※この作品はR-18です。

【本編完結】前線基地あまあま娼館ライフ   作:ヒマリすきすきクラブ

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架空の水着イベント回です。
ビーチリゾートで海賊船と悪党の巣穴を焼いてボックスガチャを回そう!

絶対内容被らないだろうとは思ってたけど!
グラだけでもヒマリちゃんの水着出たのは素直に嬉しい。
そうか……公式の解釈はヒマワリか……。

この前半にはR-18シーンはありません。


エメルダに必要なモノ(エメルダ)-前編

トレスリア地方に穿たれた大穴、その前線基地から司令官がホウライに旅立って数日後。

 

前線基地からはるか離れたエルドラーナのこの地は、悪徳が蔓延る都市エルアテネロ。*1

 

その付近の町で借りた倉庫で、23世紀の地球圏から来た念動力使い(サイキッカー)のレイは清潔な装いをした商人風の男達に囲まれていた。

それはかつて、大穴の第三階層から地上へ脱出した残党のそのまた一部。

目の前にいるレイを九死に一生を得たお頭だと『()()()()()』元盗賊たちだ。

 

レイは中身が見えない小袋をいくつも、艶消しされた黒く硬く軽量な装甲板を装着した元盗賊たちの荷車へ積んでいく。

その中にあるのは、虹色をした鉱石……。

大穴で発見された途端に取引禁止の違法物質として緊急認定された、精神感応を引き起こして催眠現象を引き起こす鉱石。

催眠石だ。

 

前線基地は、思惑は置いといてエルドラーナなど三大国の協力で建設された。

つまり前線基地の予算は大半が大穴から得ているとはいえ、少なくない額が三大国からの支援で賄われている。

支援が行われているなら、当然それを快く思わない者がいた。

 

それが今レイと盗賊団改め武装商隊がいる町付近の都市エルアテネロを実質支配する、共和国評議会にも顔が利く大物商人。

代々続いた商会を束ねるそいつの名前はテネロ5世。

叩けばいくらでも埃が出る悪事三昧のこいつは三大国が手を組むのを快く思っておらず、前線基地への支援を裏からあの手この手で妨害しているようだ。

 

もちろん、しっかり前線基地を支援したい側にはテネロ5世は邪魔だった。

ではどうするか?

そこで、この催眠石の出番だ。

 

悪事の証拠があるならそれで良し。

なければ作ればいい。

 

『既に、世界は大穴と無関係には居られない……。連中は最早過去の遺物なのだ。あの小娘(アウラ)もこの連中には手を焼いておってな。ハッ!まだまだ青二才よ。幸い、ネタはいくらでもある。可能なら我々の手で裁ける(生かして捕らえる)のが望ましいが、方法はそちらに任せよう。この3名を我々の国から排除してほしい』

『レイくん、こういうの得意でしょう?司令官やアリシアちゃんはこういう前線基地の外での依頼は受けてくれなさそうだし困ってたのよね。それに彼、見ての通りだいぶお爺ちゃんだからうちの娼館も利用してくれないし』

『……ふん。お前は相変わらずだな。ええ?ルディアよ。……まぁいい。繰り返すがこれからのエルドラーナに過去の遺物は不要なのだ。儂同様に、な』

 

それが前線基地にやってきた、とあるエルドラーナ評議員からの依頼である。

 

そしてレイの下に集ったこの武装商隊は元が大穴で活動していた盗賊団だけあって、脚が速い。

例え探索部隊と一緒にいる前線基地の司令官相手だろうと音もなく忍び寄って持ち物を奪い、モンスターの群れを縫って逃げ出すくらいお手の物。*2

ならば、気配もなくこっそり忍び込み、この違法物質を大物商人に『プレゼント』して脱出してくることだって楽勝でできるのだ。

 

彼らには普段から前線基地の業者を通さずに資源や武器を供給しているだけあり、こういった突発的な依頼をしても従順に仕事ができた。

一番多く卸しているのは『リサイクラー』に大量に溜まった炭素から造った人工ダイヤモンドや天然の宝石と全く同じ組成の合成石だ。

手軽に作れる割に高く売れるので前線基地に入った頃からこの商隊に卸していたが、マリナが言っていたようにピンクダイヤモンドになるだけでそんなに価値が上がるなら、次からは少しだけ混ぜてみようか。

 

「あとはお前達が指定の時間にこれをここの領主気取りの商人の店と自宅に隠してくるだけだな。これが見取り図でこれが定期巡回ルートだ。これが魔法で確認した何らかの悪事の証拠が保管してあるはずの金庫の場所とその解錠コード。ないと思うが、見つかったら催眠石を使って黙らせろ」

「わかってるよ、お頭。だってもう次で3箇所目だぜ?」

「へへっ、毎回お頭準備がいいな!まるで大穴にいた頃と人が変わったみてぇだ!」

 

そして今そのエルアテネロは税の監査の時期らしい。

国からやってきた監査人が、大物商人の店と自宅から違法物質、ついでに今までの数々の悪事の証拠を発見する。

問題は監査人もグルだった場合だが、その時は急に()()()()()()()もらおう。

 

「そして騒ぎが大きくなったら、変装した俺が街の住民も扇動してこの大物商人の商会と腐った警備隊を襲撃する。まともに訓練もしていないこいつらは大穴の連中と比べたらただのカカシだ。お前たちは騒ぎが始まる頃にいつもの売り物(蜂起用の武器)を積んで街に入ってこい」

「いいぞお頭!あの街を悪党から解放してもっと豊かになってもらおうぜ!」

「オイラたちには関係ないことだがなー!」

「ヒャハハハッ!商売繁盛だ!」

 

こいつらの侵入は明日の夜で監査は明後日の午前中。

ならば長年の悪徳に曝された住民が邪悪へ正義の鉄槌を振り下ろすのは、来週くらいだろうか。

 

なんてことはない。

だいぶやり方は違うが、元の世界でレイが地球連邦軍に対してやっていた工作活動の一部が、この世界の大物商人相手になっただけだ。

邪魔な大物商人は破滅し、これで少しは前線基地への支援の手が増えるだろう。

 

──この時は、そう思っていた。

 

*****

 

レイにとって恋人も結婚も特権階級だけの概念だった元の世界では、男女関係(セックス)なんて1対1での持てる全力を尽くしたスポーツでしかなかった。

だが、今は違うのだ。

レイはこの世界で、同じように異世界からやってきた1人の女性(ヒマリ)を愛した。

そして、その女性(ヒマリ)に愛された。

 

そんなヒマリに誠実でありたいと思っているのだが、対人戦闘で手を抜く(使える手段を使わない)のは失礼だというレイの器質と、魔力を使えば使うほど性欲とザーメンが溜まる体質の関係でつい娼館で娼婦を全力で抱いては、また自分の虜にしてしまう。

娼婦と客の関係ではあるのだが……。

そんな悩みを、レイはこの前線基地へやって来てそう経ってない頃、ヒマリとの絆の追憶を結晶化させた頃に、同性の司令官と恋人のヒマリ相手に司令官室で相談したことがあった。

 

「ずいぶんと贅沢な悩みだな。どうもお前は思っていたより真面目らしい」

 

司令官はレイの相談に、最初はからかうように軽口で答えていた。

しかし、レイがヒマリへ真摯でありたい意志を聞き届けると、こちらもまた真剣な面持ちで答えたのだ。

 

「……まあ、なんだ。お前が誠実であろうとするのはいいが、肝心のお前の恋人、ヒマリにも聞いてみたほうがいいだろう」

 

ヒマリもレイの瞳をまっすぐに見つめながら答えた。

 

「おにーちゃんがわたしを大好きなのは、よくわかってるよ。ただその、正直言うと、おにーちゃんのセックスってすごいから、ヒマリ1人じゃおにーちゃんを受け止めきれなくて……。だからね、おにーちゃんが娼館でたくさんの前線基地の女の人を抱くことには全然反対しないよ?それにおにーちゃんは別にヒマリ以外の人もお嫁さんにする、ってつもりはないんでしょ?」

 

レイは首肯しながら答える。

 

「そうだよヒマリ。俺の一番をヒマリ以外の誰かに譲るつもりはないかな」

「うん!それが聞けて嬉しい……!だったらね、大丈夫。それにおにーちゃんは娼館でも人気だから、ヒマリだけのものーって言ったら、他のみんな、泣いちゃうよ?」

「……ふふ、まぁ確かに。ルディアさんも売上がーって泣いちゃうかもね」

 

ヒマリの返事に、レイは彼女の頭を優しく撫でていた。

 

そして後日。

レイはマリナを虜にし、彼女との絆の追憶を結晶化させた。

 

*****

 

「あたしもシティライフしたいんですよ」

 

マリナを抱いた日から2日経ち、武装商隊と仕込みをやった翌日。

レイの目の前では爆乳をカフェのテーブルに押し付けながら、エルドラーナの新聞記者エメルダがジト目のままストローで冷たいラテを飲んでいた。

 

前線基地にいきなり左遷された彼女はいつか都会に返り咲くことを夢見ているが、今のところその機会はなさそうだ。

いや、正確には前線基地の醜聞を掴んでこいとは言われているけど、別にここの生活も悪くはないし、司令官もイイし……。

 

「オシャレなカフェでラテをテイクアウト……は今レイくんと飲んでるからいいですけど。ブランドショップは巡りたいし、スムージー片手にスイーツ巡りもしたいし、ヨガとスパでリフレッシュしたいんですよ〜!」

 

ぢゅ〜っとストローでラテを吸いながら、彼女は目の前の念動力使い(サイキッカー)を見つめた。

おまけに司令官ときたら、いきなりやってきた自称婚約者(クレハ)とホウライまで遥々デートときたものだ。

今はなんか鬼ヶ島でプロデュースをやってるとか。

モテるのは知ってるが、帰ってきたら埋め合わせもしてほしい。

 

でもこのレイくんだってかなりいい男だ。

まず顔がいい。

鍛えてて強いから、大穴探索で一緒なら守ってもらえる。

細かいことにも結構気が利く。

お金もたくさん持ってる。

夜だってすごい。

合コンにいたら迷わず選んでいただろう。

それにエメルダの秘密の趣味にも理解を示してくれるし。

 

今だって、急に絡んだのにむむむと困り顔になりながらも真剣に考えてくれている。

19歳だと聞いているが、時々彼はどこか子供っぽい仕草が出るのだ。

いつもはカッコいいのにちょっと可愛い。

 

「うーん、1つちょっと行ってみたい街があるんだ。エルアテネロっていう街なんだけど、エメルダさんは知ってる?」

 

レイは直近の目的地としてエルアテネロを挙げた。

恐らく明日には、国からやってきた監査人にテネロ5世が手錠を繋がれているだろう。

悪行の数々が広まって住民が蜂起するまでの間にもう一度下見をしておきたい。

落ち着いたらヒマリと一緒にデートするのもいいだろう。

 

「エルアテネロ?あー、エルドラーナ有数の貿易港がある、観光にも力を入れている都市ですね。陽気な人が多くて、毎日お祭り騒ぎみたいに賑やかで。まぁ、普通に過ごす分にはいい都会ですよ」

 

普通に観光する分にはいいのだ。

ただ、エメルダとしてはエルアテネロは少々勧めにくい点があるのも確かだ。

 

「エルアテネロはですね……街の警備隊がマフィアというか、マフィアが警備隊をやってるというか。賄賂を払えないと警備隊が何もしてくれなかったり、逆に揉め事をわざと起こされたり。結構好き放題やっていますね。なので、表通りはキラキラしてるけど、裏通りの薄暗いほうに踏み込んだら、金!暴力!無理矢理ナンパ!の欲求を煮詰めたような場所が広がってます。まぁ裏通りじゃなくても夜の女の子1人歩きは止めといたほうがいいですね」

「うぅん、そうなんだ」

 

裏通りは女性にはあまりお勧めできないかもしれない。

少なくともヒマリを近づけたりはしないだろう。

 

「でもそれだけじゃないんですよ。海沿いだから魚介料理が美味しいとか、伝統の泡が溢れる前に飲み干すレモネードにテネロピッツァも有名で!とにかくご当地グルメに恵まれてますよ!」

「ああ、食べ物は大事だよね。この世界の食べ物は美味しいし。せっかく旅行をするんだから、美味しく食べられるに越したことはないなぁ」

 

ちなみにまだ大穴第三階層の防災備蓄倉庫にいた頃、ヒマリにはレイが異空間収納魔法に保管していた標準的な23世紀の食べ物をあげたことがある。

ヒマリ曰く『すごく絵に描いたようなディストピア飯』だったらしい。

 

「それにしても詳しいね、エメルダさん」

「そりゃぁ、記者ですし。キラキラのシティライフ目指してる身なんですよ、こっちは」

 

他にもエメルダは、エルアテネロにはメインストリートには有名なお菓子屋さんがあるだとか、高級ブランドショップの支店が多いとか、治安の良いエリアには地元の新鮮な果物が並ぶ青空市場や大型複合店舗もあるとか、こちらをあざとくチラチラ見ながら教えてくれる。

 

ブランド品、服、香水、アクセサリー、化粧品、靴、鞄……。

どれも魅力的だ。

ヒマリやマリナに何か買ってあげようかな。

 

「それにエルアテネロといえばビーチリゾートもあります。あの辺は大穴みたいに魔物はいませんから、スパでゆっくりしてから楽しむといいですよ。そうしたら、夕方からは夜景を見ながらロマンチックなディナーを楽しむんです。……例えば、この私と!」

 

自信たっぷりなエメルダが、新芽のような若緑色の髪を揺らしながらニコニコとレイを見つめた。

 

「いいよ。エルアテネロでデートしよう」

「ほ……本当ですかぁ!?約束ですよ!いつ行きます!?」

 

まさか本当に行けるとは思っていなかったのか、エメルダの表情がパァァッと明るくなる。

そして、アメジスト色の瞳をキラキラ輝かせながら慌ててポケットからメモとペンを取り出し、レイの答えを今か今かと待っていた。

 

「じゃあ明日行こうか」

「明日!?え、なら今夜の娼館出勤キャンセルしないと……!」

 

彼女は思わず立ち上がりかけ、慌てて腰を下ろした。

 

「あ、ごめん。急すぎて都合が悪かった?」

「全然大丈夫ですっ!あと娼館のほうも大丈夫です!いざとなれば取材ということで経費で落とさせてもらいますっ」

「そっちは厳しそうだね」

 

2人で笑い合う。

経費は冗談だとは思うが、エメルダは割と本気かもしれない。

 

とても楽しそうなエメルダと共に、デートの予定を決めていく。

まぁ流石に今日の明日でビーチリゾートの予約は取れなかったが、あとは流れだ。

朝イチのスパと夜のレストラン予約と海沿いのコテージを抑えられたのだから十分すぎる。

ちなみに予約はレイが今現地へテレポートして取ってきた。

税の監査シーズンでちょっと雰囲気がピリッとしているだけあって、ちょうど微妙に空きがあったのだ。

 

エメルダが、アメジスト色の瞳を輝かせた。

 

「行きましょう、エルアテネロ!最高の密着取材にしてみせますよ!」

「期待してるよ。じゃあエメルダさん、明日。楽しみにしてる」

「はい!あたしも楽しみにしてますねっ!」

 

ニコニコ笑顔のエメルダだったが、去り際にレイが漏らした言葉でその表情も引き攣った。

 

「よかった。ヒマリともデート行きたいから、下見に行きたかったんだ」

「……あ、なるほど!そういうことでしたかぁ……ははは……。あー……うん」

 

彼女は小さくため息をつき、再びラテを口に含んだ。

 

──これで彼に大本命の彼女さん(ヒマリちゃん)がいなければ、もっとよかったんですけどねぇ……。

 

そう心の中で呟きながら。

でも、まぁいいだろう。

娼館とはまた違う、コテージで二人っきりの夜だ。

それで、彼の身体に密着取材でヒマリちゃんとの夜のことも根掘り葉掘り聞き出してみて、お仕置きとかをされちゃったり?

きっと、楽しいデートになるはずだろう。

うん。

 

*****

 

エルアテネロ。

 

そこはまるでいつもお祭りのようにキラキラと光り輝く街だ。

賑やかな音楽が流れ、カラフルな建物が立ち並ぶ。

大勢の観光客たちが行き交い、楽しそうに話し声を響かせる。

美味しいレストラン、高級なブティック、魅惑的な香水の香りが漂うブランドショップ、煌びやかな宝飾店が並ぶ。

確かにここには、シティライフの華やかさが詰まっている。

 

しかし、この街には裏の顔がある。

それは華やかな表通りの裏側に隠れた暗い路地だ。

そこでは欲望の渦巻く危険な街並みが広がっている。

 

エメルダ自身が事前に話していたように、警備隊なのかマフィアなのか、それとも本当に兼任しているのか分からないような連中が賄賂を受け取る代わりに、無数の犯罪を見逃してきた。

その結果、裏社会の闇が深く広がってしまったのだ。

 

──なんで今そんな話をしているかって?

 

「どうしてこんなことに〜〜!?」

「エメルダ!舌を噛むぞ!」

 

普段の記者服や娼婦服と同じ、レイを悩殺するためのセクシーなラズベリー色のビキニを着ているエメルダ。

その彼女が、スラリとした部品がくっついたパワードスーツ越しにむっちりした太ももとややだらしないデカい尻を押し付けながら、レイの背中に座っていた。

念動力で風を下に押し付けて飛行するレイが、海面スレスレの超低空飛行で大きな水飛沫を上げていて。

そこにエメルダがカメラを持って彼の背に馬乗りしているのだ。

もちろんレイの念動力のおかげでエメルダが速度や風の影響とか波を被ることはない。

 

「そうも言いたくなりますよぉ!」

 

──これがエルアテネロでのマリンスポーツかアクティビティかって?

──冗談じゃなーい!

 

今日のつい数時間前、このエルアテネロでは税の監査があったらしい。

それはいい。

ここの大商会の主、テネロ5世は結構なやり手だ。

悪行三昧なのは確かだが、いつも証拠を掴ませない。

だから、いつものように今年の監査もやり過ごすのだろうと誰もが思っていた。

 

ところが、最近エルドラーナでは別々の都市で2人の巨悪が相次いで悪事の数々の証拠を掴まれて逮捕されていた。

そこで、エルアテネロの監査には前線基地にいるカーラの同僚にあたる、海と沿岸を守る共和国警備隊30人が同行した。

レイくんが言うには彼の世界にも同じような役目の『海兵隊』とやらが存在したとか。

ただ、共和国警備隊のように女性は際どいビキニアーマーが制服とかではなかったらしい。

 

そんな監査の真っ最中、なんとこれまでいくら探しても隙を見せなかったテネロ5世の自宅と商会から発見されたこれまでの悪行の証拠の数々!

際どいビキニアーマーでデカい乳を弾ませる共和国警備隊に包囲され、最早これまでと悟ったテネロ5世は沖に隠していた私有海賊船団を襲来させてきた!

もちろん私掠船とかではない、本物の海賊。

更にエルアテネロの街の腐った警備隊と裏通りのヤバい連中が手を組んだ上、海賊たちは海から街を焼き払うとまで脅してきた!

降伏するしかなくなった共和国警備隊は全員が捕まり、まとめて檻に放り込まれると、そのままエルアテネロ沖に檻ごと海中へ沈める水中処刑ショーを実行されることとなったのだ!

 

そして運良く、そのどう見ても怪しい檻を積んだ海賊船を、レイくんに写真撮影のためにエルアテネロ沖を海上空中遊泳させてもらっていたこちらが見つけてしまった……というわけだ。

 

──そんなことある!?

 

あるんだなぁこれが!

おまけに海賊船を制圧して、助け出した共和国警備隊の高官はこちらに助けを求めてくる始末!

 

『前線基地の新聞記者エメルダです。こちらは同じく前線基地のレイくん』

『前線基地!?何故こんな遠くに……!?いや、恥を忍んで頼む!実はここを治める悪徳商人の悪事の証拠をついに掴んだのだが、とんでもないモノが出てきた上に我々の想定を遥かに上回る抵抗が起きてな。どさくさに紛れて見つけた証拠だけは隠したが……。どうか頼む!記事もいくらだって書いていいから、鎮圧に協力して欲しい……!先に処刑された監査人は、私の元上官だったんだ……!』

 

朝イチのスパを終えて、さぁまずはビーチで遊ぼう!

いい感じな頃合いでこの際どいラズベリー色のビキニで悩殺して岩陰に連れ込まれて、お股を濡らしてかっこいい年下の彼を誘惑しちゃおう!

その後はおねだりしてレイくんの奢りでブランドショップとスイーツ巡り!

そして夜は……!

 

そんなせっかくのデートプランはぶち壊し!

だばば〜と涙を流しながらも、このエメルダがこんなに大事になった頼み事を断れるわけがないのだ!

だってこっちも泣きたいんだから!

 

*****

 

「ひょぇぇぇぇ!?」

 

エメルダの悲鳴と同時に、戦列艦が火球と化す。

船体の残骸が炎とともに海面へと落ちていく。

爆発音が耳を打つ中、エメルダは記者としての習性でカメラを構え、その瞬間を捉えた。

 

「撮れました!すごいですよ、レイくん!」

「上出来だ。次行くよ」

「うわぁ〜〜〜ん!こんなの映画の中だけにさせてくださいよぉ〜!あたしは従軍記者じゃないんですよ!?」

「大丈夫。君を守るから。それに、記事のネタにはちょうどいいだろう?」

「ネタは欲しいですけど……命の方が大事ですぅ!」

「わかってる。だから安心して撮って、エメルダ。君を落としはしないから」

 

次の瞬間、さらに巨大な戦列艦が視界に現れた。

 

「あっ!?あれって確かエルドラーナでも悪名高い海賊の旗艦ですよ!?こいつもテネロ5世のところの海賊だったなんて!懸賞金チャンス!」

 

甲板からは海賊たちが銃を乱射しているのが見える。

 

「おい!俺らは何もしてねぇ!」

「ちょっとテネロ5世様の悪巧みを手伝っただけじゃねぇか!」

「そうだそうだ!海なら証拠なんて見つかりっこねぇからなぁ!」

「それにエルアテネロじゃ何があってもバレやしねぇよ!」

「……よく喋る連中だ」

 

エメルダも必死にカメラを構え、その全てを捉えようと奮闘する。

そんな彼らの顔が見える距離をレイが旋回しながらフライパスしたのと同時、放たれた砲弾を複数念動力で捕まえていた。

 

「さっき、お前たちの仲間は『たかが2人で何ができる!』って言ってたな」

 

今度は旋回せず、そのまま低空飛行で側面から突っ込んでいく。

先程掴まえた戦列艦の砲弾を、そのままの高度で引き連れ──不意にそれが念動力で加速しながら勢いよく打ち出された!

 

「できるさ!お前たちを、花火にな!」

「あぁ〜!懸賞金が!」

 

巨大戦列艦の側面3箇所に、大砲の砲弾がそっくりそのまま返品された!

火気厳禁、衝撃で爆発する火属性がついた重たい砲弾は高速で船体を貫通して木片を飛散させる。

すぐに戦列艦内側から他の砲弾へと連鎖的に大爆発が起き、甲板の海賊も吹き飛んで巨大戦列艦が炎に包まれた。

轟沈だ!

同時に他の残っていた海賊戦列艦も光の雨を浴びて爆発に包まれた。

 

「見たかエメルダ!花火にしては汚かったな」

「も、もうこうなったら女は度胸です!すごい写真をたくさん撮っちゃいますからね!」

 

火を吹きながら海に沈んでいき、浅いテネロ湾に着底した巨大戦列艦。

エメルダは熱心にその瞬間を撮影した。

確かに懸賞金がパーになったが、そんなものはお釣りが来る。

他の誰だってこれほどの記事は書けないだろう。

海賊退治にエルアテネロの救世主、そして英雄の華麗なる活躍!

読者は必ず食いつくだろうし、あの司令官も部下の活躍を自慢できること間違いなし!

 

「いいぞレイくん!これが特ダネだ〜!」

 

*****

 

この後そこに解放された共和国警備隊を乗せていた海賊戦列艦が念動力で浮き上がって無理矢理テネロ港に乗り上げて強襲上陸を決めて見せれば、もう賊達は退却するしかない。

勝敗はほとんど決まったも同然だった。

 

更に市街戦でレイをお頭と慕う武装商隊が合流し、ヘソクリで用意した魔導爆石を仕掛けて回ったことでエルアテネロ裏通りに潜んだ闇は大爆発で綺麗さっぱり消え去ることになる。

証拠は回収され、テネロ5世も無事逮捕。

エメルダの書いた号外記事もすぐ飛ぶように売れたのだが……。

 

*****

 

「はぁぁ〜!ほんと、今日は厄日でした!」

 

ガツン、と酒の入ったグラスが酒場のテーブルに叩きつけられる。

ここは前線基地。

あの後共和国警備隊との挨拶もそこそこにエルドラーナの新聞社へ号外ニュースを届けたのだが、残念ながらエメルダが期待するような結果は得られなかった。

エメルダの向かいではレイが苦笑している。

その手元にはエメルダが撮影して書いた記事にも使われた、2つの写真がある。

1枚はエメルダが機上撮影した大爆発する海賊船の写真。

もう1枚は爆発炎上する港へ強襲上陸を敢行した共和国警備隊高官、武装商隊のリーダーの男、それにレイ自身の3人。

その3人が大破着底した巨大戦列艦と念動力で空中に浮かんだあの時エメルダを乗せていたスラリとした部品のついたレイのパワードスーツをバックに写った写真だった。

 

「そりゃぁバカンスに行ってたのは認めますけど!前線基地の記事じゃないからボーナスはやるけど昇進も異動もなしはあんまりでしょ!レイく〜ん、お姉さんを慰めてください……」

「よしよし……。観光客も住民も皆避難しちゃったからレストランもコテージも全部キャンセルになっちゃったもんね」

「そうです!それに行けたのはスパだけで、ビーチでの岩陰えっちもブランドショップ巡りもスイーツも食べ歩きもコテージでしっぽりも、全部できませんでしたぁ!ぐすっ……」

「……岩陰えっちは聞いてないけど?うぅん、流石に可哀想になってきたなぁ。今度はゆっくり行こうよ、エメルダ。それに俺は君の活躍をちゃんと見てたよ。きっと次もいい記事が書けるはずさ」

 

エメルダはレイの優しさに心を打たれ、涙が止まらなくなった。

そんな彼女の姿を見て、レイは思わず微笑んだ。

普段は活発で明るいエメルダが、こんな風に弱音を吐く姿を見るのも悪くない。

 

「ありがとう、レイくん……」

 

エメルダは涙を拭うが、流石にいろいろ期待しての今日のは堪えたようだ。

普段は賑やかな性格をしているというのに、今日は素直にしょんぼりしている。

レイはエメルダの肩に手を置き、柔らかく微笑んだ。

 

「じゃあさ、エメルダ。今からでも少し埋め合わせをしようよ」

「え……っ?」

 

レイの突然の提案に、エメルダは驚きと喜びが入り混じった表情を浮かべた。

今からと言えば、娼館しかない。

なんたって、この酒場の上階が娼館なんだし……あと30分もしたら娼館が始まるし。

 

「じゃあ、レイくん……。お願いします。その……、上に行きませんか?」

「そうだけど、その前に1つ買い物に行こうか」

 

レイからの唐突な提案に、エメルダは首を傾げた。

*1
架空の水着イベント用マップ。当然だがこんな街は原作には存在しない。南イタリア風の都市。

*2
この世界線ではやらなかったので、前回司令官は危険なクリスタルを普通に谷で落とした




拡張フライトユニット

スラリとした部品がくっついた状態。
旧ロシア管区出身、地球軍を裏切った『大鷲』の異名をとるエース風魔法使い(ウィンドライダー)から借り受けた予備機用拡張パーツ。
パワードスーツ1機を背中に搭載可能。
レイの機でも規格が合うため装着できるが、念動力使い(サイキッカー)では専用武装は使用できず魔力燃費とカッコ良さ以外の性能向上は僅かに留まる。

今度返せよと約束した彼は3日後に地球軌道上でかつての仲間に討たれ、約束がもう叶うことはない。
実力差は天と地なのに、妙に優しかったその壮年の男を、レイはその超絶マニューバと共にまだ覚えている。

彼が実の父親だったことを知る機会は二度とない。
この翼が、地球の風を掴むことも。

だが、大穴が真に時空を超えて向こう側に辿り着けるなら。
エメルダの記事を飾ったその勇姿が、いつかどこかの彼に届くかもしれない。


ダイジェスト気味なシーンがあるのは「なんでドットアビスで対艦戦から強襲上陸かましての市街戦を長々書いてるんだ」なシーンをかなり削ったせい。
後半は今日中には投稿します。
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