異世界で、好き勝手して、生きていく 作:瑜伽
――気が付いたときには、俺はまだリディアに頭を撫でられていた。
「……?」
色々ありすぎて疲れが溜まっていたのだろう、意識が飛んでいたようだ。
現代日本で恐らく死亡し、異世界らしき場所にいて、とんでもない力を手に入れたと思ったら、人生で二人目の友人を得た。
さらにはこの年になるまで縁が無かった、女性との性体験。
俺の願望が作り出した都合の良い夢ではなかったみたいだ。
まだ頭がぼーっとしていたのでそのままでいると、頭上から声が降って来た。
「あら、起こしてしまいましたか?」
俺を胸に抱いたままだったリディアだ。
意識を無くしてからもずっとそのままでいてくれたらしい。
何度見ても見惚れるような相貌をしている。
この女性と初体験をして、お互いが初めてを捨てたなんて未だに信じられない。
無論、彼女は自分の初めては結婚相手に捧げるつもりでいるようだが。
「大丈夫だ、あれからどれくらい経った?」
そこまで時間が経ったとは思えないが、確認しておいた方がいいだろう。
「15分くらいでしょうか?このまま朝まで起きなかったらどうしようかと思いましたよ」
冗談めかして答えるリディア、その表情もまた可愛らしい。
彼女もある程度時間が経ったことで落ち着いたようで、平常時の声色に戻っていた。
「そうか、迷惑をかけて悪かった」
俺は言いながらゆっくりと身体を起こす。
体勢を変えたことで、繋がったままだったリディアの膣からペニスが抜け、彼女の秘裂から体液がドロリと落ちた。
「んっ♥……いいえ、私の性奉仕ですが、ご満足いただけましたか?」
少しだけ甘えたような声を出したリディアだったが、何事も無かったように話しかけてきた。
「ああ、大満足だ。リディアは性奉仕の才能があると思うよ」
俺に出会う前のリディアであったならば、こんなことを言われたら大きく機嫌を損ねていただろう。
しかし、俺の力によって常識を捻じ曲げられたリディアなら、お礼をするのが上手、といった風にとらえるはずだ。
「ありがとうございます!感謝の気持ちが伝わってよかったです。これからも性奉仕が上達するようにがんばりますね」
明るく宣言するリディアだが、彼女の中では当たり前のことなのだろう。
つくづくとんでもない力だと実感する。
ベッドに腰かけながら自分の中の力について考えていると、リディアが声をかけてきた。
「性奉仕も受け取っていただけましたし、まずは部屋を片付けちゃいますね」
リディアがベッドから降りながら言う。
確かにシーツはお互いの体液やその他もろもろによって見るも無残なことになっていた。
この状態でぐっすりと眠れる気はしない。
「そうだな、手伝うよ」
彼女一人では大変だろう、俺が手伝った方が早い。
その方が早く眠れるだろうしな。
「ありがとうございます、助かります」
リディアは全裸のまま俺に笑顔を向けて来た。
*
「そうそう、解決策だったね」
リディアが途端に目を輝かせた。
「はい!」
勢い込んでこちらを見やるリディア。
その服装はシンプルな灰色のシャツに、薄い青色のズボンだ。
恐らく普段着なのだろうが、この時間に男と会う事に注意してだろう。
肌の露出はほとんどない。
あれから部屋の清掃や、自分たちの汚れを落としたり、服を着たりした後。
お互い身なりを整えてから、リディアは再び俺の部屋に来ていた。
部屋に備え付けのイスが無いため、お互いベッドに座っているのだが、その距離は先ほどの性奉仕をしていた時のモノではない。
リディアの方からかなり距離を空けている。
本来ならばこれ位の距離感が彼女にとって、俺という存在との適正な距離なのだろう。
「これはリディアの性奉仕を受けて思いついたことなんだけどね」
よっぽど困っているらしい。
一字一句聞き逃すまいと真剣な目を向けてくる。
「この喫茶店を改装するのさ」
俺は端的に言った。
リディアはぽかんとしたあと、正気を取り戻した。
「あの、言いづらいんですが、改装にはお金がかかります。まずそのお金が無いって話なんですが」
俺の返答が期待外れだったのだろう。
リディアは呆れたようにこちらを見つめている。
「改装といっても簡単に出来るものだよ」
リディアはあまり呑み込めていないようで、首を傾げている。
「はぁ……。簡単に改装、ですか?」
俺の言葉を反芻するリディアだが、想像が付かないようだ。
勿体ぶる意味も無いので種明かしをしてやろう。
「ああ、題して風俗喫茶店だ」
俺の言葉を受け、リディアは固まってしまった。
すぐに再起動し、こちらに詰め寄ってくる。
「……っ!? 風俗って歓楽街とかにある、あのいかがわしいお店の事ですよね!?ふざけてるんですか!?」
顔を赤くしたリディアは俺に勢いよくまくし立てた。
実際の性知識については疎いが、風俗がどういったモノかは知っているらしい。
「その風俗だよ、そして本気だ。お礼の気持ちを伝える場合、身体を使った性奉仕をする。常識だろう?これを喫茶店に来てもらったお客さんに直接提供するのさ」
俺の言葉に混乱しているのか、リディアは顔を赤くしたり青くしたりと忙しない。
「性奉仕はお礼の気持ちでやっているんです!いかがわしい所なんていっさいありません!」
自分の行いが侮辱されたように感じたのだろう。
リディアは俺を睨め付けながら息巻いた。
彼女は自分の言葉がどれほど滑稽か解っていないのだ。
俺の中の黒い欲望が刺激される。
「喫茶店のメニュー表に書いておくんだ。紅茶 銅貨〇枚、コーヒー 銅貨〇枚。と書いてあるその横に、リディアの性奉仕 手 銅貨〇枚、口 銅貨○枚、といった風にね」
あくまで喫茶店の一メニューとして提供する。
俺の力を使い、この喫茶店で提供するモノは客も従業員も疑問を持たないようになる。
「…………」
俺の言葉にリディアは考え込んでいた。
彼女が理解できるように俺は説明を重ねる。
「つまり、わざわざ足を運んでくださってありがとうございます。と店に来てくれたお客さんに、感謝の気持ちをこめて性奉仕をするんだ。内容はメニュー表からお客さんが選ぶ。提供した内容に満足してくれたお客さんが、善意でメニュー表に書かれた代金を支払うってことさ」
リディアに理論立てて説明した。
俺にとっては風俗とどう違うのか解らないが、彼女の納得を得られるならそれでいい。
「……お客さんと従業員、お互いが感謝の気持ちを持ってやり取りするって事ですね。そういう事なら……」
自分の中で折り合いがついたのだろう、リディアは納得したようだ。
「解りました。風俗喫茶店、なんていかがわしい発言をするから、誤解しちゃいましたよ!」
リディアは俺に笑みを見せた。
内容も十分いかがわしいのだが、彼女の承諾が得られるのなら問題ない。
「それで、風俗喫茶店への改装だがどう思う?メニュー表に書き込むだけだから簡単に始められるとは思うが」
俺の言葉にリディアは指を顎にあてながら、首を傾げた。
容姿が良いと、あざといポーズを見ても、可愛いとしか思えないから得だな。
「うーん……でも、やっぱり問題点がいくつかありますよ」
リディアは実際に改装したらどうなるのか、シミュレーションしたらしい。
「聞かせてくれるか?」
俺の見落としている問題があるかもしれない、大抵の事は力で解決できるだろうが。
リディアは指を立てながら話し始めた。
「まず、性奉仕という事は従業員はお客さんが射精するまでつきっきりになりますよね?」
それはそうだろうな、生殺し状態で納得する客が居るとは思えない。
「現在は従業員が私しかいませんので、そうなるとお客さんがたった一人でも性奉仕を注文するだけで、他の事は何もできなくなっちゃいます」
現在は接客や会計、飲食物の提供、空いた食器の取り下げ、清掃等、全部ひとりでリディアが熟している。
休憩の時間を取るためには店を閉めないといけないし、お手洗いや、どうしても外せない用事ができた時にはその都度店を閉めているそうだ。
従業員を雇うお金も無かったのだろう。
しかし、風俗喫茶店にすれば売り上げが伸び、そこから従業員を雇う余裕も生まれ、雇った従業員が性奉仕で稼いでくれれば、さらに雇えるようになるはずだ。
「それについては、初期投資という事で今まで貯めて来たお金を使おう。最初の従業員さえ何とかしてしまえば問題ないはずだ、新しく雇う従業員は俺に任せておけ」
提供するのは従業員の身体だ。
飲食物と違ってほとんど経費はかからない。
人材については力を使えば誰でも確実に連れてこられるだろうが、それじゃあつまらない。
あくまで喫茶店で働きたいという人物を見つけて来るのだ。
もちろん身体を提供する、というのは伏せて。
「次に、防音とスペースの問題です。手や口のお客さんばかりならいいですが、おまんこ奉仕を求めるお客さんもいるでしょう。そうなった時に大きな声が聞こえちゃうと、衛兵さんが飛んできますし、手や口と違って性奉仕する体勢によってはもう少し広いスペースが必要です。お客さんが増えればすぐにいっぱいになっちゃいますよ」
音については力を使って、この喫茶店から出る音に違和感を持たないようにすれば問題ない。
スペースについては余っている2階を使えばいいだろう。
「ああ、音については任せてくれ、喫茶店でどれだけ喘いでいても気にならないような状態にできる」
リディアは俺の言葉を聞いて目を丸くした。
「クルスさん、そんな事ができるんですね。もしかして魔法使いさんですか?」
不思議な事が出来る、という点で魔法使いかと思ったのだろうか。
当たらずとも遠からずといった感じだが、恐らくこの力は魔法使いなんて比じゃないくらいの力だ。
比べたわけでもないが。
「似たようなものかな? それでスペースについてだが、どうしても狭くなって来たら2階を使えばいい」
誰かに力の事を詳しく言う気はない。
俺の圧倒的なアドバンテージだからだ。
「2階とは現在使っていない部屋の事ですか?」
リディアが首を傾げる。
「ああ、お客さんに個室を提供して、自分たちだけのティータイムを過ごしてもらう予定だったんだろう?」
これはこの店を買った理由の一つでもあるとリディアから聞いていた。
「はい……」
リディアが少し俯く、ルシオ君と一緒に働く予定だったから、2階を開放しても回る計算だった。
しかし、リディア一人ではどう考えても無理、という事で現在は完全にデッドスペースになっている。
「その2階を使うんだ。俺がいれば音の問題を解決できるし、ヤリ部屋として使えばいい」
俺が明るく声をかけると、リディアは顔を上げた。
こちらへの非難がましい雰囲気を感じる。
「や、……やり部屋ってなんですか……従業員が性奉仕するだけの部屋なんですから、奉仕部屋とか呼んでくださいよ」
リディアは俺を軽くにらんでいる、その頬が赤く染まっているのは自分で口にして照れてしまったのだろう。
言ってる事とやってる事のギャップがすごいな。
「あと、最後の問題なんですが、私みたいに恋人や婚約者だったり、夫や旦那さんなんかのパートナーがいる従業員についてです」
最後の問題と来たか、一体どんな事だろう。
特定のパートナーがいる従業員か。
「私の場合はルシオなんですが、ルシオ本人やその知り合いがたまたま店に来て、私が性奉仕している最中だったら、浮気をしてるって勘違いされませんかね? 特におまんこ奉仕なんて見た目は同じおまんこですし」
な、なるほど……、リディア本人としては浮気のつもりは全くない、しかし他所から見れば浮気をしているように見える、と。
というか完全に浮気なのだが。
リディアも一応客観的に自分を見る事は出来ているのか。
うーん、どう答えるか。
「そうだな、説明すれば解ってもらえるとは思うけど……」
俺が力を使ってもいいが、直接使うんじゃ面白くないよな。
よし、それならこういうのはどうだ?