保健室に重い沈黙が落ちていた。
縛られた舞子は膝をついたまま、小さく肩を震わせている。縄が手首と足首を締め付け、逃げられない姿勢のまま、彼女の目から涙が溢れていた。あかりはソファに座ったまま、その姿を見て、胸の奥が締め付けられるのを感じていた。
霧島麗子は静かに立っていた。白衣の袖を軽くまくり、あかりの巨大な肉棒を見つめたまま、冷たい声で促す。
「さあ。やりなさい。この子の処女を、あなたの巨根で奪うのよ」
あかりは首を横に振った。力強く、はっきりと。
「……ダメです」
「ダメ?」
「彼女を犯すことは、できません」
あかりの声は掠れていたが、意思は明確だった。体はまだ熱を持ち、射精の余韻で神経が過敏になっている。なのに、舞子の涙を見ていると、下半身の硬さが急速に冷めていくのがわかった。
麗子は眉をひそめた。
「聞こえた? この子が学校にいられなくなるかもしれないのよ。あなたがやらなければ、私が全部ばらすわ。ふたなりだってこと、保健室で何度も大量に出していたことも、全部」
「それでも……できません」
あかりはゆっくりと体を起こした。脱力した足に力を込め、ソファから降りると、縛られた舞子の前に跪いた。舞子は涙でぐしゃぐしゃになった顔を、少しだけ上げた。
「舞子ちゃん……ごめん。こんなところを見せて……本当にごめん」
舞子の唇が震える。声にならない抽泣が、小さく漏れた。あかりは自分の制服の裾で、舞子の頬を優しく拭おうとしたが、手が震えてうまくできない。
麗子が後ろから近づいてくる気配がした。
「まだ抵抗するの? いいわ。じゃあ別の方法を考えましょう。この子を——」
「やめてください」
あかりは振り返り、麗子を真正面から見据えた。目には涙が浮かんでいるが、視線は逸らさない。
「舞子ちゃんには、何もしないでください。私のことは……好きにしてください。でも、彼女は関係ないんです」
「関係ない? 覗き見していたのはこの子よ。もう巻き込んでしまったの」
「それでも、彼女を傷つけることはできません」
あかりは舞子の縄に手を伸ばした。結び目を解こうとするが、麗子が素早くその手を掴む。
「触らないで。まだ許可していないわ」
「お願いです……解いてあげてください。彼女が泣いているんです」
あかりの声が、ついに泣き声になった。舞子は膝をついたまま、俯いて肩を震わせ続けている。涙が床に落ちる音が、静かな保健室に小さく響いた。
麗子はしばらくあかりを観察していた。その瞳には、苛立ちと、どこか興味深そうな光が混じっている。
「……泣いているから、やめるの?」
「はい。彼女がこんなに苦しんでいるのに、これ以上何かするなんて……できません。私は……彼女を好きなんです。こんな形で傷つけたくない」
あかりは拳を握りしめ、床に俯いた。巨大な肉棒は、もうほとんど萎えていた。熱も、射精感も、舞子の涙の前では急速に冷めていく。
麗子は小さく息を吐いた。
「ふうん。意外と真面目なところがあるのね」
「……本気です。舞子ちゃんには、何もしないでください。私をどうにでもしてください。奴隷にするとか、治療を続けるとか……何でもいいです。でも、彼女だけは」
あかりは顔を上げ、麗子の目を見た。涙で視界が歪んでいる。舞子の小さな抽泣が、後ろから聞こえてくる。
麗子はしばらく沈黙した。そして、ゆっくりと舞子の後ろに回り、縄の結び目に手をかけた。
「……今日は、ここまでにしてあげる」
縄が解かれる音がした。舞子の両腕が自由になり、すぐに足首もほどかれる。舞子は力が抜けたようにその場にへたり込み、あかりの制服の裾を掴んで泣き続けた。
「あかり……怖かった……本当に怖かった……」
「ごめん……本当にごめん……」
あかりは舞子の頭を優しく抱き、背中をさすった。麗子は二人を見下ろしたまま、白衣のポケットに縄をしまう。その表情は読めなかった。
「明日も来なさい。あかり」
麗子の声は、いつもの冷たいトーンに戻っていた。
「今日は特別に許してあげる。でも、治療は終わっていないわ。わかった?」
あかりは小さく頷いた。舞子を庇うように抱きしめたまま、それ以上何も言えなかった。保健室のカーテンから差し込む光が、泣き腫らした二人の姿を淡く照らしていた。