※この作品はR-18です。

ゆるく生きたい貞操逆転モノ   作:ロリ巨乳最高

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通称『童貞オークション』.1

 

 水無瀬(みなせ)ルミは妹の姑息な嫌がらせで初体験……もとい結婚相手が決められた。

 

 始まりは共学に進学したモノの、遊び惚けるばかりで婚活がまるで進まないアミが「男の人と縁結んで‼」と母に泣きつき、国有保証男児の入札を行わせたことに起因する。

 

 

「――――お母さま、今なんと……?」

 

「あのバカはやらかした」

 

 

 端的に言えばルミが築いたコミュニティをアミがNTRしやがった。

 

 

 ――――だってあのキモデブと結婚するとか死んでも御免なんだもーん!

 

 

 一発殴ろうとしたが、奴は上手い事やって腹に子種を入れてきたため殴ることもできなかった。

 

 

「計画的、だったのだろうな。真面目に勉強はしない癖にこう言ったことだけは……本当にすまない」

 

「……仕方のない事なのでしょう」

 

「ああ、お前には迷惑をかける」

 

「構いません、所詮種などただの遺伝子に過ぎないのです」

 

 

 遊び惚け男を囲う努力をせず、他校の姉の築いたコミュニティに入り込み姉の狙っていた付属高校の男子と寝やがった。

 

 あのバカは行動力だけはある。

 

 

「一つ、確約して頂けるのであればアミを生涯顔を合わせることのない遠方に飛ばしてください」

 

「ああ、もとよりこんなことを仕出かしたんだ。縁を切って牢獄等にぶち込むさ」

 

「……もとより森羅家の慈悲で組み込ませて頂いていたんです、それくらいしないと示しがつかないでしょう」

 

「まったくもってその通りだ。頭が痛い」

 

 

 言葉通り眉間の皴を解すようにしながら母は頭を抱える。

 

 

「あのクソの性根がここまで腐っているとは」

 

 

 母は手元に置かれた一枚の紙を手に取る。

 

 そこにはアミが希望した男子の情報が記載されていた。

 

 桜田ゴウシ。

 

 アミの進学した中学でクラスメイトになり一目ぼれした相手と詐称して水無瀬として入札を行わせたのだ。

 

 その実態はアミからルミに対しての嫌がらせ。

 

 それなりに出来の良い方だと自覚していたルミもここまで馬鹿をやらかすなんて思ってもいなかった。

 

 

「廃嫡前提……いえあの子は正妻でも狙ってたのでしょうけど」

 

 

 アミはルミに対する嫌がらせとしてルミの男を取り、醜悪な外見の男をルミに押し付けた。

 

 既に入札は完了しており、その事実を覆すことはできない。

 

 当家の25歳未満の健康な女性である姉は既に婿を取って子がいる身、アミも既にお手付きになったため他の男性との性交渉は認められない。

 

 長男である弟は男であるため無理で、末妹もまだ初潮前。

 

 故に残っているのはルミのみ。

 

 

「森羅家との外交だったって言うのに、お陰でこっちはトウヤの妻の一枠埋められちまった」

 

「ほんとうに余計な事しかしませんねあのカス」

 

 

 竿姉妹になり、同じ男性を支えることで仲間意識を覚え家同士の結び付を強固にする。

 

 それは名家の時期当主以外に求められるお仕事であった。

 

 だと言うのにカスのせいで色々とご破算になったのだ。

 

 

「これで外交として私は水無瀬の役に立つことはできませんね」

 

「本当にすまない」

 

「あの子の尻を拭うのはこれで最後ですので」

 

 

 国の物流を担う水無瀬は他家の信頼が無くては話にならない。

 

 よくして頂いた森羅家の次期当主の怒りを買い、森羅の次女が可愛い弟の正妻になることはほぼ確定と言っていいだろう。

 

 当初水無瀬家が描いていた図は馬鹿のやらかしで一気に消え去った。

 

 これでカスの目論見通りルミは桜田ゴウシと言う男以外の性を受けることが出来なくなる。

 

 あの見た目から不摂生で亡くなることがあれば別ではあるが、男性の不足するこの世界において他の性を受けた腹に別の男の性を入れることは恥ずべき行為なのだ。

 

 

「せめて舵くらいは握れればいいのですけど」

 

 

 正直に言えば性など繁殖に必要な一つのパーツに過ぎない。

 

 名家外で言えば顔も知らぬ男の性を受けることだって珍しくないのだ。

 

 最低限顔を見て認知させることができるだけ良しと思うしかない。

 

 

 生まれた家の役目は役目と割り切っても、これでもそれなりに結婚と言うものに憧れを抱いていた乙女だったのに。

 

 

 水無瀬ルミは最悪の気分で深く頭を下げる母の頭部を見ることになった。

 

 母は母でストレスを覚えたのかちょっと白髪が見えた。

 

 

 

 

 ▲

 

 

 

 

 避けることできない実質的な結婚。

 

 これは劣等感を覚えた妹による嫌がらせ。

 

 女としてまともで幸せにしてたまるかと言うルミの立場を利用した完全な嵌め技。

 

 

 落札してしまったものは受け取るしかない。

 

 国有保証男児の初夜権、俗にいう童貞オークションは原則として再入札が行われない。

 

 ましてやこちらは入札したのだから“やっぱなし”なんてこともできない。

 

 男性側も覚悟している運命の日なのだから粗雑な対応など名家の令嬢として生まれた水無瀬ルミには出来なかった。

 

 

「……遅いですね」

 

「落ち着きなさい」

 

 

 未婚の女性の第一礼装である振袖に袖を通し、薄く化粧をしたルミがぼやくと隣に座る母は肘でつついてくる。

 

 権利行使日、水無瀬系列の最上位に位置する和風ホテルのラウンジを顔合わせの場にしたルミはやってくるはずの男性を待ち、予定時間から1時間が経過しようとしていた。

 

 相手の男性は時間にルーズなタイプ。

 

 ルミの桜田ゴウシに対する評価がまた一つ下がった。

 

 

 正直帰りたい。

 

 次期当主である姉とは別でそう重荷がある訳ではないが、将来は家の発展に寄与する仕事をしたいと考えているルミにとって一方的に時間を絞られることに我慢がならなかった。

 

 それに挨拶について来てくれた母も多忙な身なのだから時間を無駄にしないでほしいと不機嫌でしかなかった。

 

 怒りが頂点に向かいかける頃、舞踊の習い事くらいでしか聞かない下駄の音が聞こえた。

 

 これだけ待たせる醜いあの容姿の男はどんな弁解を述べるのだろうか。

 

 いや、男と言う生き物がまともに謝ることはないか。

 

 その面を拝んでやろうとルミは一瞬俯きよそ行きの顔を作りそちらを覗いた。

 

 

「遅れました。初めまして桜田ゴウシです」

 

「はひゃあ」

 

 

 淑女とはとても言えない生娘の様な声を思わず零してしまう。

 

 事実生娘ではあるが。

 

 その場に現れたのは手元でクシャりと音を立てる彼のプロフィールに移る顔写真とは似ても似つかないとんでもない美形だった。

 

 着流しを羽織り、とても背丈が高く、うすのっぽと言う印象を覚える要素はないしっかりとした肩幅だと言うのにその整った顔は小ぶりで等身の高さを感じさせる。

 

 甘い顔と言う訳ではないし、ヘラヘラとした軽薄な様子を浮かべる訳でもなくその男性は至極真っ当で真面目な表情を浮かべながらこちらと視線が合うとゆっくりと頭を下げたのだ。

 

 

「この度はこのような立派な場所にて顔合わせの機会を作って頂き感謝を申し上げる。そしてここまで到着が遅れた説明はこちらの国有搾性管理センターの者が――――できますね」

 

「は、はい」

 

 

 感謝と謝罪が入り、頭を下げたまま男性はいつの間にかいたらしい国有搾性管理センターの方に説明を促した。

 

 ……ビジュアルの暴力に負けて気が付かなかったわけではない、決して。

 

 

 〇

 

 

 はわ、はわ、乙女の様に初々しい娘を見れば先ほどの怒りっぷりは一瞬にして消えたな、などと浮かべる水無瀬家当主:マナは呆れながらも状況の把握に努めた。

 

 顔を上げて席についてほしいと声をかけ、対面に座る男性を見ながら確認をしていく。

 

 事前に掴んでいた情報とは違う、3女が希望した自己管理のなっていない醜い男とはいても似つかない偉丈夫は説明を始めた国有搾性管理センターの職員に冷めた目を向けながらその言葉に耳を傾けていた。

 

 

 彼が遅れてきた事態は想像以上に深刻な国有搾性管理センターのやらかしが存在していた。

 

 マナとしては権利行使日に逃げ出す男性や不貞腐れてぶっきらぼうなもの、果てには粗相するものなど珍しくはない事を知っていた為、高々一時間の遅刻など気にも留めていなかった。

 

 だが、この少年は顔合わせの予定時刻の半刻ほど前には準備を済ませられるようにこのホテルに足を運んでいたという。

 

 それでも何故1時間もの間我々が待ちぼうけを食らったのか。

 

 国有搾性管理センターの怠慢、隠ぺいである。

 

 センターの地域担当官が目ぼしい変化を覚えた彼の情報をブロックし、内々で得ようとしていた為、変化を覚えた彼に対して情報の齟齬が発生し、容姿の不一致であるとして替え玉が疑われた。

 

 本人確認のためDNA鑑定などの手間をかけたのが事件の真相と言う訳である。

 

 職員がその説明を役所仕事と言わんばかりに如何に責任から逃げようと言葉を選んでも彼からの鋭い言葉でたじたじになり、しまいには泣いてしまった。

 

 泣いてなお責任を果たせと冷たく真っすぐに話しを進める彼の顔に娘は相変わらず惚れこんだように呆けているた。

 

 あまりにも淡々と詰めるものだからこちらが口を挟む暇もなかった。

 

 

「……様々な責を問いたいところだが、後日書面で納得できる説明を。そして騒動に巻き込まれた水無瀬家に被害が及ばない最大限の配慮を求める」

 

 

 その説明のすべてを受けた彼は深くため息をつきながらそんなことを言うのだ。

 

 マナは自身の保身で色々と出来そうなものだと言うのに、この少年はひどく生真面目なのだと好感度は上がった。

 

 

 こちらからも何か要求されるのかと職員は涙で化粧がぐちゃぐちゃになり、肩で呼吸をしていた。

 

 男子に理不尽に詰められることはあっても明らかな瑕疵を追及されながら詰められるのは中々来るものがあるのだろう。

 

 マナは飽きれ同じように書面にまとめること、後日話をまとめようと言ってその場から追い出した。

 

 

「さて、本来であればホテルの一室にご案内……と言う場合も少なくないがこの場では当家と縁を結ぶメリットについて説明を行いたい」

 

「はい」

 

 

 この制度は国有保証男児と実質的な婚姻を結ぶことに繋がる制度ではあるが、あくまで実質。

 

 相性問題であったり、何らかの問題点があれば男児が成人する18歳時に婚姻を結ばせる相手として国の指定から外される場合もない訳ではない。

 

 あくまで婚姻相手を指定する権利を握っているのは現状国だ。

 

 政治的思惑なんかでも選出基準は変わることだろう。

 

 現状水無瀬家が入札して獲得したのは“落札した男児の初回性交権”と“搾性で提出された遺伝子の優先供給権”

 

 そして性交において芳しい成果が見受けられなかった場合の“政府指定の婚姻相手選出基準筆頭権”

 

 本気で囲い込みにかかるのであれば現時点で15歳を超え婚姻する権利を得た男児と明確な婚姻を行う、もしくは条件付きのお約束をすることが必須だ。

 

 

 元々この場は3女の嫌がらせのため、性交のフリ(・・)と遺伝子供給についての交渉を行い、口を固く縛らせることを目的としていた。

 

 ……性交に前向きであればフリではなく実際に性交を行うために一番いい部屋は押さえてはいるが。

 

 が、振って来た牡丹餅と言えば良いのか結果として超格安入札になったため、これを利用しない手はない。

 

 一目ぼれしたと言わんばかりのルミを見ていればこのままスイートルームにぶち込むのは確定と言っていいだろう。

 

 

「一番のメリットと言えば贅沢に関してよほどのことが無ければ叶えられる程度には裕福な家の後ろ盾が得られる。……まぁ、次期当主にはこの子の姉が就くことが決まっているからそう責任のある立場に据えることはできないがね」

 

「……自身としてもそう大きなことをしたい訳ではありませんので」

 

「ならうちの子はちょうどいい塩梅かもしれないね。長女の方が旦那を既に娶っているから公の場に引っ張られるようなことはない」

 

「……」

 

 

 そう言うと余り表情は動きはしなかったが彼の表情から一つ緊張に似た何かが落ちたように見えた。

 

 これは……。

 

 

「目立つことや上に立つことはお嫌い……であっているだろうか」

 

「……はい」

 

 

 マナはその表情を見て一つ気になったことを聞けばそれは的を得ていた。

 

 先ほどの立ち回りを見れば勿体ないとしか言えないが、彼は目立つことを好まないらしい。

 

 アドリブを多く含むような要素も苦手、と言った所だろうか。

 

 5大財閥の一角の当主としてそれなりに人の様子を見慣れたマナは彼のことをそう評した。

 

 

「そのうえで申し上げるならメインに据えられることはなく、程々の位置でしっかりとした後ろ盾を得ることができるのが当家として最大のメリット、と言った所かな」

 

「左様ですか」

 

「当家として与えられることのできるものはそのほかにも細々としたものもあるが……まぁ、そんなものだろう。あ、娶らねばならない妻も当家の分家筋から用意することも可能だ」

 

「そうですか」

 

 

 緊張は覚えているようで彼の額にはうっすらと汗が浮かんでいた。

 

 長女がこれに近しい性質であり、社交的な男子として婿を迎えたのとの対比に見える。

 

 まぁ、取り繕うことができるだけ優秀と言えよう。

 

 

「逆に当家から要求することはこの子、今日契ってもらうルミとの愛称くらいのものだ。君が首を縦に振るならバンクからの優先供給権を振って貰えるとなおいいと言った所かな」

 

「はい」

 

「なんてウダウダと話しているよりも当人同士で話を進めると良いだろう。上のカギだ」

 

「―――ふぇ!?」

 

 

 この子は口数は少ないが理性的で硬いが、悪い男ではない。

 

 突いて内を探るのは娘に任せた方が仲が深まるだろう。

 

 懐からICチップ式のルームキーを取り出し机の上を滑らせ彼の元へ送ればようやく呆けから返って来た娘が声を上げた。

 

 

「後はお若いお二人で」

 

「お、お母さま!?」

 

 

 人生で言ってみたかったセリフの幾つかに入るだろう言葉を告げ席を立てば、慌てて机に手をつき立ち上がる娘と静かに腰を上げ頭を下げる桜田ゴウシの姿が映る。

 

 

「もとよりどうなっても構わん、好きにやれ」

 

 

 久方ぶりに良い男を見てしまったからか些か口が軽めになってしまったと自戒し、娘にそう告げマナはゆったりと席を外した。

 

 

 

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