※この作品はR-18です。

冷血無表情な保健室の先生に、事務的に性処理してもらう話。   作:東雲(しののめ)

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第2話

「いたた……」

「どうしたよ三橋」

 

 末原先生とのことがあって数日。

 教室で一緒に昼食を食べていた、友人の斉藤が首を傾げた。

 

「朝から頭痛がして……」

「風邪か?」

「偏頭痛だと思う」

「あらら、かわいそーに」

 

 斉藤は一年生時から同じクラスで、高校では一番親しくしている男子生徒だった。

 付き合いがある程度長いこともあり、からかうように笑っている。

 

「保健室で頭痛薬でももらってきたらどうだ?」

「保健室ね……」

 

 彼の助言に、俺は難しい顔をしてしまう。

 

「行きたくない気持ちは分かるぜ。末原怖いもんな」

「怖いって言うか……」

 

 確かに先日までそう思っていた。

 しかし処置は完璧だし、倒れそうなところを受け止めもしてくれた。

 一概に畏怖すべき人だとは言い切れなかった。

 

「いや怖いだろー」

 

 斉藤は笑いながら、自分が所属しているサッカー部で起きたことを話してくれた。

 

「チームメイトが練習中に怪我してさ、ものすごい大出血したことあったんだよ。女子マネなんか大絶叫。俺たち男子も正直ドン引き」

「へぇ」

「でも末原は眉を一ミリだって動かさずに黙々と手当てしてさ、終わると『ではお大事に』なーんて一言だけ言って去ってたんだぜ」

 

 斉藤の物真似が若干似ていたせいなのか、その時のことが容易に想像することができた。

 

「普通なにか顔に出るよな」

 

 あの人なら血ごときで動揺したりしないだろう。

 なんだったら地球が滅亡する時だって平然としている気がする。

 

「ほんとロボットみたいな教師だよな」

「まぁ……」

「あれじゃあ男も女も寄りつかんわ」

 

 彼はまたからかうようにそんなことを述べる。

 

「というのはさておきだ、辛いなら大人しく薬もらってこいよ」

「ああ」

「安心しろ、骨は拾ってやるから」

「俺は戦場に行くわけじゃないんだけど……」

 

 あくまで行くのは保健室である。

 だけど彼の言う通り、頭痛ごときで躊躇うなら、今後の学生生活で保健室に行くことは一切できそうもない。

 

「昼休みはあと三〇分、急いで行ってこい」

 

 斉藤は頑張れよと送り出してくれた。

 それから教室を出て保健室に向かう。

 到着するとノックしてから扉を開けた。

 

「……失礼します」

 

 保健室には末原先生が一人でいた。

 前回とまったく同じ鉄壁の格好で、姿勢良く書類作業をしている。

 二つあるベッドも空いており、他に生徒はいなく閑散としていた。

 

「あの、末原先生――」

「こちらにクラスと名前を書いてください」

「えっと、」

「症状の欄は私が記入するのでそのままで結構です」

 

 以前来た時とまったく同じやり取りである。

 

「規則ですので」

 

 彼女はそう言うと、俺が用紙に記入を終えるのをじっと待つ。

 

「二年B組、三橋英太さんですね」

 

 やっぱり同じように確認される。

 末原先生は、俺のことを覚えていないのだろうか。

 

「六日と二時間三七分ぶりですね。今日はどうされましたか?」  

 

 いや逆だった。

 むしろ覚えてすぎている。

 これは確かに怖いかもしれない。

 

「偏頭痛が少しあって……」

「偏頭痛ですね」

 

 症状を伝えると、アレルギーや現在服用している薬などについて尋ねられる。

 俺がそれに答えると、彼女は戸棚の中から錠剤を取りだした。

 

「ご自宅に薬はありますか?」

「いえ」

「それでは今夜分も併せてお出しします。食後一時間以内に服用をしてください。もし身体に異常があればすぐに医療機関へ」

「は、はい」

 

 あまりにテキパキと動かれるので、答える俺の方も大変だ。

 水の入ったコップを手渡されたので、それで錠剤を急いで飲み込む。

 

「ではお大事に」

 

 この間およそ一〇分。

 あまりに仕事ができすぎる人だ。

 

(でも……)

 

 俺が保健室に行くのを躊躇ったのは、斉藤の言う通り末原先生がやりにくい人だという理由もある。

 しかし自分にとって重要だったのは、もう一つの理由の方なのだ。

 それが――

 

「……先生」

 

 正直、俺はこの部屋に来てから頭痛が消えていた。

 その代わりに下半身が、熱を持った痛みを全身に走らせている。

 率直に述べるに、俺は先生に欲情していたのだ。

 

「他になにか?」

 

 彼女は再び視線をこちらに向ける。

 

「あの、実はですね、」

 

 俺は立ち上がった。

 そして座っている彼女に、それを視認させる。

 

「どうしても、勃起が収まらなくて……」

 

 今度こそセクハラで訴えられてもおかしくない。

 しかし活路がないわけでもなく、あくまで症状として、つまり処置してもらうべき生理現象としてお願いすれば、もしかしたらと思ったのだ。

 リスクの高すぎる賭けだが、もう我慢ができなかったのである。

 

「…………」

 

 末原先生は、無言でそれを見つめた。

 制服の奥で一物が隆起し、布地を山のように押し上げている。

 

「お願い、できませんか?」

 

 固唾を飲んで、破裂しそうな心臓を抑え、そう口にする。

 

「この状態だと授業も受けられなくて……周りに見つかったらもう学校も来れないですし……」

 

 もっともらしいことのように、俺は言い訳を重ねる。

 末原先生は、数拍置いて、いつもの口調で言葉を紡ぎ出す。

 

「お願いとはつまり、私にそれを処置してほしいと?」

「はい……」

 

 やはりダメなのだろうか。

 不安で緊張が強まる中、末原先生はなぜか時計を確認した。

 

「次の授業まで約二〇分しかありません」

「? そ、そうですね」

「それまでに射精、できますか?」

「――!」

 

 心臓が一段と高鳴った。

 

「遅漏の場合ですと難しいかもしれません」

「い、いえ! すぐに出ます!」

 

 この機会を逃すわけにはいかない。

 俺はプライドなんか気にせず、必死に早漏だと声を張った。

 我ながら情けない言動である。

 

「分かりました」

 

 末原先生は席を立つと、扉の鍵を閉めてしまう。静閑な空間にがちゃりと音が響く。

 

「ズボンと下着を脱いでください」

「は、はい!」

 

 言われるがままに、慌てた手つきで制服を下におろす。

 パンツを脱ぐと、勃起しすぎていたせいか、もわっとした蒸気が部屋に漏れた。

 

「包茎――ですか」

 

 向かい会う先生が、冷めた目で一物を見下ろしている。

 生徒のものを見ても何も動じない。

 いわば彼女は無の状態である。

 

「真性包茎と仮性包茎、どちらでしょう?」

 

 末原先生は喋りながらも、棚の中からゴム手袋を取り出した。

 手術に使うような、手に隙間なくピッチリと張り付くタイプのやつだ。

 どうやら処置だけあって、生ではしてくれないようである。

 

「か、仮性包茎です」

「では手で皮をむいてしまって問題ありませんね」

 

 さらりとそう言われたが、俺はその言い方に少し引っかかる。

 

「真性だと、何か処置のやり方が違うんですか……?」

「真性包茎は様々な要因から、皮と亀頭が固く癒着してしまっているケースが多いとされます。なのでその場合、私は舌を使いゆっくりと時間をかけながら皮をむいていきます」

「ゆっくりってどれくらい……」

「患者によって個人差はあるでしょうが、平均的に一時間はかけます」

「…………」

 

 や、やってもらいたいッ。

 想像しただけでも勃起の痛みが増してくる。

 

「今なら手術で皮自体を切除する方法もありますが、高校生では難しいでしょうね」

 

 こちらの欲望などつゆ知らず、先生は律儀にそんな補足をしてくれる。

 

「先生、俺も真性の――」

「あなたは仮性包茎なのでしょう。それに今は時間がありません」

 

 バッサリと断れられる。

 

「触りますよ」

 

 先生はそう告げると、立って向かい会った状態のまま、その右手を俺の男根へと滑り込ませた。

 生の手とは違う、ゴムのツルツルとした感触が伝わってくる。

 

「あぁ……」

「皮、むきますね」

 

 ゴム手袋の感触に浸る暇もなく、輪っかにした指で亀頭の下あたりを握られる。

 そしてスローに根本へと皮が引っ張られた。

 皮がむけていく部分から、カウパーが漏れてぐちゃーっという小さな音を立てる。

 

「先生……!」

「慌てない。もうすぐです」

 

 輪っか状の指が根本まで到達する。

 そして赤く充血し、自身の我慢汁で濡れた亀頭が現れた。

 

(これだけで、もう……!)

 

 遅漏かどうかなんて心配されたが、それは彼女の杞憂である。

 

「では、しごきます」

 

 先生は竿を握ると、まずはカウパーを全体に馴染ませるように手コキを始めた。

 表情や言動とは打って変わり、優しい手つきである。

 

「痛くありませんか?」

 

 にちゃ、にちゃ、にちゃと音を鳴らしながら。

 目の前で淡々と案じられることに、俺はとても興奮していた。

 

「すごく、気持ち、いいです」

「そうですか」

 

 初体験ながら、ゴム手袋の感触がちょうどよくて――

 

「というかもう、やばいかも、です……」

「まだ始めたばかりですが?」

「いや、でも、耐え……ますっ」

 

 末原先生は、機械のように同じペースのまま手淫運動をする。

 

「耐えないでください。これは処置なのですから」

 

 先生の手つきが変わる。

 正確には右手で竿をしごいたまま、余っていた左手で亀頭を愛撫し始めたのだ。

 

「うあッ」

 

 左手は優しく亀頭を握り込み、掌でこすったり、指でぐにぐにと圧をかけたりと絶え間なく刺激を送ってくる。

 本気の搾精――すぐにでも射精させる気なんだと、そう感じた。

 

「先生、俺、童貞で……」

「そうですか」

「だから手加減……」

「しません」

 

 次の授業がありますという目が語っていた。

 

「そもそも私はあなたの恋人ではありません」

 

 ごもっとも。

 こんなお願いをすること自体が間違いなのである。

 

「もうすぐですね」

「っぐ……」

 

 先生は容赦ないテクニックで、一気に絶頂へと導こうとする。

 

「ですから我慢しないでください」

「でも……」

 

 俺はこの機会が惜しかった。

 やっぱり我慢しようとしたところを見透かされる。

 

「処置とは言え、射精するなら気持ちよく射精すべきです」

「う……」

 

 それでも踏ん切りがつかない俺を見て、

 

「何か要望があれば聞きますから」

 

 先生は無表情だけれど、どこか仕方ないというような雰囲気で、そんな提案をしてくれる。

 

「き――」

 

 俺はそれに乗る。

 いや乗るしかなかった。

 既に我慢などできる状態ではなかったのだ。

 

「キスしながら、出したいです」

 

 なんとか絞り出したその言葉。

 彼女は分かりましたと頷き、一歩前進して身を近づけてくれた。

 

「ン――」

 

 軽く顔をあげた先生に、唇を重ねる。

 舌と唾液が混じり合い、お互いの喉を鳴らした。

 これが俺の、ファーストキスである。

 

「んあ……」

「っ、す、末原先生……」

「口を離さないでください。キスしながら射精するのでしょう」

「ッ」

 

 俺は両手で先生の身体を抱いた。

 そして口をぴったりと当て、必死に舌を突き出し、唾液を送り込む。彼女はそれを平然と受け入れ、下半身に絶え間ない快楽を送り続けてくれる。

 

「――射精してください」

 

 耳元でそう告げられた瞬間、俺は臨界点を越えた。

 臀部から背中にビリッと電流のようなものが走り、全ての感覚が鈴口へと集中する。

 そして一気に、白く濁った精液が吐き出された。

 ゴム手袋の中に、どくんどくんと脈打ちながら排出していく。

 

「せんせ――」

「もう少しです」

 

 先生の舌がぐっと一つ奥に入ってくる。

 甘い唾液が俺の喉を潤していく。

 彼女は手コキを続け、溜め込んだ精子を完璧に搾り取った。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、」

 

 完全に出し切ると、俺は机によりかかった。

 自力で立っていられなかったのだ。

 

「これで処置は完了です」

 

 末原先生は、両手にこびりついた大量のザーメンを見た。

 そして手袋を丁寧に外し、中のものが零れないように口元を縛ってしまう。

 特に飲んだり舐めたりしてくれる様子はない。

 

「使ってください」

 

 ウェットティッシュを渡され、自分で拭くように促される。

 俺は脱力感から何も言えず、素直にそれに従った。

 

「次の授業まであと五分、間に合いましたね」

「末原せん――」

「三橋さん」

 

 俺の言葉を遮って、彼女は一言で今日のことを片付けた。

 

「ではお大事に」

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