こうなってしまえば、もう止めることはできない。
本番までいかないように、何度かイかせてあげようか。
脳内に、感情の読めない無機質なシステム音声が響き渡る。
【天界の美容液の効果を発動しますか?】
【あなたの精液を生殖目的ではなく、美容効果のあるものに変更することが可能です】
いや、無理だ。今後一生子どもを作れないとなると話は違う。
【任意で切り替えることが可能です】
──ああ、なるほど。そっかそっか。うんうん。それなら──遠慮しなくていいよね?
【精液を生殖目的から、美容効果に切り替えました】
よし。それなら万が一の妊娠のリスクも完全に排除できる。
おまけに美容効果まであるなら、彼女にとってもプラスしかない至れり尽くせりの機能だ。
有栖は先ほど、「今日、私はあなたにすべてを捧げると誓いました」と言った。ならば、その覚悟に全力で応えてあげるのが男としての礼儀だろう。
それに、僕にはまだこのタイミングで試しておきたいことがあった。
【神の手】
有栖は先天性の心疾患を抱えており、身体が極端に弱い。だから日常的に杖をついている。
まずはこの【神の手】の1回目の効果を使い、彼女のその根深い不調を完全に治せるか試してみよう。
発動条件である『対象の胸に1分間手を置く』という制約も、今の状況ならごく自然に──いや、むしろ濃厚な愛情表現として実行できる。
僕は薄暗い間接照明の下で、自ら衣服を脱ぎ捨てて覚悟を決めた少女を見つめた。
ここからは彼女の様子を見ながら、たっぷりと愛してあげようか。
「......お願い、凪くん。私を、狂わせて......」
懇願するように、祈るように。
私は彼の唇へと、自らの柔らかな唇を重ね合わせた。
ちゅっ、という水っぽい小さな音が、静寂に包まれたリビングに響き渡る。
触れ合った唇から、凪くんの熱が直接私の体内へと流れ込んでくるような錯覚に陥った。
私は彼にすべてを委ねるため、自らTシャツを脱ぎ捨てた。上半身には、もう私を守る布切れ一枚すら存在しない。
冷たい室内の空気が火照った肌を撫でるが、それ以上に、至近距離から注がれる彼の瞳が、私の全身を焼き尽くすように熱かった。
「有栖......本当に、綺麗だよ」
凪くんの吐息が私の肌を撫で、低い声が鼓膜を甘く震わせる。
その言葉だけで、私の下腹部の奥底がキュンと甘く疼き、脳の芯が痺れるような感覚に襲われた。
天才と持て囃され、他者を見下してきた私。誰もが私の知性にひれ伏し、同時にこの身体に同情の視線を向けてきた。
けれど、彼は違う。
彼は私を哀れまない。ただ一人の対等な『女』として、狂おしいほどの熱情を込めて見つめてくれている。
彼の手が、ゆっくりと持ち上がった。
けど、すぐには触れてこない。
焦らすように宙を這う彼の指先が、まずは私の華奢な鎖骨をツーッと滑り、激しく脈打つ首筋を優しくなぞる。
「っ......なぎ、くん......」
「どうしたの?震えてるよ」
彼は私の反応を面白がるように薄く笑い、そして、まったく成長していない私の貧相な胸へと、優しく、本当に愛おしいものに触れるかのように添えられた。
「あっ......ぁ......」
びくりと、肩が跳ねた。
私が心の底から愛し、渇望してやまない男性の手が、私の最も無防備な場所に触れている。
その事実だけで、頭の中が真っ白になりそうだった。
しかし、凪くんの手はただそこに添えられただけで、ピタリと動きを止めてしまう。
じわりと伝わってくる彼の体温。次に来るはずの快感を求めて身体が強張るのに、彼はあえて何もしない。
「......有栖、どうしてほしい?」
耳元で囁かれた意地悪な問いかけ。私が自分から屈服の言葉を口にするのを、彼は待っているのだ。
「わ、わかり......ません......っ」
「嘘だ。こんなに心臓の音が早くなってるのに」
凪くんの長くて綺麗な指先が、私の小さな双丘を包み込む。
ひんやりとした空気に晒されていた肌が、彼の熱でじっくりと溶かされていく。
そして、先端の薄桃色の突起を指の腹でゆっくりと、円を描くように撫で始めた。
「んんっ......な、凪くん......そこ......っ」
「有栖はここが感じるんだね。可愛いよ」
優しい声とは裏腹に、指先の動きは残酷なほど焦れったい。
ほんの少しだけ爪を立てたり、わざと触れるか触れないかの距離を保ってなぞったりと、私の理性をじわじわと削り取っていく。
焦燥感で息が詰まる。もっと強く触れてほしい。
そんな恥ずかしい感情が込み上げ、無意識のうちに私から胸を押し付けようとしてしまう。
「ちがっ......ひゃあっ!」
その瞬間を見計らったように、親指と人差し指で、コリコリと少しだけ強めに摘み上げられた。
「あ......ああっ......!」
電流が走ったかのような鋭い快感が背筋を駆け抜け、私は思わず凪くんの首にすがりついた。
「自分からすり寄ってくるなんて。でも、そういう有栖も好きだよ」
今まで味わったことのない、未知の快楽。
彼の指先が動くたびに、胸の奥から甘い痺れが湧き上がり、呼吸が荒くなっていくのが自分でもわかる。
主導権など、最初から彼の手の中にしかなかった。
私はただ、彼が与えてくれる快楽と焦燥に、ひたすら翻弄され続けることしかできないのだ。
その時だった。
──ふわりと、身体の芯から不思議な温もりが広がっていくのを感じた。
それは、彼の愛撫による快楽だけではない。
もっと根本的な、生命の源から湧き上がるような強烈なエネルギーの奔流だった。
物心ついた時から私を縛り付け、苦しめ続けてきた心臓の鈍い重たさが、嘘のようにスッと消え去っていく。
鉛のように重かった四肢が羽のように軽くなり、呼吸をするたびに新鮮な空気が細胞の隅々にまで行き渡る感覚。
(な、なに......これ......?)
身体の調子が、信じられないほどに良い。
まるで生まれ変わったかのように、全身に活力がみなぎっている。
凪くんの手が私の胸に触れ、彼が私を愛してくれているという絶対的な幸福感が、私を病魔から解放してくれたのだろうか。
愛の力。そんな非科学的で下らないものを、今の私なら無条件に信じてしまいそうだった。
彼が触れるだけで、私はこんなにも満たされ、健康になれる。彼という存在そのものが、私にとっての万能薬なのだ。
「はぁっ......ぁっ......凪くん、凪くん......っ」
身体が軽くなったことで、彼から与えられる快感がより一層鮮明に、ダイレクトに脳髄に響くようになった。
乳首を転がされるたびに、脳が真っ白に明滅する。
だが、私は坂柳有栖だ。ただ一方的に翻弄され、与えられるだけの存在でいるつもりはない。
この場において、彼と対等に渡り合うためには、私からも攻め込まなければ。
「ふふ......凪くん、そんなに焦らなくても......私が、リードしてあげますから......っ」
私は震える腕に力を込め、凪くんの広い肩を押し倒そうとした。
彼をソファーに組み伏せ、私が上から彼を支配してあげる。
そう意気込んで体重をかけた──次の瞬間。
「えっ......?」
視界がぐるりと反転した。
気がつけば、私の背中は柔らかいソファーのクッションに沈み込み、視界の上には凪くんの顔があった。
いとも容易く、全く抵抗すら許されずに体勢を逆転されてしまったのだ。
「ごめんね、有栖。今日は僕が全部やってあげるから。君はただ、僕に身を委ねて気持ちよくなるだけでいいんだよ」
「あ......」
優しいけれど、絶対に逆らうことのできない眼差し。
その圧倒的な雄としての力と支配力を見せつけられ、私が必死に保とうとしていた主導権はいともたやすく粉砕された。
悔しい。けれど......それ以上に、彼に完全に組み敷かれているという事実が、私の内にある雌としての本能を強烈に刺激する。
「んっ......んちゅ......ぷぁ......っ、んんっ......」
彼の顔が近づき、息つく暇もないほどに深い、深い口付けが落とされた。
唇が貪られ、僅かに開いた隙間から強引に彼の舌が侵入してくる。
私の口内の粘膜を隈なく舐め回し、逃げようとする私の舌を絡め取り、吸い上げる。
唾液が混ざり合い、チュプ、と卑猥な音が耳元で響くたびに、脳味噌がドロドロに溶かされていく感覚に陥った。
「はぁっ......なぎ、くんっ......だめ、そんなに深くっ......」
息が続かない。でも、離してほしくない。
彼の匂い、彼の熱、彼の味が私の中を満たしていく。
私の両手は彼の背中を掻き毟るようにしがみつくことしかできず、主導権を握るどころか、自分の理性を保つことすら不可能になっていた。
「有栖、ベッドに行こうか。ここじゃ狭いからね」
唇を離した凪くんが、私の身体をいとも簡単に抱き上げた。
お姫様抱っこ。先ほどはお風呂場まで運んでもらった時のように、私の身体は彼の逞しい腕の中にすっぽりと収まる。
だが、今は先ほどとは意味合いが全く違う。
これから私は、彼のベッドで、完全に彼の一部分にされるのだ。
ベッドの上にゆっくりと降ろされる。
シーツのひんやりとした感触が背中に伝わるが、私の体温は異常なまでに上昇しており、その冷たさが心地よかった。
凪くんが私の足首に手をかけ、はいていたスウェットのズボンと、その下の下着をゆっくりと引き下げていく。
「あっ......見ないで......くださいっ......」
最後の防壁が取り払われ、完全な全裸となった私は、羞恥のあまり両手で顔を覆った。
大好きな人に自分のすべてを見られる喜びと、不格好な身体を晒すことへの恐怖が入り混じる。
「隠さないで、有栖。君のすべてを僕に見せて」
優しく、けれど強制力を持った声で顔を覆っていた手を退かされる。
彼の視線が、私の首筋、鎖骨、胸、お腹、そして......下にゆっくりと這っていく。
見られているだけで、そこが熱く火照り、蜜が溢れ出してくるのがわかった。
「綺麗だ。本当に、どこもかしこも完璧だよ」
「凪くん......あぁっ......」
彼の指先が、私の秘所へと触れた。
びくりと腰が跳ねる。
濡れそぼった花弁を優しく押し開き、敏感な真珠のような突起を指の腹で弄られる。
「んああっ!だ、だめっ、そこは......っ!」
「有栖、すごく濡れてる。僕に触られて、こんなになってるの?」
「いじわるっ......言わないで......ああっ、んんっ!」
クチャ、チュプ、と水音が響く。
彼の巧みな指遣いに、私の身体は意思とは無関係に弓なりに反り返る。
快感の波が次から次へと押し寄せ、思考が白く染まっていく。でも、ここで完全に流されてなるものか。
私は──彼にただ愛されるだけの女じゃない。私が彼を愛すんだ。ベッドの上なら、今度こそ。
「......次こそは......私のペースで......っ」
私は指の愛撫でガクガクと震える足を必死に動かし、彼の上に跨ろうと試みた。
馬乗りになり、私が見下ろす形で彼を包み込んでみせる。
そう決意して腰を浮かせた瞬間だった。
グンッ、と腰を強い力で引き寄せられ、私は再びベッドに沈み込んだ。
「だから言っただろう?有栖は大人しくしていればいいって」
「あっ......」
凪くんは私の両足を大きく開き、その間に自らの身体を滑り込ませた。
そして、熱く硬く猛っている彼のおち......分身が、私の入り口へとピタリと当てられる。
大きい。こんなに大きいのが.......私の中に。
「有栖......入れるよ。少し痛いかもしれないけど、力を抜いて」
「は、はい......っ。私を......凪くんの、ものにしてください......」
私は彼の首に腕を回し、ギュッと目を閉じた。
ゆっくりと、ゆっくりと、彼が私の中に侵入してくる。
経験したことのない異物感と、引き裂かれるような鈍い痛みが走る。
「痛っ......うっ......ぁ......っ」
「大丈夫、すぐ気持ちよくなるから。息を吐いて」
彼は私の涙ぐんだ目尻にキスを落とし、痛みを和らげるように何度も何度も優しく言葉を囁きながら、少しずつ奥へと進んでいく。
そして、ついに最も深い場所、処女膜を突き破り、彼が私の最奥へと到達した。
「あぁっ......!」
繋がった。
今、この瞬間、私は完全に神代凪という存在と一つになったのだ。
痛みよりも、私を満たす彼の圧倒的な質量と熱が、どうしようもないほどの歓喜を呼び起こす。
彼という存在が私の中を埋め尽くしたことで、頭の中に浮かんでいたことはすべてが消え去っていった。
「有栖......動くよ」
「あっ......はいっ......あぁっ!」
彼がゆっくりと腰を引き、再び最奥へと打ち付ける。
そのたびに、私の中から甘い声が漏れ出す。
最初は痛みが先行していたが、彼の巧みな動きと、先ほど私の身体を満たしたあの不思議な活力が合わさり、痛みは瞬く間に強烈な快楽へと変換されていった。
「ああっ......ああっ......凪くん、凪くんっ......!すごいっ、奥がっ、いっぱい......っ!」
「有栖のここ、すごく締まってて......熱いよ。最高だ」
「はぁっ、あぁっ!もっと......もっと、私をめちゃくちゃにしてください......っ!」
パンッ、パンッ、と肌と肌がぶつかり合う卑猥な音が寝室に響き渡る。
彼が突くたびに、私の脳髄は快感で痺れ、視界がチカチカと明滅する。
彼が私を見下ろす瞳には、私への底知れぬ愛情と、すべてを支配する王としての嗜虐心が入り混じっていた。
私が求めていたのはこれだ。
自分のすべてを理解し、自分のすべてを破壊し、そして再構築してくれる絶対的な存在。
彼の下で、私はただの雌として鳴き声を上げる喜びに打ち震えていた。
「ああっ......くるっ、私、おかしくなっちゃう......っ!」
「いいよ、有栖。思い切りイッて」
「ああっ!あぁぁぁぁっ!!」
彼の激しい突き上げと共に、私の胎内で何かが弾けた。
目の前が真っ白になり、全身の筋肉が硬直する。
子宮がビクビクと痙攣し、彼を強く締め付ける。初めての絶頂。それは私の想像を遥かに超える、凶暴な快楽だった。
「はぁっ......はぁっ......なぎ、くん......っ」
絶頂の余韻でガクガクと震える私に対し、凪くんの動きは止まらない。
むしろ、さらに激しさを増して私を責め立ててくる。
「ひゃあっ!?待っ......まだ、余韻がっ......!」
「有栖が可愛すぎるのが悪いんだ。まだまだ終わらないよ」
「あぁっ!だめ、そんなに激しくされたら......っ、また、イッ......ぁああっ!」
二度、三度と、容赦なく絶頂へと追いやられる。
休む暇など一切与えられない。
快感の波が引く前に次の波が押し寄せ、私の意識は快楽の海の中を漂流し続けていた。
ここで、私は最後の抵抗を試みた。
このまま彼に振り回され続けて気絶してしまう前に、一度くらいは彼のペースを崩してやりたい。
私は彼に強く抱きつき、彼が腰を引く瞬間に合わせて、自らの腰を深く押し付けた。
動きの主導権を奪い、私のリズムで彼を翻弄してみせる。
「......ふふっ、凪くん......どうですか......?」
荒い息を吐きながら、私は挑発的に微笑みかけた。
だが、凪くんは一瞬だけ驚いたような顔をした後、ひどく意地悪な、それでいて魅力的な笑みを浮かべた。
「有栖は本当に負けず嫌いだね。でも──お仕置だよ」
「えっ──」
直後、凪くんは腰の角度を僅かに変え、私の中の最も敏感な一点、未だ触れられていなかった未知の領域を正確に、そして強烈に抉り上げた。
「っっっっ!?!?!?」
声にならない絶叫。
今までとは次元の違う、脳の血管が弾け飛ぶかのような破滅的な快感が全身を貫いた。
主導権を握るどころか、私は一瞬にして全ての思考能力を焼き切られた。
「あぎっ......ひぃっ......!?だめっ、そこ、だめぇっ!!」
「そこってどこかな?」
「おまんこっ.....!壊れちゃう!あぁっ!ああっ!おかしくなるっ......私、こわれ、ちゃっ.....!おまんこ、ぐちゃぐちゃにされてる.......っ!」
口から卑猥な言葉が出てしまった。そんなことを考える余裕さえない。
私はただ、神代凪という神に蹂躙され、快楽を与えられるためだけの肉の器に成り下がっていた。
彼が突くたびに涙と涎が垂れ流しになり、手足は痉挛したようにピクピクと震えている。
「有栖......僕も、出るっ......!」
「ああっ......凪くんの......ぜんぶっ、私の中に......出してぇっ!!」
最も深い場所へ、彼の灼熱が打ち付けられる。
ドクン、ドクンと、彼から熱い液体が私の胎内へと注ぎ込まれていくのがわかった。
「あぁぁぁ......あぁぁぁぁぁぁっ......!!」
あたたかい。心地よい。
彼の一部が私を内側から作り変えていく。
私は完全に、彼のものになったのだ。彼なしでは生きていけない身体にされてしまった。
彼の精液でどろどろに満たされ、まだ微かに痙攣を続けている。
「凪くん......凪くん......っ」
私は涙に濡れた顔で、愛しい人の顔を見つめた。
もはや、彼以外なにも見えない。彼以外なにもいらない。
「好き......愛して......ます......私を、永遠にあなたのそばに......っ」
坂柳さん
坂柳さんは最初は絶対に隠語は言わないor少なめだと思う。