※この作品はR-18です。

【調理】   作:MONO_

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 ドアノブに手を掛け、蝶番が音を鳴らすことの無いようゆっくりと慎重に扉を押し開けてゆく。

 レアに寝室として宛がった部屋の中へ差し込む光がベッドを照らす前に何とか私が通れるだけのスペースを確保できたので、体を室内へ滑り込ませる。

 足音を立てないよう気をつけつつ、ベッドの隣へと歩く。レアは静かに寝息を立てている。

 事前に読んでおいた解剖学の参考書を頭の中で思い浮かべつつレアの横を向いた頭の側面、耳の後ろを指で探る。すぐに若干窪んだ部分を探り当てる事が出来た。

 そこへアイスピックの先端を、脊椎の上端部へ向ける。具体的に言うと脳幹のある方向だ。

 掌で握りの上面を抑えつつ、体重を掛けて一突き。一切苦痛を与えることなく、呼吸と循環の中枢を破壊する。こういうとき、人の生命力はシステムなのだと実感する。セキュリティホールを突かれるとなす術がない。

 もっとも、心臓そのものはしばらく動いている。それほどに心臓の機能は人間の生命から独立している。とはいえ、数分も持たないが。

 アイスピックを引き抜きつつ、傷口にガーゼをあて、テープで固定してから首の後ろと膝裏に腕を入れて、レアの体を抱え上げる。ここからは時間との戦いだ。

 屋敷の中を足早に歩き地下へ続く階段を降りる。階段の終端にある扉を、足元に設けられたペダルを踏みながら蹴り開け、室内に入る。

 部屋の中央に設けられた金属製のベッドにレアを横たえ、自分は傍らに掛けられたエプロンを掛ける。

 勿論初めからこうするつもりでいた以上汚れてしまってもかまわない服装をしてはいるものの、防げるなら衣服への血液の付着は防ぎたい。

 壁際に寄せられた道具の乗ったカートを引いて、ベッドの横へ着け、乗せられた数種類の刃物の中から、肉厚の刃を持つ肉切り包丁を手に取る。

 仰向けになっているレアの体をうつぶせにし、頭髪を引っ張って頭を上へ向かせる。そのまま頭と頚骨の継ぎ目を狙って、手に持った肉切り包丁を全力で振り下ろした。

 金属が肉を打つ重い音と、台に刃が当たった事で生じる金属質の音がほぼ同時に室内に反響した。

 一太刀で頭と胴体を分離できたことに満足しつつ、頭を持って道具の乗っているカートの天板でなく2段目の棚に置く。レアの頭は恨めしげに天井を仰いだ。

 天井から吊るされた鎖の先端につけられた足かせでレアの両足首を固定し、壁際のウィンチを巻き上げる。いまだ不規則ながら拍動を続ける心臓のお陰で、頚部から大量の血液が流れ出た。

 暫く待ち、頚部から流れる血が落ち着いたのを確認してから近づく。後はばらすだけだ。

 道具を乗せていたカートの一番下の棚に置かれたかごを取り出して、足元に置く。屑篭だ。

 乗せていた台を傍らへ避け、作業がしやすい高さまでレアを降ろし、ハサミで衣服を切ってレアから剥ぎ、屑篭へ放る。

 牛刀を縮めたような形をしたナイフを使って、下腹部から胸骨の下部までを切り、腹腔を開く。

 開いた穴から零れ落ちてきた消化器を腕で受け止める。肝臓、胃、食道を切り離して、頭の傍らに置き、残りを屑籠へ放った。本来であれば間違いなく可食部位なのだが、今回の育成計画では最後まで食物を与えていたため、腸には内容物が未だ入っている。流石に臭いがきついので食べたくない。

 序に胸腔へ腕を突っ込み、気管を断って肺を、動脈を絶って心臓を取り出しカートの2段目に置く。

 未発達ではありつつも、わずかな膨らみとして存在する両の乳房をナイフで削ぎ落としてカートの2段目に。

 今度は足首、手首にそれぞれナイフでぐるりと1週の切り込みを入れる。

 手首から肩、足首から股関節にかけて1筋切れ込みを入れ、真皮と筋肉の間にナイフを入れて補助をしつつ、皮膚を剥いで行く。 

 背中で繋がるようにしつつ、四肢の皮膚を剥ぎ終えたあと、今度は喉の部分に切れ込みを入れて、既に切られている胸骨の下まで繋げる。

 あとは、腹側から背中側に向けて、同じ用量で皮膚を剥いで行く。剥いだ皮膚は丸めて2段目に置いた。

 大型の肉切り包丁を手に取り、股から喉の断面まで脊髄を両断する。これで1段落。そもそも肉類はある程度熟成期間が必要になるので、未だ食べても美味しくない。天井から吊るされた肉を、引っ張って移動させる。肉の足首に繋がっている鎖は、そのまま天井に設けられたレールに入っているので、それに沿ってなら移動が出来る。

 そのまま、壁の扉を開ける。内部は簡易的な熟成用冷蔵庫になっている。そこへ肉を安置し、序に道具を乗せたカートも入れてしまう。

 室内にある流しに水を目一杯溜め、使用した刃物をそこへ放る。洗うのは後でもいいだろう。

 最後の作業として、冷蔵庫からレアの頭を持ってくる。台の上に置いてから、ナイフを使って右耳から左耳へ、頭頂部を通る形で皮膚を切り、へらのような器具を頭頂部へ差し込む。

 てこの用量でへらを動かして、頭蓋骨から頭皮を剥離させ、顔側と後頭部側へ頭を剥く。後はのこぎりを使って、頭蓋を外す。

 壁際の棚から皿を一枚取り出し、その上へと脳を盛った。それから、スプーンで眼球を抉り出して同じ様に盛る。

 今度は顎を手でこじ開け、ナイフを口内へ差し入れ、下あごの肉ごと大きく抉るように舌根から切り離し、これも皿へ。

 使ったナイフとへらを水を張った流しへ放り、残った頭をを屑篭へ放る。屑篭の中身は後でペットの犬にでもくれてやろう。

 噴出すほどの血は残っていなかったので大して汚れては入ないものの、細かな血が手や袖に付着している。着替えた後で、脳は生のまま薬味と一緒に、舌は軽くソテーして、眼球は煮込みにして食べよう。

 暫くは、刺激的な食事が出来そうだ。

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