※この作品はR-18です。

貞操逆転でも響け!ユーフォニアム!   作:syumasyuma

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葉月♡本番

滝先生からオーディションの結果を聞き、葉月はしばらく立ち尽くしていた。

府大会のメンバーに、自分の名前はない。

コンクールメンバーの座をかけたオーディションは無情にも彼女を落選させていた。

 

 

(あたし……ダメだったんだ……)

 

葉月は俯いたままぎゅっと拳を握りしめた。

ぴょこぴょこと跳ねた癖っ毛のショートカットが、いつもより元気なく垂れ下がっている。

つやつやと輝く小さな唇がへの字に曲がっていた。

黒目が大きな目は、今にも涙がこぼれそうに潤んでいる。

 

 

 

「……よし!Bチームの集まりまでは時間があるし・・・。」

 

第二音楽室に向かう足を止める。

 

彼女は顔を上げると、くるりと方向転換した。

向かう先はあの空き教室だ。

 

 

「レイジくんに慰めてもらおう!」

 

いつもの鈴を転がすような声にほんの少しだけ力が戻っている。

じっとしているのが苦手な葉月は、落ち込んだときこそ動くのが性に合っていた。

軽やかな足取りで特別教室棟に向かう。

 

 

空き教室に着くと、待合用のパイプ椅子には数人の生徒が座っていた。

葉月は順番を確認しようと顔を上げる。

すると待っていた生徒たちが一斉に彼女を見た。

 

 

「あ、葉月ちゃん」

「オーディションお疲れさま」

「どうぞ、先に入って」

 

一人がそう言うと、他の生徒たちもこくりこくりと頷いて道を譲ってくれる。

 

 

「え? いいの?」

「うん。

葉月ちゃん、落ち込んでるでしょ」

「今日は譲るよ」

 

葉月は目をぱちぱちと瞬かせた。

 

 

(なんでみんな知ってるんだろう……)

 

でも、理由を深く考えるより先に感謝の言葉が口をつく。

 

 

「ありがとう! 助かる!」

 

葉月はぺこりとお辞儀をすると、仕切りの向こうに駆け込んだ。

 

 

「レイジくん!」

 

レイジは机に向かって手帳を書いていたが、葉月の声に顔を上げた。

 

 

「葉月さん、今日は早いね」

「うん! 譲ってもらっちゃった!」

 

レイジは少し驚いた顔をしたが、すぐにいつもの穏やかな表情に戻る。

 

 

「で、今日はどのコースにする? 乳首コネコネ手マンコース? それとも拡張の続き?」

「あのね」

 

葉月はレイジの前に立つと、真剣な顔で言った。

 

 

「今日はね、ナデナデ膝枕がいい」

「……え?」

 

さすがのレイジも、呆気にとられた顔で葉月を見つめた。

この教室でそんなリクエストをされたのは初めてだ。

 

 

「いいからいいから!」

 

葉月は有無を言わさずレイジの膝の上にちょこんと乗った。

すらりと伸びやかな小さな体を丸めて、彼の膝に頭を預ける。

癖っ毛のショートカットがレイジの太ももの上でふわりと広がった。

 

 

(なんか……あったかい……)

 

レイジはとりあえず彼女の頭に手を置いて優しく撫でてみた。

さらさらの髪を指で梳くように、ゆっくりと優しく。

手触りがよくて、撫でていると自分の気持ちも落ち着いてくるようだ。

 

 

「何かあったの?」

 

レイジが静かに尋ねると、葉月はしばらく黙っていたがやがてぽつりと呟いた。

 

 

「……オーディション、落ちちゃった」

 

その声は、いつもの快活な葉月からは想像できないほどしょんぼりとしていた。

前髪のペアピンがきらりと光る。

大きな黒目がうるうると潤み始めている。

 

 

「……なるほど」

 

レイジは納得して、彼女の頭をよしよしと撫で続けた。

 

 

「そうか、頑張ったんだね」

「……うん」

「毎日遅くまで練習してたもんね」

「……うん」

「すごく努力したんだ。葉月さんはえらいよ」

「……レイジくん……」

 

レイジは思いつく限りの言葉で葉月を褒め始めた。

 

 

「葉月さんのチューバ、すごく良くなったって前に久美子が言ってたよ。音がすごくまっすぐになったって」

「……ほんと?」

「うん。

それに葉月さんはいつも全力で取り組むから見てるこっちも元気になる。

オーディションに落ちても次がある。

その時のためにまた頑張ればいい」

「……レイジくん……」

 

葉月の声が少しだけ明るくなった。

 

 

「それに葉月さんは体も小さいけどその分動きが機敏でステージ映えするし目も大きくてかわいいし声も鈴みたいにきれいだし髪もさらさらで撫で心地いいし」

「ちょ、ちょっと! 褒めすぎ!♡」

 

葉月は顔を真っ赤にしてレイジの膝の上でもぞもぞと動いた。

でも、その声はもうさっきまでのしょんぼりしたものじゃない。

 

 

「……ありがと、レイジくん」

「どういたしまして」

 

レイジはまだ彼女の頭を撫で続けている。

葉月はその手の温かさに身を委ねながら、そっと目を閉じた。

 

 

(オーディションはダメだったけど……レイジくんに会えてよかった)

 

葉月の心の中で、落選の悔しさが少しずつ溶けていく。

また明日から頑張ろう。

そう思えるのはこの膝の上の温かさのおかげだった。

 

 

「……レイジくん」

「なに?」

「あたし、また頑張るね」

「うん。

応援してる」

 

レイジは膝の上でくつろぐ葉月の頭を撫でながら、ふと思いついたように言った。

 

 

「そうだ、葉月さん。

今日この後空いてる?」

 

葉月はパチリと目を開けて、レイジを見上げた。

大きな黒目がきょとんとしている。

 

 

「えっとね、Bチームの集まりが終わったら多分空いてる」

「Bチーム?」

「うん。オーディションに落ちたメンバーで、Aチームのサポートと演奏練習するんだ。今日はその結成の集まりがあるの」

 

葉月はそう言いながら、指を折って時間を数えている。

 

 

「多分、今日は顔合わせと簡単な予定決めだけだからそんなに時間も掛からないと思う」

「じゃあ、終わったら連絡してよ」

 

レイジがそう言うと、葉月はぱっと顔を輝かせた。

でもすぐに首をかしげる。

 

 

「連絡って……あたし、レイジくんの連絡先知らないよ」

「あ、そうか」

 

レイジは自分のスマホを取り出してLINEのQRコードを表示させた。

葉月も慌てて自分のスマホを取り出す。

ぽってりとした小さな手に握られたスマホの画面が、かざされてピコンと音を立てる。

 

 

「これで連絡できるね」

「うん! スタンプ送っていい?」

「いいよ。終わったら連絡して。場所は……そうだな、学校の近くのカフェにしようか。たまには外で話すのもいいだろ」

「カフェ! やった! あたし、レイジくんとカフェ行くの初めて!」

 

葉月は膝の上でぴょんと跳ねた。

さっきまでしょんぼりしていたのが嘘みたいに、いつもの快活な葉月に戻っている。

鈴を転がすような声が教室に響いてレイジも思わず笑ってしまった。

 

 

「楽しみにしてるね」

「うん! 絶対連絡する! 約束だよ!」

 

葉月はレイジの膝から飛び降りるとぺこりとお辞儀をして教室を駆け出していった。

癖っ毛のショートカットがぴょこぴょこと跳ねて、こめかみのペアピンがきらりと光る。

 

 

「……カフェか」

 

レイジはスマホを机の上に置いて、小さく笑った。

この教室以外で葉月と会うのは初めてだ。

どんな話をしようかと考えながら彼は次の生徒を呼ぶために顔を上げた。

 

 

学校近くの小さなカフェ。

レイジは窓際の席に座って冷めかけのアイスコーヒーをストローでかき混ぜながら待っていた。

放課後の時間帯だけあって、店内はまばらだ。

 

 

ガラス越しに、ぱたぱたと走ってくる小さな人影が見えた。

癖っ毛のショートカットを跳ねさせてペアピンが夕日にきらりと光る。

葉月だ。

 

 

「はぁ……はぁ……ごめん!待たせて!」

 

葉月は息を切らしながらレイジの向かいの席に滑り込んだ。

大きな黒目が申し訳なさそうに揺れている。

 

 

「大丈夫だよ。

今来たとこだから」

 

レイジが笑ってそう言うと葉月はほっと胸を撫で下ろした。

実際は十五分くらい待っていたが、彼女の息の切れようを見れば急いで来たのは明らかだ。

 

 

「何飲む?」

「えっと……あたしオレンジジュース!」

 

飲み物を注文すると、葉月は早速今日の報告を始めた。

 

 

「ねえねえ聞いて!Bチームの名前、『もなか』になったんだよ!」

「もなか?」

「うん。

先輩たちの名前を一字ずつ取ったんだって。

すごくない?かわいいよね!」

 

葉月はにこにこと笑いながら、指を折って説明する。

彼女の鈴を転がすような声が静かなカフェに小さく響いた。

 

 

「それでね、人数が十人くらいしかいなくて……だからC編成で出ることになったんだ」

「C編成ってことは、小編成ってことか」

「そう!だからあたし、もっとチューバ上手くならなきゃって思って」

 

葉月はオレンジジュースを両手で握りしめながら、真剣な顔で言った。

つやつやと輝く小さな唇がきゅっと引き結ばれている。

 

 

「Aチームのサポートだけじゃなくて、自分たちの演奏もするんだ。

人数少ないから一人一人の音がすごく大事で……あたし、もっと練習しなきゃ」

「そうか」

 

レイジは静かにうなずいた。

オーディションに落ちた悔しさを引きずるどころか、もう次の目標に向かって走り始めている。

その切り替えの早さは葉月の良いところだ。

 

 

「それでね、Bチームには低音あたししかいないんだー」

 

葉月はオレンジジュースのストローをくわえながら少し困ったように笑った。

チューバ奏者が彼女一人ということは、低音パート全体の責任が彼女の肩にのしかかっているということだ。

 

 

「じゃあ、教えてくれる人もいなさそうだね?」

 

レイジがそう言うと、葉月は大げさにため息をついた。

 

 

「そうなんだよー! 低音の先輩たちはみんなAチームに行っちゃったし、久美子も緑もいないし……。わからないことあっても聞く人がいないんだよね」

「そうだ」

 

レイジは何かいいことを思いついたように、にこりと笑った。

 

 

「この前、チューバ吹いてる人と仲良くなったから紹介するよ」

「ほんと!?」

 

葉月はぱっと顔を輝かせた。

大きな黒目がきらきらと輝き、つやつやの小さな唇が嬉しそうに開く。

 

 

「それとさ、『もなか』の人たちもみんな呼んで参加したらいいよ」

「参加って……どこに?」

「音楽ホール。松本先生がBチームを見てるんだっけ?」

「そう! 松本先生なんだけど……大丈夫かな?」

 

葉月は少し不安そうに首をかしげた。

癖っ毛のショートカットがふわりと揺れる。

 

 

「松本先生とも仲良しだから大丈夫だよ」

「そ、そうなんだ……」

 

葉月はぽかんと口を開けた。

レイジの人脈の広さに改めて驚いているようだ。

でもすぐにふにゃりと笑顔になる。

 

 

「でも……ありがとう。色々考えてくれて」

 

葉月は両手でオレンジジュースのグラスを包み込みながらしみじみと言った。

さっきまでオーディションの落選でしょんぼりしていたのに、今はもう新しい目標に向かって目を輝かせている。

 

 

「うんうん。葉月さんが笑顔になってよかった」

 

レイジは満足そうにうなずくと、空になったアイスコーヒーのグラスを机の端に置いた。

 

 

「じゃあ、そろそろ出ようか?」

「え~、もう?」

 

葉月は不満そうに唇を尖らせる。

まだレイジと話していたい。

そう言いたげな顔だ。

 

 

レイジは身を乗り出すと、葉月の耳元に顔を近づけた。

 

 

「続きは、俺のうちで話そうか」

 

低く落ち着いた声が、葉月の耳をくすぐる。

彼女の小さな体がびくんと跳ねた。

耳の先から首筋までみるみる赤く染まっていく。

 

 

「……っ♡ う、うん……♡」

 

葉月はさっきまでの元気な声が嘘のようにか細い声で返事をした。

心臓がバクバクと鳴っているのが、自分でもわかる。

 

 

カフェを出て二人でレイジのマンションに向かう道すがら、葉月はスマホを取り出して何やらメッセージを打っていた。

夕暮れの街灯が彼女の癖っ毛のショートカットをオレンジ色に染めている。

 

 

「あのね、今日は友達の家に泊まるってお母さんにメール送っといた」

 

葉月は顔を紅潮させながらちらりとレイジを見上げた。

大きな黒目がうるうると揺れていて、言い訳をした罪悪感とこれから起こることへの期待が混ざり合った複雑な表情だ。

 

 

「別に男のところにいるって送ればいいのに」

 

レイジが悪戯っぽく笑いながらそう言うと、葉月はぷくっと頬を膨らませた。

 

 

「もう! 恥ずかしいでしょ!」

「そう?」

「そうなの! お母さんに『レイジくんちに泊まるよ』なんて送れないよ!」

 

葉月は真っ赤な顔で抗議する。

つやつやの小さな唇がへの字に曲がり、ペアピンで留めた前髪が怒ったように揺れていた。

 

 

「メールしたなら早速」

 

レイジはマンションの玄関を開けると靴を脱ぐ間もなく後ろから葉月を抱きしめた。

すらりと伸びやかな小さな体が、レイジの腕の中にすっぽりと収まる。

太陽に当たった洗濯物のような清潔な香りがふわりと鼻腔をくすぐった。

 

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

葉月は慌てて身をよじった。

 

 

「シャワー! シャワー浴びさせて!」

「えー、俺は気にしないよ?」

「あたしが気にするの!」

 

葉月はじたばたと手足を動かしてレイジの腕から逃れようとする。

でも彼女がもがけばもがくほど、レイジの腕はしっかりと彼女を抱きしめて離さない。

 

 

「そうなんだ」

 

レイジは観念したように腕を緩めると、寝室のクローゼットからふかふかのバスタオルと白いバスローブを取り出した。

 

 

「はい。バスタオルとバスローブ」

「あ……ありがと」

 

葉月が受け取ろうと手を伸ばすと、レイジはひょいとそれを頭上に持ち上げた。

 

 

「でも、ちゃんと全部洗ってくるんだよ」

「わ、わかってるよ! もう、からかわないでよ!」

 

葉月は背伸びしてバスタオルをひったくると、ぷんぷん怒りながらバスルームに駆け込んだ。

でもその耳の先は真っ赤で怒っているふりをしても隠しきれていない。

 

 

(かわいいな)

 

レイジはバスルームから聞こえてくるシャワーの音を聞きながら、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。

 

 

シャワーの音が止んでしばらく経つ。

それなのに葉月はなかなか寝室に現れなかった。

レイジが様子を見に行くと、彼女は寝室の入り口でバスローブ姿のままもじもじと足をすり合わせながら立っていた。

ふかふかの白いバスローブは彼女の小さな体には少し大きく、肩のあたりがだらりと下がっている。

湯上がりの肌はほんのりと桜色に染まり癖っ毛のショートカットからはまだ水滴がぽたぽたと落ちていた。

 

 

(まごまごしてる)

 

レイジは思わず笑いそうになるのをこらえて彼女の手を取った。

指をそっと絡めると、葉月の手がびくんと跳ねる。

 

 

「こっち」

 

レイジは優しく彼女をベッドに誘った。

歩くたびにバスローブの裾がひらりと揺れて、きゅっと引き締まった細いふくらはぎがちらりとのぞく。

葉月は俯いたままレイジの手に引かれるがままにベッドの端に腰掛けた。

 

 

「緊張してる?」

 

レイジが彼女の顔を覗き込むようにして尋ねると葉月はこくりと小さくうなずいた。

大きな黒目がうるうると揺れ、つやつやの小さな唇がぎゅっと引き結ばれている。

湯上がりのせいだけではない熱が彼女の頬を赤く染めていた。

 

 

「だって……その……レイジくんの家に来るの初めてだし……」

「そっか」

「それに……学校の教室と違って……なんか……その……」

 

葉月は言葉を探すように視線を泳がせる。

教室でのあの活動とは違う。

ここはレイジのプライベートな空間だ。

ベッドもあれば彼の匂いが部屋中に染みついている。

そう思うと、鼓動がどんどん早くなった。

 

 

「緊張するのはわかるけど、無理しなくていいよ」

 

レイジは彼女の隣に腰掛けると、そっと肩を抱き寄せた。

湯上がりの清潔な石鹸の香りと彼女本来の太陽に当たった洗濯物のような香りが混ざり合ってレイジの鼻腔をくすぐる。

彼女の小さな肩はまだかすかに震えていたが、レイジの体温が伝わるにつれて少しずつ力が抜けていくのがわかった。

 

 

「……あったかい」

 

葉月は小さく呟くとレイジの胸に頭を預けた。

バスローブ越しに伝わる互いの体温が、二人の距離をゆっくりと縮めていく。

 

 

葉月の肩を抱いたままレイジはそっと彼女の顔を覗き込んだ。

大きな黒目がまっすぐにレイジを見つめ返してくる。

潤んで、揺れて期待と緊張が混ざり合った瞳だった。

 

 

「葉月さん」

 

レイジは彼女の名前を呼ぶと、ゆっくりと顔を近づけた。

葉月はぎゅっと目を閉じる。

つやつやと輝く小さな唇がかすかに震えていた。

 

 

ちゅっ……

 

触れるだけのキス。

ほんの一瞬唇と唇が触れ合ってすぐに離れる。

それだけなのに、葉月の顔はぼっと音がしそうなほど真っ赤に染まった。

 

 

「……っ♡」

 

葉月はぎゅっと目を閉じたまま、バスローブの襟元を握りしめている。

心臓の音がうるさくてレイジに聞こえてしまうんじゃないかと本気で心配になった。

いつもの快活な彼女からは想像もつかないほどおとなしくて、いじらしい。

 

 

「葉月さん、かわいいよ」

 

レイジはそう囁くと、彼女の肩を支えながらゆっくりとベッドに押し倒した。

ふかふかのマットレスが葉月の小さな体を受け止めてバスローブの裾がほんの少しだけ乱れる。

癖っ毛のショートカットが枕の上で花のように広がった。

 

 

「レイジくん……」

 

葉月は上目遣いでレイジを見上げた。

大きな黒目はまだ緊張で揺れているけれど、その奥にはレイジを信頼しきった光が宿っている。

 

 

「無理にとは言わないよ。

葉月さんがいいって言うまで待つから」

 

レイジは彼女の額にかかった前髪をそっと指でどけた。

ペアピンがかすかに揺れて、シーツの上に落ちる。

 

 

「……ううん」

 

葉月は小さく首を振った。

 

 

「待たなくていいよ。あたし……レイジくんがいい」

 

その声はまだ震えていたけれど真っ直ぐで力強い意志が込められていた。

彼女は自分の手でバスローブの襟元を少しだけ緩めると、レイジの目を見つめて言った。

 

 

「だから……優しくしてね」

 

「優しくするよ。でも……優しいだけじゃ嫌だろ?」

 

レイジはそう囁くと再び葉月の唇に吸い付いた。

今度は触れるだけじゃない。

熱烈で、深くて互いの存在を確かめ合うようなキス。

 

 

「んむっ……♡ ちゅ……ん…♡」

 

葉月も懸命に応える。

ちゅる……くちゅ……と唾液が混ざり合う音が静かな寝室に響いた。

彼女の小さな舌がおそるおそるレイジの舌に絡みついてくる。

そのぎこちなさがいじらしくて、レイジは彼女の舌を優しく吸い上げた。

 

 

キスを続けながらレイジは彼女のバスローブの紐をゆっくりとほどいていく。

ふわりと布が開き湯上がりのほんのりと赤く染まった肌が露わになった。

バスローブが肩から滑り落ちると、なだらかな丘のようなぺたんこな胸とすらりと伸びやかな細身の腹部があらわになる。

 

 

「あ……♡」

 

葉月は恥ずかしそうに目を閉じた。

でも抵抗はしない。

レイジに身を委ねている。

 

 

「きれいだよ、葉月さん」

 

レイジは彼女の耳元でそう囁くと唇を首筋に這わせた。

ひくっと葉月の体が小さく跳ねる。

彼女の首筋は細くて、皮膚の下に血管が透けて見えるほど白い。

そこにそっと唇を押し当ててちゅっと音を立てて吸い上げた。

 

 

「ひゃんっ……!♡」

 

葉月の口から甘い声が漏れる。

レイジはゆっくりと唇を下に滑らせていった。

首筋から鎖骨へ。

鎖骨のくぼみに舌を這わせてそのままさらに下へ。

彼女の胸の上のあたりまで降りてくると、そこにもちゅっとキスを落とす。

 

 

「レイジくん……それ……♡」

「ん?」

「あと……ついちゃう……♡」

「つけたいんだ」

 

レイジは悪戯っぽく笑って、鎖骨のすぐ下に強めのキスを落とした。

ちゅっと音を立てて吸い上げると白い肌にほんのりと赤い痕が浮かび上がる。

まるで所有の証のように。

 

 

「あっ……♡ もう……♡」

「こっちにも」

 

レイジは今度は反対側の鎖骨に唇を寄せた。

ちゅっ……ちゅっ……と何度もキスを落として、赤い花びらを散らしていく。

葉月の小さな体はそのたびにぴくぴくと震えてバスローブから抜け出した両手がシーツをぎゅっと握りしめていた。

 

 

葉月の胸からお腹へと唇を這わせ彼女のへそのすぐ上にもうひとつ赤い痕を残した。

ぺたんことしたお腹がひくひくと震えている。

彼女の肌はきめ細かく、触れるたびにしっとりと汗ばんで指先が吸い付くようだった。

 

 

レイジはさらに唇を下ろし内腿に顔を埋める。

太ももの内側は特に敏感なのか、触れるだけで葉月が「ひゃっ……♡」と小さく鳴いた。

その白くて柔らかな内腿にキスを落としながら、右手を彼女の秘部へと伸ばす。

掌全体で大陰唇を包み込むようにして、そっと摩った。

 

 

「あっ……♡ レイジくんの手……あったかい……♡」

 

葉月は枕に頭を預けたまま、とろけるような声を漏らした。

まだ触れ始めたばかりだというのに彼女の大陰唇はもうほんのりと熱を持ち、しっとりと湿り気を帯びている。

 

 

「ここ、気持ちいい?」

「ん……♡ でも……もっと……触ってほしい……♡」

 

レイジは掌全体でゆっくりと円を描くように大陰唇を揉みほぐした。

まだ直接的な刺激は与えず、あくまで優しく温めるように。

それでも葉月の呼吸はどんどん荒くなっていく。

 

 

やがて小陰唇がうっすらと開き始め、とろりと蜜が滲み出てきたのを指先で感じ取る。

レイジは人差し指と薬指で大陰唇をそっと左右に広げ中指の腹で小陰唇とその先端に隠れたクリトリスを優しく擦り始めた。

 

 

「あっ……♡ それ……クリ……当たってる……♡」

「当ててるんだよ」

 

レイジは中指の腹でくるくると円を描くようにクリトリスを刺激する。

まだ皮をかぶったままの敏感な蕾は、触れるたびにぴくぴくと震え彼女の腰が小さく浮き上がった。

中指を動かすたびに、ぬるぬるとした愛液が指に絡みつきぐちゅ……くちゅ……と小さな水音がシーツの上に響き始める。

 

 

「んあっ……♡ レイジくんの指……気持ちいい……♡」

「もっと気持ちよくなれる?」

「うん……♡ もっと……して……♡」

 

葉月は自分から腰をくいっと持ち上げてレイジの指に秘部を押し付けてくる。

恥ずかしがりながらも、快感に素直な彼女の反応が愛おしくてレイジは太ももへのキスを再開しながら、クリトリスへの愛撫を続けた。

 

 

レイジは上体を起こすと葉月の両脚を持ち上げた。

小ぶりでぷりっとした尻がシーツから浮き上がり、彼女の秘部が露わになる。

白い太ももの奥でとろとろに蕩けたマンコがひくひくと小さく痙攣し、愛液がとめどなく溢れてシーツに染みを作っていた。

 

 

「葉月さん、すごく濡れてるね」

「だって……レイジくんに……触ってもらったから……♡」

 

レイジは自分のチンポを彼女のマンコの上にそっと乗せた。

ぬるりとした熱が亀頭に触れる。

葉月のマンコは、まだ触れてもいないのに期待に震えてひくひくとチンポに吸い付こうとしているようだった。

 

 

「おっきい……♡」

葉月がぽつりと零した。

目の前にあるチンポを見つめながら、大きな黒目がさらにまんまるに見開かれている。

 

 

「入るかな……ちょっと怖いけど、でも、レイジくんのだから……」

「そうだよ。俺のだから大丈夫」

 

レイジは彼女の不安を和らげるように優しく囁き腰をゆっくりと動かし始めた。

まだ挿入はしない。

マンコの上で、チンポを滑らせるだけだ。

マン汁をチンポにまぶすように大陰唇の上を何度も往復させる。

ぬちゃぬちゃという粘着質な水音が寝室に響いた。

 

 

ずりゅ……ずりゅ……ずりゅ……

 

「あっ……あっ……あっ……♡」

 

葉月はこすられるたびに小さく喘いだ。

亀頭がクリトリスを通過するたびに彼女の腰が跳ねる。

それはまだ挿入していないというのに、彼女を絶頂に導くには十分すぎる刺激だった。

 

 

「葉月さん、もうイきそう?」

「イく……イっちゃう……♡ こすられるだけで……イっちゃう……♡」

 

葉月はのけぞって全身を震わせた。

ついに「あ゙っ……!♡」と叫んで、甘く、深く、長い絶頂に沈んでいく。

まだチンポを入れてもいないのに彼女のマンコは愛液を溢れさせ、レイジのチンポはその蜜でぐっしょりと濡れていた。

 

 

葉月がイきそうになった瞬間レイジはぴたりと腰の動きを止めた。

ちゅくちゅくとノックしていた亀頭を膣口からわずかに離し、クリトリスの上にそっと乗せるだけの刺激に切り替える。

 

 

「え……あ…なんで止めちゃうの……?♡」

 

葉月は困惑した顔でレイジを見上げた。

大きな黒目がうるうると揺れ、つやつやの小さな唇が物足りなさそうに半開きになっている。

絶頂の目前で焦らされてマンコはきゅんきゅんと空気を掴むように痙攣していた。

 

 

「ちゃんと挿入れてからイってほしいから」

「でも……あたし……もう……♡」

「じゃあ、入れるよ」

「うん……♡」

 

レイジは葉月の腰をしっかりと支え直し、亀頭を膣口に当てがった。

ぬるぬるとした愛液が溢れているおかげで先端はすんなりと飲み込まれていく。

 

 

ぬぷっ……ずずず……♡

 

「あっ……あっ……あっ……♡」

 

ゆっくりと、本当にゆっくりとレイジはチンポを奥へと進めていった。

葉月の膣内は拡張を続けてきたとはいえやはり狭くてきつい。

硬い肉質が強い反発でチンポを押し返そうとする。

イボイボ・ヒダヒダが幹全体に絡みついて、ぎゅうぎゅうと締め付けてきた。

 

 

「ん……っ…ちょっと……痛いかも……♡」

葉月の眉がぎゅっと寄る。

まだ全部を受け入れるには彼女のマンコは狭すぎた。

それでも彼女は痛みをこらえて、レイジを受け入れようと必死に息を吐いている。

 

 

「大丈夫? 無理しなくていいよ」

「だいじょうぶ……♡ レイジくんの……全部ほしいから……♡」

 

レイジは彼女の言葉に応えるように、さらにゆっくりと腰を進めた。

最奥まであと少し。

子宮口の手前で一度止まって彼女の様子を窺う。

 

 

「いくよ、葉月さん」

「うん……♡ きて……♡」

 

ずずず……ぬぷんっ……!

 

亀頭が子宮口を優しく押し上げた瞬間葉月の体が大きく跳ねた。

最奥まで到達したチンポが、彼女の子宮をこつんとノックする。

その衝撃は痛みではなく全身を貫くような快感となって彼女を襲った。

 

 

「あ゙っ……!♡ 奥……奥に……レイジくんのが……当たってる……♡」

「全部入ったよ、葉月さん」

「あたし……もう……だめ……♡ 奥とどいただけで……イっちゃ……」

「いいよ。イって」

 

レイジの許可の言葉が引き金だった。

葉月は大きくのけぞり全身をぶるぶると震わせながら絶頂した。

子宮口がちゅうちゅうと亀頭に吸い付き、膣壁全体が波打ってチンポをぎゅうぎゅうと締め上げる。

 

 

「イぐぅうう……!♡♡♡」

 

葉月の叫びが寝室に響き渡った。

涙と唾液で顔をぐしゃぐしゃにしながら、彼女はレイジのチンポを奥深くで受け止めている。

そのマンコはまだひくひくと痙攣を繰り返し愛液がどんどん溢れ出て二人の結合部を濡らしていた。

 

 

絶頂の波がようやく引き始めた葉月はまだはぁはぁと荒い息を繰り返していた。

涙で濡れたまつげが震え、紅潮した頬に汗の粒が光っている。

レイジは彼女が落ち着くまでチンポを膣内に入れたままじっと待つことにした。

 

 

「はぁ……♡ はぁ……♡ レイジくん……まだ……中に入ってる……♡」

「うん。葉月さんが落ち着くまでこのままでいるよ」

 

レイジはそう言いながらそっと彼女の胸に手を伸ばした。

なだらかな丘のようなぺたんこな胸の頂点で、小さな乳首がぴんと尖っている。

人差し指の腹でそっと撫でると葉月の肩がびくんと跳ねた。

 

 

「ひゃっ……♡」

「ここ、敏感なんだ」

「だって……レイジくんに触られると……なんか……ぞくぞくする……♡」

 

レイジは左右の乳首を交互に指の腹でくるくると転がした。

まだ固くなりきっていない柔らかな蕾が指の動きに合わせて少しずつ硬さを増していく。

くりくりと優しく弄ぶたびに、葉月の膣内がきゅんきゅんと小さく痙攣してチンポを締め付けた。

 

 

「あっ……♡ 乳首いじられると……下も……きゅんってなる……♡」

「気持ちいい?」

「うん……♡ でも……なんか……変な感じ……♡ お腹の奥が……じんじんする……♡」

 

レイジは今度は指先で乳首をつまみそっと引っ張り上げた。

こりこりと指の腹で潰しながら、優しく刺激を与え続ける。

葉月はシーツを握りしめ小さな声で「ん……♡ ん……♡」と甘く喘いでいる。

 

 

(乳首だけでこんなに感じるんだ)

 

彼女の膣内はまだひくひくと震えていてチンポを優しく包み込んで離さない。

レイジは乳首を弄りながら、時折腰をほんの少しだけ動かして彼女の反応を確かめた。

そのたびに葉月のマンコはきゅうっと締まり、愛液がとろりと溢れ出る。

 

 

「レイジくん……♡ あたし……もう大丈夫……だから……」

「動いてもいい?」

「うん……♡ でも……優しく……してね……♡」

 

レイジはうなずくと、まだ乳首から手を離さないままゆっくりと腰を動かし始めた。

 

 

葉月が「もう大丈夫」と小さくうなずくのを確認すると、レイジはそっと彼女の上に覆いかぶさった。

正常位だ。

華奢な体がレイジの影にすっぽりと隠れる。

 

 

「葉月さん、いくよ」

「うん……♡ きて……」

 

ぬぷっ……ぬぷぬぷ……♡

 

まずはGスポットに亀頭を当てるように角度を変えて、ゆっくりと腰を動かし始めた。

ざらざらした部分をカリが引っ掛けるたびに葉月の背中が小さく跳ねる。

 

 

「あっ……♡ そこ……なんか……お腹の奥が……変な感じ……♡」

「Gスポットだよ。ここ気持ちいい?」

「うん……♡ ずっと当たってると……またイきそう……♡」

 

レイジはぬっこぬっこと大きくストロークを始めた。

膣口ぎりぎりまで引き抜いては最奥まで一気に突き入れる。

そのたびに葉月の小さな体がベッドの上で上下に揺れた。

ぺたんこな胸がかすかに震え、汗の滴がシーツに飛び散る。

 

 

「あ゙っ……♡ おっきいストローク……♡ 奥まで……届いてる……♡」

「葉月さんの中、すごく気持ちいいよ」

「あたしも……♡ レイジくんので……いっぱい……♡」

 

しばらくそのリズムで抽送を続けた後、レイジは射精の準備に入った。

葉月の華奢な腰を両手でがっしりと掴みぐちょぐちょと音が立つほど激しく腰を打ち付ける。

結合部からは白く泡立った愛液が溢れ出し、肉と肉がぶつかる音が寝室に響き渡った。

 

 

「あ゙あ゙あ゙っ……!♡ レイジくん……激しい……♡ あ゙っ……♡」

「葉月さん……出すよ……」

「きて……!♡ 中に……出して……!♡」

 

レイジは葉月の華奢な体を強く抱きしめた。

ぎゅっと胸と胸が密着し、互いの心臓の音が伝わり合う。

そのまま最奥までチンポを押し込み子宮口をこつんと突き上げた瞬間──

 

びゅっく……びゅっく……びゅくびゅくっ……!

 

コンドームの中で精液が迸る。

熱い奔流が何度も何度も脈打って葉月の奥深くを満たしていく。

彼女の膣内は射精の刺激に合わせてぎゅうぎゅうと痙攣し、レイジのチンポを搾り上げた。

 

 

「イぐぅうう……!♡ レイジくんの……出てる……♡ 一緒にイっちゃう……♡♡♡」

 

葉月もまた、レイジの射精に引きずられるように絶頂した。

涙でぐしゃぐしゃになった顔をレイジの胸に埋めて何度も何度も小さく痙攣している。

 

 

射精が終わるとレイジはゆっくりとチンポを引き抜いた。

ぬぽんという音とともに露わになったチンポの先には、精液で満たされたコンドームがぶら下がっている。

彼はそれを丁寧に取り外すと葉月の前でそっと持ち上げた。

 

 

「葉月さん、すごくいっぱい出たよ」

「わ……♡ ほんとだ……♡ レイジくんの……いっぱい……♡」

葉月はまだ荒い息を繰り返しながらも、そのコンドームを見つめて顔を赤らめた。

 

 

ちゅっ……

 

レイジは葉月の汗ばんだ額にそっとキスを落とすとそのまま彼女の横に転がった。

柔らかなベッドの上で向かい合って横たわり、互いの息がかかるほどの距離で見つめ合う。

 

 

「葉月さん、気持ちよかった?」

「うん……♡ すごく……すごく気持ちよかった……♡」

葉月はまだ紅潮した顔でうなずいた。

大きな黒目は潤んだままだが、そこには深い満足感が浮かんでいる。

 

 

レイジは片手を伸ばして彼女の体を優しくまさぐり始めた。

汗でしっとりと濡れた肩から背中、そしてきゅっと引き締まった小ぶりな尻へ。

指の腹でくるくると円を描くように撫でると葉月もくすぐったそうに身をよじりながら手を伸ばしてきた。

 

 

「あたしも……レイジくんに触りたい……♡」

「いいよ。好きに触って」

 

葉月はおそるおそるレイジのチンポに手を伸ばした。

まだ精液と愛液でぬるぬると濡れたそれを、小さな手でそっと包み込む。

そしてゆっくりとぬこぬこと扱き始めた。

 

 

「これ……さっきまであたしの中に入ってたんだよね……♡」

「そうだよ」

「すごく……硬くて……おっきくて……あたし、こんなのよく入ったなぁ……♡」

「葉月さんのがんばりのおかげだよ」

 

葉月のぎこちない手つきでの扱きはかえって新鮮でレイジのチンポはみるみるうちに再びビンビンに硬くなっていった。

彼女の小さな手の中でもう一回り大きくなった亀頭が怒張し、血管が浮き出る。

 

 

「あ……またおっきくなってきた……♡」

「葉月さんが触るからだよ」

 

レイジが新しいコンドームを取り出そうとすると、葉月がぱっと手を伸ばした。

 

 

「あたしが……つけたい……!」

「ん?」

「コンドーム……チンポにつけるの……あこがれてたんだよね……♡」

 

葉月は少し照れくさそうに笑いながらも、目は真剣そのものだ。

 

 

「いいよ。やってみて」

「うん!」

 

葉月はコンドームの包装をぴりぴりと破ると、慣れない手つきでそれを取り出した。

表裏を確認してそっとレイジの亀頭に当てる。

でも小さな手ではなかなかうまく転がせず、途中でつっかえてしまった。

 

 

「あれ……難しい……」

「先っぽつまんで、くるくるって転がすんだよ」

「こう……?」

 

葉月はレイジの助言に従って、指先でコンドームの先端をつまみくるくると転がし始めた。

ゴムが少しずつ幹を覆っていく感触に、レイジも思わず息を詰める。

 

 

「できた!♡ つけられた!♡」

 

葉月はパッと顔を輝かせた。

根元まできちんとコンドームが装着されたチンポを見て、彼女は誇らしげに笑っている。

まるで難しい楽譜を吹きこなしたときのような達成感に満ちた顔だ。

 

 

「上手にできたね」

「えへへ……♡ じゃあ……次は……どうする……?」

「こうしよう」

 

レイジは横向きに寝たまま、葉月の片脚を持ち上げて自分の腰に乗せた。

対面側位の体勢だ。

向かい合って横たわり互いの体温と吐息を感じながら、チンポの先を彼女のマンコの入り口に当てがう。

 

 

「いくよ」

「うん……♡」

 

ずぶぶぶ……ぬぷんっ……♡

 

さっきまで散々ほぐされたマンコは、まだ柔らかくてチンポをすんなりと飲み込んでいく。

奥まで沈めると葉月の膣壁がぎゅうっと優しく絡みついてきた。

 

 

「ああっ……♡ また……レイジくんが……中に……♡」

「気持ちいいよ葉月さん」

 

レイジは彼女の背中と尻を優しく撫でながら、ぬっぽりぬっぽりとゆっくりと腰を動かし始めた。

激しくはない。

波のように寄せては返す穏やかなストローク。

そのたびに葉月の口から甘い吐息が漏れる。

 

 

「ん……♡ ん……♡ レイジくん……♡」

 

葉月も夢中になりながら自分の腰をへこへこと動かし始めた。

レイジの動きに合わせて、自分からも積極的に快感を求めにいく。

小ぶりな尻が可愛らしく揺れて結合部からはぐちゅぐちゅと小さな水音が響いていた。

 

 

対面側位のままレイジは葉月の腰を引き寄せてずりゅずりゅと腹側をこするようにストロークした。

亀頭の裏側が彼女のGスポットを擦り上げる角度だ。

ざらざらした部分を通過するたびに、葉月の膣内がひくひくと小さく震える。

 

 

「あっ……♡ あっ……♡ おなかの……裏側……気持ちいい……♡」

「ここ好きなんだ」

「うん……♡ ずりゅずりゅって……なんか……おしっこしたくなりそう……♡」

 

レイジは腰を動かしながら、彼女の小ぶりでぷりっとした尻を揉みしだいた。

上下の幅の差が少なく縦にまっすぐな輪郭のお尻は手のひらにすっぽりと収まる。

ぐにゅぐにゅと揉むたびに弾力のある肉が指の間から溢れそうになり、葉月は「んっ……♡」と小さく喘いだ。

 

 

「お尻……揉まれるの……好き……♡」

「そうなんだ」

「レイジくんに揉まれると……中が……きゅんきゅんする……♡」

 

徐々にストロークが速くなっていく。

ずりゅん……ずりゅん……と大きく動かし、膣口ぎりぎりまで引き抜いては最奥まで一気に突き入れた。

ぬぷんっ……ずちゅんっ……と大きな水音が寝室に響き、結合部からは白く泡立った愛液が溢れ出る。

 

 

「あ゙っ……!♡ おっきいの……きた……♡ 奥まで……届いてる……♡」

 

レイジが子宮口をこつんと突き上げると、葉月のマンコがきゅんきゅうんと締まった。

まだ絶頂には至らないまでも軽いイキを繰り返している証拠だ。

彼女の膣壁は波打つように痙攣し、亀頭にまとわりついて離さない。

 

 

「葉月さん……そろそろ出すよ……」

「うん……♡ あたしも……またイきそう……♡」

 

レイジは彼女の尻を抱え込むようにして腰の動きを加速させた。

子宮口に亀頭を押し付けたまま、どくどくと射精を始める。

コンドームの中で熱い精液が迸りその脈動が葉月の子宮口に直接伝わっていく。

 

 

「あ゙っ……!♡ レイジくんの……中で……どくどくしてる……♡ あたしも……イく……イっちゃう……♡♡♡」

 

葉月はレイジの胸に顔を埋めながら一緒に絶頂した。

涙と汗でぐしゃぐしゃになった顔を擦り寄せて、まるで子猫のように甘えている。

彼女の膣内はまだひくひくと痙攣を繰り返しレイジのチンポをぎゅうぎゅうと締め上げていた。

 

 

「はぁ……♡ はぁ……♡ レイジくん……あったかい……♡」

「葉月さんもあったかいよ」

 

レイジは彼女の背中を優しく撫でながら、まだ膣内にチンポを入れたまま余韻に浸っていた。

 

 

二度目の射精を終えたレイジはゆっくりとチンポを引き抜くと、使い終わったコンドームをティッシュに包んでサイドテーブルに置いた。

葉月はまだぐったりとベッドに横たわっていて汗でしっとりと濡れた癖っ毛のショートカットが枕の上に広がっている。

 

 

「葉月さん、大丈夫?」

「うん……♡ ちょっと……腰がだるいけど……すごく気持ちよかった……♡」

 

レイジは彼女の隣に横たわりそっと腕枕をしてやった。

葉月は嬉しそうにその腕に頭を預けて、レイジの胸に顔を埋める。

すらりと伸びやかな小さな体がぴったりと寄り添ってきて湯上がりの石鹸と汗の混ざった匂いがふわりと香った。

 

 

「レイジくんの心臓の音、聞こえる」

「うるさくない?」

「ううん。すごく落ち着く。トクトクって」

 

葉月はレイジの胸に耳を当てたまましばらくじっとしていた。

さっきまでの激しい営みが嘘のように、静かな時間が流れる。

 

 

「ねえレイジくん」

「なに?」

「今日はほんとにありがとう。オーディション落ちて、すごく落ち込んでたんだけどレイジくんに会って、いっぱい話聞いてもらってそれに……こんなこともしてくれて……」

 

葉月の声が少し照れくさそうに小さくなる。

 

 

「あたし、また頑張れる気がする。もなかでちゃんとチューバ上手くなって、次のコンクールでは絶対にAチームに入るんだ」

「葉月さんならきっとできるよ」

「ほんと?」

「うん。だって葉月さんはいつも全力だし、誰よりも努力してる。それに今日みたいに落ち込んでもちゃんと立ち直れる強さもある」

 

レイジは彼女の頭を優しく撫でながら続けた。

 

 

「チューバの先生も紹介するし、音楽ホールも自由に使っていいから。練習したいときはいつでもおいで」

「うん! ありがとう……♡」

 

葉月は顔を上げるとレイジの頬にちゅっとキスをした。

触れるだけの、感謝の気持ちが込められた優しいキス。

 

 

「あたし、レイジくんに出会えてよかった」

「俺もだよ」

 

レイジは彼女の額にキスを返した。

窓の外はもうすっかり暗くなっていて、街灯の明かりがカーテンの隙間から細く差し込んでいる。

 

 

「そういえば葉月さん、お腹空かない?」

「……そういえば、お腹すいたかも」

「なんか作ろうか。簡単なものしかできないけど」

「ほんと!? レイジくんの手料理食べたい!」

 

葉月はぱっと顔を輝かせて起き上がった。

バスローブを羽織りながら、さっそくキッチンの方を見ている。

その姿はもうしょんぼりとしていた数時間前の彼女とは別人のようだった。

 

 

「よし! じゃああたしお手伝いするね!」

「葉月さん料理できるの?」

「えっと……お米は炊けるよ!」

「……それだけ?」

「あと、目玉焼きも……たぶん……」

 

二人は顔を見合わせて笑った。

静かな夜のマンションに鈴を転がすような葉月の笑い声が響く。

レイジはバスローブを羽織ると、彼女と一緒にキッチンへ向かった。

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。

葉月は緊張しながら職員室の扉をノックした。

癖っ毛のショートカットはいつもよりきちんと整えられこめかみのペアピンもまっすぐに留まっている。

つやつやの小さな唇をぎゅっと引き結んで、勇気を振り絞って扉を開けた。

 

 

「失礼します! 松本先生、ちょっとお話があるんですが……」

 

副顧問の松本先生は机で書類を整理していたが、葉月の声に顔を上げるとにこりと笑った。

物腰の柔らかな女性教師で吹奏楽部の副顧問として滝先生を支えている。

 

 

「加藤か、どうした?」

「あの、実は……」

 

葉月は昨夜レイジから聞いた音楽ホールの話とチューバの先生を紹介してもらえるという話を恐る恐る切り出した。

部活の時間に校外に出る許可が欲しいという内容に、松本先生はどんな反応をするだろうと内心ドキドキしていたのだが。

 

 

「ああ、その話か」

 

松本先生はあっさりとうなずいた。

 

 

「レイジからもう連絡をもらってる。部活の時間に音楽ホールに行く許可しよう」

「えっ……もう話が通ってるんですか……!?」

「ああ。奴も顔が広くてな。私の知り合いの知り合いからも話が来てて驚いた。」

 

葉月はぽかんと口を開けた。

昨夜のうちにレイジはすべて手配を済ませていたらしい。

その行動力と人脈の広さに、改めて驚かされる。

 

 

「加藤、よかったな」

「は、はい! ありがとうございます!」

 

そのとき、隣の机で話を聞いていた顧問の滝先生が顔を上げた。

無表情ながらもどこか柔和な雰囲気の音楽教師で低く落ち着いた声が特徴的だ。

 

 

「……松本先生。その音楽ホールというのは、先日退部した生徒たちが集まっているという場所ですか」

「ああ、元吹奏楽部の子たちがたくさん来てるってレイジから聞いている。」

「なるほど」

 

滝先生はしばらく考え込むように顎に手を当てていたが、やがてのほほんとした口調で言った。

 

 

「彼の人望には驚かされますね」

「滝先生もレイジくんのこと知ってるんですか?」

「ええ。まあ多少は」

 

それ以上は何も言わない滝先生に、葉月は首をかしげた。

でもすぐに滝先生は新たな提案を口にする。

 

 

「松本先生。それならBチームの方々も一緒に行ったほうがいいのでは?」

「ふむ、そうだな」

 

松本先生は眉をあげてうなずいた。

 

 

「確かに、今のうちに地域の方々と交流するのはいいことです。本番の舞台とは違う場所で演奏する経験も積めますしね」

「じゃ、じゃあ……もなかの皆で行ってもいいんですか?」

「ええ。むしろ、そうしたほうがいい」

 

葉月は嬉しさのあまり、その場でぴょんと跳ねそうになるのを必死でこらえた。

まさか自分一人の相談がチーム全体の活動に発展するとは思ってもみなかったのだ。

 

 

「滝先生、松本先生、ありがとうございます!」

「頑張ってきてください。あなたたちの演奏を地域の方々に聴いてもらえるのは、いい機会ですから」

 

滝先生はそう言うと、再び書類に目を落とした。

でもその口元がほんの少しだけ緩んでいたのを葉月は見逃さなかった。

 

 

 

放課後。

葉月はもなかのメンバー十人と松本先生を連れて音楽ホールに到着した。

学校から歩いて十五分ほどの場所にあるそのホールは外観こそ小ぢんまりとしているが、エントランスには平日にも関わらずたくさんの人であふれかえっていた。

 

 

「わあ……すごい人……」

 

葉月は大きな黒目をまんまるにしてエントランスを見渡した。

学生服を着た高校生から大学の吹奏学団のユニフォームを着た若い女性、スーツ姿の社会人さらには白髪の年配者まで。

年齢も所属もバラバラな人たちが楽器ケースを抱えて談笑している。

金管のマウスピースを見せ合っている人もいれば、譜面を広げて熱心に議論しているグループもいる。

 

 

「葉月ちゃん、ここすごいね……」

 

隣に立つもなかの仲間が呆然と呟いた。

葉月もうんうんとうなずく。

 

 

すると、人混みの中から一人の老齢の女性が歩いてきた。

白髪をきちんとまとめ背筋の伸びた品の良い女性だ。

彼女は松本先生を見つけると、にこやかに手を上げた。

 

 

「松本先生、お久しぶりです」

「あら、お久しぶりです。今日は生徒たちを連れてきました」

「ええ、レイジくんから伺っていますよ。さあどうぞ中へ」

 

老齢の女性は音楽ホールの管理者だという。

彼女に案内されて練習室の扉を開けた瞬間、葉月たちは思わず足を止めた。

 

 

「……っ!」

 

練習室の中は音であふれていた。

金管の華やかなファンファーレ、木管の細やかなパッセージ打楽器の歯切れの良いリズム。

それぞれが自分の練習に励み、時折顔を上げては互いに意見を出し合っている。

まさに音楽のるつぼのような空間だった。

 

 

「もしかして……」

 

もなかの三年生が息を呑む。

練習室の隅でトランペットを吹いているのは、去年吹奏楽部を退部した2年生だ。

部の方針をめぐって喧嘩別れしそれ以来顔を合わせていなかった。

他にも辞めた生徒がほぼ揃っている。

 

向こうもこちらに気づいたようで、楽器を構えたまま動きを止める。

互いに何も言わずに見つめ合う数秒間。

空気が張り詰めた。

 

 

でも、ある2年生が葉月を見つけた瞬間、表情がぱっと崩れた。

 

 

「葉月ちゃんじゃん! どうしたのー!?」

 

駆け寄ってきたのは、顔見知りの先輩だった。

葉月より1つ年上の2年生で、空き教室ではレイジにばぶばぶ言っている。

 

 

「あ、先輩! あたしチューバの練習をしにきました!」

「そうなんだ! えらいねー! じゃあこっちにおいでよ、すごい先生が来てるんだ」

 

先輩は葉月の手を引いて練習室の奥へと歩いていく。

ちらりと後ろを振り返るともなかのメンバーたちも元吹奏楽部の生徒たちに声をかけられながら、少しずつ練習に参加し始めているのが見えた。

三年生と二年生の間にはまだぎこちない空気が残っているけれどそれでも音楽がその壁を少しずつ溶かしているようだった。

 

 

(大丈夫かな……ちょっと気になるけど……)

 

でも、今は自分のレベルアップのためだ。

葉月はぎゅっと拳を握りしめた。

 

 

「葉月ちゃん、この人がね、チューバの先生!」

 

先輩が紹介したのは、低音パートの練習を見ていた妙齢の女性だった。

四十代くらいだろうか落ち着いた雰囲気で、でも目はキラキラと若々しい輝きを放っている。

 

 

「初めまして。あなたが葉月さんね。レイジくんから話は聞いてるわ」

「よ、よろしくお願いします!」

「いい返事ね。じゃあ、早速だけど吹いてみてくれる?」

 

葉月は大きく息を吸い込んだ。

 

(よし、頑張るぞ!)

 

彼女はチューバを構えると、今の自分の精一杯の音をホールに響かせた。

 

 

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