※この作品はR-18です。

陸仁王物語―異伝―   作:fire-cat

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お分かりかと思いますが、漆黒編第11話あたりが基。
もし陸仁が誓子との場面を録画していたら、そしてそれを息子達が見つけていたら。という状況から開始です。


漆黒編 外伝 陸仁王の子供達 長姉・恵梨子のとある世界の観察日記
外伝 恵梨子のとある世界の観察日記①


 秋の深まりとともに冷気が宮邸の重厚な石畳を伝う夜、二十代前半の照仁と十代後半の法仁の私室は、外界から完全に切り離された異界の様相を呈していた。部屋の中央に置かれた机の上では、あの禁断の記録が静かに青白い光を放っている。かつて若き日の陸仁が自らの手で残し、そして封印したはずの地獄の映像。父親の背中を追い、あるいはその血の呪縛を無意識に嗅ぎ取った息子たちは、その生々しい映像を幾度も巻き戻し、細部まで貪るように観察していた。

 

「……見てみろ、この角度からのアプローチを。ただ力任せに抱いていたわけじゃない。母さんの意識が完全に折れる瞬間、どの言葉を投げかけ、どの神経を逆なでるべきかを完璧に計算している」

「ああ。特にあの耳元への攻め方だ。形だけの優しさや気遣いなど一切捨て去り、逃げ場を完全に塞いだ状態で脳髄の奥を焼き切る。……血が疼くのも無理はない。俺たちのなかに流れているのも、全く同じ獰猛な飢えなのだから」

 

 冷徹な分析を口にしながらも、二人の瞳には底知れぬ熱と、獲物を捉える獣の光が宿っていた。京極宮の血統、そして一族で行われた遺伝子検査によって「近親であっても生命の存続に何ら支障はない」という冷酷な免罪符を得ていた彼らの脳裏に、同じ血を分けた六条家の従妹たちの顔が鮮やかに浮かび上がる。

 六条家から預かっている、あるいは社交の場を共にする彼女たちは、いずれも容姿端麗で、引き締まった細身の肢体と高い気品を併せ持っていた。しかし、その優美な外見の奥底には、母親である寛代子から受け継いだ「情熱的な熱情に身を焦がし、愛する男の手で徹底的に壊されたがる潜在的なメロメロ体質」が眠っていることを、息子たちは本能的に看破していた。

 

「――試してみるか。あいつらなら、俺たちの手管を拒絶するどころか、喜んでその泥濘に沈んでいくはずだ」

「あぁ。父が母に行ったように、今度は僕たちが、あの血統の遺伝子を完全に俺たちの色に染め上げてやろう」

 

 静かな合意が成立した瞬間、若き猛獣たちの夜の狩りが始まった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 数日後の夕刻、宮邸の北翼に隣接する旧館の大部屋。

 六条家から招かれていた従妹の姉妹――寛奈と沙織は、ただの親族間の歓談のつもりでその場に足を踏み入れていた。しかし、待ち構えていたかのように現れた照仁と法仁の纏う雰囲気が、いつもの穏やかな従兄弟たちのそれとは決定的に異なっていることに気づいた瞬間、彼女たちの背筋に冷たい戦慄が走った。

 

「照仁……? そんなに近くに寄ってこないでよ、人が見たら……」

「誰も来ない。この北翼は、今夜から俺たちのための場所だ」

 

 寛奈の言葉を遮るように、照仁は彼女の細い腕を掴み、そのまま重厚なカーテンの陰へと引きずり込んだ。逃げ場を失った寛奈が怯えた瞳で見上げるのに対し、照仁はあの映像の父親を彷彿とさせる冷徹な笑みを浮かべる。

 

「お前たち、最近妙に俺たちの目を避けていただろう。……ひょっとして、あの書庫の奥で見つけたのか? 父と母の『秘密の記録』を」

「っ――! な、何を……!」

「嘘をつくな。その身体の震えが、すべてを物語っている。お前たちも、あの映像を見てからずっと気になって仕方がなかったはずだ。……あのとき母がどんな声を上げ、どんな風に理性を失っていったのかをな」

 

 図星を突かれ、寛奈は顔を真っ赤に染めて言葉を失った。そう、彼女たちはあの禁断の映像を偶然目撃して以来、「自分の親族の異常なまでの愛の形」と、そこに描かれた底知れぬ快楽の沼から目を離せなくなっていたのだ。自分たちの中にも同じ京極宮の血が流れている以上、もしあの男たちに抱かれたなら、自分たちはどうなってしまうのか――という、背徳的な恐怖と期待が、連日彼女たちの夜を狂わせていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 一方、部屋の反対側では、法仁が沙織をソファーへと押し倒していた。

 

「お姉ちゃんっ! 助けて!」

「叫んでも無駄だ。お前のその華奢な身体が、すでに俺たちの熱を求めて熱を持っていることくらい、触れなくても分かっている」

 

 法仁の指先が沙織の襟元を容赦なく引き裂き、滑らかな鎖骨から耳元へと這い上がる。父親譲りの、逃げる者を逃がさず、逆らう者を完全に屈服させるための冷酷な愛撫。敏感な耳朶に熱い息を吹きかけられ、濡れた舌先で執拗になぞられた瞬間、沙織の身体はビクリと激しく跳ね上がり、喉の奥から甘い悲鳴が零れ落ちた。

 

「あ、あっ……ダメ、そんな風に……息を吹きかけないで……っ! 法兄様、狂ってる……こんなの、私たち従兄妹なのに……っ!」

「血の繋がりなど関係ない。お前たちが俺たちを求めているからこそ、この血はさらに濃く、深く交わるんだ」

 

 理性のタガが音を立てて外れていく。

 寛奈もまた、照仁によって衣服を剥ぎ取られ、窓ガラスに両手をつかせられていた。かつて父親が母親に行ったのと全く同じ構図。冷たいガラスの感触と、背後から押し寄せる容赦ない若き熱量が、彼女の誇りと羞恥心を粉々に粉砕していく。

 

「見てみろ、沙織。お前たちのその乱れた姿が、どれほど俺たちを昂ぶらせているか。……もう二度と、他の男の優しさなど物足りなくなるような深い刻印を、今夜一日かけて其方の奥深くまで刻み込んでやる」

 

 激しく、執拗に。

 若い肉体の底から湧き上がる熱量をすべてぶつけるように、彼らは従姉妹たちの身体を貪り尽くしていった。何度絶頂を迎えても許されることはなく、気絶寸前まで追い詰められては引き戻される残酷なまでの愛撫。

 自分たちの手管によって、気高いはずの従姉妹たちが完全に理性を失い、「自分なしでは生きられない身体」へと変貌していく様は、彼らにとってこの上ない征服の証だった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 夜の闇が深まるにつれ、北翼の個室からは、もはや血族の絆や上品な淑女としての気品のかけらもない、ただ獣のように求め合い、狂い鳴く声だけが響き渡った。

 幾度も最奥を打ち貫かれ、限界を超えた快楽の奔流に脳髄を焼かれ続けた姉妹は、夜通しの蹂躙の果てに完全に意識を白濁させ、ベッドの上でぐったりと身体を横たえていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 そして朝。

 荒れ果てたベッドの上で、満足感に満たされた笑みを浮かべながら、彼らはぐったりと眠りこける従姉妹たちの髪を愛おしそうに撫でた。

 

 目を覚ましたとき、全身を襲っていたのは心地よい疲労感というよりも、骨の髄まで焼き尽くされたような圧倒的な気怠さだった。

 カーテンの隙間から差し込む眩しい朝の光が、荒れ果てたベッドルームの惨状を容赦なく照らし出す。散らばった衣類、乱れたシーツ、そして自分の身体のあちこちに生々しく刻まれた無数の赤い痕。

 動こうと身じろぎした瞬間、腰のあたりに走った鋭い痛みに、私は思わず小さく息を呑んだ。

 

「……っ……」

 

 足腰が完全に立ち行かない。あれほど自分の足でしっかりと立ち、誇り高く生きてきたはずなのに、今の私は指一本動かす気力すら奪われていた。

 だが、不思議と恐怖や後悔は微塵もなかった。

 むしろ、私の胸の奥を満たしていたのは、心の底から満たされたような、とろけるような甘美な陶酔感だった。

 隣を見れば、昨夜あれほど容赦なく私を追い詰め、理性を粉々に砕き散らした従兄弟が、満足げな笑みを浮かべたまま穏やかに眠っている。その整った横顔は、悪魔のような冷徹さを潜ませていた夜の面影が嘘のように穏やかで、かえってその底知れぬ色気を際立たせていた。

 

(あぁ……私、本当に……)

 

 昨夜の光景が、鮮やかに脳裏に蘇る。

 耳元で囁かれた低い声、逃げ場を塞がれた絶望的なまでの包囲、そして頭の芯が真っ白になるほどの激しい悦び。若き日の叔母が若き日の伯父様にどれほど深く絡め取られ、そのすべての思考を奪われていったのか。その理由が、今なら痛いほどよく分かった。

 一度あの狂気的なまでの熱を知ってしまったら、世の中の平凡な優しさや、当たり前の恋人たちの戯れなど、あまりにも物足りなく感じてしまう。私たちは、自分を生み出した血統に刻まれた「猛獣の毒」に自ら身を浸し、永遠にそこから抜け出せない身体になってしまったのだ。

 

「……起きたのか?」

 

 不意に、隣で眠っていたはずの彼が低い声で呟き、私を抱きすくめるように引き寄せた。その腕のなかに残る熱は、まだどこか名残惜しそうに私を求めている。

 私は逃げるどころか、自然と彼の胸元に顔をうずめ、その体温を貪るように肌で受け止めた。

 

「こんなに動けなくして……どう責任をとるつもりなのよ」

「責任? ……ふん、最初からお前を逃がすつもりなどなかった」

 

 低く笑う声が、胸の振動となって直接伝わってくる。

 私たちはこの血の呪縛から逃れられない。けれど、それを恐れるどころか、それこそが自分たちの生きる唯一の証明なのだと、心の底から誇らしく思えた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 窓から差し込む陽光を受けながら、俺は腕の中でぐったりと眠りにつこうとしている従姉の髪をそっと指先で梳った。

 昨夜からの激しい営みによって、彼女の華奢な身体は限界を迎え、今はただ俺の腕の中にしがみつくようにして微かに呼吸を繰り返している。その無防備で、完全に俺たちに屈服しきった姿を見ていると、男としての征服欲と、底知れぬ独占欲が心の奥底から沸き上がってくるのを感じた。

 かつて、父が母をいかにしてその手管で染め上げ、逃れられない狂気へと引きずり込んだのか。その血の系譜が、今や俺たちの世代にも完璧に受け継がれている。

 いとこ同士という垣根など、最初から俺の欲望を止める壁にはならなかった。むしろ、同じ濃い血を分け合っているからこそ、彼女が持つ「愛する男に徹底的に壊されたがる本能」のスイッチを、誰よりも正確に、誰よりも深く押すことができた。

 

「……思った以上でしたね」

 

 隣で同じように息を整えていた法仁が、満足げな笑みを浮かべながら呟いた。

 

「何がだ?」

「父のあの記録を見たときは、ただの狂気だと思いましたが……実際にやってみると、これほど快感の伴う支配はありません。彼女たちが自分から進んでこの地獄に飛び込んできたんだから、遠慮なしに頂きました」

 

 まったくその通りだ。

 彼女たちは自分たちの意志で、あの書庫の奥の記録を覗き見し、自分たちのなかに眠る体質の火種にくべ木をした。そして今、完全に俺たちの熱に当てられ、他の男など二度と目に入らないほどの従順な牝へと成り下がっている。

 叔母は、この事実をまだ知らない。

 叔母が知ったら、自分の夫がかつてそうされたように、息子たちがその血統の業をさらに色濃く受け継いでいることに肝を冷やすかもしれない。だが、そんなことはもうどうでもよかった。

 俺たちは京極宮と六条家の濃厚な血を受け継ぐ若い猛獣だ。

 手に入れた獲物を優しく労わることなどしない。徹底的に貪り尽くし、その肉体の隅々にまで俺たちの刻印を刻み込み、一生離さない。

 腕の中で寝息を立てる彼女の額にそっと唇を落としながら、俺は静かに微笑んだ。

 

 ――さあ、次はいつ、この甘美な執着を再び教えてやろうか。

 いや、こいつらの友人を巻き込んでもいいな、父と同じように映像を取って縛り付けてもいい、華族の令嬢なら醜聞を恐れて逃げ出せまい。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

後書き代わりの座談会

 

 

香織:待って……!! 恵梨子ちゃんの書いた小話が、いつの間にか『照仁&法仁 VS 寛奈&沙織』の従姉妹ダブルカップル抗争&ガチの遺伝子ドロドロ血族大河ロマンに進化してるんだけどーーーっ!!?

 

歌乃:沙織ちゃん、完全にとばっちりじゃない!!『お姉ちゃんっ!助けて!』って言ってるそばから法仁様に一瞬で引き剥がされてるの、絵に描いたような巻き込まれ事故で可哀想すぎるww

 

香織:しかも、『寛代子から受け継いだ潜在的なメロメロ体質』とかいうパワーワード、恵梨子ちゃんよくそんな設定思いついたわね!

 

歌乃:寛奈ちゃんも寛奈ちゃんで、あんなに『もう知らない!』って怒ってたのに、朝になったら『不思議と恐怖や後悔は微塵もなかった』とか完全に堕ちきってて笑う。京極宮の血、恐るべし……!

 

貴美:でもさ、法仁様の『実際にやってみると、これほど快感の伴う支配はありません』っていうセリフ、めちゃくちゃ解釈一致じゃない?

 

霧葉:お父様(伯父様)たちがやってきた歴史を、息子世代が『当然の権利』としてアップデートして受け継いでる構図が、一族の狂気を感じさせて最高にエモい(語彙力)

 

里緒:寛奈ちゃんも沙織ちゃんも、結局はあの血統の引力から逃れられなくて、自分から進んでその泥濘に沈んでいったわけだし……。もうこれは『運命のドロドロ愛憎劇』として出版するしかないでしょ!

 

貴美:ちょっと待って、最後……!! 『こいつらの友人を巻き込んでもいいな、父と同じように映像を取って縛り付けてもいい、華族の令嬢なら逃げ出せまいな』って……

 

香織:……これ、私たちのことじゃないよね?? え、恵梨子ちゃんだけじゃなくて、照仁様たちもこっちに矛先向けようとしてない!? 待って待って、あんな冷徹で執着心の塊みたいな若宮様たちに目をつけられたら、私たち明日から拉致られてガラス窓に張り付けにされる未来しか見えないんだけど!!(ガタガタガタ)




香織:
「ちょっとみんな……! 恵梨子ちゃんからまたとんでもない同人原稿(小話)の第1弾『恵梨子のとある世界の観察日記①』が回ってきたんだけど、もう読んだかしら!? 私、内容が過激すぎて途中で紅茶をこぼしそうになっちゃったわよ!」

歌乃:
「あはは! 読んだ読んだ! もう凄まじい怪文書だったわね! 照仁様と法仁様が禁断の映像を巻き戻して冷徹に分析してるところから始まって、北翼の旧館で寛奈ちゃんと……って、いきなり超弩級のパラレルドロドロ大河ロマンじゃないの!」

貴美:
「本当にね。作中では秋の夜長に宮邸の私室で、若き日の陸仁王殿下が遺した禁断の記録を兄弟で貪るように観察しているなんて……恵梨子の妄想力、一体どうなっているのかしら? 『血が疼くのも無理はない。俺たちのなかに流れているのも、全く同じ獰猛な飢えなのだから』なんて決めゼリフ、照仁様が実際に言いそうだから笑えないわ」

霧葉:
「ええ、設定の練り込みようが恐ろしいわ。遺伝子検査で『近親であっても生命の存続に支障はない』という冷酷な免罪符を得ているとか、いかにも恵梨子が考えそうなSFっぽい免罪符ね。ただ、作中で六条家からお預かりされている従妹として寛奈ちゃんと……なぜか『沙織ちゃん』という謎の妹が登場しているけれど」

里緒:
「ふふっ、そこよね。実際の六条家には寛奈ちゃんのお兄様である雅彰様はいても、沙織ちゃんっていう妹なんて存在しないじゃない? 恵梨子ちゃん、ダブルカップル構造にしてドロドロ感を倍増させるために、架空の妹まで生み出しちゃったのね」

香織:
「そうなのよ! 実際の沙織ちゃんは存在しないのに、作中では法仁様にソファーへ押し倒されて『お姉ちゃんっ!助けて!』って叫びながら、一瞬で服を引き裂かれて『お前のその華奢な身体が、すでに俺たちの熱を求めて熱を持っている』なんて言われちゃってて! 絵に描いたような巻き込まれ事故で可哀想すぎるわ!」

歌乃:
「あはは、本当よね! しかも作中の寛奈ちゃんも寛奈ちゃんで、最初は『照仁……? そんなに近くに寄ってこないでよ』って怯えて窓ガラスに張り付けにされてたのに、朝になったら『不思議と恐怖や後悔は微塵もなかった。とろけるような甘美な陶酔感に満たされていた』とか言って完全に堕ちきってるの! 京極宮の血統の威力が凄まじすぎてお腹痛いわ!」

貴美:
「『寛代子様から受け継いだ潜在的なメロメロ体質』というパワーワードも凄かったわね! 『愛する男の手で徹底的に壊されたがる体質』だなんて、恵梨子ったら叔母様(寛代子様)に怒られないかしら? 寛奈ちゃんが読んだら真っ赤になって悲鳴を上げるわよ」

霧葉:
「でも、照仁様と法仁様のキャラクター描写自体は、不気味なほど芯を喰っていると思わない? 朝を迎えた照仁様が『最初からお前を逃がすつもりなどなかった』って笑って、法仁様が『実際にやってみると、これほど快感の伴う支配はありません』なんて冷酷に満足げに語るあたり……あの兄弟の秘めたる独占欲やドSっぷりを完璧に捉えているわ」

里緒:
「ええ。作中での『一度あの狂気的なまでの熱を知ってしまったら、世の中の平凡な優しさなんて物足りなくなる』という寛奈ちゃんの独白も、なんだか妙にリアルでぞくぞくしちゃったわ。恵梨子ちゃんの書く文章って、フィクションだと分かっていても脳内に官能的な映像が鮮明に浮かんでくるから危険よね」

香織:
「でね、みんな! 一番触れなきゃいけないのは『後書き代わりの座談会』のことよ!」

歌乃:
「あ! あの後書き座談会ね! 私たち5人が作中の感想を語り合っている体のメタな後書き!」

貴美:
「そうそう! 香織が『寛代子から受け継いだ潜在的なメロメロ体質とかいうパワーワード!』ってツッコんだり、霧葉が『お父様たちがやってきた歴史を息子世代がアップデートして受け継ぐ構図がエモい』なんて言ったりしてて、私たちの口調や反応がそのまま再現されていて笑っちゃったわ」

霧葉:
「ふふっ、恵梨子は私たちの性格や会話のノリまで完全に観察して把握しているということね。……でも、その後のラストの展開で冷や汗が出たわ」

里緒:
「照仁様のモノローグの最後ね。『こいつらの友人を巻き込んでもいいな、父と同じように映像を取って縛り付けてもいい、華族の令嬢なら醜聞を恐れて逃げ出せまい』という記述……」

香織:
「そうなのよーっ! 後書きの最後で私(香織)が『これ、私たちのことじゃないよね?? え、あんな冷徹で執着心の塊みたいな若宮様たちに目をつけられたら、私たち明日から拉致られてガラス窓に張り付けにされる未来しか見えないんだけど!!』ってガタガタ震えて終わるじゃない!?」

歌乃:
「ギャグっぽく描かれてるけど、ターゲットが完全に寛奈ちゃんから私たち友人グループにまで広がってるのよね! 『華族の令嬢なら醜聞を恐れて逃げ出せない』とか、あまりにも具体的で悪質すぎて笑えないんだけど!?」

貴美:
「本当よ。現実の照仁様や法仁様がこんなこと考えるはずがない……と思いたいけれど、もし恵梨子のこの小説が何かの予言書だったらと思うと、背中に冷たい汗が流れるわね」

霧葉:
「ええ。実際の法仁様は作中の10代後半ではなくてまだ12歳の可愛らしい中学生だけれど、作中みたいに冷徹な笑みを浮かべて『叫んでも無駄だ』なんて言われたら、私たち一コロで捕獲されちゃいそうだわ」

里緒:
「ふふっ、もしそんなことになったら、私たちは全員で『京極宮の甘美な捕食者の罠』に落ちて、女官や情人として宮邸から出られなくなっちゃうのかしらね?……なんて、冗談でも言うと本当に引き寄せられそうだからやめましょう」

香織:
「もう! とにかく、この『観察日記①』は色々とツッコミどころ満載だけど、同時に京極宮家の危険な魅力と狂気が詰まった最高かつ最悪の怪文書だったわね!」

歌乃:
「本当ね! 寛奈ちゃんには『沙織ちゃんっていう存在しない妹まで巻き込んで、恵梨子ちゃんがすごい大作書いてるわよ』って教えてあげなきゃ! 寛奈ちゃんがどんな顔で照仁様に抗議しに行くか、今から楽しみすぎるわ!」

貴美:
「ふふっ、きっと照仁様に『ほう、どのような内容だ? 答え合わせをしてみるか』って言われて、返り討ちにあうのが目に見えているけれどね」

(顔を見合わせて大爆笑)

(温かいシルバーニードルズの紅茶を飲みながら、5人は恵梨子の奇想天外な原稿と自たちの平和な日常に思いを馳せ、楽しげにお茶会を続けるのだった)
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