※この作品はR-18です。

アスナ編   作:タフスレ民

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6話

「ほら、これを返したるわ」

奴隷契約締結から一夜明けた朝

“あなた”はアスナの前に美しい剣を差し出した

それは約半年前に没収された彼女のレイピアだった

「私の……?」

驚きと戸惑いが入り混じった表情でアスナは受け取る

剣を握った感触と刃の輝きに失われた日々が戻ってきた気がする

「今日は外出や。たまには運動せな身体鈍ってまうやろ?」

「外出……いいの…ですか?」

アスナの胸が高鳴った

それは半年ぶりの外の世界への誘いだった

 

 

第三層東部の草原

久しぶりに浴びる陽光と風に、アスナは目を細めた

大地を踏みしめる感触と土の臭い…

剣だけではない、とても大事なものを返してもらった気がした

「ここなら低級モンスターしかおらんから大丈夫や」

“あなた”は盾を構えながら説明する

目の前には十数匹のスライムとホーンラビットが蠢いている

「ほな行くで!団員のお手並み拝見や」

「は、はい!」

アスナはレイピアを抜き、群れに向かって駆け出した

しかし——

「くっ……!」

長期間の監禁ですっかりなまってしまった身体は

思った通りに動いてくれずチグハグな反応を返す

敵に意識を割いてただ走っただけで、足のバランスが崩れる

躓きそうになったアスナにホーンラビットの一撃が迫る

「危ない!」

咄嗟に“あなた”が盾で攻撃を防いだ

金属音が鳴り響き、小さな獣は弾き飛ばされた

「ごめんなさい……」

「気にせんでええ。ゆっくり慣れていきや」

情けなさで暗い気持ちになりかけたが

その優しい言葉に、アスナの胸が温かくなった

だが同時に疑問も浮かんでくる

自分を奴隷にしたいだけの男が、なぜ自分を守るのか?

肉欲のはけ口にして、使えなくなったら捨てるだけではないのか

 

戦闘は続いた

アスナは何度も窮地に陥るが、その都度“あなた”が身体を張って防護する

まるで本当のパートナーのような連携だった

「ほら、右から来てるで!」

「はい!」

言われた方向に飛び込み、鋭い突きでスライムを貫く

やっと命中して、アスナの表情が明るくなった

「ええ調子やんか」

“あなた”の笑顔に、アスナは思わず頬を染めた

こんな時に微笑むなんて卑怯だ

戦闘後、二人は木陰で休憩した

「どうやった?久しぶりの戦いの感触は」

「……すごく情けなかったですけれど、でも…ちょっとだけ楽しかったです」

素直に答えるアスナ

半年間の軟禁生活で麻痺していた闘志が、僅かに蘇ったようだ

「団長……どうして私のこと助けてくれたんですか?」

「当然やろ?団員を守るのは団長の務めやで」

その言葉に、アスナは黙り込んだ

無理矢理自分を慰み者にするひどい男と

今自分を守ってくれている優しい男

どちらが本当の彼なのか…

 

帰り道、アスナは無言で“あなた”の隣を歩いていた

夕暮れ時の柔らかな光の中、二人の影が寄り添うように伸びている

「団長……」

「なんや?」

「明日も……また連れて行ってくれますか?」

「もちろんや。お前が望むなら、毎日でも付き合うで」

その言葉に、アスナの心が震えた

半年間の苦しみが報われるような錯覚すら覚える

家に戻ると、“あなた”は珍しく風呂を用意してくれた

「今日はたくさん動いて疲れたやろ?ゆっくり浸かるんやで」

「ありがとうございます……」

湯船に浸かりながら、アスナは今日の出来事を思い返した

モンスターから守ってくれた温かい腕

団員として認めてくれる優しい声、そして明日の約束

また何かひどい事を企んでいるのだろうか。それとも……

 

夜、ベッドルームで

いつものように裸で向き合いながら

“あなた”はアスナを優しく抱き寄せた

「今日は頑張ったな。ええ娘や」

「団長……」

アスナの瞳に涙が浮かぶ

久しぶりに感じた他者との温かい交流に

抑えていた感情があふれ出しそうになっていた

「泣かんでええ。これからはずっと一緒やからな」

“あなた”の言葉は嘘かもしれない

だけど、それでも今はこの温もりにすがりたいと思ってしまう

唇が重なり、舌が絡む

いつもの強引なキスではなく、慈しむような優しい口づけだった

「ん……」

アスナはゆっくりと手を伸ばし、“あなた”の背中に回した

おずおずと、でも確かな意志を持って

「もっと……抱きしめてください……」

「ええで」

その言葉を聞いてアスナは“あなた”の首に腕を回し

固くしがみつくように身を寄せた

まるで親にすがる雛のように

「お前はもうわいのもんや。誰にも渡さん」

“あなた”の独占欲に満ちた言葉が、今のアスナには心地よく響いた

「はい……私は団長のものです……」

そう告げながら、アスナは静かに体を預けた

明日も明後日も、ずっとここで彼の温もりを感じていたいと願いながら

 

 

外に出るようになって一週間後

「今日も頑張るで!」

「はい!よろしくお願いします!」

戦闘中も会話が増え、息が合い始めた二人

「左斜め!援護お願いします!」

「任せとき!お前は前だけ見ぃや!」

背中を預けられる安心感が、アスナの以前の実力を取り戻させた

帰り道、汗だくになりながらも笑顔を見せるアスナに、“あなた”は優しく微笑んだ

「今日はかなり良うなってきたな」

「ありがとうございます!団長のおかげです!」

屈託のない笑顔。かつての暗い表情はもうない

そこには生き生きとした輝きがあった

(もう戻れへんな……すっかりわいのもんになってもうたわ)

内心でほくそ笑みながら、“あなた”はアスナの頭を優しく撫でた

「ほな、帰ってゆっくり休むか。あと……夜のご褒美もな」

「えっ……は、はい……」

頬を赤らめるアスナ、嫌悪感は微塵も感じられなかった

 

二週間後

「団長!右の岩陰から弓兵です!」

「よし、わいが引き付ける!お前は回り込んで強襲して斬れ!」

二人の連携は夫婦のように呼吸が合っていた

夜、戦利品を整理しながらアスナはぽつりと言った

「不思議です……貴方と居る時間がこの世界に来てから一番楽しいです」

「そうか。ここにおる間はわいが全部面倒見たるさかいな」

その言葉に、アスナは穏やかな微笑みを浮かべた

「ずっと……一緒にいてもいいですか?」

「当たり前やろ?お前は奈落の蜜壺の団員一号や」

その答えに、アスナは安心したように目を閉じた

かつて夢見た冒険や友情よりも

いまこの人と居るほうが幸せに思えることに気付いてしまった

(もう……これでいいのかな…?)

心の奥底で何かが割れる音がした

それが何なのか考える暇もなく、“あなた”が優しく彼女を抱き寄せた

「ほな、今日もご褒美レイプや。たっぷり可愛がったるで」

「はい……お願いします……」

こうして、またアスナの心は“あなた”の手中に落ちていった

夜のまどろみに、二人の歪んだ絆はますます強固になっていく

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