茜色の夕闇が深く沈み込み、南園の静寂が庭園全体を包み込む時刻。
何度目かの呼び出しに応じ、香織が緊張に身をこわばらせながら茶室へ足を踏み入れた時のことだった。
にじり口をくぐり、薄暗い室内に目を凝らした香織は、その場で息を呑んで硬直した。
そこに座していたのは、呼んだはずの恵梨子ではなく──静かに微笑みを浮かべる18歳の法仁だった。
「法仁様……!? なぜ、ここに……? 恵梨子、様は……?」
「姉様なら、ここには来ないよ、香織さん」
昏く沈んだ法仁の声が茶室に響いた。
「……ずっと僕を遠ざけて。僕は香織さんが姉様と二人きりでここで何をしていたのか、全部知ったんだよ」
香織が息を呑み、罠を察して後ずさろうとした瞬間、背後の格子戸が滑らかに開き、誰かが茶室に投げ出されるように崩れ落ちてきた。
「きゃっ……!」
畳の上に崩れ落ちたのは、解かれた帯と脱がされた着物を頭から被せられ、白襦袢を大きく着崩れさせられた姿の恵梨子であった。
茶室へ向かう途中の庭園で、法仁の手引きを受けた自らの婚約者に捕らわれ、南園の密やかな草むらの中ですでに着物を乱されていたのだ。
「おやおや、姉様。いくら此処が宮邸の中とは言え、気を抜きすぎていたのではありませんか。襲ったのが婚約者殿であったからよかったものの」
恵梨子を見下ろし、嗤い声を出す法仁。
「くっ……法仁、貴方……! 私の婚約者まで巻き込んで、こんな真似を……っ!」
恵梨子が屈辱に頬を染めて叫ぶ間もなく、彼女の婚約者が茶室へと滑り込む。
背後の格子戸が重い音を立てて閉ざされ、カチャリという無情な施錠の音が夜の静寂に響き渡った。
茶室という計算され尽くした閉鎖空間。恵梨子が香織を心理的に支配するために用意したその「檻」は、今や完全に彼女たち自身を閉じ込めるための罠へと反転していた。
「貴方たち、こんな真似をして……ただで済むと……っ!」
恵梨子が震える声で言い放つ。しかし、すでに南園の草むらで婚約者の手によって着物を乱され、白襦袢の胸元を無惨にはだけさせられたその姿に、かつての絶対的な「席亭」としての威厳は欠片も残っていなかった。
「ただで済まないのは君たちの方だよ、恵梨子」
法仁の隣に立つ婚約者が、冷ややかで、どこか底知れぬ愉悦を含んだ声で応じた。彼は狭い茶室の中で、逃げ道を塞ぐようにゆっくりと一歩を踏み出す。じり、と二人の男たちが距離を詰める。
「や、やめて……法仁様! 来ないで……っ!」
香織は恐怖と羞恥に後ずさるが、数歩も下がらないうちに冷たい土壁に背中を阻まれた。隣には、同じように追い詰められ、悔しさに肩を震わせる無敵のはずの義姉がいる。
「もう遅いですよ、香織さん」
法仁と婚約者が、逃げ場を失った二人の女性の目の前に静かに跪いた。
男たちの大きな影が灯火を遮り、香織と恵梨子を完全に飲み込む。
「ほら。二人とも捕まえた」
「義兄上、お見事ですね」
「じゃあ、二人仲良く座ろうか。お互いの姿が見える方が安心できるよね」
完全に退路を断たれた薄暗い茶室内で、香織と恵梨子が向かい合わせにされ、恵梨子の目の前で香織が着物を脱がされていく。
「やっ。やめて! こんなの嫌」
かつて恵梨子が香織に施したように、帯は解かれ、纏っていた衣が全て畳の上に滑り落ち、恵梨子がかろうじて纏っていた白襦袢も畳の上に滑り落とされた。香織のアンダー65でトップが87の豊かなEカップ、ウエスト57、ヒップ88の滑らかな曲線美と、恵梨子のアンダー65でトップが86のモデルのようなEカップ、ウエスト57、ヒップ87のメリハリを持つグラマラスなシルエットが露わになる。
「わぁ。姉様も香織さんもおんなじ格好になりましたね。どこから見ても仲良し姉妹ですね」
法仁のその声に、素肌を晒した状態で対面させられた二人の令嬢は、互いの姿に息を呑み、顔から火が出るほどの羞恥に震えた。
「香織……こんな姿を見せることになるなんて……っ」
「恵梨子様……っ」
立場を失い、涙目になってかろうじて胸元を隠そうとする恵梨子。
しかし、圧倒的な力を持つ二人の「猛獣」たちは、令嬢たちのささやかな抵抗など許しはしなかった。
「さて、義兄上。まずは彼女たちに、互いの素肌の『熱』をもう一度教え込んであげましょうか。僕たちが先だと互いの素肌の熱なんて思い出せなくなっちゃいますから」
「そうだね」
法仁の静かで酷薄な声が響き、婚約者が同意した直後だった。
逃げようと身をすくめた香織の背後に法仁が、そして恵梨子の背後には彼女の婚約者が音もなく回り込み、その細い身体を背後から強固な腕で羽交い締めにした。
「きゃっ……!?」
「くっ……離して、あなた……っ!」
男たちの抗いがたい力によって、香織と恵梨子は強制的に一歩前へと押し出され、逃げ場のない正面から、互いの素肌を激しく擦り合わされた。
なんの障害物もない状態で正面から衝突した二つの極上の果実は、男たちの容赦のない腕力によって逃げることも身をよじることも許されず、ひしゃげるように激しく密着し、形を変えた。法仁と婚約者が、自らの腕の中に囚えた獲物を操るように、背後からゆっくりと、そして執拗に二人の身体を上下左右に擦り合わせる。
押し潰された柔らかな肉の隙間で、剥き出しの敏感な先端同士が、逃げ場もなく容赦なく摩擦を繰り返した。
(ああっ……! な、なにこれっ、背中の法仁様の腕、すごく熱くて強くて……微塵も動けない……っ!)
強制的に密着させられた香織の脳内は、パニックと未知の感覚で真っ白に染まっていた。
(恵梨子様の胸……なんて滑らかで、信じられないくらい柔らかいの……っ! 私の胸が、恵梨子様の豊かな弾力に完全に飲み込まれて、押し潰されてる……っ!)
背後からの圧倒的な男性の支配力。そして、正面から伝わる義姉の女性特有の甘い熱。先端同士が擦れ合うたびに火花のような刺激が走り、それを愛する法仁に見せつけられているという強烈な羞恥が、香織の貞操観念をぐずぐずに溶かしていく。
一方の恵梨子もまた、婚約者の腕の中でかつてない屈辱と背徳に身を焦がしていた。
(くっ……! 婚約者にこんな風に拘束されて、力ずくで義妹と……っ。でも、香織の胸……なんて瑞々しい張りがあって、吸い付くような弾力なの……っ!)
常に完璧な「義姉」として香織をからかい、優位に立っていた自分が、今は男たちの玩具として、彼女と肌を擦り合わせることを強制されている。
香織のEカップが、恵梨子のEカップの奥深くまで沈み込み、敏感な先端を容赦なく擦り上げる。
(ダメ……っ、こんなの、頭がおかしくなるわ……っ! 香織の甘い吐息が顔にかかるだけで、変な声が……っ)
威厳を保ちたいのに、肉体が勝手に極上の快感を拾い上げ、抗えない喘ぎ声が漏れ出しそうになる。支配者から被支配者へと完全に叩き落とされた絶望感が、恵梨子の理性を甘く狂わせていった。
「んんっ……あ……っ」
「くぅ……っ、あっ……」
男性陣の腕に囚われたまま、互いの胸の感触と摩擦に耐えきれず、二人の令嬢の口から同時に切なく、甘い吐息が漏れ落ちた。
「じゃあ義兄上」
「そうだね。二人とも私達で可愛がってあげよう、隅々までね」
その声と共に男性二人による容赦のない愛撫が、二人の身体を同時に襲った。
法仁と恵梨子の婚約者は、交互に二人のその肌の隅々までを舐め愛撫していく。
法仁の舌先が、まずは香織の豊かな胸元を執拗に転がし、甘い悲鳴を上げさせたかと思えば、次は恵梨子の白く細い首筋から胸元へと移動し、実姉の肌を貪っていく。
「んぁっ……! 法仁……ダメ、そこは……っ!」
のけ反る恵梨子。
「なるほど。8年前のあの夜、姉様が僕を突き飛ばしたのはこう言うわけだったのですね。13歳の姉上が10歳の子供に過ぎなかった僕の寝ぼけていた愛撫にイキかけていたなんて。ずいぶん溶けやすいキャンディーだったというわけですか」
「くっ」
恵梨子の全身を嘗め回すように見つめていた法仁が、恵梨子の足の付け根の様子に気づき婚約者を振り返る。
「義兄上、喉が渇いているのでは?」
義弟のニヤリとした笑みを見た恵梨子の婚約者が同じような笑みを返す。
「……ふっ。そういえばいささか喉が渇いたね。ああ、ちょうどいいところに美味しそうな泉がある。蜜もたっぷりありそうだ。義弟君、君はどうする? 一緒に喉を潤すかい?」
「僕の事は気にしないでください。僕は8年前に舐め損ねたアイスキャンディーを頂きますから」
法仁が床に落ちていた二人の伊達締めを手にし、猿轡を噛ませる。
「叫ばれては困りますからね。ではまずはあの時食べ損ねたアイスキャンディーから頂きますね」
「ん、むぅっ……!」
羞恥と恐怖に強張るくぐもった声を背に, 法仁は恵梨子の胸元に覆いかぶさり, その甘く熟れたふくらみの頂点へと, 容赦なく熱い唇を押し当てた。
吸い上げられる強烈な刺激に、恵梨子の背中が弓なりに跳ね、蜜が溢れる。
「ん、んふぅ……っ!」
完全に頭と上半身を固定されたまま、胸からお腹、くびれに至るまで、法仁の舌は一寸の隙もなく肌の全土を湿らせ、舐め尽くしていく。
抵抗しようと微かに動く恵梨子の頭に、法仁の逞しい胸板の熱気が密着し、逃げ場を完全に塞ぐ。
「八年前、僕を突き飛ばしたあの夜の代償です。姉様の身体の隅々まで、僕の舌の感触を刻み込んであげますよ……」
耳朶を噛み含み、耳孔の奥まで舌先を滑り込ませると、恵梨子は背筋を激しく戦慄させ、絶頂にも似た甘い悲鳴をあげてのけ反らせた。
「良い声で啼きますね、姉様」
恵梨子の口からはくぐもった声が零れている。
「すごい蜜だね。これなら喉の渇きもすぐに癒せそうだ」
足元から聞こえる婚約者の声と同時に、内ももの付け根から秘密の場所に至るまでを舐め回される淫靡な水音が響き渡る。
「う~ん。義兄上。姉上の声が聞けた方が良いですか?」
「そうだね……。二人とも猿轡をもう外しても大丈夫そうだ。叫べはしないよ、叫べば僕たちの護衛たちがここを覗くことになる。異性にこんな痴態を晒す様な真似はできないさ」
「わかりました。姉様、これを外しますから精々いい声で啼いてくださいね」
猿轡を外す法仁。
意を決して声を上げかける恵梨子だったが、その声が部屋の外へ漏れ出すより早く、法仁は彼女の顎を掴み、自らの舌を恵梨子の口腔に入れ、それを塞いだ。
「駄目ですよ、姉様。大声をあげようとしては。……お仕置きですね」
法仁は恵梨子の頭を押さえつけたまま、まずはその唇へと己の唇を強く重ね合わせた。
逃げようと閉ざされた歯列を、さくらんぼ結びを容易くこなす法仁の鋭く器用な舌先が容赦なく割り込んでいく。
「んむ……ッ!? ふ、あ……っ!」
強引にこじ開けられた恵梨子の口腔内を、法仁の熱い舌が隅々まで這い回る。上顎を擦り上げ、頬の内側を撫で回し、逃げ惑う恵梨子の舌を絡め取っては、粘着質な水音とともに強い吸引力で吸い上げていく。
呼吸すら奪われるほどの圧倒的な口内の愛撫に、恵梨子の脳内はあっという間に真っ白に染め上げられていく。
「ふはっ……素晴らしい舌触りですよ、姉様。僕の舌の動きひとつで、こんなにも全身を震わせて……」
一度唇を離した法仁は、今度はその舌先を恵梨子の白く滑らかな首筋、鎖骨、そして豊かなふくらみの頂点へと滑らせた。
熟れたふくらみの頂点を含むと、尖らせた舌先で細かく弾き、執拗に円を描くように転がす。
頭上から法仁の圧倒的な質量が覆いかぶさり、逃げ場のない密室の中で、恵梨子は自らの意思とは無関係に脳内を真っ白に染め上げられていった。
激しい愛撫の嵐と、押し潰されるような物理的圧迫。
理性を掻きむしるような快感の果てに、頭を押さえつけられた恵梨子は、熱に浮かされたように、目の前にある法仁の引き締まった逞しい胸板へと、自らの舌をそっと這わせた。
「……っ、ふっ。香織さんを弄んでいたその舌で、今度は僕の胸を舐めるのですか? 姉様、それは僕を挑発しているのですか、それとも――もっと可愛がりが足りないとねだっているのですか?」
低く、甘く、それでいて冷徹な嘲笑を孕んだ声が、法仁の胸の振動とともに直接鼓膜を揺らす。
さらに低い位置へと顔を移そうと、法仁が上体をずらした瞬間――その重心と腰のポジションが上方へとスライドした。
身動き一つできない恵梨子の顔の目前に、興奮と欲望で硬化した法仁の剛直が容赦なく迫り来る。
「っ……ん……!」
あまりの至近距離と、自身の顔を掠めかねないその危険すぎる存在感に、恵梨子は背筋を凍らせた。
「おっと。危ない危ない……姉様?」
法仁は自身の剛直に当たる感触に気が付き恵梨子の愛撫を止め体を起こした。
潤んだ瞳を大きく見開いて怯えの色をにじませ怯える恵梨子を見据え、やがてゾッとするほど甘やかな笑みを浮かべた。
「――そうですね。もし僕のこれを、姉様のその綺麗な口に入れても……『本番』ではありませんし、一線を越えることにはなりませんよね?」
そういうとスラックスを下着ごと脱ぎ捨て、下半身をむき出しにする法仁。足の付け根には剛直がそそり立っていた。
「い、いやっ……!?」
恐怖に染まる彼女の頬を指先でなぞりながら、法仁は低く囁いた。
「どうですか、姉様。さっき僕が味わったのと同じように、今度は僕の――『アイスキャンディー』も、その口でしっかりと味わってみますか?」
恵梨子は目の前に迫る熱量と質量に息を呑んだ。
「――さあ、恵梨子姉様。遠慮なさらずに」
「いや……ッ、いやぁ……!」
拒絶しようと頭を振る恵梨子。
そんな恵梨子の姿を見た法仁はふっと鼻を鳴らすと、別の容赦ない罰を与えるように恵梨子の胸に頭を沈めた。
「……ですが、焦る必要はありません。まずは、その全身をくまなく味わい尽くしてあげましょう」
法仁の熱い舌先が、恵梨子の首筋、耳たぶ、鎖骨、そして敏感な胸元から腹部へと、執拗な軌跡を描きながら這いずり回る。
激しく首を振ろうとする恵梨子の頭を、法仁の体幹が許さない。
「んぁぁっ……! や、ダメ……そんな、くまなく……っ!」
法仁はそのまま、ふくらみの頂点とその周囲の柔らかい肌に、狂ったように何度も深く口づけその鋭い舌先で執拗に弄んだ。
恵梨子が逃避の為に身悶えすることで荒い吐息が法仁の胸元を擽る。その度に容赦のない男の愛撫が最も敏感な先端へと直撃する。
恵梨子が身悶えし唇や舌先が法仁の胸元に触れる度に、法仁が恵梨子の柔肌を執拗に弄ぶ度に、恵梨子の脳内は真っ白に塗りつぶされ、次第に荒くなった吐息が徐々に激しく法仁の胸元を襲う。
互いの理性が激しく揺さぶられ、逃げ場のない密室で交わる熱と湿度の中で──恵梨子は, そして法仁もまた, あの夜の事を思い出していた。
恵梨子にとって、それは理性を微熱のように溶かしていく、ひどく甘い、それでいて熱を帯びた「柔らかな檻」のような夢から始まった。
胸元を這う、信じられないほど滑らかで執拗な感触。極上の果実を味わい尽くすかのような熱を帯びた愛撫に、恵梨子は自らの艶めかしい喘ぎ声で覚醒した。暗闇の中、はだけたパジャマの胸元に顔を埋めていたのは、血の繋がった弟だった。
「ひっ……!? な、何、なんなの? 舐めっ……あっ、あぁぁんっ……!」
倫理の崩壊と、湧き上がる快感への恐怖。無我夢中で小さな身体を力任せに突き飛ばした恵梨子を待っていたのは、目を覚ました法仁の無邪気な言葉だった。
「……あれ? 姉様、僕のアイスは?」
当時の法仁にとって、それは本当に「すっごくおっきくて甘いアイスキャンディー」にかぶりつく、極上の夢でしかなかった。どれだけ舐めてもなくならず、むしろどんどん美味しくなっていく大好物。
嬉しそうに話すその声には一点の曇りも、悪びれた様子もなかった。
(アイス……キャンディー……?)
恵梨子は開いた口が塞がらなかった。
(この子、寝ぼけて私の胸を特大のアイスキャンディーだと思い込んで、あんなに熱心にしゃぶりついていたというの!?)
「―――――っっ!! この、バカぁ!!」
行き場のない羞恥と怒りで枕を叩きつけた恵梨子。彼女は二度と一緒に添い寝はしないと誓い、暗闇の中で激しい動悸と下半身の湿り気を必死に抑え込んでいた。
そして翌朝のダイニング。二人の記憶は、食卓の光景でさらに鮮烈に交錯する。
法仁はいつも通りのあどけない笑顔で、トーストにイチゴジャムを端から端まで隙間なく、均一な厚みで押し広げていた。さらに練乳を螺旋状に垂らし、スプーンの背でペタペタと湿った音を立てて丹念に馴染ませていく。
恵梨子にとって、その「余すところなく舐め尽くすような」執拗な手つきは、昨夜の胸元を貼る舌の記憶を容赦なく呼び覚ます最悪のトラウマだった。弟が「アイスキャンディーの夢」を無邪気に語るたび、恵梨子は自分の身体だけが勝手に暴走したかのような絶望と、いつかこの無自覚な猛獣に喰われるのではないかという黒い恐怖に震えていた。
あの夜、無意識の底で彼がさくらんぼのヘタを結ぶほどの器用な舌で蹂躙していたのは、他でもない実姉の、当時78センチの膨らみ始めた可愛らしい胸であったことを、成長した今の彼は知っていた。
そして明くる朝、自分がスプーンを動かすたびに、顔を青ざめさせ、息を呑んで脚をすり合わせていた姉の姿も確と覚えていた。
当時は無自覚だったが、今の彼は、自分の指先と舌が姉にどれほどの恐怖と「消えない快感」を植え付けたのかを完全に理解し、底知れぬ愉悦と共に思い返していた。
8年前、寝ぼけながら味わったあの甘い記憶の主を、今度は自らの成長した強靭な肉体と圧倒的な体格差で完全に床に縫い止め、自らの意思と執着のすべてを叩き込んでいる。子供の頃の「無意識の寝ぼけ」が、今や大人の男による「全人格的な支配と歪んだ愛着の証明」へと昇華されていることへの、深い征服感と狂おしいほどの独占欲が彼の胸を焦がす。
「……姉様。あの時のアイスキャンディーの続き、味わわせてもらいますよ」
回想から現実の茶室へと引き戻すように、法仁の恐ろしく器用な舌先が、再び恵梨子の頂をチュプ……と生々しい音を立てて吸い上げた。
朝のトーストにジャムを塗り広げたあの執拗さで、恵梨子の身体の隅々までを舐め尽くしていく。かつて無自覚だった猛獣は、今や完全な捕食者としての意志を持って、恵梨子の抵抗と理性を最も甘美な方法で打ち砕いていった。
(──あの朝から、ずっと)
恵梨子の胸の奥底で、かつてダイニングテーブルで感じたあの【恐怖】と、それに相反する【決して認めたくない別の熱】が、今この薄暗い茶室の畳の上でも激しく、狂おしく鳴り響いていた。
かつて「アイスキャンディー」と勘違いされて無邪気に舐められていた自分の胸元が、今度は成長した法仁の「胸」による息苦しいほどの圧迫と、容赦ない大人の舌技によって完全に支配されている。過去の秘密の記憶が、目の前の現実――「逃げ場のない完全な屈服」という形で何倍にも拡大されて再現されることへの戦慄と、抗えない背徳的な快感が脳裏を激しくかき乱していった。
「やめ、て……法仁……っ! 私は、貴方の……姉……っ、血の繋がった、あぁっ……!」
弟の無邪気な顔の裏に潜む「猛獣」の気配に怯えたあの日。
食卓でトーストにジャムを塗り広げる執拗な手つきを見ただけで、恵梨子の身体は勝手に前夜の記憶を呼び起こし、ひどく熱を帯びてしまっていた。
「さて、我が婚約者の蜜も味わい喉の渇きも癒せたし……おやおや、我が義弟君は実の姉に夢中か。なら僕は放置された、かわいそうな義弟君の婚約者を慰めてあげるか」
「い、嫌。助けて、法仁様!」
「義弟君は実姉に夢中だよ。安心して、純潔は穢さないから」
そんな婚約者と義妹の言葉が微かに聞こえた気がするが、恵梨子はそれどころではなかった。
血の繋がった弟の、無意識の愛撫に対して──あんなにも淫らな快感に溺れ、自ら「柔らかな檻」に囚われることを望んでしまった自分自身の肉体への、底知れぬ恐怖。
絶対に認めてはいけない。あれはただの事故で、私はただ怯えていただけなのだと。理性の鎖で必死に押さえ込み、誇り高き姉としての仮面を被り続けてきた。
しかし今、逃げ場のない密室で法仁の腕に縫い止められ、完全に覚醒した彼の舌が、あの夜以上の恐ろしい技術と、明確な「雄」の意志を持って恵梨子の頂を貪り尽くしている。
チュプ……、ジュルゥッ……と生々しい水音が耳元で響くたび、何年もかけて築き上げてきたはずの防壁が音を立てて崩れ落ちていく。
(怖い……っ。このままじゃ、私……。法仁の、弟の舌に……完全に、雌として溺れきってしまう……っ!)
「ひぁっ……! んんっ……ダメ、そこ……っ、そんな風に……執拗に、吸わ、ないでぇっ……!」
恐怖と羞恥で声は悲痛に震えているというのに、法仁の髪を押し退けようとする恵梨子の細い腕には、まるで力が入っていなかった。それどころか、熱く火照った白磁の肌は、弟の濡れた舌の感触にすり寄るように甘く震え、自らその熱の深淵を求めてしまっている。
(ああ……だめ、だめなのに……っ。あの朝、コーヒーと一緒に無理やり飲み込んだはずの熱が……私を、芯から溶かしていく……っ)
決して認めたくなかった真実が、容赦なく暴かれていく。
恐怖の裏側にずっとへばりついていた甘美な熱──弟のその口付けを、心のどこかでずっと恐れながらも、狂おしいほどに焦がれ、待ってしまっていたという事実。
「あ……ぁぁっ……! 法仁、あっ……も、ダメ……っ、狂っちゃう……っ!」
姉としての最後の倫理も、すべてが快感のうねりの中で完全に融解していく。
夜の南園に閉ざされた茶室の中で、恵梨子はもはや自らの内に響く「狂おしい熱」に一切抗うことができず、ただ涙をこぼしながら、最も恐れていた弟の愛撫の底へと、どこまでも甘く沈んでいた。
「ひぁっ……! ん……あっ、あぁっ……! ダメ、そこはっ……やぁっ……!」
香織の甘く震える悲鳴が、密室となった茶室の淀んだ空気に溶けていく。
背中を冷たい土壁に押し当てられ、畳の上に脚を投げ出した香織の白磁の肌を、恵梨子の婚約者の容赦のない舌と指先が這い回っていた。豊かな双丘の頂から、白く滑らかな首筋、そして内股の最も敏感な柔肌に至るまで、全身の隅々を文字通り「舐め回される」快感。
しかし、香織の理性を真に崩壊させていたのは、その強烈な肉体的快楽だけではなかった。
涙で潤む香織の視界の先──ほんの数歩先の畳の上で、自分の婚約者である法仁が、実姉の恵梨子を激しく、狂おしく蹂躙しているのだ。
(法仁、様……っ。あんな……あんなに熱を帯びた瞳で……恵梨子様を……っ)
チュプ、ジュルゥッ……という生々しい水音が、茶室に反響する。
一度余興で見せてもらった、さくらんぼのヘタを結べるあの恐ろしく高度で獰猛な法仁の舌先が、今は自分ではなく、恵梨子の美しい胸元に吸い付き、執拗にその頂を弄んでいる。かつて香織を優雅に手玉に取っていた恵梨子が、今は一人の「雌」として完全に陥落し、「あっ……! 法仁っ、あっ、ん……だめぇっ……!」と、狂おしい悲鳴を上げて弟の舌に溺れきっている。
自分の婚約者が、他の女性──しかも彼の実姉を、あんなにも情熱的に貪っている。
その背徳的で狂った光景を見せつけられながら、香織自身の身体は「別の男」である恵梨子の婚約者の執拗な愛撫によって、どうしようもなく熱く濡れ、快感に打ち震えてしまっているのだ。
「あ……ぁぁっ……! 違うっ……! 法仁様っ……、私、は……っ、んぁっ!」
恵梨子の婚約者の巧みな舌が、香織の最も敏感な粘膜を捉えてぬちゃりと音を立てた瞬間、香織は背筋を激しく反らせて喘ぎ声を上げた。
(イヤ……っ! 見ないで、法仁様……っ! 私が、他の男の人の舌で……こんなに淫らな声を出して、感じてしまっているところなんて……っ!)
強烈な羞恥と、法仁への申し訳なさ。自分だけを求めてほしかったという仄暗い嫉妬。
それらの感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い、しかし肉体は、与えられる圧倒的な快感の波に抗うことができず、ただひたすらに甘く蕩けていく。
「んんっ……あぅ……っ! 法仁……さま……っ、助け、て……っ。私……おかしく、なっちゃう……っ!」
すがるように伸ばした香織の細い指先は、虚空を掻くことしかできない。
目の前の法仁は、香織の艶やかな悲鳴を聞きながらも、ただ暗く愉悦に満ちた瞳でこちらを一瞥しただけで、再び恵梨子の肌へと深々と顔を沈めていく。それは「お互いの婚約者を目の前で犯し合う」という、男たちが仕掛けた究極の心理的陵辱であった。
(恵梨子様があんなに……っ。法仁様の舌で、何もかも溶かされて……。そして私も……っ、私自身も……っ!)
「ひぁっ……! もう、や……っ、だめ、頭が……まっ白に……っ、あぁっ……あぁぁんっ……!」
香織の口からこぼれるのは、もはや拒絶の言葉ではなく、完全に快楽に屈服した甘い吐息ばかりであった。
自らの婚約者が義姉を蕩かせる光景を網膜に焼き付けられながら、自らもまた別の男の熱に溺れきっていく。香織の誇りも、公爵家令嬢としての理性も、この閉ざされた茶室の狂気と快感の渦の中で、甘く、無惨に砕け散っていた。
「ひぁっ……! ん……あっ、あぁっ……! ダメ、そこはっ……やぁっ……!」
香織の甘く震える悲鳴が響く中、法仁は恵梨子をなおも容赦なく追い詰めていた。
「姉様。そろそろ良い頃合いですね」
法仁の腰元と興奮に膨らんだ熱は、畳の上で身動きの取れない恵梨子の顔面のすぐ目の前、唇の目と鼻の先へと突きつけられる。
「っ……ん……っ!」
至近距離に迫る圧倒的な肉体の質量と存在感に、恵梨子は息を呑み、涙に濡れた瞳を見開いて身をすくませた。
逃げ場を完全に塞がれた恵梨子の上で見下ろしながら、法仁はゾッとするほど甘やかな笑みを浮かべ、低く耳元で囁く。
「僕のアイスキャンディーを舐めてください、姉様」
「ん、ぁ……っ! や、だ……っ、法仁、そんな……っ!」
熱く硬い感触が容赦なく唇を割り込み、その甘やかな舌先と歯列を侵していく。
法仁は焦ることなく、まるで上質のキャンディーをじっくりと舐め溶かすように、自らの腰を緩やかに押し進めていく。
恵梨子の口腔を満たす圧倒的な熱量。舌先でその存在の形状をなぞらされるたびに、彼女の脳裏には背徳感と快楽の波が押し寄せ、視界が白く明滅した。
「素晴らしいですね……。八年前は僕を子供扱いして突き飛ばした姉様が、今では僕のものをこうして口に含み、必死に受け入れようとしている……」
法仁の指先が恵梨子の髪を優しく撫で上げながら、その角度を微調整する。
深くなる刺入と、喉奥を刺激する圧倒的な質感に、恵梨子は鼻から甘くくぐもった悲鳴を漏らすことしかできない。
「んんっ……! ふーっ、むぅ……!」
法仁の手がその顎を掴み、緩やかに腰を動かすたび、恵梨子の口内から生々しい水音が溢れた。
「……見事なものだね、義弟君のその手腕は。僕も試してみたくなったよ。僕のアイスキャンディーも、目の前にいる上品な令嬢の口でどれほど美味しく溶けるのかとね」
「ふっ……どうぞ、義兄上。香織さんにも『アイスキャンディー』を存分に味あわせてあげてください」
法仁の不敵な肯定を合図に、恵梨子の婚約者も自身の衣を脱ぎ捨て、香織の顔の目前へと容赦なくその熱を突き出した。
「なっ……! いや、そんな……っ!」
拒絶しようと首を振る香織だったが、恵梨子の婚約者の冷徹な片手がその髪をしっかりと掴み、逃げ場を完全に封じる。香織の口元へと、熱く硬い感触が容赦なく押し込まれた。
「んむっ……! んぁっ……、んぐ……っ!」
公爵家令嬢としての誇りも羞恥も、目の前で実姉を犯す法仁に見られているという絶望的な背徳感の中で木端微塵に砕け散る。
香織の口内を侵す質量と熱。香織は鼻声を漏らして悶え苦しむが、逃げることは叶わなかった。
香織は涙を零しながらも、恵梨子の婚約者の求めに応じて必死にその口腔で熱を迎え入れ、舐め溶かさざるを得なかった。喉の奥を突き上げる容赦ないストロークに、香織は甘い悲鳴と濁った唾液を糸状に垂らし、完全なる屈服の味を教え込まれていく。
「んむ……ッ、ぁんっ……!」
自分の婚約者である法仁が義姉の口内を蹂躙し、そして自分自身もまた別の男のものを含まされているという絶望的な背徳感が香織を襲う。
恵梨子と香織。二人の高貴な令嬢たちが相手の婚約者の「アイスキャンディー」を逃げ場のない密室の畳の上で、屈辱と甘やかな快感に涙を流しながら、その口内で甘受させられていた。
やがて、極限まで高まった密着の末、法仁は恵梨子の口内へと容赦なく白濁を解き放った。
「んむっ……! んぐ……っ、ぁっ……!」
「姉様。吐き出してはなりませんよ。全部飲み干しなさい。吐き出したら……わかりますよね、姉様の純潔さえ失わせなければいいのです。それ以外はいくらでも、ね」
法仁の動きが激しさを増し、恵梨子の限界を超えた直後――圧倒的な熱が彼女の喉奥を直接貫き、甘く濃厚な熱情が口腔内へ一気に解き放たれた。
恵梨子は喉を大きく波打たせ、溢れる熱をすべて飲み込まされる。
やがて婚約者もまた強い吐息とともに香織の喉奥へすべてを吐き出す。
逃げ場のない恐怖と甘やかな屈辱の中で、香織もまたそれを言われるがままに飲み込むことを強要された。
息も途絶え途絶えに伏せる二人の令嬢。事を終えた法仁は、満足げに息を吐くと、茶室の脇に置かれていた水差しと建水、そして茶碗を手にした。
「……さあ、姉様。口を濯ぎましょう」
法仁は椀に清らかな水を注ぐと、ぐったりと伏せる恵梨子の頭を優しく支え、その唇に椀の縁を当てて水を含ませ、口内をすすがせた。その水と白濁の残滓を建水へと吐き出させ、丁寧に口元を拭ってやる。
「さあ、香織君も口を濯ぎなさい」
隣では恵梨子の婚約者も同じように香織の口に椀を差し出し、水で口内を雪がせていた。
口内を清められ、荒い呼吸を繰り返す二人を見下ろしながら、婚約者が爽やかに、しかしどこか歪んだ声で口を開く。
「さて、交代だ、義弟君」
「ええ、義兄上。……本当に、この密室は素晴らしい。姉様たちが自ら用意してくれた、最高の舞台だ」
狭い茶室の畳の上で、二人の男たちは静かに、そして圧倒的な威圧感を伴って互いの立ち位置を入れ替えた。
(常に誇りを持って冷静だった女が、こうして乱れた襦袢の奥を晒し、無惨に喘いでいる。……なんてそそる眺めだ)
恵梨子の婚約者は、完全に快感に沈み、うつろな瞳で畳に横たわる自身の本来の獲物──恵梨子を見下ろし、冷酷なまでの独占欲を瞳に宿した。
(あ……。やっと、法仁の恐ろしい舌から……解放された……)
弟に蹂躙されるという禁忌の恐怖から解放された安堵も束の間、恵梨子の視界に映ったのは、獲物を嬲るような熱い視線で自身を見下ろす婚約者の姿だった。
「さあ、恵梨子。君の思い描いた『完璧な茶事』の続きをしようか。君が泣いて許しを請うまで、徹底的に味わい尽くしてあげるよ」
「ひっ……! や、だ……あなたっ……んんっ!」
婚約者の大きな手が恵梨子の白い胸を鷲掴みにし、容赦のない熱を帯びた唇が、弟の愛撫の痕跡を上書きするように深く、激しく吸い付く。
(ああ……もう、ダメ……。私の誇りも、理屈も、全部……っ、この人の前では……っ!)
恵梨子は首を激しく振りながら、ついに完全な陥落の嬌声を張り上げた。
その嬌声に背中を押されるように、法仁は静かに香織へと歩み寄ると、まさしく逃げ場を塞ぐ蛇のようにその影で香織を覆い尽くした。
香織はビクリと肩を震わせ、両腕で必死に己の豊かな胸元を隠そうと身をよじった。先ほどまで別の男(恵梨子の婚約者)に執拗に舐め回され、全身を甘く痺れさせていた己の淫らな姿を、最愛の婚約者に完全に見られていたのだ。
(法仁様……っ。嫌、そんな汚いものを見るような、怒ったような目で……私を見ないで……っ!)
香織の心臓が、凄まじい羞恥と罪悪感で早鐘のように鳴り響く。
しかし、法仁の胸中に渦巻いていたのは、軽蔑などではなかった。仄暗い嫉妬と、それを凌駕するほどの昏い興奮であった。
(僕の香織が、他の男の手でこんなにトロトロに溶かされている。許せない……だが、それ以上に……最高に唆られる)
「香織さん……」
法仁は香織の震える太ももにそっと手を添え、逃げ道を塞ぐようにその間に身体を割り込ませた。
「あ……ぁ……っ、法仁様、ごめんなさい……っ、私、違うの……っ、感じてなんか……っ」
「何が違うの? 義兄上に舐められて、すごく良い声を出していたじゃないか。……僕以外の男に、こんなに敏感にされるなんて、本当に悪い子だね」
「ひぁっ!?」
香織の言い訳を塞ぐように、逃げようとする香織の身体を捕らえ、法仁はみずから畳に仰向けになると、その上に彼女を同じく仰向けに重ねるようにして掻い抱いた。
男が下、女が上となり、互いに天を仰ぐ『撞木反り』の体勢。
腰の抜けた香織は、背中から直に伝わる法仁の逞しい肉体の熱と、完全に自由を奪われた絶望感に身を震わせる。
「さっき弄られて、どうなったの? ……義兄上の痕跡なんか、僕が全部舐め消してあげるよ」
法仁は下から彼女の身体を強固に抱きすくめ、剥き出しになった白皙の鎖骨から、豊かな胸元の膨らみへと両手を滑らせ、手荒に、しかし確実な独占欲をもってその実りを蹂躙していく。
撞木反りに香織を抱いた法仁が、香織の胸をまさぐりながら耳たぶを甘噛みしたその時だった。
「ひ、っ……あ、あ、法仁、様……っ」
香織の口から、自分でも予期しなかったほど、甘やかに蕩けた声が漏れ出た。
自身から漏れ出たその声の淫らさに、信じられぬ思いと羞恥を覚え、香織は顔を林檎のように赤く染める。
「へえ。姉様もそうでしたけど香織さんもここが弱いんですね」
すべてを察した法仁の唇に、酷薄な、しかし酷く愉しげな笑みが浮かんだ。ここからは、もう誰の邪魔も入らない。
法仁は逃げようと身をよじる彼女の細い首筋を容赦なく抑えつけると、羞恥に激しく脈打つ小ぶりな耳たぶへと唇を寄せ、逃?さぬように前歯で深く、きゅうと肉を割り込むように甘噛みした。
「う、あ……っ!?」
それは脳髄を直接灼くかのような、あまりにも鮮烈な快感の電撃だった。
だが、法仁の強欲はそれだけでは収まらない。甘噛みの痛みに身悶えする彼女の耳の輪郭を熱い舌先でねっとりと濡らし、そのまま、無防備に晒された耳穴の奥へと、さくらんぼのヘタを結ぶほどの器用で濡れた舌を深く、深く、蹂躙するように突き入れた。
「──ッ、は、ぁ、んく、っと……!」
だからこそ香織には恐ろしかった。
鼓膜のすぐ傍で鳴り響く男の低い喘ぎと、脳の髄まで直接掻き回されるような淫らな水音に、香織は最大の悲鳴を喉の奥で押し潰す。
胸を荒々しく揉みしだかれ、耳の最奥を濡れた舌で執拗に穿たれる二重の拷問。極限の背徳感と、生まれて初めて知る強烈すぎる快感の波が、香織の身体を容赦なく狂わせていく。
耐えかねた悲鳴がその唇から零れそうになるたび、背後から伸びた法仁の冷たい手のひらが、彼女の口元を優しく、しかし強固に覆い塞いだ。
ようやく息がつけると香織が微かに口を開いたその隙を、法仁は逃さなかった。今度は男の熱い唇そのものが、滑るように彼女の頬を這って、開かれたばかりの小さな口元を強引に吸い塞いだのだ。
時には冷徹な手のひらで、時には狂おしい唇で。
交互に訪れる容赦のない閉塞に、悲鳴はすべて熱い呼気となって肉の内側へと力ずくで押し戻される。ただ耳の奥で鳴り響く男の低い喘ぎと、自身の口元を塞ぐ肉の隙間から、情けないほど甘やかに蕩けた鼻息が漏れ出すばかり。
五感のすべてを法仁の質量で蹂躙された香織は、もう抗えなかった。
「あ、だめ、頭が、おかく、なっ……ぅ、あ!!」
身体を弓なりに強張らせ、香織は暗闇の中で一度目の絶頂へと強制的に叩き落とされた。ビクビクと小さく痙攣し、熱い吐息を漏らす彼女の身体を、しかし法仁は解放しなかった。
一度の絶頂でさらに感度が跳ね上がり、狂ったように熱を帯びた耳穴へ、二度、三度と容赦なく追撃の舌が突き入れられ、胸元を蹂躙する手のひらの圧迫が強まる。
「いや、もう、許し……っ、あ、ん、あぁっ!」
波が引く間もなく襲いかかる快感の暴力に、香織は声を殺すことすら忘れ、ただ最愛の婚約者の腕の中で何度も、何度も、壊れた人形のように激しく果てさせられていった。
全身の肌という肌、敏感な粘膜の隅々に至るまでを舐め回され、弄ばれていく時間。
「……あ……あぁ……っ、私たちが……こんな……っ」
香織の口から漏れる可憐な吐息と、恵梨子が必死に噛み殺そうとする艶やかな喘ぎ声が、薄暗い茶室の静寂に重なり合っていく。
かつて香織を翻弄し、「心身ともに親睦を深めましょう」と小悪魔に微笑んでいた恵梨子も、今や香織のすぐ隣で同じように素肌を晒し、絶え間ない甘美な愛撫の波に理性を完全に溶かされていた。逃げ場のない密室となった茶室には、誇りを砕かれ、ただ自らの婚約者による甘美な蹂躙に溺れるしかない二人の令嬢の、とめどない嬌声だけが夜更けまで響き続けた。
「……二人とも、とても綺麗だよ。……ゆっくり、二人だけでお話しするといい」
快楽の狂宴が過ぎ、床に横たわり身動きをしなくなった二人の姿を見届けた法仁は、どこか満足げで甘い余韻を残した声を落とすと、恵梨子の婚約者を促し静かに茶室の扉を閉ざした。
男性ふたりが余韻と密やかな足音を残して茶室を去り、遠くから南園の格子戸が閉ざされる音が聞こえた。
後に残されたのは、短檠(たんけい)のほのかな灯火と、どこか重たく淀んだ夜気。そして、畳の上に力なく崩れ落ちた二人の女性の、荒い吐息だけであった。
全身の粘膜と肌の隅々までを容赦なく舐め尽くされ、熱と湿度を刻み込まれた身体は、歓喜とも恐怖ともつかぬ強烈な痺れに未だ支配されていた。はだけた白襦袢から覗く白磁の肌には、生々しい愛撫の痕跡と熱気が留まり、空気に触れるたびにかすかな戦慄が走る。
「……ふぅ……っ、あっ……」
浅い息を繰り返しながら、香織はぎゅっと目を瞑り、震える指先で畳を握りしめていた。
義姉に弄ばれた過去の背徳どころか、今やその義姉と共に二人の男性の手によって弄ばれ、屈辱の境地へと突き落とされたのだ。法仁のあのアイスキャンディーを貪るような情熱的な舌使いと、婚約者の手つきが残した熱の余韻が、胸の奥で渦巻いて消えない。
「……香織……」
すぐ傍らから、か細く掠れた声が聞こえた。
視線を向けると、そこにはかつて無敵の観察者として余裕を誇っていた恵梨子の姿があった。乱れた髪を畳に散らし、豊かな胸元をはだけさせたまま、涙目になって肩を震わせている。いつもの小悪魔的な微笑みは完全に消え去り、そこにはただ、同じように身も心も翻弄し尽くされた一人の可憐な女性が横たわっていた。
「……恵梨子様……っ」
香織は膝立ちで這うようにして恵梨子の元へ寄ると、そっと彼女の震える肩に手を重ねた。
いつもは絶対的な余裕と優雅さで周囲を翻弄する彼女の、初めて見せる無防備で、酷く乱された姿だった。
「恵梨子、様……」
香織は震える声で義姉の名を呼ぶと、背景に流れる感情のまま、恵梨子の傍らへとすり寄った。
「……香織……熱い、の……体が、まだ……っ」
「私もです……恵梨子様……。胸が、体が……痺れて、止まらないのです……」
恵梨子は香織の胸元に顔をうずめたまま、熱を帯びた吐息を漏らした。男たちに与えられた快感の痕跡は、彼女たちの拒絶の意志とは裏腹に、肉体の奥底で嫉妬深い熱となって渦巻き続けている。
恵梨子はゆっくりと顔を上げると、涙に濡れた瞳で香織を見つめた。
「……酷い顔ね、香織。私も、人のことは言えないけれど」
恵梨子は力なく微笑むと、力が入らない腕をゆっくりと持ち上げ、香織へそっと手を伸ばした。
「……笑えばいいわ、香織。……まんまと、あの子の策略にはまってしまったのだから」
自虐的な笑みを漏らす恵梨子の白磁の肩は、かすかに震えていた。いつも完璧で、小悪魔のようにすべてを手玉に取っていた義姉が見せた初めての脆さ。それを見た瞬間、香織の胸の奥に不思議なほどの親近感と愛おしさが宿っていた。
「笑ったり……しませんわ……。だって……恵梨子様も、私と同じ……」
香織はそっと手を伸ばし、乱れた恵梨子の髪をやさしく撫で下ろした。その温かな手つきに、恵梨子は小さく息を呑み、そのまま吸い寄せられるように香織の豊かな胸元へと額を預けた。
香織は首を振り、濡れた唇で恵梨子の頬に伝う涙を、そっと拭うように自身の唇で舐め取った。
「今度は……私から……恵梨子様を、慰めて差し上げます……」
香織は恵梨子の顎にそっと手を添えると、かつて与えられたそれと同じように、自らの唇を恵梨子の濡れた唇へと重ね合わせた。
「んむっ……! ぁ……っ、香織……っ!」
二人の唇が重なり、湿った吐息が交差する。香織は恵梨子の口内へとそっと舌を滑らせ、男達の手によって荒らされた粘膜の傷口を撫でるように、丁寧に、そして深く舐めた。
「ん……っ……」
恵梨子の口から、か細い吐息が漏れる。香織の甘い唇の触感と、涙の塩気が二人の舌先に広がっていく。
「……覚えていますか、恵梨子様? あの夜……私に『銀の橋』を架けてくださったこと……」
香織の耳元への囁きに、恵梨子はハッと息を飲んだ。香織の目が、かつてないほど濃密な情念と甘い背徳の光を宿して恵梨子を見つめていた。法仁に弄ばれ、理性を狂わされた香織もまた、男たちへの反抗と屈辱の裏返しとして、目の前の義姉を求める衝動に支配されていた。
香織は恵梨子の背中に回した腕に力を込め、その背中を滑らかになで降ろした。自らも法仁の「神の舌」によって口腔と胸元を容赦なく蹂躙され、理性を溶かされたばかりだ。法仁のあのアイスキャンディーを貪るような情熱と、恵梨子の婚約者の力強い愛撫。男たちの圧倒的な本能の前にすべて甘く砕き散らされてしまったのだという共通の敗北感が、二人の間に深く横たわっていた。
「……あの方、あんなやり方で……私を追い詰めて……」
悔しさと、どこか認めたくない快感の余韻に身を灼かれる恵梨子。香織は、自分の胸元に寄りかかってくる恵梨子の華奢な身体を、包み込むように両腕で固く抱きしめた。
肌と肌が直接触れ合う。法仁の手で熱せられた香織の体温と、婚約者によって乱された恵梨子の素肌の熱が交じり合い、互いの動悸が相手の胸へと伝わっていく。
「いいのですよ、恵梨子様……。今夜は……私たちが、お互いを慰め合いましょう……」
「香織……っ」
香織はそっと恵梨子の顎をすくい上げると、先ほどとは立場を逆転させるように、その濡れた唇へ自身の唇を重ねた。
ちゅぷ、と甘い水音が静寂に溶ける。かつて恵梨子に口内を蹂躙されたあの強烈な記憶をなぞるように、香織は優しく、けれど情熱的に恵梨子の口内へと舌を滑らせた。香織の繊細な舌先が恵梨子の粘膜を撫で上げるたび、恵梨子の口から甘い切ない悲鳴が漏れ聞こえる。
「んむ……っ……ふあ……っ」
唇を離すと、二人の間に再び一筋の銀の糸が架かった。短檠のほのかな灯火に揺れるその糸を愛おしそうに見つめながら、香織は恵梨子の背中に回した手に力を込め、さらに強くその身体を抱き寄せた。
恵梨子もまた、香織の豊かな胸元に顔を埋め、その柔らかな果実の感触に縋るように細い腕を香織の腰へと回す。
「っ……香織……」
「こうして……暖め合いましょう。もう、ここには誰も居ませんから……」
さっきまでの背徳の熱とは違う、互いの傷ついた心と身体を慈しむ純粋な体温が、触れ合う肌を通じて伝わっていく。恵梨子は香織のやわらかな胸元に顔をうずめ、香織もまた恵梨子の背中に回した腕にギュッと力を込めた。
恵梨子の両手が、すがるように香織の背中に回る。爪が香織の白磁の肌に食い込み、二人は畳の上で完全に折り重なった。
男たちに乱され、暴かれた二つの裸身。
香織の豊かな胸元と、恵梨子の美しい胸元が押し潰されるように重なり合い、頂同士が擦れ合うたびに、甘い痺れが二人の背筋を駆け抜ける。
「んんっ……あぅ……っ! 香織の舌……っ、温かい……っ!」
「恵梨子様……っ、もっと……力を抜いて……っ」
香織は恵梨子の口内を蹂躙しながら、空いた手で恵梨子の果実のように熱を帯びた胸元へと手を伸ばし、優しく包み込むように撫で上げた。男たちの荒々しい愛撫とは異なる、女性同士の繊細で密やかな愛撫。傷つけられた自尊心を埋め合わせるように、二人は互いの肌を舐め合い、触れ合い、男たちの痕跡を自分たちの体温で塗り潰そうと必死に貪り合った。
「あぁっ……! そこっ……ダメ……っ、あぁんっ……!」
恵梨子の口から、先ほどの強がりとは裏腹な、甘く可憐な悲鳴が漏れ出す。香織の手指が描く優しい円運動に、恵梨子は背筋をそらせ、香織の肩に深く顔を埋めた。
「……ふふ、可憐なお声……。恵梨子様も……こんなに可愛い声を出されるのですね……」
「……いじわる……義妹のくせに……っ!」
二人は重ね合わせた肌のぬくもりに身を委ね、互いの涙と唾液を交わし合いながら、夜の茶室の中で深く深く溺れていく。
男たちという「猛獣」に支配された世界の中で、傷ついた二人の令嬢は、互いの肌の温もりだけを頼りに、密やかな屈辱と背徳の快感を分け合い続けた。
「……まさか、あの子たちがあれほどの手筈を整えていたなんてね……」
恵梨子が香織の腕の中で、か細く苦笑した。
「ええ……本当に、恐ろしい猛獣に育ってしまわれましたわ……」
「……不覚だったわ。あの子のあの無邪気な瞳の裏に、これほどの執念が隠されていたなんて。……貴女に偉そうなことを言っておきながら、私まであんな……無残に舐めまわされてしまうなんて……っ」
「……私だって同じですわ。あんな……あんなに全身を弄ばれて、声も抑えられなくて……っ」
二人は顔を見合わせると、込み上げてくる羞恥と自嘲、そしてどこか通じ合うおかしさに、涙を浮かべながら小さく微笑み合った。
「……不思議ね。あの子にも弄ばれたはずなのに……こうして貴女に抱かれていると、その恐怖も恥ずかしさも……全部甘い熱に変わっていってしまうわ……」
「私もです……恵梨子様。一人だったら、きっと恥ずかしさで狂ってしまいそうでした……」
お互いの傷ついたプライドと、身体に残る火照りを埋め合わせるように、二人の令嬢は素肌を重ね合わせ、何度も何度も唇を重ね、お互いの身体を愛撫し合った。
二人の豊かな膨らみを直接押し付け合い、下腹部の貝を合わせる。かつて恵梨子が一方的に楽しんでいた「甘い戯れ」は、今や二人だけの切実で濃密な慰め合いの儀式へと昇華していた。
「……ねえ、香織。……これからも、あの子に酷い目に遭わされたら……こうして私を慰めてくれるかしら?」
「ええ……もちろんです、恵梨子様。……何度でも、こうして抱きしめて差し上げますわ……」
締め切られた南園の茶室の中、二人の美しい令嬢は、互いの体温と蜜に浸りながら、夜が明けるまで静かに、自由と安らぎを求めるように深く慰め合い続けていった。
後書き代わりの座談会
香織
「ちょっと……っ! 法仁様と恵梨子様の婚約者様が去った後、茶室に残された恵梨子様とふたりでボロボロになりながら慰め合う展開になるなんて聞いてないわよ……!
『今度は私から恵梨子様を慰めて差し上げます』なんて、あんなに激しく弄ばれた直後なのに、恵梨子様の唇を奪って『銀の橋』を架けちゃうなんて……! 恵梨子様の涙を舐め取って、互いの素肌を擦り合わせながら夜が明けるまで慰め合うだなんて、自分がどんな淫らな顔をしてたのか思い出すだけで耳から火が出そうよ!
法仁様たち猛獣の愛撫から逃げる場所なんてどこにもないのに、恵梨子様と肌を重ねている時だけは甘い熱に救われる気がしちゃうのが、一番恐ろしいわ……っ!」
恵梨子
「……くっ、不覚だったわ。法仁たちに隅々まで暴かれて屈辱に震えていたのに、まさか年上の義妹になる香織に抱きしめられて、こんな風に蕩かされることになるなんてね。
『これからも酷い目に遭わされたら慰めてくれるかしら?』なんて、自分が香織の胸に顔を埋めてすがる姿を見せちゃうなんて……っ。男たちの圧倒的な支配の前に誇りを砕かれたはずなのに、香織の甘い手つきと唇に包まれていく中で、その恐怖すら甘美な熱に変えられていく感覚に完膚なきまでに敗北してしまったわ。
……でも、こうして香織と体温を分かち合えたことだけは、あの子たちの計算を超えた『私たちの秘密』として、大切に抱えて生きていくしかないわね……」
歌乃
……みんな、息してる!? この『恵梨子のとある世界の観察日記』の最新エピソード、情報量と破壊力が凄まじすぎて、私、読んでる途中で三回くらい気を失いかけたわよっ!!
(顔面蒼白からの大沸騰で、サロンのソファに崩れ落ち、頭を抱えてプルプルと震え続ける香織)
里緒
か、香織ちゃんが……また灰になってしまいましたわ……! でも無理もありません、あんな……あんな信じられない展開が待っているなんて。
貴美
まあ……。法仁様と恵梨子様の婚約者様による、完璧な連携と逆襲劇。そして最後は、傷ついた二人の令嬢が密室で美しく慰め合う……。あまりにも濃密で、そして残酷なまでに官能的な幕引きに、私までお茶碗を取り落としそうになってしまいましたわ。
霧葉
恵梨子様が築き上げた『法仁様の完全排除』という鉄壁のロジックが、まさかこんな形で崩れ去るなんてね。見事なちゃぶ台返しだったわ。分析してみましょう。恵梨子様の誤算は自分の婚約者様を完全に計算から外していたこと。法仁様単独なら防げても、婚約者様という『身内』を巻き込んだ二面作戦は想定外だった。そして法仁様の執念ね。8年前の『アイスキャンディー事件』の因縁を見事に回収したわね。結果、恵梨子様と香織は、逃げ場のない茶室という密室で、同時に『猛獣』たちの蹂躙を受けることになった。特に、香織を『撞木反り』の体勢で拘束し、視覚、聴覚、触覚のすべてを支配した法仁様の戦術は、完全に相手の心身を掌握する極めて高度な手口よ。
香織(ビクンッと跳ね起き)
分析しないでよぉ!! 撞木反りとか、耳穴への愛撫とか……っ! なんで私が、あんな……っ! 法仁様に弄ばれるだけじゃなくて、恵梨子様まで目の前で……っ!!
里緒
香織ちゃんの豊かな胸元も、恵梨子様のモデルのような胸元も、猛獣たちの容赦ない手によって同時に暴かれてしまったのですね……///
歌乃
あはははは! 香織ちゃんも大変だったけど、今回は何と言っても恵梨子様の陥落よね! 『着物を襦袢まで乱しても直せるから』なんて余裕しゃくしゃくだったのに、まさかご自分が南園の草むらで婚約者に着物を乱されて、茶室に投げ込まれるなんて!!
貴美
ええ、本当に……。あの恵梨子様が、法仁様の『神の舌』によってかつての香織ちゃんと同じように胸元を蹂躙され、涙目で喘ぐ姿……。8年前の夜、突き飛ばして無理やり終わらせた『快感の檻』に、今度こそ完全に閉じ込められてしまったのね。
香織
笑い事じゃないわよ!! 恵梨子様も私も、二人揃って『猛獣』たちの餌食にされちゃったのよ!? あんなの、いくら未来の夫や弟だって、絶対に許されないわよぉっ……!
霧葉
しかも、法仁様と婚約者様は、二人が完全に屈服するのを見届けてから、優雅に茶室を去っていったわ。これは『いつでもお前たちを支配できる』という絶対的な力の誇示よ。
歌乃
でもね、私が一番叫びたかったのはそのあとなのよ!! 猛獣たちが去ったあとの茶室で、香織ちゃんと恵梨子様が……っ!!
里緒(真っ赤になって手で顔を覆う)
わ、私もですわ……っ! か、香織さんが……今度は恵梨子様を抱き寄せて、唇を重ねて……『銀の橋』を架け直してしまうなんて……っ!!
貴美
ふふ、なんて妖艶で、そして悲しいほどに美しい結末かしら……。男たちの圧倒的な暴力に蹂躙された二人が、互いの傷ついたプライドと身体の火照りを癒やすように、素肌を重ね合わせて慰め合う……。かつて恵梨子様が一方的に楽しんでいた戯れが、二人だけの切実な『儀式』へと変わってしまったのね。
香織(再びクッションに顔を埋めて絶叫)
恵梨子様っ!! なんで!! なんでこんな狂った未来予想図を完璧な文章で書き上げてるのよーーーっ!! 私、恵梨子様の口の中を舐め回したりしないわよっ!!
霧葉
でも香織。もし本当に猛獣たちにそんな目に遭わされた直後なら……極度の恐怖と快感による吊り橋効果で、側にいる唯一の同性である恵梨子様にすがりつき、互いの傷を舐め合うような異常な心理状態に陥る可能性は……非常に高いわね。
歌乃
霧葉ちゃん、それ以上言ったら香織ちゃんの脳が完全にショートしちゃうわよ!!
香織
もうショートしてるわよぉーーーっ!! 恵梨子様、降参! 完全降伏!! もう絶対に逆らわないし、お茶室にも近づかないわよっ!! だからお願い、この続編だけは書かないでぇぇぇっ!!
(夕暮れ時のサロンは、香織の悲鳴と親友たちの爆笑、そしてため息のようなどよめきに包まれる。法仁という猛獣、そして恵梨子という美しき義姉に挟まれた香織の未来は、どこまでも妖艶で波乱に満ちていることを、令嬢たちは確信するのだった)
―その数日後―
歌乃
きゃあ!! ちょっとみんな、今度こそ大変!! 恵梨子様から、まさかすぎる白旗&謝罪メッセージが届いたわっ!!
先程の話、せっかくだから、作中の4人の組み合わせで色々考えてみたわ。
【正当カップル並走パターン】:
【香織 × 法仁】および【恵梨子 × 恵梨子の婚約者】。同じ茶室(あるいは隣り合う空間)で、それぞれの伴侶に同時に愛でられる。
【姉妹(義姉妹)百合&男性陣鑑賞パターン】:
【香織 × 恵梨子】の艶やかな戯れを、法仁様と私の婚約者が最前列(砂かぶり席)で並んで鑑賞し、その後にそれぞれの伴侶を奪い合う。
後は私の婚約者(こんな話も笑って読んでくれる理解ある皇族。時々怒られるけど)と香織の組み合わせよ。
私× 私の婚約者×香織
法仁× 私の婚約者×香織
で、
私×香織
私×法仁×香織……これは法仁に脅され参加を強制させられた私と法仁で香織をイジメるパターンね。
って書きかけたら婚約者に怒られたわ。
『恵梨子、僕は香織さんと直接の面識はない。君以外を抱くつもりもないし、まして面識のない令嬢にこのような真似をするわけがないだろう。法仁君との夜や香織さんとの夜を描いた前編は事実であっても少し誤魔化すべきだったし、書きかけていたこれと言い、前に書いた全くのフィクションの後編と言い、この様な話は互いが顔見知りだから許される話だと思う。特に書きかけのこれは描いてはいけないことだと思う。しっかりと反省させなければならないね』って……朝まで。
もう、顔見知り以外は巻き込まないわ」
……って、恵梨子ちゃん、自分の婚約者様にガチで怒られて『朝まで反省』させられてるじゃないのっ!!
香織(目を見開いて硬直したあと、そのままソファに倒れ込んで爆笑する)
正論! 婚約者様が1000%正しいわ!! 私と面識のない婚約者様を巻き込んで、あんな凄惨で官能的なフィクションの後編を書くなんて、怒られて当然よーーーっ!! 素晴らしいわ婚約者様!! 神様に見えるわ!!
霧葉
完璧な着地ね。婚約者様の言い分は極めて健やか、かつ正当だわ。
前編(事実ベース): 実際の出来事(法仁様との夜、香織との夜)を描くのも、少しぼかすべきだった。
後編(完全フィクション): 香織さんと面識のない自分を巻き込んで『恵梨子と香織が自分と恵梨子の実弟であり香織の婚約者である法仁の二人に陵辱される』という展開を描くのは、礼節と倫理を完全に踏み越えている。
つまり、恵梨子様の無敵の暴走を止められる唯一の存在は、法仁様でも香織でもなく、恵梨子様ご自身の婚約者殿だったわけね
貴美
ふふ、皆様、お聞きになりました? 婚約者殿は「しっかりと反省させなければならないね」と仰って……『朝まで』反省させられたのですわよ?♪
里緒
……! 『朝までお説教』……だなんて……っ! 恵梨子様、説教という名目で、婚約者様に一体どんな……どんな「反省」を朝まで施されてしまったのですか……!?///
歌乃
恵梨子ちゃん、完璧な文章で香織ちゃんを解体しておいて、自分は自分の婚約者様に朝まで身も心もたっぷりと【反省】させられちゃったのよ!! これぞ究極の因果応報ね!!
香織(涙が出るほど笑ってすっきりした顔で起き上がる)
ふぅ……っ! でも、よかったわ……! 恵梨子ちゃんがちゃんと婚約者様に怒られて、自分の過ちに気づいてくれて! これで私のDカップも、お茶室での凌辱も、全部フィクションとして闇に葬られるわけね!
歌乃
え〜? ても香織ちゃん、恵梨子ちゃん最後の文で何て言ってる? 『もう、顔見知り以外は巻き込まないわ』……ってことはつまり、【顔見知りである私たち親友5人衆と照仁様、法仁様、普仁様と寛奈ちゃん】の範囲内なら、これからも容赦なく『観察日記』のネタにされるってことじゃないのっ!?
香織(再び顔から血の気が引く)
ちょっ……!? 確かに『顔見知り以外は』って書いてあるわ……!! 私たちの被害は止まってないじゃないのっ!!
貴美
あらあら、うふふ♪ 顔見知り同士なら許されるとお墨付き(?)をいただいたようですし……次回の『恵梨子のとある世界の観察日記』も楽しみになってまいりましたわね♪
香織
楽しみにしないでぇぇぇっ!! 恵梨子ちゃん! 反省したのは偉いけど、次は私を観察日記から完全に除外してちょうだいっ!!
―翌日―
歌乃
婚約者様に怒られてしゅんとしてるかと思ったら、恵梨子ちゃんから最凶に可愛い&恐ろしいメッセージが届いたわっ!! 『ふんだ。恵梨子のとある世界の観察日記 香織の受難 前編は、事実だから撤回しないもん』 ……って、香織ちゃん!! 『撤回しないもん』だって
香織(目を見開いて硬直したのち、両手で顔を覆ってソファに倒れ込む)
ちょっとぉぉ! 『ふんだ』じゃないわよぉぉぉっ!! 『撤回しないもん』って開き直らないでよ恵梨子ちゃんーーーーっ!!
霧葉
完璧な主張ね。後編は完全なフィクションであり、婚約者殿からの指摘・指導に基づき不適切な表現だったからお叱りを受けた。前編の茶室での二人きりのお点前、そして恵梨子様の手によって着物の帯を緩められ、乱れ髪を耳に掛け直された甘美な戯れ……これらは『実際に起きた事実』であり、登場人物は身内だけのため撤回する理由が存在しない。つまり恵梨子様は、公私を完璧に区別した上で、事実に基づく『観察日記の香織の受難①』を永遠の正史として刻み続ける宣言をされたわけね。
貴美
あらあら……♪ ということは、あのお茶室で揺れる短檠の灯火の下、香織ちゃんが胸元を押さえて『ひゃんっ……』とか細い悲鳴を上げ、恵梨子様に甘く解体されてしまったあの美しい出来事は、すべて【紛れもない現実】として残るということですわね。
里緒
……! 婚約者様にお説教されたからって、全部が消えてなくなるわけではなかったのですね……! むしろ『前編は100%リアル』とお墨付きがついてしまったようなものですわ……っ///
香織
お墨付き与えないでぇぇぇっ!! 婚約者様! ①の方も『事実であっても少し誤魔化すべきだ』っておっしゃってたじゃないですか!! 前編もセットで怒ってください!! 裁いてくださいぃぃっ!!
歌乃
あはははは! 香織ちゃん残念でした! 恵梨子ちゃん、婚約者様には怒られたけど『事実だから撤回しないもん』っていう、令嬢としての最高の意地と『観察日記』への情熱を見せつけてくれたじゃない! これで『香織の受難①』は、私たちの華族サロンにおける国宝級データとして永久保存決定ね!
香織
国宝にしないでぇぇぇっ!! 恵梨子ちゃん! 謝ったあとの『仲直りの続き』も撤回して! 前編の『胸元をゆるめられた』のもちょっと盛ってるって言って! じゃないと、私これからどんな顔をして恵梨子ちゃんとお茶を飲めばいいのよぉぉっ……!
貴美
ふふ、どんな顔って……もちろん、22歳の可憐で魅力的な『一歳年上の義妹さん』として、真っ赤な顔でお茶碗を抱える顔に決まっていますわ♪
香織(真っ赤になってクッションに顔を埋め、足をバタバタさせる)
恵梨子ちゃんのバカぁぁぁっ!! 『撤回しないもん』なんて可愛く言ったって騙されないんだからねっ! 次に会った時は、私が恵梨子ちゃんの美味しいところを全部『観察日記』に書いてやれるくらい、徹底的に甘やかしてやるんだからぁぁぁっ!!
(本日一番の割れんばかりの歓声と大爆笑がサロンに響き渡る)
恵梨子の「ふんだ」宣言により、香織の甘く艶やかな受難は『歴史的事実』として永遠に語り継がれることとなり、二人の愛すべき義姉妹の絆(?)は、これからもサロンを華やかに彩り続けていく……かも知れない?