ゆるく生きたい貞操逆転モノ 作:ロリ巨乳最高
当作品は何でも許せる心の
「……この場に集まった物好き共。先に言っておく」
「口下手で面白味のある挨拶などできんから短めにしよう」
「俺は例の
「俺は大層面食いだからだ」
「それとやかましいのと話しの通じないバカのは嫌いだ」
「俺が馬鹿だから話す時は通じるように話せるくらい利口でいろ」
「操縦桿を握っていられるなら従ってやる。気に入らなければ歯向かうがな」
「俺は俺の気に入った奴しか相手をするつもりはない」
「平等に扱うことなどない」
「俺の人生は有限であるからだ」
「あるのは堅実な代り映えのない日々だ」
「面白味などないだろう」
「だが、一つ約束してやる。献身があるのであれば応えてやろう、それがいつになるかは分からんがな」
「故に、この場に来たのが打算だろうが何だろうと気にはしない」
「一度去った奴を迎え入れてやるほどの度量はないがな」
「精々俺の元が貴様らの付き従う場所として足りるか精々残りの学生生活で見極めると良い」
「以上だ」
今から約半年前、突如として現れた普通と言うには容姿の整い過ぎた男:結城ユウリ。
その男は女性に襲われ入院すると記憶を失った。
だが消えたのは記憶だけではなく、共に女性への忌避も消えたのだ。
そして男性の繁殖総合能力“SS”の評価が与えられ、何をとち狂ったか『すべての女性に喜びを知ってもらう』などと言う大それた目標を掲げ
その余波は凄まじい。
CMに出れば商品が爆売れし、曲を出せばランキング一位になる。
理想の男性像として描かれた漫画の主人公を演じれば原作再現だと多くの女性の股を濡らした。
結城ユウリは
余波は女性だけではなく、彼以外の男性の元にも降りかかった。
第二第三の
ある種ゆるく、ある種厳しくなった繁殖総合能力検査は現役世代の男性の一斉再検査が実施されたのだ。
その再検査によって多くの男性の評価が変動した。
今しがた会場に訪れた女性に対して挨拶をした男:桜田ゴウシもBからA+に評価が改められた者であった。
―――くっそ、Bでも十分にゆるくのんびり生活できるはずだったのに。
―――随分と余計なことしてくれたな
事故で空になった器へ病弱な男が入り結城ユウリとなったのと近しい頃、不摂生であぼーんし空っぽになった器に偶然にも入った男が居た。
それこそが桜田ゴウシ。
社会の荒波にもまれ、未来に希望何て持っていないどこにでもいるアラサーの精神が混入したのだ。
とにかく楽して生きたい。
太めの家の婿になるもよし、搾性とか言うディストピアな男性の義務で国から貰う金でだらだら暮らすもよし。
ゴウシはとにかくストレスフリーで自分の欲望に忠実に生きたいと願っているのだ。
それでも曲がりなりにも社会人をしていた影響か、ゴウシは下半身に忠実すぎる外道になれない小市民なせいで断るに断れない残念な性格をしていた。
ウキウキと絡みにやってくる
そこそこ外道な事しているはずなのにおめめキラキラしてよってくる美少女たち。
―――緩く楽して生きていきたいだけなのに……!
これは大きな山も谷もない男女比ぶっ壊れ貞操逆転世界にやってきてしまった男がどうにか幸せになるまでのお話。
〇 〇
『貞操逆転モノ』と言うジャンルを知っているだろうか。
男が性欲つよつよを表に出す現代の風潮から逆転した女性が大変肉食な状態になっている状態を指すジャンルだ。
貞操逆転モノでオーソドックスなものは男女比が逆転……どころか大変おかしなことになっているのが大半。
女性の比率が男の倍どころではない比率になっており『男は希少種』『性に強いのが激レア』が極めて鉄板だ。
要は“周りはふにゃちんだらけだけど俺性欲強いから人生イージーモード”と言うやつである。
DTや弱男と揶揄される特有の『男性の比較されたくない』『強制的入れ食いなら美少女にかまって貰っても違和感が少ないのでは』と言うある種の理想形だ。
創作のテンプレート的の様な要素がある程度出来上がるほどには一定の人気得ているジャンルなのだ。
肉食女子に嫌気を覚えた美男子と並行世界の病弱な男が入れ替わることで世界にやってくるパターン。
生まれた時から女性だらけで近親相姦が当たり前といったパターン。
事故って空っぽになった肉体にインしちゃって記憶喪失でゴリ押すパターン。
世界が嫌になって自〇した肉体にインしちゃったパターン。
元々の肉体のままトリップしちゃったパターン。
色々なパターンが存在する中で私は大変形容しがたいパターンを獲得した。
不摂生であぼーんして空っぽになった肉体に偶然にも入ったパターンだ。
……もうちょっとマシな条件下はなかったのか。
そう苦言を呈したいが、見すぎて見るのも億劫な神様の『うっかりごめーん☆』転生ではないため文句の矛先がない。
私も私で熱中症であぼーんしたらしいのが最後の記憶なので人のことをとやかく言えないのがまた悲しい所だ。
若い頃じゃ考えられなかった暑さの中ブルーカラーな仕事なんてするものじゃない。
そう考えるとエアコンガンガンに効いた空調の中、中々美人なクールな女性に心配されながら目を覚ましたことだけは救いなのかもしれない。
だが私がこの世界で得た肉体、桜田ゴウシはとんでもない体をしていた。
一言で言えばピザデブ。
『ピザでも食ってろこのデブ!』と罵られること間違いなしな巨漢だ。
このピザデブは男性の繁殖総合能力と呼ばれる男性の一生を決める検査にて上位17%に入るランクBを獲得したことからちやほや育てられてきたらしい。
男女比ぶっ壊れのせいで他の男性とまともに比較されることもほぼ略なく過ごしてきたせいか断られることに対して一切の耐性がなかったのだ。
共学の中学校に進学し、気になる少女に高圧的に俺のものになれと声をかけたらバッサリお断りされ、引きこもりになりギリ二桁を維持していた体重はあっという間に3桁突入のピザデブの出来上がりって訳。
ゴウシは男女比ぶっ壊れ世界特有の女性同士の同性愛者が子を望んで国から提供された種で孕んだら男の子だった。
男を国に捧げると報奨金として月給所得者が生涯に稼ぐ平均賃金の1/4くらいを一括で支払われるため、軽く国に売り払われ『国有保証男児』になっている。
この国有保証男児と言うのは様々な人権保護団体と争った歴史を持つ制度で、国に捧げられた男子が文化的で健康的な最低限+αの生活を保障する代わりに搾性と呼ばれる定期的な精液の献上が求められる制度だ。
その制度の中に『15までに性交を行うことを禁じ、国の指定する相手と性交を行ってもらう。18までに妻を一人以上も設けなかった場合、国の指定する相手と一人以上婚姻を行ってもらう』とか言う童貞オークションにかけられちゃう項目が存在していたりする。
ヤベー制度のせいで引きこもることに対し、国の税金で生きる男児は特にどうこう言われなかったりする。
政府としてオークションで得られる利益は莫大なものなのだから。
その事実を理解したのは立ち入り禁止とまでしていたゴウシの私室は端っこにファイリングされ埃を被っていた国有保証男児に関する制度解説書を読んだ時。
美人なクールな女性に強制連行され、検査入院で3日病院のベットで過ごした日を含めて2週間後のことであった。
かと言ってピザデブな上、矮小な身で何かできる訳もない。
ゴウシは部屋の大掃除と身体の健康維持のためダイエットを行う他に道はなかった。
不健康は人生を送るうえであらゆるデバフだからだ。
〇 〇
そんな事実を認識してからおよそ2年が経過した。
この2年間はある意味では暇はなかったとも言えるし、暇を持て余していたとも言う。
朝起きて、運動して飯食って運動してシャワー浴びて通信の授業受講して……みたいな引きこもりにしてはそれなりにまともな日々を送っていた。
前世……と定義していいのかは分からないが、ゴウシが肉体労働者をしていた頃に比べれば健康と言う面では圧倒的にマシだと思われる。
酒は飲めない、煙草も吸えない、3食オーダーの範疇かつ健康的な食事が出てくる。
ジムの様な運動施設もマンション内に併設されており、予約さえ入れれば自由に利用していいという環境。
これで健康にならない方がおかしい。
と言うかゴウシはどうやってここまで健康を崩してアボンすることになったのやら。
そう疑問に思えば記憶が偏食を拗らせ、コーラとポテチまみれだったと回答してくる。
ランクが上位であるためストレスを覚えさせないという名目でそれなりに嗜好品は許されていたらしい。
……コレで仮にゴウシが本当に死んでいたのであれば国有保証男児に関わる条文の健康に関する項目に大きな制限がかかっていたことだろう。
ほんの少し前までは現場監督をしていた身だ、馬鹿が無謀なことして周囲の首が絞められて変な資格が爆誕する流れはよくよく理解している。
なし崩しと言うか強制的にこの身になってしまったが、自身の馬鹿で周囲に面倒だけはかけてはならないと自戒するべきだ。
ゴウシではなく“私”の感性に大きく影響するところなのだが、この世界男性向けの娯楽がクッソ少ない。
それもそうだ割合で言えば人口の1割にも満たない少数の需要に対して供給が発生しないのだから。
漫画やアニメ、特撮なんかも存在するがベースはやはりこの世界の女性向け。
ゴウシは特撮系が好きだったらしく、部屋の
サブスクの類いなんかもそれなりに存在し、国有保証男児は基本無料で視聴できるのだが感性が、感性が致命的に合わなかった。
男はあまりにも神格されている……両極端……ホモ同人の方がもうちょいマシだったかも知れねぇと前世のオタク成分が眉を顰める。
なよっとしてたり甘い系過ぎてカッコいいと思えないのだ。
それに比べ運動に関してはこのピザデブ結構動けたのだ。
前世の自分も重量物を運んだり、悪路を走破することに関してはそれなりにできる方だと思っていたが大本の骨太と言うか、ナチュラルに基本性能が違った。
アスリートが黒人相手に基礎性能を見せつけられるに近しい感情を覚えたのは確か。
成長期の年齢であることもあってか動けば体重は減るし、筋肉痛の後は背は伸びる。
ボディメイクと言えば良いのかガチムチのボディビルダー体型ではなく実用的なしなやかな筋肉がついてくる。
要は目に見える成果と言うのが面白いくらい出るのが楽しくて仕方がなかったのだ。
当人比としてロクな娯楽がないので運動に性が出る。
ついでに言えば健康体になった影響かこの世界の男性的“性”の要素にも大きく寄与してきた。
皮を被り、腹の肉に埋もれるような
原因は一体何だろうか。
脚部は第二の心臓と呼ばれるくらい血流に影響するらしいし筋トレの影響だろうか……?
前世でも成長期に太さと長さが増加した覚えはあるが成長の度合いが……なんと形容すればいいのやら。
若い頃はデカさが正義だと思っていたが、ある程度年齢を重ねてくるとデカさよりも如何に勃起を維持することと連戦能力がものを言うと感じていたのでそこらへんはどうでもいい所だろう。
健全な精神に健全な肉体が宿るとか多分そう言うもん。
私自身が健全な精神であるかは一考の余地はあるが。
この2年で背はぐんぐん伸びたし、体重も身長比で言う所のBMIも標準になったのは良い所だ。
若い代謝って素晴らしい。
アラサーが見えてくると体重全然減らねぇから。
前世の節制の精神でチートデイと称した日以外は自制しているがとにかく脂身が辛くないのがとにかくうれしい。
……こてこての〇郎系が恋しくなるが、国に賄われて食事を用意されているので文句は言えない。
気を抜くと大食い気絶部に入部しそうになってしまう。
代謝と言うか燃費のお陰で今の所リバウンドの気配がないのが良い所ではあるが。
そしてこの2年間を回想して思った。
『あ、これある種の獄中みたいなもんだ』と。
向こうの獄中と違うのは“搾性”と呼ばれる性を吐き出し提出することだけで他は自由。
自由ではあるが、その自由から選べるものとは……?
精神完熟して腐り落ちかけてる私の感性で見つけられる娯楽が運動と食事くらいなものなのだから、この世界の男性的に感じる娯楽とは一体何なのだろうかと疑問に思ってしまう。
否、そう思わざるを得なかった。