※この作品はR-18です。

三宮三葉の反省ノート   作:三百柊

2 / 4
第2話

夕方。君月の鬼対峙訓練中。またここから20時間以上起きないだろう。

 

夜明かしの準備もそぞろに、三葉は優に質問する。

 

三葉:おい優、ちょっといいか?

 

優:ん、なんだ?

 

三葉:...おまえ、以前学校で吸血鬼から助けた女子に告白されたらしいな。

 

シノア:(早速すぎませんかねぇ・・・)

 

優:え、ま、まぁそうだけど... ポリポリ

 

三葉:なっ……本当にそうなのか!? で、お前はどう返事したんだ!?

 

急に食い気味に距離を詰めてくる三葉に、優は少し引き気味で後ずさりする。

 

優:どうって……『俺にはそんな時間ねぇ』って答えたけど、なんか手紙置いたままあいつどっか行っちゃったし、よく分かんねぇよ。

 

三葉:じ、時間がないから断ったのか……? じゃあ、もし時間が……その、時間があったら、付き合ってたのか……!?

 

優:はあ? なんだよ急に。付き合うも何も、俺は吸血鬼を倒すので頭いっぱいだし、そもそもそんなこと考えてる余裕ねぇよ。

 

三葉:っ……そ、そうか……! ならいいんだ!

 

(良かったぁぁぁ……! ちゃんと断ってた(?)し、別にその子のことが好きだったわけじゃないんだ……!)

 

あからさまにホッとした表情を浮かべ、胸を撫で下ろす三葉。

 

その横で、シノアは呆れたように肩をすくめながら、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

シノア:〜〜♪(相変わらず分かりやすすぎますねぇ、みっちゃんは)

 

**********************

 

シノア:でも優さん、告白されて照れてはいましたよね~? ニヤニヤ

 

三葉:なっ...!!

 

優:て、照れてねぇよ!! いきなり女子に呼び出されて意味わかんねぇこと言われたから動揺しただけだろ!!

 

三葉:ど、動揺って……やっぱり気になってたんじゃないか!!///

 

優:だから違うって言ってんだろ! なんだよ二人して、さっさと訓練の準備しろよ!

 

顔を真っ赤にして怒鳴り散らす優を見て、三葉の心臓は再びバクバクと激しく波打つ。

 

(照れてた……? 本当にちょっとは意識したってこと……!?)

 

シノアの意地悪な追い打ちに一喜一憂させられまくり、三葉は真っ赤になった顔を隠すようにそっぽを向いた。

 

シノア:ふふっ、優さんも必死ですねぇ。みっちゃん、追撃のチャンスですよ?

 

三葉:つ、追撃って何するんだよバカ……っ! 今のあたしの顔見たら速攻でバレるだろ……っ!

 

必死に息を整えようと胸に手を当てるものの、目の前で不機嫌そうに首の後ろを掻いている優の横顔を見るだけで、またしても頬が熱くなっていく。

 

シノア:あらあら、これじゃあ夜明かしの20時間、みっちゃんの身が持ちそうにありませんねぇ。

 

三葉:うるさい……! お前、あとで絶対覚えてろよ……っ!!

 

**********************

 

三葉:(...妄想ノートのやつ、今なら時間あるし、少し試してみてもいいか...?よし...)

 

三葉:ゆ、優!

 

優:んー?

 

三葉:これ、差し入れだ!! (ただの水)

 

優:え?...あ、ありがと?

 

シノア:(なんで私と与一さんの分は無いんですかねぇ) ニヤニヤ

 

与一:(三葉さん、わかりやすすぎるよ...)

 

優:……なぁ、三葉。ただの水なのに、なんでそんなに威圧感あんだよ?

 

三葉:い、威圧感なんて出してるか!? あ、あたしなりの気遣いだ! 黙って飲め!!///

 

優:お、おう……サンキュ。(ゴクゴクと水を飲み始める優)

 

(飲んだ……! ノートの通り『ありがとう』って言ってくれた……!!)

 

作戦(?)が第一段階をクリアしたことに、三葉の胸は高鳴る。

だが、当然のことながらシノアがその怪しすぎる挙動を見逃すはずもない。

 

シノア:みっちゃん? 訓練前とはいえ、優さんだけにピンポイントで『ただの水』を差し入れするなんて、なかなか露骨な贔屓ですねぇ?

 

三葉:ひ、贔屓じゃない! あいつが一番アホみたいに動いて喉乾いてそうだったからだ!

 

シノア:ふーん? じゃあ、反省ノートに書いてあった『作戦その二』に移るおつもりですか?

 

三葉:っ……!!? な、なんでノートのこと……っ!!?

 

シノア:…さっき落としましたよ、これ… スッ

 

三葉:なっ!えっ、え?!う、うそっ…??! ガクガク

 

シノア:私が拾ったから良かったものの…なーんで持ってきちゃうんですかぁ…

 

からかい半分、呆れ半分と言ったシノア。

 

三葉:〜〜〜〜〜〜っ!!!///(脳内が真っ白になり、血の気が一気に引きつつ一瞬で沸騰する)バッ

 

光の速さでノートを引ったくる三葉。

どうやら、部屋を出る直前まで書いていたせいか、間違えて持ち出してしまったらしい。

 

三葉:あ、あっ、あんた…どっどこまで…?/////

 

シノア:…濃厚なキスでしたね…?///

 

三葉:全部じゃないのよーーーっ!!??/////

 

優:ん? なんの話だ? ボーイ……なんだって?

 

三葉:ななななんでもない!! 優、お前は黙って水飲んでろ!!

 

優:急に怒るなよ! わけわかんねぇ!!

 

真っ赤になって取り乱す三葉の横で、シノアは「次は寝癖のくだりですかねぇ」と楽しそうに目を細め、与一は「三葉さん、ファイト……」と心の中でそっとエールを送るのだった。

 

**********************

 

三葉:(...シノアのやつにノート見られてたなんて...最悪だ...まあ自分が悪いんだけど…)

 

三葉:(でもあいつは煽るだけで、止めようとはしてこないな...)

 

三葉:(邪魔されないなら、次へ行ってみるか?...頑張れ、あたし...!)

 

三葉:...優。寝癖付いてるぞ(嘘) サワサワ

 

優:えっ、マジか!? どこだ??

 

意を決して優の黒髪に手を伸ばし、優しく撫でるように触れる三葉。手のひらから伝わる優の髪の感触に、三葉自身の心臓がドックンと大きく跳ね上がる。

 

優:……あ、ありがとう……?

 

突然の至近距離でのスキンシップに、優は一瞬目を丸くし、ほんのり頬を赤らめながらぽりぽりと頭を掻いた。

 

(き、効いてる……! 本当にちょっと照れてるじゃないか……!!)

 

手応えを実感し、三葉の顔は爆発寸前まで真っ赤に染まる。

 

シノア:あらあら、みっちゃんたら『作戦その二』まで順調に遂行中ですねぇ。

 

三葉:ひゃいっ!?///

 

耳元でニヤニヤと囁きかけてきたシノアに飛び上がりそうになる三葉。

 

シノア:ふふっ、この調子で『後ろから抱きついて指導』まで行っちゃいますか隊長??

 

三葉:〜〜〜っ! お、お前、やっぱりニヤニヤ見てるだけじゃなくて茶化してんだろ!!

 

優:なぁ、さっきから二人で何コソコソ話してんだ?

 

三葉:な、何でもない!! 優、寝癖は直ったからもういい!!

 

真っ赤な顔で必死に誤魔化そうとする三葉と、その背後で温かい(?)まなざしで見守るシノア。二人のやり取りを少し離れた場所から見ていた与一は、密かに「頑張れ三葉さん…!」と心の中で応援するのだった。

 

**********************

 

三葉:(3つ目、ほんとにこんなの、できるのか?///)

 

結局知りたくなってしまった。

 

彼がどんな反応を示すのか。

自分を魅力的な女だと思ってくれるのか。

 

三葉:(...どうせ優以外には気持ちがバレてるんだ。こうなりゃヤケだ...!)

 

三葉:...おい優、おまえちょっと、刀持ってみろ

 

優:へ?なんだ、手合いでもすんのか?

 

三葉:いや、違う、昨日見た時のフォームが変だったからな、あたしが矯正してやる。

 

我ながらかなり苦しい理屈だ。

 

シノア:(もはやセクハラ上司と大差ないですねぇ、みっちゃん...)

 

優:え、そうなのか。グレンに教えてもらったから、合ってると思ったんだけど...

 

三葉:...初心に帰るのも大事だぞ?ほら構えてみろ

 

優:お、おう

 

与一:(一体何が始まるの・・・?)

 

優:これがいつもの感じだけど... チャキ

 

三葉:...。(...行けるか?行けるのかあたし...!!)

 

優:...三葉?どうしたんだ?

 

三葉:...何でもない。...刀はな、こうやって構えるんだ/// ギュッ

 

優:うぉっ...///

 

自慢のGカップを優の背中に押し付ける三葉。

 

シノア:あら…

 

与一:わぁっ…

 

相変わらず鬼との対峙で寝続ける君月。まだ当分起きそうもない。

 

優:っっっ!? な、なんだよ三葉、けっこう近くないか……!?///

 

背中に当たる柔らかくて確かな感触に、優の身体がカチンコチンに硬直する。普段は無鉄砲な野生児の優も、さすがに脳内が大パニックを起こしているようで、一気に首筋まで真っ赤に染まっていく。

 

三葉:ひ、引き締めるんだ……! 脇を、こう……///(必死で腕を回しながらも、自分自身の心臓が破裂しそうなほどバクバク言っている)

 

優:わ、脇は締めてる! 締めてるから、その……ち、ちょっと離れろって! 刀振りにくいだろ!!///

 

三葉:おっおい、指導中だぞ! 動くなバカ!!///

 

(優ってば……顔真っ赤にして焦ってる……! あたしのこと、ちゃんと女として意識してる……!!)

 

妄想ノート通りの展開と予想以上の優のピュアな反応に、三葉の脳内にも大量の幸せ物質が分泌される。

 

シノア:ふふっ、みっちゃんたら『セクハラ上司作戦』大成功ですねぇ。優さんのあんなタジタジな顔、なかなか拝めませんよ?

 

与一:優くん、完全に固まっちゃってるね……(三葉さん、凄まじい勇気だ……!)

 

優:シノア! 笑ってねぇで助けろよ! 三葉が急にわけわかんねぇ密着指導してくんだよ!!///

 

シノア:いいえ? これは部隊の連携を高める大切な訓練ですから、優さんは大人しくみっちゃんの指導を受けてくださいね〜。

 

優:な、なんだよそれ!!///

 

三葉:〜〜〜っ! あ、あたしだって好きでこんな……! いや、指導なんだから黙って従えーーっ!!///

 

恥ずかしさと嬉しさと達成感が混ぜこぜになり、三葉は真っ赤な顔で優の背中にさらにしがみつくのだった。

 

**********************

 

三葉:…あっ、あれだ、ハニトラ対策にもなるから!!///

 

優:ハニトラぁ!? 吸血鬼がそんな手使ってくるわけねぇだろバカ!!///

 

三葉:わ、わからないだろ! あいつら頭いいんだから、女の仕掛けを使って油断させてくるかもしれないじゃないか! だから今から免疫をつけておくんだよ!!///

 

優:んなもん、引っかかるわけねぇだろ! ていうか、今の状況が一番油断できねぇよ……!///

 

あまりの苦しい言い訳に、優は顔を真っ赤にしたまま絶叫する。

 

シノア:ハニトラ対策、ですか。なかなか斬新な口実を思いつきましたねぇ、みっちゃん。ですが、優さんの顔を見る限り、効果は抜群で完全にハニトラにかかっちゃってますよ?

 

三葉:か、かかってない! これは訓練だと言っているだろ!!///

 

(でも……あいつの背中の熱が、心臓の鼓動が……直に伝わってくる……っ! あたしの方がハニトラにかかって爆発しそうだ……!!)

 

与一:優くん、顔がリンゴみたいに真っ赤だよ……。三葉さんのハニトラ訓練、大成功だね。

 

優:与一まで変なこと言ってんじゃねぇ! ほら三葉、もう指導は終わり! 離れろって!///

 

三葉:っ……! う、うるさい!リー… 副隊長命令だ、あと1分はこのままだ!!///

 

**********************

 

優:…おっ、お願い、ほんとダメっ、お願い!///

 

三葉•シノア•与一:…!!!/// キュンキュン

 

優の普段からは想像もつかない、あまりにもピュアで情けない叫び声が辺りに響き渡る。

 

三葉:(な……なになになに今の可愛い声ぇぇぇっ!? ギャップで心臓止まるかと思ったわバカ……っ!!///)

 

あまりの威力に限界を迎えた三葉は、真っ赤な顔で思わずパッと手を離し、その場に崩れ落ちそうになる。

 

シノア:〜〜〜っ! あらあらあら……普段は『吸血鬼ぶっ殺す』しか言わない野生児が、そんな声を出すなんて……不覚にもちょっとキュンとしてしまいましたよ……?

 

与一:う、優くん……そんな破壊力抜群な反応されたら、三葉さんじゃなくてもドキドキしちゃうよ……っ!

 

優:お、お前らなぁぁぁっ!! 人の反応で遊んでんじゃねぇぞっ!!///

 

背中の圧迫から解放されたものの、全身を真っ赤にした優は、刀を構え直すこともできずに頭を抱えて座り込んでしまった。

 

三葉:〜〜〜っ! べ、別に遊んでなんてないわよ! あたしはただ、真面目に……真面目にハニトラ訓練を……っ!

 

シノア:ふふっ、真っ赤な顔で震えているみっちゃんと、膝を抱えて顔を隠している優さん……なんという素晴らしい空間でしょう。君月さんが起きていたら絶好のツッコミ役だったのですが、残念ですねぇ。

 

三葉:起きてなくて良かったわよ!! あんなの見られたら一生バカにされるわ!!

 

一向に収まらない胸のトキメキを押さえつけながら、三葉は顔を伏せる優の姿を、チラチラと愛おしそうに見つめ続けるのだった。

 

**********************

 

優:…シノア!お前ちょっとこっちこい グイッ

 

シノア:え///

 

三葉:…え…

 

与一:(…ヤバそう…)

 

シノア:なななな何ですか優さん?!//////

 

優:三葉との間にいてくれ、落ち着くから

 

シノア:あ…

 

(近くにいたから引っ張っただけの優。別に与一でも良かった。)

 

優:ふぅ……これで良し。三葉がまた背後から襲いかかってこねぇように、シノア、お前が防波堤になれ。

 

シノア:〜〜〜っ! な、なんですかなりゆきで引っ張っておいてその雑な扱いは!/// 一瞬でも期待した私がバカでしたよ!

 

自分の手に残る優の腕の感触と、予想外の至近距離に顔を赤らめつつも、シノアは必死にポーカーフェイスを取り戻そうと扇子でパタパタと顔を煽ぐ。

 

三葉:なっ……! 優、お前防波堤ってなんだ防波堤って! あたしを害獣か何かみたいに扱うな!!

 

優:害獣よりタチ悪いだろ! いきなり抱きついてきてハニトラだのなんだの言い出すんだからよ!

 

与一:(優くん……シノアさんのこと『ちょうどいい壁』扱いしてるよ……。でもシノアさん、絶対一瞬キュンとしてたよね……?)

 

シノア:……ふふっ、まあ良いでしょう。優さんが私を頼って間に挟まってくれと言うのであれば、このシノア、全力でみっちゃんの暴走から優さんをお守りしますよ?

 

三葉:お前、どさくさに紛れて優に近づいてるだけだろ! 離れろシノア!

 

シノア:あら、これは優さんからの『お願い』ですから。みっちゃんこそ、これ以上のセクハラ指導は禁止で〜す。

 

優:助かるぜシノア……マジで三葉のやつ何考えてんだか……。

 

そう言ってシノアの肩の後ろにちょこんと隠れるように腰を下ろす優。

 

三葉:〜〜〜っ! あいつら……! あたしが妄想ノートで描いた甘い展開を全部ぐちゃぐちゃにしやがって……!

 

シノアの背越しに、まだ少し顔を赤くしたまま不機嫌そうにそっぽを向く優の横顔を睨みつけながら、三葉は悔しさと愛おしさで胸を破裂させそうになっていた。

 

**********************

 

シノア:も〜しょうがないなぁ優さんは私がいなきゃダメなんですからぁ❤️

 

優:そんなことねぇよ

 

三葉:… ゴゴゴゴゴゴ

 

与一:(…君月くん助けて…)

 

君月:ぐー ぐー

 

三葉:おいシノア……。お前、いつからそんなに図々しくなったんだ……?

 

シノア:あら? 私は別に優さんに請われてここに座っているだけですよ? ね〜、優さん?

 

優:おう。お前がここにいてくれた方が三葉が襲ってこねぇから助かる。

 

三葉:〜〜〜っ! だーかーらー! 誰が襲うかバカ!!///

 

シノア:ふふっ、いくら怒っても無駄ですよ〜。今の優さんの『安全地帯』は私ですから。

 

優の防波堤というポジションを盾に、完全に調子に乗ってニヤニヤと煽り倒すシノア。

 

三葉:(〜〜〜っ! あいつ、絶対に許さない……! 妄想ノートではあたしが優を独り占めして、シノアが『あっ、あれ??』って焦るはずだったのに……なんで逆になってんのよーーーっ!!)

 

理想と現実のあまりのギャップに、三葉はキーッとなりながら拳をぎゅっと握りしめる。

 

三葉:ちょっと優、あんた男でしょ! いつまでも女の後ろに隠れてんじゃないわよ!

 

優:隠れてんじゃなくて、お前の変なセクハラから身を守ってんだよ!

 

与一:(あはは……もう誰も鬼の訓練のこと覚えてないや……)

 

ぐっすり眠り続ける君月のイビキだけが虚しく響く中、三葉のメラメラと燃え上がる対抗心と、シノアの余裕たっぷりな煽り合いは、朝までまだまだ続くのだった。

 

**********************

 

三葉:…シノア、おまえ何が欲しい

 

シノア:…私は本家の柊家ですよ?分家に買収なんてされませーん ヒラヒラ

 

三葉:…チッ…

 

与一:(怖いよ…)

 

三葉:(あんなに恥ずかしい想いしてまでノートの再現したんだ、どうにか元を取らないと…考えろ、考えろっあたし...!!) 

 

優:ん、シノア、あれだな、首の傷ほとんど直ってきてるな... サワッ

 

シノア:ひゃっ///あっ、そっ、そうですね、ありがたいことに.../// ドキドキ

 

三葉:(優が大好きなもの、優の気を引けるもの...吸血鬼、戦い、ミカとかいう家族、肉...ん?まてよ...)

 

三葉の脳裏に、この間の金髪の吸血鬼が浮かんだ。

 

優:与一、おまえは? 

 

与一:あ、僕も治ってきてるよ、ありがと~

 

シノア:...(もう、ほんとに心配してるだけなんて...) ハァ

 

三葉:(...ミカ、金髪。あたしと同じ...金髪だっ...!!これだっ...!!!)

 

三葉:…ゆ、優。

 

優:…今度は何だよ...

 

三葉:…あたし、金髪だから、あのミカとかいう吸血鬼のコスプレできるぞ??

 

シノア•与一:(…???!!!)

 

優:え、まじで?!

 

服は似たようなもの、髪は縛ればいけると思った三葉。

 

三葉:そうだ、寂しいだろ?次またいつ会えるかわからんのだから、あたしが成り切ってやってもいいぞ?仲間だからな! ドドーン

 

優:うわ、それ助かるわ!毎晩のようにミカの夢見るから、最近寂しくてさぁ、あんまり寝付きが良くないんだよなぁ…

 

三葉:…それは大変じゃないか!!添い寝してやってもいいんだぞ?///

 

シノア:(だから思考が変態ジジイ過ぎますって…)

 

優:えっ、それは流石に悪いだろ。ってかミカも添い寝はしないしなぁ

 

三葉:(くそ…)そうかそうか、じゃあ添い寝は置いといて、後で見せてやるから、明日の夜にあたしの部屋にくるんだ、いいな?

 

優:おお行く行く!!

 

与一:(三葉さんすごい執念だ…)

 

シノア:あらあら〜。ミカエラさんのコスプレで吊って自分の部屋に呼び出すなんて……みっちゃん、いよいよ手段を選ばなくなってきましたねぇ。まさに執念の勝利、といったところでしょうか?

 

三葉:っ……!!だ、だまれシノア! あたしは優の不眠を解消してやるためにだな……! 仲間思いの優しさから提案してやってるんだ!!

 

優:そーだぞシノア! 三葉は俺のために言ってくれてんだから邪魔すんなよ! 明日の夜が楽しみだぜ、ミカっぽく見えるかなぁ!

 

三葉:///(よ、良かった……! 妄想ノートの『リーダー命令よ、作戦会議するから部屋にきなさい』が、ミカのコスプレという形でついに実現する……!!)

 

シノア:ふふっ、優さん。本当にピュアですねぇ。夜に年頃の女の子の部屋に二人きりで行く意味、まったく分かってなさそうですけど?

 

優:へ? 意味ってなんだよ。ミカのコスプレ見に行くだけだろ?

 

与一:(あはは……優くん、ミカエラくんのことになると途端にガード緩くなるなぁ。でも三葉さん、部屋に来てもらった後どうするつもりなんだろ……?)

 

三葉:フフン、何とでも言えシノア! 明日の夜はあたしと優の二人きりの時間なんだからな!

 

**********************

 

優:いや〜誤解してたよ、三葉ってめっちゃ優しいじゃん!!

 

三葉:…そうだろ、そうだろ?さあこっちおいで...///

 

優:おう!すまんシノア、ちょっとどいてくれ

 

シノア:は、はい...(これでは都合の良いオンナじゃないですか!!嫌われたくないからどきますけど!!)

 

優はシノアの肩をひょいとすり抜け、完全に警戒を解いた笑顔で三葉の方へと歩み寄る。

 

三葉:(か、勝った……! シノアに……シノアの煽りに勝ったぞ……!!)

 

目の前までやってきた優の無邪気な笑顔に、三葉はドヤ顔を浮かべつつも、胸のバクバクが止まらない。

 

優:...ごめんな、さっきはその、セクハラとか言っちゃって、コミュニケーションのつもりだったんだろ?

 

三葉:...も、もちろんそうだ!お前にはキックとかビンタとか、暴力的なイメージを持たれていると思ってな、先輩としての包容力を見せてあげたかったんだ。

 

優:なるほどな...でも、ドギマギするからもう勘弁してくれよ...///...

 

三葉:...約束はできない...///

 

優:なっ、まだやんの...?...俺、女友達とかいないからさ、そういうの慣れてないんだ

 

シノア:...え?

 

シノア:(あれ...?私は...?)

 

与一:(あれ、シノアさん友達じゃない認定なんだ)

 

三葉:(シノア、ぶふっ)...大丈夫、私が初めての女友達になってやるから、少しずつ慣れていこう、な?

 

優:おう! 助かるぜ三葉! なんかお前、急にすげぇ頼りになる先輩に見えてきたわ!

 

三葉:ふふん、だろ? これからは何でもこのあたしに相談しろ!/// (まさか優の『初めての女友達』の座をゲットできるなんて……! 妄想ノート以上の大進撃じゃないか……!!)

 

ニヤニヤが止まらない三葉の横で、シノアの顔からは完全に余裕の笑みが消え失せていた。

 

シノア:……ちょっと待ってください優さん。私というものがありながら『女友達がいない』とはどういうことですか? 私たちは共に修羅場を潜り抜けてきた大切な仲間であり、お友達ですよねぇ……?

 

優:え? シノアは...意地悪だけど仲良い妹って感じだから、友達って言われるとピンとこねぇな。

 

シノア:〜〜〜っ!!? い、い、妹ぉ!?

 

優の悪気ゼロのバッサリ発言に、今まで余裕ぶっていたシノアの表情がガラガラと音を立てて崩れ去る。

 

三葉:ぷっ……! クククッ……妹……! 妹だってよシノア!!

 

シノア:笑いごとじゃありませんよみっちゃん! なんですか妹って! 私は分隊長ですよ!? ちょっと意地悪で可愛いお友達ポジションじゃなかったんですか!?

 

与一:(シノアさん、本気でショック受けてる……! いつもと立場が完全に逆転しちゃった……!)

 

優:なんだよ二人して。家族みたいなもんだろって言いたいんだよ。……で、三葉が『初めての女友達』だ。なんか響きが新鮮でいいな!

 

三葉:だろ〜? フフン、これからは『特別な女友達』として、優の悩みを何でも聞いてやるからな!///

 

(ヤバい……! 妹属性のシノアを出し抜いて、あたしが『一番身近な女』のポジションに昇格したんじゃないのこれ!? ノートの展開を遥かに超える超・大勝利!!)

 

シノア:……くっ……! 優さん……覚えておいてくださいね。次の訓練では絶対に容赦しませんから……!

 

**********************

 

優:与一はかわいい弟って感じだな。君月は悪友かなー。

 

シノア:…えっ、ちょ、それなら私も可愛い妹でいいじゃないですか?!なんですか意地悪な妹って!!

 

優:…まぁ確かに、顔は可愛いけど、性格がひでぇからなぁ…

 

シノア:顔は可愛い……!? っ……〜〜〜〜っっっ!!!///

 

三葉:っ……!? お、おい優! なにサラッとシノアのこと褒めてんだよバカ!!

 

優:へ? 嘘言ってもしょうがねぇだろ。ってか、あんな意地悪な揶揄い方、可愛い奴がやらねぇと成立しねぇだろ…ブスがやってたらイラッとして張り倒すわ…

 

三葉・シノア・与一:…………。

 

本日一番の静寂。

 

あまりにもストレートかつ無自覚な暴論に、シノアは顔を限界まで真っ赤にしたまま、口をパクパクさせて固まっている。

 

シノア:(か……『可愛い奴がやらねぇと成立しない』……!? な、何ですかその無自覚な殺し文句はーーーーっ!!///)

 

勝ち誇っていたはずの三葉も、目の前で繰り広げられた天然イケメン発言の不意打ちに、脳内が大パニックを起こす。

 

三葉:〜〜〜っ! お前はっ……お前というやつは! なんでそう息を吐くように恥ずかしいことを言えるんだバカ!!///

 

優:えっ、なんで俺怒られてんの? 褒めたろ今の!

 

与一:(優くん……素で言ってるから一番タチが悪いよ……。シノアさん、完全にフリーズしちゃってるし……)

 

シノアは手に持っていた扇子で必死に顔を隠すが、耳の先まで真っ赤になっているのは隠しきれていない。

 

シノア:〜〜〜っ! 優さんのバカ! 無神経! 天然たらし! もう知りません!!///(パタパタと激しく扇子を仰ぎながら、そっぽを向く)

 

優:なんだよ急に! 褒めても怒られて、貶しても怒られて、わけわかんねぇ!!

 

三葉:っ……! (あ、あたしだって……! あたしだって顔のこと褒められたい……! いや、あたしは『初めての特別な女友達』なんだから、そっちの方が上だろ……!? 上だよね……!?)

 

優の無自覚な「顔は可愛い」攻撃によって、シノアのダメージも甚大だが、横で見ていた三葉の精神ダメージも相当なものだった。

 

**********************

 

三葉:…ゆ、優。

 

優:ん?

 

三葉:…あたしのことは、どう思ってんのさ?

 

優:え、どうって?

 

三葉:だから、その、顔のこと…

 

優:えー、あー…恥ずかしいな、言いたくない…

 

三葉:な、なんで?シノアには言ったじゃんか

 

優:いや、あいつは気心知れてるしさ、やっぱり妹みたいな感じだから言えるけど…

 

シノア:(複雑です…喜んでいいのでしょうか…)

 

優:……お前はさ、その……ちゃんと『女の子』として意識しちまうから、面と向かって言うのめちゃくちゃ恥ずかしいんだよ……///

 

三葉:〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!????///

 

予想を遥かに超えた超弩級のストレートが直撃し、三葉の脳内は爆発どころの騒ぎではなくなった。

 

三葉:(お……おんなのこ!? 『女の子として意識』!? え、えええええええぇぇぇぇっ!?!?)

 

耳までどころか全身から血が噴き出しそうなほど真っ赤になり、三葉はその場に崩れ落ちそうになるのを必死で耐える。

 

与一:(っ……! 優くん、無自覚じゃなくて本気で意識してたんだ……! 強烈すぎる……!)

 

シノア:……ちょっと待ってください。私に対しては『妹だから言える』で、みっちゃんには『女の子として意識するから恥ずかしい』……ですか?

 

優:あ、ああ。だから言わせんなって……!///(顔を背けて、後頭部をガリガリ掻く優)

 

シノア:……なるほど。私、完全に敗北した気分です……。これが『特別な女友達』の威力ですか……(少し本気で悔しそうに頬を膨らませる)

 

三葉:あ……あう……あっ、あたし……っ……///

 

あまりの衝撃と嬉しさと照れくささで、完全に言葉を失いパニック状態の三葉。

 

三葉:(な、なにこれ……! 妄想ノートの『君は俺にとって特別な存在なんだ』ルートどころか、それ以上の破壊力じゃない……!?///)

 

**********************

 

シノア:…この胸ですか、この下品な胸がそうさせるんですかそうですね?! ビシィ

 

三葉:なっ///( ボイン)

 

嫉妬混じりのシノアの理不尽な言いがかりが響き渡る。

 

優:はぁ!? ///下品ってなんだよ、そんなこと言ってねぇだろ!

 

シノア:言っていなくても顔に書いてあります! 『三葉の胸に当たってドキドキしました』って! 私だって……私だって、これから成長する予定なんですからね!!姉は巨乳美人でしたからね!!

 

三葉:な、なにが下品よ! 失礼ね!! あたしは生まれつきこうなのっ!!/// ボイン

 

優:…っ///。…いや、あながち間違いじゃないのか…?

 

三葉:え///

 

優:だっておまえ、なんか無駄にスタイルいいじゃん…。シノアと同い年だろ?どうなってんの…?

 

三葉:〜〜〜〜っっっ!!??///

 

優の「無駄にスタイルいいじゃん」という追い打ちの無自覚ボディブロウが炸裂し、三葉はもはや顔どころか耳も首筋も、全身が真っ赤に茹で上がった。

 

三葉:(む……『無駄にスタイルいい』!? あいつ……あたしの体型、そんなまじまじと見て……っ!?)

 

恥ずかしさとあまりの嬉しさに、胸の前で腕を組み直して隠そうとするが、その動作によって逆に「Gカップ」がさらに強調されてしまう。

 

三葉:む、無駄とはなんだ無駄とは!!/// あたしだって好きでこんな……っ、うぅ……っ!!

 

シノア:ほ〜〜〜〜らご覧なさい!! 優さん、完全にみっちゃんのグラマラスボディに目を奪われてるじゃないですか!! 『シノアと同い年なのにどうなってんの』って何ですか! 私への遠回しな体型煽りですか!?

 

優:煽ってねぇよ! 単純に疑問に思っただけだろ! 与一だってそう思うよな!?

 

与一:えっ!? ぼ、僕に振らないでよ優くん! (三葉さんのスタイルが良いのは事実だけど、今それを言うのは火に油を注ぐだけだよ……!)

 

シノア:ふんっ! いいですよ、どうせ私はスレンダー担当ですから! でも優さん、覚えておいてくださいね……柊家の遺伝子を舐めないでいただきたい! 姉の真昼だって最終的にはすごかったんですからね!!

 

三葉:し、シノア! お前、話が脱線してるぞ!!/// (優に向き直って)お前もっ……変なとこばかりじろじろ見てんじゃないわよバカ!!

 

優:見てねぇよ! さっき背中に当たった感触で……あっ///(自分で言ってしまって一気に墓穴を掘る)

 

三葉・シノア・与一:…………。

 

優:……言わせんなよバカっ!!///(顔を真っ赤にして刀を放り出し、頭を抱えてしゃがみ込む)

 

シノア:〜〜〜っ! ほら!! やっぱりさっきの押し付け事故が原因じゃないですかーーーーっ!!///

 

三葉:(〜〜〜〜っっっ!/// あいつ、やっぱり背中の感触覚えてたんだ……!!////)

 

**********************

 

優:…っとっ、とにかく!!コミュニケーションのつもりでも、もうあんなことするなっての!!友達なのにドギマギするから!!///

 

三葉:…や、約束はできないってば///

 

シノア:エロい女と友達になんかなれませんよ!!

 

三葉:誰がエロい女だ!!

 

シノア:事実じゃないですか〜! 『ハニトラ訓練』とか適当な口実をつけて優さんにGカップを押し付け、さらにはミカエラさんのコスプレで夜部屋に連れ込もうとするなんて、どこからどう見てもエロい女のやり口です!

 

三葉:ち、ちがうわよ!! あれはあたしの……あたしの純粋な……ッ///(とても『乙女心』とは恥ずかしくて口に出せない)

 

優:おいシノア! エロい女とか言うなよ! 三葉が困ってんだろ! ……ていうか、俺がドギマギすんのが悪いだけなんだからよ……///

 

与一:(優くん、庇ってるつもりなんだろうけど、火に油を注いでるよ……!)

 

三葉:優……っ/// (あいつ、あたしを庇って……やっぱり優しい……っ!)

 

シノア:ほらご覧なさい! 優さんが優しくするから、みっちゃんが完全にノックアウトされて恍惚の表情を浮かべていますよ! もう手遅れです!

 

三葉:恍惚とか言うなーーーっ!!///

 

三葉は真っ赤になった顔を隠すように両手で覆い、バタバタと足を地鳴りのように鳴らした。

 

 

**********************

 

シノア:…優さんは私を全く女として見てないんですねーあーそうですかー パンチラッ

 

優:ん?!///

 

三葉:シノアこらぁっ!!

 

言葉と同時にチラリと覗いたシノアの聖域に、優の目が一瞬釘付けになり、すぐさま大慌てで横を向く。

 

優:っっっ!? お、おいシノア! なに急にスカート捲くってんだよバカ!!///

 

シノア:あら? 『妹』扱いされて傷ついた乙女のささやかな反撃ですよ? これでも『女の子』として意識していただけないのでしょうか〜?

 

三葉:〜〜〜っ! この破廉恥分隊長が!! 優の目の前で何晒してんのよ!!(大急ぎで優とシノアの間に割り込み、シノアのスカートを力任せに押し下げる)

 

優:た、助かった三葉……! シノアの奴、急になに考えてんだか……心臓に悪いだろ……!

 

三葉:優! あんたも見るんじゃないわよ! 全然反省してないじゃないのっ!!

 

優:すっすまん、つい…

 

シノア:ふふっ、優さんたら、口では『妹』なんて言いながらバッチリ動揺してましたねぇ。やっぱり男の子ですねぇ♪

 

与一:(シノアさん、自分の立ち位置を取り戻すために手段を選ばなくなってきた……! 三葉さんのライバル心が限界突破しちゃうよ……!)

 

三葉:くっ……! 汚いぞシノア! あたしが純粋な指導(とコスプレ)で勝負しようとしてるのに、そんな露出技で気を引こうなんて!!

 

シノア:手段はどうあれ、優さんをドギマギさせたもん勝ちですよ〜? みっちゃんもハニトラ対策って言ってたじゃないですか。

 

三葉:うっ……! それは……それとこれとは話が別だ!!///

 

優:お前らなぁ……俺をダシにして遊ぶのいい加減にしろよ! 友達だの妹だの言っといて、二人揃ってドギマギさせてどうすんだよ!!///

 

顔を真っ赤にした優が頭を抱えて叫ぶ横で、三葉とシノアの視線がパチパチと火花を散らす。

 

三葉:(シノアのやつ……『妹』扱いされたのが相当悔しかったのね……! でも負けないわよ、明日の夜はあたしの部屋に優が来るんだから……!!)

 

一歩も引かない女子二人の攻防戦に挟まれ、優の「ドギマギ」は夜が明ける前に限界を迎えそうだった。

 

シノア:ふふっ、ですがみっちゃん。優さんが私の『パンチラ』に一瞬で目を奪われたという動かしがたい事実は残りましたからね〜?

 

三葉:な、なにを誇らしげに言ってんのよバカ!!/// 事故よ事故! ただの生理現象よ!!

 

優:おい三葉、生理現象ってなんだよ生理現象って! 俺を珍獣みたいに言うな!!

 

与一:(あはは……もう完全に優くんが女子ふたりのマウント合戦の犠牲者になってる……)

 

シノア:まあまあ、優さん。明日の夜はみっちゃんの部屋で『ミカエラさんのコスプレ鑑賞会』があるのでしょう? 私のささやかな反撃くらい、温かい目で見逃してくださいな。

 

三葉:〜〜〜っ! お前は絶対に来るなよシノア!! ドアの前にトラップ仕掛けておくからな!!

 

優:なんでトラップ仕掛けるんだよ! 俺が入れねぇだろ!

 

三葉:っ……!? あ、あんたは入れるようにしておくわよ!!/// (あたし何言ってんのバカバカバカ!!)

 

自爆発言に自らダメージを受けて撃沈する三葉と、それを見て満足そうにくすくす笑うシノア。

 

**********************

 

優:…っ/// チラッ

 

先程少し見えた聖域と、真っ白な太ももが目から離れない優。つい一瞬隣のシノアの脚を見てしまう。

 

シノア:…あ❤️

 

優:っ…///…?!/// チラッ

 

三葉:…え///

 

目を逸らした先の三葉の艶めかしい脚にも目を奪われ、また目を逸らす。

 

優:…(えっ何でだっ…右も左もエロい女しかいねぇぞ?!こんなんだったっけ?!俺が気づかなかっただけか?!)

 

三葉のハニトラ対策(嘘)、シノアのパンチラ作戦により、あの吸血鬼殺すマンにも心境の変化が訪れていた。

 

優:…(一回落ち着こう…)

 

優:ちょっとトイレに行ってくる…

 

大慌てでその場を立ち上がり、逃げるように走り去っていく優。

 

シノア:あらあら……優さんたら、顔を真っ赤にして風のように去っていきましたねぇ。

 

三葉:っ……!! な、何よあいつ! 急にキョロキョロあたしたちの脚見たと思ったら、トイレって……!!///

 

(まさか……本当にあたしの脚とか体型を見て……ドギマギが限界突破したのか……!?)

 

シノア:ふふっ、みっちゃん。優さんのあのパニックぶり、ご覧になりました? 『妹』だろうが『友達』だろうが、男の子の健全な理性を揺さぶるのには十分だったようですね♪

 

三葉:〜〜〜っ! お前が変なパンチラなんてかますからだろバカ!! あたしまで巻き込まれて変な目で見られたじゃないの!!///(と言いつつも、優に直視された自分の脚を意識してモジモジしてしまう)

 

与一:(優くん……完全に女子ふたりを『毒毒しい美女』として意識し始めちゃったね……。冷たい水でもかぶりに行ったのかな……)

 

シノア:ですがみっちゃん、これで優さんの『警戒レベル』は最大級まで跳ね上がりましたよ? 明日の夜の自室訪問……本当に無事で済むと思っているのですか〜?

 

三葉:っ……!!(ハッと息を呑む)

 

(やバい……! 『女の子』として意識されてる上に、今の件で優の頭の中があたしたちの体のことでいっぱいになってるとしたら……夜に二人きりになったら、一体どうなっちゃうの……!?///)

 

逃げ出した優の背中を見送りながら、三葉は想像以上の「効果」と「今後の展開」に、心臓が口から飛び出しそうなほどのパニックに陥るのだった。

 

**********************

 

優:… スッ

 

与一:…あれ?優くん。

 

トイレから戻ると、与一の隣に腰掛ける優。

 

シノア:…なんでそっち行っちゃうんですかぁ??

 

三葉:…そうだぞ優、お前の席はここだろ?ポンポン

 

三葉が自分の隣の地面をポンポンと叩いてアピールするが、優は絶対にそっちを見ようともせず、与一の肩をがっちり掴んでガードを固める。

 

優:だーかーら! 俺の席はここ!! 与一の隣が一番安全なんだよ!!

 

与一:えっ、優くん!? 僕を盾にしないでよ……! 三葉さんとシノアさんの視線が痛いんだけど!!

 

シノア:〜〜〜♪ あらあら、与一さんを『安全地帯』にし始めましたねぇ。ですが優さん? 逃げれば逃げるほど、なんだか意識しているのが丸わかりですよ〜?

 

優:意識してねぇ! 俺はただ! 平穏に夜明けを迎えたいだけなんだよ!!

 

三葉:〜〜〜っ! なによそれ! あたしの隣が危険地帯みたいに言わないでよ!///

 

(くそっ……完全に警戒されてる……! さっきの『女の子として意識しちまう』って言葉と、脚を直視してきた件のせいで、あいつ完全にテンパってるじゃないの……!)

 

与一:三葉さん、シノアさん……そんなに僕を睨まないでよ〜……! 優くんがすごいいい匂いする……じゃなくて、すごく力込めて抱きついてくるから動けないんだよ……!

 

シノア:与一さん、そこ代わってください。私だって優さんの『安全地帯(仮)』になりたいのですが?

 

優:絶対嫌だ!! お前が一番危険なんだよパンチラ女!!

 

シノア:〜〜〜っ!? パンチラ女!? 私をそんな破廉恥な二つ名で呼ばないでください!!///

 

三葉:ぷっ……パンチラ女……! ざまあみろシノア! 自業自得だ!!

 

(でも……こんなに警戒されてちゃ、夜の自室訪問に来てくれないんじゃ……!?)

 

三葉の脳内に暗雲が立ち込めかけたその時、焦った三葉は思わず立ち上がり、優に向かって必死に声を張り上げる。

 

三葉:お、おい優! 部屋の約束……まさか忘れてないだろうな!? 『明日の夜にあたしの部屋に来る』って言ったじゃないか!!

 

優:っ……!!///(与一の背中に顔をうずめながら大声で返す)

 

優:い、行くよ!! 約束は破らねぇよバカ!! でも……でも、変なことすんなよ!? マジでドギマギして頭おかしくなりそうなんだからな!!///

 

三葉:〜〜〜っっっ! 変なことなんてするわけないだろ!!/// (ただミカのコスプレして……添い寝ルートを狙って……ううん、やっぱり心臓破裂しそうーーーっ!!)

 

シノア:ふふっ……『変なことすんなよ』だなんて、まるで襲われるのを警戒する乙女ですねぇ、優さん。

 

優:うるせぇパンチラ!! 明日の夜は絶対に与一と一緒に寝てやるからな!!

 

与一:ええっ!? 僕、巻き添えになるの!?

 

三葉:絶対二人で来させるかーーーっ!!

 

夜明けが近づくにつれ、過熱する恋の攻防戦。

 

**********************

 

優:別に与一と行ったっていいだろ?!なあ与一、お前もミカのコスプレ見たいよなぁ?!

 

与一:えっいや、僕は、興味ないというか

 

優:はあっ?!何でだよ?!

 

与一:いやまあ、優くんの大切な家族なのは分かってるけど、まだ僕は話したことすらないし、思い入れがないからさ…

 

優:あっ、そうか…

 

三葉:な、与一もこう言ってるし、一人でおいで。ただの男装なんだから、何も不安なんてないだろ?

 

シノア:…あはっ ニヤニヤ

 

三葉:…絶対に一人で来るんだぞ?友達のあたしを信じるんだ!!

 

与一:(友達でいるつもりなんて微塵もないのにね…)

 

優:そっ、そうだよな、三葉は友達だ、ただの女友達…

 

シノア:ただのエロい女友達ですねぇ…

 

三葉:うおぉい邪魔するなぁぁーっ!!

 

三葉の怒声が虚しくこだまする。

 

シノア:ふふっ、みっちゃん。そんなに大声を出すと、せっかくの『特別な女友達』としての品格が下がってしまいますよ〜? それに、優さんを一人で部屋に連れ込む気満々じゃないですか。

 

三葉:つ、連れ込むとか言うな! あたしは純粋に、優の不眠を解消するためのミカのコスプレ披露会を開催するだけだと言っているだろ!!///

 

優:そうだぞパンチラ! 俺と三葉は友達として部屋で話すだけだ! 変な目で見んじゃねぇ!

 

シノア:〜〜〜っ! だからパンチラ言うのやめてくださいってば!

 

与一:(優くん、自分に『三葉さんは友達、三葉さんは友達……』って必死に言い聞かせてるなぁ。三葉さんの『女の子』として意識させられたダメージ、想像以上に残ってるよ……)

 

三葉:(シノアの邪魔も退けた! 与一のナイスなフォロー(?)もあった! あとは朝の訓練が終わったら……ついに、優が一人であたしの部屋に……!)

 

**********************

 

三葉:…シノアお前いい度胸してるじゃないか 

 

食堂へと続く隊舎の廊下に、三葉のすさまじい殺気が立ち込める。

 

シノア:あらあら、みっちゃん。何をそんなに怒っていらっしゃるのですか〜? 私はただ、隊長として優さんの健全な成長を見守りつつ、ささやかな主張をしただけですよ?

 

三葉:どの口が言ってんのよ! 優の前でスカート捲り上げるわ、あたしのことエロい女扱いするわ……! お前、途中で本気で焦ってたろ!!

 

シノア:〜〜〜っ! そ、それは……優さんが急に『妹』だなんて失礼なレッテルを貼ってきたからで……!

 

三葉:フフン! 『意地悪な妹』なんだもんなぁ? ざまぁみろ!

 

シノア:くっ……! 言ってくれますねぇ! ですがみっちゃん、調子に乗るのもそこまでにしてくださいよ? 優さんが『女の子として意識しちゃう』なんて言ったからって、調子に乗って夜の自室訪問で変なことをしたら、私、隊長権限で踏み込みますからね!

 

三葉:踏み込んでくるなバカ!!/// 変なことなんかしないわよ! あたしはただ……その……っ!

 

シノア:ただ……その……? ほ〜ら、やっぱり何か良からぬ企みがあるんじゃないですか〜! 妄想ノートに何を書いたんですか! 正直に白状しなさい!

 

三葉:なっ、ノートは関係ないだろ!!/// とにかく! 明日の夜、優が一人であたしの部屋に来るのは決定事項なんだからな! 余計な邪魔したら絶対に許さないんだから!!

 

食堂のトレーを握りしめながら、火花を散らす女子ふたり。

 

**********************

 

シノア:私だって女の子として意識される代わりに、落ち着く妹ポジションを捨てたんですから、ノーリスクでは無いんですよ!

 

三葉:〜〜〜っ! なにを被害者ヅラしてんのよバカ!!/// 『妹ポジションを捨てた』って……要するに、あいつに本気で女として見られにいこうとしてるってことじゃない!!

 

シノア:当たり前じゃないですか〜! みっちゃんだけに『女の子として意識されるポジション』を独占させるわけにはいきませんからね。私だって、いざとなればパンチラ以上の本気を見せますよ?

 

三葉:〜〜〜っっっ! どこまでも図々しいやつ……! 本気って何よ本気って!///

 

トレーを持つ手にグッと力を込めながら、三葉は顔を真っ赤にしてシノアを激しく睨みつける。

 

三葉:言っておくけどな! 明日の夜、優があたしの部屋に来たら……あたしは『特別な女友達』から、一気に次のステップに進むかもしれないんだからね! 後から指くわえて泣いたって知らないんだから!!

 

シノア:あらあら〜、ずいぶんと強気ですねぇ。ですがみっちゃん、意識されすぎてガチガチになった挙句、自爆して自滅する未来しか見えませんけど〜?

 

三葉:自爆なんてするかーーーっ!!

 

夕食中の食堂に、三葉の威勢の良い叫び声(と照れ隠しの悲鳴)が、響き渡るのだった。

 

**********************

 

シノア:…美味しいですね〜♪

 

三葉:っ……! 話をごまかすなシノア!! こっちは真剣に話してんのよ!!

 

スプーンを口に運びながら、何事もなかったかのようにすまし顔でご飯を味わうシノアに、三葉は額に青筋を立てる。

 

シノア:ふふっ、美味しいものを前にしてイライラするのは体に毒ですよ〜? ほらみっちゃん、そんな怖い顔をしていると、優さんに『女の子』として見てもらえなくなっちゃいますよ?

 

三葉:うぐっ……!///(一瞬で顔を赤くして言葉に詰まる)

 

シノア:……まあ、冗談はさておき。明日の夜、優さんがみっちゃんの部屋に行くのは止めませんよ。隊員同士のコミュニケーション(仮)ですからねぇ。

 

三葉:……へ?(急に聞き分けが良くなったシノアに、怪しそうな目を向ける)な、何よ急に……。本気で邪魔しないつもり?

 

シノア:ええ、もちろんですよ〜♪ ただし……。

 

シノアはニッコリと、どこか黒い笑みを浮かべながら三葉に顔を近づけた。

 

シノア:もし明日の夜、みっちゃんの部屋から『ミカエラさんのコスプレ』以上の進展がなかったら……その時は、私が全力で優さんを『妹脱却ルート』で奪いに行きますから、そのつもりでいてくださいね?

 

三葉:〜〜〜っっっ! 余計なお世話だバカ!! 進展くらい……進展くらい見せてやるわよーーーっ!!///

 

 

**********************

 

三葉:…大体、絶対シノアよりあたしの方が、優のこと好きだ!

 

シノア:あらあら、私が連れてきたイケメンですが〜??

 

三葉:なっ……! 自分の手柄みたいに言うな!! お前は学校で監視役やってただけだろバカ!!

 

シノア:いいえ? 運命の出会いを演出して、仲間にして、こうして立派な隊員に育て上げたのはこの私ですよ? いわば優さんの『発見者』であり『育成者』です〜♪

 

三葉:都合よく歴史を捏造するな!! あたしと優だって、最初は最悪な出会いだったけど……今じゃ命を預け合える大切な仲間だし! それに……さっきだって『女の子として意識してる』って言われたのはあたしなんだからな!!///

 

シノア:あら、その『女の子として意識』で完全に調子に乗っていますねぇ、みっちゃん。ですが、優さんが本当に求めているのはミカエラさんですからね? 明日の夜、ただの『ミカエラさんの偽物』で終わらないといいですねぇ〜?

 

三葉:〜〜〜っっっ! 偽物言うな!! ちゃんと心を込めて成りきってやるわよ!!(ついでに添い寝ルートも絶対勝ち取ってやるんだから……!!)

 

シノア:ふふっ、真っ赤になって拳を握りしめるみっちゃん、実に可愛らしいですねぇ。ですが、優さんの『一番の身近な存在』の座は、そう簡単に譲りませんから。

 

三葉:フンッ! 負けるか! 明日の夜、あたしと優がどれだけ親密になるか、指くわえて見てなさい!!

 

ご飯を食べながらも、一歩も引かないバチバチの口論を繰り広げる二人。

 

 

**********************

 

シノア:それに、私だって最初は優さんに意識されてたはずですからね!今はきっと慣れちゃっただけです!

 

三葉:はあっ!? 慣れちゃったって、それ単に『完全に妹扱いとして定着した』ってことじゃないかバカ!!

 

シノア:〜〜〜っ! 一言余計ですよみっちゃん!! 学校で出会ったばかりの頃の優さんは、私のミステリアスで美少女な雰囲気に、そりゃもうドギマギしていたものなんです!

 

三葉:嘘つけ! 最初からウザがられてただろ!! 妄想で過去を捏造するな!!

 

シノア:捏造ではありません〜! 優さんにとって私は『最初に心を開いた女の子』なんですからね! その絆の深さは、いくらみっちゃんが『女の子として意識される』ポジションを勝ち取ろうと揺らぎませんよ!

 

三葉:っ……!!(『最初に心を開いた』という言葉に一瞬ウッとなるが、すぐに胸を張って言い返す)

 

三葉:昔の思い出に浸ってる時点で、お前の負けなんだよシノア!! 今の優がドギマギして、意識しまくってるのはあたしなの!!

 

シノア:くっ……! そのドヤ顔、本当にイラッとしますねぇ……! いいでしょう、そこまで言うなら明日の夜、優さんがみっちゃんの部屋から泣いて逃げ帰ってこないか、ドアの外でじっくり観察させてもらいますよ!

 

三葉:張込みする気満々じゃないか!! 絶対に来るなと言ってるでしょバカ!!///

 

**********************

 

シノア:前も言いましたけど、私は見た目を褒められてますからねぇ、今日も可愛いって言ってもらえましたしぃ〜

 

三葉:っ……!!(う、痛いところを突いてきやがる……っ!!)

 

先ほどの優の「顔は可愛い」という無自覚な発言を蒸し返され、三葉の顔が引きつる。

 

三葉:あ、あいつは『性格がひでぇから可愛い奴がやらねぇとイラッとして張り倒す』って言ってたんだぞ!! それ褒め言葉に入らないからなバカ!!

 

シノア:あら〜? 『可愛い』という単語が入っていた時点で私の勝ちですよ〜? みっちゃんは面と向かって可愛いなんて言われたこと、一度でもあるんですか〜?

 

三葉:うっ……! そ、それは……っ!!/// (あ、あたしだって言われたいよバカぁーーーっ!!)

 

三葉は悔しさで顔を真っ赤にし、スプーンをギッチリと握りしめる。

 

三葉:あたしは『女の子として意識しちまう』って言われたんだからな!! 見た目だけ褒められるより、そっちの方が一千倍尊いの!!

 

シノア:ふふっ、強がり言っちゃって。明日の夜、優さんが部屋に入ってきた瞬間、可愛いって言わせられるといいですねぇ〜? 期待していますよ、みっちゃん♪

 

三葉:〜〜〜っっっ! 言わせてやるわよ!! 絶対にあいつの口から『可愛い』って言わせてやるんだから!!///

 

**********************

 

三葉:それに、優だってあたしのこと、可愛いって思ってるはずだ!あたし結構告白されるからな!

 

シノア:〜〜〜〜♪ なんとまさか! みっちゃんの『モテる自慢』! ですがそれ、ただの自惚れではありませんか〜?

 

三葉:自惚れじゃないわよ!! 実際に月鬼ノ組の男子から手紙とか何回か貰ったことあるんだからな!!

 

シノア:へぇ〜? ですがそれ、優さんに直接関係ありますか〜? 優さんが『三葉はモテるから可愛い』なんて思うタイプに見えますか? あの朴念仁ですよ?

 

三葉:っ……!!(図星を突かれて一瞬言葉に詰まる)

 

三葉:う、うるさいわね! 外部の評価ってのは大事なの! 他の男が狙ってるって知ったら、あいつだって焦るかもしれないでしょ!!

 

シノア:ふふっ、優さんが『俺の三葉が取られちゃう!』なんて嫉妬してくれるといいですねぇ〜。まあ、今の優さんなら『へー、三葉ってモテるんだな! すげぇじゃん!』で終わりそうですけど♪

 

三葉:〜〜〜っっっ! あいつなら言いそうだから余計にムカつくーーーっ!!///

 

三葉は悔し紛れにご飯をガツガツと口に放り込む。

 

三葉:(でも……! 恥ずかしくて言いたくないって言われたってことは、絶対にあたしの顔も意識してるはずなんだ……! 明日の夜、部屋に来たら……本気にさせてやるんだから……!!)

 

真っ赤な顔で必死に自分を奮い立たせる三葉と、それを見て楽しそうにくすくす笑い続けるシノア。

 

**********************

 

シノア:あ、それにぃ、私みっちゃんと違って処女ですからねぇ!ビシィ

 

三葉:〜〜〜〜ッッッ!!??/// (ガタッと勢いよく食堂の椅子が鳴る)

 

食堂中に響き渡るシノアの爆弾発言に、三葉は顔どころか首筋まで一瞬で真っ赤になり、飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。

 

三葉:な、な、なにを根拠のないデタラメ言ってんのよこのバカ!!! あたしも処女だわーーーっ!!!///

 

シノア:あらあら〜? 妄想ノートのあの過激すぎるシナリオの数々を見る限り、とても処女の思考とは思えませんでしたけど〜?

 

三葉:あれは妄想だと言ってるでしょ!! 頭の中の妄想と現実を一緒にするんじゃないわよ!!///

 

シノア:ふふっ、必死に否定するところが余計に怪しいですねぇ。優さんに『三葉は経験豊富だから〜』なんて吹き込んでおきましょうか?

 

三葉:絶対にやめろ!!/// あいつに変な勘違いされたらあたし生きていけないから!! 本当に処女なんだってば!!

 

シノア:〜〜〜♪ まったく、相変わらずみっちゃんは反応が素直で揶揄い甲斐がありますねぇ。

 

三葉:っ……!! お前、最初からあたしをからかうために……っ!!

 

顔を真っ赤にして拳をプルプルと震わせる三葉と、それを見て心底満足そうに目を細めるシノア。

 

**********************

 

三葉:…お、お前こそ、そうやって男子を揶揄って、手玉に取ってそうだけどな?!実は経験豊富なんじゃ無いのかあぁん?!

 

シノア:ち、違います〜! 私はただのからかい好きな乙女です! 優さんに対してだって、いつも余裕ぶっていますけど……本当は心臓が口から出そうなくらいドキドキしているんですからね!?

 

三葉:っ……!!(シノアのまさかの『本気告白(?)』に一瞬固まる)

 

三葉:か、隠したって無駄だ! だってさっきのパンチラ作戦の時だって、全然動揺してなかったじゃないか!!

 

シノア:動揺してないわけないでしょうバカみっちゃん!!/// 優さんに直視されて私だってめちゃくちゃ恥ずかしかったんですよ! だけど隊長としてのプライドで必死に耐えたんです!

 

三葉:隊長のプライドをそんな恥ずかしい意地の張り合いに使うなーーーーっ!!///

 

赤面しながらお互いに身を乗り出し、食堂のテーブル越しに火花を散らす二人。

 

シノア:ふんっ! とにかく私だって必死なんです! みっちゃんだけに『特別な女友達』ポジションを取られて、ドギマギされるなんて耐えられませんからね!

 

三葉:ふ、フンッ! 必死になろうがなんだろうが、明日の夜、優が来るのはあたしの部屋だ! 勝ち誇るなら明日の夜の成果を見てからにしなさいよ!!

 

シノア:〜〜〜っ! いいでしょう! 明日の夜、優さんが逃げ出さずにちゃんと部屋にとどまっていられるか、廊下からバッチリ見届けてあげますからね!!

 

三葉:だから覗きにくるんじゃないわよバカ!!///

 

お互いに顔を真っ赤にしながら、最後まで一歩も引かない女子ふたり。

 

**********************

 

与一:…ねぇ、優くん。

 

優:んー?

 

与一:今日のこと、どう思ってるの?

 

優:……今日のこと、って……。

 

与一:三葉さんのハニトラ訓練(嘘)も、シノアさんのスカートのことも……二人が優くんに対して、すごく必死になってるじゃない?

 

優:っ……!!///

 

与一の言葉に、先ほどの甘酸っぱくもパニックに陥った光景が脳裏にフラッシュバックし、優の顔が一瞬で真っ赤になる。

 

優:だ、だから言っただろ! あいつら俺をダシにして遊んでるだけだって! 三葉は友達で、シノアは……妹みたいなもんで……っ!

 

与一:……優くん。三葉さんもシノアさんも、本気で優くんのこと『男の子』として意識させようとしてると思うよ? 少なくとも……二人とも、ただの友達や妹で終わるつもりは全然なさそうだけどな。

 

優:〜〜〜っ! お、お前まで変なこと言うなよ与一!!///

 

優は大慌てで頭を抱え、与一から目を逸らすように明後日の方向を向く。

 

優:だ、大体な! 俺は吸血鬼から家族を取り戻すのが最優先なんだ! そんな……女とか、恋愛とか、ドギマギして頭おかしくなりそうなこと考えてる余裕ねぇんだよ!!

 

与一:ふふっ、そっか……。でも優くん、さっき三葉さんたちの脚見たとき、すごく動揺してたよね?

 

優:っ……!!

 

優:そ、それは……事故だ!! あいつらが急に変な格好したり捲くったりするからだろ! 男なら誰だって動揺するだろバカ!!

 

与一:(あはは、やっぱり完全に意識しちゃってるんだ……)

 

必死に顔を赤くして弁解する優の様子を見て、与一は優しく微笑む。

 

与一:明日の夜、三葉さんの部屋に行くの……本当に一人で大丈夫? 逃げ出さない?

 

優:い、行くよ!! 男が一度約束したんだからな! 約束は絶対守る!! ……ただ、まあ……変な雰囲気になったら速攻で逃げてお前の部屋に駆け込むからな!!

 

与一:えー、僕の部屋に逃げてこられても困るよ〜。三葉さんに怒られちゃうし。

 

優:頼むから匿ってくれよ!!

 

**********************

 

優:…なあ与一。

 

与一:なに?

 

優:次アイツらが変なこと言ってきたら、手助けしてくれねぇか?

 

与一:…ごめん、僕は命が惜しいから…

 

優:命?!

 

与一:だってさ……三葉さんもシノアさんも、本気になったらすごく怖いよ? 特に恋が絡んだ女子の執念って、吸血鬼より恐ろしい気がするし……。僕が優くんを助けたりしたら、僕まで二人のターゲットにされちゃうよ。

 

優:お前、仲間のピンチを見捨てる気かよ!?

 

与一:ピンチっていうか……愛されてるだけじゃない? 優くん、贅沢な悩みだよそれ。

 

優:どこが贅沢なんだよ! こっちは心臓が破裂しそうなんだぞ!? あいつら、急に『女』出してくるからマジで調子狂うんだよ……!

 

与一:ふふっ、でもさ……優くんも、二人のことただの『仲間』として見られなくなってきてるんでしょ?

 

優:っ……!!///(図星を突かれて言葉に詰まる)

 

与一:明日の夜の三葉さんの部屋……ちゃんと覚悟を決めて行ってきてね。僕は影から無事を祈ってるからさ。

 

優:祈ってないで助けろよーーーっ!!

 

夜風が吹き抜ける中、頼みの綱の与一にも見捨てられ、絶望的な表情で頭を抱える優。

 

恋の渦中に放り込まれた朴念仁な主人公の明日は、果たしてどうなってしまうのか――。

 

**********************

 

食事から戻ってきたシノアと三葉。

 

シノア:お待たせしました〜♪

 

与一:あ、二人ともお帰り〜

 

優:…おう

 

三葉:…優、ただいま フリフリ

 

優:…お、おかえり…///

 

シノア:…何ですかその甘酸っぱい感じはぁ?!

 

三葉の手振りに思わず赤面して目を逸らす優と、それを見逃さずに即座に噛みつくシノア。

 

三葉:な、何よ! 普通にただいまの手を振っただけでしょうが!///

 

シノア:いいえ! 今のみっちゃんは完全に『帰りを待っていた旦那様に可愛く手を振る奥様』の空気を出していました! ズルいです!

 

三葉:だ、誰が旦那様だバカ!! 勝手に変な変換すんじゃないわよ!!

 

優:お前ら……飯食ってきた早々また騒ぐなよ……。ほら、与一! 飯行こうぜ!!

 

与一:えっ、優くん、僕の服を引っ張らないで〜!

 

シノア:あらあら、優さん。私たちが戻ってきた途端に与一さんを連れて逃げるのですか〜?

 

優:逃げてねぇ!! 腹が減ったから飯食いに行くだけだ!! いくぞ与一!!

 

与一:あはは……じゃあシノアさん、三葉さん、君月くんのことよろしくお願いしますね……!

 

二人から逃げるようにダッシュで交代に向かう優と、引きずられていく与一。

 

三葉:(……ただいまって言っただけであいつ、顔真っ赤にしてた……!///)

 

逃げていく優の背中を愛おしそうに見送りながら、三葉の胸の高鳴りはどこまでも高まっていくのだった。

 

**********************

 

与一:三葉さん手振ってたね〜優くん!

 

優:うるせぇ! 見りゃ分かるだろ!

 

与一:あはは、優くん、顔が真っ赤だよ? 交代で食堂向かってるのに、歩くスピードめちゃくちゃ早いし。

 

優:っ……! 赤くなってねぇよ! 風が冷たいから顔が熱くなってんだよバカ!

 

与一:でもさ、三葉さんもちょっと恥ずかしそうに手振ってて、可愛かったよね?

 

優:〜〜〜っ! お、お前なぁ! 余計なこと思い起こさせるな!!/// (小さく手を振ってた三葉の顔が頭に浮かんで大パニック)

 

与一:ふふっ、そんなに意識しちゃうなら、やっぱり明日の夜の三葉さんの部屋、行くの緊張するでしょ?

 

優:……行くに決まってんだろ! 男が一度行くって言ったんだからな! ……でもな、与一。

 

与一:ん?

 

優:……飯喰ったら、明日の夜に備えて『女子と普通に喋る特訓』につきあえ。

 

与一:えぇっ!? 僕と特訓しても意味ないよ〜!?

 

三葉の不意打ちの仕草に完全にノックアウトされた優は、真っ赤な顔のまま、食堂へ向かって必死に足を早めるのだった。

 

**********************

 

シノア:…みっちゃんずるいです!!次は私が優さんにお帰りなさいって言いますからね!!

 

三葉:な、何対抗燃やしてんのよバカ!! ただの挨拶だと言ってるだろ!!///

 

冷たい夜風が吹き抜ける中、優たちの去った方向を睨みつけながらシノアが頬を膨らませる。

 

シノア:いいえ! 今の三葉さんの『ただいま』には、明日の夜を見据えたあざとい計算が透けて見えました! 優さんだってあんなに照れちゃって……完全に毒されていますよ!

 

三葉:計算なんかしてないわよ!!/// (ただ……優の顔を見たら、思わず手が動いただけだっつの……!)

 

照れ隠しに腕を組み、ぷいっと横を向く三葉。だが、その耳たぶは今も真っ赤に染まったままだ。

 

シノア:〜〜〜っ! その『余韻に浸っている顔』がまたイラッとしますねぇ! いいですかみっちゃん、優さんがご飯を食べ終わって戻ってきたら、次は私が飛びっきりの笑顔で『お帰りなさい、優さん♪』って出迎えますからね!

 

三葉:勝手にすれば!? あいつ、またシノアのウザ絡みにビビって逃げ出すのが落ちだけどな!

 

シノア:言いましたね〜!? 今度は逃がさず、しっかり私の『可愛い妹(仮)』の魅力で撃ち抜いて見せますよ!

 

**********************

 

三葉:大体、あたしだって結構勇気出したんだからな…?///

 

シノア:…あら?

 

三葉の不意打ちの呟きに、バチバチしていたシノアの表情がふっと和らぐ。

 

三葉:……いつもみたいに怒鳴ったり、ツンツンしたりするんじゃなくて……ただ、普通に……『ただいま』って笑って手を振るだけでも……あたしにとっては、死ぬほど心臓バクバクだったんだよバカ……///

 

照れくさそうに顔を背け、自分の腕を抱きしめる三葉。その耳たぶは熟した果実のように真っ赤に染まっている。

 

シノア:……みっちゃん。

 

三葉:な、何よ……! 笑いたければ笑いなさいよ! あたしだって自分がいじいじしてて歯痒いわよ!!///

 

シノア:……ふふっ。笑ったりしませんよ〜。

 

シノアは意地悪な笑みを引っ込め、少しだけ温かい、いつもの親友としての優しい目を三葉に向けた。

 

シノア:ちゃんと伝わっていましたよ。優さん、顔を真っ赤にして目を逸らしていましたからね。みっちゃんのその精一杯の勇気、ちゃんと優さんの心に刺さっています。

 

三葉:っ……!!///(シノアの言葉にハッとして顔を上げる)

 

シノア:ですから……明日の夜も、その勇気を忘れないでくださいね? ミカエラさんのコスプレだろうが何だろうが、みっちゃんの『本気の想い』を見せてやればいいんです。

 

三葉:……シノア……。

 

シノア:……まあ、それでも進展しなかったら、容赦なく横から掻っさらっていきますけどねぇ〜♪

 

三葉:やっぱり一言余計だバカーーーッ!!///

 

 

**********************

 

シノア:…というか、”あたしは身をひく”って言ってた人とはとても思えないですねぇ…

 

三葉:うぐっ……!///(古傷を抉られたように体を跳ねさせる)

 

三葉:そ、それは……! あの時はあたしなんかより、お前と優の方がお似合いだと思ったからで……っ!

 

シノア:あ、過去形ですねぇ。つい昨日の話ですけどぉ、今はどうなんですか〜?

 

三葉:〜〜〜っ! 今は……あいつがあたしのこと『ただの女友達』って強調してドギマギしてたり、女の子として意識しちゃうとか言ってくるから……!

 

シノア:あ、優さんのせいにするんですね〜? 悪い子ですねぇ、みっちゃんは。

 

三葉:優のせいじゃなくて優のせいだ……いや、そうだけどそうじゃない!!/// あいつにそんな顔されたら……期待しちゃうに決まってるだろっ!!///

 

シノア:私と優さんが付き合っても、奪いに来てそうですしぃ…まあ私もそうしますけど♪

 

三葉:っ……!! 奪いにいかないわ……と言いたいところだけど、お前に奪われるくらいなら、絶対横から殴り込みかけてやるから覚悟しなさいよ!!///

 

シノア:ふふっ、お互いに一歩も引く気ゼロですねぇ。ですが明日の夜、優さんがみっちゃんの部屋でドギマギして自滅する姿、高みの見物と決め込ませてもらいますよ♪

 

三葉:自滅なんてさせないし、絶対に見せものにしてやらないんだからね!!///

 

君月というシノア隊唯一の常識人の欠如。何なら彼の眠りを20時間以上見守らなければならないという不謹慎にも暇を持て余した非日常の中で、それぞれの思いは徐々に加速していくのであった。

 

**********************

 

シノア:それに何ですか男装って!そんなおっぱいじゃ成立しませんよ!!

 

三葉:〜〜〜っ! な、なにを突然大声で言い出すのよこのバカ!!///

 

三葉は慌てて自分の胸元を隠すように両腕を交差させ、真っ赤な顔でシノアを口封じしようとする。

 

三葉:つ、潰せばいいんでしょ潰せば!! さらし巻くなり、スポーツブラでがちがちに固めるなり方法はあるんだからな!!

 

シノア:ふふっ、いくら潰したところで、みっちゃんのその立派すぎる主張を完全に消し去るなんて不可能です〜♪ 優さんだって、ミカエラさんの格好をしたみっちゃんの胸元に嫌でも目が向いて、『あれ……ミカの胸が……大きい……?』ってパニックになるのがオチですよ!

 

三葉:〜〜〜っっっ! あいつにそんな不埒な観察させないわよ!!///

 

シノア:あらあら、図星ですか〜? 男装なのに溢れでる女の子らしさ……。優さん、今度こそ完全にノックアウトされて『三葉はやっぱり女の子だ……』って部屋で悶絶しちゃうかもしれませんねぇ?

 

三葉:も、悶絶なんて……っ!///(想像して一瞬で思考がフリーズする三葉)

 

三葉:……フ、フンッ! だったら好都合じゃないか! あたしの『女の子』の部分でノックアウトできるなら本望だバカ!!

 

シノア:〜〜〜っ! 開き直りましたね!? どこまでも図々しい乙女です!

 

**********************

 

シノア:…まぁ私はオンナノコの部分を布越しに見せつけてあげましたけどねぇ…///

 

三葉:ぶッッ……!!/// (爆発音のような声を上げて思い切り噴き出す)

 

シノアのあまりにもストレートかつ大胆すぎる言い回しに、三葉は頭に血が上りすぎて脳みそが沸騰しそうになる。

 

三葉:なッ……! なにを堂々と照れながら口にしてるのよこのエロ隊長ーーーっ!!///

 

シノア:え、エロ隊長だなんて人聞きが悪いです〜! 私はただ、パンチラというアクシデントによって発生した甘酸っぱい事実を述べているだけですよ!

 

三葉:どこがアクシデントよバカ!!思いっきり自分でやってたじゃない!!///

 

シノア:ふふっ、優さんだって年相応の男の子ですからねぇ。あの瞬間、間違いなく私の『可憐な女の子』としての部分を脳裏に焼き付けたはずです〜!

 

三葉:うぐっ……!!(優のあのガチガチに固まった動揺ぶりを思い出して、三葉は胸の奥がキュッと締め付けられる)

 

三葉:〜〜〜っ! 見せつけたとか言ってるけど、一瞬だからな!! 明日の夜は一瞬じゃなくて……ずーっと釘付けにさせてやるんだから!!

 

シノア:はいはい、意気込みだけは立派ですねぇ〜。明日の夜、みっちゃんの部屋からどんな悲鳴……いえ、甘い声が聞こえてくるか楽しみにしていますよ♪

 

三葉:甘い声とか言うなーーーッ!!/// 覗きに来たら本当に殴り倒すからな!!

 

**********************

 

シノア:全く、男装してまで優さんの気を惹こうだなんて…

 

三葉:…おまえは普段から男装してるもんな ニヤッ

 

シノア:おい表出ろ

 

シノアの笑顔からすっと光が消え、静かな圧とともに鎌を背負い直すような仕草を見せる。

 

三葉:へ、へんッ! ちょっとやり返されたぐらいでキレるんじゃないわよバカ!(ちょっと言い過ぎたと思って内心めちゃくちゃ焦る三葉)

 

シノア:いいでしょう……言わせておけば調子に乗りおってからに。今ここで決着(わからせ)をつけて、明日の夜は私が優さんの部屋に突撃することにします♪

 

三葉:なっ……!? それとこれとは話が別でしょーが!!

 

シノア:いいえ! 乙女の誇りを傷つけられた以上、もはや全面戦争です! ほら、鎌の錆にしてあげますから構えなさいみっちゃん!!

 

三葉:冗談よ冗談!! あんたはちゃんと可愛い女の子だから落ち着きなさいよ!!

 

必死に手振り身振りでシノアを宥めようとする三葉と、無表情で距離を詰めてくるシノア。

 

優たちがご飯を食べ終わって戻ってくるまでのわずかな時間、女子二人のくだらなくも命がけ(?)な意地張りバトルは、まだまだ続いていくのだった。

 

**********************

 

シノア:というか別にみっちゃんはそこまで必死にならなくていいんじゃないですか~

 

三葉:なっなんでよ...?

 

シノア:だってモテるんでしょう?とんでもないおっぱいをお持ちですもんねー?

 

三葉:ばっばか!生々しいこと言うなっ!!

 

シノア:別に優さんにこだわらなくったって、他の男の子でもいいじゃないで...

 

三葉:絶対嫌だよ他の男なんて!!

 

シノア:...あら...

 

三葉:...それに...いくらモテてたって、好きな男が振り向いてくれなきゃ、全く意味ないだろ.../////

 

シノア:........

 

三葉:...何だよその顔...

 

シノア:いいえ、なんか急にヒロインぶってるなぁと思いましてぇ... ニヤニヤ

 

三葉:うっ、うるさい!!お前だって同じだろ?!///

 

シノア:まぁ、お互い様でしたか...すみませんね、ちょっと意地悪しちゃいました...

 

三葉:お前はほんと胸のこととなると... ハァ

 

**********************

 

シノア:あー悔しい、こーんなおっぱいに勝てるのかしら…?

 

三葉:〜〜〜っ! 勝手に触るんじゃないわよこの変態小悪魔ーーーっ!!///

 

シノアが躊躇なく三葉の胸に両手を伸ばし、揉むような動きを見せると、三葉は飛び上がってシノアの手を叩き落とす。

 

シノア:ふふっ、相変わらずの素晴らしい弾力とボリュームですねぇ……。こんな凶器を抱えておきながら『男装』だなんて、優さんに対するただの焦らしプレイでしかありませんよ。

 

三葉:焦らしプレイとか言うなバカ!!/// あたしは真剣に悩んでるんだよ!

 

シノア:ですがみっちゃん、忘れないでくださいね。優さんは『胸の大きさ』だけで人を好きになるような単純な男ではありません。……まあ、目の前で揺れたら嫌でも意識しちゃうでしょうけど♪

 

三葉:っ……!!/// (意識しちゃうって言われて余計に顔が熱くなる)

 

シノア:ですから、明日の夜は思う存分その『圧倒的女子力(物理)』で優さんをノックアウトしてきてください。もしダメだったら……私が私の『可憐な魅力』で優さんを優しく包み込んであげますから♪

 

三葉:……ふんッ、ダメになるわけないでしょ! 絶対にあいつに『三葉は可愛い女子だ』って認めさせてやるんだから!!///

 

シノアの軽口に呆れつつも、三葉の瞳には強い意志が宿る。

 

**********************

 

シノア:…もしくは、私が巨乳美女になるまで待って貰えませんかね

 

三葉:いつになんだよそれは…他の子のとこ行っちゃうだろ…

 

シノア:〜〜〜っ! ひどい言われようですねぇ!? あと数年もすれば、私もめきめきと成長して、みっちゃんの顔が青ざめるほどのナイスバディになる可能性だって残されてるんですよ!!

 

三葉:数年後って……それまで優を待たせる気かよバカ! あいつがそんな長いお預けに耐えられるわけ……いや、あいつ鈍感だから平気で放置されそうだけどそうじゃない!!

 

シノア:ですがみっちゃん、数年後の私が『大人の色気あふれる美少女』に進化して優さんを総取りしてしまう未来……怖くはないんですか〜?

 

三葉:〜〜〜っっっ! 怖くないわよバカ!!/// 数年後どころか、明日の夜にあたしが完璧に撃ち抜いて、あんたが成長する暇なんて与えないんだからね!!

 

シノア:ふふっ、最後まで大口を叩いてくれますねぇ。

 

三葉:大口じゃない、本気よ!!/// だから……あんたが大人になるのを待つ必要なんて、どこにもないんだからね!

 

一歩も譲らない宣言を叩きつけ、真っ赤な顔で胸を張る三葉。

シノアはそんな親友の必死な覚悟に、苦笑しながらも満足そうに目を細めるのだった。

 

**********************

 

シノア:…みっちゃん、身を引くなんて絶対無理だったでしょ…言ったの昨日ですよ??

 

三葉:…っ…否定できない…

 

シノア:もし私が”ぜひそうして下さい”って言ってたら、ものの数分で後悔してそうですねぇ

 

三葉:数分どころか数秒で後悔して撤回したわよバカ!!///

 

シノアの容赦ないツッコミに、三葉は頭を抱えて崩れ落ちそうになる。

 

三葉:かっこつけて『シノアにお譲りします』みたいな顔してたあたしが一番バカだったわよ! 優の顔見たら……あんな照れた顔見せられたら……身を引くなんて最初から不可能なの!!///

 

シノア:ふふっ、素直で大変よろしいですねぇ♪ あの時の『身を引く発言』を真に受けて辞退しなくて本当に良かったです。もし本当に身を引いていたら、今頃みっちゃんは陰で泣きながら枕を濡らしていたことでしょう。

 

三葉:〜〜〜っ! 想像して追い打ちかけるな!!///

 

シノア:ですが……これでスッキリしましたね? お互いに自分の心に嘘はつけない。優さんを巡るライバルとして、正々堂々勝負です!

 

三葉:……フンッ! 言われなくても最初からそのつもりよ! 明日の夜、後悔するのはシノアの方なんだからね!

 

**********************

 

与一:ごめーんお待たせ〜

 

優:…。

 

三葉:あ、お…

 

シノア:お帰りなさい優さん!!!

 

優•与一•三葉:(ビクウゥッ!!)

 

優:うっうるせえな!なんでそんな声でけぇんだよ?!(プルプル)

 

もはやちょっと笑いながら怒る優。

 

シノア:ふふっ、愛するお兄様を真心のこもった大ボリュームでお出迎えしたまでですよ〜♪

 

与一:うわぁ、シノアさん、すごい気合の入りようだね……僕まで心臓止まるかと思ったよ。

 

三葉:っ……!!(シノアの背後で、自分の出遅れとシノアの容赦ない攻勢に歯噛みする三葉)

 

優:真心っていうかただの嫌がらせだろバカ! 食堂から戻ってきただけだっての!!

 

シノア:いいえ! 待っている側の愛の深さが試される瞬間ですからねぇ。どうですか優さん、可憐な妹(仮)からの超大音量な『おえりなさい』で、胸がキュンとしませんでしたか〜?

 

優:するわけねぇだろ! びびって胃の中のメシが逆流するかと思ったわ!!

 

シノア:あら〜、それは残念。ですがこれで、先ほどのみっちゃんの『甘酸っぱいお出迎え』の記憶は綺麗サッパリ上書き保存されたはずです♪

 

三葉:〜〜〜っ! お前やっぱりそれが狙いだったのかこの小悪魔ーーーッ!!///

 

シノアの目論み通り(?)に現場は大混乱となり、先ほどまでの三葉との甘酸っぱい空気は跡形もなく爆破されたのだった。

 

**********************

 

三葉:…(いや待てあたし、やり直せばいいのか…)

 

三葉:…優、あのさ…

 

優:…ん?

 

三葉:お、お帰り…/// (フリフリ)

 

シノア:なっ….

 

優:…たっ、ただいま…? ///

 

シノア:…だから甘酸っぱくするなぁぁぁっ!!

 

優:こっ声でけぇって…前のお淑やかさはどこ行っちゃったんだよ…

 

シノア:私だって必死だってことですよもー!!

 

三葉:なんかラップみたいだな…

 

与一:あはは、ほんとだ……『私だって』と『必死だって』で韻が踏めてるね。

 

シノア:優さん、私に”ただいま”は?!

 

優:ねぇよ!! なんでお前にまで照れながら返さなきゃいけねぇんだよバカ!!

 

シノア:〜〜〜っ! 不公平です優さん! みっちゃんには顔を真っ赤にして『ただいま…?』なんて可憐に返した癖に、私にはただの罵声だなんて! 妹(仮)差別です、人権侵害です!

 

優:人権まで持ち出すんじゃねぇ! そもそもお前のは奇襲だろ! 三葉は……その、普通に言ってきたから返しただけだっつの!///

 

三葉:ふ、フンッ! そうよシノア! 優は『ただの挨拶』に返しただけなんだから、あんたがギャーギャー騒ぐことじゃないでしょ!/// (内心:よっしゃぁぁぁ! やり直して大正解! 優の『ただいま』いただきましたーっ!!)

 

シノア:あーっ! みっちゃんのあのドヤ顔、ものすご〜くイラッとしますねぇ!! 自分の勇気を自画自賛しているのが顔に出すぎています!

 

与一:優くん、シノアさんをこれ以上煽ると夜通しラップバトルが始まりそうだから、早く『ただいま』って言ってあげなよ〜。

 

優:なんで俺がシノアとチェケラしなきゃならねぇんだよ!……ハァ、分かった分かった! 言えばいいんだろ言えば!

 

優は頭をガシガシと掻きむしると、シノアからフイッと目を逸らしながら投げやりに吐き捨てた。

 

優:……ただいま、シノア。これで満足かよ!!

 

シノア:……ふふっ、棒読みかつ超絶適当ですが、良しとしましょう♪

 

**********************

 

優:... スッ

 

与一の隣に座る優。

 

三葉:…優、こっち戻っておいで ポンポン

 

自分とシノアの間の地面を叩く三葉。

 

優:えっ、いや、ここでいい!

 

シノア:なんでですかぁ?

 

優:お前らさっきから変なことして揶揄ってくるじゃんか…///…俺は与一の隣でいいって…

 

与一:僕を壁扱いしないでよ優くん…

 

三葉:変なことなんてしないから、大丈夫だって

 

シノア:そうですよ、優さんこっちおいで♪

 

優:大丈夫じゃねぇ匂いがプンプンするんだよ! だいたい何で両側から挟まれるみたいにならなきゃいけねぇんだよ!

 

シノア:さっきもそうだったじゃないですか~

 

三葉:いいからいいから、男子はさっさと座りなさいよ。それとも何? あたしの隣に座るのがそんなに恥ずかしいわけ?///

 

優:だからそう言ってるじゃんか!ドギマギしちゃうからって、さっき言ったろ!///

 

三葉:(嬉しい...///)でも、あたしで慣れていこうって話したろ?あたしはお前の初めての女友達じゃんか

 

優:(女友達にしてはエロすぎるって、なんだよその身体...///)

 

シノア:ほら~観念してください優さん!

 

与一:そうだよ優くん、女の子に恥かかせちゃだめだよ~

 

シノア・三葉:(ナイス...!!)

 

優:もう...。わ、わかったよ... スッ

 

**********************

 

シノア:ふっふーん ヌギヌギ

 

急にソックスを脱いで白い生脚を曝け出すシノア。

 

優:なっ///

 

三葉:おぉい!!

 

シノア:別にぃ~?これみっちゃんも同じじゃないですか~

 

三葉:ぐぬぬ...。あ、あたしは動きやすいからやってるだけだ!人前でわざわざ脱いだりしないぞ!

 

優:(なんで急に脚出してくんだよ...///)ドキドキ

 

必死に前を向く優。

 

右に座る三葉もショーパンスタイルで当然危ない。

 

与一:(シノアさん、露骨にアピールしてきたね...)

 

優:おい、ほんとに何やってんだよ……! 目線のやり場に困るだろ!///

 

シノア:あら、優さん。私の綺麗な生脚を見て目の保養にするのは自由ですよ〜? なんならもっと近くでご覧になっても…。

 

三葉:見せるかバカ! これ以上優を挑発するんじゃないよ!///

 

と言いつつ優から脚が見えやすいように組み替える三葉。

 

与一:(三葉さんもちゃっかりアピールし返してるよ……!)

 

優:お前ら本当にどうかしちまったのかよ……! 両側からそんな無防備な格好されたら、どこ見ればいいんだよちくしょう……!///

 

シノア:ふふっ、どこを見ても目の保養になる特等席ですよ? さぁ優さん、どちらの生脚がお好みですか〜?

 

三葉:なっ、何をバカなこと聞いて……! 優、変なこと答えたらただじゃ置かないからね!///

 

**********************

 

シノア:…私を選んでくれたら、ご褒美に触らせてあげてもいいですよ~♪

 

優:なっ……!? お前、何をサラッととんでもねぇこと言ってるんだよ!!///

 

三葉:シノア!! あんた、頭おかしくなったんじゃないのか!? そんなの公序良俗に反するだろ! 何考えてるんだバカ!!///

 

シノア:あら、いけませんか? 青春真っ盛りな高校生の健全なコミュニケーションですよ? みっちゃんも、私に負けないくらいアピールしたらどうですか〜?

 

三葉:するわけないだろそんな恥ずかしいこと……! ///

 

与一:うわぁ、どんどんディープな方向に行ってるね……。優くん、頑張って耐えてね?

 

優:耐えられるかこんなの!! どいつもこいつも頭から湯気が出そうだわ! 人間をやめちまいそうだよ!!///

 

シノア:ふふっ、さぁ優さん? 私とみっちゃん、どっちの生脚が気になりますか〜?

 

優:もう帰りたい……。君月、お前早くその鬼と決着つけて俺をここから連れ出してくれ……!///

 

(傍らでは、君月が鬼との死闘を繰り広げているが、今の優にとってはそっちの方がよっぽど平和に見えるのだった)

 

**********************

 

シノア:ねぇ~ほら~優さんどっちですか~ (ツンツン)

 

優の頬をつついて催促するシノア。

 

優:...どっ、どっちも、綺麗だからっ!!...頼むもうこれで許してくれっ....!!///...恥ずかしいっ...!!///

 

三葉:なっ...///...どっちも触りたいってことか?!///

 

優:ちっ違うわい!!選べねぇから勘弁してくれって言ってんの!!///誰が触るかっ!!////

 

シノア:あ... シュン

 

三葉:え... ズキン

 

与一:あー...

 

優:なっ、なんだよ、俺変なこと言ったか?

 

与一:多分、傷ついちゃったんだと思うよ...

 

優:はぁ!? なんでだよ、綺麗って褒めたろ!?

 

与一:うーん、そういう問題じゃない気がするけどなぁ……。二人とも、結構本気だったのかもよ?

 

優:本気って……お前らなァ、こういう冗談は得意だろ!? 俺をいじめて楽しいのかよ!///

 

シノア:……ふふっ。冗談ですよ、優さん。そんなに本気で慌てなくてもいいじゃないですか~♪

 

三葉:っ……! そ、そうよ! あたし達が本気でそんなこと言うわけないだろ、バカ優! ///

 

優:なんだよ、じゃあ最初からそう言えよ……! 心臓に悪すぎるわ! ///

 

**********************

 

三葉:(くっそ、シノアのやつ少し本気出してきてるな...負けてらんないぞ...)

 

三葉:...ま、まぁ、そもそも優は、脚より胸派かもしれないじゃんか.../// (ユサッ)

 

優:ぶッ……!?///

 

シノア:あら〜、みっちゃん。先ほどまでの「そんな恥ずかしいことするわけない」というプライドはどこへ消えたんですか〜?

 

三葉:うるさいわね! 脚であれだけ攻め立てられたら、こっちだって対抗しなきゃやってらんないでしょ!///

 

与一:うわぁ……三葉さん、さらにアクセル踏み込んできたね……。

 

優:頼むから両側から変な爆弾投げるのやめてくれ! 俺の精神力がもう持たないから!!///

 

シノア:ふふっ、では優さんに直接聞いてみましょうか。脚と胸、どちらが好みなんですか〜?

 

優:答えるかそんなの!! どっちを選んでも地獄を見るのが目に見えてるだろ!!///

 

**********************

 

三葉:だめだぞ優、あたしはおまえの”初めて”の女友達として、おまえを女の子に慣れさせてあげてるんだからな、頑張って答えるんだ...///

 

シノア:...(”初めて”を強調してますねぇ、私へのあてつけがすごぉい...)

 

優:なんで俺がそんなプレッシャーかけられながら二者択一迫られなきゃいけねぇんだよ……!!///

 

与一:優くん、ここは男を見せる場面なんじゃないかな? たぶん。

 

優:見せたくねぇよこんな不毛な二択で男なんて見せたくねぇ!! どっちも選ばねぇ、俺はノーコメントを貫く!!///

 

シノア:あら、ノーコメントは不戦敗とみなされますよ? 優さんが選ばないなら、私からみっちゃんの胸を実地検分してどちらが優れているか判定してあげましょうか〜?

 

三葉:なっ……!? 何勝手に人の胸を検分しようとしてんだよこの変態小悪魔ーーーッ!!///

 

シノア:ふふっ、冗談ですよ。でも、優さんが答え渋るからいけないんです。さぁ、どっちなんですか?

 

優:ぐっ……! お前ら、マジで鬼よりタチが悪いぞ……っ!///

 

**********************

 

シノア:えぇなぜならみっちゃんはエロい鬼だからですっ!! ビシッ

 

三葉:誰がエロい鬼だっ!!

 

与一:(三つ葉さん、なんだかんだノリがいいんだよね)

 

優:おい、勝手に俺を巻き込んでコント始めるな!……って、なんだよその不名誉すぎるあだ名は!!

 

シノア:ふふっ、ぴったりじゃないですか〜。スタイル抜群で、優さんを狂わせるという意味では立派な鬼のようですよ?

 

三葉:鬼扱いした上にスタイルの話にするなバカ! 優、変な誤解をするんじゃないからねっ!!///

 

優:誤解も何も、お前らが両側からそんな調子で攻めてきたら頭がおかしくなりそうなんだよ……! 与一、助けてくれ……!

 

与一:うーん、二人とも、優くんがこれ以上沸騰しちゃう前にちょっと落ち着いてあげたら?

 

シノア:あら、与一くんの言う通り少し休憩を挟みますか?

 

三葉:息抜きは必要よ、うん……。あたしも別に、いつまでもいじめてるわけじゃないんだからね!///

 

シノア:では、次の勝負はまた明日――いよいよ本番の夜に持ち越しということで♪

 

三葉:っ! 当たり前よ、明日は絶対に負けないんだから!!///

 

**********************

 

優:...じゃぁもういいな!トイレ行ってくるから!!

 

与一:ついさっき一緒に行ったじゃん

 

優:頻尿なんだ俺は! スタスタ

 

三葉:まだ若いでしょうが...

 

シノア:...ねぇ、与一さん

 

与一:なに?

 

シノア:あとでこっそり優さんに、私とみっちゃんのどっちが好きか聞いてきてくださいよぉ~

 

三葉:なっ……!? ちょっとシノア、何勝手に裏工作頼んでるのよ!!///

 

シノア:あら、本人目の前にしてだと優さん絶対まともに答えないじゃないですか。だからこそ、第三者からの裏付け調査が必要なんです〜♪

 

三葉:調査って……警察の取り調べじゃないんだからさぁ……! でも……っ。

 

与一:うわぁ、また僕に変な大役を振らないでよ……。そんなの聞いたら優くんにめちゃくちゃ怒られそうだよ?

 

シノア:そこを何とかお願いしますよ、与一くんなら優さんも警戒しませんし。ね?

 

三葉:……ま、まあ、どうしてもっていうなら、あたしは反対はしないけどさ……。もちろん、結果はあたしに一番に報告しなさいよね!///

 

与一:二人の圧がすごいんだけど……。はぁ、分かったよ。気が向いたら聞いてあげるだけだからね?

 

**********************

 

シノア:というかあれですね、今追いかけて聞いてきてもらいましょうか

 

三葉:えッ、今すぐ!? ちょっと、急すぎるでしょ! あいつ、ただでさえテンパって逃げ出したんだから、今すぐ捕まえて聞いたらマジでキレられるわよ!!///

 

与一:えぇー!? 僕が今からトイレまで追いかけていくの? それ絶対「お前までグルかよ!」って怒られるやつじゃん……!

 

シノア:大丈夫です、与一くんなら優しいから優さんも邪険にはできません♪ ほら、急がないと逃げられちゃいますよ?

 

三葉:あ、あたしも少し気になる……いや、気にならないけど! 気にならないけど、もし変なこと言ってたら後で絞めないと気が済まないから、様子くらいは……っ!///

 

与一:二人の目が本気すぎるよ……。わかったよ、行けばいいんでしょ、行けば……!

 

与一は遠ざかる優の背中を追いかけるように、ため息をつきながら立ち上がるのだった。

 

**********************

 

トイレに行くと、顔を水で洗っている優。

 

与一:優くん...

 

優:ん?与一か、お前さっきトイレ行っただろ?

 

与一:実は僕も頻尿でさ~

 

優:...き、奇遇だな...

 

適当にごまかし、核心に触れる与一。

 

与一:優くんはさ、あの二人の、どっちが好きなの?(やばい聞いちゃった...)

 

優:ぶほっ……!! な、なにいきなりぶっ込んできてんだよお前は!!///

 

与一:いや、ほら、気になってさ……。二人ともすっごく本気だし、どっちを選ぶのか気にならない男なんていないでしょ?

 

優:えっ、選ぶって何がだよ...

 

与一:何って、優くんがどっちと付き合いたいかってこと!

 

優:はぁ?!俺はそんな暇ないんだっての!!吸血鬼殺して、ミカを助け出して、人間に戻すんだ!!

 

**********************

 

しっかり女子トイレから盗み聞きする問題児たち。

 

三葉:って、おい!! なんであいつはそこでミカの名前を出すんだよ!!

 

シノア:ふふっ、さすが優さんですねぇ。

 

三葉:こっちはこっちで必死に戦ってんのに、肝心のあいつがそれじゃあ報われないじゃないかっ……!///

 

**********************

 

与一:それはもちろんわかってるよ、優くんにとってミカくんが大事なのは。

 

与一:でも問題はその後、どうするかって話で...

 

優:あ、後?そんなの、考えてねぇよ。とりあえず、ミカと一緒に暮らすんだ俺は。

 

与一:(……おや? 女子トイレ側の壁から、なにやら殺気と期待が入り混じった激しい気配が漏れ聞こえてくる気がするぞ……?君月くん放置だけど、まぁここから様子見えるし、しばらくは大丈夫かな...)

 

与一は内心で苦笑しつつ、あえてそれを指摘せず、さらなる追撃を試みる。

 

与一:とりあえず、ミカくんと二人で暮らすのはいいとしてさ。優くんだって、将来誰かと付き合って、結婚するだろうし、そのパートナーを見つけておいてもいいんじゃないかな(苦しいかな・・・?)

 

優:け、結婚?そんな先のことなんて、わかんねぇよ。

 

与一:いいじゃん、今時間あるんだから、そういう話もさ。

 

優:えー、よくわかんねぇけど...あっ、そういや俺、吸血鬼から助けた子に告白されたんだけどさ、そうそう与一も助けるの手伝ってくれたあの子な。

 

与一:うん...?(まさか...)

 

優:あの子が、まぁ、まだ好きでいてくれたら、その...///

 

与一:えっ(やばいやばいやばいやばい....!!!)

 

**********************

 

シノア:…なっ……!?

 

シノア:(告白してきたあの子って……優さん、そんなにはっきり意識してたんですか……!?)

 

三葉:なっ……はあぁぁぁ――っ!?

 

三葉:(あたしがさっき「ちゃんと断ったのか」って散々確認した時は、わけわかんねぇみたいな顔してた癖に……!///)

 

**********************

 

与一:えっと、その子のことが、好きってこと...?(どうにかしないと...)

 

優:いや、違うんだよ、まだ好きでいてくれたら、まぁ、結構可愛かったし...その、もし俺が誰かと付き合うってなったら、わざわざ”好き”って言ってくれたわけだし、あの子がいいかな~って思ってるだけで...。

 

与一:えっと、じゃあ、その子が、優くんに”好き”って言ってくれたから、いいんじゃないかってことね?

 

優:そ、そうだな...。

 

与一:じゃぁ、優くんはその子のことが好きってわけじゃないんだ?

 

優:うーん...難しいけど、ろくに話したことないし、好きってのは違うよなぁ。だってあれだろ、もっとこう時間をかけるもんなんじゃないのか、”好き”ってのは。

 

与一:ああ、それはわかってるんだ。じゃぁ、なんで好きでもないのに、その子がいいかなって思うの?

 

優:...だって、その...誰かに面と向かって”好き”って言われたこと、無いからさ...内心、めちゃくちゃ嬉しくてさ。まぁ、思い返せば、気になるかな、その子のこと..

 

与一:なるほどね~。好きって言われたら嬉しいし、印象に残るだろうしねー、わかるよ。

 

**********************

 

三葉:な、なんだって……!?

三葉:(「めちゃくちゃ嬉しくて、気になる」だと……!?)

 

シノア:(あの鈍感な優さんが、まさか「告白された嬉しさ」をきっかけに、その女の子を意識し始めているなんて...)

 

**********************

 

与一:じゃあ、簡単に言うと、”好き”って言ってくれることが重要なんだ?

 

優:…なっ、なんなんだよ今日のおまえは。俺のメンタルアドバイザーか??

 

与一:あはは、そうかもね。…おこがましいかもだけど、優くんだけじゃなくて、シノア隊のみんなの、バランスが取れたらいいなーって、思ってるよ。

 

優:…確かに、俺と君月の、どうでもいい喧嘩とかも止めてくれてるもんな…ありがとな、おまえはめちゃくちゃいいやつだよ。

 

与一:どういたしまして。...でも、やっぱり"八方美人でウザい"とか言われることもあるからさ、ちょっと気にしちゃうけどね…。

 

優:…誰が言ってんの? 

 

与一:え?

 

優:だから、お前にそんなこと言ってる奴、誰だよ? (グイッ)

 

与一:あ、あの、中学の時とかだから、明確に誰かは、覚えて、ないけど… (優くん、いい匂いする…)

 

優:…ふーん…? (パッ)

 

与一:…優くん…?

 

優:次言われたら俺に言えよ。ボコすから。

 

与一:…っ…///

 

優:おい、聞いてんのか?

 

与一:…僕も、女の子に生まれてたら、優くんのこと、好きでたまらなかったかもしれないなぁ…

 

優:なっ、なんだよ突然、気持ち悪ぃな…///

 

与一:ふふっ、ごめんね。…でも、ありがとう。

 

**********************

 

三葉:――っっっ!!!!//////

 

シノア:あら〜///♪

 

三葉:くっそぅ……!///...優…あんた、なんでそんなところで無駄にかっこいいのよ……!//////...ってかなんだあのイチャイチャした空気はぁぁぁっ!!///

 

シノア:「次言われたらボコす」なんて言われたら、同性でも惚れちゃいそうですねぇ...与一くんの小悪魔的な才能、恐るべしです...

 

**********************

 

与一:じゃあ、改めて聞かせて欲しいんだけど、”好き”って言われることが重要なんだよね?

 

優:まぁ、そうだな… ポリポリ

 

与一:どうして、言葉にこだわるの?”好き”って言葉にされなくても、愛情を感じることはあるはずだよ?

 

優:…与一。お前だから、話すけど…

 

与一:ん、何でも聞くよ、優くん。

 

優:…俺、詳しくは覚えてないけど...8歳の頃、親から”悪魔の子”って言われて…包丁で殺されそうになって、孤児院に入ったんだ…

 

与一:…!…そ、そうだったんだ、それはとても、とても辛かったよね…

 

優:あぁ…そこからは孤児院の皆と過ごして、家族になったから救われたけど。…でも、やっぱり心のどこかで、本当の親にさえ、愛情を向けてもらえなかったのが、すごく、こう…。何て言うか……。

 

与一:…愛してもらえなかったのが、悲しくて、寂しかったんだよね。まるで、自分の存在を否定されたかのように感じる…?

 

優:…そうだな、愛してもらえなかったから、存在価値が無いと…っ、違うんだ、ミカや孤児院の皆だって、お前らだって、血が繋がってなくても家族だってわかってる、わかってるけど…どうしても、肉親からの愛を貰えなかったことが、自分の存在を否定されたみたいで…

 

与一:…だから、言葉にしてほしいんだよね?好きだって、愛してるって言ってもらえたら、自分は存在していいんだ、生きてていいんだって実感できるから。

 

優:…うん…

 

与一:…いいよ、泣いて。僕の胸で良ければ。

 

優:…与一っ、おっ俺っ…ご、ごめんっ… ギュッ

 

与一:大丈夫、優くん。大丈夫だからね… ヨシヨシ

 

********************

 

三葉:――っ……!!!! ウルッ

 

シノア:...優さん...... ホロリ

 

三葉:そんな……過去が……あったなんて……。あいつ、ずっとそんな重い傷を抱えながら、必死に……っ! ウルウル

 

シノア:(……ふふ。与一くん、さすがですねぇ。優さんの心の奥底にある本当の痛みに寄り添い、すべての答えを引き出してしまいましたね)グスッ

 

三葉:(――待ってなさいよ、優。あんたが「好きって言ってくれないと分からない」って言うなら……あたしが、何度でも、何度でもちゃんと言ってあげるんだから……!)ポロポロ

 

**********************

 

優:…ありがと、与一。落ち着いた…。みっともないとこ見せてごめんな。

 

与一:ふふっ、いいよ、どういたしまして。

 

優:…おまえ、あったけえなぁ。亡くなった姉ちゃんにも、よっぽど愛されてたんだな。おまえが羨ましいよ、俺は。

 

与一:…そうだね。命がけで吸血鬼から守ってくれるぐらいだから。僕は怖くて、何も出来なかったけど…

 

優:でもお前は少なくとも、今、俺を救ってくれたぞ。きっとこれからも誰かを救えるだろ。

 

与一:…ありがとう、優くん。僕、優くんのこと、好きだよ?

 

優:…っ…///……ありがとう、俺もだ。…与一のことも、君月も、シノアも三葉も皆好きだ。誰一人失いたくねぇ。

 

与一:うん、そうだね。僕も皆が大好きだから、守れるように頑張るよ。

 

優:お、言ったな?じゃあお前はヒョロいから、今日から一緒に筋トレだ!

 

与一:えぇぇ、そんないきなりぃ…??

 

優:まずは1日1万回腕立て伏せだ、俺は12歳からやってるぞ!!

 

与一:多すぎてついてけないよ〜

 

**********************

 

三葉:……もう! せっかくいい雰囲気で感動的な流れになってたのに、最後の最後で何よ「1日1万回腕立て」って……! バカなの? あいつはバカなの……っ!?/////

 

シノア:ふふっ、本当に優さんらしいというか、良い意味で一瞬で空気が普段通りに戻りましたねぇ。

 

**********************

 

与一:...じゃぁ、例えばの話なんだけどね。あの二人、シノアさんや三葉さんが、優くんに”好き”って言ってきたら、どうなるの?

 

優:はぁっ!? な、なに急にそんな、おかしな仮定を持ち出してんだよお前は……!!///

 

与一:いや、仮定の話だよ。もし仮にね? 二人のどっちかに面と向かって「好き」って言われたら、優くんはどうするのかなって気になってさ。

 

優:どうするって……そんなの、からかわれてるに決まってるだろ! あいつらがそんな真面目に……いや、そもそもそんなこと言い出すわけねぇよ!

 

与一:ふーん……。でも、もし本気だったら?

 

優:本気って……お前なァ……。あんなに俺をいじり倒してくる奴らが、そんな乙女みたいなこと言うかよ……っ! 想像しただけで頭から煙が出そうになるわ!///

 

**********************

 

三葉:与一あんた、グッドアシストよ...!!!

 

シノア:ふふっ……(これは、与一くんのナイスプレイと言わざるを得ませんねぇ。)

 

**********************

 

与一:でも、ほんとに、本気かもしれないよ?

 

優:...ねぇ~って。ないない、からかわれてるだけだよ...俺の反応が、そんな面白いのかなぁ...?///

 

与一:反応は面白いと思うけど、それだけじゃないと思うなぁ。

 

優:大体よく考えてみろ、与一。シノアなんか平気で俺を、その、童貞煽りしてくるし、三葉だって、初対面のあの日、会話すらしてないのに、合図なしで顔面キックかましてきたんだぜ!止めたからいいけどよぉ...。

 

与一:あはは、そんなんあったね...。

 

優:こんなやつらが俺のこと好きなんて、ないないない。いじめて楽しいだけだろ。まぁ、三葉は女友達になってくれたから、ありがたいけどさ。

 

与一:なるほど~。二人ともなかなか個性的だからね。見てて飽きないよね~。

 

**********************

 

三葉:あの時はごめんて...

 

シノア:私は、優さんの反応が可愛くてつい...

 

三葉:...お、女友達としてありがたい?これは良い兆しじゃないか...///

 

**********************

 

与一:もし、どっちにも告白されたら、どうする?

 

優:だからぁ、ないっての...////

 

与一:仮定でいいから、仮定ね?

 

優:なんだよそれ、もう...。

 

与一:ぶっちゃけどっちがタイプなの?

 

**********************

 

三葉:ナイス、いいぞ与一もっとやれ!

 

シノア:ふふっ...

 

**********************

 

優:なっ、なんでそんな恥ずかしいこと言わなきゃいけないんだよ!!

 

与一:いいじゃん、家族だろ?教えてよー (主に僕の命のために...)

 

優:…お、お前、絶対に言うなよ、あいつらに!!

 

与一:もちろんだよ!

 

優:絶対にだぞ!言ったら舌引っこ抜くからな!!

 

与一:ほっほんとに言わないよ!!神に誓って!!

 

与一:(もう聞かれてるから言ってはないよね、優くんごめんよ…)

 

優:…ぶっちゃけ、三葉だな…///

 

**********************

 

三葉:――っっっ!!!!//////

 

シノア:……ちょっ...!!

 

三葉:……いま……「三葉だな」って……! あ、あたしの名前を……っ!! うそ、嘘でしょ、耳がおかしくなったのか、それとも優が脳を乗っ取りでもされてるのか……っ!?/////

 

シノア:ちょっと待ってください。与一くん、ナイスアシストすぎるのも大概にしてくださいよ……! なんでそこで迷わずみっちゃんの名前が出てくるんですか……っ!?

 

**********************

 

与一:…そっそうなんだ。どこら辺がタイプなの?

 

優:...言わなきゃだめか...?///...というかトイレ長すぎって怪しまれるんじゃねぇか?

 

与一:別に大丈夫だよ、頻尿だって言えばいいじゃん。それに、からかいから逃げられるし、よかったね。

 

優:...まぁ、それもそうか。

 

**********************

 

三葉:って、頻尿を免罪符にするなーーっ!! んなことより早く続きを話しなさいよバカ優!!///

 

シノア:与一くんの絶妙なスルー力が光ってますねぇ...

 

**********************

 

優:うーん。今まで良く考えたことないけど…パッと思いつくのは、やっぱ…む、胸、かなぁ…?顔も、可愛いし、髪も綺麗な金髪だよな。スタイルもいいしなぁ...

 

与一:うわあ、べた褒めだぁ。

 

**********************

 

三葉:――っっっ!!!!//////

 

シノア:……っ。む、胸……金髪……スタイル……。

 

三葉:ふふっ……ふはははは……! 見たかシノア……! あいつ、ちゃんと見てくれてたのよ……あたしのこと……!/////

 

シノア:ずるいです……! みっちゃんのチャームポイントをそんなにスラスラと……! 悔しいですが、これは完全に一本取られましたね……っ!//////

 

 

**********************

 

与一:見た目以外はどう?性格とか。

 

優:...そうだなぁ...。

 

しばらく考える優。

 

優:性格も良いよな、口調は強めだけど、なんだかんだ優しいし。あの性悪シノアと仲良くしてるぐらいだしなぁ。しかも俺と違ってチームワークがしっかりできるしな。

 

**********************

 

三葉:――っっっ!!!!//////

 

シノア:ぐぬぬ...。

 

三葉:なっ……なんなのよそれ……! 外見だけじゃなくて、中身まで……あたしのこと、そんなふうにちゃんと見てくれてたの……!?/////

 

**********************

 

与一:シノアさんはタイプじゃないの?

 

優:…美人なんだけど、性格がなぁ…

 

与一:あぁさっきも顔は可愛いって言ってたもんね

 

優:そうだな、可愛いけど...どこか大人っぽくて、綺麗で...色っぽい...儚げな美女というか。...そしてそれを台無しにするほどの意地悪な性格…まぁ、意地悪だけど可愛い妹って感じだよなぁ。

 

**********************

 

シノア:……っ。い、いま……優さん、なんて……?//////

 

優の口から飛び出した「大人っぽくて」「綺麗で、色っぽい」「儚げな美女」というあまりにも意外すぎる絶賛の言葉に、シノアは一瞬でピキッと動きを止めた。

 

シノア:……ヤバい、やばい...///...ニヤけがっ、止まりません...!!////// ニヤニヤ

 

三葉:……なによそれ……!シノアまでちゃっかりそんな綺麗に褒めちぎって……! あいつ、「妹」とか言いつつ、しっかり「色っぽい美女」って認めてるじゃないのよ!

 

**********************

 

与一:じゃあ、シノアさんも可愛いけど、どっちがよりタイプかってなったら、三葉さんなんだ?

 

優:まぁ、そうだな。二人とも見た目は可愛いけど...///。性格で言うと三葉が圧倒的に良いもんな。多少荒っぽいけど、根底に優しさがあるやつの話し方だしな。シノアはお淑やかさを手前に置いてるけど基本的に意地悪だからな...。

 

**********************

 

三葉:――っっっ!!!!//////

 

シノア:……ぐぬぬぬぬぬぬ...

 

三葉:なっ……あ……うそ、また……! またそんな真っ直ぐ、あたしのこと……っ!//////

 

シノア:意地悪さまで、あんなにハッキリと言われてしまうなんて……。完敗です……。悔しいけれど、優さんのそういう真っ直ぐなところが…//////

 

**********************

 

与一:じゃ、じゃあ、三葉さんが好きってこと?

 

優:えっ、いや...えー…?…もういいだろ、タイプかどうか答えたんだから!!戻るぞ!!ほら!!

 

与一:あっ待ってよ優くーん。

 

男子トイレから出て行く二人。

 

**********************

 

シノア:あー悔しい!悔しい〜!!でもまだ好きとは、言ってませんから!!あくまでタイプかどうかですからぁ!!

 

三葉:いいや!もうほぼ答え出てるから!!アイツが好きなのは、あたしでしょ…//////?!

 

シノア:そうかもですが、私は今日から優しくなりますから待って下さい!! ジタバタ

 

三葉:いいや待たないね!!勝ち逃げします!!

 

遠ざかっていく男子たちの足音が完全に消え去った後も、二人の少女の顔は茹でダコのように真っ赤なままだった。

 

シノア:むきーーっ!悔しいです!悔しすぎます!!わたし、今日からキャラ変して清楚系ヒロインになりますからねみっちゃん!!//////

 

三葉:なっ、何言ってるのよ今更! そんな急にお淑やかなフリしたって優にはすぐバレるわよ!っていうか、今日のところは全面あたしの勝利なんだから、これ以上食い下がらないの!

 

シノア:ずるいです! たった今「勝ち逃げします」って言いましたよね!? そんなの絶対認めませんから、明日の特訓から容赦なくアピールしていきますからね……っ!

 

三葉:もういいし!絶対優はあたしのこと好きだし!!胸もほめてくれたし、脚だって見てたし!!今更あんたがあがいたところで優の心は動きませーん!!

 




...
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。