沼確バイン!!~エグいかわいいボーイッシュJKをメッチャやさしく攻略してみる~ 作:XI_01
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なんや手持無沙汰やし、アキラっちも今日は「実家の手伝いという名のバイト」がないっちゅう話やし、せやさかい生徒会室にお邪魔したった。
豊かな茶色い髪にグリーンアイが反則的かつ奇跡的な美貌をお持ちの蝶野ミキ会長は、「おっ、来たね来たねっ」って喜んでくれたみたいやった。
「したほうがええことってありますかぁ?」
「今のところはないぞよ。ゆえに、まあ座りたまえよ」
オレはどっかりと、アキラっちはオレの左隣の椅子にちょこんと。
蝶野会長以外の生徒会メンバーも勢揃いで、せやけどそれぞれがおのおのの役割に徹し、おのおのの仕事に取り組んでやる印象。
桃色髪のメメたそは目をかっと見開いたまま、旧世代における高橋名人よろしくの速さと激しさでノートPCのキーボード叩いてやる。
その様子を、あるいはその内容を腰を屈めて見守っているのが、バリゴツい人類最強女子の獅子堂ネモちゃん。
飛鳥井くんはマイペースや、耳にでっかいヘッドフォン当てて、ゆらゆら身体を左右に揺らしながら、思い出したようにマウスを操作しやる。
長いテーブルの端に腰掛けてやった会長が勢い良く床に下り立った、どだんっっちゅう、すっごい音がした。暇潰しをソシャゲにでも充ててたんやろう、面食らったみたいにアキラっちは「うひゃあっ!!」って素っ頓狂な声上げながら椅子ごと後ろに倒れそうになった。そこは当然、すかさず支えてやったオレ、右手一本で椅子の背もたれごと、アキラっちを現状に復帰させた。
「オレのツレんこと、あんまり驚かさんといてくださいよ」
「この程度のことで驚いたりしていいのかなぁというのが私の疑問。だって犀川イクミのカノジョなんだから、それ相応じゃないと、ね」
会長、あんた、ド直球で疑義? ――をぶつけてきやったな。
言い返したれや、アキラっち。
そないなふうには思うんやけど、ま、キツいわな、誰とでもとにかく仲良うありたいんがアキラっちなんやさかい。
「ところで犀川くん、きみはこないだ、七尾アキラさん――アキラっちのことを北海道に案内したのだよね?」
「ええ、まあ、はい、あらためて言われんでもそないお伝えしたつもりですけど。――で、それがいったい、なにか?」
「これからの時期、たとえば冬の札幌なんてどう?」
「えぇぇっと、まあ、寒いですね」
「寒さは嫌いです。苦手なの」
「それはそれでええとして、会長は何をおっしゃりたいんですか?」
勘の悪い男のコだなぁ。
会長は「私はプンスコなのです」、そないなふうに言うたら眉寄せて。
「次に北海道に向かう際には必ず連絡しなさい。会長命令です」
そこにどないな事情があるんか、あるいはそこにはなんの理由もありゃせーへんのかもしれへんけど、とにかくアキラっちは驚きと不満さが入り交じったニュアンス――「えーっ」って声ぇ上げやった。
「アキラ、もといアキラちゃん、あるいはアキラっち、私はきみたち二人の関係を悪く言うつもりはないのだよ」
「だ、だったら会長は何が不満なんですか? と、そのアキラっちから言ってみたりするのですけど……」
「私は生徒会の代表として、きみたちの行動を追いかけたいだけなのだよ」
「行動を? 追いかけたい?」
「だって、きみたちと関わっていれば退屈なんてしないだろうから」会長は真っ白な歯を見せてわろた。「そのくらいは許容してほしいなぁ」
アキラっちは「不安定すぎますっ」とか、まるでこの国のJKの真実をさらけだすような真理性に富んだ一句を怒りながら述べた。
不安定。
ホンマ、その不確かな揺らぎこそ、女子高生のみなが孕んだ共通項、共通的な価値観やと思うんやけどな。
それは個性的で尊い概念なんかもしれへんけど、バッとぶっちゃけ言ってまえば、たぶんオレは、その不安定さすらコントロールできる。
「会長、どうですか? あたしの言ってること、何か間違ってますか?」
「間違ってはいなーいよ、もはや正解。――でもね?」
「でもねもひったくれもないです。会長にお仕置きって悪いことですか?」
知らず知らずのうちのことなんやろうけど、超絶珍しい、アキラっちが強キャラの攻めダルマになってやる。
オレは二人を引き離すべく、アキラっちのことをお姫様抱っこにて運んで、教室の隅に立たせた。
「なっ、なんだよ、これは!? 新手のイジメか?!」
そないなわけないやろーがぁぁ。
ちょっとのあいだ、黙っててほしいってだけや。
「ゆ、油断したら言いくるめられるぞ。会長は頭がいいんだからなっ」
「頭の良さでは敵わんかもやけど、信念の強さやったら遅れはとらへんよ」
「まぁたそうやって、イクミ、おまえって奴は、カッコつけやがるんだっ」
「ちょい会長とぶっちゃけトークかましたいって思うだけや、あかんかぁ?」
うっ。
ううぅ、ううぅぅぅっ……。
アキラっちは喉の奥から絞り出したみたな苦しげな声を発しやった。
ややあって、それから観念したように「いいよ、もう、ああ、いいさ」とか答えやった、サバサバさっぱりしてやるんや、実のところ、案外。
「言いたいこと、ぶち上げるぞ?」
「い、いいよ。好きに言えよ」
オレは腕を組み組み、それからアキラっちに「でもなぁ?」って呼びかけた。
「なんだよ、『でもなぁ』って。それなりに賢くてメチャクチャ強いくせに、おまえはどうしてときどき申し訳なさそうにするんだよ」
「もっと堂々としててええってこと?」
「違う。堂々としろって話だ」
一連の流れとして、アキラっちってば、まあまあええこと言うてくれたわ。
オレは会長の向かいの席――明らかに優れた質感の革張りの回転椅子に座った。
それから偉そうに脚、組んだった。
細身には違いないんやろうけど、オレは絶対的にガタイがええ。
オレが睨んだら、みんながオレんことについてビビりやる。
せやけど、それって相手が男やからってだけの話なんやろうな。
会長にはまるでビビった様子も身ぃのけぞらす感じもないんやさかい。
「邪魔をしようなどとは考えてないのだぞ? ほらそこ、きみだ、犀川イクミくんよ」
「邪魔していただいてもかまいません。あるいはオレと『カノジョ』との距離の縮め方に一役買ってくれるだけかもしれませんから」
「きみはかわいくないなぁ。私って、抱き心地がいいオナゴだと思うぞよ?」
「そういうセリフはオレに吐くべきやないですよ」
「でも、相手なんてほかにいないからねぇ」
「わかってるくせにって思います」
「なはははは」
男の飛鳥井くんは会長のことがメッチャ好きや言うてる。
女の獅子堂ネモちゃんかて女だてらに会長のことが大切や言うてる。
そのへんうまくやってくれやっちゅう話なんやけど、どうあれ会長はオレんことについて興味津々らしくってなぁ。
「アキラちゃんのどこに惹かれたの?」会長は革張りの椅子の上で改めて大げさに足を組み直しやった。「顔? それとも巨大なおっぱい?」
なななななっ?!
アキラっちはそないに目ぇ白黒させた。
「どっちもです」って、オレは正直に答えた。
そったらアキラっちはいっそう、「なななななっ?!」って取り乱しまくって。
「いいいっ、イクミ、しょせんおまえは最低だったんだな?!? そこらへんの男と同じくヘンタイだったんだな?!」
アキラっちがぐいぐい顔近づけてきたもんやさかい、オレは彼女の顔面を押し返すみたいにしてぐいって向こうにやった。
「手に入りづらいものほど、欲しいよね?」
「会長にとって、オレはそういう存在やと?」
会長は高らかに、あるいは朗らかにわろて。
「私にもプライドがあるから、そのへんは答えないでおこうかな、濁しておこうかな」
「それって、もう答え言うてるようなもんやって思うんですけど」
「私は生徒会長だからねぇ」
「それがなんやっていうんです?」
「人気者と一途な女。両立は難しいよねぇ」
そない言われたのを聞いて、いっぺんに合点がいった。
たかが「不安定」でしかないオレを含めた高校生っちゅうガキどものことを、会長は会長なりに、導こうとしてくれてるんやろう。
そう気づかされたから、「間違っても、会長んことは抱けへんなぁ」って言うてわろた。
そったら会長はおなか抱えて天井向いて、めっちゃおかしそうに笑い声上げて。
「この学校、
「それは重々承知してますよってに」
「いい学校に、したいんだなぁ」
「すでにええガッコですよ」
イクミくんは優しいなぁ。
会長はそない言うと、優雅な大人みたいな笑み浮かべて。
生徒会。
頭がええか小狡いヤツか、そないな連中が営んでるくらいにしか考えてへんかったんやけど、会長を含めた「彼ら」んこと見てると、そうでもないらしいな、少なくともそうやとは言い切れる、私利私欲の極みなんかもしれへんけど、じつは持ちつ持たれつ、がんばってやるんや。
立ったまま話聞いてたアキラっちがおもむろに――せやけど案外気持ちがええ感じで右手を差し出してきた。
オレがその手を右手で掴むと、アキラっちは強い力でオレんことを引っ立たせた。
「帰るぞ、イクミ、あたしには仕事があるんだ」
「ないっちゅう話やったやんか」
「急にできたんだっ」
イミフ(笑)
どのベクトルに関しても、アキラっちの閾値は低いなぁ。
まあしゃあないなおもて、右手握られたまま前に進む。
そったらや、会長がアキラっちにラガーマンみたいなタックルかました。
アキラっちはなすすべなく引きずられて、背中から壁にぶつかったところでその衝撃に「ぐへぇっ」って苦しみの一言を漏らしやった。
かなり強烈な一撃やったんやろう、アキラっちは言わば、ピヨッてやる。
「みみ、見てないで助けろイクミぃぃ……っ」
「いや、まあそうなんやけど、だいじょうぶか?」
「だいじょうぶじゃないやい。だから助けろって言ってるんだい」
その後、会長は身軽に身ぃ引いた――んやけど、アキラっちのダメージは深刻らしくって。
うぅうぅ唸りながら、果てはぺちゃんって座り込んでしもて。
オレは乱暴に手ぇ引いて立たせつつ、アキラっちのことを右の肩に担ぎ上げた。
アキラっちは明らかにビックリした様子で、「えっ、えっ?」ってビビったような、それでいて不思議そうな声上げやった。
「ちょっ、おま、イクミ、ここっ、この体勢で下校なのか?!」
「おぅ。家まで丁重に輸送したるわ」
「やめろぉ、下ろせぇぇっ、ヘンに見られるだろうがぁぁっ!!」
「オレとおまえの仲や。細かいことは気にすんな」
アキラっちはじたばた暴れやる。
廊下に出たところで、オレはいよいよ走り出した。
「やめろぉ、走るなぁっ!! めっちゃ怖い、めっちゃ怖いっ!!」
「弁当奢ってくれるんなら歩く方向で考えたるわ」
「奢る奢る奢ってやる! だから走るのやめろぉっ!!
へーんだ、やめたらへんわ。
オレはアキラっちんこと担いだまま、彼女の家まで一息で駆けてやろうと思う。
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アキラっちの部屋。
晩飯の弁当はよう売れたらしく、オレの好きな「めんたいのりから」は売り尽くされたみたいで。
せやさかい、オレのもとに運ばれてきたのはオーソドックスな「のり弁」やった、ま、ええんやけどな、ちくわも白身魚も尊いし。
「ううぅ、うーぅぅぅ……」
まあるいちゃぶ台の向こうにぺちゃんって座ってるアキラっちは、苦悩するみたいにして、両手で頭、抱えてやる。
「なんでだ? ってかズルいぞ、会長は。どさくさに紛れておまえのこと口説こうとしまくりじゃんか」
「ライバル、みたいなもんかぁ?」
「そ、そんな感じだけど、調子に乗るなよな。男なんてこの世の半分占めてるわけだし」
「ズルいっちゅうんは、なんでや?」
「だだっ、だって超絶の美人じゃんかよ。むむむっ、胸だって規格外だし……」
「いや、そこは明らかにおまえのほうがバインバインや、バインバインやろ」
「ばばばっ、バインバイン言うな、二回も言うな! この先一度とて口にするなっ!!」
弁当がうまいもんやさかい、どちらかといえばオレはそっちに集中。
「おぉっ、おまえからしたら、どうなんだ?」
「ん?」
「い、いや、だって、おまえはその、バインバインが好きなんだろ? そのバインバインが、目の前にある、っていうか、いるんだぞ?」
オレはおどけるようにして、肩、すくめてみせた。
「な、なんだよ、その煮え切らないリアクションは」
「オレはさ、会長んこと、好きやよ」
「ははっ、はぁぁっ?!」
アキラっちのメチャクチャびっくりした顔はめちゃくちゃおもろい、笑える。
「だだだっ、だったら会長のことをだだだだだっ、抱けばいいだろ?! ちょちょちょ、調子に乗るなよ、このクソ野郎ぅぅぅっ!!」
「いや、調子に乗ってるつもりはないし、っちゅうか、オレがホンマに会長んこと愛してるなら、とっくに、無理やりにでも、抱いてるわ」
「むむむっ、無理やりとかっ?! つくづくこのヘンタイめぇっ!!」
オレは尻を滑らしてアキラっちの隣にまで至って。
そったらアキラっちは敵対心もあらわにオレんことを「がるるるるっ!!」って見つめてきて。
「嫉妬深いのは嬉しいんやけど、アキラっちの立場からすれば、余裕かましてたほうがカッコええんやぞ?」
「いっ、いつかそんなふうなことを言うだろうとは思ってたんだっ、それができれば苦労しないんだっ!」
オレは優しさを心掛けて「ニコ」ってわろたつもりや。
「そんなら生徒会からは足を洗おうかね」
「えっ」
「ほら、辞める言うたら嫌がるやんか」
「い、嫌がってはいないぞ? べつにそれならそれでいいんだぞ?」
「ほなら決定。もうちょい連中と遊んだろうや」
顎を引いて、難しい顔しやるアキラっち。
アキラっちのええとこは、なんだかんだで最適解を導き出すっちゅう点に終始する。
「準備してきたし、泊まらせてもらうわぁ。風呂、借りてええ?」
「せ、背中、流してやろうか?」
「してくれたことないくせにぃ」
「こ、今夜はしてやりたい気分なんだ」
「ええよ、べつに。前に風呂、一緒に入ったしな」
やめろぉ、馬鹿ぁ、言うなぁ、おまえぇぇぇっ!!
アキラっちは両手で覆った顔を、オレから背けやった。