沼確バイン!!~エグいかわいいボーイッシュJKをメッチャやさしく攻略してみる~ 作:XI_01
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今日もガッコの屋上、秋も深まりまくってんのに、今日は殊の外、気温が高い。
アキラっちは弁当を食べ終えると、ポケットタオルで額の汗を拭いやった。
「提案や、アキラっち。ブラウスの前を開けて胸に空気を取り入れたらどうやろうか?」
「うるさいやい。あたしにはあたしのポリシーがあるんだい」
「ガッコではいたずらに肌を露出したりはせーへんんと?」
「あくまでもあたしはボーイッシュJKだからな」
その精神性は大切にすべきなんかもしれへんな。
とはいえ暑い暑い言うてたら、そのうち熱中症になってまうぞ。
「野球拳を提案しまぁす」いきなりのさっちん。「まあ、私たちがそんなことを始めれば男どもの目の保養になってしまうことウケアイだけど」
「ばばば、馬鹿言え」アキラっちが目を白黒させた。「言ったぞ? あたしの肌は無料じゃないぞ? むしろ高価なんだぞ?」
「イクミくんはさ、じつのところ、もう揉みしだいたの?」
「なっ! なななななっ!!」
さっちんの問い掛けに対してビックリしまくったらしいアキラっち。
「そのへんはまあええやんか、さっちん。とはいえ触りたいときはそれはもう、揉んでるけど」
「ばばばっ、馬鹿言うなっ。そんなの許した覚えもされた覚えもないんだぞっ」
「手におさまらへんサイズ感がもうエロすぎて。アキラっちのπ万歳」
「しししっ、死んじゃえ、おまえなんてっ!」
眠くなってきた。
そないなふうにオレは告げると、おもむろにアキラっちの太ももの上にお邪魔した、膝枕――。
そったらアキラっちは、「おまえはほんとうにもう。二人きりになったらひどいんだぞ……?」とかいじらしいこと言いやった。
なお、見上げたところでアキラっちの顔は見えへん。
なにせやっぱりデカいπが邪魔しやるからや。
オレは目ぇつむってたんやけど、そったらそのうち、アキラっちが「おい、お客さんみたいだぞ」――。
やわこいだけやなくてハリがあるアキラっちの太ももの上は居心地がええさかい身を預けっぱなしでいたかったんやけどそうもいかへんらしい、アキラっちは「対応しろ」とか、強く指示してくれた。
やむなく身体ぁ起こした。
緑色のジャケットにクリーム色のズボン。
明らかにウチの生徒らしい男子が立ってたんや。
のっぽとかやない、むしろチビ。
けど、いがぐり頭なんが、なんや好感が持てる。
「一年坊やろ? オレと同じや」なかば確信をもって訊いた。
「そ、そうっス」ちょいどもり加減ないがぐり男子。
「ホンマにオレに用事かぁ? 人違いやないかぁ? お初におめにかかるはずやぞぅ」
「よ、用事ッス。初対面なのは確かっスけど……。話、聞いてもらえないっスか?」
やぶさかやない。
ヒトに頼られんのはめんどくさいいっぽうで、なんやこう、ありがたいことやったりするしな。
「で、でもッス、お時間をいただくのは、放課後でもいいっスか?」
ん?
放課後?
「そのほうが都合がええんか?」
「は、はいッス。ゆっくり話したいんス。ダメっスか……?」
「いや、それはないわ、いがぐりくん。オレ、すでにきみんこと気に入ってるさかい」
「ここっ、光栄ッス」
「六時間目が終わり次第ここにおるさかい、まあ、来るとええわ」
オレがそないに応えると、いがぐりくんは大げさにぺこぺこ頭下げてから立ち去りやった。
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放課後。
曇天やったんが晴れた、気持ちがええくらい。
アキラっちの夕方は原則家の弁当屋の手伝いやさかい、今日かておらへん。
そんなこんなで、オレは屋上でさっちんと二人でおった。
みゆきちはみゆきちで、できたばっかの新しいカレシと逢引きらしい、あかん、逢引きとか遠慮なしに死語を述べてもうたぞ。
オレは地べたであぐらかいて、さっちんは膝崩して座ってやる。
「さっちんは優しいなぁ。オレの用事につきおうてくれるなんて」
「暇なんだよ、私。しばらく男も要らないしねぇ」
「反省してはいるんやな。メンタル・メルトダウンや」
そったらさっちんは「あはは」っておかしそうにわろて、「その件はもうカンベンしてよ。刹那の気の迷いだったってだけなんだから」っちゅうことらしい。
それはそうと――。
「さっちんよぃ、何があっても、オレらは恋人にはなれへんよな」
「そう? 価値観、そう遠くないって思ってるけど?」
「それでも厳しいな」
「なして?」
「そんな気がするんやよ」
さっちんはべつに不満そうな顔もせーへん。
そのへんのサッパリした性格は、けっこう、好きなんやけどな。
じき、予定どおりやってきたのはいがぐりくん。
近くまで来ると、「お、恐れ入るッス、犀川くん。まさかほんとうに待っていてくださるとは」言うて、深ぁくお辞儀しやった。
「おるわいさ。約束したんやさかいな」
「で、でも、自分はつまらない男子ッスから」
「それはこれから話聞いたうえで判断する。まあ座たってくれや」
恐れ入るッス。
ぺこぺこされまくるとこっちが恐縮してまうってもんなんやけど。
偉そうにどっかりとあぐらかいてるオレの1.5メートルほど先で正座しやったいがぐりくん。
礼儀正しいんにもほどがあるってもんや。
「で、オレごときになんの用やぁ?」
いがぐりくんは顔上げやると意外そうに目ぇぱちくりさせて。
「ごとき、なんスか?」
「ごときやろ。大した男やないんやさかい」
「そそ、そうは見えないッス」
「まあええわ。まずは名前や言うたやろ」
「こやすッス。自分はこやすッス」
「オレが考えるとおりのこやすくんなんやろうか」
「はい。恐らく間違いないッス」
ってことは、高確率で「子安くん」なんやろう。
「よっしゃ、固有名詞がはっきりした。本題や。子安くんの用事を訊こうやないか」
子安くんは言いにくそうに身体を左右に揺すった。
「なんやねんな、ようないぞ? 男がモジモジするなんて」
「じゃ、じゃあ、率直に言うッスね?」
「おう。そうしてくれや」
そったら子安くんは「じっ、自分、さっちんさんのことを愛しているッス!!」とかはっきりと、メチャクチャデカい声で言いやって。
マウントレーニアのカフェラテをストローでちゅーちゅーすすってたさっちんは「けほけほ」って咳しやった、突拍子もなかったから、気管に入ったんやろう。
「えっ? 私?」さっちんは珍しくホンマにびっくりしてるみたいや。
「そ、そうッス、さっちんさんッスっ」語尾跳ねで力強く子安くん。
あえて理由を聞こうとは思わへん。
さっちんは美人さんやさかいな、誰の目についてもいまさら驚いたりはせーへんわ。
「え、えっ? ひょっとして、本気で言ってる?」
「本気じゃなきゃ言わないッスっ!!」
さっちんがこっち向いた。
オレになんて言うて欲しいんやろうか。
「子安くんだっけ? でも私、そんなに大した女じゃないんだよ? だから純愛は良くないなぁ」
あかん。
それは悪手や、さっちん。
このシチュエーションで自虐したところで意味なんてないぞ。
「えー、マジかぁ」さっちんはなおも意外そうな様子や。
「だ、ダメッスか? 自分なんて眼中にも入らないッスか?」お伺いをたてるような視線の子安くん。
「まあ、そういうわけでもないんだけどなぁ。私、じつは見た目で判断するってわけでもないし」
「でも、自分じゃあ釣り合わないだろうとも……」
「だから、控えめすぎるところは気に入らないんだってば」
「すみませんッス……」
「謝んなってば」
お友だちから始められてはいかがでしょうか?
慇懃にオレは申し上げた。
「いいよ、それで」なんの迷いもないようにさっちん。「まずはLINEから始めよっか」
「えっ、えぇぇぇぇっ?!」子安くんのビックリ具合はきっと心底のもんやろう。「いいい、いいんスか?」
「嫌ならいいけど?」
「い、嫌なわけないッス!」
かくして二人は友だちになった。
スマホをジャケットの右のサイドポケットにしまうと、ふらふら後退してから正座の体勢に戻った子安くん。
明らかに夢心地みたいな雰囲気が感じられて、太ももの上に置いた手をぎゅっと拳のかたちにしやった。
「もう用事は済んだんちゃうんか? 帰ったら?」
「じ、自分は邪魔ッスか?」
「そない冷たいニンゲンに映るかぁ?」
「映らないっす。自分が帰らないと、お二人も帰れないッスよね」
「そういうこっちゃけど、まあええわ。理由でも聞かせてもらおかぁ」
「理由ッスか?」
「そういうこっちゃ。子安くんはなんでさっちんに惚れたんやぁ?」
そったらさっちんが、「私のカラダがいやらしく見えたとか?」なんてクスクス笑いながら訊ねやった。
「いいいっ、いや、まさか。けっけけけけっ、決してそんなことはっ――っ」
どもりにどもりまくったんや。
まず間違いなく、さっちんの指摘は正解っちゅうことやろう。
年頃の男子なんや、「ヤりたい」が何より先に立ったってまるでおかしなことはない。
そのあたりのことは本人が一番理解してるに違いないんやさかい、子安くんは押し黙りやったわけや。
「うぅぅっ、うぅぅぅぅ……お見苦しいところを、申し訳ないッス」
「そうでもないわ。正直なところは買えるんやぞ」
「そ、そうッスか?」
「そうやよ」
告られることはままあるんだけど、今回のはなんだか刺さったなぁ。
結局のところ、そないなふうに言うたさっちん。
「えっ」目ぇ大きくしやったのは子安くん。
「チャンスはあるって言ってるんだよ――なんて、失礼かな?」悪戯っぽく笑いやったさっちん。
おぉ、なんともええ雰囲気やないか。
百戦錬磨のさっちんが相手やと攻め落とすんは至極難しいんかもしれへんけど。
まあ、うまくいくと、面白いのに違いないわ。
さっちんに子安くん、そしてオレとで三角形を築きながら――。
「ところでや、新子安くん」
「あっ、はいッス。自分はただの子安っスけど」
「きみの初恋の相手がさっちんなんか?」
「じ、じつは、そうじゃないんス……」
「気に病むこたないわ。本音を言えるんは偉いんやぞ」
自分は綺麗な女性に弱いようなんス……。
せやさかい、それはべつに悪いことでもなんでもないやろうさ。
見た目だけで判断するとか良くないッスよね、最低ッスよね、ははは、は……。
いや、せやからそないなことはないんやってば。
まずは外見からでオッケーなんやってば。
「京急新子安くんよぃ」
「は、はい。自分はやっぱりただの子安っスけど」
「オレは応援すんぞ。男慣れしすぎなさっちんに必要なんはきみみたいなんが持つ純朴さや思うさかいな」
「恐れ多いッス」
「そないなこと言わんでがんばれや。前を見ーへんのは男やないぞ」
がんばるッス、がんばるッス!
素直な子安くんは、なんともかわいらしい。
立ち上がった子安くんは、階段室に消えるまでに二回振り返って、都度、ぺこぺこ頭ぁ下げやった、ホンマ、律義な男や。
子安くんが完全に去るのを見送ってから――。
「で、さっちんよぃ、きみはどこまで本気なんさ?」
さっちんは苦笑みたいな顔すると、「まだぜんぜん」言うて、首を横に振りやった。
「でも、ああいうのとの出会いは、今までなかったからなぁ」
「ホンマに?」
「ホントホント。私みたな軽い女に寄ってくるのは軽そうな男しかいなかったよ」
さっちんが幸せやとオレも嬉しいんやけど?
そないに言うたったら――。
「もう絶対に自分を安売りしたいなんかしないから。安心してよ、イクミくん」
「年頃の女のコなんや。不安定なんは理解してる」
「また何かあったら助けてね?」
「アホ。危ない真似はすな」
「はーい」
オレはさっちんとグータッチ。