でもって――。
「な、なあ、イクミ。年頃の若人がラブホで何もしないって、逆に不健全じゃあないか?」
「そのとおりや」
「だだだっ、だったら――」
「アキラっちは欲しがり屋さんやなぁ」
「なななっ、なっ?!」
オレはエロいことばっかするけど、ただの助平やないぞ。
そうは思えないんだけど?
そないなやりとりののち、二人してホテルを後にした。
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とある花の名を冠した、お好み焼き、やきそば、もんじゃの名店や。
一回しか訪れたことがないさかい、今んとこ、オレはもんじゃしか知らへん。
それがあまりにもうまいもんやったさかい、最愛の女のコに共有してやろうって考えた次第や。
店内は混んでて、ビニールハウスみたいな空間に案内された――偶然、兄貴に案内された席と同じやった。
「お、おぉっ、鉄板だ、立派な鉄板だぞ」
どこで驚きやんねんな。
っておもて、オレははっはってわろてしもた。
メシのタネが入ったボウルみたいなまあるい器が運ばれてきた、二つ。
「作り方なんて、知らないぞ?」
「任せとけって」
兄貴の受け売りっちゅうか見よう見まねで作品をこしらえるようして――。
まあるく土手作って、焼きすぎへんように気をつけて。
出来上がった様子を見て、「おっ、おぉっ、うまそうじゃんか」とかやっぱりどもったアキラっち。
「食べていいか? っていうか、どうやって食べればいいんだ?」
「お好きなように」
「だったら、うん、好きにいただくぞ」
アキラっちは「いただきます」って手ぇ合わせると、オレの世界では「テコ」や、せやけど関東では「ヘラ」言うんか?
訊ねたところ、「ヘラだよ、たぶんヘラだ」とのこと――ま、どうやかてええわな。
ヘラですくって小皿で受けつつ、アキラっちははふはふと息を吹きかけてから食べた。
目、丸くしやった。
ビックリした顔を見れただけで、連れてきたった甲斐があったってもんや。
「なんだよ、これ。めっちゃうまいじゃんかっ」
「オレの腕のおかげや」
「尊敬だ」
「おおきにやわぁ」
アキラっちはヘラ使いまくって食べまくって、すぐに自分の分を片づけやった。
足りへんかったらしく、オレのヤツにまで容赦なくヘラを伸ばしてきやった、にこにこ笑いながら食べ続けやった。
まあ、やっぱり喜ばしたろうおもて伴ってきたったんやから、おいしそうに、しかもぎょうさん食べてもらえたなら御の字や。
店を出るとき――。
アキラっちは自分の分、出そうとしやったんやけど、奢ったるつもりがないなら連れて歩かへんわけや。
わ、悪いな。
心底申し訳なさそうに頭下げやったアキラっちやけど、ホンマ、気にせーへんでほしい。
そして、長い今日を締めくくる、帰路。
「竹下通り、歩いて帰んぞ」
「えーっ、やだよぅ、あんなヒトが多いとこぉ。どうせこんな時間でも混んでるんだろぉ?」
オレはズボンのポケット――ガッコの制服のズボンやさかいめんどくさいヒトに見つかったら咎められるに違いないんやけど――今んとこその気配はないさかい、アキラっちの右手を左手で引いて、前に進む。
いよいよ、竹下通りに出た。
「……へっ?」意外そうな、あるいはビックリしたみたいなアキラっち。「えっ、えっ? ヒト、まるっきりいないじゃんか。ここって竹下通りだろ? あの竹下通りだろ?」
「何回も言いなや」アキラっちのわかりやすいリアクションがおもろくて、オレは気分良くわろた。「天下の竹下通りもこないな時間にもなると、だぁれもおらへんくなるらしいわ」
「へぇぇ」アキラっちは飛びだすようにして前を行くとくるっと振り返って「あははっ」っておかしそうにわろた。「すごい、すごいぞ! 今、原宿はあたしたちのものだ!!」
なんとも大げさな物言いしやる。
せやけど、そう思うんもわかる、だってホンマ、オレら以外にだぁれもおらへんねんから。
「言うことがない一日だった。ホントにイクミ、ありがとうな!!」
心からそう言えるあたり――しかもそういうときに限って噛んだりどもったりせーへんあたり、アキラっちは出来がええ。
また来ような!!
ああ、そやな。
絶対、また連れてきたるわ。