設定事項と登場人物の相関関係と第10話で用いた場面描写を例文としてぶち込んで後は抽出したものをコピペした完全AI製です。
誤字誤用チェックしていません。
遮光カーテンが重々しく閉ざされた北翼の御連枝資料室──かつて母である聡子が逃げ場のない快楽に沈められたその密室に、十八歳を迎えた誓子は連れ込まれていた。
「若宮様! おやめください……ッ! 私は……私は六条の娘、女官としてお仕えする身です! このような無体、決して許されることではありません!」
学習院を卒業したばかりの可憐な少女の叫びは、重厚なドアと防音の壁に虚しく吸い込まれていく。幼い頃から兄の友人として、そして何より品行方正な「若宮様」として敬ってきた陸仁の変貌に、誓子の全身は恐怖で凍りついていた。激しく腕を振り払い、身を捩って逃げ出そうとする誓子。しかし、十九歳となり一人の「雄」として成熟した陸仁の圧倒的な力の前では、その抵抗はあまりにも無力だった。
陸仁は嘲笑うような余裕を浮かべ、逃げようとする誓子の細い手首を軽々と片手で頭上にねじ伏せ、寝台の上へと押し倒した。
「無体、ですか。……誓子、其方は本当に何も知らぬのだな。この部屋で、其方の愛する母が何をしていたのかを」
「え……? 母、様……?」
唐突に口にされた母の名に、誓子の抵抗がぴたりと止まった。混乱する瞳で陸仁を見上げる少女の耳元へ、陸仁は冷たく甘い毒のような声を忍び込ませる。
「私の最初の教導者──私の『筆おろし』の相手を務めたのは、他ならぬ其方の母、聡子殿だよ」
「な、なにを……何を仰っているのですか……! そんな嘘……! 母様がそのような、夫を裏切るような真似をするはずがありません!」
「嘘だと思うか? ではなぜ、父上たちが不在の折、聡子殿が理由をつけてはこの北翼に通っていたと思う? この部屋のベッドで、私に教え込んだ知識通りに体を開き、家令の妻としての矜持も捨てて、ただの牝として私に子宮の奥まで突き貫かれていたのだよ。『若宮様、もっと壊してくださいませ』とな」
陸仁の口から漏れ出る、あまりにも生々しく酷薄な暴露。それが単なるブラフではないことを、誓子の脳裏に浮かぶ過去の違和感──母が宮邸から帰ってきた夜に見せていたどこか虚ろな表情や、乱れた衣装の微かな残香が容赦なく証明していく。
「あ……あぁ……っ、そんな……母様が……っ!?」
完璧だった「理想の母親」の像がガラガラと崩れ落ち、精神に致命的な亀裂が入った瞬間だった。激しいショックと絶望で血の気が引き、誓子の身体から完全に抗う力が抜け落ちる。頭の中が真っ白になり、涙だけが溢れ出す少女の隙を、陸仁は見逃さなかった。
「聡子殿が丹念に育て上げたこの私に、今度はその娘である其方が抱かれる……当然の因果であろう?」
陸仁の手が、抵抗する術を失った誓子の衣裳のボタンを無慈悲に外していく。露わになる十八歳の初々しく滑らかな肌。母・聡子の豊満さとは異なる、繊細でしなやかな少女の肢体へ、陸仁の手指が容赦なく這い上がった。
「や……嫌……っ、お父様……母様……っ!」
絶望の悲鳴を上げる誓子の秘所へ、陸仁は一切の躊躇なく、自身の手ほどきによって鍛え上げられた猛烈な熱量と質量を一気に押し込んだ。
「ひぁぁぁぁッ────!?」
激痛と、生まれて初めて味わう異物の質量に、誓子の背中が大きく跳ね上がる。母を破滅させ、自らの純潔をも踏みにじる男の容赦ない貫通。抵抗する気力すら奪われた誓子は、シーツを固く爪立て、涙で視界を濡らしながら、母と同じ背徳の地獄へと容赦なく引きずり込まれていった。
「あぁ……っ! う、嘘……こんなの……嫌ぁッ……!」
初夜の鋭い刺痛と、生まれて初めて子宮の入り口を叩かれる恐ろしいまでの質量。誓子は頭髪を振り乱し、必死に陸仁の逞しい胸を押し返そうと両腕に力を込めた。しかし、かつて幼子として自分たちと共に遊んでいたはずの青年の体躯は、いまや一撃で己を圧殺するほど固く、強大だった。
「暴れるな、誓子。……聡子殿も最初はそのように痛々しく拒んでいた。だが、じきに分かったのだよ。私に抗うことなど不可能なのだと」
酷薄な笑みを浮かべた陸仁は、誓子の華奢な両膝を強引に掴むと、容赦なくその脚を大きく割り開いた。剥き出しにされた十八歳の初々しい秘所へ、母・聡子が自ら仕込み、過酷な実践で磨き上げさせた深さと角度をもって、凶暴な肉塊が容赦なく打ち込まれる。
「ひぐっ……!? あ、あぁぁぁっ! 壊れる……ッ、壊れてしまう……っ!」
「壊れはせんよ。其方の母の胎内がそうであったように、其方の肉体もまた、私の熱を受け入れるために作られているのだからな」
容赦のない突き上げが繰り返されるたび、重厚な木製ベッドが軋んだ悲鳴を上げ、部屋中に湿った水音が低く響き渡る。
母がかつてこの同じ部屋で、この同じ男に屈し、欲望のままに苛まれたという事実──。それが残酷な呪縛となって誓子の精神を痛めつけた。拒絶しようとする理性の裏側で、陸仁が繰り出す容赦のない手ほどきと巧みな指先は、容赦なく少女の未熟な性感帯を暴き立てていく。
汗ばんだ太腿の裏側をなぞり、過敏な粘膜を意地悪く擦り上げる陸仁の手つき。それは他ならぬ母・聡子が、若宮の筆おろしのために伝授した「男が女を解体するための術」そのものだった。母の手ほどきによって完成された猛獣の牙が、いまやその娘である自分の肢体を噛み千切っているという狂おしいほどの背徳感。
「やぁっ……! あ、あぁっ……お母様……助けて……っ、お母様ぁ……っ!」
絶望のなかで思わず叫んだ母の名。しかし、その声は陸仁の獰猛な口づけによって強引に塞がれた。深く口腔を荒らされ、呼吸を奪われ、内側からは激しい突刺が子宮を揺らし続ける。
激痛はやがて、脳髄を白く麻痺させる恐ろしい熱量へと変貌していった。
抗おうと力んでいた爪先がピンと伸び、シーツを掴む指先から急速に力が抜けていく。
「ほう……もう声が変わってきたな。さすがは聡子殿の血を引く娘だ。身体の馴染みが実に早い」
耳元で囁く陸仁の掠れた声には、獲物を完膚なきまでに追い詰めた狩人の愉悦が満ちていた。
一度、深部を強く貫かれた瞬間、誓子の背中が大きく反り上がり、その口から艶っぽい悲鳴が漏れ出た。抗うはずだった細い両腕は、いつしか彼の肩にすがりつくように回され、固く閉じられていたはずの太腿は、さらなる熱を求めて無意識に外側へと開かれていく。
「嫌……嫌なのに……身体が……っ、あぁっ!?」
「嫌がっているのは其方の小さな頭だけだ、誓子。ほら、ご覧なさい。其方のその淫らな胎内は、私の熱を逃がすまいと締め付けておるぞ」
涙で濡れた視線の先で、若宮の漆黒の瞳が冷たく見下ろしていた。
母を失墜させ、自分をただの牝へと堕としめる男。その男の与える暴力的な快楽に、自分の肉体が歓喜の震えを返してしまう恐怖。
正気を繋ぎ止めていた最後の糸がぶつりと途切れ、誓子は深々とした快楽と絶望の泥濘へと、母と同じ足跡を辿って沈んでいった。
寝台の上で何度も波に呑まれ、夜が明ける頃には、誓子は指一本動かす気力すら奪われていた。遮光カーテンの隙間から白む光が差し込み、冷えた室内の空気が汗ばんだ肌を撫でる。
散乱した衣裳の中から、陸仁は静かな手つきで誓子の白い下着を拾い上げると、まるで人形を扱うかのような確実な所作で彼女の身体へと滑らせていった。
「……急ぎ着替えなさい、誓子。もうすぐ朝の見回りが来ますよ」
その声には、かつて学習院の先輩として向けられていた温かさは微塵もなく、完璧に一人の女を解体し尽くした男の圧倒的な支配が宿っていた。
過敏になりきった肌に布地が擦れるたび、誓子の身体は小さく跳ね上がり、甘い悲鳴が喉の奥で押し殺される。陸仁の手によって丁寧にボタンが留められ、何事もなかったかのように「可憐で品行方正な六条家の娘」の形が整えられていく。
「誓子。……これで貴女も、お母様と同じです」
耳元で囁かれたその冷酷な宣告に、誓子の全身に冷たい戦慄が走った。
着替えを終え、鏡の前に立たされた自分の姿——そこには寸分の乱れもない美しい娘の姿があるものの、その内面は完全に破滅させられ、二度と元の自分には戻れないという絶望が刻み込まれていた。
「これからは宮邸に来るたび、この北翼へ来なさい。お母様がそうであったように、貴女も私の望む時に私のものとなるのです」
「っ……あ……」
声すら出ない誓子の顎を指先で持ち上げ、陸仁は満足気な笑みを浮かべると、静かに密室の扉を開け放った。
重い扉の向こうからは、何事もない日常の足音が聞こえてくる。
母・聡子がかつて歩んだ背徳の足跡をなぞるように、誓子は引き攣る足取りで部屋を辞した。
母がかつて命がけで逃げ出した地獄の檻に、今度は己が永久に閉じ込められたことを悟りながら——。
北翼の密室へ静かに姿を現したのは、一度は夫の温かな愛によって正気を引き戻したはずの母・聡子であった。
「……若宮様。誓子を……あの子をこれ以上巻き込むのはおやめくださいませ。あの子はまだ何も知らぬ幼き身。どうか……どうか私一人で満足してくださいませ……!」
深緑の洋装を自ら紐解き、再びあの背徳の地獄へと足を踏み入れる覚悟を決めた聡子。かつて教導者として授けた知識のすべてをもって、己の身を差し出すことで娘を身代わりに救い出そうとする悲痛な懇願であった。
しかし、ソファーに深く腰掛けた陸仁の口元に浮かんだのは、冷酷なまでに獰猛な愉悦の笑みであった。
「何を勘違いされているのですか、聡子殿。身代わり? ……引き換えに救い出す? そのような選択肢が最初から存在するとお思いでしたか」
陸仁がパチンと指を鳴らすと、扉の影から引きずり出されるように姿を現したのは、陸仁の手によって黒いスリップを纏わされ、震える手で身を縮めさせている十八歳の誓子であった。
「母、様……っ!? なぜ……なぜここに……っ!?」
「誓子……!? ああ、誓子……っ!」
駆け寄ろうとする聡子の手首を、陸仁は容赦なく掴み上げ、そのまま二人を同じ寝台の上へと押し倒した。
「貴女が私に教えてくれたのでしょう、聡子殿。『男の欲望には限界がない』と。……ならば、熟しきった母の肉体と、初々しい娘の肢体。その両方を手に入れた私がいまさら片方を手放すはずがないではありませんか」
「そんな……っ! お約束が違います、若宮様! 私が……私がいくらでもお相手をいたしますから、誓子だけは……っ!」
「お黙りなさい」
陸仁の容赦のない手つきが、聡子の豊かな胸元を強引に暴き、同時に隣で震える誓子の細い太腿を割り開く。母の目の前で蹂躙される娘の悲鳴、そして娘の目の前でただの牝として暴かれていく母の甘い喘ぎ。
「あぁぁっ……! 嫌……っ、お母様の前で……こんな……っ!」
「あ……あぁっ! 若宮様……おやめ……誓子に見せないで……っ!」
かつて教導者として誇り高く立っていた41歳の母と、学習院を卒業したばかりの18歳の可憐な娘。二人は互いの受難と崩壊を特等席で見せつけられ、逃げ場のない酷薄な比較と手ほどきによって、自尊心を根底から破壊されていく。
聡子が必死に教え込んだ「男を喜ばせるための術」は、いまや陸仁の手によって母娘二人を同時に支配するための凶器へと成り果てていた。
「ご覧なさい、聡子殿。其方が私を拒もうと抱かれれば抱かれるほど、誓子への愛撫はより苛烈になる。其方が素直に私を受け入れれば受け入れるほど、誓子もまた逃げ場を失う……貴女が娘を救おうと足掻くほど、二人はより深くこの密室に繋ぎ止められるのだ」
「う……嘘……嘘です……あぁぁっ!?」
夫・雅武の知らぬ宮邸の北翼。遮光カーテンの閉ざされた暗闇の中で、母と娘は二つの肢体を重ね合わされ、陸仁の与える暴力的なまでの質量と熱量によって、交互に、そして同時に子宮の最奥を撃ち抜かれ続けた。
娘を守るために戻ったはずの聡子の選択は、皮肉にも母娘揃って永久に抜け出せぬ背徳の檻を完成させる最後のピースとなったのだった。
遮光カーテンの隙間から差し込むかすかな冬の光は、北翼の密室に漂う重苦しい熱気と背徳の残香を薄く照らし出していた。
数ヶ月前まで「雅武の優しさ」によって毒を洗い流していたはずの聡子の胎内は、いまや娘・誓子とともに、陸仁の獰猛な質量と圧倒的な熱量によって容赦なく満たされ続けていた。
「あ……ぁ……ッ、若宮様……ダメです……今月は……私……危険な時期で……ッ」
乱れた髪をベッドに散らし、荒い息を吐きながら聡子はかろうじて拒絶の声を絞り出した。かつてならば、過敏な粘膜を傷つけぬよう巧みな代替行為を差し出し、危機を回避していたはずの教導者の知恵。しかし、陸仁はその必死の訴えを冷酷な笑みとともに吹き飛ばした。
「それがどうしたというのです、聡子殿。其方が私に教えたのでしょう? 『男の欲望は理屈では止まらない』と」
陸仁の凶暴な突刺が、41歳を迎えた聡子の熟しきった子宮の最奥を容赦なく叩き伏せる。
「ひぁぁぁぁッ────!?」
叫びを上げる聡子のすぐ隣では、18歳の誓子が同じように衣裳を肌から滑らせ、涙で濡れた瞳を絶望に揺らしていた。母がかつて命がけで隠し通そうとした「地獄の光景」を目の当たりにし、そして自らもまたその渦中に置かれているという狂気。
「母様……ッ、あぁ……お母様……っ!」
「誓子……見ないで……ッ、お願いだから……あぁぁっ!」
母の悲鳴と拒絶を特等席で見せつけられ、自尊心を根底から破壊された誓子の足首を、陸仁の手が強引に掴み寄せる。熟れた母の肢体から一気に引き抜かれた猛烈な熱量が、間髪入れずに初々しい娘の秘所へと容赦なく押し込まれた。
「ひっ……!? や……嫌あぁぁぁっ! 壊れる……ッ、奥に……奥に何か来ちゃう……ッ!」
「逃げられんよ、誓子。聡子殿も、其方もな。……我が種を宿すにふさわしい受胎の床として、二人まとめて私に抱かれるのだ」
言葉通り、陸仁は一切の容赦も躊躇もなく、母娘の胎内へ交互に、そして確実に「支配の証」を打ち込んでいく。
危険期であることを理解しながらも、子宮の奥を直撃する暴力的な快楽に脳髄を痺れさせられ、いつしか拒絶の言葉は艶っぽい喘ぎへと書き換えられていく聡子。そして、初めて受け入れる「男の生の熱量」に、恐怖しながらも身体を逃がす術を失い、ただ子宮を開ききってしまう誓子。
やがて密室の中に、逃げ場のない二つの濃厚な果実が弾けるような破滅の音が響き渡り、陸仁の容赦ない熱の放出が、母と娘の胎内を同時に満たしていった。
「あ……あぁ……ッ……」
「……っ、う……あぁ……」
呆然と横たわる聡子と誓子の腹部に、熱く重い烙印が刻み込まれる。
夫であり父である雅武の知らぬところで、六条家の血統が二度と取り返しのつかない形で「若宮の子」によって上書きされたことを、二人は胎内の奥底に伝わる熱さとともに察し、絶望の涙を流すことしかできなかった。
冬の寒さが一段と厳しさを増す頃、六条邸の朝は静かに、しかし決定的な破滅の兆候とともに訪れた。
宮邸での務めを終え、北翼の密室から解放されて数週間。夫・雅武の待つ自宅で「変わらぬ妻と娘」を演じ続けていた聡子と誓子の身体に、ついに逃れようのない異変が顕在化する。
朝食の準備を整えていた廊下で、ふいに襲ってきた強烈な吐き気。
「くっ……う……ッ!」
聡子はとっさに口元を押さえ、洗面台へと駆け込んだ。胃の奥から込み上げる胃液を吐き出し、鏡に映った自分の青ざめた顔を呆然と見つめる。41歳という年齢、そして生理が遅れている事実。かつて陸仁の手ほどきを受けていたからこそ、それが何を意味するのかを聡子の理性が残酷なまでに理解していた。
(まさか……あの危険期に……ううん、そんな……っ)
冷や汗を流しながら自らの腹部に手を当てたその時、背後で小さく悲鳴のような喘ぎ声が響いた。
「……あ……っ、お母……様……」
振り返ると、廊下の陰で膝を折るように倒れ込んでいたのは、十八歳の誓子だった。母と同じように口元を固く押さえ、涙に濡れた目で必死に吐き気を堪えている。その顔色は土気色で、荒い息とともに華奢な肩が大きく上下していた。
聡子は血の気が引くのを感じながら、震える足取りで娘のもとへ駆け寄り、その細い肩を抱き寄せた。
「誓子……? あなた、よもや……」
「お母様……私、最近ずっと身体が重くて……ご飯の匂いも……それに、あれが……来なくて……っ」
誓子の口から漏れ出た途端、聡子の脳裏で全ての事象がひとつに繋がった。
北翼の密室で、逃げ場もなく交互に射ち込まれた陸仁の暴力的な熱量。避妊の防壁すら奪われた状態で、母娘の胎内へ容赦なく注ぎ込まれたあの「種」。
「あ……ああぁ……ッ!」
聡子は絶望のあまり、その場に崩れ落ちそうになった。
自分一人であれば、どのような地獄であろうと呑み込み、死を以て償うこともできたかもしれない。しかし、まだ十八歳の可憐な娘の胎内にまで、自分を凌辱した男の種が芽吹いているという事実。そして、その原因を作ったのは、他ならぬ自分自身(母)がかつて陸仁に授けた知識と、身代わりに救い出そうとして足を踏み入れ直したあの愚かな選択だった。
「お母様……私、どうなってしまうの……? お父様に……お父様に何て言えば……ッ」
怯え、母の胸に縋りついて涙を流す誓子。その頭を強く抱きしめながら、聡子の目からもボロボロと大きな涙が溢れ出した。
「ごめんなさい……ごめんなさい誓子……! 私のせいよ……私があなたを……っ!」
二人同時に宿した、決して許されぬ「若宮の子」。
何も知らずに自分たちを愛し、守り続けてくれている夫・雅武の足音が、遠くの廊下から穏やかに近づいてくるのを聞きながら、母と娘は互いの身体を強く抱き締め合い、底なしの暗闇へと突き落とされた恐怖に震え続けることしかできなかった。
六条邸の奥まった一室。冬の冷気が障子を叩く静寂の中、誓子はただ一人、自らの腹部に置いた両手の震えを止めることができずにいた。
母・聡子は、何も知らぬ雅武の「四十一歳での予期せぬおめでただ」という心からの歓喜と慈しみに包まれ、無事に月満ちて男児を出産した。夫の深い愛に護られ、表面上は「実直な家令の愛妻」として平穏な日常へ戻っていく母の姿。それは、身代わりに地獄へ飛び込んだはずの聡子が手に入れた、あまりにも残酷で歪んだ「救い」であった。
一方で、十八歳の誓子に残されたのは、偽りの「病気療養」という名目のもと、六条邸の離れに隔離される日々だった。
「お父様……ごめんなさい……ごめんなさい……っ」
離れを訪れる雅武は、伏せる娘の手を包み込み、「早く良くなるといいな。母さんも無事に出産を終えたのだから、お前も焦らず体を休めなさい」と、どこまでも誠実な眼差しで労わってくれる。その温かい指先が肌に触れるたび、誓子の胸は激しい罪悪感で押し潰されそうになった。
自分の胎内に息づいているのは、父の愛した母を暴き、自らの純潔をも蹂躙した男──陸仁の種。
母は雅武の愛によってその子を「六条家の子」として抱くことが許された。しかし、十八歳の少女でしかない誓子には、その子を自分の子として育てる権利すら与えられない。産み落とされた子は、誕生と同時に「他家への養子」として極秘裏に処分されることが決まっていた。
「……悲しい顔をしないで、誓子。あなたはよく耐えているわ」
夜、雅武の目を盗んで離れを訪れた聡子は、涙を流しながら誓子の肩を抱き寄せた。だが、その母の手を、誓子は反射的に振り払ってしまう。
「触らないで……っ! お母様はいいですよね……お父様に愛されて、あの人の子を『お父様との子』として抱けて……! 私を助けると言ったのに、結局私は……私はあの部屋から出られないままじゃないですか……っ!」
「誓子……っ!」
聡子の顔が途端に絶望で歪む。母として娘を救えなかった罪悪感、自らもまた陸仁の種を宿して産み落とした不貞の重圧。二人の間には、二度と埋めることのできない暗い深淵が横たわっていた。
やがて陣痛が訪れ、誰にも知られることなく冷たい密室で産声を上げた幼子は、誓子の胸に抱かれる間もなく連れ去られていった。
母としての喜びも、娘としての尊厳も全てを削ぎ落とされた誓子の元へ、北翼からの呼び出しの手紙が届く。
『身体が癒えたら、また北翼へ通いなさい。其方は永遠に私のものだ』
鏡の前に立つ誓子の瞳からは、かつて学習院で輝かせていた可憐な光は完全に消え去っていた。
母・聡子が雅武の愛という「温かい嘘」の中で生きていく裏側で、誓子は己の肉体と精神の全てを陸仁の狂気へ差し出し、永遠に明けることのない背徳の暗闇の中へと姿を消していったのだった。
遮光幕が重々しく下ろされた重厚な法廷内は、落涙すら許されぬ重圧と絶対的な沈黙に包まれていた。
法壇の頂に坐す皇族裁判長ら、そして立ち会う宮内大臣以下の高官たちの顔は、判解のごとく蒼白に固まっている。京極宮家が今日ある発展を遂げられたのは、雅武がその10代、20代の青春のすべてを影働きに捧げ、泥をかぶり、忠義を尽くし抜いてきたからに他ならない。堂上華族と賜姓皇族のみで構成されるこの世界の厳格な華族社会において、六条雅武という男の功績と献身を知らぬ者はいなかった。
その大恩ある六条家を、こともあろうに京極宮の若宮・陸仁が踏みにじり、母娘二人を同時に弄び、胎内までも汚して破滅させたという紛れもない事実──。
もしこの不義理を闇に葬り、六条家を見捨てるような真似をしてみろ。華族界全体の激昂と反発は免れず、国家と皇室を支える屋台骨そのものが根底から崩壊する。これは一宮家の不祥事などではない。日本の秩序そのものの存亡を賭けた、国家の「名誉」の裁きであった。
裁判長が震える手で判決文を掲げ、静かに、しかしい全霊の威厳を込めて音読し始める。
「……被告人・陸仁王の犯したる行為は、人倫を屠り、忠臣の家名を踏みにじる、万死に値する暴挙なり。よって皇籍を永久に剥奪し、平民へと降格。直ちに収監のうえ、厳罰に処す」
法廷の端で、手枷をはめられた陸仁の顔から急速に血の気が引いていく。北翼の密室で振るっていた絶対的な支配権も、若宮としての特権も、いまや無残に打ち砕かれた。
裁判長はそのまま、固く拳を握りしめて佇む雅武へと、深く、深く頭を下げた。法壇の上の皇族・高官らが一斉に立ち上がり、雅武に向かって頭を垂れる。
「六条雅武殿。京極宮家、ひいては国家が今日あるは、偏に貴殿の長年の忠誠によるもの。それに対するこの凄惨なる不義理、皇室として、国家として、万代にわたり謝罪の言葉もなし……」
宮内大臣が涙を浮かべながら、一枚の特旨を認められた錦の判書を雅武の前へと捧げ持った。
「六条家の名誉と誇りは、皇室と国家がその名誉にかけて永遠に保証する。貴殿の功績に鑑み、六条家には別格の特旨を以て公爵へ陞爵せしめ、もって破格の恩給を賜り、聡子殿、誓子殿の名誉を傷つける一切の言動・流言は、国家の総力を挙げて厳密に封殺せしめる。……どうか、どうかお許しいただきたい」
国家と皇室が、一人の忠臣とその家族に対し、恥を忍んで全全責任を負い、その将来を永遠に庇護することを誓った瞬間であった。
──数日後。
事件の全容は国家最高の防諜のもと完全に隠蔽され、世間には「陸仁王の重過失による皇籍離脱と収監」のみが発表された。
六条邸の静かな庭園。車椅子の聡子と、その傍らに寄り添う誓子の元へ、雅武がゆっくりと歩み寄る。雅武の手には、国家から賜った六条家の名誉を永久に保障する特旨の書状が握られていた。
「聡子、誓子……。もう、何も恐れることはないのだ。国家も、皇室も、我々の名誉を未来永劫護ると約束してくださった」
雅武は二人を優しく、しかし力強くその腕の中に抱きしめた。
母娘の心に刻まれた傷が完全に癒えることはない。だが、忠誠を捧げ続けた男の命がけの告発と、国家の誇りを賭けた贖罪によって、二人を縛り続けていた密室の泥濘の鎖は、ついに完全に打ち砕かれたのだった。