※この作品はR-18です。

女友達がパパ活やってるらしいのでダメ元で頼んでみたら   作:東雲(しののめ)

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第1話:プロローグ

 女友達がいるのは素晴らしいことだ。

 

 学校生活を楽しく送れるのはもちろんとして。

 性別が違うだけで物の見方が結構違うので、一緒にいると自分の視野や価値観が広がる気がするから。

 ……なんて言うと真面目ぶっているみたいだが。

 

 僕は平凡な高校二年生だが、性欲ありあまる十代男子でもある。

 女友達がいると素晴らしいと思うのには、実はもっと大きな理由があって――

 

「――はよーっす。オタクくん元気―?」

 

 早朝の教室に一番乗り。

 自分の席で本を読んでいると、クラスメイトの軽快な挨拶が飛んできた。

 

「あ。おはようございます。早瀬(はやせ)さん」

「はよはよー。てか今日めちゃ暑くね? まだ梅雨明けたばっかりなのに」

 

 彼女の名前は早瀬セナ。

 特徴としては長い金髪やキラキラの爪――

 緩めにしたネクタイは谷間をのぞかせ、スカートはパンツが見えそうなくい短い……と、彼女を一言で表すなら『ギャル』がふさわしい。

 

 見た目は若干クール風なものの、中身は明るくてノリの良い美少女だ。

 そして同時に――僕の隣の席の人物でもある。

 

「で、オタクくん、朝からなに読んでんのー?」

 

 身をよせて、横から覗き込んでくる。

 その際に金髪がさらりと揺れて、ほんのり香水の匂いと、女性特有の甘いフェロモンが鼻腔をつく。

 これだけでもう男心がくすぐられるわけだが。

 

 ――今日も(、、、)、おっぱいが、腕に当たってる!

 

 これが、女友達がいると素晴らしいと言った最大の理由。

 

 ――エッチなイベントを、ときどき味わえること!

 

 友人として会話をするだけでも楽しいに。

 その上さらに、偶然とはいえ、今のようにおっぱいも味わえる。

 ちなみに早瀬さんはパンチラも多く、隣の席になってから何回Tバックを見せてもらったことか……。

 

 そういうわけで、僕は真面目でも達観している人間でもない。

 女友達は、己の視野を広げてくれると同時に、こういう役得イベントを生じさせてくれるから素晴らしいのだ。

 これは相当キモい考えだと自覚しているので、もちろん人には言わないが……。

 

「あ! これ今日発売の『グラッフラーズ刃鬼(ばき)』の新刊じゃん!」

「は、早瀬さん、声が大き……まだ他の人はいないけど……」 

「ごめごめ。学校に漫画持ってくるのはマズイもんね」

「うん。ただコンビニで見つけて、どうしても早く読みたい欲が抑えられなくて――」

「分かるよー。今の刃鬼は特に良いとこだし。黙っとくから後であたしにも貸してよ?」

 

 もちろんだと頷く。

 なにせ正反対な僕と彼女、日陰者とギャルが友人になれたのも――お互い大の漫画好きだったから。

 

 昨今みんなの趣味は、切り抜き動画を観るとか、SNSで暇潰しとかばかり。

 僕たちのようなガチの漫画好きは減っているのが現実で、隣席になってすぐ意気投合したものだ。

 

「校則でダメだと分かってても、漫画への愛ゆえに漫画を持ってきちゃう。オタクくんのそういう時々ぶっ飛んでるとこマジ好きだわー」

 

 それから早瀬さんは席につくや、鞄をゴソゴソと漁る。

 そして中から取りだしたのは一冊の本で――

 

「友達なんだから、もらいっぱなしは良くないよね」

「そ、その本って、まさか先週発売の復刻版『超・漢塾(おとこじゅく)』ですか!?」

「声でかいってー」

「す、すいません……でも書店でもネットでも即完売。僕も買えなくて……」

「ふふーん。二つ隣の県まで探しに行ったんだよー?」

 

 そう言って早瀬さんは、その本を渡してくる。

 どうやら僕が本を貸すので、そのお返しとしてこれを貸してくれるらしい。

 

「ありがとうございます。でもそんな遠くまで行って大変じゃなかったですか?」

「時間はそんなに。新幹線とタクシーをガンガン使ったから」

「し、新幹線……タクシー……?」

 

 漫画への愛すごいな、ギャルのノリの良さってすごいな、と思いつつ。

 そうなってくると、僕に簡単に貸してくれたこの一冊のために、一体いくら使ったんだろうと申し訳なさを感じてしまう。

 

「もしかして、早瀬さんちって大富豪なんですか……?」

「あはは。んなわけ。全然ふつーだよ」

「それなら尚更お財布事情が……しばらく大変では?」

 

 この学校はバイト禁止だし。今月はもう他の漫画は買えないのではと心配する。

 

「よゆーよゆー。あたしパパ活してるし」

「え。パパ活……?」

「あ――――」

 

 気が緩んで言ってはいけないことを言ってしまった。

 そんな表情をして、早瀬さんが慌てて口を押さえる。

 しかしもう遅い。僕は既にその秘密を知ってしまったのだから。

 

「「…………………」」

 

 微妙な空気になって、無言の時間が数秒続く。

 

 ――早瀬セナはビッチである。

 

 実は、そういう噂を周りから何度も聞いていた。

 僕は陰が薄いがボッチではない。

 数は少ないものの、学校内に他にもちゃんと友人はいるのだ。

 彼らの中に早瀬さんと同じ中学の人がいて、彼女に経験豊富な過去があったとは教わっている。

 

「えっとね、そのぉ……なんというかぁ……」

 

 早瀬さんが髪先を弄りながら、気まずそうに言い訳を探すが。

 

「僕は気にしません。今聞いたことを誰かに言ったりもしませんよ」

「え」

「なので、これまで通り仲良くしてもらえると嬉しい……です」

 

 僕は身の程を(わきま)えている。

 ギャルな美少女と恋人関係になりたいなんて、微塵も夢見ていないし。

 ビッチな秘密を知った程度のことで、貴重な漫画仲間を失いたくはない。

 

「やばいねオタクくん……」

「なにがです?」

「ふつードン引きする場面じゃない?」

 

 でも自分は親でも先生でもなければ、警察官や裁判官でもない。

 あくまでクラスメイトで、あくまでただの友達。

 そんな僕が上から目線で、偉そうに注意するのはお門違いってものだろう。

 

「そりゃ驚きはしましたけど……」

「あれか。前からあたしがそういうヤツって知ってはいた感じか」

「まぁ……早瀬さんは目立ちますからね……」

「あちゃー。でもそれを知ってて仲良くしてくれてたんだ。あんがとね」

 

 僕は苦笑いして場を収めようと努める。

 早瀬さんも納得しつつ、まだどうしても難しい顔をしているので。

 

「…………いっそ、しっかり打ち明けた方が楽だったりします?」

 

 臭い物に蓋をするなんて格言があるが、それは一番良くない。

 問題を先延ばしにしているだけで、根本が何も解決していなから。

 中途半端に秘密を明かしてどうしようというぐらいなら、ぶちまけてスッキリした方がお互い楽だろうと思ったのだ。

 

「一理あるね。でもしっかり打ち明けるって言われてもなー……」

 

 何を話せばいいものか、と彼女は首を傾げる。

 

「じゃあオタクくんが何か質問してよ。それにしっかり答えるからさ」

「僕から質問……うぅん。第一にパパ活ってなにするんです?」

「おじさんとデートしたりご飯食べたりしてお金をもらう!」

「ほ、本当にしっかり答えてくれますね……。ではパパ活する目的は?」

「効率よく稼ぐためだね。JKはたくさんお金かかるの」

 

 それから僕も、未知のパパ活世界に興味が湧いてきて、色々質問。

 彼女は素直に全部教えてくれて――

 

「……ちなみに、その……いわゆる……あの……」

「抜きまでしてるかって話?」

「…………で、です」

「してるよ」

 

 し、してるんだ……!

 頭ではそうだろうなと予想していたけども……。

 

「でもあたしはプチのみ。一番多いのは口での奉仕かな。あとは手コキかパイズリかだね。いくらお金積まれても本番はぜーったいにしないよ」

「本番はしない……極論ですけど百万とか積まれても……?」

「一億でも無理だね。とにかく諸事情(、、、)あって本番はできないの。その代わり汚いおっさんのだろうとガッツリしゃぶってやるけど」

 

 お金を貰う以上プロとして仕事はする、とカラカラ笑う。

 実際彼女は、抱えていたものを吐き出せた感じで、とてもスッキリした雰囲気になった。

 ただそれに対し、話をじっと聞いている僕の股間は――

 

「あ、あくまで興味本位で訊きたいんですけど……」

「んー?」

「その、プチとやら……手とか口とかでするのって、どれぐらいの料金で……?」

「一万だよ」

「い、いい、一万!?」

 

 僕は学生で、風俗など行ったことないから相場は知らないけど。

 現役JKのギャル美少女が、一万で抜いてくれるって……これ、だいぶお得なのでは? そんなことないのかな?

 

「ちな、おっぱいやお尻も自由にお触りもオッケーだよ。キスは……あんましたくないんだけど、渋々応じるって感じ?」

 

 絶句しているところ、僕の質問にちゃんと答えようと、詳しく解説してくれる。

 しかしその半分以上は耳に入ってこない。

 己の胸中を支配していた感情は一つ。

 

 ――僕も一万払ったら、彼女はしてくれるんだろうか?

 

 友達としてそんなことを頼んでいいのかという迷いもあるが。

 そもそもの問題として、高校生の僕は、一万円をポンと出せたりしない。

 会社で働き、たくさん稼いでいる大人たちとは、資金力が違いすぎる。

 

 ――貯金をかき集めれば、今後買い物をしなければ、なんとか数回はできるか?

 

 遊びも漫画もやめれば、一ヶ月に一回ぐらいは相手してもらえるかも。

 いやいや、それじゃあ漫画を読むことができない。

 早瀬さんと趣味の会話することも難しくなっていくだろう。

 

「――黙ってどーしたん?」

 

 彼女は前屈みになって、長い谷間を見せつけながら身を寄せる。

 

「やっぱビッチだって引いた? 変に気をつかわなくてもいいよ?」

「い、いえ! そういうわけじゃ……ただ……」

「あー。もしかしてオタクくんもパパ活してみたくなっちゃったとかー?」

「………………」

「あはは。なーんてね。冗談だよ」

 

 冗談でなく僕は真剣に考えていた。

 一万、友情、一万、友情……。

 ここで身を引くのがもっとも安牌な選択、それは分かっている。

 しかし、それでも――ここで勇気を出さなかったら一生後悔する気がした。

 

「早瀬さん。僕も……抜きって、お願い……でき、ますか?」

 

 一生分の勇気を使って、ダメ元でお願いしてみる。

 ただ僕が本当に頼むと思わなかったのが、早瀬さんは鳩に豆鉄砲という表情に。

 

「……マジで、言ってる?」

「は、はいっ!」

「でもあたしら友達だし――」

 

 やはり断られるかと覚悟した。

 ただ彼女は、ここに来て、ようやく僕の股間の変化に気づく。

 さっきから話を聞いてガン勃ち、ズボンに大きなテントを張っていた。

 

「これは本気だね」

「ほ、本気です!」

「うーんどうしよ……それほっとくのは可哀想だし、普段仲良くさせてもらってるし…………ここで断るのはノリ悪い、か」

「と、ということは?」

「いーよ! やったげる!」

 

 やったああああああああああああああああ!

 と、声には出ささないが、心の中でそう叫ぶ。

 

「そうと決まれば……旧校舎のトイレとか、人気(ひとけ)ないし使いやすいかも。とりあえずそこ行ってみよっか?」

「え。それってつまりこれから……」

「うん。ホームルームまで結構時間に余裕あるからね。つかオタクくんの顔に『早くヤリてー!』って書いてあるもん」

「ぅ…………」

「恥ずかしがんなくていいよー。男ってそういうもんでしょー?」

 

 思わず俯いたところ、彼女は快活に笑ってくれる。

 それから僕の耳元に近づくや、甘く吐息をかけて小さく囁く。

 

「――オタクくんのガチガチのそれ、あたしがスッキリさせたげるね」

 

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