※この作品はR-18です。

『Fate/Desire of Thunderbolt』   作:山嵐のハイオーク

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第25話:『逆襲の連環、胎動する不条理の尖兵』

「──こうなったら、徹底的に残る各拠点(霊脈)を潰して回って、あの金の化け物(ライダー)に流れ込む魔力量を、可能な限り減らすしかないわね★」

 

翌朝、ジュリアの部屋のちゃぶ台を囲み、早々に緊迫した作戦会議が執り行われていた。だが、その会議が始まる直前まで、昨夜の濃厚なローションと白濁の残り香が充満する寝室のなかで、一物の衣服も纏わぬ完全な全裸のまま、ヌルヌルに濡れそぼって固く抱き合ったまま爆睡していた刹那(せつな)とアイアス(シールダー)の二人は、ジュリアや宗茂(むねしげ)によって容赦なく叩き起こされ、顔を真っ赤にしながら席に着く羽目になっていた。

 

「昨日の敗戦は手痛かったが……主殿の超肉棒(杭)による、アイアス殿への濃厚な“魔力治療”のおかげで、シールダーの霊基は完全に万全な状態へと戻ったようだな。わしらの連携も、これからはより一層、強固に強化していかねばならん」

 

白金髪の長身の麗人たる宗茂が、寝起きの汗で真っ白な卵肌をほんのりと上気させているアイアスを見つめ、武人としての真剣な眼差しで、けれどどこか嫉妬の微熱を孕んだ声音で告げる。隣ではヴラド三世(ランサー)が不器用そうに腕を組み、そっぽを向いて小さく咳払いをしていた。

 

「……でさ、ウチが昨夜から今朝にかけて観測し直した、街の霊脈の最新ログなんだけど★」

 

ジュリアがクリアな青い瞳を鋭く細め、卓上の地図を指し示した。

 

「バーバ・ヤーガが命懸けで繋いでくれた霊脈のパスのおかげで、敵の拠点の変化が丸分かりなわけ。……驚かないでよ、残るすべての重要拠点に、それを守護する『サーヴァント級の絶大な魔力の存在』が、ついさっき一斉に観測され始めたの」

 

ジュリアのその魔術的な報告に、一同の間に冷たい戦慄が走る。

 

「……なるほどな。それこそが、昨夜あの金の巨神(ホログラム)が言い残していった、奴の『下僕』であり『臣下』というわけか」

 

宗茂が『雷切』の柄を軋ませる。幸いにも、それらの不気味な魔力の気配は、拠点を強固に防衛することだけに特化しているらしく、現時点で街を勝手に徘徊したり、アパートの結界を探し回って進軍してきたりする気配は微塵も感じられなかった。

 

「だけど、じっとしてても向こうの封印が解けるだけで、事態が良くならないことには変わりないしね。……つまり、ウチらが再び、あの地獄の中継基地へ向かって打って出る必要があるというわけさ★」

 

ジュリアの言う通り、実質的にあの最強のライダー(ゴータマ・シッダールタ)さえ打倒してしまえば、この極極東(極東)の聖杯戦争は完全に集結する。その時点で、残っているマスターは轟刹那とジュリア・ペンデルトンの二人(同盟関係)だけになるからだ。

 

「──みんな、行こう。ジュリアさんの言う通り、ここで怯えてじっとしていても、事態は絶対に良くならない。僕たちの未来は、僕たちの手で掴み取るんだ!」

 

掃除中の可憐さを完全に脱ぎ捨て、刹那が日食の瞳に激しい決意の炎を滾らせて言葉を放ったのを皮切りに、六畳一間の空気は一気に前向きな逆襲の熱量へと反転した。

 

「御意ッ! アイアスよ、今度こそ我らの三位一体の武威を見せてやろうぞ!」

 

「はい、セイバー殿……っ! このマスターから授かった命(魔力)を以て、今度こそ往く道を、鉄壁の守護で切り拓いて見せます!」

 

アイアスは黒のボディスーツをメリメリときしませ、衣服の上からでもその形が全うに判るコニカル美乳の尖端と、真っ白な卵肌の超巨尻を力強く引き締めた。こうして、敗戦の屈辱を最大の糧とした5人は、ライダーへ流れ込む魔力のバイパスを遮断するため、まず一つ目の重要拠点を電撃制圧すべく、アパートの日常の境界線を越えて再び猛然と出撃するのだった。

 

◆アパートの日常の境界線を越え、5人が電撃潜入を仕掛けた第一の重要拠点。その霊脈のパスの最深部に陣取っていたのは、あの金の鎧の覇王──ゴータマ・シッダールタの面影を色濃く残す、端正で冷徹な顔立ちをした一人の青年であった。

 

「──来たか。運命に迷える子よ」

 

青年は、潜入してきた刹那(せつな)たちを日食の如き深淵の瞳で見据え、傲然と、けれどどこか楽しげに低く笑った。

 

「お前は運がいいぞ、一人目が俺で本当に良かった。お前が父を倒す資格があるか否か──この俺が1番に確かめられるのだからな!」

 

青年は腰に巻いた荘厳な布を軋ませ、その絶大な魔力の威光とともに、高らかに自らの真名を告げた。

 

「我が名はムクティ。釈迦大帝国筆頭政務官、ゴータマ・ムクティである。──いざ尋常に、勝負ッ!」

 

「セイバー、シールダーッ! 今度こそ、前回の反省を生かした完璧な『挟撃』でいくよッ!」

 

「御意ッ! 主殿の往く道を、この雷切で切り拓く!」

 

刹那の鋭い号令が響いた。地下工房での手痛い敗戦の教訓を完璧にリファインした5人は、一切の油断なく初手から最大の連携を駆動させた。白のノースリーブの胸元に魔力を爆発させた最長身(175cm)の長身の麗人──宗茂(むねしげ)が、神速の踏み込みとともに電光の一閃を正面から放ち、それと同時に黒のボディスーツに包まれたアイアスが、その驚異の超巨尻と爆太ももの膂力を以て真後ろへと回り込み、完璧な挟撃の網でムクティの剣戟へと襲いかかった。

 

「クハハハハッ! さすがは一大勢力、だが俺の剣も父の威光の端くれよッ!」

 

ムクティは不敵に叫び、腰の鞘から引き抜いた荘厳な輝きを放つ剣を以て、宗茂の神速の『雷切』を真っ向から受け止め、凄まじい金属音の火花を爆発させながらアイアスの背後からの強襲をも紙一重でさばき、烈しい白兵戦を展開する。一方、ムクティが勝負の瞬間にその肩から鋭く飛び立たせた、あの鮮やかな色彩の『孔雀』──。それが目撃した(必然)、ただの現世の鳥なわけがなかった。

 

「チチチチチッ──!!」

 

怪鳥は不気味な咆哮を上げながら夜空を舞い、その美しくも禍々しい鮮やかな羽を激しく羽ばたかせながら、鋼鉄の硬度を持った無数の『鋭い羽根』を弾丸の如き速度で全方位へと撒き散らした。

 

「──フン、怪鳥の羽風ごときが、王たる余の槍衾を貫けると思うなよ」

 

ヴラド三世(ランサー)が闇夜に実体化し、その荘厳な黒い装いの下から強靭な両腕を突き出して、迫り来る羽根の嵐をすべて自らの槍の回転で叩き落とし、凄まじい火花を散らす遠距離戦を真っ向から演じた。

 

「ギァァァァーーーッッッ!!!」

 

槍に阻まれた孔雀が、今度はその巨大な嘴から、霊脈の底を灼き尽くさんばかりの凶暴な『紅蓮の炎』を激しく吹き付けた。

 

「──そんな大火事魔術、ウチの解析の前じゃただのライターの火と同じわけ★」

 

ジュリアがそのクリアな青い瞳を鋭く細め、Kカップの重厚な胸元をシアーブルゾンの下で激しく弾ませながら一歩前へと踏み出した。彼女は迫り来る炎の魔術式に対し、指先から回路の光を放って『構造化』から『改ざん』までを一気に1秒足らずで完璧にこなし、その紅蓮の火柱を空間ごと内部から完全にハッキングして無力化させ、刹那の真横を鉄壁の魔術で凌ぎ切るのだった。大魔女のパスを以て始まった、逆襲の第一拠点戦。シッダールタの放った実の息子、筆頭政務官ムクティの剣戟と孔雀の猛攻を、敗戦を糧に極限まで高め合った5人の三位一体の武威が、今まさに真っ向から力任せに押し留めようとしていた。

 

◆ゴータマ・ムクティという人物は、私たちが知る汎人類史の記録には存在しない。いや、より正確に言うならば──汎人類史において実の父親から『障害(ラーフラ)』と名付けられ、城に置き去りにされる宿命を背負ったあの孤独な子が、武力統一を成し遂げた覇王の異世界においては、無限の愛を与えられ、真逆の意味を持つ【『解放(ムクティ)』】の名を授かって誕生したのである。偉大なる父の寵愛を一身に受け、素晴らしい成長を遂げて大帝国の筆頭臣下となった青年。

 

「はっはー! なかなかに楽しいものだ! やはり戦いというものは良いな。これも全て、この俺に武の極みを授けてくださった父上のおかげだ!」

 

宗茂とアイアスの苛烈な挟撃をその身に受けながら、ムクティは全細胞を歓喜に震わせ、日食の瞳をぎらつかせて豪快に笑った。だが、その刹那、彼の纏う魔力の密度が爆発的に跳ね上がる。

 

「──けれど、お互いそろそろ、しまいにしよう。決めるぞ、ヴィムクティ(我が救済の翼)ッ!!」

 

ムクティが天に向かって烈しく叫ぶと、孔雀は主の元へと戻り、その肉体へと完全に融合を果たした。ムクティは剣に紅蓮の炎を纏わせて極大の一撃の構えを取る。対する宗茂、アイアス、ヴラド三世の3騎もまた、一切の容赦なく同時にその真名(宝具)を開放した。

 

ドゴォォォォォォォォンッッッッッ──!!!!!

 

第一拠点の霊脈の最深部で、凄まじい絶大魔力の激突が真っ向から巻き起こった。激しい力の激突の末、ゴータマ・ムクティはその強大無比な肉体の半身を失い、床のタイルへと無念に跪いた。

 

「かは……っ。あっぱれ……だったぞ、おぬしら……ッ! ヴィムクティも、満足そうだ。──父上、俺は一足先に、あの世で待っています……ッ!」

 

最期に清々しい笑みを浮かべた青年は、その肉体を無数の黄金の光の粒子へと変え、夜空へと消え去っていった。こうして第一の拠点は完全な制圧が完了したのだった。だが──彼らはまだ気づいていなかった。次なる重要拠点の闇の奥では、前戦で刹那の超肉棒の前にあまりにも惨憺たる敗北を喫したあの暗殺者──『耽惑のハサン』が、シッダールタの仕掛けた最凶の呪縛の檻のなかで、ただ虎視眈々と、己が獲物の到来を狂おしく待ち望んでいるということを──。

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